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オリンピック忖度隠しと財政出動抑制とPCR検査抑制






■今朝のモーニングショーは、九州大学の理論物理の小田垣孝名誉教授がスペイン風邪のときの数式を改良して、感染者の数が1/10になるまでの日数と、そのときのPCR検査数と接触率の条件に関わる数理モデルを作った話が紹介されていて、興味深いものがあった。

※PCR検査を倍にすれば、接触「5割減」でも収束可能?(朝日新聞、2020年5月6日)

この研究によると、PCR検査を2倍にすると、接触率は5割減でも14日で1/10になる。検査数が4倍になると、接触率100%でも8日で1/10になる。自粛やロックダウンよりも、「検査+隔離」政策のほうが、経済的ダメージをすくなくできることが、数理的に論証されている。ただ、このモデルには、2つの問題がある。第一に、検査対象は、感染の兆候が表れた後になる点。これは、サイレントキャリアが2日前から感染力があり、0.7日前に最大の感染力を持つという事実から見て、「検査漏れ」を原理的に持っている。全員検査になれば話は別である。少なくとも、ある地域の住民の相当数をカバーすることが必要になる。第二に、大量に発生する陽性患者の隔離施設整備の問題がある。現在でもなかなか進まない隔離施設整備をどう進めるかが問題になるだろう。

※新型コロナウイルスの蔓延に関する一考察(小田垣孝、2020年5月5日)

だが、この研究は、政権の「無責任」を数理的に逆照射したことに大きな意味がある。あたかも、国民の自粛だけが新型コロナ対策のような演出がなされているが、それは間違いで、「PCR検査+隔離」政策の条件整備を怠っている安倍政権の無責任と無作為が数理的にあぶりだされているからである。この研究で、わかるのは、むしろPCR検査が進まない理由である。それは、第一に、政権が大量に発生する陽性患者の隔離施設整備に金を出したくない点が大きい。そして、第二に、PCRは潜在的な体制としては、大学や研究所に設備・スタッフともにあり、いつでも稼働できる状態にある。にも拘わらず、政権は検査を増やすと口先だけで実際に件数を増やさない。あたかも、政権以外に目詰まりの問題があるかのような演出で責任転嫁をずっと図ってきている。真実は、陽性者数が増えた責任と、オリンピック忖度で3月24日まで検査数を「意図的に」抑えていた現実が結びつけられるのを回避したいからである。つまり、はじめから、PCR検査件数を上げられる条件はあったのに、オリンピックがあったために、意図的に、その条件を無視して、保健所ルートだけに制限してきた事実が明らかになるのを恐れているからである。これは、支持率の問題とも関わる。

政権は口先では、検査を増やすとしながら、実効性のある手段を取らない(たとえば山中教授の提案する大学との連携)のは、この二つの理由が大きい。すなわち、①隔離施設整備のための財政出動を抑えたいこと、②オリンピックによって意図的に検査を抑えた結果、市中感染者が増えてしまった現実の隠蔽である。と同時に、オリンピックがあったためにPCR検査を抑制した事実を、現在でも現実の検査数を抑えることで、整合性をできるだけ取り、「まやかす」ためである。保健所ルートに限定すれば、安倍政権による保健所数の削減と公立病院の病床数のカットが背景にあるために、保健所の手続きが進まず、入り口を絞るために、オリンピック忖度と関係者の医療崩壊回避の意思は、検査抑制という目的において一致したということだろう。

この小田垣名誉教授の数理研究は、政権の責任を明確化する意味があり、その政権の無責任の背景にあるふたつ問題を徹底して批判することで、検査・隔離体制の拡充へとつながるものと思われる。お金は、MMTのような、富の不平等な再配分問題を放置し、グローバル企業の恣意的な投資行動を野放しする金融政策で作るのではなく、ミサイルの時代に意味のないF35を購入する資金を回せばいい。F35配備は、日本の防衛にとって意味があるのではなく自衛隊との統合を急速に進める米軍にとって意味があるものでしかないのだから。





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一日一句(2477)







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