司法書士のオシゴト

会社にかかわる登記を中心に素朴なギモンにお答えします♪ 

代表取締役の選定と印鑑証明書 その3

2011年02月15日 | 商業登記

もうチョットだけお付き合いくださいね♪

最近ではずいぶん少なくなりましたが、会社法施行後2年~3年は、取締役会を廃止する会社サンが結構ありましたよね♪
取締役会を廃止する理由は色々ですけど、取締役会廃止後の役員構成は変更しないことがほとんどで、従前の代表取締役の方を代表取締役に選定し、従前の平取締役はそのままにいたします。

実質的には「第1号議案 定款変更(取締役会の廃止)」が承認されますと、その時点で平取締役に代表権が付与され、「第2号議案 代表取締役の選定」 の決議により代表権が付与された従前の平取締役が元通り平取締役になる、ということです。
そして、この場合は、出来上がりとして従前の登記内容と同じになりますから、役員変更の登記は要せず取締役会の廃止のみを申請することになっています。

ま、こういうのは良いのですが、ひねくれ者のワタシは、例えば印鑑証明書をどうしても準備できないヒトがいて、そのヒトを代表取締役にしたい場合は、取締役会設置会社の時代に取締役に選任しておいて、その後取締役会を廃止すれば、印鑑証明書の添付なくして代表取締役の登記ができちゃうんだよね~。。。。?? と思ってしまいます。(印鑑登録は出来ませんけどね^^;)

そこまでして代表取締役になりたいヒトはいないかも知れませんが、このような抜け道はありますよね。
機関の変更というのは今までは存在しなかったのですから、この辺のところは不思議なんです。

さらに、くどいようですが。

取締役会設置会社の場合には、取締役の就任の登記の際、印鑑証明書を添付する必要がありませんが、非設置の場合には就任承諾書(または議事録)に実印を押印し、印鑑証明書を添付することになっています。

では、同一の株主総会において、取締役会廃止の定款変更の効力発生前に取締役を選任し、次の議案で取締役会を廃止(例えば、株主総会終結時に定款変更の効力が生じるケース)したらどうなるか。。。
取締役の就任時点ではまだ取締役会設置会社なんですから、平取締役の就任登記に印鑑証明書は要らないってことで最初は良かったんです。
ワタシも、そういう案件を扱ったことがありまして、株主総会において、第1号議案で取締役を選任し、第2号議案で取締役会を廃止しました。この時は、印鑑証明書は不要だったんですけどね。

でも、どうやらその後取り扱いが変更されたようです。
コレ、「取締役会の廃止と取締役の選任を同一の株主総会で決議する場合には、時間の先後に関わらず、取締役の就任承諾書については印鑑証明書の添付を要する。」というもの。

実務では時間(事象の効力発生時点)の操作をすることが良くありますが、さすがに取締役会が廃止されることが分かっているのに印鑑証明書を添付したくない目的で、チョビットだけ時間をずらしてもダメよ!ってことみたいです。
(ですが、株主総会を2回開いて、まず平取締役を選任し、翌日の株主総会で取締役会を廃止すれば、多分、印鑑証明書は不要でしょう。。)

さらに、こちらは結論を知らないのですが、逆のケースで、取締役会を設置する株主総会で取締役を選任したら、取締役会の設置前でも取締役の就任登記に印鑑証明書が要らないのか。。。というと、そうはならないんじゃないかなぁ。。。と思ってしまいます。

こういうことをツラツラと考えていると、理論的な一貫性はあまりないような気がして、未だに良く分からなくなります。
誰か、上手くまとめてくれないかな~。。。(~_~;)

そして、先日コメントをいただいた「代表権の復活なるか!?」に関しては、明日につづく!

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3 コメント

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印鑑証明書なしでの代表就任 ()
2012-05-12 02:12:18
>そこまでして代表取締役になりたいヒトはいないかも知れませんが、このような抜け道はありますよね。
>機関の変更というのは今までは存在しなかったのですから、この辺のところは不思議なんです。

なるほど。
株式会社の代表取締役であっても、印鑑証明書を出さずになる道はあったのですね。
ただ、印鑑登録は必要なので、誰か別の代表取締役が印鑑届けをしている必要はありますよね。

合同会社の場合は、すでに印鑑登録をしている代表社員がいる場合、新たに加入する代表社員は印鑑証明書を提出せずに済むと聞いたことがあります。
それを考えると、株式会社で結果的に同じことができても不思議ではないですね。

あと、この方法で合同会社代表社員になり、合同→株式への組織変更で代表取締役になるという場合も可能かもしれません。
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Unknown ()
2012-05-12 03:34:58
ttp://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1421700239
ここで、「株主総会で即時承諾すれば、就任承諾書は不要」という回答がありますが、他のサイトでは即時承諾の場合に省略できるのは、総会議事録の印鑑証明書の方とされており、
どちらが正しいか判然としません。

まあいずれにせよ、「絶対に役員が偽名ではない会社」は有限会社だけってことになるんでしょうか。
返信する
Unknown (charaneko)
2012-05-14 10:01:52
雪さん、コメントありがとうございました。
印鑑証明書の添付の要否については、なかなか複雑なので、上手く説明することは出来ないのですが、「就任承諾書の要否」と「印鑑証明書の要否」と「印鑑届出の要否」は分けて考えていただいた方が良いと思います。
それから、「株主総会で即時承諾すれば、就任承諾書は不要」という点と「即時承諾の場合に省略できるのは、総会議事録の印鑑証明書の方」という点ですが、どちらも正しいことをおっしゃっているような気がします。
前者は、就任承諾書の要否のモンダイで、株主総会議事録を援用できるから別途就任承諾書を添付する必要はない、ということで、この場合、議事録には実印の押印を要し、印鑑証明書の添付も必要です。
後者は、全文を読んでいないので想像ですが、いわゆる「代表者交代担保」として添付する印鑑証明書(商業登記規則第61条第4項)のモンダイなのではないかな?と思います。こちらは、就任承諾書に添付する印鑑証明書(規則第61条第2項)とは別物です。
ま、色んな視点で考えてみるのは良いコトだと思いますよ♪
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