フューチャーインタビュー

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さて、今日も堅田さんの「強みと魅力発見セミナー」からの話題です。



「フューチャーインタビュー」というワークをやりました。
１年後の未来に行って、自分が目標を達成したイメージを持ち、できるだけ具体的にインタビュアー役の質問に対して答えていく、というものです。
これは神経言語プログラミングのNLPのスキルの１つらしいです。
これに似たようなことはジャネット・アットウッドの「パッションテスト」でもやりました。
そのときには「１００歳のバースデー」というワークでした。
自分が１００歳になってバースデーパーティを開いている、というシチュエーションで、自分のために集まってくれた友人たちが、自分のことをどのように語ってくれるかを文章にしてみるというものでした。
この「パッションテスト」でのワークはこれからの残りの人生で自分がいかに望んでいたものを手に入れたか、目標を達成できたか、を確認するものです。
ある意味、大風呂敷を広げてもかまわない、って感じがありました。
それに対して、今回は１年後。
１００歳になったときという何十年も先のことに比べて、やはり１年後というのはすぐ目と鼻の先ですからね、臨場感がありました。
そして１年という期間で達成できること、というものについても真剣になりました。
こちらでは逆に大きなこれからの夢や目標はあっても、そのなかのさて、何から取り組む？　１年でいかほどの事に取り掛かれてどんな成果をあげられる？　ということはもはや夢物語ではなく、現実、って感じでした。



堅田先生のシナリオに従って、インタビュアーの人はだいたい尋ねるワードが決まっていますので、それに基づいて役割を交換しながら、ペアでワークを行いました。
インタビュアー役の人に、
「素晴らしい成果を手に入れましたね！　おめでとうございます。　どこにいますか？　何が見えますか？　何が聞こえますか？」
と言われたとき、私は自分でも思わぬ答えを口から飛びださせていました。
「そうですね。ありがとうございます。私は自分の個展会場にいます。私は曼荼羅などのスピリチュアルアートを描いて個展を開いたのです。ユニークで、絵画という範疇にとらわれないオリジナリティあふれる作品だということで多くのメディアから賞賛を得ています。会場も大盛り上がりで、来場者が感嘆を漏らしている声が聞こえます。」



そう語ってしまってから、ほんとに自分でもびっくりしたんです。
えぇぇ～っつ！？
私ってそこまで絵を描くことが好きだったかしら・・・？
いや、それは好きなことではあるけれども、寝食を忘れてでもやりたいほど好きなことだったかしら。
しかも絵画で認められるというのは、私のこれからの人生のなかで大きな目標でも何でもないはず。
っていうか、私の人生のなかの亜流の部分ですらないと思っていた。
でも、ふいに自分の口からこれが飛び出るっていうことはこれが本心？
私は少し前にもうこれからの人生、「自分の好きなことしかやらない」って決めました。
それは言い換えれば、「それが仕事になるかどうか？」「その好きなことでお金を稼ぎ出せるかどうか？」に捉われない、という意味でもありました。
趣味に彩られて終わる人生でもいいや、って。



でも、ちょっと第三者的に冷静になって自分を見つめてみたとき、こんな考えも頭をもたげました。
いや、ひょっとしたら私は自分がやるべきことから逃げているだけなのかもしれない、と。
ビジネスとして成功したければ、そりゃ中には面倒に思う事だったり苦手に感じていることにだって取り組まなくてはいけない時もあるだろう。
でもそういうことから一切逃げたいから、「個展」なんていうフューチャーが出てきただけだったりして。



少し前、取っているメルマガのなかにこんなものがあったのです。
「義母の介護をしていますが、もう限界。こんなに人を憎いと思ったことはありません。早く死ねばいいのに、とさえ思います。気持ちをどう持って行けばいいのかわかりません。感情に押しつぶされそうです。」
というある読者の方からの質問に対して、その心理学も学んでいる筆者はこう答えていました。
「あなたが“感情”だと思われているこの一連の流れは、感情（Feeling）ではなく感情的反応（Emotional Reaction）に属する流れです。
私たちが感情だと思っているものは、本当に起こっている感情を感じまいとして起こしている二次的な反応＝感情的反応であることがほとんどです。」
と。
なるほどなぁ、と思いました。
私も心理学は少しかじりましたが忘れていました。
そしてこれは心理学を学んだ人が、いかにも心理学的な見地から答えた回答だなぁ、と感心しました。
私たちはよく簡単に、「自分の気持ちに素直になれ」「感じること自体はそれが何であっても悪いものでもなんでもない」「だからその感情にまずは浸りきり、味わいきれ」などと言ったりします。
けれどその味わうべき感情が本来の“感情”でもなんでもなく、ただの“感情的反応”だとしたら？
この質問者の方のほんとうの感情が、「義母なんて死んでしまえばいい」ではなくて、それは単なる感情的反応であり、ほんとうの感情はこれだけではちょっとわからないけれどもひょっとしたらこの人自身が大切に扱ってもらったことがないからそれが悲しい、腹立たしいということがあるのかもしれない。



