孤帆の遠影碧空に尽き

年に3回ほどアジアの国を中心に旅行、それが時間の流れに刻む印となっています。そんな私の思うこといろいろ。

イラン・テヘラン  イラン高原・ペルシャの悠久の歴史・文化 侵略・破壊 大バザールの活気

2017-07-31 10:35:27 | イラン

(イラン考古学博物館展示の土器 紀元前4800年頃のもののようですが、約7000年前の土器がこの薄さです。
当時の文化・技術水準の高さが窺えます)

7月30日 イラン旅行7日目

今夜のフライトで帰国します。
とは言っても羽田着が明日の夜。もう乗継便がないので東京で宿泊、鹿児島の自宅に帰るのは明後日昼過ぎになります。これから長い帰国フライトが始まります。

今日はテヘランに戻り、考古学博物館、ガラス&陶器博物館、そしてバザールを回ってきました。

イラン高原の文化開花は非常に古く、紀元前8000年頃には十分に文化の名に値する活動が営まれており、紀元前4000年ぐらいになると巨大な神殿を擁する文化がすでに出現しています。

時期的には、むしろメソポタミアのシュメール文化よりも古く、シュメール人はイラン高原から移動したとの学者報告もあるようです。更には、インダス文明のモヘンジョダロのとの関連も指摘されているとか。

昨日イスファハンからの移動途中、カシャーン郊外にある紀元前4000年頃の遺跡も見てきましたが、イランには国中にそうした遺跡がゴロゴロしているものの、国の保護が行き届かず、国民の多くが盗掘で生計を立てている現実もあるとか。

ペルセポリスに代表されるアケメネス朝の絢爛たるペルシャ文化は突然に出現したものではなく、紀元前8000年頃以来の脈々たる文化の一つとして花開いたものです。

イランの文化はそうした人類最古のレベルに遡る古い歴史を誇る一方で、紀元前3世紀のアレクサンダー、イスラム掲げるアラブ勢力、蒙古のチンギスハンなど度重なる侵略・破壊を受けてもきました。

イランにとってはアレクサンダーはペルセポリスを焼き払うなど、単なる破壊者です。
アラブ・イスラムとの関係は、現在に至るまでイランにとって微妙な問題です。
蒙古勢力は最初は破壊者でしたが、その後、蒙古指導層がイラン文化に傾倒したこともあって、イランにとっては、まだましな存在だったようです。

ガラス&陶器博物館は展示物も優美・繊細ですが、展示室自体がペルセポリスの列柱と神殿をイメージした形になっていたり、真珠を育む大きな貝をイメージしていたりと、なかなかにオシャレです。


展示物の中では、「歩き方」にも紹介されているのが「涙壺」
優美な曲線で首が長いガラス壺ですが、口がラッパのように開いています。

夫が戦地に赴いた妻が、夫の安否を心配し、この壺の口を目にあてて流れる涙を壺にためた・・・・とか。
時期的には18世紀と、展示物のなかでは非常に新しいものです。

愛情あふれる説明ではありますが、もちろん実際に使用した訳でもなく、愛情というよりユーモアを感じる作品です。

そこらの水をいれて、帰宅した夫に愛情をアピールする妻、ウソとはわかっていても否定しずらく苦虫をかみつぶした夫

あるいは、ウソでもいいから涙壺に水を貯めてほしい夫、そんなことに一切興味がない妻

コメディドラマのワンシーンを彷彿とさせる作品です。

日本人として興味があるのが、奈良・正倉院につたわるガラス器と同じ様式の器。
時期的にも5~7世紀ということですから、正倉院と重なります。

当然、ペルシャで作られた品物はシルクロードに乗って交易されましす、先述のような他国の進攻の際にも多くのイラン人が避難民として東西に逃れ、中国などにその文化を伝えます。

そしてシルクロード交易の繁栄を今に伝えるのがテヘランのバザールです。(テヘラン自体はサファヴィー朝に砦が築かれたのが街のはじめということですから、16世紀以降の比較的新しい都市です。ですから、本当を言えば、テヘランの大バザールはシルクロードの繁栄というより、イラン庶民のエネルギッシュな生活を支える場所と言うべきでしょう)

テヘランの大バザールは地図で見ても、東西・南北ともに1.5kmほどはある広さです。
バザールは風のとおりを計算して涼しくなるように作られているとは言え、40℃近い暑さのなかで人ごみのバザール内を歩くのは正直疲れます。(バザール入り口近い付近は非常に涼しく、冷房されているのか、店舗から冷たい空気が流れ出てくるのか・・・よくわかりませんでした。工夫を凝らしたバザールの構造のせい・・・ではないように思えました)

夕方近くまで散策できる時間的余裕はあったのですが、暑い中を歩くのも大変になり、早々に切り上げてホテルへ。しばし休憩後、これまた早々と空港に・・・ということで、このブログを書いています。

ただ、空港のフリーWiFiサイトがペルシャ語でアクセス方法がわかりません。
テヘランはあきらめて、乗換地のタイ・バンコクでアップすることになりそうです。


(イランではgooはアクセスできませんでした。帰国フライトの乗継地バンコクでようやく更新できるようになりました)
コメント

イラン  自由を求め、アメリカ文化大好きな国民の声を制約する内外の政治環境

2017-07-29 10:44:19 | 人権 児童
(イランではgooはアクセスできませんでした。帰国フライトの乗継地バンコクでようやく更新できるようになりましたので、遡ってアップしています)

(イラン北部ラシュト出身の3人組【2016年8月31日 神田大介氏 withnews】)

