司法書士のオシゴト

会社にかかわる登記を中心に素朴なギモンにお答えします♪ 

清算会社の事業 その3

2012年03月30日 | その他会社法関連

おはようございます!

今まで深く考えたことがなかったんですが、しかし。。。この解散時点を境に「できなくなること」「継続してできること」の区別は、実務上、重要な問題です。

そこで、書籍をあれこれ読み直してみました。
特に、解散・清算について、ワタシが大変にお世話になっているのは、「子会社の解散・清算手続の実務(商事法務)」という本です。
これ、会社法施行前のモノなので絶版になっているはずですが、とっても詳しく書かれています。
「普通清算」というのは、さほど大きな論点はなさそうだし、当然といえば当然なんでしょうけど、実務運用について詳細に書かれた書籍は、ワタシの知る限りこれしかありません。

今回も、久しぶりに該当箇所を読んでみましたらね。。。
「会社が解散し清算手続きを開始した以上、定款所定の事業活動を行いえない。。。」(P89)との記述がありました。
この書きぶりからは、一切の例外なく事業活動を行うことができない。。。という感じがしたのです。
けれども、「会社法コンメンタール12(商事法務)p169では、こういうのも。。。⇒「財産換価のため事業譲渡等をなす予定の場合には、事業の減価を防止するため営業を継続することも許されると解されている。」

。。。ということは。。。原則として事業活動を行うことは出来ないけど、清算目的であると認められる相当な理由がある場合には、例外的に事業活動を継続することもできる。。。という感じでしょうか?
ホントはね。。。その「相当な理由ってのが何なのか?」が知りたいんだけど~。。。(-"-)

ま、いずれにしても、「契約期間の途中なんで、きりの良いとこまではやらせてチョーダイッ!」ってのは難しそうです。
そこで、解散前にその契約もグループ会社に移管してもらうことにいたしました。
(「移管」というのは法律用語ではなくて、すごく微妙な表現なんですが、実務上は「ムニャムニャ。。。」という感じでよく使われています。今回は「契約上の地位の譲渡」類似の行為のようですが、事実上は契約を交わすわけではなさそうで、当事者の口頭ベースの合意で実行されるのかしら。。。?と思います^^;)

当初は、売掛金を解散日以前に請求するということでしたが、従業員の方々へのお給料の支払いだとか、外注先からの請求だとか、その事業に関する経費の発生だとか。。。それって、当然、解散日以降に発生するものでしょうから経理上の問題もありそうです。

基本的には、「解散後は前向きな事業を行えない=解散前の事業に関する請求書は来ない・こちらからの請求も発生しない」という前提で、解散日時点の計算書類を確定させ、これを前提に債権者に対して債権申出の催告を行うと考えられているんじゃなかろうか?と思いました。

しかも、事業を遂行していた取締役は退任してしまうワケですから、解散前の事業を継続するのは事実上困難だと考えられますしね~。
ただ、経理的な問題がクリアするならば、解散後にちょっとだけ事業を続けるというのは、絶対ダメってこともないのかな?って気もしまして、またしても、モヤ~ッとしております。税務や会計は実務上どのように運用されているのかも、実際良く分かりませんし。。。

。。。というわけなのですが、実はこの会社さん、数年前に一度解散しておりました。
事情があって会社継続し今日に至っていたんですが、また解散!
(会社継続するのは、休眠解散させられた会社がほとんどだと思います。少なくともワタシは、株主総会決議で解散した会社が会社継続したというケースは初めてでした。)
「2回目ですからね~。。。」
社長サン、苦笑いされていました^^;

。。。で、何だか歯切れの悪いコトになっておりますが、来週からは4月です!
今年の4月は桜も見ごろになりそうですね。お花見も楽しみです♪

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清算会社の事業 その2

2012年03月29日 | その他会社法関連

会社が解散するってことは重大事件ではありますが、ワタシ共が受託する事件は、新聞にデッカク載るような「破産!」だの「会社更生!」のようなショッキングな出来事ではありません。

