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格差拡大論争

2006年01月21日 18時46分12秒 | 社会全般
朝日新聞が早速反応した模様ですね。内閣府もそれなりに、「小泉政権になってから、拡大したという訳ではない」というのを示したということのようです(笑)。

asahi.com:所得格差の拡大「見かけ上の問題」 内閣府が否定 - 暮らし

記事より一部以下に抜粋。

厚生労働省の所得再分配調査による同係数は80年の0.32程度が01年に0.38程度になるなど上昇傾向だという。だが、年齢別の係数分析や単身世帯を含まない所得統計の分析から、元来所得格差が大きい高年齢層世帯の増加や、核家族化の進行で所得の少ない単身者世帯が増えたのが上昇原因であって、所得格差の拡大は見かけ上のものだ、と内閣府はみる。その見解を5ページの文書にまとめ、19日の月例経済報告の関係閣僚会議に提出した。

所得格差の拡大をめぐっては「小泉政権の経済改革が加速させている」「生活保護世帯の増加や自殺者の増加を招いている」「低所得者層の教育機会が奪われている」などの指摘があり、政策論争の題材にもなり始めている。

経済協力開発機構(OECD)が04年発表した加盟国のジニ係数では、日本は0.314で、平均の0.309を上回った。日本より不平等な国はアメリカなど数カ国しかない。


「日本より不平等な国はアメリカなど数カ国しかない」と、厳しく非難されていますね。まあ、これも理解は出来ますね。ですが、朝日新聞の記者氏も、まずは月例報告に書かれている内容をよく読んでみた方がいいですね。別に「格差がない」と主張している訳ではなく、「ここ数年で格差が拡大した」という客観的事実は見出せないということを取り上げていると思うが。それでも、社会的問題が消えて無くなる訳ではなくて、それについてはきちんと問題として存在することが提起されており、こういう一部分だけを報道するというのもちょっとフェアではないと思うね。

雇用問題、若年層や高齢層の問題とかは、内閣府の中に専門の部署を設けて取り組んでいるのだから、記者氏につっこまれなくても内閣府ではよく知っていると思いますよ、多分(笑)。


橘木先生のコメントを持ってきて、「どう考えているのか」という専門家の意見をぶつけるのは結構だが、大竹文雄先生(因みに囲碁のプロ棋士は大竹英雄先生です。本を何冊か持ってます。笑)とかのような解釈もあるので、専門家の中でも意見は部分的に分かれているのです。それでも、誰も「問題を解決しなくてよい」などとは考えていないのだから、無闇に国民の将来不安や不満を煽り立てる報道などは逆に良くないと思う。


『下流社会』で有名となった三浦氏は、他の雑誌だったかに、今度は「団塊ニートだ」と勝手なことを書いているらしいし。読んでないから詳細は知らないが(見出し広告を見た)。定年退職後に、団塊世代が「ニート」になっちまうんだそうですよ。こういう「ニート」という語感は、明らかに意図的に「差別用語」として誌面を飾ってる訳ですね。こういうことはメディアがやっているし、それに便乗する人々も次々と現れるのです。誤用を恣意的に行って、差別を助長しているんじゃないか。


「格差」「不平等」「不公平」「這い上がれない」「下流」「下層」とか、大体がそういう”不幸な”論調なんですよ、全体的に。連想されるのが、悲惨・暗い・不安、そういうマイナス面ばかり。


なので、内閣府では「そういう格差拡大は否定的」ということをわざわざ発表せにゃならんのですよ。国民への誤解を植えつけるメディアにも責任があるのです。コメントを取るのが橘木先生じゃなくて、もっと他の人だったらどうでしたか?一方からだけの意見を載せるのは、これこそ「不平等」じゃないですか。別な論者も併記するくらい出来るでしょ?


