司法書士のオシゴト

会社にかかわる登記を中心に素朴なギモンにお答えします♪ 

新設分割と分割会社の変更登記 その2

2010年05月31日 | 商業登記

新設型会社分割では、分割会社と新設会社(正式には新設分割会社と新設分割設立会社と言いますが、ちと省略させてください)の変更・設立登記は、どちらも新設会社の管轄登記所に申請します。
分割会社の管轄か新設会社と異なる場合に何が違うか、といいますと、分割会社の登記事項証明書と印鑑証明書を添付することです。

新設分割の手続は、ほとんどは分割会社が進めますが、管轄が異なる場合には分割会社の登記事項が分かりませんから、分割会社の本店がどこで、代表取締役がダレで、役員は。。。というように、現在の登記内容を登記所の方に証明するために添付いたします。

一方、印鑑証明書はちょっと役割が違います。
会社分割では、常に分割会社が存在し続けるので、分割会社の変更登記(「●●会社に分割」ってやつです)は分割会社(の代表取締役)が申請します。合併ですと消滅会社の分もまとめて存続会社が申請しますよね。
その場合、登記申請書または委任状には会社の届出印を押印しなければなりませんので、それが届出印かどうかを照合するために、印鑑証明書を添付することになるんです。

ではつぎ!
会社分割に限りませんが、会社分割に伴って分割会社が定款変更とか役員変更をすることがよ~くあります。例えば、商号を入れ換えるとか、代表取締役が交代するとか、目的を変更するとか。。。
そして、この変更は、効力発生日と同じ日にすることがほとんどなんです。

商業登記では、原則一括申請ができますが(1つの申請書にいくつもの変更事項を記載してすること)経由同時申請の場合、経由する申請(会社分割の分割会社、合併の消滅会社の分)に関しては、申請できる事項が限られています。

つまり、「会社分割をしました」という申請書と「目的を変更しました」という申請書は分けなければいけません。これ、一括申請すると登録免許税は3万円ですが、別に申請すると6万円になっちゃいます。
でも、どうせ同じ管轄に申請するのに、わざわざ申請書を分けて、しかも登録免許税を別に納めるって、ちょっとヒドイでしょ? なので、現在は管轄が同じ場合には、分割会社の申請書には会社分割以外の変更事項も一括して申請できるようになっています。

ただし、管轄が別のときは、残念ながらそれはできません。
原則どおり、会社分割は分割会社の管轄登記所に別途申請しなければいけませんので、前の例ですと登録免許税は6万円になってしまいます。

これは何故か?
経由同時申請された場合、申請内容の調査は新設会社の管轄登記所でやることになるんです。
分割会社の登記所では、送られてきた申請書に基づいて登記の記入をするのみ。他人(?)の縄張りを荒らすようなことなので、特別な場合にだけ認められています。

というわけで、管轄が違う場合は手続も面倒になるんですが、そのために不都合が出てくることがあります。それは。。。。また明日~。

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新設分割と分割会社の変更登記 その1

2010年05月28日 | 商業登記

いつものことながら、シリトリ的な話題です。

現在、新設型の会社分割のご依頼を頂いていることは、先日ご紹介したところですが、この案件、珍しく分割会社と新設会社の管轄が異なっています。
管轄が異なっていると、ちょっとしたことでも手続的に問題になることがあります。

以前も少し出てきたことですが、商業登記には経由同時申請(同時経由申請?)と呼ばれるものがあります。
連件申請をしなければならないとされているモノをどちらか片方の管轄登記所にまとめて申請するということですね。
最も多いのは、管轄の異なる地への本店移転だと思いますが、組織再編の場合も経由同時申請になるのが原則です。

原則というのは、例外があるからでして、株式交換とか株式移転の場合には、完全親会社だけしか登記しないことがホトンドで、株式交換の場合は全く登記しないこともあります。
全く登記しないのは、株式対価の株式交換で、対価が自己株式である場合です。株式交換は以前から不思議なんですが、「株式交換」という登記をせず、発行済株式や資本金の額が増加する変更登記をするだけなので、登記事項証明書からは株式交換の事実は分かりません。

