司法書士のオシゴト

会社にかかわる登記を中心に素朴なギモンにお答えします♪ 

組織再編時の株式買取請求権にかかる通知・公告 その2

2019年11月29日 | その他会社法関連

おはようございます♪

早速前回の続きでございますケド。。。(~_~;)。。。前回のハナシって分かりました???

ワタシ自身、前回の会社法改正の際、当初は「簡易組織再編=株式買取請求権なし=株主への通知不要」。。。と思い込んでおりまして。。。(>_<)
何だかねぇ~。。。分かりにくいったらないのよね =3 (-"-)

ま、とにかく、ちょっとおさらいしてみましょう♪

まず、株主に株式買取請求権がない(株式会社間の)組織再編手続き

1.吸収合併
(1)略式合併の特別支配会社(存続会社又は消滅会社)
(2)簡易合併(存続会社)

2.吸収分割
(1)略式分割の特別支配会社(承継会社又は分割会社)
(2)簡易分割(承継会社)
(3)簡易分割(分割会社)

3.株式交換
(1)略式株式交換の特別支配会社(株式交換完全親会社又は株式交換完全子会社)
(2)簡易株式交換(完全親会社)

4.新設分割
  簡易分割(分割会社)

※ 新設型組織再編の場合、略式組織再編はありません(特別支配会社が存在しえないから)。
また、消滅会社サイドの簡易組織再編があるのは会社分割の場合のみです。

 

このうち、前回の会社法改正(H27.5.1施行)前から株主の株式買取請求権がなかったのは、「2(3)と4」の場合だけでした。
。。。しかし、そもそも特別支配会社に対して株式買取請求権を与えるのは変じゃない???。。。と言われていましたし、株式買取請求権に関しては実務上あれこれ支障(?)や疑問が多かったみたいなのでね。。。「簡易組織再編の場合、株式買取請求権は要らないよね~。。。(~_~;)」という改正に至ったのではないかな??と思います。

 

さて、そんなことで株式買取請求権がなくなったケースも多いのでありますが、これに伴って株式買取請求権にかかる株主への通知も要らなくなったのか???。。。というと。。。そっちは「今まで通り通知が要るモノもある」。。。と??。。。えぇ~っ???(◎_◎;)

通知に関してはですね。。。存続会社サイドの簡易組織再編の場合は要る!!。。。そして、消滅会社サイドの簡易組織再編。。。つまり、改正前から株式買取請求権がなかった吸収分割株式会社の簡易分割と新設分割株式会社の簡易分割の場合には要らない。。。ということになっています。

そして、もともと買取請求権なんて要らないよね。。。と言われていた特別支配会社に対しては、改正の際、通知は不要。。。とされました。

以上をもう一回まとめてみるとこんな感じ。
株式買取請求権のないケースと株主への通知の要否 ↓

1.吸収合併
(1)略式合併の特別支配会社(存続会社、消滅会社) 通知不要
(2)簡易合併(存続会社) 通知必要

2.吸収分割
(1)略式分割の特別支配会社(承継会社、分割会社) 通知不要
(2)簡易分割(承継会社)  通知必要
(3)簡易分割(分割会社) 通知不要

3.株式交換
(1)略式株式交換の特別支配会社(完全親会社、完全子会社) 通知不要
(2)簡易株式交換(完全親会社) 通知必要

4.新設分割
  簡易分割(分割会社) 通知不要

※ 青字: 改正により株主には株式買取請求権がなくなり、株式買取請求権にかかる株主への通知も不要となったもの。
※ 赤字: 改正により株主には株式買取請求権がなくなったが、株式買取請求権にかかる株主への通知は必要とされるもの。
※ 黒字: 従前と同じ。株主には株式買取請求権がなく、株式買取請求権にかかる株主への通知も不要。

いかがでしょう??
それにしてもね~。。。なんでこんなことになっているのか???