ギャル系・おしゃれ女子
7月28日 イラン観光5日目  イスファハーン観光
7月29日 イラン観光6日目  イスファハーンからテヘランへ移動 途中カシャーン観光

イスラム教の制約が重視されるイランでは周知のようにファッションにもいろいろ制約があります。

男性の場合は、欧米文化を象徴するネクタイは着用しない、肌を露出する半ズボンは避けるといった程度ですが、常に国内外で問題になるのが女性のファッションです。

女性の美しさの象徴である髪はスカーフで覆うこと以外にも、「首元(胸元)は露出させない」「ヒップラインを出さない」という不文律もあるようです。違反すれば、むち打ちの刑を科されることもあるとか。

こうしたドレスコードを厳格に守る場合、頭からすっぽりと体全体を覆う黒い布(チャドル)を着用する形となり、その黒ずくめのファッションを私は「カラス・ファッション」と呼んでいます。

日差しのきついこの時期、サンバイザーのようなつばを着用する女性もいて、横から見ると、そのつばが嘴のようにも見えて、ゆったりしたチャドルと併せて「ペンギン・ファッション」と呼んだ方がいいかも・・・・とも感じます。

ただ、自由で個性的なファッションを求める女性がこれで満足するはずもなく、上記のような「カラス」あるいは「ペンギン」は、首都テヘランの若い女性について言えば、むしろ少数派のように思えます。

もちろんスカーフは着用しますが、前髪を意識的に露出する(髪も、イラン女性は黒髪がおおいのですが、金髪・茶髪に染めている女性も多くいます)、あるいはスカーフは髪の後ろに引っ掛ける形で、髪のほとんどを露出するいった具合です。

服の色も黒ではなく、カラフルな色使い。

結果的に、黒ずくめの伝統的ファッションと、鮮やか・個性的なファッションが同居する形にもなりますが、後者は当局の取り締まりとも“駆け引き”のリスクを負うことにもなります。
(当局の取り締まり姿勢は、厳しくなったり緩くなったり、変化するようです)

そのあたりの女性ファッションについては「イランにもいるギャル系・おしゃれ女子 風紀警察と駆け引き」【2016年8月31日 神田大介氏 withnews】https://withnews.jp/article/f0160831004qq000000000000000W03510801qq000013913Aに画像とともに詳しく紹介されています。

実際、思わず視線が釘付けになるような思い切ったファッションの女性も少なくありません。
もちろん、伝統的なチャドルも、それはそれでエキゾチックな印象も・・・・セクハラ発言になりそうなので、この話題はこのあたりで。

街にあふれるアメリカ製品のコピー商品
先日、水タバコ抑制策によって、チャイハーネで楽しむことが難しくなっている・・・という話を紹介しましたが、当局が抑制したいのは水タバコといいより、チャイハーネ(茶店)自体であるとも。

それは、チャイハーネのようなところに大勢が集まって、政治を含むいろんな話をすることを嫌っているから・・・という指摘も。

確かに、戒厳令が出されるような国では、一定人数以上が集まることが禁止されますが、それと同じ発想でしょう。

イランは国際的にはアメリカと厳しく対峙する関係にあり、アメリカ製品を国内で手にするのは難しいのですが、実はイラン国民は“アメリカ文化が大好き”で、アメリカ製をパクったような商品が氾濫している、ただし、そういうなかにあってどこのレストランでも目にするコカ・コーラは本物で、その背景は・・・・という話も。

****@テヘラン)イラン人は実は米国文化好き? あの手この手で****
4月にイランの首都テヘランに赴任して、3カ月あまりが経った。反米国家として知られるイラン。だが、実際にテヘランで暮らしてみると、驚くほど米国製品やコピー製品と思われる商品を多く見かける。

電器店では米アップルのロゴマークが至る所に飾られ、携帯電話のiPhoneやアップル製のラップトップコンピューターが売られている。

スーパーにはコカ・コーラの製品があふれかえる。実はイラン人は米国文化や米国製品が大好きなのではないだろうか。
 
それでも、イランで米国製品を手に入れるのはハードルが高い。イランが核開発を大幅に制限する見返りに国際社会からの経済制裁を解除させた2015年7月の核合意後も、イランは依然として米国からテロ支援国家に指定され、経済制裁の対象。そのため特別な場合を除いては、米国企業はイランとの取引はいまだに禁じられているからだ。(中略)

米国文化の象徴ともいえるコカ・コーラも、イラン滞在中はお預けかなと思っていたが、こちらもスーパーなどで買い求めることができる。

調べてみると、こちらは輸入品ではなく、イラン北部の第2の都市マシュハドにある工場で生産された純正品だというのだ。79年のイスラム革命以後、米国企業が締め出されたのに、現在コカ・コーラをイランで生産できるのはなぜなのか。(中略)

イスラム革命の機運が高まりつつあった78年ごろ、コカ・コーラはイランから撤退。だが、イラン人からのニーズが強かったこともあり、1990年代、アイルランドにあるコカ・コーラの子会社から、コーラの濃縮原料を輸入し、イラン国内で製造するという「抜け道」を使ってコカ・コーラのライセンスがイラン企業に付与されたのだという。(中略)

コカ・コーラは生き残った一方で、マクドナルドやケンタッキーフライドチキン(KFC)といった米国の飲食店は今も出店ができていない。

明確に禁止する法律はないというが、高位の宗教指導者が最高指導者となる「イスラム法学者による統治」を採用するイランのイスラム体制では、マクドナルドやKFCといった米国企業のイラン進出は、宗教指導者が忌み嫌う西洋文化の浸透となり「米国支配の象徴」と見なされるからだ。

テヘラン中心部の高速道路沿いに立つ1軒のハンバーガーショップ。一見すると、ニューヨークに本店がある「SHAKE SHACK」(シェイク・シャック)そっくりだ。でも、よく見ると「SHEAK SHACK」(シーク・シャック)とある。

(中略)友達3人と一緒に来ていた医療系企業インターンのエラヘーさん(25)は「コピーした偽物の店でも、米国の雰囲気があるだけで私たちには魅力的よ。イラン政府は米国政府のことは嫌いだけど、私たちは米国文化が大好きだから」と笑顔で話し、おいしそうにハンバーガーをほおばっていた。
 