まぁ、このメルマガの件を思い出しましてね。
皆さまともシェアしたいと思ったと同時に、自分自身のことも何かから逃げたいと思っているだけの反応に過ぎないのか、ほんとうに個展を開きたいと心底願っているのか、そこをもう少しじっくりと自分自身を覗いてみたい、向き合ってみたいと思っています。



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さて、今日も堅田先生の「強みと魅力発見セミナー」のことです。
昨日は、自分の「強み」を見つけるための方法として「ポジティブフィードバック」「ジョブフィードバック」「マッチングセオリー」の３つを紹介し、そのなかで参加者同士が1分間スピーチで行う「ポジティブフィードバック」についての気付きをシェアさせていただきました。
その後、先生は「ジョブフィードバック」についてはそれぞれ各自で書き出してみて、とおっしゃりセミナー中には行いませんでした。
そして、「マッチングセオリー」。



これは心理的に距離の近い3人を選び、その全員に共通する事柄を分析することで、自分の強みを発掘するというものです。
なぜなら全員に共通する事柄というのがそのまま実は、自分自身の強みなのだ、ということになるからです。
このときの大きな気付きというのは、この課題そのものの受け取り方でした。
私は、
「心理的に距離が近い、っていうことはそれはよく知っている近しい間柄の人になりますよね？」
と質問しました。
心理的に距離が近いかどうか心の中まである程度わかっているよ、という間柄なら表面的に知っているだけの間柄とかマスコミで拝見するに過ぎない有名人とかは入らないんですよね、という確認のつもりでした。
すると先生は、
「あ、もちろんそれでもいいんだけれど、全然内面まではよく知らないの、っていう有名人の方とかでもいいのよ。」
とおっしゃいました。
それで私はさらに、
「え、でもそれだと“心理的に自分と似ている”かどうかまではわかりませんよね？」
と尋ねました。
すると先生は、
「うん、“自分が憧れている人”っていう捉え方でもいいの。」
とおっしゃったのです。



なぁんだ、それでいいのか。
だったら一気に気が楽になった、というか3人がリストアップできそうな気がする。
だいたい私は言葉というか指示に厳格になりすぎるきらいがある。
この場合は、「心理的に近しい」ということに拘泥しました。
でも、憧れている人でもいいなら話は別だ。
きっと「心理的に近しい」と考えた場合と、「憧れている」という人では全然別の人が挙がることでしょう。
そして「憧れ」に関しても、もしたった1人を挙げろ、と言われたらその人のすべてを憧れていなくてはいけない、そのためにはほんとうにこの人でいいのか、ほかにはいないか、など考えすぎてしまい、なかなか挙げられなかったことでしょう。
それでもすぐには挙げられませんでした。
う～ん、と考え込み出した3人がこちら。

片岡珠子
草間弥生
美輪明宏

そしてその共通点がこちらだと思いました。
＊ダイナミック
＊人の評価、視線を気にしない
＊パワフルで、鬼気迫るほどの仕事への打ちこみ
＊迫力、オリジナリティ
＊奇抜だが、下品ではなく洗練されている
＊好きな人（味方）と嫌いな人（敵）がばっちり別れる
＊個性的
＊生涯現役
＊表現者
＊カラフル
＊性を超越している
＊やりたいことをやって生きている
＊そのやりたいことを＝仕事としている



