（イタリア ハイウェイの下で暮らすホームレスのロマ人 彼等にはいかなる支援も行われていません。 ロマ人に対する浸透した差別のため、定職を得ることは困難です。 繁栄を謳歌する、しかし彼等を拒否する国家のかげで、生きるために苦闘しています。 “flickr”より By roma.rights
http://www.flickr.com/photos/romarights/2086644924/)
【汚職と悪徳で知られる国】
最近笑えた記事が下。
＊＊＊＊米ホワイトハウス、伊首相に謝罪 報道資料の不適切な描写で＊＊＊＊
【7月9日 AFP】米ホワイトハウスは8日、イタリアのシルビオ・ベルルスコーニ首相とイタリア政界についての説明が不適切だったとして首相に謝罪した。
北海道洞爺湖サミットに出席するため日本を訪問中のブッシュ大統領に随行した記者団への配付資料の中で、ベルルスコーニ首相を「政府の汚職と悪徳で知られる国で史上最大の物議を醸す政治指導者の1人」と説明していたため。
イタリアメディアの報道でこのことを知ったワシントンD.C.のイタリア大使館の報道官は即座に説明を求めた。
（アメリカの）フラット報道官は即座に対応し「1000回のおわび」をした上で、公に誤りを認めて謝罪した。
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簡潔にして、なかなか適切な説明だとは思いますが、外交でも人付き合いでもあまりに正直な表現は認められないことも多々あります。
もっとも、この説明に該当する国・人物は、イタリア・ベルルスコーニ首相だけでないと言うか、他にもいっぱいいそうですので、その意味では対象が特定できない“不適切な表現”だったかも。
【イタリアのロマ人対策】
ところで、6月26日、イタリア警察当局は、定住所を持たず移動住居に住むなどするロマ人とその子どもたちに指紋採取を行い、子どもを学校に行かせず物乞いをさせるロマ人に対しては親権を剥奪する方針を打ち出しました。
＊＊＊イタリア警察当局、定住所を持たないロマ人と未成年の指紋を強制採取へ＊＊＊＊
【6月29日 AFP】 ロベルト・マローニ内相は25日に出席した議会委員会の席で、一連の措置が「ロマ人の権利の保障を強めるもの」だと述べた。
これにより、「国内に居住する権利を持つロマ人に、適正な条件での居住を保障し、権利を持たないロマ人を国外退去させる」という。
これに対して、野党・民主党の有力議員は、「まるで犯罪者であるかのように未成年者の指紋を採取することで、政府はイタリア国民の結束の基盤をあえて疑問視しようとしている」と痛烈に批判した。
国連児童基金（ユニセフ）のイタリア支部長は、新政策に驚き憂慮していると述べた。
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この政策は、ベルルスコーニ首相率いる中道右派連合「自由国民」の一翼を担う右派政党・北部同盟選出のマロニ内相が治安維持のために取り入れた政令で、具体的イメージとしては、都市周辺部の集落（キャンプ）に暮らすロマ人に子供を含め、身元特定のため指紋押なつを義務づけるもの。
マローニ内相は「国民の安全と（ロマ人）キャンプに暮らす子供たちを保護するため、身元特定が必要だ」とも語っています。
すでにナポリで始まり、７日から全国に広がる予定と報じられていました。
【補足：北部同盟、ロマ人】
最初に若干補足すると、北部同盟は、豊かな北部経済を北部住民だけで分配し、北部の労働者の職を守る事を行動原理としており、以前は過激な北部の分離独立を掲げたこともあります。
現在は、南部への補助金問題より、外国人移民者が安価な労働力として雇用される事が北部の人間にとって深刻な労働問題となっているため、北部同盟党もその批判の矛先を次第に南部経済から外国人移民へと変え始めているとか。【ウィキペディア】
移民に対する国民の不満を背景にその支持は南部にも拡大し、前回０６年の得票率４．５％が今年4月の総選挙では上下両院で８％台へと躍進しています。
以前はジプシーと呼ばれることが多かったロマ人は、移動生活者、放浪者のイメージがありますが、現代では定住生活をする者も多いそうです。
その生活習慣の特異性や現地文化になかなかなじまないことなどから、歴史的にも差別の対象となっており、ナチス・ドイツにおいてはロマを「劣等民族」と見なす法律が施行されています。
その後ロマは強制移住や強制労働政策の対象となり、優生学的な観点から強制的断種手術が行われました。