(中略)これだけではない。テヘラン市内でいわゆる米国ブランドをまねした店は枚挙にいとまがない。(中略)数え切れないほどだ。
 
大学生のハメッドさん(20)は「政治と文化は別だよ。本心ではみんな米国に旅行したいし、米国の文化に憧れている。いつか堂々と、米国企業がイランに来られるようになればいいのにな」と話す。

2年前の核合意後、テヘランにマクドナルドが進出するかもしれないとのうわさが流れただけで、ネット上の検索ワードで「マクドナルド」がトップになるほどの人気ぶりだ。

私も、日本では1カ月に数回はマクドナルドやサブウェイに行っていた。任期中にテヘランでビッグマックやサブウェイクラブを楽しめる日を心待ちにしている。【7月22日 朝日】
**********************

ハメネイ師のロウハニ大統領への恫喝
イランは、宗教的価値観を重視する聖職者、現体制における経済的既得権益を享受する革命防衛隊などの勢力と、穏健派とされるロウハニ大統領を支持してより自由な体制を求める人々の間の綱引きが展開されています。

今日、イスファハーンからテヘランに戻る際に、聖職者の街で、保守強硬派の牙城でもあるゴム周辺を通りました。

ゴム一体は非常に狭いながら行政区画が独立し、国からのいろんな資金が流れている、国の補助金によって物価が非常に安く抑えられている、イスファハーン方面からおいしい水を送るため、周辺では水は枯渇している、現在は聖廟にいたるモノレールが建設されている・・・等々、特別な権益を得ているようおです。

大統領職奪還に失敗した保守強硬派と自由を求める国民を基盤とするロウハニ大統領の間の関係は厳しさを増しているとの指摘も。

****イランで大統領と保守派が権力闘争、サウジでも前皇太子を軟禁に****
ペルシャ湾をはさんで対立するイランとサウジアラビアの石油大国同士の関係は悪化の一途を辿っているが、両国の内部ではそれぞれ権力闘争が激化し、中東情勢に暗雲を投げ掛けている。とりわけ、イランではロウハニ大統領の弟が逮捕されるなど深刻で、最高指導者を巻き込む対立に発展している。

ロウハニ大統領の実弟で、大統領特別補佐官のホセイン・フェレイドウン氏が司法当局に逮捕されたのは7月16日。同氏は逮捕後、体調を崩し、病院に搬送され、17日になって保釈された。同氏の容疑は「金銭をめぐる犯罪」に関与したというものだが、詳しくは明らかにされていない。
 
同氏は2015年のイラン核合意の交渉で重要な役割を担ったことで知られるが、警察や治安機関、司法当局を牛耳る保守強硬派が改革穏健派のロウハニ大統領にダメージを与えるため、かねてから目を付けていた人物でもある。「大統領を直接狙うという露骨なやり方をせずに、大統領に痛手を与える巧妙なやり方」(イラン専門家)だった。
 
保守強硬派はなぜ今、ロウハニ大統領に対して攻勢に出たのか。それは大統領が5月の大統領選挙の圧勝の勢いに乗り、保守強硬派の牙城である司法当局に対する非難を強め、これに同派が危機感を深めたことにありそうだ。

大統領は司法当局が恣意的な逮捕と残虐行為の歴史を繰り返してきたと批判し、同国で最強の治安機関であり、聖域とされてきた革命防衛隊の経済的な不正にさえ、言及した。
 
「国内の自由度を拡大し、西側への開放政策を推進する」という大統領の姿勢は最高指導者ハメネイ師の反発も呼んだ。ハメネイ師は6月、政治家らの集会の席で、ロウハニ大統領に対し、イラン最初の大統領バニサドルと同じ運命をたどることにならないよう警告した。
 
バニサドルは革命直後の大統領だったが、保守派聖職者らと対立して弾劾され、女装して空路脱出し、フランスに亡命した。ハメネイ師はこれまで、ロウハニ師に時折歯止めを掛けながらも、イラン核合意などを支持してきたが、亡命した大統領を引き合いに出しての叱責は初めてだ。(中略)

つまりは大統領の実弟の逮捕と、米研究者の有罪判決はロウハニ大統領と保守強硬派との権力闘争が激化していることを明るみに出したもので、革命防衛隊や司法当局の逆襲が始まったと見ていいのでないか。

重要なのは、大統領の言動を結果的に容認してきたハメネイ師が“ロウハニ離れ”を明確にし始めたことだ。
 
イラン核合意を非難してきたトランプ大統領はイランが合意を順守していることを渋々認める一方で、イランの弾道ミサイル発射実験に対してこのほど、新たな制裁措置を科し、イランへの圧力を強化。

だましだましイランの自由化を進めてきたロウハニ大統領にとっては、こうした米国の動きは自らの立場を弱め、保守強硬派を勢いづかせるものに他ならない。(後略)【7月28日 佐々木伸氏 WEDGE】
**********************

【危機を助長・加速するイラン保守強硬派とアメリカ・トランプ大統領】
イラン嫌いのトランプ大統領はサウジアラビアに肩入れして、中東での両国の対立を煽っていいます。

**********************

トランプ政権の対中東政策は一言で言うと、バランスを欠いています。

サウジを、「価値を共有する同盟国」などと持ち上げています。サウジは基本的人権を尊重するよりも、イスラム原理主義に基づく国であり、トランプのこういう発言がどこから来るのか、理解に苦しみます。あえて比較すればということですが、サウジよりもイランの方がまだ民主主義的です。
 
トランプのサウジ贔屓がサウジのイラン嫌いと共鳴し、イランを敵視することにつながっているのですが、これは感心しません。カタール孤立化をサウジなどがやっていますが、これもトランプの支持を得た上でということのようです。
 
