verse, prose, and translation
Delfini Workshop
廃墟
2007-03-16 / 映画
金曜日、
。昨日は、遅くまで、「廃墟解体新書」というDVDを観る。全国の廃墟を探検するというドキュメンタリーで、全部で7つくらいの廃墟が紹介されている。昭和7年開業で10年前に廃業したアールヌーボー調の観光ホテルや地域医療に貢献して15年前に廃業した大型病院、廃炭鉱や廃校、一村丸ごと廃村になった村、麻布のゴーストタウン、軍事要塞など。
はじめの一本だけ観て寝るつもりだったのだが、映像が美しく、興味深いので全部観てしまった。ウェブで「廃墟」をキーワードに検索すると、かなりヒットする。廃墟探検はブームでもあると言われる。ぼくもそうだが、なぜ、ひとは廃墟に惹かれるのだろうか。
昭和7年開業の廃観光ホテルは、山の中に建っている。ゆっくり、自然に還るところである。その広間は大きく、作りは堅牢で、一面のガラスから差し込む夕日が、なんとも言えない雰囲気を醸し出す。天井は、雨漏りのせいで、ところどころ、カビが繁殖している。その映像を観ていて、「滅びの美」という言葉が浮かんできた。盛んだった時代を経て滅んでいくときの事物の美しさ。一時、地上に住まう人間の残した痕跡が、母なる大地に還る一瞬の光芒。
東北の廃村を探訪したレポーターが、雪の降りしきる画面の中で、「普段なら、この寒さは不快なものですが、こうしていると、この寒さを、この村に生きた人も感じていたんだなと思い、当時の人たちに触れたような気がします」と述べていた。この言葉は印象的だった。山に依存した生活をしていた93人ほどが住んでいた村。生活道具はそのまま、人だけがいない。
商都、大阪の防衛のために小島に作られた軍事要塞。明治20年に作られたという総レンガ作りの要塞は、その目的を失ったまま、時間だけが流れた。無意味。その要塞は無意味に還ったのだろう。まるで、人間の行いはすべて無意味であるかのように。どこからか、笑い声が聞こえた気がした。
※ 「廃墟解体新書」監修者の栗原亨さんのウェブサイト。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/hiyoko_cloud.gif)
はじめの一本だけ観て寝るつもりだったのだが、映像が美しく、興味深いので全部観てしまった。ウェブで「廃墟」をキーワードに検索すると、かなりヒットする。廃墟探検はブームでもあると言われる。ぼくもそうだが、なぜ、ひとは廃墟に惹かれるのだろうか。
昭和7年開業の廃観光ホテルは、山の中に建っている。ゆっくり、自然に還るところである。その広間は大きく、作りは堅牢で、一面のガラスから差し込む夕日が、なんとも言えない雰囲気を醸し出す。天井は、雨漏りのせいで、ところどころ、カビが繁殖している。その映像を観ていて、「滅びの美」という言葉が浮かんできた。盛んだった時代を経て滅んでいくときの事物の美しさ。一時、地上に住まう人間の残した痕跡が、母なる大地に還る一瞬の光芒。
東北の廃村を探訪したレポーターが、雪の降りしきる画面の中で、「普段なら、この寒さは不快なものですが、こうしていると、この寒さを、この村に生きた人も感じていたんだなと思い、当時の人たちに触れたような気がします」と述べていた。この言葉は印象的だった。山に依存した生活をしていた93人ほどが住んでいた村。生活道具はそのまま、人だけがいない。
商都、大阪の防衛のために小島に作られた軍事要塞。明治20年に作られたという総レンガ作りの要塞は、その目的を失ったまま、時間だけが流れた。無意味。その要塞は無意味に還ったのだろう。まるで、人間の行いはすべて無意味であるかのように。どこからか、笑い声が聞こえた気がした。
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※ 「廃墟解体新書」監修者の栗原亨さんのウェブサイト。
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