司法書士のオシゴト

会社にかかわる登記を中心に素朴なギモンにお答えします♪ 

会社分割における労働者承継手続き その1

2014年02月28日 | いろいろ

おはようございます♪

組織再編手続きの中で最も面倒で、最も複雑なのが会社分割だと思います。
年に数回は、会社分割のご依頼があるのですけれども、何度やっても大変だなぁ~。。。と思っちゃいます。

現在も、会社分割の案件が進行中なんですけどもね。。。
個人的には、合併の3倍くらい複雑だよね。。。って気がいたします。

その理由の一つが、労働者の承継手続きです。
皆様ご存じのとおり、会社分割を行う場合、労働契約承継法(略称)っていう法律の適用を受けてしまう。。。。つまり、会社法と労働契約承継法はワンセット!なのです。

実際、この手続きは、社会保険労務士サンのご専門分野なんですが、会社によっては社労士さんを入れないコトもあり、ワタシ達が質問を受けるケースが結構多いのです。
そのとき、「ワタシの専門じゃないんで、ぜ~んぜん分かりませんっ♪」とも言えないじゃないですか?
なので、手続きの概要くらいはご説明できるようにしておかなければなりません。

。。。で、ワタシ。。。苦労しました。。。はぁぁ~^_^;
会社分割が創設された当時、労働法なんて、登記とはほとんど関係のないモノでしたからね。。。確か、大学で勉強したような気がしなくもないケド、すっかりさっぱり忘れております。。。そういえば。。。ワタシ自身も労働者だった。。。(~_~;)

。。。というワケで、会社分割の場合、会社法の手続きだけじゃ足りませんで、労働契約承継法の手続を含めますと、結構長い期間が必要になるワケです。。。そして、どの程度の期間が必要か。。。というのは具体的に規定されてませんから、ケースバイケースでございます。

では、労働契約承継法って、どういうモノなのか?
ほんと~にざっくりとオハナシしておこうと思います。

労働契約承継法は、会社分割によって分割会社から承継会社に承継される事業に従事する労働者の承継(転籍ですね)について定められた法律です。

承継される事業に主として従事する労働者(主要労働者)を承継会社に転籍させたい場合、ま、言葉は悪いケド、有無を言わせず転籍させられるのですよね。その代わり、「待遇は変えちゃダメよ!」ってコトになっています。

逆に、主要労働者を転籍させたくない場合、主要労働者は「転籍させろぉ~!!」という権利があります。(転籍しないことに関する「異議権」があるんですね。)。。。で、異議が出た場合は、その主要労働者は転籍させないといけません。

さらに、主要労働者でない労働者を転籍させることもできます。
こちらは、主要労働者とは逆でして、「分割会社:転籍しなさい」⇒「労働者:イヤです(と言える)」となります。

労働契約承継法の適用を受けると、いずれも転籍後の労働条件の不利益変更は認められません。

。。。で、この、労働者(労働契約)の承継に関しては、吸収分割契約書(または新設分割計画書)に記載することになりますのでね。。。(~_~;)。。。司法書士だから知らんぷり。。。というワケにはいかないのです。

続きはまた来週~♪

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登記の遺漏 その4

2014年02月27日 | 商業登記

おはようございます♪

え。。。と。。。まだ続いております。。。^_^;

登記の遺漏。。。というコトですけれども、漏れてしまった登記をする場合って、「遺漏による更正?」と思いません?
しかし、ワタシの経験上、「遺漏更正」というのは、ほとんどございません。。。。というか、記憶にはないです。(←あてにならない記憶ですケド)

今回のようなケースは、普通に「変更登記」ですよね。
登記懈怠にはなってますが、「更正登記」ではございません。

「遺漏」になるケースというのは、一体となるべき登記事項の一部が漏れている場合なので、独立した登記事項が全部漏れた場合は「遺漏」ではあるかもしれないケド、「遺漏による更正登記」を要するケースではない。。。というコトになるかと思います。

「遺漏」って、具体的には、例えば、事業目的の一部が抜けた。。。とか、株式の内容の一部が抜けた。。。とか、代表取締役の住所が抜けた。。。と言う場合。。。でしょう。。。たぶん。。。^_^;

