崔吉城との対話

日々考えていること、感じていることを書きます。

『樺太朝鮮人の悲劇』発行

2007年05月11日 06時41分16秒 | エッセイ
 先日予告したように拙著『樺太朝鮮人の悲劇:サハリン朝鮮人の現在』が発行され、手元に届いた。この本は文部科学省の科研費によって6年間調査した研究の一部である。サハリンの瑞穂という農村で1945年8月22日、23日にソ連軍との交戦中、森下安夫などの日本人が同村朝鮮人住民の赤ん坊、女性を含む27人を殺害した事件を扱った。それは朝鮮人がソ連軍のスパイという誤解から起きた悲惨な事件である。私はこの事件を植民地同化政策に逆行する民族間の葛藤として分析し、国家や民族をアイデンティティとするナショナリズムや民族主義を強く批判する。これがこの拙著の大きいメッセージである。拙著を一読し、ご批判をお願いしたい。