司法書士のオシゴト

会社にかかわる登記を中心に素朴なギモンにお答えします♪ 

大会社と定款変更 その7

2010年10月29日 | その他会社法関連
今日は週末♪
久々にきりの良さそうな感じですよね♪

。。。で、早速昨日の続きですが、色々考えまして、とりあえず結論を出しました。

まず、会計監査人設置会社である旨の規定について。
少なくとも、法律に忠実に考えれば、会計監査人設置会社であっても定款規定がない場合というケースはあり得るんですよね。しかも、整備法のように「みなし規定」は存在しません。
ですから、現在の定款に「会計監査人設置会社である旨」は規定されていない、と考えるのが妥当だろうと思います。

そして、登記ですが、昨日も検討したように、良いのか悪いのかは別にして、事実会計監査人の就任登記との一括申請が義務付けられている以上、会計監査人設置会社である旨だけを登記することはできないし、これを無理に登記する実益もないと思います。
(だから、登記しないままにします(^_^;))

次に監査役について。
定款変更しなくても、大会社になったことにより監査役の任期が満了するのなら、任期満了の理由は、会社法第336条第4項3号に定める事由の発生(監査役の監査の範囲を会計に関するものに限定する旨の定款の定めを廃止する定款の変更)と考えられているのでしょう。それを前提にすれば、監査範囲を会計に限定する整備法のみなし規定は、同時点で失効したと考えるのが妥当だろうと思います。

すると、新たに監査役を選任する時点では大会社ではありませんが、新たに会計限定の旨を新設しない限り、監査役は業務監査権限を有することになるのだろうと考えられます。

以上が、一応ワタシの現時点での結論デス。

ただし、これはあくまでもワタシなりの結論ですし、確実かどうかは分かりません。
ですから、これをクライアントさんに押し付けるのもどうなのかと思います。

そのため、定款変更は無難なところで、こういう風にしたいと思っております(まだやってないので(^_^;))。
通常、定款変更をする際は、現行定款の規定と変更後の規定を対照することによって、変更内容を明確にいたしますが、今回は現行の定款規定を示さずに新たな定款規定の全文を承認します。
監査役については、考え方によっては会計限定されているということもあり得ますが、限定されていてもいなくても、今回の定款変更後の定款では会計限定の規定を設けますので、定款変更によって任期満了はしませんし、会社に与える影響も大したことはないでしょう。

それにしても、定款というのは奥が深いですね。
キチンとしないと、大変なことになるのね。。。と肝に命じた一件でした。

(周りの方々にも色々とご意見をお伺いしましたが、ハンドブックにも「ギモンが残る。。。」的なことが記載されているし、結局、現在の定款がどうなのっ!?ってことは追求しない方が良さそうです。登記の場面では「中間省略登記」がモンダイになりそうですが、結局は「登記の利益」をどのように考えるかがポイントでしょうかねぇ?会計監査人の選任懈怠ってことで過料の可能性もあるのかな?でも、遅れて登記するわけではないのできっと過料は課されないと思います。。。。やっぱり堂々巡り(~_~;))
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

大会社と定款変更 その6

2010年10月28日 | その他会社法関連
さて、今日は監査役の方を検討してみようと思います。

監査役については、会社法施行時において資本金の額が1億円以下のいわゆる小会社の場合、「監査役の監査の範囲は会計に関するものに限定」され、その旨の定款の定めがあるものとみなされております(公開会社を除く)。

よって、本件の会社の場合にも、定款には明示的に会計に限定される旨の規定は置かれていないものの、定款規定としては存在している、という状況でありました。

ところが、そういう会社が大会社になり、次に大会社ではなくなり、定款はどうなったか?というモンダイです。

こちらは、1つだけ結論が出ている問題があります。
そう!こういう場合であっても、大会社になった時点で従来の監査役の任期は満了するってことです。
さらに、ハンドブックによりますと、そうは言っても、定款変更はしていないのだから、会計に限定される旨の定款規定の効力が大会社になることによって失効するのか、はたまた、ソレはそれで別問題(失効はしないと考える?)なのかは分かりません。。。。というようなことをおっしゃっておられます。
つまり、良く分かりませんから、ちゃんと定款変更しときなさいよ♪ ってことですね(^_^;)

そうです、そうです、そりゃそうなんです。
でもしてないですしね~。。。。。

本件の場合についても、監査役の任期満了は登記されておりました。
モンダイは、新たに選任された監査役が、会計限定されているのか、いないのか。。。。です。

ハンドブックにも記載してありますが、大会社になったことによって、会計限定の規定が失効したのなら、現在の監査役は会計限定されていないし、定款規定としても現在はみなし規定は存在しないことになります。
一方、みなし規定が失効していないのなら、大会社でなくなった時点で会計限定の規定が復活するってことも考えられます。
その結論によって、現任監査役の権限が異なってきます。