一方、取締役1人だけ漏れた。。。とか、今回のように監査役会設置会社の旨が漏れた。。。とか。。。は、それ自体がそれぞれ独立した登記事項なので、新たに登記をするので「遺漏による更正」ではございません。

良く勘違いされるのは、「社外取締役・社外監査役の旨」の登記です。
ホントは、就任時から登記しなきゃいけなかったんだケド、登記が漏れちゃった。。。というケース。
コレね。。。更正登記ではなく、変更登記になるんです。
「社外の旨」って、それだけ後から追加されたり、抹消されたりするモノだから、なんか取締役や監査役の一体の登記事項に見えますケド、どうやらそうじゃないようです。

。。。で、登記の遺漏。。。。
他にもございましたので、ついでにご紹介しておこうと思います。

一つは、「取締役会決議による役員の責任免除」の登記です。
これは、結構漏れが多くって。。。これまで3~4件ございました。
忘れやすいのですかね~。。。?

そして、関連しますが、「責任免除の登記ができないのにやっちゃった!」というモノ。
研修会でもオハナシしましたケド、監査役の監査範囲が会計に限定されているにも関わらず、定款に取締役会による責任免除の規定が設けられているコトって、結構ございます。
つまり、その定款規定は無効なので、当然のことながら登記できないのですケドも、間違えて登記しちゃった。。。というコト。

少なくとも、クライアントさんの中では、間違えて登記しちゃった会社サンはないのだケド、間違えて定款規定を置いちゃった。。。という会社サン。。。数社ございました(~_~;)。。。ですんで、会社法対応の定款変更の場合、かなり注意しておりました。
間違えて登記しているケースは、何件かみたコトがございます。クライアントさんじゃないんで、余計なコトは言いませんでしたが。。。^_^;

さて、もう一つは、現在進行中の会社サン。

こちらは、遺漏じゃないのですケド、登記漏れ。
抹消登記漏れ。。。でございます。

上場会社サンなのですけれどもね。。。
簡単にいうと、決算公告のIT化をしていたんだけど(公告方法は日刊新聞紙です。)、会社法施行により決算公告義務がなくなったんで(有価証券報告書を見れば分かるからです。)、抹消登記しなきゃいけなかった。。。というハナシ。
「あれっ?」と思って、HPを確認したら、決算公告はされてませんでした ^_^;

会社サンとしては、「決算公告は要らなくなった」ということは認識していて、「登記を抹消する」ことはご存じなかったようです。

これも見た目は分かり難いですかね~???
定款の記載事項じゃないですしね~。。。
実害はなさそうだケド。。。やっぱ、抹消しとかないと。。。ですよね?

。。。というワケで、皆様お気を付けください。。。。というか、ワタシが一番気を付けますっ!(~_~;)

※オマケ1
2月21日発売の「ビジネス法務」(中央経済社)に、金子先生著「吸収型再編の効力発生日と期間計算に関する考察」が掲載されています。 実はブログの記事を書きはじめて間もなくメールを頂戴しまして、イロイロとご相談させていただいたんですが、ワタシ自身はブログの記事を書き終わって、何だかお腹いっぱいになっちゃって(~_~;)、後は金子先生にお任せしてしまった感じです。
ぃや~ホントに凄い方です。記事が掲載されて、期間問題も多くの皆様に考えてもらえるだろうな。。。と嬉しく思っております。
金子先生、ありがとうございました m(__)m

金子先生のブログはこちら ⇒ http://www.esg-hp.com/

※オマケ2
司法書士の増子先生からコメントを頂戴しました。
「責任限定契約に基づく社外役員の登記って実務上どういう場合に登記してるの?」というモノです。
コメントにも書きましたし、これまでの記事にも書いているとおり、ワタシ自身は立法担当者の仰るように、「責任限定契約を締結するとき」に「社外取締役・社外監査役の旨」と登記するよう、クライアントの皆様方にはご説明をしていますが、「社外取締役・社外監査役」に該当するなら広く「社外の旨」を登記する、との考え方もございます。

ですので、一概にワタシのやり方が登記実務上一般的かどうかは定かではございません。
もちろん、間違いでもないのでしょうケド、コメントを頂戴して、前提をオハナシしておいた方が良かったな。。。と思った次第です。
皆様、よろしくお願いいたします m(__)m

