司法書士のオシゴト

会社にかかわる登記を中心に素朴なギモンにお答えします♪ 

決議したことを証する書面(訂正)

2009年12月28日 | 商業登記

とうとう仕事納めです。
まだだよ~。。。という方、スミマセン。
司法書士の事務所は、大体が法務局とともにお休みをすると思います。私が以前勤めていた事務所は、御用納めの翌日が大掃除でしたが、今の事務所は御用納めの日に年末のオシゴトを終えます。

というわけで、このブログも明日から年末年始のお休みをいただきますね。来年もよろしくお願いいたします。

さて、今日は一点訂正があります。最後の日になって大変申し訳ありません。
http://blog.goo.ne.jp/chararineko/e/1c16cff2bbdfc8e2fd56152bac412b93

↑この記事です。

実は、先日こんなご相談があり、念のため法務局に照会してきたんです。
「設立時取締役が代表取締役を選定した書面(代表取締役選定決議書)には、設立時取締役全員の記名押印(又はサイン)が必要でしょうか?」というものです。
一部外国在住の方がいるため、サインをもらっていると登記の希望日に間に合わなくなる可能性があるのだそうです。

代表取締役の選定決議書には、通常、設立時取締役全員の記名押印をしていただいているので、念のため確認をしました。
結論から言うと、「過半数の一致があったことが証明される必要があるのだから、少なくとも過半数の設立時取締役の記名押印を要する。」として運用されているそうなんです。

理論的には、法定された書面ではないので、記名押印義務は課されないけれども、「証する書面」なのだから、登記の場面では記名押印が必要なんですって。
私は記名押印義務が課されない書面=記名押印は強制されない と理解していたんですが、間違っていました。 お騒がせしてスミマセンでした m(__)m

法務局の方がおっしゃるには、株主総会議事録と書面決議の場合の取締役会議事録は例外的な取り扱いで、「過半数の一致を証する書面」には、原則的には記名押印が必要とのことです。従って、10月20日の記事は訂正しました。ご了承ください。

お詫びして1年を終えることになってしまいましたが、いつもお読みいただいてありがとうございました。これに懲りずに来年もよろしくお願いいたします。どうぞ良いお年をお迎えください。 

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添付書類の原本還付 その2

2009年12月25日 | 商業登記

メリークリスマス!昨日は予想に反してチーズフォンデュをいただきました。何かクリスマスっぽいでしょ!?ティファールの鍋、食卓用ガスコンロ、ワインが開けられず代わりに牛乳、ニンニクは在庫切れでしたけども。
おいしかったですよ。とっても。。。夜11時の食事(笑)。

さて、と、昨日の続きですね。
原本還付は、原則として会社に保存する義務がある書類について認められています。例えば、議事録の原本というのは1通しかないのですが、これ自体は会社に保存しなければなりません。登記所に提出すると会社に原本がなくなってしまいますから、写しを提出すれば良いことになっているワケです。

委任状とか印鑑証明書などは、登記所に提出するために準備する書面ですから、本来は原本還付するべきではありません。
でも、商業登記の場合、そのへんの線引きはあまり厳しくありませんから、実際はほぼどんな書類でも原本還付できてしまいます。ワタシは、できるだけ趣旨に沿った取り扱いをするように、クライアントさんにもお願いしていますけど、色々お考えもあるようですね。
ちなみに、不動産登記は厳密に解されていて、原本還付できない書類も結構あります。

原本還付をする場合は、原則として謄本を作ります。例えば、議事録であれば全部のページをコピーして提出します。
ただ、特に取締役会議事録だと、会社の機密事項もありますよね。さらに全部だと紙の枚数も大量になることもあります。そこで、議事録に関しては、登記に必要な部分だけをコピーして抄本の形で提出することが認められています。

必要な部分というのは、議案だけではなくて、基本的な議事録の記載事項(日時、場所、作成日、取締役の記名押印等)プラス登記に関係する議案内容です。
報告事項や登記に関係ない決議事項(およびこれに関する資料等の別紙)を除くと考えていただければ良いと思います。

でも、それじゃあ足りない場合もあるようで。。。。不要な部分が必要な議案と同じページに記載してあったら、それも写ってしまいますから、「それはイヤダ」とおっしゃる会社さんもいます。

そこで、こんな方法も認められています。
必要な部分だけを記載した抄本を作る方法です。コピーをするのではなく、不要な議案などは、「(省略)」と書くのです。これであれば、見せたくない部分は全く載らないので、安心でしょう? まあ、作ることが面倒なので、ワタシも強いご希望がある場合しかご案内しないんですけどね。。。一応こういうこともできます。
ただし、謄本でなく抄本で良い、とされているだけですから、還付手続の際は原本を見せることが必要です。

では、抄本そのものを原本とすることができるでしょうか?これはNGです。あくまでも原本との照合が必要とされているので、抄本だけ見せるのは不可とされています。
登記所によっては、それでもやってくれるようですが、あまりお勧めしません。

登記法の総則部分って、受験生の頃はものすごくつまんないと思っていましたが、実務ではとっても重要なんです。やっと面白味を感じるようになりました。

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添付書類の原本還付 その1

2009年12月24日 | 商業登記

今日はクリスマスイブ。 皆さんは、何か楽しいイベントを企画されていらっしゃいますか?
我が家では、たぶん、鶏肉を食べるくらいでしょう。。。

ただしっ!鶏肉を食べるときは要注意。姉猫チャラは、この世で一番鶏肉が好きなんです(訊いてみたことはないんですけどね~(^_^.) )
先日も、茶碗蒸しの具に鶏肉が入っているのを目ざとく見つけ、盗み食いをしようとして器ごとひっくり返しちゃいました。器は粉々、具は飛び散り、大変な騒ぎでございました。それでも彼女、鶏肉への未練はたらたらで、訴えるような目でワタシを見つめ続けるものですから、バカはワタシは結局鶏肉を差し上げてしまったのでした。

というわけで、今年もあとわずか、このブログもおかげ様で、何とか年末までは続けられそうです。 日増しに寒くなってきましたので、身体に注意してがんばりましょう!

さて、今日は原本還付のオハナシです。(同業者の方にはツマラナイですね。すみません。)
たまに、「議事録は原本じゃないとダメですか?」というご質問を受けます。 ワタシとしては、「そんなことあったりまえなのにぃ~。。。」と思うのですが、一般的にはそうでもないようですね。

何でそう思ってしまうのかな?。。。と考えますと、ちょっと思い当たるフシが。会社さんが銀行などへ議事録を提出する際は、原本証明をします。原本証明というのは(ちゃんとした定義があるわけではないのでしょうが)、コピーに「原本と相違ありません。」と書いて会社の代表印を押すことのようです。原本そのものを見せる必要はないんです。

これに比べ、登記の添付書類の原本還付をする際は、必ず原本が必要です。原本と写しを登記所の方が見比べて、同じであることを確認するからです。そのため、添付書類を提出する際は原本を持参しなければいけません。
原本証明と原本還付、ちょっと違いますからご注意くださいね。

ただ、登記でも、原本証明をする書面があります。たとえば定款です。原始定款(会社設立のときに作るヤツ)は、公証人の認証があるので、通常の原本還付の手続きをします。が、株主総会の決議で定款変更をすると、原始定款は現行定款(提出時点での定款内容)ではなくなってしまいます。
そのため、一般的には、会社が現在の定款内容を記載した書面を作り、自己証明する形で提出することになるんです。これ、原本証明と呼んでいると思います。ですが、「定款」という原本(書面)があるのではなく、「定款の内容が間違っていません」と会社が証明するので、原本を提出せずに写しだけを見せる「原本証明」とはちょっと違います。

明日は、原本還付の仕方について。もうちょっとお付き合いください。 

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株式上場の兆候 その2

2009年12月22日 | いろいろ

株式上場のためには、定款変更が必須です。「て・に・を・は」にいたるまで、詳細かつ膨大な定款変更を行う会社がほとんどだと思います。
ただし、それは1度にまとめるのではなく、何回か(2~4回くらいでしょうか?)に分けて行っているようです。

株式上場特有の定款変更というとこんな感じです。

1.目的 詳細な見直しをします。事業自体を変えるのではなく、表現を整えます。
2.機関設計 監査役会や会計監査人を設けます。
3.公告方法 官報から日刊新聞又は電子公告に掲載する方法に変更します。
4.譲渡制限規定 譲渡制限を廃止して、公開会社に変更します。
5.単元株式 株価の調整のために単元株式にする場合もあります。
6.株主名簿管理人 株主名簿管理人を置きます。上場会社では必須です。
7.株式取扱規定 今までなかった場合は、新設します。
8.参考書類等のみなし開示 インターネットで開示することによって、参考書類等の記載事項を省略することができます。
9.監査役会 監査役会の設置に伴い、必要な規定を設けます。
10.会計監査人 会計監査人の設置に伴い、必要な規定を設けます。
11.取締役等の責任免除 取締役会による責任免除や、社外取締役等の責任限定に関する規定を設けます。
12.剰余金の配当等の決定機関 剰余金の配当等を取締役会で決定できるための規定を設けます。この場合は、取締役の任期を1年に短縮します。