むづかし~~~(ーー;)

でも、今後の展開のためには何らかの結論を出さないといけませんからね。。。
ムムムムム。。。(ーー;)

明日へ続く~。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

大会社と定款変更 その5

2010年10月27日 | その他会社法関連
なかなか悩ましい状況に陥ってしまっておりますが、それぞれ分けて検討してみたいと思います。

まずは、会計監査人について。

会計監査人は、大会社であれば設置しなければならず、大会社でなければ任意設置です。
そして、登記は。。。というと、会計監査人設置会社は登記しなければならない、とされております。では、会計監査人設置会社とは何ぞや、というと、会社法第2条では「会計監査人を置く株式会社又はこの法律の規定により会計監査人を置かなければならない株式会社」とされています。

ですから、ちゃんと登記していたとしたならば、定款変更していなくても理論的には「会計監査人設置会社である旨」と「会計監査人の氏名(又は名称)」を登記し、そして、定款変更はしていないけど大会社でなくなったのであれば、会計監査人設置会社ではなくなるのでその時点で会計監査人設置会社の定めがなくなるべきなのかな。。。と思います。

通常、「○○設置会社」という登記の抹消原因は「年月日廃止」となりますが、本件のようなケースでは「廃止」なんてコトはしておりませんので、どうもソグワナイような気がしています。

一方、会計監査人設置会社になっても、登記は会計監査人が就任してから一括申請しなければいけないのだから、登記ができない状況がずっと続いていた。でも、大会社でなくなったのだから、会計監査人を選任する必要もなく、したがって、「会計監査人設置会社の旨」のみは登記したくてもできないしぃ。。。しょうがないでしょ♪ という考え方もあるのかな、と思います。

結局、定款変更決議をしていないってトコがミソなんでしょうね。
商業登記法は、原則として中間省略登記を認めていませんから、定款に規定を置き、それを廃止したのなら、登記義務が発生しそうですけど、定款規定がないので登記しなくても仕方がない。。。って結論に持っていけそうな気がしてしまいます。

そして、定款規定ですが、大会社になった時点で定款変更しなければいけなかったのは事実ですけど、定款変更しなかったら「定款の定めがあるものとみなされる」というような規定もないので、定めがあることを前提にして、それを廃止する定款変更決議をするのもおかしいかしら。。。って気もするんです。

。。。と、ワタシの頭ではここまでしか考えられませんが、とりあえず、結果は後回しにして、明日は監査役の検討をいたしましょ♪
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

大会社と定款変更 その4

2010年10月26日 | その他会社法関連

議事録が出てきたと言いましたが、出てきたのは減資の決議をしたときの定時総会議事録でした。
(その議事録から想像するに、増資後の定時総会議事録ではなにも決議されていないように読めました。)

その議事録には、要約するとこんなことが記載されておりました。
「平成19年●月●日に終了した事業年度にかかる定時株主総会において計算書類が承認されたので、当会社は大会社になりました。そのため、本来であれば会計監査人設置義務が発生し、監査役の監査権限が業務監査権限まで拡大されるのですが、そういう定款変更を行わないまま本日に至りました。ですが、監査役は昨年の定時総会で任期満了しているので、新たに監査役を選任します。」

↑ どうですか??どうですか??どうですか??

へっ?どういう意味だろ~??
定款変更しなくちゃいけなかったんだけど、グズグズしている間に大会社じゃなくなったから、もう会計監査人は置かなくって良くなりました♪ ってことみたいなんです。

この会社は、会社法対応の定款変更もしておりませんので、定款には規定がありませんが、監査役の権限は会計に関するものに限定されておりました。
ですけども、そっちが任期満了ってことは、整備法のみなし規定はなくなったと認識しているわけです。

じゃ、結局、現在はどうなんでしょうか?
定款変更しなかったから、定款には会計監査人設置会社とは規定されていなくって、監査役の監査権限も定款変更しなかったんだから元に戻った、というようなニュアンスなんですけどね(~_~;)

ワタシ自身、幸か不幸か、こういうケースに当たったのは初めてです。
確かに会計監査人設置義務があれば会計監査人設置会社ですけど、だからって定款に規定しない会社はマレでしょうから、現在の規定内容をどのように考えれば良いのか分かりません。

ほっとけば?。。。ってわけには行かないんです。今回、ちゃんと定款変更するってことになっちゃいましたから、変更前の規定内容を整理しなくては。。。。(^_^;)