コメント (4)
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登記の遺漏 その3

2014年02月26日 | 商業登記

おはようございます♪

今回は、ホント、焦りました。。。ま、実際、ワタシが一番悪いワケではないのかも知れないケド、少なくともしばらくの間は気づかなかったのですから、ヤッパリ悪いです。。。申し訳ございませんでした m(__)m

とにかく、なるべく早く登記しなくっちゃ!!
大体、この前職権更正したばっかりなのに。。。。情けない。。。トホホ。。。

で、添付書類なんですけどね。。。確か、何も要らなかった記憶があります。
会計監査人の方は、就任承諾書がどうのこうの。。。とか、選任の議事録がどうのこうの。。。とか、就任後、監査法人の主たる事務所が代わってたらどうのこうの。。。とか。。。イロイロございましたケド、監査役会設置会社は単に登記するだけだったよなぁ~。。。

しかし。。。ワタシの記憶ほど頼りにならないモノはなく(~_~;)、当時の先例を確認。
「会社法施行時に大会社だった会社だったことが客観的に分かるのであれば、添付書類は不要。」だというコトです。
あ~。。。そうそう!そういうことでしたよね^_^;
つまり、(登記された)資本金が5億円以上であれば、証明書は不要だケド、資本金の額は5億円未満で負債の額が200億円以上である大会社は証明書が必要。。。ということでした。

「じゃあ、楽勝♪ 委任状だけで良しっ♪」
一瞬、そう思ったのですけれどもね。。。
んっ?。。。

確かに現在登記された資本金の額は、5億円どころのハナシじゃございません。
。。。が、会社法施行当時、5億円以上だった証明になるか。。。(~_~;)。。。本店移転してるのよね。。。。

結局、本店移転前の閉鎖事項証明書を添付すれば良いコトになったのです。。。が。。。まだあった。。。え~ん(;O;)!!!
その会社サン、旧本店の管轄にもともと支店を設置されていましてね。。。登記記録は閉鎖されてないのです。

。。。ということは。。。会社法施行当時の資本金の額を証明するにはどうすれば。。。???

何を考えたかと言いますと、本店移転登記によって登記記録が閉鎖されていれば、閉鎖事項全部証明書にはコンピュータ移記後の登記事項が全て載ってくるのですケド、履歴事項全部証明書だと、会社法施行後に資本金の額が増加して、会社法施行時の資本金の額が閉鎖記録に移行してしまっている可能性が否めないのではないか。。。?と思ったワケです。

実際、会社法施行当時、資本金の額は5億円を軽~く超えていたんですケド。。。

う~~~。。。。(@_@;)
閉鎖事項全部証明書を取得してみたわけではありませんが、現在、旧本店管轄の履歴事項全部証明書に載ってくる資本金の額(支店の登記事項ではなくなったことにより、下線が付されておりますが)には、変更年月日がありません。。。ということは、コンピューター移記の際、初めて登記された事項だったハズ。。。移行日は会社法施行日前。。。

じゃ、これで大丈夫。。。との結論に至りました(当たり前ですか??恥ずかしいかな??)。
それから、これも確認していませんが、「古くてダイジョウブですか?」と言うハナシもあり、これも、有効期間はなし!と思われます。

あんまり、(分かってることを)しつこく聞くのもね。。。なのですが、一応、考えたコトを発表してみました。。。^_^;
ちなみに、現在、登記申請中でございます♪

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登記の遺漏 その2

2014年02月25日 | 商業登記

おはようございます♪

履歴事項全部証明書を見ていたら、何か違和感を覚えましてね。。。
よぉ~く見てみると。。。あ、監査役も「社外監査役」の旨が登記されてる。。。。これで合ってるんだっけ??