赤字の場合も黒字の場合も、とにかく予め現在の事業の状況を見つつ、解散前に事業を畳む準備をされます。
ですので、解散時点では、それまで行っていた事業はすでに終わらせていますし、会社によっては債権者への弁済もアラカタ終わらせていて、債権申出の催告をすべき債権者は存在しない。。。というケースも珍しくありません。

逆にいうと、事業が終了する時点以降、かつ、解散するのにちょうど良いタイミング(税務申告時期等)などを考慮されて解散日を決めていらっしゃるようです。
そこで、例の期限付解散ってハナシも出てきていたのでしょう。(←想像ですけど)
株主総会で解散することを決めたケド、進行中の事業を整理して終了させないといけない。。。その猶予期間。。。それが決議から解散日までの期間だ!ってことなんだろうと思います。

そういう状況ですので、今までは「やって良いの?ダメなの?」というようなご質問はなかったんですよねぇ~。

けれども、今回は、「とにかく3月末で解散する!」という期日が先に決まっておりまして、何せ、黒字の会社なんですからね。。。
事業を畳むったって、今までは精力的に事業展開していたのに、業務命令(?)で突然解散させられることになり、かなりバタバタされたことでしょう。

しかしながら、清算株式会社は、清算の目的の範囲内において、清算が結了するまではなお存続するものとみなす(会社法第476条)とされていますから、解散前の事業を行うことはできないはず。。。なんですが、「清算の目的の範囲内」って、厳密にはどういうこと?。。。というモンダイ。

つまりね。。。
解散後、新たに事業を行うことは当然に出来ない、ってことはモチロンですけど、残務整理的に事業を継続するのはどうか?こういうのは「清算の目的の範囲」に含まれないの????というワケです。
しかも、解散したら直ちにどんな内容であれ、事業を行うことができない。。。なのか。。。?可及的速やかに。。。なのか。。。?も、ちょっと気になるところです^^;

実のところ、本当はどうなのか、答えは見つかっていないのですけれども。。。
明日に続く! 

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清算会社の事業 その1

2012年03月28日 | その他会社法関連

3月の終わりに近づきますと、清算案件を受託することが多いような気がします。
清算案件は、1年に何度かご依頼いただきますが、実際、あまりニコニコできるような雰囲気ではありませんよね。

。。。とはいえ、ワタシ共が受託するのは、基本的に普通清算です。
普通清算というのは、赤字でない会社、又は、親会社などの関係者が損を被って他の債権者にはキチンと弁済できる状況の会社さんが行う手続なので、そんなにドロドロしたものではありません。

なので、赤字の会社も黒字の会社もありますが、当事会社は、大体はどこかの会社のグループ会社サンです。
当事会社が営んでいた事業は、第三者に売却する場合もありますし、他のグループ会社に移管する場合もありますし、そもそも、既に休眠状態に入っていた。。。なんてこともあります。

そしてこの時期。。。年度末。。。新たな気持ちで4月を迎えるに当たっては、組織再編や新会社設立と共に解散する会社も出てくるわけです。
あ。。。だけど、考えてみましたら、今年の4月1日も組織再編の案件はありません。。。そういえば去年もそうだったような。。。あれっ?なんでだろ? 同業者の皆さまはいかがですか?ワタシだけかな?^^;

。。。というわけで、今年も3月31日解散の案件を受託いたしました。
この会社サン、赤字でもないのに、親会社サンが解散させることを決定してしまったらしいんですね。。。
親会社の意向には逆らえないのでしょうけど、何だかなぁ~(ーー;)。。。と思いました。
(しかし、ウワサによれば、親会社サンとて親会社の株主サンから要求されたようで。。。株主サンにもお考えがあるんでしょうが、黒字だったらよし!というワケではないのが難しいところですね。)

それで、とりあえずは解散・清算手続きについての打ち合わせをしてまいりました。
そこでの話題なんですが、なんだか微妙だ。。。と思ったことがありましてね。。。それ、清算会社の目的のことなんです。

どういうことかと言うと。。。
この会社サン、ある事業を受託しているそうなんですが、その事業の契約期間の終了が解散日以降になってしまいます。
解散したからと言ったって、契約期間中のお仕事を放り出してしまうわけには行かないですよね。(そりゃそうです。)
「新たな仕事を請けてくるのはダメだとしても、途中のオシゴトを終わらせる」だけならば、良いのじゃないの?というハナシになりまして。

これも、ワタシが根掘り葉掘り聞いて出てきたハナシなわけですが。。。
考えてみれば、その程度なら良いのだろうか?どうなのだろうか?。。。なんて思ってしまいましてねぇ~。。。

皆様いかがお考えでしょうか?
続きはまた明日!