中東は複雑に諸勢力が入り混じってそれぞれの利益を追求している地域です。紛争は数多く起こっています。米国は、紛争当事国より少し距離を置いて、中東安定化を進める仲介役になる方が中東の安定に資するのではないかと思われます。

ところが、トランプは中東の諸勢力を敵味方に二分する単純な思考で複雑な情勢に対処しようとしています。これでは失敗の可能性が高いです。失敗した時に、さらなる介入になるのか、あるいは「あとは野となれ山となれ」の介入縮小になるのか、今の時点で判断できません。【7月28日 WEDGE 「バランス欠くトランプの中東政策」】
**********************

イラン内部の保守強硬派もアメリカとの緊張激化は望むところです。
ペルシャ湾では、危機を望む両者の危険なゲームが繰り広げられています。

****米海軍がイラン艦船に接近し警告射撃、革命防衛隊****
イランの革命防衛隊は29日、中東のペルシャ湾を航行していた同隊の巡視船が、接近してきた米海軍に警告射撃をされたと発表し、挑発的な行動だと非難した。
 
革命防衛隊によると、28日午後4時(日本時間同日午後8時30分)、防衛隊の艦船がペルシャ湾で米海軍の原子力空母ニミッツと護衛艦の艦隊を監視していたところ、米海軍は付近の油田・ガス田近くにヘリコプターを飛行させ、防衛隊の艦船に接近し、警告を発して照明弾を発射したという。防衛隊はこれを「米国による挑発的かつ非プロフェッショナルな行動」と非難している。
 
革命防衛隊は、米艦艇がとった「異例の行動を無視」して任務を続け、その後、米空母艦隊は現場海域を離れたという。
 
ペルシャ湾では数か月前から、米軍とイラン革命防衛隊との異常接近が頻発している。25日にも、革命防衛隊の艦船が米海軍に急接近したとして米海軍の艦艇が警告射撃を行う事態が発生した。【7月29日 AFP】
***********************

自由を望むイラン国民の声を押しつぶしかねない国際関係悪化は憂慮すべき状況です。
コメント

イラン  力による制約を超えて緩やかな改革に向かう流れ

2017-07-28 10:52:43 | イラン
(イランではgooはアクセスできませんでした。帰国フライトの乗継地バンコクでようやく更新できるようになりましたので、遡ってアップしています)


(「エスファハーンは世界の半分」と、その繁栄・美しさが賞賛されたイスファハーンを代表する「エマーム広場」 

日中の40℃にも達する暑さが峠を越して、やや過ごしやすくなった夕刻、大勢の市民が広場に集まり、家族・友人らと芝生の上で食事を取ったり、噴水の涼を楽しんだり、思い思いの時間を過ごします。


「宗教国家」といった類のイメージとは無縁の、穏やかな市民生活です。)


トイレ、水タバコ・・・生活に介入する宗教主導の支配体制

7月27日 イラン観光4日目 

ゾロアスター教の街(だった)ヤズドからイスファハーンに移動


****イスファハーン****

古くからの政治・文化・交通の拠点であり、16世紀 末にサファヴィー朝 の首都 に定められ発展した。

当時の繁栄は「エスファハーンは世界の半分」と賞賛され、この街を訪れたヨーロッパの商人も繁栄の記録を残している。

イラン人にとってエスファハーンは歴史的・文化的に重要な町であり、町の美しさは「イランの真珠」と例えられる。【ウィキペディア】

********************

世界遺産でもある優美・壮麗なモスク・広場などの観光については、別途旅行記サイトにアップするとして、今回旅行中、ちょっと気になっていたことがあります。

男性用トイレに、小便用の便器(いわゆるアサガオ)がなく、個室だけしかないことです。

確認したところ、「イラン革命」以降、立って用をたすのはイスラムの教えに反するということで、和式のしゃがみ込む形のトイレだけになったとか。

イスラム原理主義的な制約で何かと生活が窮屈になるのはアフガニスタンの旧タリバン政権でもよく見られることですが、トイレの様式まで及ぶとは驚きでした。

いろんな国を観光する際、美しい民族衣装の女性らによる伝統舞踊を楽しむことが多いのですが、イランはそういうショーはやっていないのか尋ねたところ「今の体制ではあまり音楽・舞踊は推奨されていないので・・・」とのこと。

たしかに・・・・うっかりしていました。

しかし、そういう抑圧的な政治状況にあっても、そうした圧力をはねのける形で、イランの音楽水準は世界的にみても非常に高いレベルを達成しているとも。

イランではお茶やコーヒーを楽しむ「茶店」をチャイハーネと呼びます。

イスラム圏のそうした「茶店」では、多くの男性が水タバコをのんびりくゆらしている光景を目にします。

そんなことで、何気なくチャイハーネで水タバコを吸いたい・・・と要望すると、ちょっと困った様子も。

地元の人に確認して「2,3か所吸えるところがある」とのことで、事前に連絡して用意してもらうことに。

たかが水タバコなのに、どうしてそんな大げさな話になるのか・・・ここ数年政府が水タバコへの圧力を強め、ほとんどのチャイハーネでは水タバコを出さなくなったとか。(健康志向なのか、イスラムの教えの問題なのかは知りませんが)

