崔吉城との対話

日々考えていること、感じていることを書きます。

「純と愛」

2012年10月08日 05時24分09秒 | エッセイ
 NHK朝ドラマ「純と愛」が新しく始まった。ただ歴史を描くものかメッセージ性のあるものか見ているうちに劇中劇、ドラマの中のドラマである。深夜のフロント研修についた純(夏菜)は、営業時間外にルームサービスを受け付けて、コーヒーを届けた純は、客からとても感謝された。ところが翌朝、宿泊部長(矢島健一)たちに呼び出され、ほかのセクションに迷惑をかけるなと叱責される。純は客の都合こそが大切だと訴えたが聞き入れられない。私は作家の大きいメッセージをいただいた。今の日本社会の問題点を象徴的に指摘していると受け取ることができるからである。
 規則や掟を守る社会を作ってきたのは素晴らしいことである。大きい災難の時でも秩序を守る場面は世界的にモデルになっている。しかしそれだけを強調すると宗教の原理主義のようになってしまう。規則内でも外でも人間の命と愛が無視されてはいけない。むしろ人本主義に規則などをうまく適応すべきであろう。中庸思想というものも必要であろう。掟や規則だけのレベルの話ではない。古い制度、因習や伝統を改革した人によって社会は大きく発展してきたのを見ても理解できるであろう。イエスは律法主義から愛を主張し社会を改革しようとした。「純と愛」は今後どう進行していくか楽しみである。