電脳筆写『 心超臨界 』

人生の逆境は、人の個性から最善を
引き出すために欠かせないものである
( アレクシス・カレル )

今日のことば 《 嫉妬のナイフは詳細を極め――ルース・レンデル 》

2024-05-26 | 04-歴史・文化・社会
電脳筆写『心超臨界』へようこそ!
日本の歴史、伝統、文化を正しく学び次世代へつなぎたいと願っています。
20年間で約9千の記事を収めたブログは私の「人生ノート」になりました。
そのノートから少しずつ反芻学習することを日課にしています。
生涯学習にお付き合いいただき、ありがとうございます。

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東京裁判史観の虚妄を打ち砕き誇りある日本を取り戻そう!
そう願う心が臨界質量を超えるとき、思いは実現する
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■超拡散『世界政治の崩壊過程に蘇れ日本政治の根幹とは』
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嫉妬のナイフは詳細を極めて研ぎ澄まされる
( ルース・レンデル )
The knives of jealousy are honed on details.
( Ruth Rendell )


◆民主主義国家をむしばむ病根

『昔も今も』
( サマセット・モーム、筑摩書房 (2011/6/10)、p268 )

「あなたほど聡明な男が生涯、下級官吏に甘んじて生きるとは、なんとも私の理解を超えているね」と公爵が言った。

「過大にもよらず、過小にもよらず、何事も中庸であることが叡智の核心である、とアリストテレスに教えられております」

「だが考えられん、あなたには野心というものがないのですか?」

「とんでもございません、閣下」とマキアヴェリはにっこり笑った。「おのれの最善の力をもって共和国に奉仕することこそ、わたくしの野心でございます」

「だが、それこそ、あなたに禁じられていることではないか。共和国体制においては、能力ある者はつねに疑いの眼をもって見られる。だから要職につける者は、同僚の嫉妬の対象にならないぼんくらにかぎる。それが民主主義国家というもんだよ。能力抜群の人物ではなく、誰にも、警戒も心配もされないお人好しが統治するんだ。あなたはご存じか、民主主義国家をむしばむ病根がなんであるか?」

公爵はマキャベリの顔をじっと見つめた。答えを待っているようだったが、マキアヴェリは何も口にしなかった。

「嫉妬と恐怖だよ。民主国家のケチな官僚どもは同僚を嫉妬する。仲間の誰かが名声を得ようものなら、連中はそいつの足をひっぱって、国家の安全や繁栄を左右するような政策の実行を邪魔してくる。そして、彼らは恐怖に怯える。まわりにいる連中がどいつもこいつも、隙あらば後釜にすわろうとして、平気で嘘八百、偽計・姦策を弄するからだ。その結果はどうなる? 正しいことをやろうと熱意を燃やすより、過ちを犯すまいとびくびくして、細かいことばかり心配する。犬は仲間を嚙まないというが、そのことわざの作者は、民主主義政府の社会で暮らしたことのないやつにちがいない」

マキアヴェリはやはり黙っていた。公爵の言葉が核心をついていることが、わかりすぎるくらいわかっていた。おれのような下級官吏のポストでさえ激烈な競争にさらされているし、おれ自身ライヴァルを蹴落として、この地位を手にいれたんだ。そしていまこの瞬間にも、おれの一挙手一投足を注視しているやつらがいて、こっちがうっかりミスでもしようものなら、たちまち、ご注進と、シニョリーアに飛んでいって、おれの首をとろうとする。
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