司法書士のオシゴト

会社にかかわる登記を中心に素朴なギモンにお答えします♪ 

払い込みを証する書面

2009年05月29日 | 商業登記

さて、何となく昨日のつづきです。
新株発行や設立(発起設立)などの場合、現金の払込をするときは、登記の添付書類として、“払い込みがあったことを証する書面” というものを作らなくてはいけません。
(ちなみに、募集設立の場合は、従来どおり株式払込金保管証明書が必要ですよ。ご注意くださいマセ。)

昨日もお話ししたように、銀行発行の証明書が不要になった代わりの書面です。会社法施行直後は、これがどんなものでなければいけないか、ずいぶんと実務が混乱しました。実務上はやっと安定した感がありますが、クライアントさんは、というと、やっぱりよく分からないようで、今でもかなり多くの質問が寄せられております。

具体的には、払い込みを受けた金額、払込の日などを代表取締役が自己証明した用紙に通帳のコピーなどを合綴(2枚をホチキス止めして契印を押します。)します。

表紙をどうやって書くかは、法務省のHPにも載っていますので、ご参照ください。
http://www.moj.go.jp/ONLINE/COMMERCE/11-1.html

問題は、“通帳コピー” です。 例えば当座預金だと通帳がありませんが、どうすれば良いと思いますか?

通帳コピー等には、原則として次の記載があることが必要とされています。
Ⅰ 口座名義
Ⅱ 口座番号
Ⅲ 銀行名(支店の場合は支店名も)
Ⅳ 払込された日付、金額

通帳コピー以外にどんなものがあるかというと、
① 当座勘定照合票(写し)
② インターネットバンキングの帳票をプリントしたもの
③ 銀行発行の取引明細書(写し)
④ 払込金引受証明書(原本)
⑤ 海外送金のお知らせ(写し)

だいたいこんな感じです。
まず、通帳を使う場合は、表紙の裏のページと払込が記帳されたページをコピーしてください。

①当座預金の通帳のようなものです。外国の銀行は通帳がないのが一般なので、これと同じようなものが送られてきます。記載事項は問題ないのですが、1~2週間に1度程度しか発行されないので、登記を急ぐ場合には間に合わないことが多いですね。

②は便利なんですが、口座名が足りなかったり、銀行名が足りなかったりします。そういうときは、①の照合票(ゼンゼン違う時期のものでOK)の口座番号と②の口座番号をつなげることで間接的にすべての事項を証明すれば使えます。

③払込の日の取引の一覧で、銀行にお願いしないといけないのでちょっと面倒ですけど、手数料は安いそうです。

④昔の保管証明書に匹敵するものです。これでしたら、代表取締役の自己証明は不要で単独でいけます。(登記用と会社保存用で2通発行されるので、原本をお使いください。)でも、手続も面倒だし、手数料も同じくらい高額なので、ほとんど使われていません。おススメもいたしません。もったいないですからね。
(過去に使った会社もありました

⑤外国からの送金の明細票です。これも使えます。ただし、英語が混じっていますので、場合によっては訳文が必要になります。

※東京法務局管内の取扱かも知れませんので、実際に②や⑤を使われる際は、事前確認してくださいね。よろしくです。

と、ここまで来ましたが・・・・・・結構長くなっちゃいました。まだあるんですけど? 
・・・・・皆さんお疲れだと思いますので、また来週にまわしましょう。で~は~

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外国通貨による増資

2009年05月28日 | 株式・新株予約権

当事務所では外資系のクライアントさんが非常に多いので、当然ながら増資の際も海外送金を行うことになってしまいます。

以前は、銀行発行の株式取扱保管証明書が必要だったので、ぴったりの額を送金してもらうことがなかなか難しかったんです。つまり、手数料がいくらになるかが送金元で分からないので、送った金額から手数料が差し引かれてしまったり、為替レートの関係で円にする際に多くなったり、少なくなったり。。。。
まあ、足りなければとりあえず日本側で立て替えたりも出来るんですが、多い場合は、別段口座に入るために出金ができないという問題が起こります。

今は、保管証明書の手続がなくなり、会社の口座に直接送金すれば良いので、ずいぶん楽になりました。が、それでもお相手は外国ですから、色々あるんですよ、実は。

先日は、「増資の出資金をドルの口座にドルで受け入れたいんですが」というご相談がありました。そのお金をそのままドルで送金する予定があって、円にしてしまうと、手数料が膨大になるので円に転換したくないということでした。

決議の仕方としては、2通りあります。
①発行価額や増加資本金などをすべてドルで決議してドルで払い込む方法
②発行価額や増加資本金などは円で決議してドルで払い込む方法

