崔吉城との対話

日々考えていること、感じていることを書きます。

靖国神社参拝の問題

2006年08月16日 07時42分53秒 | エッセイ
 昨日は靖国神社参拝の問題が広く話題になった。参拝に関して意外に日本の若者の支持が多い。それがナショナリズムである。つまり戦争を経験していない人々がナショナリズムに敏感であることは韓国や中国でも同様である。私は韓国のナショナリズムを警戒する本も書いたが、一番怖いのは日本のナショナリズムである。
 そのナショナリズムを刺激したのは中国である。中国が現実的に軍国化していきながら靖国を軍国主義化と非難した。日中関係正常化の時には植民地賠償はいらないと寛容の言葉をいっていながら、最近死者儀礼である靖国を問題にして日本のナショナリズムを刺激したのは愚かなことであろう。
 中国人に日本の総理が靖国参拝をするのを見るより「総理の車が交通信号で待っている場面」を見てくれといいたい。少なくとも中国にくらべてはるかに民主国家であることを意味するからである。
 国家統制の強い中国のマスコミは自由がないことを私は経験的に良く知っている。中国と日本ともくらべても韓国は反政府デモで政府を倒して民主主義を作っていった国にある。中国のマスコミを日本と韓国のものと同様に扱うことは出来ない。中国で私の中国語訳の拙著において台湾に関する部分などが削除され、うすっぺらなものになっているし、小さい町の同好誌まで国家の方針に従わなければならないことを知っている。
 総理の靖国参拝問題は日本人が憲法の問題を含めて論議することを願っており、私自身は参拝には反対している。