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西行全歌集ノート(24)




思ひ出に何をかせましこの春の花待ちつけぬわが身なりせば

西行 山家集 上 春

※ 「思ひ出に」は、この世の思い出に。この世の思い出になにをしようか、花を待っても逢えない身の上ならば。熱狂的で狂信的な熱情を感じる。西行の花への取り憑き方は、少し怖くなるような処がある。前書きに「老花を見ると云う事を」とあって、死を強く意識していることがわかる。花は、西行の激しい心の飢えを満たしているようにも思われ、大きな喪失感が背後にあるようにも感じられてくる。よく言われる身分の高い女院への失恋なのか、吉本隆明が言うような過度の自意識なのか。一連の花を激しく希求する歌を読んでいると、この世への絶望なのではないか、とふと思ったりもするのである。


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一日一句(966)







仰ぎ見るヴァレンティヌスの夜の雪






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