労働問題とか社会保障問題とか、色々絡むけれども、それぞれ政策的に解決方法を模索しているのだから、国民には出来るだけ正しい情報提供をすることが望ましいと思うが。



米国牛肉輸入停止

2006年01月21日 12時08分46秒 | 外交問題
再開したばかりで、いきなりの緊急停止措置となったようですね。これには、米国も「ギャフン」でしょう。ある意味、「うまくいった」ということも出来ます。


再開前の状況では、米国側のイライラ度は頂点に達し、米国議会議員達の報復措置を含めた強硬発言が相次いでいた。強力なロビイストが圧力をかけ、それが奏功してたかのように見える。そして、米国政府にしても、日米首脳会談での「成果」を持ち帰らなければならなかったことを考えると、ブッシュに「手土産」を持たせない訳にはいかなかった。従って、「輸入再開」は必然であったとも言える。ここで、無駄な反発をして、摩擦を引き起こすことは日本にとっては得策とも言えないからである。


日本政府としては、「OKサインは出しました」というポーズが必要だったのであって、「ルール」は別だ、という姿勢は貫いた。農水省あたりの頑張りだったのか、他の誰かが頑張ったのかは判らないが、一応「20ヶ月」だけは守った。そして、輸入再開となったのですが、米国のバカがまんまと「罠」に引っ掛かったとも言えるでしょう。日本は「きちんと『ルールを守る』ならばいいですよ」と折角言ってあげたのに、米国はむざむざと自分で地雷を踏んでしまったという訳だ。米国人の土俵で勝負してあげたのに、彼らは自らそのルールに足をすくわれたのだ。


私の個人的印象では、米国人の多くが好む傾向というのは、「fair」であることだと思っている。そして、決まったルール上では、「不正」が嫌われる(勿論、大なり小なりあちこちで不正はあると思うが)。アメフトでの不正なプレーというのも、同じく罰せられる(何だったかな、複雑なんだよね、ルールが。見ててもよく判らないことが多い。でも「illegal play」みたいな感じで反則になるよね?)。そういう国民性があると思っている。過去を振り返ると、日本が時として非難を受けやすいのは、「日本はルール違反なんだ」ということを米国人はしつこく強調してきたと思う。


そういう状況で、日本も「ルール遵守なら、いいですよ」とGOサインを出してあげたのだ。それなのに・・・・、米国人の間抜けっぷりに、自ら「ルール」を破ったことを露呈してしまったのだ。こりゃ、一本取ったね、と言わざるを得ないだろう。日本への不満も圧力も意味がなく、「自分の足元をまずちゃんとやれよ」と言われる事は米国側がよく知っているはずなのです。従って、まずは米国国内での厳しい検査体制とか除去作業とかの見直しなどを迫られることとなり、「ルール」を破った連中は処分されるだろう。「ルール」重視の彼らの性格を逆手にとった(ただの偶然だけど)、ある意味うまい「輸入停止措置」なのだ。これで日本は胸を張って、米国から何の文句も言われずに、「残念ですね、折角輸入出来ると思って喜んでいたのですが、これでは停止措置とするしかありませんね」と言う事が出来るのである。あとは、「早く日本の消費者の信頼を回復出来るように、米国での厳正な管理・検査体制をお願いしますね。でないと、輸入再開できないですよ。牛丼屋も困っているんですよ(笑)。今後決してこのようなことがないように、お願いしますね(冷淡)」とガツーンと言ってもいいのである。「ルール」を重んじる彼らは、「ルール」には弱いのである。

Yahoo!ニュース - 時事通信 - 容認できぬ失敗=BSE検査を強化-米農務長官

記事より一部抜粋します。

長官はこの中で「容認できない失敗だ」と遺憾の意を表明。日本などに対する輸出向けBSE検査を強化する考えを示した。同長官は「米国は深刻に受け止めている」との認識を示した上で、加藤良三駐米大使に「極めて残念だ」と伝えたことを明らかにした。


いつも強気な彼らでも、このような弱い発言にしかならないのである(笑)。いつものトーンに比べて、やけに弱腰じゃないか、と思う。再開前の、「こちらにも考えがある」とか「日本に報復的措置を考慮すべき」とか、そういった声は封殺されたと言えるのではないか。


輸入停止措置は悪い面が主に強調されると思うが、そうでもない面もあると思っていい。米国にとっては、「fairではない米国」というのが、耐え難いものなのである。そこを鋭く衝いていく方策が、最も有効だろうと考えている。