電脳筆写『 心超臨界 』

現存する良品はすべて創造力の産物である
( ジョン・スチュアート・ミル )

日本史 鎌倉編 《 日本共産党の「中華」思想——渡部昇一 》

2024-07-17 | 04-歴史・文化・社会
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マルクス・レーニン主義というのは元来、国家のワクを取り払うことを眼目の一つにしているのだから、国のワクよりはコミンテルンに従うのが「名分」のように思われる。しかし現在の日本共産党は、独立心が旺盛で、モスクワに対しても、ペキンに対しても「日出(いず)ルトコロノ共産党、日没スルトコロノ共産党ニ書ヲ致ス」といった調子でやっているらしい。


『日本史から見た日本人 鎌倉編』
( 渡部昇一、祥伝社 (2000/02)、p48 )
1章 鎌倉幕府――近代国家意識の誕生 = 元寇が促した「一所懸命」からの脱却
(2) 初の国難・元寇(げんこう)――勝者の悲劇

◆日本共産党の「中華」思想

この手紙の中でもう一つ注目すべきことは、朝鮮が日本のことを「名分(めいぶん)を知らない」と言っていることである。

これは中華思想が朝鮮に行き渡っていることを示している。シナ大陸の王朝が、とりもなおさず「中国」であり、その周辺の国は当然、その文明に従属すべきという発想なのである。宗主国に従属するのが「名分」なのだから、「日本が古来、名分を知らざる国であった」と批判されたのは、「日本は古来、精神的に独立意識を持っていた国だ」ということに等しい。何たる名誉なことであろうか。

儒教文明も仏教文明も、いずれも半島経由で日本に来たものである。そして儒教にしろ仏教にしろ、いずれも普遍的な原理を持ったものであるから、それを東アジアにひろげたシナの王朝が中華として仰がれるのは当然ともいえる。さらに、これには武力の背景もあったのであるから。

ところが日本は、その文化の恩恵を蒙る文化圏内にありながら、自分をも「豊葦原(とよあしはら)の中国(なかつくに)」、つまり一種の「中国」と呼んでいたのであるから、ある意味では「名分を知らない」と言われても仕方がなかったであろう。

しかし、日本に日本のカミがあり、それの直系と称する皇室が神話時代以来続いている以上、どうしても、中華の名分に従うわけにはいかない、という発想法が頭の隅にあるのである。

これに似たことは、明治以来の西洋文化輸入についても言われたことである。「日本は忘恩の民であって、欧米から摂(と)るべきものだけ摂って、少しも与えないどころか、恩とも言うべき米英と戦争まで起こした」などという意味のことが、戦後のひところ、よく言われたことを記憶している方も少なくないであろう。

そうした感情を持っている欧米人は、今も少なくないと思われる。この場合、欧米人が日本人を「恩を知らない」と言ったら、それは李蔵用が日本人は「名分を知らない」と言ったのと、ほぼ同じ意味だと言ってよいであろう。

少し方面の違ったところでは、日本共産党が、モスクワやペキンの言うとおりに従わないので、共産主義の本山(ほんざん)から批判を受けていると聞く。コミンテルンが力を持っていたころは、世界中、各国の共産党は、これを「中華」として、それに従うことを「名分」としていたようである。

マルクス・レーニン主義というのは元来、国家のワクを取り払うことを眼目の一つにしているのだから、国のワクよりはコミンテルンに従うのが「名分」のように思われる。

しかし現在の日本共産党は、独立心が旺盛で、モスクワに対しても、ペキンに対しても「日出(いず)ルトコロノ共産党、日没スルトコロノ共産党ニ書ヲ致ス」といった調子でやっているらしい。これに対して、日本社会党は、元(げん)の時代の朝鮮王のごとく、ひたすら「中華帝国」に恭順の意を表しているように見える。

この調子でいくと、共産党が天皇支持を声明し、反米の看板を下ろすならば、政権を取る可能性があるのではないか、とさえ思われる。

すでに宗教尊重を声明したのであるから、もう一歩進んで、共産党の委員長が、新年には伊勢神宮に日本人全体の先祖崇拝の象徴として敬意を表し、食糧・貿易などで重要な関係を持つアメリカに親善訪問するならば、自民党の最大の脅威になるだろうと、私なんぞは考えるのだが、世の人は笑って本気にしない。しかし、コミンテルン時代や火炎瓶時代の共産党と今の共産党の変化に注目する人は、共産党が公式に天皇支持を明言する日のあることを予期しておいたほうがよいと思うのだが。

話は逸(そ)れたが、李蔵用は、「こんな名分を知らない国は、蜂みたいなものだから相手にしないほうがよい」と元(げん)に忠告したのである。朝鮮海峡の冬の荒波を、ちょっと経験した元の兵部侍郎(へいぶじろう)の黒的(こくてき)たちは、この朝鮮側の発言をもっともなこととし、強いて日本を征服しようということは止(や)めたほうがいい、という意見であった。

しかし、クビライ・カンはきかなかった。彼は朝鮮・対馬海峡を見たことがなかったのである。
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