次回へ続く~♪

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

組織再編時の株式買取請求権にかかる通知・公告 その1

2019年11月27日 | その他会社法関連

おはようございます♪

本日は、久しぶりに組織再編をテーマにしてみました。
もちろん、難しいハナシじゃないんだけど、今さら「ぇえええ~っ???」な疑問にぶち当たってしまいまして。。。(◎_◎;)
皆さまのご意見も是非お伺いしたいと思っております m(__)m

モノは、株式買取請求権にかかる通知・公告。。。であります(←お題のとおりなんで、お分かりでしょうけど(^^;))

 

今回のハナシの発端は、吸収合併でありました。
ケースとしては、至極単純、かつ、一般的なモノでして。。。完全親会社が完全子会社を合併する。。。というモノ。

子会社である消滅会社は、略式合併の要件を満たしておりますから株主総会決議は採らない。。。と。
一方、親会社である存続会社は、合併差損が出るために「簡易合併」はできず、合併契約を承認する株主総会決議を行うとのことでございました。

以前もオハナシしたかも知れませんが、ワタシが担当させていただく組織再編っていうのは、ほとんどはグループ内の組織再編なんですよね。
事業承継案件で、事業を第三者へ売却するために売却する事業だけを切り分ける会社分割も増えてきてはいますが、会社分割をする時点では第三者は出てきません。

 

でですね。。。組織再編をする場合には、基本的に株主に対して「株式買取請求権」が与えられていますよね。
。。。が、グループ会社間の組織再編に関しては、例えば「外部株主さん」がいたとしても株式買取請求権が行使される。。。ということは、ほとんどない。

もっとも、買取請求権を積極的に行使してもらいたい。。。っていう場合もあったりしますから、絶対行使されない。。。ワケではないですが(~_~;)

 

会社法施行当時は、今回のように完全親子会社間の合併であったとしても、子会社の株主(=合併の相手方でもある完全親会社)に対して株式買取請求権が与えられておりました。
だけど、これから合併しようとしてる相手方の会社が、(普通なら)株式買取請求権を行使するわけないじゃん!!。。。ってことで、前回の会社法の改正(平成27年5月1日施行)では、買取請求権が行使できる株主の範囲が大幅に狭められたのでございます。

 

簡単に言うと。。。会社法施行時において株式買取請求権を有しない。。。とされていたのは、株式会社同士の組織再編の場合、会社分割の分割会社の簡易分割のケースだけだったんですよね。
これが改正されまして、現在は(原則として)組織再編の相手方が特別支配会社(その会社の議決権の10分の9以上を有する株主(会社法468条))の場合や、簡易組織再編の要件に該当する場合には、全てその会社の株主には株式買取請求権はない。。。ということになりました。

この改正によって、株式買取請求権を行使することができる組織再編というのは、ぐぐっと減ったように思います。

 

ところがっ!!

株式買取請求権を行使できるケースは減ったものの、「買取請求権が行使できない」株主に対しては「株式買取請求権にかかる通知不要」というワケではない。。。のよ。。。(◎_◎;)
言い方を変えましょう!
株式買取請求権を行使できない株主に対しても、株式買取請求にかかる通知をしなければならないケースがある。。。。
(ただし、特別支配会社に対しては通知不要。。。(~_~;)。。。。なのデス。)

 

分かります???
何それっ!?。。。って思いません? (←ワタシだけかしら??(^^;))

なかなか複雑。。。というか、誤解を招きやすいですよね~。。。。続きはまた~♪

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

監査役の辞任のハナシ その6

2019年11月25日 | 役員

おはようございます♪

しつこく引き伸ばしておりますが、一応、このお題は今日で終わりにしたいと思います(~_~;)

 

え~。。。本来ならば、ご本人が辞任を拒む理由はなくて辞任届を貰っておけば良かっただけ。。。なんだけど、辞任届の提出をお願いするのを忘れてた。。。(>_<)
という話。。。実は少なくありません。

まぁ、どちらかと言えばご本人は辞任したいと思っているのでしょうし、会社としても、当然親会社を退職したんだから子会社の役員は辞任するに決まってる。。。とは考えているのです。

ただですよ。。。だからと言って、本人の意思表示なしに勝手に辞任届を作ってはマズイし、株主総会に出席していないのに株主総会の席上辞任の意思表示をした。。。というような議事録をしれっと作成するのもやっぱりダメでしょう??

ま、辞任の事情が分からない以上、そういうことが起こらないように、やっぱり本人の自署による「辞任届」をお預かりすることは必要だろうな。。。と思います。
現に、辞任届をお願いしたら、「実は辞任届は貰ってないデス(>_<)」と言われ、辞任を断念したケースは何件かゴザイマス。
会社サンとしては、隠すつもりがあるワケではないけど、結構簡単に考えているみたい。。。(-_-;)

 

。。。となると、本人の意思表示なく退任していただくためには、「株主総会で解任決議をする」か、あるいは「任期満了まで待つ」しかない。。。(-_-;)