紹介されたチャイハーネに向かいお茶を飲んでいても、一向に水タバコが出てきません。

確認すると、水タバコは店内ではなく、別の場所で吸ってもらうとのこと。

そこで隣の倉庫みたいな場所へ移動すると、奥に水タバコを楽しめるスペースが。

それにしても、隠れた奥まった場所で密かに・・・・なんて、まるで戦前の上海のアヘン窟みたい・・・といった感も。

私ら以外にも客がやってきますので、そんなに秘密めいたものでもないのでしょうが、やはり大っぴらに営業するのは差し障りがあるようです。

私らが出た後、その倉庫かガレージみたいな場所は戸が閉められ、外から南京錠がかけられました。まだ中に客がいたように思うのですが。


増大する人々の不満は力では抑えきれない域に

息苦しさが増す生活に対する人々の不満が爆発したのが、2009年のアフマディネジャド氏の大統領再選のときでした。

1期目の選挙のときは人々の政治への関心はあまり高くなく、非常に低い投票率の選挙でアフマディネジャド氏が当選(その選挙への疑惑もありますが)。

しかし、同氏のトランプ大統領並の言動に人々もあきれ、再選を目指した選挙では多くの人々が投票を行い、同氏への抗議を示したそうです。

しかし、通常なら深夜まで延長される投票時間もすぐに打ち切られ、いつになく早く発表された開票途中経過では事前の予想に反して同氏がリード。そして、そのまま再選確定という結果発表に、選挙の不正を訴える人々が抗議のデモを起こしました。

これに対し治安当局は水平実弾射撃で鎮圧、死者を出す混乱状態になります。

結果的に抗議デモは力で抑え込まれ、イラン民主化運動は潰された・・・・というのが、日本を含めた欧米の一般的理解ですが、イラン国内にはやや異なる評価もあるようです。

確かに、抗議行動が力で封じ込まれたのは事実ですが、体制側もこれ以上人々の不満を力で封じ込めることへの危機感・限界を強く感じ、その後は、緩やかな改革へ向かう流れも生じたとのことです。

改革に向かう流れは、現在の穏健派ロウハニ体制の形で続いており、未だ抵抗勢力(宗教保守層、革命防衛隊などの勢力)の力は強いものの、後戻りを許さない社会の流れとなっている・・・・今後、イランは更に自由な社会を実現できるだろう・・・・という観測(期待?)も。

【依然として続くアメリカとの対立 危機を歓迎する勢力も】

ただ、後戻りしないかどうか、今後順調に改革へ向かうのかそうかは、外部環境、特にアメリカとの関係にもよります。

イランにしても、アメリカにしても、平和な関係よりも、衝突の危機を演出した方が、その存在感をアピールできる勢力、自らへの疑惑の目をそらすことができる勢力が存在します。

対立が激化し、敵対勢力に対抗することが最優先課題となれば、改革へ向けた緩やかな流れも頓挫します。

****米哨戒艇、ペルシャ湾でイラン艦艇に警告射撃****

中東のペルシャ湾で25日、米海軍の沿岸哨戒艇が接近してきたイラン革命防衛隊の艦艇に警告射撃を行った。当局が明らかにした。

米海軍の声明によると、米哨戒艇「サンダーボルト」はイランの艦艇に繰り返し無線で交信を試みたものの、応答がなく、照明弾や警笛も無視された。その後137メートル以内に接近してきたため、警告射撃を実施したという。

声明ではイラン艦艇の行動を「国際的に認められている交通規則にも海上の慣例にも従っておらず、衝突の危険を生み出している」と批判。「不用意で職業規範に背く」と警告している。

米海軍は当時の状況を映した動画の一部を公開。マシンガンでの2度の射撃音も聞こえる。

一方、イラン革命防衛隊は米哨戒艇がイランの艦艇に接近してきたと主張し、米国による「挑発と脅し」を非難している。

両国の間では今年1月にも、ペルシャ湾につながるホルムズ海峡で、米海軍の駆逐艦「マハン」が高速で異常接近してきたイラン革命防衛隊の艦艇4隻に警告射撃を行っている。【7月26日 AFP】

*********************


****イラン、新型ロケット試射成功****

イランは27日、国産新型ロケットの発射実験に成功した。タスニム通信が伝えた。人工衛星の輸送が目的としているが、弾道ミサイルへの技術転用の懸念もあり、イランに強硬な米国の反発を招く可能性がある。



ロケットは名称「シモルグ」。ロケットの開発・打ち上げなどを一元管理するために27日開設された「イマーム・ホメイニ国立宇宙センター」で実験が行われた。最大250キログラムの衛星を上空500キロメートルの軌道まで輸送できるという。



米政府は18日に弾道ミサイル開発などを理由に対イラン追加制裁を科したばかり。一方、デフガン国防軍需相は22日、戦闘機や巡航ミサイルを標的にできる新型ミサイルの生産開始を発表していた。【7月28日 時事通信社】

************************





コメント

イラン  民族のアイデンティティーとしてのペルシャの歴史 イラン発祥のゾロアスター教

2017-07-27 19:10:48 | イラン
(イランではgooはアクセスできませんでした。帰国後、遡ってアップしています)


(ナグシェ・ロスタムの有名なへレリーフ「騎馬戦勝図」 捕虜となったローマ皇帝と馬上のササン朝ペルシャのシャープール1世)


中央集権的専制国家アケメネス朝ペルシアの評価
7月26日 イラン観光三日目 今日はタフな1日でした。


朝7時過ぎにシラーズのホテルを出発、近郊に位置するアケメネス朝ペルシアの栄華を今に伝えるペルセポリスの遺跡を観光、その後、アケメネス朝の王の墳墓でもあるナグシェ・ロスタム、アケネス朝最初の都パサルガタエを回ります。


その後、ザクロス山脈及び砂漠地帯を超えてヤズドへ。

ヤズドではゾロアスター教の鳥葬施設であった「沈黙の塔」を観光したのち、市内に点在するゾロアスター関連施設、イスラム関連施設、ササン朝ペルシア当時の街並みを残す旧市街散策、更ににはイラン伝統の身体鍛錬術でもあるズールハーネも見学・・・・食事を終えてヤズドのホテルに入ったのが9時半頃。


