電脳筆写『 心超臨界 』

天才とは忍耐するためのより卓越した才能に他ならない
( ルクレール・ビュフォン )

読むクスリ 《 オナシスも参った――真藤恒 》

2024-08-03 | 08-経済・企業・リーダーシップ
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真藤恒さんが播磨造船所に勤めているうち、同造船所が石川島重工業と合併して石川島播磨になり、真藤さんはその常務取締役に就任した。1962(昭和37)年、海運王オナシス(故人。ケネディ未亡人ジャクリーンと結婚したことで知られる)からなんとかタンカーの注文を取りたくて、アテネへ乗り込んだことがある。


◆オナシスも参った

『読むクスリ』
( 上前淳一郎、文春文庫、p135 )

オナシスは石川島播磨なんて会社の名前は聞いたこともない。日本がやがて造船王国になろうとしているとは夢にも思わず、けんもほろろの扱いだ。

それでも日参するうち、会ってやろう、ということになった。

「ヨットでエーゲ海を周遊するから、乗りにきなさい」

という。行ってみて驚いた。オナシスの愛艇クリスチーナ号は3千トン、巡洋艦なみの大きさだったのだ。

艇には富豪たちが乗り込み、美酒のグラスを片手にオナシスとにぎやかに談笑している。どても話しかけられるような雰囲気ではない。

じりじりするうち、やっとこちらに気づいて相手のほうから手を差し出してきた。

「きみは誰だったかね? ほう、日本の造船屋か。船がつくれるなら、おれのヨットを頼もうか。このクリスチーナ号も少々古くなってきたのでね」

「お断りします」

まわりの人たちがびっくりするような大声で、真藤さんはいった。

「断る? なぜだ」

「私は金持ちの遊び道具をつくるようなことには、まったく興味がありません」

周囲の富豪たちは気色ばんだ。この眼鏡をかけた小さな日本人め、世界の海運王に向かってなんたるいい草か。

しかし、さすがオナシスは破顔一笑した。

「わかった、きみはよほど自分の技術に誇りと自身を持っているようだな。よし、それでは大型タンカーを1隻つくってくれ」

6万トン・タンカーの初の受注が、その場で決まった。一度も頭を下げず、逆にふんぞり返ることで、海運王にサインさせてしまったのである。

やがて完成して回航されてきたタンカーは、オナシスを満足させるに十分だった。以後石川島播磨へは、相ついて注文が舞い込むようになる。

同時にオナシスは、真藤さんにあれこれ造船以外の相談も持ちかけるようになり、その友情は最後まで変わらなかった。
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