合併と会社分割については、必ず当事者は変更(または設立)登記をすることになりますが、この登記はいわゆる存続会社等(合併では存続会社、分割では承継会社)の管轄に消滅会社等の申請を併せてします。

管轄が異なる場合には、存続会社等の管轄登記所が全ての申請内容を調査し、消滅会社等の管轄登記所へ申請書が送付されるという仕組みになっています。

でも、この消滅会社等の登記申請の内容は、合併ならば合併に関することに限られていて、役員変更とか、減資とか、一応合併に伴って変更することも一緒に申請することはできません。
つまり、同時経由申請は法律上規定がある場合にのみ行われるので、それ以外の登記事項については、管轄登記所以外では調査権限がないってことなんです。

今回も、分割と同時に分割会社の役員変更や定款変更がありましたので、新設分割の登記と分割会社のその他の変更登記は同じ日に別々の登記所へ申請することになりました。
その場合、ちと、注意しなければならないことがありますが。。。。。つづきはマタ来週!

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新設型再編の株式買取請求 その6

2010年05月27日 | その他会社法関連
ダラダラ来ましたが、今日で終わりにしたいと思います。

まず、昨日の続きから~。
債権者保護手続としての公告と株式買取請求にかかる株主への通知は、兼ねられれば一番良いのですけど、ダメな場合はどちらを選択するのでしょうか?

【公告の場合】
・費用がかかる(官報の場合、ダイタイ3万円前後)
・期間計算が一律にできる
・(読まれる可能性が低いので(笑))文面を簡単にできる

【個別通知の場合】
・(株主の数によるが)費用は郵送費のみ
・買取請求期間が株主ごとに異なる(?)
・(読まれる可能性が非常に高いので)法律上の要件のみを記載しても、意味が分からない

↑オオザッパに比較してみました。

ちょっとだけ最後のところを補足しますと、通知事項というのは、例えば新設型会社分割でしたら、会社分割をすることと、新設会社の商号・本店だけです。
何も知らない方がそういう文書をもらっても、何のことやら分かりません。
本来は、「あなたには株式買取請求権があって、それを行使するためには、●●をしなければならなくて、 行使期間はいつからいつまでで。。。」というように、書かなければ分からないと思いません?

結局は、株主が少なく、買取請求はしないし、個別通知に内容が詳しく書かれていなくても気にしない方が相手なのでしたら、個別通知が良いでしょう。
ただし、株主が少なくても、良く分かる文面にしなくてはいけない場合は、文面の調整がなかなか難しいと思います。
株主がたくさんいらっしゃる会社の場合は、どっちみち費用がかかるのですから、公告の方が簡単デス。

結局は、買取請求を行使しそうな株主が存在することってマレですから、形式的に通知すれば問題ないのですが、個別通知をした場合、①株主ごとに買取請求期間が異なるのではないか、②それを回避するために会社が20日の期間を定めることが出来るか、③20日の期間満了日が休日の場合、満了日が伸びるか(これは公告した場合も同様)、ということについて、未だにハッキリと分かりません。

そして、最近では、株式買取請求権の話題で盛り上がっているようです。請求権が行使できる株主はいつの時点の株主なのかとか、それを確定するために基準日を設けるのはどうか、みたいなことですが、非公開会社の場合も、株主が移動すれば同じです。

現在、株式交換のご依頼を頂いていますが、株主総会における議決権の基準日はなくて、株主総会後、株式交換の効力発生日までに相当数の株式譲渡がある予定なんです。
株主の範囲としては問題はなさそうなカンジなのですが、株式譲渡をするハズの方に個別通知を送ったら、「何コレ??」と思われてシツモンがイッパイ来てしまうんじゃないか。。。的なことが問題になりました。(そこで、株主を煙にまくというつもりではないのですケド、通知公告の方を採用しています。)

。。。というわけで、単なるギモンの投げかけだけになってしまいましたが、イチオウ完結します。
長い間お付き合いいただきありがとうございました(^^♪
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新設型再編の株式買取請求 その5

2010年05月26日 | その他会社法関連
そもそも、これがどうして問題にならないか、或いは、話題にのぼらないか、って考えてみますと、結局、個別通知なんかせずに、皆、公告するから関係ないっ!!ってことのようです。

何年か前、司法書士会主催のセミナーで弁護士さんに伺ってみましたら、「そういう非現実的なシツモンには答えられません。。。」的なお答えでしたしね~。(ホントは分からなかったんじゃないでしょうか?

