崔吉城との対話

日々考えていること、感じていることを書きます。

プロパガンダかメロドラマか

2011年10月24日 05時23分47秒 | エッセイ
 
田中絹代塾で今井正と崔仁圭監督「愛と誓い」(1945年5月作)を持って講演、上映した。この映画を以て3回目であり、講演というより講義のようになった。まず発掘の経緯、時代背景(内鮮一体)、作者の意図、見どころの画像について説明してから74分の映画を鑑賞した。そして質疑や討論をし、平井愛山理事長の締め括りで終わった。この映画はプロパガンダ的ではあるが、内鮮結婚、現在の用語では日韓の国際結婚、共同制作の作品として日本文化と朝鮮文化がバランスよく混合していると評価した。韓国の民謡、踊り、カササギの鳴き声まで入れ韓国の風物が生かされていいる。善し悪し問わずこのような歴史が伝統として続いている。この映画の監督の崔氏と英子役の金信哉は戦後親日派とされ、困惑した日々を過ごすことになった。
 討議では植民地時代の宣伝映画とは言えどもプロパガンダか、メロドラマか、などが議論された。宣伝映画だと捨てるには惜しい。当時の実状を見渡しながら評価したり批判することが文化を正しく見る態度であろう。多くのアメリカハリウッドの戦争映画などもプロパガンダ性を持っているのではないかという疑問も提示された。普遍的な見解を私たちに投げてくれる問題作ともいえる。