うちの社長と打ち合わせをしていたとき、こんな話を聞きました。
あ、「うちの社長ってどういうこと? あなた、ひとりでオーラソーマのセラピーやってらっしゃるんじゃなかったの?」という方にご説明いたしますと、確かに私は自宅サロンでオーラソーマのセラピーをやっておりますが、もともと企画会社の社員でして。
つまり、会社員でもあります。
今は、SOHOとなり、自宅で会社の仕事をしており、毎日どこかへ出勤するわけではありませんが、1週間に1度程度、社長とは会って打ち合わせをしなければならない案件などが生じます。
このときもそうでした。
そして、打ち合わせが終わり、世間話として社長が話し始めたのです。
「うちのおやじ、ついにこの前、警察呼んじゃったよ。」と。
社長のお父さんは、90歳を超えておられます。
数年前に奥様に先立たれ、しかしそれにもめげず、自分ひとりですべて身の回りのことをこなし、一人暮らしをされています。
幼稚園の園長さんをされていたとかで、一度お会いしたことがありますが、それは穏やかで、しかし威厳のある風格をただよわせた人格者、という感じでした。
「どういうこと?」と尋ねると、ご自分でご自分の資産管理をするために、現金を何通かの通帳にわけて入れておいたのに、そのなかの何通かがない! 誰かに盗みに入られた!というわけです。
その前には実は布石がありまして、その数日前にプロパンガスの業者が交換のときに間違えてコックを開くにしておかなかったために、ガスが使えなかった、ということがあり、そのときに業者さんは家のなかにあがった。その話をたまたま近所の人にしたら、「家にあげるのは気をつけたほうがいいですよ。何があるかわからないから。」と言われ、それがたぶん、強烈にアタマのなかに残っていたから、「あのガスの人が盗んだに違いない!」と騒ぎたて、警察を呼んじゃった、というのです。
社長のお父さんは、遠方に住んでおられるので、社長はすぐに駆けつけるわけにもいかず、警察から電話を受け取って、「ご安心ください。わたしどもが通帳を確認したところ、ちゃんと全額入いっていることがわかりましたから。」と言われ、電話機に向かって平身低頭冷や汗もんだった、そうです。
「しっかりしている人ほど、そういう他人を疑う、って種類の認知症になりやすいんだよね~ どうしてだろう?」と私は言いました。
というのは、私のおばあちゃんも94歳の大往生でしたが、なくなる1年前ほどから「○○がない! 誰かが盗んだに違いない!」が始まり、周囲の者はふりまわされて大変だったからです。
おばあちゃんは女手ひとつでこどもを何人も育てあげたしっかり者でした。
自分で自分の資産を管理しなくてはいけない、しっかりしなくては、という思いが強いと「自分はしっかりしているんだから」という前提のもとに確認するから、あったはずのところにあるべきものがない、となると、それは自分の「思い間違い」であるはずはなく、すぐに他人のせい、となってしまうのでしょう。
社長のお父さんもそうかもしれません。
「しかし、これからの時代、高齢化社会だから、そういうことですぐに警察呼ぶ、っていう人、増えるだろうなぁ。」
「そうですねぇ。警察も大変になりますねぇ。」とため息をつきながら言い合ったその翌日。
母親から電話がかかってきました。(まぁ、電話自体はなんやかんやと毎日のようにかかってくるんですけどね。)
「ねぇ、前にあんたにうちの家のカギ、貸したでしょう。あれ、返してもらってないんじゃない? どっかにあると思うからよぉく見て、確認して返して頂戴。」と言います。
「はぁ?」いつのこっちゃ、と私。
確かに一度、借りたことはあったような気はするけれど、何ヶ月も前のことで覚えていない。しかも、返し忘れてることはない、と思う。
しかし、私もはっきりとした記憶がないので、悔しいかな、「ほら、こうで、こうで、ああだったじゃない。」と克明に母の記憶を呼び覚ますようなことも言えない。
「いつから、ない、って気付いたの?」と聞いてみた。
昨日だ、という。
「じゃあ、それまではカギ使って入ってたんだから、つい最近の話だよね。そんな最近に借りた覚えはないよ。」と言うと、
いや、昨日は入れなかったけれど、もっと数ヶ月前からないことにはすでに気付いていたのだ、という。
(じゃあ、そのときはどうやって入ってたんだよ。)と内心突っ込みを入れながら、その彼女の矛盾を突いても、もう会話が成り立たないっつーか、こっちが理解できないっつーか、電話じゃラチがあかない、ってことになるだけなので、
「わかった。確認だけはしとく。」といって、さっさと電話を切りました。
確認なんかしようがないけどさ。
しかし、うちの母親はまさに「他人のせい」にするタイプの認知症になりそうです。
おばあちゃんの血をひいている、ってところもありますが、なにせ、「自分はしっかりしている」という思いが強いので、絶対に自分が間違いを犯すはずはない、と思っているのです。
「そんなことないじゃない。こういうこともあったし、こういうこともあったし・・」と彼女の失敗したケースをあげつらいたい気持ちは十二分にありますが、しっかり者と自分のことを思っていた人が、その唯一の牙城を切り崩されたとき、一気にへにゃへにゃと精神的にもろくなってしまいそうで、それはそれで怖い。
でも、これからもっとこういうことがひどくなっていくんだろうな~と思うと先が思いやられました。
そして、社長に最後に言われたことを思い出しました。
「あんたも危ないよ。」
確かに私は、今すでに自分のことを若年性アルツハイマーじゃないか、と思うくらいです。(すでに若年性じゃないって、という突っ込みはいりません。)
なにせ、ついこの前も宅配の不在票が入っていて、電話したことまでは覚えているけれど、それが再配達されて自分が受け取ったのかどうかがまったく思い出せない。そこのところが丸々記憶がすっぽりと抜け落ちている・・・
しかし、それだけに「自分はしっかりしている」とは思ってないから大丈夫、とは思うんだけど・・・
なにせ、おばあちゃん→母親→娘、と脈々と引き継がれている血というものがあるからねぇ。
はぁ~ どうなることやら。
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