最終的にはどうなるかというと、資本金の額は円でしか増やせませんので、払い込みの日(払込期日 OR 払込期間の場合は払い込んだ日)現在の為替レートで円に換算した金額が、増加する資本金の額ということになります。
登記の際は、当日の為替レートとそのレートで円換算した額を資本金の額の計上に関する証明書などに記載すれば良いことになっております。

そんなことやっていいのぉ~?とギモンに思われているかた、ダイジョブですよ~
会社計算規則では、外貨による払込を前提にした規定を置いています。

(募集株式を引き受ける者の募集を行う場合)

会社計算規則第14条  法第二編第二章第八節 の定めるところにより募集株式を引き受ける者の募集を行う場合には、資本金等増加限度額は、第一号及び第二号に掲げる額の合計額から第三号に掲げる額を減じて得た額に株式発行割合(当該募集に際して発行する株式の数を当該募集に際して発行する株式の数及び処分する自己株式の数の合計数で除して得た割合をいう。以下この条において同じ。)を乗じて得た額から第四号に掲げる額を減じて得た額(零未満である場合にあっては、零)とする。
 法第二百八条第一項 の規定により払込みを受けた金銭の額(次のイ又はロに掲げる場合における金銭にあっては、当該イ又はロに定める額)
 外国の通貨をもって金銭の払込みを受けた場合(ロに掲げる場合を除く。) 当該外国の通貨につき法第百九十九条第一項第四号 の期日(同号 の期間を定めた場合にあっては、法第二百八条第一項 の規定により払込みを受けた日)の為替相場に基づき算出された額
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②の外貨で決議することについては、外貨であっても“金額”に変わりないので問題なし!とされてマス。

結局、その会社さんは②の方法を採用されました。①にすると、資本金の額がすごく切りの悪い額になってしまう(可能性が高い)からです。
ただ、②にする場合は、決議した資本金の額以上が払い込まれていなければならないので、為替リスクの関係で、多めに送金する必要があるというデメリットもあります。そして、多めに払い込んだ分を準備金にする場合は、それも決議に盛り込まなければなりませんよね。

それから、払込を証する書面についても外国の銀行は通帳がないので、「どうするのよ!?」というモンダイもありますが、つづきはまたあした。

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帳簿資料保存者の選任

2009年05月27日 | その他会社法関連

昨年の暮れに、裁判所への帳簿資料保存者の選任申請のご依頼をいただきました。
ご承知のとおり、清算手続きは会社法になって、大幅に簡略化されており、この手続もそのうちの一つです。

以前の一般的な解散手続の流れ(税務手続などは除いています)
①株主総会で解散決議、清算人選任決議→②解散公告(3回)、知れたる債権者への債権申出催告→③解散登記等→④裁判所への解散届出→⑤解散時財産目録等の作成、株主総会の承認→⑥⑤を裁判所へ提出→⑦債権の取立て、(弁済禁止期間経過後)債務の弁済→⑧残余財産確定→⑨清算結了の株主総会→⑩清算結了の登記→⑪裁判所へ帳簿資料保存者選任申請

あ~~こうやって書いてみると色々あったんですね~。大変でした。全く。
特に、②の解散公告は今は1回で良くなって、手続費用がかなりお安くなったのではないでしょうか(6万円弱と思います。)。確かにお金ばかりかかって意味がなかったです。ほとんどは3日続けて公告するだけなので、それで債権者が気が付くハズもありません。
裁判所の手続は④、⑥、⑩で、これはすべて必ず行うものだったのですが、今は④⑥は廃止され、⑩は特別な場合だけ行うことになっています。
(書いていませんが、弁済禁止期間中に弁済する場合の弁済許可申請というモノもあります。これは今も変わってません。)

資料等の保存は、原則として清算人が行うことになったので、清算人以外の人が保存者になりたいときだけ、裁判所に選任申請してください、ということです。
ただし、選任申請を行えるのは、清算人が物理的に保存できない場合に限りますと説明されています。例えば、清算人が亡くなった(死亡)とか、外国に行ってしまったという場合なのだそうです。場所がないとか、遠方(国内)であるということは問題にならず、業者に委託する等で解決できるのだとか。実は、これがネックなんですね。

普通清算(赤字でないということ)を行う場合には、親会社の従業員などが清算人になることが非常に多いんです。そうすると、清算事務が終わってから10年間もその人に責任を負わせるのは酷だろう、ということになるわけです。けれども、その事情は裁判所が説明するところの「物理的に不可能な状況」には該当しないようなので、皆、冒険をせずいるということのようです。

当事務所にも以前何度か相談事例もありましたが、皆さん断念されたので、今回が改正後初のケースでした。今回は、清算人だった方が、親会社を退職するので、さすがに関係のなくなる人に保存者のままでいてくださいとは言えないので....というケースでした。

保存候補者が、直接の資本関係のない会社だったため、裁判所とのやり取りを何回も重ね、4ヶ月がかりでやっと終了です。おかげ様で、申立どおりに選任していただきました。
私個人の意見としては、何故それほどに物理的状況にこだわるのかが良く分かりません。裁判所の手続の簡略化なのかも知れませんが、ある程度自由に決められてもいいのでは?と思います。(裁判所の方、怒らないでください) 

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株券の印紙税

2009年05月25日 | いろいろ
株券発行会社も大分減って来ましたが、たまには株券発行会社がマジメに株式譲渡の手続を行うこともあります。

株券発行会社っていっても、普通は株券不所持にしていて、株主さんが株券を持っていることはマレですので、株式譲渡をするためには、まず株券を発行することから始めます。

株券の交付は、株式譲渡の効力要件ですから、I社も株券を発行することにしました。株券を発行する際は、印紙税を納めなければなりませんが、各株券に貼付する収入印紙の額はいくらになると思いますか?

印紙税の額は、株券の額に従って定められていますが、“株券の額”っていうのが、そもそも問題になります。額面株式があった時代は、額面×株式数で計算すれば良かったのですが・・・。

具体的には次のように計算します。
①株式の発行価額があるときは、発行価額×(株券に表彰された)株式数=株券の額
②発行価額がないときは、(資本金+資本準備金)÷発行済株式総数=1株の金額、1株の金額×株式数=株券の額

じゃあ、今回は①なのか②なのか?
実は私もよく分からなくて、①②のことだけをI社にお伝えしてしまったんです。そうしたら、案の定、「株式の発行価額は、合併なんかもあって、一律じゃあないんですが、どうしたら良いんでしょうか?」と突っ込まれてしまいました。ん~、確かにツメが甘かったです。すみませんでした。

というわけで、税務署に確認したところ、増資新株を発行した直後に株券を発行する場合は①、それ以外は②を使うことになるのだそうです。

ためになりました?
まあ、税務署に訊けばすぐに教えてくれるんですけど、訊かなきゃ分からない話ですよね?半ば自己満足の世界ですが、こんなこともありますよ~というお話しでした。
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消えた?登記記録

2009年05月22日 | いろいろ

以前、あるクライアントさんから
「先生!うちの会社の登記簿の一部がなくなってるんですけど、どういうことですか」 というご相談を受けました。

何のことをおっしゃっているのか分からず、昔の謄本を確認しながら、具体的なご事情を訊いたところ、「な~んだ。」と納得です。
登記記録はなくなったのではなく、閉鎖記録に移動しただけだったんです。

紙登記簿の時代は、登記用紙の差換(例えば、目的変更した場合には従前の目的欄用紙を閉鎖して、変更後の目的欄用紙に差換)をしていたので、10枚を超えるような謄本が出てくることはあまりなかったのですが、データに移行してからは物理的な用紙というものがないので、どんどんと記録が増えていってしまいます。

そこで、抹消された事項など(例えば、退任した役員や変更前の目的)は、3年経ったら閉鎖記録の方へデータを移行することになっています。
というわけで、今回の会社さんの登記記録も閉鎖記録の方に移っただけなので、「閉鎖事項証明書を取れば載っていますよ」 とお伝えいたしました。

詳しくはコチラ
商業登記規則第30条  登記事項証明書の記載事項は、次の各号の区分に応じ、それぞれ当該各号に掲げる事項(第二号及び第三号の場合にあつては、法第百三十三条第二項 の規定による登記の更正により抹消する記号を記録された登記事項及びその登記により抹消する記号を記録された登記事項を除く。)とする。

 現在事項証明書 現に効力を有する登記事項、会社成立の年月日、取締役、会計参与、監査役、代表取締役、特別取締役、委員、執行役、代表執行役及び会計監査人の就任の年月日並びに会社の商号及び本店の登記の変更に係る事項で現に効力を有するものの直前のもの
 履歴事項証明書 前号の事項、当該証明書の交付の請求があつた日(以下「請求日」という。)の三年前の日の属する年の一月一日(以下「基準日」という。)から請求日までの間に抹消する記号を記録された登記事項及び基準日から請求日までの間に登記された事項で現に効力を有しないもの
 閉鎖事項証明書 閉鎖した登記記録に記録されている事項
 代表者事項証明書 会社の代表者の代表権に関する登記事項で現に効力を有するもの
 
貴社でも、“謄本を取ったら突然枚数が減っていた”ってこと、ありませんか?
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