ぃやね。。。社外監査役の登記があるコト自体はもともと気づいていたのです。
だけど、「監査役はこれで良し!」なぜなら、この会社は「監査役会設置会社」だから、監査役に関しては「社外監査役である旨」の登記は必須なんだよね。。。というコトだったハズ。。。

しかし。。。ん????「監査役会設置会社の登記」。。。ないっ!?。。。(~_~;)
「え゛~っ!!!監査役会設置会社じゃないのぉ~??」

監査役会設置会社だと思っていたのに、そうじゃなかった。。。じゃあ、監査役の方も「社外監査役の旨」を取った方が良かった??でも監査役は任期中だったしな。。。

などとグズグズ考えていたんですがね。。。でも、資本金ウン百億円の会社が(非公開会社ですケドも)監査役会を設置しないナンテコトがあるのだろ~か???。。。

焦りまくりでした(~_~;)
ま、とにかく定款だ! 。。。と思い、確認してみますと。。。「あ。。。ある。。。(~_~;)」
定款上は、普通に(?)「監査役会設置会社」でございましたし、そもそも、定款には監査役会の章まで設けられております。

結局、最初に定款を拝見して「監査役会設置会社」だという認識でいたので、監査役に「社外監査役の旨」が登記されているコトは当然だと思ってた。。。。で、「監査役会設置会社」の登記が漏れているなんて思いもしなかったモンで、焦りまくった。。。というコトだろうと思います。

我ながら、何を考えていたのか分かりませんので、今となっては想像ですケド、とにかく、「会計監査人設置会社」の登記はあるのに、「監査役会設置会社」の登記がないっ!!!。。。というコトになっておりました。

ただ、この会社サン。。。最近、東京に本店移転して来られたものですから、その時に漏れた可能性もなくはない。。。

そこで、本店移転前の登記記録も確認しましたが、結局登記された形跡はありませんでした。。。で、会社に連絡 ⇒皆、唖然。。。(-_-;)

今となっては、当時何があったか分かりませんケド、いわゆる「6か月内の登記」を全くしていないならともかく、「部分的に忘れる」でしょうか?それに、法務局だって変だと思わなかったのでしょ~か???

個人的には、こういうモノが漏れるとは全く想定外だったので、かなり衝撃的でございました。

ま、こうなったからには、速やかに登記申請しましょう!。。。なのですが、「どうやるんだっけ?何を添付するんだっけ?」。。。もうすっかり忘れちゃいました^_^;

続きはまた明日♪

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登記の遺漏 その1

2014年02月24日 | 商業登記

おはようございます♪

新規のクライアントさんの場合、一連の資料を拝見し、正しく登記されているかどうかを確認いたします。
。。。が、とんでもない時期になって、「あっ!!!!」というコトもございまして。。。またしても、失敗談。。。(;O;)

ま、お題からお分かりでしょうケド、「登記事項なのに登記されてなかった!」というハナシでございます。

一番分かり難いのは、「社外取締役・社外監査役である旨」の登記。
可能性として、責任限定契約に関する定款規定があれば、登記対象になることもあるケド、契約を締結していなければ登記していなくて正解。
ただし、責任限定契約を締結するような会社サンの場合、「社外の旨」の登記がされているかどうかは結構気にされているような気がしますんで、それほど間違いはないような気がします。

このハナシ。。。どちらかというと、逆のケースの方が多くてですね。。。
「社外の旨」の登記がされているんだケド、実際、契約を締結していないのですよね~。。。^_^;
なので、新規のクライアントさんが初めての改選期を迎える場合は、念のため「責任限定契約は締結されていらっしゃるんですよね?」と聞いてみるコトにしています。

昨年もそういう会社サンがございまして、「契約は締結してません」というので、取締役の重任登記の際、「社外取締役」の旨は全部はずしたのです。
ところが、先日、別の登記申請のご依頼を受けて登記事項証明書を改めて確認したところ。。。なんだかおかしい。。。。??

取締役のウチの1人だけ、「(社外取締役)」と登記されちゃってるのです。
あら大変っ!!と思い、「職権更正はダメだろ~な~。。。」と思いつつ、一応法務局に伺ってみたトコロ、「あ。。。ほんとだ。。。職権更正やりますね♪」とのお返事。

ぃや。。。ビックリしました。
普通、登記申請からしばらく時間が経ってしまうと、「もっぱら法務局の過誤だとしても、更正登記しなさいよね!」と言われことが多いのですケドね。。。。職権更正しても影響が少ない事項だから。。。ってコトなのでしょうか????

その後、本来の登記と職権更正登記が終わり、マジマジと証明書を見ていたのですが。。。「えっ!??」
またしても、モンダイ発生。。。(@_@;)

続きはまた明日♪

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