家の電話が鳴りました。
(誰だろう?)とウィンドウに表示されている番号を見ましたが、心当たりはありません。
こんなとき、心当たりのない番号には一切でないようにしている、という方もいらっしゃいます。たいていがぶしつけで一方的な売り込みの電話の場合が多いからです。
いまどき、本人に用事があるなら携帯にするでしょうから、家の設置電話のほうが鳴る、ということ自体、まれということもあります。
でも、チラと(どうせ、営業じゃないのぉ?)と思いながらも、こんなときにも私は、出ないようにする、という選択ができない人間なんです。
万が一、「あ! そういうケースがあったかぁ!」ということで知り合いからの大切な電話かもしれない、と思うとひとまず出るだけは出ちゃう。
このときも電話に出ました。
すると・・・ ビンゴ~!
・ ・・やっぱり、営業でしたわ。
「あ、坪内さまでいらっしゃいますか? いま、2分ほどお時間よろしいでしょうか?」
よくある切り出し方。
うんざりしました。
こういうとき、「2分」と言っておいて、2分なんかで済んだ試しはないからです。
「5分」と言うと、人はちょっとたじろぐでしょう。「1分」と言うと、今度は自分のほうが、「1分」で話を切り上げる自信はさすがに、ない。
というわけで、その間をとった2分か3分を名乗る人が多いんですね。
これって、トーク術で会社からこの切り出し方でいけ、って言われるんでしょうけれど、こういう電話を数多くとっている主婦としては、もうだまされないぞ、って逆に身構えちゃう。
私は、(長くなったら、途中で2分のお約束でしたわね、って言ってやる)と思いながら、「はぁ」と受けました。
その営業の商品は「保険」でした。
怪我オンリーに対応する保険で、掛け捨てですが値段は確かに格安。
たしか、夫婦ふたりで2500円そこそこだったと思います。
コレくらいの値段のものなら電話で営業もありかぁ、と思うくらいの値段。
しかし、人というのはたいていすでになんらかの保険に入っていますよね。
うちもご他聞にもれず、「なんか」には入ってます。
しかも、お互い独身時代が長かったものですから、夫婦で話し合って加入している、というわけではなく、私は私で入っているし、ダーリンはダーリンで入っているはず。
だから、ダーリンの保険の内容は知りません。
ていうか、自分の保険さえ、入ったときにはふんふん、と説明を受けたはずだけれど、結局今その内容を把握してるか、と言われたら、全くしていない・・・
なので、私としては「今入っている保険の内容を確認してみないとなんともいえません。」ということを言おうとして、
「保険っていろんな契約内容があるからよくわからなくて~」そのあとに、「だから自分の入っている保険の内容さえ把握していない有様でして、内容を調べてみてまた考えます。」と続けたかったのに、相手の女性はそこですぐに私の話を引き取り、
「ですよね~! だから、この保険はいいんですよ。お怪我だけ、っていうすごくシンプルでわかりやすいものでしょ?」と来ました。
いや、だから、そこ持ってく?って言いたかったですが、反面、内心で私はこの女性の営業としての能力に舌を巻いていました。
営業として、第一番目に絶対してはならないことは、「お客様の話なり、言い分なりに反論しない。異議を唱えない。」ということです。
「でも」「しかし」「だけど」と言われるとそれだけで人は「反論される」と身構えますし、「私のことを理解してくれてない。」「この人は敵か味方かでいえば、敵だ。」とポジションしてしまうからです。
これはたとえ、「おたくの商品って、使ってみたけれどよくないわね。」と言われた場合でさえ、「そうお感じになりましたか。」とひとまず受けてから、「どんなところでそう思われました?」などとトークを続けていくのがよいわけです。
それをこの女性は、反射的ともいえるスピードで、「ですよね~!」と共感のあいづちを打ってきた。
この「スピード」というのも営業としての能力のひとつだと思います。
誰でもぐずぐずしている人より、テキパキとコトを進め、要領よく仕事をこなしていく人の方に仕事をまかせたいですよね。
「スピード」は頭の回転の速さも感じさせます。
この場合、スピーディに切り返してきただけに、「営業として培ったスキル」としてそう返しただけなのか、この方の本来の回転の速さと何でもポジティブに物事をとらえようとする気持ちから心底そういわせたのか、判別がつかないくらいでした。
だから、営業そうろう、というトークではいかにそれが上手でも裏が透けているようで嫌ですが、この人の生来の性格的なよい面が出たからそうしてるのかな、と思うとさほど嫌でもなく、もう少し話を続けてもよいかな、という気持ちになります。
私が、「主人と相談してみます。」と言うと、
「恵津子さまが気に入られたのなら、御主人さまもきっと気に入られることでしょう。」と来ました。
だから、あなただけで決めちゃっても構わないんじゃないの、ということを次にもう少し柔らかい表現でもってくるわけですが、これも巧い、と思いました。
「恵津子さまが気に入られたのなら、御主人さまもきっと気に入られることでしょう。」というこのフレーズのなかには、
① あなた方ご夫婦の絆を私は信じていますよ、というメッセージ
② 恵津子さんの影響力が御主人に及ぼすものを私は理解していますよ、というメッセージ
③ ②によって私の自尊心をくすぐる、という効果
があります。
実際たいていのことはどこの家庭でも奥様が何かを言えば、御主人は、「おまえがいいなら、俺はそれでいいよ。」という場合が多いのではないでしょうか。
最後にはこれで決めうち。
「この保険はたとえ今日入っていただいた場合でも、手続き上、6月からの契約ということになってしまうんですね。ですからお客様がせっかく入る、と言ってくださったのにその効力を発揮するのが6月からになってしまう、ということが私は本当に心苦しくて。今日入っていただいてもそうなってしまうくらいですから、ご決断が遅くなればなるほど契約が効力を発揮するのがどんどん遅くなってしまうわけです。」とおっしゃり、「だから、今日決めちゃいませんか?」という感じで攻めてきました。
う~ん。
これもうなるほど巧いよねぇ。
お客さまが「良い」と判断してくださったものは、一刻も早くご提供したい、それが少しでも遅れていくのが心苦しい、という語りです。
営業の極意とはどこまで「お客様のために」を通せるか、ということに尽きます。
そして、それが自社の繁栄にもつながることがgood!というわけですが、これなどはその鑑というようなトークではないでしょうか。
いくら巧みな営業トークでも、それがトレーニングして磨かれたものだ、ということが見え見えで心がこもっていないとその薄っぺらさをお客さまは見抜きます。
でも心だけでも営業できない、というのもまた事実です。
それがうまくかみ合ったときに営業とは効力を発揮するものだと思います。
今日のこの保険の営業の女性のトークは、トレーニングもかなり積んだものだ、とわかりますが、思わず出る感嘆符や受け答えのポジティブさは生来のものでしょう、と感じられるので、すべてがイヤミには思いませんでした。
いやぁ、勉強になるなぁ。
それで、わたし、営業トークにまけて保険に入ったのか、って?
いや、「とにかく今入っているものを調べてから」で通しました。
でもそのときは本気で、自分が加入している保険に怪我のカバーがなければ入ってもいいな、と思っていたのです。
帰ってきたダーリンに聞くと、「あぁ、それなら○○で(その保険会社とは別の保険会社)えっこちゃんと俺のぶん、入っておいたよ。」とあっさり。
あ、じゃあ、必要ないね、ということで終わりました。
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