電脳筆写『 心超臨界 』

リーダーシップとは
ビジョンを現実に転換する能力である
( ウォレン・ベニス )

活眼 活学 《 「自分」とは?――安岡正篤 》

2024-07-19 | 03-自己・信念・努力
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あるものが独自に存在すると同時に、また全体の部分として存在する。その円満無礙(むげ)な一致を表現して自と分とを合わせて「自分」という。我々は自分を知り、自分を尽くせばよいのであります。しかるにそれを知らずして、自分自分と言いながら、実は自己、私をほしいままにしておる。そこにあらゆる矛盾や罪悪が生じるのであります。


『活眼 活学』
( 安岡正篤、PHP研究所 (1988/06)、p96 )
[2] 人生心得
2 運命

◆「自分」とは?

ローマの昔、キケロとかセネカという偉い人たちがおりましたことは、皆さん御承知でありましょう。そのキケロが、こういうことを申しております。彼らは他人に向かって語ることを学んだ。しかし己に向かって語ることは学ばなかったと。

またセネカは、世に学者なる者が出てから、遂に有徳者を見ない。キケロは、人はむしろ不学―学ばざるにしかぬ。こういうことを申しております。

実際、近代の学校を出たり、多少文学を好んで読むほどの者でありましたならば、世界とか人類とか、アメリカがどうだ、ソ連がどうだ、イデオロギーがどうだ、民主主義がどうだ、共産主義がどうだ、新内閣が不満だとか、総理大臣が良いとか悪いとか、そういう議論をしない者はないでありましょう。そのくせ、本人自身は手紙一本ろくに書けず、応対だって満足にやれないものが案外に多いのです。

孟子ではないが、随分偉い人に会っても、ああ、なんとつまらないことを言う人かと思わずにおれないような、人間的には全く稚拙というか、できそこないというか、なっていない人が多くって、こんな人々によって教育や政治や、いろいろの社会事業が行なわれたのではたまらないと、窃(ひそ)かに嘆息させられることが少なくありません。

鸚鵡でも人間らしいものを言う。くだらん人間でも大したことが言えるものであります。否、大したことほどくだらぬ人間が利用するのに都合がよい場合が少なくない。それだから大したことなのでもあります。

無頼漢が天下国家の看板を商売にかけたり、淫婦が教祖になって信者を集めたり、奸商が国家を建前にして巨利を博したり、小人がお抱えになって御用学問を論じたり、つまり厳正に言えば、世間の人間が相手にせぬような無頼漢や淫婦や奸商や小人でも利用できるところに、偉大なるもののありがたさがあるとも、言えないことではありません。

しかし、それだけもったいないことであり、殊に大言壮語して、空理空論を弄び、大衆をまごつかせたりする、いわゆるインテリなるものは迷惑なものであります。

日本はこれからますます物事が難しくなるでしょう。本物と偽物との区別がつかず、陰謀策略がしきりに行なわれ、専門的知識技術が何を作り出すやら分からず、非常なスピードで変化していく時代に、どうして自分を正しく立てていけば好いでありましょうか。

この「自分」というのは大変好い言葉であります。何気なく使っておりますけれども、時々日本の俗語の中には、こういう立派な言葉があります。

あるものが独自に存在すると同時に、また全体の部分として存在する。その円満無礙(むげ)な一致を表現して自と分とを合わせて「自分」という。我々は自分を知り、自分を尽くせばよいのであります。しかるにそれを知らずして、自分自分と言いながら、実は自己、私をほしいままにしておる。そこにあらゆる矛盾や罪悪が生じるのであります。
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