・・・ということは、これらの共通点がイコール私の強みでもある？
それもまた目指すところではあるけれども、まだそこまで手に入れているわけではない、と思うところも多々ありはしますが、自分が目指す到達点というものが非常に明確になりました。
やっぱり私は、「ダイナミック」とか「パワフル」とか「個性的」だと言われたいんだなぁ、と改めて自覚しました。
このなかで実は1番気に入っているキーワードは「奇抜だけれど下品ではない」ってヤツです。
案外難しそうだなぁ、ってふうにも思います。
それはファッションだけの問題ではなくて、言動や生き方そのものの問題だから。
これらのワードはどちらかと言えばオーラソーマチックではないですね（笑）
オーラソーマをやっている人は「清らか」で、「楚々としていて」「いつも穏やかで」「ナチュラル」で、実際に健康に気遣いながら「大自然の恵みを生活に取り入れて生きている」、というイメージですものね。
でもね、オーラソーマが好きでオーラソーマをやっているから、誰がどう見てもオーラソーマっぽい、と思われるようにしなくちゃ、って思わなくても全然かまわないと思うんですよ。
ティーチャーコースでデヴ・オーラに行ったとき、何人かの方が喫煙者でした。
館のなかはすべて禁煙なのか、館の裏手の入口のところに置いてある大きなドラム缶の前でいつも喫煙者の方がただけが集まって喫煙されていました。
たまたまその前を通りかかったりすると、彼女たちは「あちゃ、見つかっちゃった。」というような間が悪そうな表情を浮かべました。
いいのに、全然いいのに、と思っていました。
確かに煙草は身体には百害あって一利なしのものかもしれない。
そしてオーラソーマを愛する者としてはイメージ的には違う、って感じがするものかもしれない。
けれど、やめる気もなければ「わたしはわたし」と思ってらっしゃるなら、吸っているところを見つけられた高校生のような態度はせずに堂々としていたらいいのに、とそのとき思ったことを思い出しました。
煙草片手に授業やる、なんてオーラソーマのティーチャーもカッコいいじゃありませんか。
私はこれらの「強み」を堂々と「ハイ、そうですよ。これらのすべてが私の強みです」と言い切れるようになるようより私らしさ、誰にもとがめられることのない私らしさを大事にしよう、と思いました。




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名古屋でご活躍のセミナー講師　堅田不二子先生の「強みと魅力発見セミナー」に行ってきました。
私は父がホスピスに入院しても出来る限り普段通り生活をしたいと思っていましたから、別にこのセミナーに行ったとて何の違和感もありませんが、正直、このセミナーに申し込んだのはもう２か月ほど前。
まだ父が告知を受ける前のことでした。
しかし・・・　今ならこういったセミナーやワークショップのお誘いを受けたとしてもちょっと無理っていうか、申込みは控えるかなぁ、と思います。
なにせ、まったく明日の事が読めないので、いつ呼ばれるか、いつ母と交替しなくてはいけない日もあるのかなどがわからないからです。（そう言いながらもね、けっこう9月もちょこちょこ、もうずっと以前に申し込んでセミナーなんかで結構埋まってるんですよね・・）


不思議なことに1週間ほど前、このセミナーに私を誘ってくれた友人（＝彼女がこのセミナーのオーガナイザーでもありました）もなんと親族の方が今一刻を争う病気になってしまい、
「ひょっとしたら・・ってことで、えっちゃん、司会を代わってくれない？」
と頼まれてしまい、
「ひえ～、実は私も全く同じ状況なんだよ～　無理だよ～」
と話したなんてこともありました。



これまた「強みと魅力発見セミナー」というテーマに惹かれたわけではありませんでした。
これは“個人”についての話だと思っていたので、“私自身”が自分の強みや魅力にいまだ気付いていないとは考え難かったからです。
しかし、この「強みと魅力」というのは、“個人”の話ではなく、起業するための自身のお店（私ならサロン）についてのお話でした。
ま、それはもちろん個人の強みや魅力ともかかわってくるというか、それが屋台骨の話ではあるんですがね。
で、ではなぜ行ったのか？と言ったら、これまた少し以前にこちらのブログにも書きましたが、潜在能力活性化セミナーの伊藤治美さんと同様に、この堅田不二子先生の場合も、その“雰囲気”に惹かれたからでした。
きちっとスーツを着こなしておられ、最初っから講師っぽい方だな～という感じは受けてはいたのですが、そういう方にありがちな「私は講師ですからねっ」という一線を引いた感じがまったくなくて、自然体な感じでした。



最近つくづく思うのですが、わたしってオーラソーマを始めたばかりの頃にはこういう起業してどうやって自分のサロンを流行らせたらいいか、というようなセミナーにはとんと出なかったなぁ、と。
その頃はオーラソーマのコースに出るだけで精いっぱいと言うこともあったし、なにせスピリチュアルな世界観のほうにぐっと惹かれていたんだね。
そういう意味では私はプラクティショナーになって10年が経過し、ようやく地に足つけたバランスの中で生きようとしているのかもしれません。