詳しい観光内容は帰国後に旅行記サイトにアップするとして、今日見聞きした話などをアトランダムに。

もちろん“独断と偏見”であり、一般的考えではないかも。事実とは反するものもあるかも。

ただ、そうした考えの一部に着目すべきものもあるようにも思えます。


紀元前6世紀頃~同4世紀のオリエント世界統一王朝でもあるアケメネス朝ペルシアの壮大さは、祭礼都市ペルセポリスの威容、特に階段レリーフに描かれたペルシャ王に贈り物を献上するイラン、中央アジア、インド、イラク、トルコ、エジプト、リビア、エチオピアなどに至る多くの属国使者などを見れば明らかです。

しかし、同時期に西欧文明の基盤を築いたギリシャ文明が栄えたこと、そのギリシャがはぐくんだ民主主義に対し、アケメネス朝ペルシャはオリエントの中央集権の専制国家であったということから、どうしてもペルシャは歴史において“脇役”的な立場にあります。


高校教育の世界史にあっても、アケメネス朝ペルシャが登場するのはギリシャに進攻して「ペルシャ戦争」で敗れたとか、アケクサンダー大王の東征で崩壊した・・・・という文脈が多く、ペルシャの統治がどのようなものであったkについては、あまり多くは触れられません。


「王の道」と呼ばれる道路整備、「王の目、王の耳」と呼ばれた監察官制度を確立したことで世界規模の中央集権国家を実現したことぐらいは「世界史」教育でも出てくるかとは思いますが、例えば「王の道」ひとつにしても、そのスピード感から世界初の銀行制度や郵便制度を可能にしたことなどは、あまり触れられることもないように思えます。


また、専制国家というと一般国民を虫けらのように扱うイメージがありますが、キュロス2世やダリウス1世の統治はかなりの“善政”であったとも。


ペルセポリスの女性奴隷は、出産時には3か月分の給与を与えられたとか・・・・給与がある時点で“奴隷”とは異なりますが、国会議員の産休取得がバッシングを受ける国と比べても・・・


「バビロン捕囚」で強制移住を強いられていたユダヤ人を解放したのもキュロス2世ですし、バビロニアの有力者は、みずから進んでキュロス2世の統治を受け入れたとか。


版図を拡大したダリウス1世も被征服民族に対する寛容政策をとり、固有の言語・文化・慣習などを認めたとか。


技術・文化水準の高さはペルセポリスの遺跡を見ればよくわかりますが、列柱建設には“滑車”を使用していたようです。


上下水道が整備されたペルセポリスには美しい庭園がつくられ、その庭園「パルディス」(? 正確な発音は忘れました。)が、その後のインド・アーリア語族における天国「パラダイス」の語源となったように、多くの言葉の語源が当時のペルシャ語にあるとか。


王権強化だけが突出した冷酷な政治体制としの専制政治イメージとは大きく異なるものがあるようです。


そうした古代より世界文明の中心に位置していた・・・という民族的誇りが、前回ブログでも取り上げた「イランはイスラムではない」という発想の源流にあるようです。


アケメネス朝ペルシャからさらに遡れば、メソポタミア文明を築いたシュメール人も、イランからイラクの地域に移住した人々であるとかで、イランのペルシャ文化との共通性もあるようです。


柔軟なゾロアスター教
ヤズドはかつてはゾロアスター教徒の街でしたが、アラブ進攻以降の長年のイスラム化政策で、現在はゾロアスター教徒はごくわずかにヤズド旧市街付近やテヘランに暮らすだけとか。


キリスト教やイスラムなど多くの宗教の源流ともなったゾロアスター教の教えは非常にシンプルで、この世は善と悪との戦いであるが、やがては善が勝利する。それまで人々は悪を断ち切るため、良いことを考え、良い言葉を使い、良い行いをしないといけない。何が“良い”かは自分が決める・・・・といった考えとか。


戒律や原理的な思考で固まったイスラムなどその後の宗教にくらべフレキシブルとも言え、現在イランではイスラムを嫌い、イラン固有で柔軟な宗教ゾロアスターへ改宗する若者も多いとか。(もちろん、イスラムにあって“改宗”は公には認められませんが)


なお、ゾロアスターの神が手にしているリングは約束・誓いを示すもので、“指輪”の習慣の起源ともなった・・・・とか。


イラン・イラク戦争の記憶
シラーズからヤズドへ移動する道路脇に、若い男性の顔写真が交通標識のような感じでたくさん並んでいます。

イラン・イラク戦争の犠牲者で、この若者ら犠牲があったから今のイランがあるとか。


イラン革命の混乱期にサダム・フセインのイラクの進攻に直面したイランは、ミサイルなど武器もなく、アメリカなど世界はみなイラクを支援するなかで孤立無援の戦いを強いられ、それでも血の犠牲でバグダッドに迫るまでにもなったが、フセイン・イラクは化学兵器を使用してイラン側に多大な犠牲が出た・・・・。


このときのミサイルも何もなかった口惜しさが、その後のミサイル(核?)開発のもとになっているとも。
コメント

イランはイスラムではない・・・・とは?