皆さんはどう思われますか?
ご意見をお寄せくださいね

コメント (5)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

大会社と定款変更 その3

2010年10月25日 | その他会社法関連
妙な寄り道ですが、一応ギモン点は解消しておきましょうよ♪ ってことで、先週の続きデス。

閲覧申請が厳しくなったのは、おそらく不動産登記法の改正によるものなのだと思っております。
商業登記の方の規定は特に変わっていないのですが、不動産は改正前よりも厳しくなったので、結局商業登記の方もそれに引っ張られているのではないか。。。って気がします。

不動産登記については、登記原因証明情報なるものが登場し、以前よりも添付書類が事情を赤裸々に(?)語るようになったので、プライバシー保護の観点で閲覧が厳しくなったと言われているようです。

。。。というわけで、ちょっと規定を比べてみます?

第百九十三条  登記事項証明書、登記事項要約書、地図等の全部若しくは一部の写し(地図等が電磁的記録に記録されているときは、当該記録された情報の内容を証明した書面)又は土地所在図等の全部若しくは一部の写し(土地所在図等が電磁的記録に記録されているときは、当該記録された情報の内容を証明した書面)の交付の請求をするときは、次に掲げる事項を内容とする情報(以下この章において「請求情報」という。)を提供しなければならない。地図等又は登記簿の附属書類の閲覧の請求をするときも、同様とする。
 法第百二十一条第二項 の規定により土地所在図等以外の登記簿の附属書類の閲覧の請求をするときは、前項第一号及び第二号に掲げる事項のほか、次に掲げる事項を請求情報の内容とする。
 請求人の住所
 請求人が法人であるときは、その代表者の氏名
 代理人によって請求するときは、当該代理人の氏名又は名称及び住所並びに代理人が法人であるときはその代表者の氏名
 法第百二十一条第二項 ただし書の利害関係を有する理由及び閲覧する部分
 前項の閲覧の請求をするときは、同項第四号の利害関係がある理由を証する書面を提示しなければならない。
 第二項の閲覧の請求を代理人によってするときは、当該代理人の権限を証する書面を提示しなければならない。
 第二項の閲覧の請求をする場合において、請求人が法人であるときは、当該法人の代表者の資格を証する書面を提示しなければならない。ただし、次に掲げる場合は、この限りでない。
(以下略)

商業登記規則
第十八条  登記事項証明書若しくは法第十一条の書面(以下「登記事項要約書」という。)の交付、登記簿の附属書類の閲覧又は印鑑の証明を請求するには、申請書を提出しなければならない。
 前項の申請書には、次に掲げる事項を記載しなければならない。 (以下略)

(代理人による請求)
第二十七条  第九条の六第二項の規定は、代理人によつて第十八条の請求をする場合に準用する。

第九条の六  第九条第一項及び第七項、第九条の四第一項並びに第九条の五第三項の規定による印鑑の提出等は、代理人によりすることができる。
 前項の場合には、同項に掲げる各条項に規定する書面にその権限を証する書面を添付しなければならない。

第二十一条  登記簿の附属書類の閲覧の申請書には、請求の目的として、閲覧しようとする附属書類を記載しなければならない。
 前項の申請書には、利害関係を明らかにする事由を記載し、申請人又はその代表者若しくは代理人が署名し、又は押印しなければならない。

ね♪ どうですか?
規定ぶりがぜ~んぜん違いますよね~。
もともと、不動産登記の方が厳しかったとはいうものの、条文のボリュームだけでも違います。

ただ、商業登記規則上も、代理人の権限を証する書面は必要ということになっていました(←これ、昨日のコメントで判明したことです。)。
法律上は、閲覧請求に限らず謄本請求等の場合も同様ってことですよねぇ。。。

きっと、謄本等については、そもそも利害関係は必要ないので、ワタシ達司法書士が実質的に代理人であっても、本人として申請しているから委任状は不要ってことなんでしょうかね?
印鑑証明書も、そういえば昔は本人申請にして委任状は添付していなかったので、それって、代理人としての申請ではない、ということにしていたんだと思います。

。。。というわけで、今回も申請書類の閲覧のための委任状を用意しました。
が、結局議事録が出てきたんです!

良かったというか。。。良くなかったというか。。。。(-"-)
また明日=3

追伸:
先週の記事にコメントをいただきまして、本文を訂正させていただきました。
勉強不足で失礼しました_(_^_)_
確かに商業登記規則は変わっていないのですが、以前から委任状が必要だったとは。。。ちょっと驚きです。結局、実務運用が厳しくなったといっても、本来の姿に戻っただけなんでしょうね。
コメントありがとうございました。
コメント (1)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする