電脳筆写『 心超臨界 』

本は鏡のようなもの
愚か者がのぞきこんで天使が顔を出すわけがない
( ショーペンハウエル )

人間学 《 曲眉、豊頰、大耳、鞭体、清声――伊藤肇 》

2024-06-21 | 08-経済・企業・リーダーシップ
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リコーの大植武士(おおうえたけし)が社長に就任した時の第一声は極めて異色だった。「勢いに乗るコツを摑むのはむつかしい。それは運をひっぱってくることだ。世の中には、今日いえば、悪い結果をもたらすが、明日いえば、うまくいく、といった何かがある。この運をうまくつかまえるパターンはないが、だから、企業経営は面白いともいえる。リコーは振幅は大きいがついている会社だ。トップというのは運をひっぱってこなければダメだと思う」。上に立つ者は、悪運だろうと、何だろうと、とにかく運が強くなくては、その資格がない。


『人間学』
( 伊藤肇、PHP研究所 (1986/05)、p58 )
第2章 人品骨柄の人間学

◆曲眉(きょくび)、豊頰(ほうきょう)、大耳(だいじ)、鞭体(べんたい)、清声(せいせい)

話が茶の木畑に入ったので本筋にもどそう。

中国人はある年齢、地位までいくと本能的に人相見になる。

人相については種々述べてきたが、究極的には何を見るかというと、この顔は福相であるか、凶相であるかを判断するのだ。

いくらすぐれた人間でも、運が悪いとか、根性の悪いのがいる。こういうのは凶相である。いかに地位、財産、名誉があっても、凶相と鑑定したら、表面は慇懃鄭重(いんぎんていちょう)に接しても心の中では警戒して、深く入らない。敬して遠ざけ、凶運にまき込まれるのを警戒するのだ。一方、われわれのような一介の書生でも、これは福相だとみたら、その人間に積極的に近づいていって、先物を買う。

では、福人吉士の最たるものは、どんな人相かというと、曲眉(きょくび)、豊頰(ほうきょう)、大耳(だいじ)、鞭体(べんたい)、清声(せいせい)の五つが備わっている人物である。

「曲眉」とは、柳のようになだらかでまるい眉。「豊頬」は読んで字の如く豊かな頬。「大耳」は大きな耳。「鞭体」は鞭(むち)のようにしなやかな体。「清声」は声が清らかで響きがあること。ま、このうちの三つくらい揃っておれば福相の中へ分類していいだろう。

リコーの大植武士(おおうえたけし)が社長に就任した時の第一声は極めて異色だった。

「勢いに乗るコツを摑むのはむつかしい。それは運をひっぱってくることだ。世の中には、今日いえば、悪い結果をもたらすが、明日いえば、うまくいく、といった何かがある。この運をうまくつかまえるパターンはないが、だから、企業経営は面白いともいえる。リコーは振幅は大きいがついている会社だ。トップというのは運をひっぱってこなければダメだと思う」

上に立つ者は、悪運だろうと、何だろうと、とにかく運が強くなくては、その資格がない。

たとえば、軍隊においても、戦時統御の鍵は部下を殺さないことである。

「あの隊長の下におれば、決して死ぬことはない」ということであれば、部下はどんな苦労をしてでもついてくる。また、シェークスピアが「人々の運命に満潮と干潮とあり、この満潮を機敏に捉えるもののみ、よく幸福の彼岸に達する」といっているのも同じことである。

そういえば、司馬遼太郎の長編小説『坂の上の雲』の中に印象的な一節があった。

  戦争というのは、国家がやる血みどろの賭博であるとするなら、将
  軍というのは、この賭博を代行する血の勝負師であらねばならない。
  当然、天性、勝負運の憑(つ)いた男であるべきだ。賭博の技術は参
  謀がやるにしても、運を貸すのは将軍でなければならないからだ。

  海軍大臣の山本権兵衛は、連合艦隊司令長官を選ぶにあたって、何
  人かの提督のなかから、最も名声がなく、しかも舞鶴鎮守府司令長
  官という閑職にいた東郷平八郎をえらび、明治帝から、その理由を
  下問されると、「この男は、若いころから運のよかった男でござい
  ますので」と答えた。

  山本は、戦争とその執行者というものが、どういうものであるかを
  知りぬいていたのだ。

  乃木はその点、あくまでも憑いていない男であった。

  彼に与えられた最初の参謀長は、誰もが唖然とするほど、その任に
  ふさわしくない男であったし、次に総司令部がやった乃木軍司令部
  の大異動で赴任してきた小泉正保は、まだ一発の弾丸もうたず、敵
  の顔も見えず、集結地にすら着いていない汽車から転落事故をおこ
  すという態たらくだった。

事実、乃木はいたずらに犠牲ばかり多くだして、旅順要塞を攻めあぐみ、結局は、満洲軍総司令部の児玉源太郎が乃木にかわって指揮をとり、やっと陥落させた。

こういう悲劇的な運命が乃木にはいつもついてまわり、あたかも、負け戦一歩前ともいうべき黒溝台の会戦前後などは、殺気だった参謀たちが「乃木閣下が来られると縁起が悪い」とささやきあった程である。
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