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昭和史 1926-1945(半藤一利)読了

2024年06月16日 | ブックレビュー

 半藤一利著「昭和史 1926-1945」読了。2回目ですが今回は結構気合を入れて読みました。前回の朝ドラ「ブギウギ」も今回の「虎に翼」も戦前から戦中を経る話だったので、どういう時代だったかちゃんと知っておきたくて。そもそもがこの辺りの歴史に弱いですし。

 この本は授業形式の語り下ろしを本にしたものでわかりやすく、読んだ人も多いのではないでしょうか。調べてみたら私が前に読んだのは2016年。8年前なわけで、それから年に1回くらい読んでおけば歴史の流れもすんなり頭に入っていたでしょうにと。

 何しろ大学受験の時も選択は世界史にしてたし、日本史は授業はあったもののどんな感じで聞いたのか記憶無し。この時代の歴史は楽しくないのでどちらかというと逃げ回っていた感じだったでしょうか。その後、幕末と維新の歴史小説は好きになりましたが。

 そんななので、歴史の流れで出てくる言葉をよく理解しておりませんでした。今回また読んだくらいでは整理できてないのですが、これまで「聞いたことはあっても混同していた」という地名、事件、人物名があります。特に漢字三文字とか四文字とか。

 それらはどういうものかというと以下の通り。

・張学良と張作霖
・柳条湖と盧溝橋
・上海事変と満州事変

 これらが何であるかサラッと答えられるようになれば、ちょっとは賢くなった気になるでしょう。

 この本の最後の「むすびの章」は「三百十万の死者が語りかけてくれるものは? 昭和史二十年の教訓」というタイトルであって、ここが凄く胸に響きます。昭和史の二十年がどういう教訓を私たちに示してくれたかという話を半藤先生が語ってて、それが一番重要と考えるものであります。

 ここでは五つ挙げてますが、一番ズキッとするのが二番目。「最大の危機において日本人は抽象的な観念論を非常に好み、具体的な理性的な方法論をまったく検討しようとしない。」という点。

 「物事は自分の希望するように動くと考える。」ので、昭和史ではソ連が満洲に攻め込んでくることが目に見えていたにもかかわらず、攻め込まれたくない、今こられると困る、と思うことがだんだん「いや、攻めてこない」「大丈夫、ソ連は最後まで中立を守ってくれる」というふうな思い込みになるという風に。

 「日本人は」としてますが、私なんぞも私生活で起こって欲しくないことは考えないようにしてしまうのは多々あって、まったくその通りと思います。自分自身もそうなのではないだろうかと。

 とはいえ、自分だけではなく会社でも命じられた業務に疑問がありリスクを唱えると、その際は「ネガティブな発言は士気を下げる」とか「やる気がないのか」とか言われたり、そういう空気になったりします。営業現場では「そういう事は考えない。」という流れになることも多かろうと。

 もちろん物を売る話と外交や安全保障の話は違いますが、「歴史から何を学ぶか。」を考えるにあたってはすごくためになる本だとあらためて思いました。

 もっとも、昭和史を理解するには明治43年(1910年)の朝鮮併合や、大正4年(1915年)の対華二十一か条の要求がどうして起きたか、どういう意味があったかという事も知らねばなりません。今回はそれもちょっとだけわかったので、昭和16年12月の対英米開戦の瞬間だけ捉えてもいかんなあと。

 と、ちょっと読んだだけで知ったかぶりしてしまうのもよろしくないので、これの3回目に入るか昭和史の戦後篇を読むかは現在検討中。何がどうかというと、この本は入浴中に読んだのでこれからの暑い時期は読書時間が短くなるという…。