電脳筆写『 心超臨界 』

ものごとの意味するところはそれ自体にあるのではなく
そのことに対する自分の心構えにあるのだ
( サンテグジュペリ )

歴史を裁く愚かさ 《 ドイツ人と反日的日本人の一致点——西尾幹二 》

2024-09-05 | 04-歴史・文化・社会
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あの民族抹殺(ホロコースト)、殺人工場での計画的集団殺戮、大量の人体実験、不妊断種手術、安楽死政策と、世界中どこにでもあり今もなお恐らくある「軍隊と公娼」問題の犠牲者の悲劇とを、いったいどうして一線上に並べ、同質視することが出来るのであろう。質の異なるものを区別できない種別能力の欠落は、一般に知性の低さに原因があると考えられる。この「東京大学名誉教授」の頭脳の中はいったいどうなっているのであろう。


『歴史を裁く愚かさ』
( 西尾幹二、PHP研究所 (2000/01)、p150 )
第3章 慰安婦問題の国際的不公平
1 ドイツの傲岸、日本の脳天気

◆ドイツ人と反日的日本人の一致点

そこで問題は日本人であるが、なぜドイツの戦後謝罪は日本に比べ立派で、加害責任のとり方に格段の差があるなどと言いつづけるのだろうか。私のこの論文をここまで普通に読んできて下さった方なら、ドイツが戦後謝罪において詭弁を弄し、日本に比べはるかに破廉恥であり、加害責任をむしろほとんどとっていないということにお気づきになるであろう。

ドイツは日本に比べはるかに組織化された「慰安婦問題」を抱えていても、そのことについて告発されたことはないし、知らぬ顔である。加害責任の意識すらない。事実すら誰も知らないからだ。日本の騒ぎで一部のドイツ左翼が最近やっと気にし始めたくらいである。しかし国民全体としてはほとんど誰も知らない。

なぜ誰も知らないかといえば、「ナチ犯罪」が余りに大きく、それとのつながりやバランスでしか過去の罪を意識することが出来ないからである。ということはこの件については何も考えたくないし、考えることが出来ないということである。それが普通のドイツ人の考え方であり、生き方でもある。「ナチ犯罪」のことでさえ考えたくないし、そんな気もない彼らにとって、ナチ時代の「慰安婦問題」なんてまさに浦島太郎である。

そこでお伺いするが、坂本義和氏はそういうドイツがなぜ日本に比べ「国家の品格」を保っているというのだろうか。先述のクマラスワミ女史の報告書が国連人権委員会において「留意(聞き置く)」(take note)という軽い表現に抑制され、「賞讃」とか「歓迎」とかいう強い表現にならずに採択されたのは、ドイツにだって、あるいは他の国の軍隊だって、同一同種の問題があるのに、日本にだけ強い勧告支持決議をするのは不当であり、不公平になるからであろう。

世界各国の同問題に飛び火させれば、世界全体の中で収拾がつかなくなる。それなのに、「賞讃」も「歓迎」もせずに単に「留意」とするほかなかった国連のためらいを尻目に、坂本氏は、

「これ(クマラスワミ報告の勧告に基く謝罪と補償)は、およそ人権を尊重する国であれば受け入れる、今日の国際社会の常識にほかならない。」

「現にナチの犠牲者に対し、日本の賠償の十倍近くの戦後補償を払いつづけてきているドイツのことは、人権委員会の議題にもなっていないし、なりようもないではないか。元『従軍慰安婦』問題が今なお存在しているという事実を人権委員会が『留意』したことこそ、それが未解決であり、日本政府の対応が不十分であり『失敗』であることを物語っているのだ。」

「問われているのは、日本の国家の品格なのである。そのことは、重い戦後補償を果たしてきたドイツが、国際社会で品格と信頼を回復してきた事実に示されている。私たちは、日本の過去の戦争での罪の償いが終わっていないという事実、また終わったと国際的に認められていないという事実を正視しなければならない。」

日本国民に対する事実誤認に基づく脅迫発言であり、ほとんど恫喝である。上はドイツにおいて従軍慰安婦問題は解決ずみであり、日本にのみ「今なお存在している」という事実誤認を前提としている。さらに、「日本の賠償の十倍近くのドイツの戦後補償」が「ナチの犠牲者」に向けられたものと書かれ、比較対照され、補償要求されている論理の必然から、日本にのみ「今なお存在している」とされる従軍慰安婦問題はナチ犯罪に匹敵するものと、上の文では認識されていると判定できる。

あの民族抹殺(ホロコースト)、殺人工場での計画的集団殺戮、大量の人体実験、不妊断種手術、安楽死政策と、世界中どこにでもあり今もなお恐らくある「軍隊と公娼」問題の犠牲者の悲劇とを、いったいどうして一線上に並べ、同質視することが出来るのであろう。質の異なるものを区別できない種別能力の欠落は、一般に知性の低さに原因があると考えられる。この「東京大学名誉教授」の頭脳の中はいったいどうなっているのであろう。

坂本義和氏はほんの一例である。ドイツと日本の加害責任を同一視して、自国を責め立て、得意になっている日本人は多い。自分だけ善人の顔をしたがるこの無差別思考のお化けは、今のマスコミにはじつにごまんといる。日本人の知性が低下をきたしている証拠であるとしか言いようがないであろう。

ドイツの戦後補償が日本の賠償の十倍近いとあったが、私見では、百倍あってもなおドイツは支払い不充分と考える。例えば、ドイツと東欧から約50万ジプシーが殺人工場に送られ、消滅した。ジプシーに対する補償はやっと10年前に始まり、金額もわずか1億マルク(約70億円)である。ドイツが「重い戦後補償を果たしてきた」などという事実はない。

それなのにドイツの「慰安婦問題」がなぜ国連に持ち出されないで済んでいるのだろうか。いうまでもなく、もっと深刻な「ナチ犯罪」の相次ぐ補償に追われ、統一の負担もあって財政逼迫しているドイツに、これ以上何を言っても、目を剥いて、首を振られるだけだからである。それならばなぜ日本だけが標的とされるのだろうか。

財政に余裕があると信じられている虚報が弱点となっていることは間違いないが、それよりも、なによりも、坂本氏のような種別能力を失った反日的日本人のかもす国内世論が、つけ入られる隙を生んでいるせいではないかと考えられる。

日本人が自分で自分を貶(おとし)めるだけで済む分にはいいが、自分のことを棚に上げたドイツ人にまで威丈高に言いつのられて、それをまた日本人が鸚鵡(おうむ)返しに、同じような論理で同じようなことを言っている図は、何という愚鈍な光景であろう。ウヴェ・シュミットと坂本義和氏の論の立て方が口裏を合わせたように似ていることに、問題の深刻さの真の姿がある。
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