でもねぇ~。。。解任するのが手っ取り早いといっても、「解任」と登記するのはイメージがとっても悪いし。。。任期満了まで待てるかどうか。。。は、残りの任期にもよります。
退任はしていないけども、実際には「いない」んでね。。。それはそれで問題はある。。。ということね。
そのため、退任した(はずの)ヒトが取締役で、取締役会の定足数が満たせない。。。取締役会が開催できないよぉ~(ノД`)・゜・。。。。という会社さんもありました。
そもそも、事実上退任したヒトに取締役会の招集通知は出さないでしょうから。。。理論的には、そこですでに取締役会の招集手続の瑕疵がある。。。ということにもなりますし。

(その会社は、幸いなコトに後任者を選任する株主総会を書面決議で行って取締役の分母を増やしまして、任期満了まで耐えておられました(*_*; )

それから、実際には「いない」ので事実上の後任者を選任しないといけないんだけど、監査役であれば増員になってしまいますから「任期の承継」はできません。
増員になる場合、定款に定める役員の員数を超えてしまうから、まず、定款変更をしないといけない。。。という事態になることもございます。
ただし、これが合弁会社だったりすると、株主間で選任できる役員の人数が決まっていたりもしますから、今度は定款変更ができない。。。となることもある。。。(ノД`)・゜・。

 

そんなこんなで、辞任届を貰い忘れただけなのに、結構オオゴトに発展してしまうこともあるんです。

皆さま、ご注意くださいませ m(__)m

 

。。。というワケで、円満辞任の場合については、これくらいで終わりますね。
機会を改めまして、事実上の解任(+本当の解任)についても、そのうち書きたいと思います。

 

ではまた~♪

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

監査役の辞任のハナシ その5

2019年11月21日 | 役員

おはようございます♪

え~と。。。。(-_-;)

監査役の意見陳述権の続きですけども。。。結局、まだ結論は出ていないと思います。
本当は、辞任する監査役ご本人から「辞任についての意見はありません。よって、次回株主総会の招集通知は不要です。」というような記載のある書面をもらって終わりにしたいなぁ~。。。という感じなのですけれども、「次回招集される株主総会が何時になるか分からない状況」においてそれでよいものか??。。。(-_-;)

ただですよ。。。単なる私見ではあるのですケドも、ご本人が「意見はないんで、株主総会の招集通知は要らないです♪」と言っているのなら、それはそれで良いんじゃないの?。。。って気はしています。
ぶっちゃけ、株主さんに対して「ご自分が辞任したのは、こんな状況だったからです」的な文句を直接言う機会を与える。。。ってことなんだろうから、今回みたいなケース(=実質的には株主と本人の事情による辞任)でそこまでコダワル必要ってあるんだろうか???。。。(~_~;)

。。。実際には、まだ「書面決議」の予定の株主総会の実施時期も決まっていないので、もしかすると、適宜、「開催」することになるかも知れませんね。
まぁ、辞任する監査役と揉めているワケじゃないので、トラブルに発展することはないと思います。

実際問題、実務上こういうことを重要視している会社って、滅多にないのでしょうけど、今回の会社さんはIPOという事情を抱えているんでね。。。現在検討中ということです。

ワタシとしても一応の問題提起はいたしましたんで、現時点でやるべきことは終わったかな??。。。と考えております(^^;)

 

。。。というワケでイロイロ悩みは多かったのですけど、辞任のタイミングとしては、監査役の辞任時期と後任監査役の就任時期を一致させることになりました。
ま、実際、辞任する監査役に関しても、親会社を退職されるまでは時間があるようだし、監査役は2人いるとはいえ、やっぱり辞任と就任の間が空くというのは、なんとなくしっくり来ない。。。ってことみたい(~_~;)
。。。ですんで、後任監査役(候補者)を早急に決め株主総会の承認を得て、当該株主総会の終結時(又は書面決議成立時)に監査役を辞任することになりそうです。

辞任する監査役からは、辞任届と監査役選任議案の同意書をもらったようでございます。

 

とりあえず、今回のケースはこんなことになりましたケド、ワタシの中では、「たかが辞任。されど辞任。。。。あなどるべからず!!」的な意識がとても強いデス。

例えばですね。。。今回のように円満退社的なハナシであれば、あんまり気にしなくて良いのですが、後任者を選任するために株主総会の決議が必要になるケースって、多いじゃないですか?
で、その株主総会に辞任する取締役や監査役は出席しないことが多いんですよね。