どうですか? これだけでも結構ありますよね。 
変更事項のうち、通常、一番最後になるのが株式譲渡制限規定の廃止です。これをするときは、本当に上場が近いと思いますよ。 

そして、わりと早く変更されるのは、株主名簿管理人かな。。と思います。株主名簿管理人は、信託銀行か、○○証券代行です。定款変更するだけではなく、契約の締結も必要ですし、上場準備には欠かせない存在のようで、早くから設置される会社さんが多いです。

ご質問のあった出資先の会社では、株式併合と単元株式の設定をされていました。株式併合の比率も結構高かったのに、単元株式まで設定しておりました。

単元株式は、1株あたりの株価が低い会社が1取引単位の株価を引き上げたり、株主総会対策などで導入する手法です。単元未満株式には議決権がありませんから、招集通知先も減ります。そして、株主が少なければ総会の進行も楽ですし、会場の手配もし易いなどのメリットが多くなります。

非上場の会社でも、単元株式を設定する会社もありますが、これほど大胆に実行するからには、それ相当の目的が潜んでいると感じられました。いうわけで、「この会社さんは、どうも株式上場の準備をしているような気がします。。。」とお答えしました。

よく、「登記簿を読む」と言いますが、文字通りの意味ではなく、登記された経緯を見て何が起こったか推測するということです。
私達のお仕事には欠かせないことですが、さて、今回のワタシの推測は正しかったでしょうか? 

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株式上場の兆候 その1

2009年12月21日 | いろいろ

先日、クライアントさんが事務所に来られた際、こんな話がありました。

出資先の会社さんが株式を上場しようとしている。。。というウワサを聞いたのだそうです。

普通だと、自分が出資している会社の株式が上場されれば嬉しいですよね♪ 株式の価格がググ~ッ!っと上がることがほとんどですから、株を売れば大儲けできるかもしれません。巷ではこの手の詐欺が流行っていることからしても、新規上場株式は儲かるって、皆思っているのでしょう。

たまに、コンサルティング会社なんかでは、報酬を新株予約権などで貰うことがあるようです。自分の手助けで株式上場できれば沢山の報酬が貰え、失敗すればそれなり。。。業績連動型の報酬みたいなものですね。
会社にとっても、上場前は金銭的に苦しいので、株式とかで代替できたほうが嬉しいってことでしょう。

ところが、今回は色々ご事情があるらしく、この会社さんは出資先の会社が上場することを好ましいとは思っていないみたいなんです。
そこで、「株式を上場する兆候としては、どんなことがあるのでしょうか?」とご質問を受けました。

株式を上場するまでには、段階を踏んで、いくつかのことを行います。
最終的に株式が上場される際は、もちろん、株主さんにもお知らせしますし、証券会社も公に発表しますから明確に分かります。でも、上場過程では公開されないので、会社が説明を行わなければ株主さんには分かりません。(上場できるかどうか定かではない時に予定を知らせても、意味ないですから。。。)

ですが、株式上場の時期が近づきますと、それらしい兆候が現れてきます。①定款変更や②新株予約権の発行、③第三者に対する増資などです。

③は、株式上場でなくても行うものですが、引き受ける人数が多い場合は上場準備であることが多いです。上場のためにはそれなりに資金が必要になりますから、第三者の出資を求めるワケです。出資者サイドは、株式が上場されれば株価が上昇しますから、それを見込んで先行投資するんですよね。そして、上場が近い場合は、発行価額もずいぶん高くなります。

②は、上場が近いかどうかまでは分かりませんが、なんとなくそんな雰囲気が漂ってきますよね~。そもそも新株予約権は、発行時の価格と行使時の価格の差額がないとメリットがありませんから、大体は株式上場を睨んでいることが多いと思います。行使条件とか、行使期間が株式上場に絡んでいたりすれば、会社としてはそのつもり。。。ってことが明らかです。

①は明日に回しますね。

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