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不思議な機関設計

2012年03月27日 | 株主総会

おはようございます♪
今日は、「へぇぇ~。。。^^;」 と思ったこと、について。
ま、いつもながら、大したハナシではないんです。あまり期待せずお読みくださいまし♪

もう何年も前から色々とご依頼いただいているクライアントさんなのですが、担当換えがありまして、今年からワタクシメが担当することになったんです。
とにかく会社の数が多いモンで、まずは色んなリスト(会社情報だとか、開催日時だとか、議案などなど)をご準備いただき、それを確認してから議事録の作成に入ります(←ご担当者様がドラフトしてくださいますんで、ワタシはチェックするだけです)

会社の種類は、株式会社ばかりでもないんですけどね。。。ま、ほとんどは株式会社でして、ありがたいことに、株式会社の機関設計は、大体が「株主総会+取締役」なんです。しかも、取締役1人。
究極的にスッキリしていますよね。 なので、当然議事録もスッキリ!登記もスッキリ!!!

けれども、全部!というワケにはまいりませんで、数社、不思議な機関設計の会社がございます。
それは。。。「取締役+監査役+会計監査人」なんです。 取締役1人、監査役1人、会計監査人1人(1法人)です。
つまり、資本金5億円以上の大会社。大会社は会計監査人の設置が義務付けられていて、プラス、会計監査人設置会社の場合は、監査範囲を限定しない監査役を設置することが必須ですよね~。
こちらも、法律上強制された必要最低限、究極的にシンプルな大会社(非公開会社)の機関設計となっております。

しかし。。。珍しいでしょぉ~!?
会計監査人設置会社で取締役会が設置されていない会社、初めてです。
(そうそう、近年、監査役会設置会社は非常に少なくなりました。)

。。。でね、議事録をチェックしていて「あれっ?」っと思ったことがありました。
会計監査人設置会社の場合、計算書類は株主総会において、通常、「報告事項」になるものですが(ならない場合もありますが^^;)、この会社は「決議事項」になってます。しかも、その会社サン、昨年、大会社に移行したばっかしだったんで、「あらら。。。間違えてるよ。。。^^;」なぁ~んて思っていたんです。

ですけど、こんな機関設計は初めてなので、条文を確認したところ。。。

(会計監査人設置会社の特則)
第四百三十九条  会計監査人設置会社については、第四百三十六条第三項の承認を受けた計算書類が法令及び定款に従い株式会社の財産及び損益の状況を正しく表示しているものとして法務省令で定める要件に該当する場合には、前条第二項(※計算書類は株主総会の承認を受けなければならないってヤツです)の規定は、適用しない。この場合においては、取締役は、当該計算書類の内容を定時株主総会に報告しなければならない。
 
(計算書類等の監査等)
第四百三十六条  監査役設置会社(監査役の監査の範囲を会計に関するものに限定する旨の定款の定めがある株式会社を含み、会計監査人設置会社を除く。)においては、前条第二項の計算書類及び事業報告並びにこれらの附属明細書は、法務省令で定めるところにより、監査役の監査を受けなければならない。
 会計監査人設置会社においては、次の各号に掲げるものは、法務省令で定めるところにより、当該各号に定める者の監査を受けなければならない。
 前条第二項の計算書類及びその附属明細書 監査役(委員会設置会社にあっては、監査委員会)及び会計監査人
 前条第二項の事業報告及びその附属明細書 監査役(委員会設置会社にあっては、監査委員会)
 取締役会設置会社においては、前条第二項の計算書類及び事業報告並びにこれらの附属明細書(第一項又は前項の規定の適用がある場合にあっては、第一項又は前項の監査を受けたもの)は、取締役会の承認を受けなければならない。