司法書士としてはですよ!?
株主総会に出席して席上辞任の意思表示をすれば、登記の際に辞任届は不要になり、辞任を証する書面としては株主総会議事録の記載を援用することができて、簡単♪ 。。。ではあるんですケドもね。。。しかし、辞任しようとするヒトが株主総会に出ますかね???。。。ぃや出ないでしょ~。。。
 
しかも、仮にそのヒトと会社の間には何等かのトラブルがあったとしたら、あるいは、株主総会に出席していないのに、間違えて「出席して辞任の意思表示をした」なんていう議事録をつくってしまったら。。。。ぁあ~っ!!!(~_~;)。。。
 
しかし、会社さんとしては、そういう問題意識をもっていなくて、ワタシたち司法書士は会社が言った通りに議事録を作る。。。ということが多いじゃないですか??
さらに困ったことに、実のトコロ、辞任届をもらうのを忘れてて、もはや「辞任届を出してもらうことはできない」というケースもありましてね。。。で、「議事録の記載を援用できる」という知恵を授けてしまった結果、「あら良かった♪。。。そういうことにしておこうっ!!」的な発想をされることもしばしばなんです。
 
まぁ、悪気。。。まではなかったというか(~_~;)。。。なんというか。。。ですが、辞任の理由や経緯は分からないこともありますんでね。。。ワタシは、辞任に関しては、基本的には議事録の記載を援用するということはせず、「辞任届そのもの」を準備していただくことにしています。
 
そうしますとね。。。(-_-;)
「実は辞任届を貰ってなくて、今更本人には頼めない(あるいは頼みたくない)」。。。とか、「今、本人がどこにいるか分からない(>_<)」なんてこともございます。
だったらもうね。。。辞任はあきらめるしかないんです。
 
。。。とすると、今度は新たなモンダイに発展することもあります。
 
続きはまた♪ 
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

監査役の辞任のハナシ その4

2019年11月19日 | 役員

おはようございます♪

監査役選任議案に対する監査役の同意権。。。だの。。。辞任監査役の意見陳述権。。。だの。。。考えたことないよぉぉ~。。。っていう会社も多いのだろうと思うのですけどね。
ただ、まぁ~ 後任者について事実上は同意していて、辞任の理由に関しても特に説明の必要はない。。。のでしたら、事後的に問題は出ないのでしょう。

もっとも、今回の会社さんのように、法令順守していることを積極的に記録に残しておいた方がよい会社にとっては、悩みどころ。。。(-_-;)

で、同意書に関しては貰っておけば済むハナシではあるんだけど、モンダイは「意見陳述権」。
以前も同じようなご相談があったんですが、「辞任後最初に招集される株主総会」って、いつになっちゃうの??来年の定時株主総会??。。。(◎_◎;)。。。ぇえ~っ!!そんなに先なの!?

忘れちゃうかも!?。。。ってこともあるみたいですけど、どちらかというと、辞任したヒトに招集通知を送らないといけない。。。というトコロに支障があるようです。

つまりね。。。今回のように退職に伴って子会社の役員を辞任することについて、意見なんかないのです。
大体、株主と本人の合意はあるんだから。

しかし、そんなに後になって、会社とは縁を切ったヒトに対して招集通知を出す。。。なんかヤダ。。。(-_-;)。。。ということなんでしょう。

 

ま、それはともかく、「辞任後最初の株主総会」が何時になるか分からない。。。ということ自体、「嫌だな~。。。」と思う会社は多いようでして、じゃあ、「後任者を選任する株主総会(=現任監査役が辞任する株主総会)」で意見陳述権を行使することはできないか???。。。という点は、実務上の論点にはなっていたみたいなんです。

結論としては、辞任する株主総会で意見陳述権を行使することは可能。。。であれば、招集通知の発送は不要(=株主総会が招集されることは現任監査役として知っているから)だし、ご本人が「当該株主総会において意見は述べません」と言えば、それで終わり。。。なのですよね(^^;)

なので、以前ご相談のあった会社さんの場合は、辞任する監査役から「意見陳述権を放棄する旨(=意見はありません)」の書面を取り付けておりました。

が、今回は書面決議を予定してましてね。。。むぅ。。。困った。。。(-_-;)

前回ご紹介したとおり、株主総会っていうのは書面決議じゃダメなんですよね。
でもね~。。。例えばですよ。。。開催を予定している株主総会がない ( ;∀;)。。。ってこともありそうじゃないですか?
100%子会社の株主総会は、常に書面決議で実施する会社だって増えているのに、どうするんだろ~。。。???

次回へ続く~♪

コメント (1)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする