司法書士のオシゴト

会社にかかわる登記を中心に素朴なギモンにお答えします♪ 

転換社債型新株予約権付社債の新株予約権の行使 その5

2011年07月29日 | 商業登記

今日で7月のオシゴトも終わりです。
ココ最近のワタシのオシゴトの流行は、合弁会社の設立でした。
8月1日には1つ登記申請の予定で、今日もバタバタします(たぶんね^^;)。
無事に登記が終わりましたら、これもネタにさせてもらおうと思っております。

。。。で、今日は新株予約権付社債の続き(最終回!)です。

会社法施行後に発行された新株予約権については、社債が現物出資される場合、その現物出資財産の価額についての証明書類が登記の添付書類になります。

個人的には、「社債が発行されてて、社債の払込みも済んでいるんだから、証明書なんて要らないじゃん!」と思うのですが、たぶん、例外を設けるのは大変だってことなんでしょう。 どういうモノであっても、新株予約権の行使の際に現物出資される場合は、一律に証明書を付けることになっております。

ここで、やっと今回のハナシに戻ります。
「そうだった!!現物出資財産の証明書ってハナシがあったっけ。。。えっと。。。。なんだっけ?」
アタフタしました^^;

結局ですね。。。
現物出資の証明書は添付しなくてはいけないのですけど、今って、色々な例外があるじゃないですか?
例えば、発行株式数が発行済株式数の10分の1以下であれば証明書は要らないとか、現物出資財産の価額が500万円以下の場合は証明書が要らないとか、金銭債権の場合はその存在を証明する会計帳簿を添付すれば良いとか。。。

社債を現物出資する場合にも、これ自体は同じことでありまして、まぁ、それほど大変なことにはならなさそうだな。。。と思いつつ、もうちょっと解説本を読みましたら、現物出資といっても、新株予約権の場合、その財産の価額は新株予約権1個当たりで考えれば良いそうなんです。

つまり、新株予約権1個ごとに行使によって出資される現物出資財産の額が対象になるということ。
例えば、新株予約権付社債の場合は、「社債の金額=新株予約権1個あたりの行使価額」とされるのが通常で、新株予約権1個の行使で発行される株式(自己株式でも良いのですけど、とりあえず新株ということで)の数が発行済株式の10分の1以下であれば、現物出資の証明書は不要となるんです。
そうすると、1度に10個の新株予約権を行使して、合計で発行済株式総数の10分の1を超えてしまったとしても、新株予約権1個単位ならば超えないってことでしたらば証明書は不要。

では、株式は何株発行されるかというと、普通は、「社債の金額÷行使価額」 としていると思います。
仮に社債金額1億円で、行使価額が5万円とすると、発行株式数は2000株ですから、発行済株式総数が2万株以上であれば証明書は不要という計算ですよね。

絶対とまでは言えませんが、新株予約権1個を行使して発行済株式総数の10分の1を超える株式が発行されるってことは、ちょっと考えにくい。。。。ってことは、実際に現物出資財産の証明書を添付しなければならないケースはほぼない、という結論になるのだろうと思います。

今回も、計算してみましたら、問題なく10分の1以下になりました。
これが、1回の新株予約権の行使によって発行される株式の合計数とか言われたら危なかったですけど。。。

ってことで、今回の登記の添付書類はこうなりました↓

①新株予約権の行使請求書
②資本準備金の額を決議した取締役会議事録
③資本金の額の計上に関する証明書

ちなみに、今回①の請求書はワタシが文案を作ったのですが、書式例がヒジョーに少なくって苦労しました。

結果だけ見ると、「な~んだ。。。普通~。。。。」と思えるかも知れませんが、きっとまたすっかり忘れてアタフタしそうですからね。。。
頑張れ!忘れるな!ワタシ! ! ^^;

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転換社債型新株予約権付社債の新株予約権の行使 その4

2011年07月28日 | 商業登記

おはようございます♪
昨日は、何やら中途半端なところでハナシが中断してしまい、すみませんでした_(_^_)_

さて、では早速つづきです!

いわゆる「6ヶ月内の登記」で何を追加したのか、と言いますと、「金銭以外の財産を各新株予約権の行使に際して出資する旨並びに内容及び価額」です。

それまでは、代用払込については登記事項とはされていなかったので、社債を現金に代えて出資できることは、登記上は判明しませんでした。それって、さほど重要な事柄ではなかったからかも知れませんが、そのために、発行時にその旨が決議されていることを証明する必要があって、取締役会議事録等が添付書類になっていたんです。

現在も、新株予約権の行使によって増加する資本金や準備金の額は登記事項ではありませんから、資本準備金の定めがある場合は議事録を添付する取り扱いですが、考え方としてはこれと同じ。

しかし、行使の際に現物出資する場合は、それを予め決めておき、さらにそのことを登記することになりましたから、会社法施行前に発行された新株予約権付社債の場合、現在は議事録の添付は不要です。(←登記上明らかなので)