この日のセミナーもたった1時間半のものでしたので、たいしたことが教えてもらえるわけはない、とさほど期待して行ったわけではなかったのですが、非常に収穫が多く、サービス精神いっぱいの先生のおかげで受け取るものが多かった実り多い1時間半となりました。



まず最初に先生がおっしゃったのは、
「起業コンセプトよりも先に、自分の強みや個性を知ることが大切だ。」
ということでした。
なぜなら起業して行う、とくにサロンなどの場合はそのオーナー個人のキャラクターが選ばれるサロンになる大きな要因になるから。
起業して成功する人、しない人の差は、「強み」を使っているかどうかの違いだ、と言い切られました。
「強み」だけでもダメなのだけれど、それは後の話。
まずは自分の「強み」をちゃんとわかっていますか？　というところから話は始まりました。
このとき、先生のおっしゃる「強み」とは何かと言ったら、それは「持って生まれたもの」のこと。
「能力」との違いは、能力は後天的にトレーニングなどによって身に着けたもののこと。
「強み」はあまりにも自然に出来ちゃっていうことなので、自分では気づかないことも多かったり、
「あなたってこういうところが素晴らしいわね。」
なんて人から指摘してもらっても、本人は大したことじゃないと思っていたり、誰もが出来ること、やっていることだと思っているので、
「え～、そんなことないわよ～」
と否定したり、スルーしちゃったりすることも多い部分なんだそうです。



そしてこの「強み」を見つけるための手段として、先生は３つの方法を教えてくださいました。
☆ポジティブフィードバック（知人からのフィードバックを集めて、共通点や傾向を分析する）
☆ジョブフィードバック（過去うまくいってしまったことをリストアップして共通点や傾向を分析する）
☆マッチングセオリー（心理的に距離の近い3人を選び、全員に共通する事柄を分析することで自分の強みを発掘する）



そういうわけでまずは「ポジティブフィードバック」を行いました。
参加者全員の前で1人ずつ、1分間お話をします。
その1分間のなかで得たその人の第一印象をメモ書きにしたものをその人に全員が渡す、というものです。
これはずっと以前、たぶん・・・15年以上前にもやはりビジネスのセミナーでやったことがあります。
そのときには「良い印象」と「悪い印象」を両方あげろ、と言われました。
どうして「悪い印象」まで挙げなければいけないのかわかりませんでした。
まぁ、そのときの講師の目論見としては「悪い印象」からもそれをできるだけ省く努力をして良いほうに持って行こう、というものがあったのでしょうが、正直、やはり「悪い印象」は気分が悪い。
「キツそう」とか言われるのはまだ「あぁ、そう見えるかもね」と第一印象のコメントとしては受け取れるものの、「職場ではいつも部下を叱りつけていそう」などと言われると「初めて会ったアンタになんでそんなことまで言われなくちゃいけないんだよ！　違うし！」と言いたくなるし、「絶対友だちにはなりたくないタイプ」という印象でもなんでもなくただの全否定に至っては「どいつだよ！　名乗り出てみやがれ！　こっちだってテメェなんざ願い下げだわ！」と言ってやりたくなるし。
でも、この日はポジティブな印象のみをいただけるので、とても気分がよろしい。
「優しそう」「笑顔がステキ」などというものが多いと、
「あぁ、わたしも成長したなぁ。かつてはキツそう、なんてのも結構あったからその真逆のような『優しそう』という印象がかつてならこれほど集まることはなかっただろうな。」
と思うと　ん？　それは私が後天的にトレーニングで獲得した「能力」のほうになってしまうじゃないか、と思いながらも、まぁ、良しとしよう、きっと私の「強み」としてもともとあったものが顔を出してきたんだ、と思おう。



そんなことで集まった私のポジティブフィードバックから集まった「強み」とは。
ちょっと照れるけれどご紹介しちゃいます。
☆パワーがある
☆笑顔がステキ
☆安心感がある
☆包容力がある
☆落ち着きがある
☆仕事ができそう
☆堂々としている
☆カリスマ性がある
☆声が力強くよく通る
そのなかでも私が1番嬉しかった表現は、
☆自分軸がしっかりしている
でした。
つまり私自身がそう見られたいと思っている、ってことですよね。
「パワー」「安心感」「包容力」「堂々としている」というあたりはよく言われることです・・・
でも、自分ではたった1分間のスピーチで、どんなところにそれがにじみ出ていたのかさっぱりわからないんです・・
でも、だからこそ生まれ持って知らず知らずのうちに使っている「強み」なんだろうな。