↑ こういうことになっておりました^^;
つまり、会計監査人設置会社であっても、取締役会が設置されていない会社の場合は、会社法第439条の適用を受けないから、会計監査人が適法意見を出していたとしても、計算書類は、株主総会の承認を受けなければならないんですね~。
ま、考えてみれば、取締役会が設置されていない場合は、株主の監視権限が強くなるので、当然といえば当然なのかも知れません。。。が、何だか不思議な感じでした。

。。。というわけで、間違っていたのは、ワタシでした。 「これ、報告事項ですね♪」なんて言わなくて良かった。。。ホッ♪
会社法が施行されて何年も経つというのに、まだまだ勉強不足です。トホホ。。。(~_~;)

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会社はどこへ行った? その2

2012年03月26日 | 商業登記

おはようございます_(_^_)_
今週もどうぞよろしく♪

では早速先週のつづき!

行方不明の有限会社Aを探索すべく、本店移転前の管轄で閉鎖された登記情報を取得してみました。
そして、有限会社A'の登記事項証明書の写しと見比べてみましたら。。。。

なぁ~んだ♪ そういうことか♪

結論から言うと、「有限会社A」と「有限会社A'」は同じ会社だったんです。
何故、これが分からなかったか。。。というと、こういうこと。

有限会社Aは△県□市に本店移転しましたが、その後に登記簿がコンピュータ化されたんです。
通常、管轄外へ本店移転すると、「登記記録に関する事項」は「東京都××区・・・から本店移転」と登記されますが、これが紙の登記簿に登記され、その後にコンピュータへ移記された場合には、ここは「本店移転」ではなく、「平成元年法務省令第15号附則第3項の規定により平成●●年●月●日移記」と登記されます(「平成●●年●月●日」という箇所が実際の移行日で、管轄登記所ごとに異なります。)。

つまり、「本店移転」の記録は「現に効力を有する事項」ではないため、コンピュータには移記されませんで、紙の登記簿を見ないと出てこないのです。
そして、商号変更の事実は、本店移転前の旧本店の登記簿に登記されていましたから、この事実も分からない。

見た目は、まさに△県□市で設立された会社と同じなんです。
しかも、有限会社だと役員の任期がなく、設立後の役員変更もありませんから、役員区も設立時と同じです。(つまり、原因年月日と登記年月日が空欄ってことです。)
注)役員の就任年月日だけは本店移転のときも移記されますので、それだと、他管轄からの本店移転が推定できます。
つまり、管轄外本店移転で役員の登記が移記された場合は、「就任年月日」は登記されますが、「登記年月日」は空欄になるんです。
登記日が空欄になる登記というのは滅多にないんで、こういうところで、管轄外の本店移転の事実が分かったりします。

ですから、今回のようなケースでは、「その管轄で設立された会社」と「他管轄から本店移転してきた会社」、コンピュータ移記後の登記内容は全く同一になるってことなんです。

これはさすがに分からないでしょ~。。。。
ワタシが何の情報もなしにこの登記事項証明書を見たとしたって、当初から△県□市で設立された会社だと思うと思います。

しかし、同一の会社だというのは想像に過ぎないので、会社の方にコンピュータ移行直前の閉鎖登記簿謄本を取得していただくことにいたしました(管轄の法務局に請求しないといけないんで、今となっては面倒ですね。)。
おそらくそこ(商号資本欄の「登記用紙を起こした事由及び年月日」)には、「東京都××区から本店移転」と登記されているはず。
そうなっていれば、有限会社Aと有限会社A'は同一の会社ということが確定します♪

そういえば。。。
5月21日から、会社法人等番号の付番方法が変更されるそうです。
http://www.moj.go.jp/MINJI/minji06_00068.html

管轄外へ本店移転しても番号は同じになりますんで、同一の会社であるかどうかは一目瞭然。
今回のケースも、良く分からない過程があったとしても、少なくとも同じ会社だってことは分かったと思います。
その点では便利になるような気もしますが。。。
だけど、誰でも分かることが増えると、司法書士に聞くことがなくなっちゃいますよねぇ~。

それは良いこと?^^;

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