次に、現物出資の証明書。

会社法施行前に新株予約権付社債を発行したときは、当然、旧商法に従っていたわけですから、行使の際に社債を現物出資するという考え方ではなかったんですよね。だから、現物出資の証明書なんてモノは必要ありませんでした。
しかし、その新株予約権付社債も、会社法下の新株予約権と同じってことになってしまいましたので、現物出資と考えることはおんなじ。

だけど、発行時は現物出資という考え方をしていなかったのだから、法律の改正によって突然、「現物出資だから検査役の調査を受けなさい!!」というのは酷なハナシ(←これは、ワタシの勝手な想像です)。そこで、現物出資ではあるのだけれども、特別に「検査役の調査は受けなくて宜しい!」ってことにしたようなんですよね。。。。というのが、整備法第103条第4項の規定です。

。。。というわけで、ちょいとハナシが重複しましたが、会社法施行前の新株予約権付社債に関しては、基本的に「現在の添付書類(ただし、現物出資に関する証明書は不要」となっています。
だけど、会社法施行後の新株予約権付社債だったら、そうも言っていられませんよね。
どうしましょ!?

。。。。ってことで、つづきはまた明日。

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転換社債型新株予約権付社債の新株予約権の行使 その3

2011年07月27日 | 商業登記

本日もどうぞよろしくお願いいたしますね♪

新株予約権付社債については、(主に発行の際)色々と大変なことがあったのですけれども、時の経過と共に記憶がかな~り薄れているような気がします。 すっかり忘れてしまわないうちに、ブログに書かなきゃ! といつも思っているのですが、あれって、ナカナカにヘビーな内容なので(←ワタシにとって)、グズグズしています。ヤバイヤバイ。。。

さて、では旧商法下で発行された新株予約権付社債の行使の際の添付書面についてですが。。。。

まず、商法の時代の新株予約権付社債の行使の添付書類はこのようになっておりました↓

①新株予約権行使請求書の提出を証する書面
 新株予約権者の行使請求書とか、金融機関が申込みの取り扱いをした証明書などです。

②代用払込があったものとする旨の決議があったことを証する書面
 代用払込とは、つまり、新株予約権が行使された場合に、現金の払込に代えて社債を出資することです。
 以前は、社債を現物出資するという考え方ではなかったし、代用払込に関しては登記事項ではなかったため、行使の際には「代用払込ができる」ことを証明するために取締役会議事録などを添付することとされていました。

③取締役会議事録
 払込剰余金(増加する資本準備金の額)の定めを確認するために添付しておりました。


次に、現在の添付書類はこちら↓

①同上
②現物出資の証明書(検査役の調査書、税理士等の証明書など)
③同上
④資本金の額の計上に関する証明書

そして、これが会社法施行前に発行された新株予約権付社債の場合はどういうことになるか。

注) 実は。。。何か色んな記憶が混ざってしまって、あまり自信がないんですけど(ちょっと確認したところ、思ってたことと違うところなんかが出てきてしまい、アセッてます^^;)、たぶん大丈夫だろうと思います。
もし、違ってたら、どうぞ指摘してくださいマセ。

会社法施行前に発行された新株予約権付社債というモノは、基本的に、現在の新株予約権付社債と同じであるわけです(整備法103条1項)。けれども、施行前とは若干考え方が変わった部分もあり、さらに、登記事項も若干変わっていますから、ここが面倒臭いトコロ。

まず一つ目は6ヶ月内の登記ってヤツです。
転換社債型新株予約権付社債は、新株予約権を行使するときには必ず社債を出資する、ってトコロはおんなじ。けれども、「社債を出資することで現金出資の代わりに出来ますよ」と、「社債を現物出資しますよ」という理論構成が変わってしまい、これに伴って登記事項も変わりました。そのため、新たに登場した登記事項を付け加える登記を会社法施行後6ヶ月内にしなければならない、ってことになったのですよね~♪

。。。というわけで、かなり途中ですが、明日へ続くっ!

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転換社債型新株予約権付社債の新株予約権の行使 その2

2011年07月26日 | 商業登記

おはようございます♪
では、早速昨日のつづきです。

新株予約権付社債というのは商法の時代に新設されたもので、会社法でも同様に発行することができますが、会社法施行の前後では取り扱いが若干異なっています。
一方、旧商法下で発行された転換社債や新株引受権付社債については、以前もチョピット紹介したように、法律の適用は従前のとおりとされています。したがって、登記も当時の商業登記法の規定に従って行うことになるんですよね。

旧商法下で発行された転換社債型新株予約権付社債の新株予約権の行使の場合、「社債全額の償還に代えて新株予約権の行使価額の払込みがあったものとする」と構成されていました。
会社法下においては、「社債を現物出資するもの」と構成されています。

このことによって、登記事項にも影響がありまして、「金銭以外の財産を当該新株予約権の行使に際してする出資の目的とする旨ならびに出資の目的とする財産の内容及び価額」が新たに登記事項に加わりました。

そして、旧商法下で発行された転換社債型新株予約権付社債に関しては、この登記事項が登記されていなかったので、いわゆる「6ヶ月内の登記」が義務付けられたわけです。
もう、ずいぶん前のことのようでもあり、つい最近のことのようでもあり。。。。とにかく、クライアントさんに説明するのも、漏れがないかどうか確認するのも大わらわ。

普通の新株予約権も「6ヶ月内の登記」が必要でしたが、新株予約権付社債に関しては数が少ないためか、どういう内容で登記するのかってことを法務局が把握していなかったりしましてね。。。^^;

そんなこんなで、会社法施行前に発行された新株予約権付社債の新株予約権が行使されました。
けれども、ここでも、会社法下で発行されたモノとは少し異なっています。それは。。。。

転換社債型新株予約権というのは、行使の際に社債が現物出資されるって構成に変わったのですが、現物出資についての検査役の調査に関する規定は適用除外になっているんです(整備法第103条)。

現物出資というと、かなり使い勝手が良くなっていますよね。
原則は検査役の調査が必要ですが、例外がいくつもありまして(会社法第284条第9項)、例えば、弁済期が到来した金銭債権の場合、市場価額のある株式の場合、専門家の証明書が提出された場合、発行する株式が発行済株式総数の10分の1の場合、財産の価額が500万円以下の場合などです。 検査役の調査が要らない代わりに、何らかの証明書を発行しなければいけないケースもありますけど、でも、検査役の調査と比べれば、何と簡単なことか!

しかし、適用除外ということは、こういう状況は全く考慮する必要がなく、原則だろうが例外だろうが関係なし!
登記の際も、当然のことながら、現物出資に関する書面は一切添付する必要はありません。

つまり、理論上は現物出資へと構成が変わったものの、事実上は従前の取り扱いは変わってないようなものでした。
だから、「あ~良かった♪」ってことで、行使の登記を終えたわけですよ。

ちなみに、その他の添付書類なんかも一応ご紹介したほうが良いかも知れませんね。
じゃあ、また明日に ♪

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転換社債型新株予約権付社債の新株予約権の行使 その1

2011年07月25日 | 商業登記

今日は、備忘録シリーズ(?)です ^^;

先日、クライアントさんが事務所に打ち合わせにいらっしゃいました。
つい先日お目にかかった際に、チョットだけ予告されてはいたのですが、「詳しいことはまた後日」ってことで、ドキドキ。。。。

これ、新株予約権付社債の新株予約権の行使ことでした。
昨年、新株予約権付社債を発行いたしましてね。。。
行使期間がわりと短いモノでしたし、最初から行使すること自体は決まっていたようなモノでしたけれども、実は、新株予約権付社債の新株予約権の行使っていうのは、会社法になってから初めてのこと。
今後もそれほど出会うケースではなさそうな気がしますので、忘れないうちに、ココに書き留めておかなくちゃ。。。と思った次第です。

確か去年の発行のときにも、「えっと。。。。行使のときは。。。フムフム。。。オッケ~♪」 などと思っていた記憶があるんですけどね~。
ザルの頭ではまるで何も。。。あれっ何だっけ??? はぁ~。。。

会社法になって初めて。。。と言いましたが、実は全くの初めてではありません。
会社法になってから、行使のケースはありました。
けれども、それは旧法の新株予約権付社債でしたので、現在とは少し異なっています。

。。。というわけで、商法の時代に発行された新株予約権付社債というのもまだ残っている可能性もありますので、そっちもご紹介してみましょうねぇ~。

新株予約権付社債というのは、その昔の、「転換社債」または「非分離型新株引受権付社債」と呼ばれていたものです。
新株予約権が創設された時に、整理統合されております。
さらにもう一つ、「分離型新株引受権付社債」ってやつもありましたが、これは社債と新株予約権を同時並行的に発行するという整理がされました。

つまり、新株予約権付社債と言っても、昔の転換社債のようなモノと非分離型新株引受権付社債のようなモノがあるわけです。
この考え方に関しては、現在も同じです。
そのため、どちらの性質を持つものであるかを分かりやすくするために、実務上、「転換社債型(または非分離新株引受権付社債型)新株予約権付社債」などという名称を付けたり呼んだりしているわけです。

では、それってどういう風に違うのか?

どちらも、社債と新株予約権を分離して譲渡や質入れをすることはできません。
そして、転換社債型は、新株予約権を行使するときに、必ず社債が現物出資されます。
非分離新株引受権付社債型は、新株引受権の行使の際に社債以外の財産を出資しますが、「社債を出資してもOK」とすることもできます。

ちなみに、分離型新株引受権付社債というのはどういうモノだったか、といいますと、社債部分と新株引受権部分を分離して譲渡・質入れできるものでした。新株引受権を行使したからといって社債が消滅するわけではなく、社債を残して新株引受権を行使することもできるし、社債または新株引受権いずれか一方を他人に譲渡することもできるというモノでした。
ですから、昔は分離型新株引受権付社債を利用した「擬似ストックオプション」なるものが発行されていましたよね~。
例えば、証券会社が社債を引き受けまして、新株引受権だけを取締役に譲渡する。。。というように使います。
ま、今は登記上は単なる新株予約権として登記されますので、見た目では分からないかな?と思います。

では、とりあえず本日はここまでにいたします^^;

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