さて、この「強み」がわかっただけではそれでビジネスは成功しません、と先生はおっしゃいました。
「強み」×「能力」×「経験」×「市場性」
で、ビジネスになるのだ、と。
「だからね、例えば私は以前コーチングの講師をやっていたんですが、それは１つの能力にすぎないから、それだけではビジネスは成功しませんよね。」
とおっしゃったのが心に残りました。
この「コーチング」の部分を「オーラソーマ」でも「カラーセラピー」でも入れ替えたら同じことじゃないですか。
それだけではビジネスにはなりません。
それは明白なことだったわけですね。



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自分や自分の家族が癌になってもそれを世間に公表したくない人、反対に開示しても構わない人、ごく親しい人になら良いけれどもそれ以外の人にはイヤだ、という人、ごく親しい人にさえ黙っていてほしいという人、いろんな方がいらっしゃって当たり前だと思います。
そして同様に、お見舞いに対する考え方もさまざまであって当たり前だと思います。
入院したら出来るだけ大勢の人に見舞ってもらって寂しさをまぎらわせたいという人、反対に自分が弱っている姿を人には見られたくないから誰にも見舞ってもらわなくて結構、という人。
父は後者の人間でした。
たぶん、私も大病したことがないからまたそのときになったらどういう気持ちになるかわからないけれども、そういうタイプの人間だと思います。
そしていろんな考え方があって当たり前だ、とさきほど書きましたが、「いろいろあるだろうな」と思うだけで、その「いろいろ」がどんな考え方に根差してそうなるのかについては私は全くわかりません。
そしてその“全くわからない人”が意外にも１番身近にいる人間でした。
ダーリンとその実家の人たちです。



父は最初告知を受け、自分が末期がんだということがわかってからも、
「誰にも言うな。弟にも言わんでいい。」
と言ってきました。
父の弟さんというのは、私にとって叔父ですが、僧侶の資格を持っている人で毎月我が家にお経をあげにきてくれていたので、毎月のように訪れていた人に黙っておく、というのは至難の業に思えました。
でも、今の所、母がなんとかうまく濁しているようです。
そして私は、と言えば私の毎日の動きから一緒に暮らしているダーリンまで騙すことは無理ですし、そこまで嘘をついて行動するつもりも私には最初からありませんでしたので、ダーリンは知っていました。
そしてダーリンは「お義父さんたちには黙っておいてね。」と言ったにもかかわらず、何かの拍子に言ってしまったのです。
そうしたら、義父は白川村の出自で、親戚づきあい、近所づきあいには厚いなかで育ってきた人ですから、
「そら、お見舞いに行かないかん！」
と言いだしました。



私は口を滑らせたダーリンをなじり、ダーリンを通じて「お見舞いは必要ない」ということを伝えてもらいました。
私にも直接電話がかかってきました。
私は、
「いえ、ほんとうにそういうお気遣いはしていただかなくて結構です。本人が弱っている姿を見られたくないと言うものですから・・」
と言いました。
すると義父は
「あぁ、そういうことか・・・」
と納得した声をあげながら、次に、
「恵津子、お父さんってそんなにプライドの高い人やったっけ？」
と言ったのです。
意味がわかりませんでした。
「自分の弱っている姿を人に見せたくない」という希望は、プライドが高い、ということになるんでしょうか。
プライドって、一般には「あの人ってプライド高いわよねぇ。」というように使うときには傲慢で虚栄心が強い人って意味ですよね。
なんで、義父に私の父のことを、それも弱っている人間のことを、そんな非難がましく言われなくてはいけないのだ、という気持ちと、待てよ、義父はほんとうに良い意味での「プライドが高い」、すなわち「誇り高き人なんだなぁ」とむしろ褒め言葉のつもりで使っているのか？　と頭の中でいろんな思いがぐるぐるしてこのときにはすぐに言葉が出ませんでした。
でもまぁ、「本人が見られたくないっていうんなら・・　わかったよ。」とひとまず納得はしてもらったんです。



それからダーリンですが、日を追うにしたがって、またお見舞い、お見舞いと言いだしました。
義父も同じでした。
義父は仕事の関係で毎日のようにダーリンの会社で、ダーリンと顔を合わせることが多いため、ふたりはツーカーのようです。
私は、若干の嘘をつきました。
「もぅね、24時間麻酔コントロールで、昼間でもいつも眠っているの。だから見舞ったって目を覚まさないし、本人は見舞ってもらったこともわからないからいいよ。」
と。
24時間麻酔コントロールは嘘で、鎮静剤を投与されているに過ぎませんでした。
ただ、そのおかげで日中もふわふわしている感じで、誰を誰と認識しているのか、見舞ってもらっているのかもわからないと思います。
だから「本人が辞退している」という理由さえも突破しようとしたダーリンと義父に、これほどの理由はもうないだろう、と思ったのです。
けれど、
「それでも、じゃあ、お義母さんだけでもいいから会いにいくわ。」
と言う始末。
もうどういう理由ならこの人たちはあきらめるの、と愕然としました。



