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芭蕉の俳句(124)

木曜日、。花冷。

今日は、朝の3時半まで仕事に追われて、起きたら12時だった。夜になって調子悪い。早く寝よう。

仕事して、すぐに寝るのも癪なので、DVDの「樹海解体新書」なるドキュメンタリーを観る。富士山麓の樹海を探検する模様が記録されている。廃墟探検家の栗原亨さんが、監修している。ここは生物の楽園だが、一般には自殺の名所で有名である。そのせいか、観音像やマリア像が、樹海の中に設置されている。奇妙だったのは、通称「ジャングルジム」と呼ばれる、高さ30メートル幅10メートルくらいの金属製の物体が忽然と現れたこと。ジャングルジムそっくりの形をしている。樹海に関する何らかの観測用に作られ、目的達成後、そのまま放置されたと見られる。樹海の真っ只中にあって、実に神秘的だった。探検中に、白骨死体を新しく発見し(死後1~2年)、警察に連絡するシーンも出てくる。驚いたのは、生きている人間と遭遇したこと。「やらせ」とも思えない。中年男性が3日前から、樹海に寝泊りしているというのだ。「帰りましょう」と栗原氏が促すと、「帰る所はない」と答えるのみ。スーツ姿のまま、シートの上に座っている。過去に3回来ているという。この男性は、取材班に促され、最終的に、樹海から出ることになった。



昨日は、尊敬する詩人のSさんから電話があった。年度末で、心に余裕がなく、詩や翻訳詩の原稿ができず、締め切りを過ぎてしまったのだ。期限は、わかっていたのだが、どうも書く気になれず、だらだらと時間だけが過ぎていた。不思議なことに、Sさんから電話があって、スイッチが入ったのである。昨日・今日で一気に一篇書き上げてしまった。もっとも、ごく短い詩なので、そうたいしたこともないのだが。後は、アファナシエフの詩を翻訳すれば、なんとか、次号に間に合いそうである。



石山の石にたばしる霰かな

元禄2、3年頃。「たばしる」は、勢いはげしくはしりとぶことだが、ここでは、石に当たって跳ね返ること。石山とは近江の石山寺のこと。庭の石山の石が白いことは、古来、著名と解説にある。楸邨によれば、実朝の「おももふの矢並つくろふ籠手(こて)の上に霰たばしる那須の篠原」を心に置いた発想という。

石にぶつかり跳ね返る霰の硬質な感じが、「たばしる」という言葉で伝わってくる。石の白さと霰の透明な氷の感じが、冬のカラッとした寒さと響き合って、惹かれる句である。


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