また、ロマはユダヤ人と同様にホロコーストの対象とされ、正確な数は不明であるが、戦争中に約50万人のロマが殺害されたとされています。【ウィキペディア】
現在、ロマ人は欧州で約１２００万～１３００万人おり、イタリアには約１４万人が暮らし、その半数がイタリア国籍を持っています。
【底に潜む差別】
上記記事にもあるユニセ・フイタリア支部長は、「子どもたちの権利を平等に尊重するのであれば、イタリアの子ども全員の指紋をとるようマローニ内相に提案したい」と語り、「ロマ人の子どもは他の子どもたちと何一つ違わない。子どもは大人同様に扱われるべきではないし、扱われてはならない」と批判しています。
また、カトリックの慈善団体「聖エジディオ共同体」代表者は、「特定の民族に対する差別で、欧州委員会の反差別法に反する。民族で人を識別することが、欧州の主要国で行われていいのか」と批判しています。
地域社会から受け入れられず、貧しいキャンプでの生活が、容易に犯罪に結びつきやすいことは事実でしょう。
一部に子供に物乞いなどをさせるロマ人がいることも事実でしょう。
何らかの同化政策のために、先ず身元把握が必要だと言うなら、それもそうかもと思えます。
「キャンプに暮らす子供たちを保護するため、身元特定が必要だ」・・・もっともにも思えます。
ただ、この政策を進める北部同盟、移民排斥を声高に叫ぶ彼等が本気でロマ人の子供の保護を考えているとは到底思えません。
一見もっともらしい理由はいくらでもつけられます。
古今東西、表立ってはもっともらしい理由・動機が語られる、しかし、その実態は差別・蔑視・悪意に満ちた・・・といった政策は数多くあります。
＊＊＊＊ＥＵ：新法案…「日常の差別禁止」＊＊＊＊＊
ＥＵは人種・民族による差別を禁じる法律を２０００年に導入しているが、今月２日発表の報告書によると、「欧州最大の少数民族」とされるロマ人への差別は根強く、劣悪な生活環境のために寿命が一般の欧州人よりも短い。欧州委員会は「ロマ人差別に終止符を打つのはＥＵと加盟国の責任」（シュピドラ委員＝雇用・社会問題・機会均等担当）と指摘、加盟国に取り組み強化を求めている。 【7月4日 毎日】
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恐らく、イタリア・マローニ内相は「そのための新政策だ」と言うのでしょうが。
【オーストラリア 性犯罪者の居住地】
話は全く変わりますが、オーストラリアの性犯罪者の話題。
＊＊＊＊性的暴行で服役の男、出所後の居住地をめぐり問題に＊＊＊＊＊
【7月9日 AFP】オーストラリア・クインーズランド州で、児童に対する性的暴行で服役していた男が、出所後、住み着こうとした複数の町で住民らから追い出され、教会施設に保護される事態となっている。地元当局などは、住民らに自警団的行動を控えるよう強く求めている。
教会施設の周囲には約60人が押しかけ、元受刑囚の居住地が決まったらすぐに出て行かせるよう求めている。集まった人の中には（絞首刑などで使われる）輪なわを手にした人もいた。
同州の警察長官は「抗議に集まっている人びとは、むしろプラカードをもった暴徒だ。輪なわを振り回している者もいる。われわれオーストラリア国民がこういったことを行うとは、非常に恥ずかしい」と語った。
この元受刑囚は、3人に子どもに対する性的暴行の罪で1988年から14年服役していた。出所後、さまざまな町に移り住んだが、毎回住民らによって発見され追い出されてきた。
さらに、2005年11月に5歳の少女に対する性的暴行の容疑で逮捕され、拘置されていたが、前週、ようやく容疑が退けられ釈放されていた。
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【“輪なわを手にした人”】
性犯罪は常習性が強いとも言われますので、近所に元受刑者が住まうことに対する人々の不安もわかります。
その是非をここで論じるつもりはありませんが、ひっかかるのは“輪なわを手にした人”のような手合いです。
賛成・反対、いろんな立場・意見はあって当然ですが、“輪なわを手にした人”と言うのは、事の是非ではなく、自分達の内に潜むどす黒い欲求を吐き出しているだけのように見えます。
こうした人種というのは、最近いろんなところで目にします。
ネット上の匿名性のかげで暴言を吐き、相手の人格を否定するような発言を繰り返すような人種も、この“輪なわを手にした人”の類かと思います。
