近田先生がGSについて書いた本なら面白くないはずはないと思ったら、実際面白かったです。内容としては、大まかな歴史と代表的なグループの紹介、そしてザ・タイガースのピーこと瞳みのるさんとゴールデン・カップスのエディ潘さんとの鼎談、GS期の代表的な作曲家である鈴木邦彦さんとの対談など。
近田先生というとGSのスターたちとはほぼ同年代で、GSが誕生した頃からそのシーンを見ていたという人。おまけにGS末期には実際にいくつかのグループのサポートでキーボードも演奏していたという事ですから、大御所による上からの目線も、後追いファンの過大なトンチンカン評価もなく、純粋に彼らに憧れ、その時代を楽しみ、そしてガッカリもしたというのがすごく具体的に伝わってきて面白いです。どのグループを、いつどこそこのジャズ喫茶で見たという記憶が凄いです。
書かれているように、スパイダースやタイガースのような初期のGSはストーンズなどの洋楽ロックに憧れてバンドを始めたのが、後期のグループは最初からGSになるために結成されデビューしていたので、そもそもの立ち位置が違うというのはもっともだと思いました。
その辺の見解が非常に面白いのですが、何しろ新書なのであっという間に読めてしまいます。先週末は都内まで電車で行ったのですが、往復の車内でほぼ読めてしまったくらい。近田先生の話はもっと読みたいので、もっと深掘りした第二弾も期待したいところ。
ただ、私は1963年生まれで、かろうじてタイガースもスパイダースも間に合ったというか見た記憶があるという程度なので、この本で語られている曲も知らないのが多いです。その辺聞いてみてから、また読み直すと面白そう。少しでも関心のある人にはお勧めです。