そしてある日、義父から電話がかかってきました。
義父からだ、とわかった瞬間、私は出ませんでした。
どうせまた「なぁ、どうしてもお見舞い行ったらいかんのか？」という電話に決まっていると思ったからです。
そして私はいつぞや、まだ父が元気なときですが、食あたりでひどい下痢に見舞われたため、1泊だけでしたが入院したときのことを思いだしました。
そのときも大したことはない、入院といったって下痢ばかりしているから万が一のために病院にいるだけです、お見舞いは無用です、と言ったのに義父と義母はやってきました。
外出する時の常として、義父と義母はこれから歌舞伎座へお芝居でも見に行くんですか、というほどの正装でした。
これにも違和感を感じましたが、田舎の人って家にいるときの服装と外出するときの服装がバチッと変わることが普通なんだな、くらいに思うようにしました。
そして病室に入ってきた義父を見て、父は恐縮し、下痢でへたってベッドから起き上がれないほどだったのに、一生懸命起き上がり、ぺこぺこと何度も義父に「いやぁ、わざわざすまんこってすなぁ。」とお辞儀をしました。
「いやいや、くるしゅうない。」というように手をふる義父。
その様子はまるで総理大臣が初めて当選した1年生議員に面会してやったわ、というような尊大さで私は内心、（見舞うっていうより自分の存在をアピールしにきたんだな）と思いました。
「お父さん、ベッドに腰掛けるか、寝てていいんだよ。」
と言いましたが、父は義父がいる間はずっと立っていました。
異常に母と私以外の前では恐縮しすぎる父も悪い。
なんでそんなに内弁慶なんだよ。
私はそのときのことをふいに思い出したのでした。



その夜、私がダーリンに、
「今日、お義父さんから電話入ってたけど、お見舞いの件だと思って出なかったよ。」
と言うと、ダーリンが
「なぁ、お見舞い、いつ行ったらいい？」
と言います。
「いつって・・　だからずっといいんだってば。来なくて。」
と私。
「だってやっぱり１度はケジメつけとかんといかんだろう。」
その瞬間、ついに私はキレました。
「ケジメ？　なんのためのケジメ？　1度も見舞って置かずに逝かれたらなんとなく後味が悪いなぁ、というそれはそちらのエゴでしょう！」
そのあとにもっとダムのようにせき止めた言葉はありました。
「てやんでぇ。見舞いってなんのためにあるの？　見舞われる人の気持ちが何をさておいても第一優先じゃないの？　その見舞われる本人がどーしても来てほしくない、って何度もお願いしているのに、それでも強行突破していきたい、いきたい、っていうアンタたちは何者？　どうしてそこまで押し通したいの？　見舞われる人の気持ちのほうを優先させてあげよう、という気持ちはみじんも湧かないわけ？」
「全く別の生き物のように見えるわ、あなたとあなたのご両親。さっぱりわけがわかんない。」
「そしてあげくの果てについに本音が出たわけだわね。ケジメかい。世の中で1番大切なことは人の気持ちよりもケジメをつけることかい。」



このときは相当私も覚悟してこのあとどうなっても構わない、というぐらいの気合を入れてキレましたからね。
もしダーリンが、「何を！」と逆切れしてきたら、絶対に許さない、引かない、離婚してもかまわない、ぐらいの気持ちでした。
このとこで１mmたりともそちらがキレる理由なんて見つからない、と思っていました。
しかし、私が
「それはエゴでしょう！」
と言ったとたん、ダーリンはおとなしく
「そのとおりだな。わかったよ。親父には俺からうまく言っておくわ。」
と言いました。
それでわたくしたち、離婚は回避いたしました（笑　一方的な妄想のなかで、ですが）



しかし、いまだに私にはわかりません。
本人が辞退しているのにどうしてもお見舞いに行きたい、という人の気持ちが。
私が感じたようにそれは「エゴ」ということなのか、それとももっと私が「あぁ、そういうことかぁ」と納得するような理由があるのか？
こと病気のことに関しては特にいろんな考え方があって当然だ、と思いますが私が思い及ぶのはそこまでであって、そのいろんな考え方の根拠とかにはさっぱり思いが至りません。
「あぁ、そういうことかぁ」ということがあれば、「それは私の方も悪かったな」とか「あまりにも依怙地になっていたな」とか「今後、考えを変えることになるかもだなぁ」ということもありえるでしょうが、今の所、さっぱり「何が何でもお見舞いに行きたい人」の気持ちはわからぬままです・・・
そしてその最もわからぬ人たちが、実は一番身近な人だった、ということが、なんだかイリオモテヤマネコでも発見した気分ですわ。



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　１９日（土）　　　午前１０：００～　　○　　　　午後　１３：００～　×　　１５：００～　×　　１７：００～　×
　２０日（日）　　　午前１０：００～　　×　　　　午後　１３：００～　×　　１５：００～　×　　１７：００～　×
　２１日（月）　　　午前１０：００～　　×　　　　午後　１３：００～　×　　１５：００～　×　　１７：００～　×
　２２日（火）　　　午前１０：００～　　×　　　　午後　１３：００～　×　　１５：００～　×　　１７：００～　×
　２３日（水）　　　午前１０：００～　　×　　　　午後　１３：００～　×　　１５：００～　×　　１７：００～　×
　２４日（木）　　　午前１０：００～　　×　　　　午後　１３：００～　×　　１５：００～　×　　１７：００～　×
　２５日（金）　　　午前１０：００～　　×　　　　午後　１３：００～　×　　１５：００～　×　　１７：００～　×
　２６日（土）　　　午前１０：００～　　×　　　　午後　１３：００～　×　　１５：００～　×　　１７：００～　×
　２７日（日）　　　午前１０：００～　　×　　　　午後　１３：００～　×　　１５：００～　×　　１７：００～　×
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リハビリをして帰ってくると、父の病室の前の、ちょっとしたラウンジのところでは何やらボランティアの方がたによる演奏が始まっていました。
ホスピスにはこういうボランティアの方がたの訪問予定がけっこう組んであります。
だいたい１週間に１度くらいは何かあるかな。



父に、
「どうする？　聴いていく？」
と尋ねるとかすかに首を横に振りながら、
「いい。今日はもう、疲れた・・」
と言いました。
そりゃそうでしょうね、歯医者の先生に診てもらうためにずっと口を開けているだけでももうしんどいだろうに、そのあとすぐにリハビリやったんだから。
それで病室に車いすの父を運び入れ、ベッドに横たわらせました。
ボランティアの方がたが奏でる曲は「昭和歌謡」で、私が小学生～中学生の頃にヒットした曲ばかりでした。
黒柳徹子さんと久米宏さんの「ザ・ベストテン！」とかが全盛の頃かな。（うわ～、懐かし～！　っていうか、この話しわかる人いるのかな・・・？）
統計によるその週のベスト１０の曲を順番に紹介する番組です。
だから、例えば１位の曲が連続１０週間ベスト１０内に君臨し続けたとしたら、この番組を毎週みている人なら、この曲が自分の好みかどうかにかかわらず１０週間この曲を聞き続けることになります。
そりゃ、相当物覚えわるくても自然に覚えちゃうでしょうよ。
そういう時代でした。
私はそれらの知っている曲を懐かしいと思ったわけではありませんが、病院で父に付き添っていても、私は私で十分に楽しんでいるよ、と父に感じさせたいと思いました。
でなくては、父がまた私に気を使いすぎてしまう。
なので、
「じゃあ、お父さん、私はちょっと見てくるからね。」
と言いました。
すると父は、
「おぉ、行って来い、行って来い。」
と言いました。
それで私は病室の外へ出るとともに、なにか異変があっても父の様子が見えるように（それはほんとにちょうど父の病室の眼の前でしたから）病室の扉を全開にしておきました。



「バラが咲いた」「瀬戸の花嫁」「丘を越えて」などを聴きながら、ときどきチラと父を見ると父もこっちを見ているではありませんか。
それで、
「お父さん、聴こえるの？」
と言うと、
「うん、雰囲気で聴こえる。」
と言いました。
なかなかうまい表現だな、と思いました。
父は耳が遠いので、何を歌っているのか、その歌詞までが聞き取れるはずはないのです。
けれども、なんか楽しそうなことが行われているんだな、それは昭和歌謡なんだな、ということまでぐらいはわかるという感じでした。



