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陽炎

日曜日、のち。北風。寒い一日。

午前中、伯父の3回忌の線香を上げに従弟の家に行く。風雨がひどかったが、帰る頃には雨は止んだ。

実相寺昭雄監督の「姑獲鳥の夏」を観る。ちょっと、内容的に複雑すぎて、映像になじまないように思った。榎木津礼二郎の阿部寛と京極堂の堤真一が相殺してしまってミスキャストではあるまいか。映像は、なかなか面白かった。科白がすべて字幕のように画面下に出るのもトーキーのようで面白かった。なかでも、水木しげるに扮した京極夏彦自身の演技がなかなか達者で印象的だった。小説家や詩人は、ある意味、役者でもあるから、当たり前と言えば当たり前だが。実相寺監督には、興味があるので、他の作品も観てみたいと思っている。



春の季語で印象的なものの一つが、「陽炎」である。陽炎という自然現象も面白いが、ゆらゆらと立ち上る陽炎も一つの現実であるということが面白い。

かげろふと字にかくやうにかげろへる   富安風生

かげろふの中の義歯となりにけり   真鍋呉夫

枯れ芝やまだかげろふの一二寸  芭蕉

陽炎を見て、気が遠くなっているとき、この世にありながら、この世にいない、陽炎のようになっているのかもしれない。

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