つまり、債権者保護手続としての公告と、株式買取請求権に関する株主への通知は兼ねられるので、ほぼ費用も手間もかからずに公告できるから、個別通知をするようなケースはほとんどないとおっしゃりたかったのだと思います。

確かにね。。。
でも、例えば、電子公告ですと、根拠条項ごとに調査料がかかりますんで、節約のために兼ねない場合もあり、そして、兼ねさせたくてもムリなケースもあります。

法律には特に書かれていないんですが、新設型の再編の場合には、株式買取請求期間中に株主総会の決議をしなければいけないという制限があるんです。
例えば、7月1日を効力発生日とする新設分割の場合、5月21日に分割公告を掲載し、6月29日に株主総会を開催すると、公告掲載から20日以内に株主総会は開催されないので、もっと遅いタイミングで公告しないとダメってことになりそうなんですね。

つまり、株式買取請求権を行使することのできる株主は、株主総会において反対する必要がありますから、請求権の行使期間中にはその要件が満たされなければならない。。。ということらしいデス。

これって、こっそり書いてあったりするので、ご注意くださいね♪

そうなると、通知と公告を兼ねたい場合は、株主総会の開催日を変更するか、原則どおり個別通知をするか、或いは通知公告だけ単独で掲載するか。。。。です。

どれを選ぶかは、会社の事情によって違いますが、そのことも含めて明日完結(ホッ♪)
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新設型再編の株式買取請求 その4

2010年05月25日 | その他会社法関連
新設型再編というのは、新設合併、新設分割、株式移転ですが、新設合併というのはホトンド使われていないようです。私自身も相当昔に2~3件やったことがあるのみ。
そして、新設分割の場合は、そもそも簡易分割だったら株式買取請求権がありません。

そう考えていくと、新設型の再編の場合の株式買取請求というのは、ケースとしては少ないのだと思われます。
そして、買取請求権を行使する可能性がゼロの場合も相当多いのでしょうから、これをマジメに考える意味はあまりないのかも知れませんが、敢えて。。。

株主さんに対して個別に買取請求にかかる通知を発送した場合、株主総会の招集通知のように発信主義ではありません。つまり、買取請求期間のスタートは、株主さんに通知が到達した日なので、人によって、期間の始まる日が違ってしまう可能性があります。

ただ、こういうのって他にもありますよね~。
そうそう!債権者への個別催告と似ているんです。
しかし、ちょっとだけ異なるところがありまして、債権者の異議申述期間は1ヶ月以上必要なだけで、それ以上長く設定することは自由なのですが、買取請求期間の方は、条文上20日(ピッタリ)なんです。ですから、そもそも20日以上の任意の日を会社が設定できるか、という点もギモンです。

債権者への催告と同じように会社が20日以上の期間を設けてオシリを決めて良いなら問題なさそうですけど、これってどうなんでしょ?
以前、企業法務の弁護士さんに質問したところ、「20日以上ならピッタリじゃなくても良しっ!」というお答えを頂いたことがありまして、ワタシ自身はそれをヨリドコロにしています。

次に、満了日の延長についてです。
吸収型の再編の場合、買取請求の期間満了は効力発生の前日ってことに決まっていますよね。ですから、効力発生日の前日が休日の場合でも期間満了日が延びることはないのですが、新設型の場合はどうなんでしょ?これがギモンの2つ目。

実は、吸収型の場合もちょっとギモンなことがあるんです。吸収型の場合、20日というのは効力発生日から逆算することになりますねぇ~。すると、初日が休日だったりすることもあると思うんですけど、それは良いんでしょうか?その前の平日まで遡らなきゃいけないのかなぁ。。。というのも気になっています。

いずれにしても、20日の請求期間を確保しろ~!という趣旨なのか、ぴったり20日の期間にしなさい!ってことが分からないのですよね~。
モヤモヤしませんか???

ってわけで、まだつづく~。。。(^_^;)
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