なので私は父によりその“雰囲気”を伝えよう、とベッドの脇に行って、そのときそのときやっている歌をできるだけ口角しっかりと口の形がわかるようにしながら歌ってやりました。
すると、父も手拍子をとるではありませんか！
その様子を見ていて、ボランティアの方がたも病室の中にまで入ってきてかわるがわる演奏してくださいました。
ボーカルの人、バイオリンの人、マンドリンの人・・・。
まるで父のバースデーでも祝っているかのように。



そして何曲かが終わり、その日のイベントは終了しました。
みなさん、楽器を片づけ始められました。
するとなんと父が私を呼び、
「おい、リクエストはできんのか？」
と言うではありませんか。
これが今日はしんどいからもう休む、歌なんて聞かなくていい、と言った父でしょうか。
「え・・・　聞いてみるよ。何を歌って欲しいの？」
と言うと、題名が出てこないらしく、
「え～と、ほれ、ほれ、あの・・　森繁の・・」
と言います。
「森繁」までは私にもわかります。
かつて「社長さんシリーズ」の映画で一世を風靡した森繁久弥さんです。
でも、俳優でしょ、あの方。
歌なんて歌ってたんだっけ・・？
何のことを言ってるんだろう・・
するとようやく
「知床・・・　なんとか・・」
と言いました。
それで私にもピンときました。
その後、加藤登紀子さんが歌ってヒットした「知床旅情」のことだな、と。



それで私は急いで片づけ始めているボランティアの方のところへ駆け寄り、
「あの、すみませんが、リクエストを、って言ってるんですが、もう無理ですか？」
と尋ねてみました。
すると皆さん、ピタリと楽器を片づける手をとめて、
「あぁ、いいですよ、いいですよ。やります。」
とおっしゃってくださいました。
もう聴衆であるほかの病室のみなさんは、それぞれの“自宅”へお帰りになってしまったので、なんとボランティアの方全員で、父の病室へ来て下さり、父は「知床旅情」を独り占めすることができました。
手拍子をとりながら聴くような歌ではなくしっとりとした歌なのですが、父は嬉しそうに胸の前で手拍子する仕草を見せ、聴いていました。
　　　知床の岬に　はまなすの咲く頃
　　　思い出しておくれ　　俺たちのことを
　　　飲んで騒いで　　丘に登れば
　　　はるか国後に　　白夜は明ける　　　♪



この“俺たち”とはどういう職業、あるいは境遇の人たちのことを言ってるんだろう・・・？
そんなことをぼんやりと考えながら聴いていたら、なんと、ふいに私の眼から涙がぽろりと零れ落ちたんです。
自分でもびっくりしました。
いや、申し訳ないけれど演奏がことのほか素晴らしくて感動した、とか胸の奥深くに刺さった、ということではないんです。
歌詞を聴きながら、あぁ、父はもうその地に咲く花を愛でるような旅行ができるわけではないな、とそのことに感傷的になったわけでもない。
いったいこの涙はどういうわけだろう。
人間って自分では胸を打つほどの感情に揺さぶられているわけでもなんでもないときでも、感情とは乖離したところで、単に肉体の反応として涙って出ることがある？
それともわたし、自分で思っている以上に疲れてる？　傷ついてる？　なんか癒されなくてはいけない？
いや～　マジでそんなこともないと思うんだけどな・・



私が泣きながら自分で自分にびっくりしたような顔をしていたからでしょうか、ボランティアの人がそっと
「ここはこういうところなんですよ。どうぞそのままお受け取りください。」
とおっしゃいました。
これまた意味がわかりませんでした。
我々がやっている演奏はあなたが泣くほどたいしたことじゃありませんよ、どうぞさらっとお受け取りください、という意味でしょうか・・・？
それともどうぞ、どうぞ涙が出るときは我慢せずにお泣きなさい、自分の感情のままに素直になっていいんですよ、という意味でしょうか・・・？
なんか全然わけがわかりませんでしたが、私はほんとに思わず１粒はらりと涙をこぼしただけで、別にわんわん泣いたわけではありませんでした。



ボランティアの人たちが帰ったあとに父に
「良かったね～　知床旅情歌ってもらえたし。疲れてたけど楽しかったね。」
と言ってみました。
わざとそう言ったんです。
「楽しかったね～♪」と言えば、人間、そうかもな、楽しかったと言われれば、そうかもな、という気になるだろう、と。
そうしたら父は、
「おぉ、よかった、よかった。お前でよかったわ。お母さんだとなぁ、あいつは歌が嫌いだからこんなことにはならなかったかもしれん。」
と言いました。
しめしめ、今日母に代わっていた甲斐があったわい、と思いました。



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