2017-07-25 17:56:21 | イラン
(イランではgooはアクセスできませんでした。帰国後、遡ってアップしています)


(イラン・シラーズの「ナスィーロル・モスク」、通称「ローズモスク」 その名のとおり、壁面全体にあでやかなピンクのバラの絵が描かれた、イスラムモスクとしては異例の装飾美のモスクですが、ステンドグラスの美しさが非常に有名なモスクでもあります。早朝の日差しが奥まで差し込む時間帯は、特にステンドグラスの織りなす万華鏡のような色彩が鮮やかだそうです。私が訪れた時間帯では、差し込む日差しは短くなっていましたが、それでも足を止めるのに十分な美しさでした。)


【イラン観光二日目】

首都テヘランから飛行機で「バラと詩人の街」シラーズに移動。

シラーズは美しい庭園や世界的に有名な詩人の廟などで有名な街ですが、古代ペルシャ帝国の都ペルセポリスの遺跡観光の基地でもあります。

今日はシラーズ市内の「ローズモスク」や「コーラン門」などを観光し、昼食後にいったんホテルに入り休憩しています。夕方からバザールやいくつかのスポットなどを観光予定です。

お昼前でも気温は39℃、午後には40℃を超える暑さ。日本のように湿気がないので幾分過ごしやすいとは言え、日差しは強烈です。

テヘランもそうですが、シラーズも標高は1500m前後の高地にありますので、紫外線も山頂のように半端ないものがあるでしょう。

そんな訳で午後はホテルで休憩し、夕方、気温が下がり始めた頃に再度観光に出かける予定です。

ペルセポリスは明日早朝に観光して、そのままゾロアスター教遺跡もあるヤズドへ車移動します。

シラーズは強い日差しが育てるブドウからつくるワインが有名とか。

でも、イスラムではアルコールは禁止されているのでは?

そうした疑問に対する答えが「イランはイスラムではない!」というもの。

アラブ世界との戦いに敗れたため、イスラム教を信仰するようにはなっているが、イスラムはイランの本質ではなく、イランをつくっているのは、明日行くぺルセポリスに象徴されるようなペルシャの歴史・文化である・・・・という話のようです。

確かに、民族的にもイランはアラブ系ではありません。

そんなことで、イラン社会・文化はアラブ・イスラム国のようにイスラムに強く縛られてはいない、4割ほど人はお酒も飲むし、結婚式などでは必ずワインがふるまわれる・・・・とのこと。

イスラム教徒の特徴とされるメッカの方向を向いてのお祈りも、行っているのは1割ぐらいではないか、ラマダンの断食も8~9割は実行していないのでは・・・とも。

アラブではモスクが近い住宅は価格が高いが、イランではアザーンがうるさいので逆に安くなるとも。

それでも、昨日取り上げた「イラン革命」の頃はまだ信仰心もそれなりに強かったが、イスラム主義の息苦しさ・問題に人々が気づくにつれて、イスラム信仰もかつてのような規制力を持たない状況にもなっているとのこと。

もちろん、最高指導者ハメネイ師を頂点とする体制は、宗教を基軸とした社会形成に努めてはいるが、イラン国民の望むものとは異なっている。

体制側としても、もはや人々のそうした気持ちを力づくで抑えることはできない。

選挙前ひと月ほどは選挙への関心をたかめるためTVでの議論が比較的オープンになるが、今年行われた大統領選挙では、これまでになく体制維持を図る保守強硬派への批判がTV上で飛び交うことにもなった。

ただ、体制批判デモのような示威行動はまだイランではできない。

こうした見方・考えがどこまで一般的かは知る由もありませんが、宗教国家とも評されるイランにあって、「イランはイスラムではない」というのは非常に印象的でした。






コメント

タイ  管理志向を強める軍政 超法規的強権行使も 新国王・タクシン元首相は?

2017-07-23 13:24:43 | 東南アジア

(こういう屋台も姿を消すのでしょうか? 衛生面や言葉の問題で路上屋台で食べることはあまり多くありませんが、街の雰囲気としては寂しくなるような感も 画像は【http://www.e-asianmarket.com/bkkfood/bkkyatai01.html】)

バンコクで乗継時間が11時間
タイ・バンコクのスワンナプーム空港にいます。現地時間で午前9時、日本時間で午前11時。

イラン観光に向かう途中ですが、バンコクで11時間の乗り継ぎ時間があります。(安いチケットなので・・・・)

予定では10時間だったのですが、どういう訳がやけに早くバンコクに到着(午前4時)し、ただでさえ長い待ち時間が更に長くなりました。

バンコク市内に出て、観光でも・・・・と考えていたのですが、あてにしていた空港内のトタンジトツアーカウンターが見当たりません。

自力で市内に出るとなると、何かと面倒ですし、時間を気にしながらというのも・・・・
初めての街なら、興味の方が先に立つのですが、何回か訪れているバンコクだと、面倒な感が先に。

それに、4時、5時となると真っ暗で観光も何もありません。深夜のフライトで眠いし・・・。

なんだかんだで気持ちも萎えてきて、結局空港内でグダグダすることに。いつもの優柔不断です。

何とか5時間潰しましたが、まだ6時間あります。横になれるイスはあるのですが、空港内は寒くて、1時間も寝ていると凍えてきます。案内の放送もうるさいし。

物価が高騰するバンコクで、日本からの年金移住高齢者が苦境に
飲食も、空港内の価格は非常に高く、貧乏人はひるんでしまいます。
水500mlボトルが2ドル、約230円! 

街中なら10分の1で・・・とも思うのですが、最近はバンコクの物価が非常に高くになり、安い物価をあてにしていた日本からの高齢者移住者の中には生活に行き詰る人も少なくないと聞きますので、“タイなら安いはず”というこちらの感覚がズレているのかも。街の格安屋台も一掃されるようですし。

まあ、ネットはつながるし、電源もありますので、こんなブログ更新などにはうってつけです。

****タイで優雅な年金生活」の夢が破綻、大惨事も*****
物価高騰のバンコクからチェンマイ、チェンライへ、しかし・・・

「世界一の屋台街」(米CNN、2016年)として知られるタイの首都バンコクから屋台が消える――。

今年末までに、衛生と秩序の両面から、バンコク首都圏庁(BMA)がバンコクの主要な道路から食べ物などを販売する露天商を退去させると発表した。

「タイ文化が消える」と世界の旅行者に衝撃を与えているが、中でもショックを隠し切れないのは日本からタイに移住してきた貧困に喘ぐ日本人年金生活の高齢者だ。

東南アジアは日本人高齢者の移住先として人気だが、中でも世界的な観光地としても知られるタイは「イスラム教国で、シンガポールに次ぎ物価の高いマレーシアや、治安の悪いフィリピンに比べ、日本と同じ、仏教国という意味でも根強い人気がある」(大手旅行会社関係者)という。

優雅な年金生活を夢見たものの・・・
物価が安く、日本から近く、さらに一年中温暖な気候に恵まれ、日本食にも事欠かない、と、“優雅なタイでの隠居暮らし”を夢見てリタイア後、タイに移住して来る人は後を絶たない。

しかし、「タイは物価が安く、日本より優雅な生活ができる」という空想の夢物語は、数年前のお話。今、タイでは物価が高騰し国民生活を直撃、大きな問題となっている。

特にバンコクは深刻で、想像以上に激しい物価高騰で年金生活者の日本人高齢者は生活難に陥り、「リタイアリッチ」の夢は「リタイアプア」の現実に取って代わった。

日本を去らざる得ない理由があったり、リタイアリッチを豪語して日本を去った手前、今更日本にも帰れず、夢打ち砕かれ、身寄りのない異国で孤独死するケースも珍しくなくなってきた。

そもそも物価高騰の最大の原因は、2012年、インラック政権(当時)が実施した最低賃金の引き上げ。人件費高騰に伴い、物価も急上昇した。また、日本人の場合、昨今の円安傾向が状況をさらに悪化させている。

例えば、バンコクでラーメンを注文した場合、数年前であれば200バーツ(約700円)ぐらいだったのが、今では300から400バーツ(約1000円から約1300円)と、2倍近くにまで跳ね上がっている。

バンコクでもお馴染みの和風居酒屋や和食レストランでも、お酒が入ると1人当たり平均、2000~3000バーツ(約7000円から約1万円)もする。(中略)

ましてや、リタイアプアにはラーメンや日本食は高嶺の花。激安の屋台街に繰り出しても、屋台も麺類などが20~30バーツ(約70円から約100円)だったのが、今では50バーツ(約170円)に値上げされている。

もし計画通り年末までにバンコクの主要道路で露天が撤去されれば、日本人の貧困高齢者の生活は一層困窮することになる。(後略)【6月30日 末永恵 JB Press】
********************

お堅い軍政 屋台だけでなく不法移民も一掃 仏教界も管理 身内の軍部は?】
タイ軍政は屋台だけでなく、不法就労者も一掃するつもりのようですが、アメリカ経済が不法移民に依存しているように、タイも・・・ということで、混乱も惹起しているようです。

****数万人出国、タイ混乱 不法就労の罰則強化延期****
タイで軍事政権が不法就労者への罰則を強化し、摘発を恐れたミャンマー人やカンボジア人ら数万人が一斉に帰国する混乱が起きている。

タイでは不法就労を含む低賃金の外国人労働者に頼る業種や企業が少なくない。批判を受けて軍政は急きょ、適用を来年1月からに先延ばしした。
 
6月23日から適用になった新たな罰則は、不法就労が発覚した場合、雇用者に労働者1人につき最高で80万バーツ(約270万円)の罰金を科すなどの内容。これを受け、6月下旬の約1週間で、ミャンマー人やカンボジア人ら数万人が出国する騒ぎになった。
 
軍政側は、罰則強化の理由を「人身売買問題への対応」と説明する。不法就労の放置が強制労働や人身売買の温床になっているとの批判があり、米国が6月27日に発表した世界の人身売買をめぐる報告書でも、タイは人身売買撲滅に向けた最低基準を満たしていないと評価された。
 
だが、低賃金の外国人労働者らに依存してきた漁業や建設業、零細企業などからは一斉に不満の声が上がった。タイには少なくとも300万人以上の外国人労働者がいて、そのうち不法就労者は100万人を超えるとみられているが、実数は分かっていない。
 
漁業組合関係者は「罰則強化には、とてつもない副作用がある」と反発した。労働許可の手続きが煩雑で費用が高いことも不法就労を招く一因だとし、就労システムも改善しなければ「根本的解決にはつながらない」との声も上がる。
 
すでに4万人以上が帰国し、「性急すぎる」などと政策に批判的だったミャンマーには急きょ、タイの労働相が訪問し、対応を協議した。
 
軍政は批判も考慮し、今月4日に罰則強化の先送りを決定。今後、内容をさらに検討するとしている。【7月12日 朝日】
**********************

“タイは人身売買撲滅に向けた最低基準を満たしていない”とのことですが、軍内部にも最悪の人身売買に関与する者もいます。

****ロヒンギャなどの人身売買に関与、軍幹部ら62人に有罪判決 タイ****
タイの刑事裁判所は19日、ミャンマーのイスラム系少数民族ロヒンギャやバングラデシュからの移民の人身売買に関与した罪に問われていた陸軍中将、警官、政治家を含む被告62人に有罪判決を下した。
 
タイの軍事政権は2015年5月、ロヒンギャなどの移民をタイ南部からマレーシアに送り込み大金を得ていた当局者らと人身売買組織の取り締まりを強化。身代金目的で密林の中に拘束されていた移民もいた。
 
取り締まりにより東南アジア全域の危機的な状況が明るみになった。拘束されて密林に放置された大勢の移民が飢えやマラリアで死亡。また海上では船に詰め込まれた移民がタイ、マレーシア、インドネシアの沖合に漂着したものの、上陸を拒否される事態も起きていた。
 
19日に有罪判決を受けた62人の中で最も高位の陸軍中将マナス・コンパン被告は、複数の人身売買の罪などで禁錮27年を言い渡された。タイでは、軍幹部が収監されることはおろか、裁判にかけられることも非常にまれ。
 
この他、密林に設けられた移民の収容施設に関わっていたミャンマー国籍の被告に禁錮94年、少なくとも17人に70年以上の禁錮刑が言い渡された。ただタイでは、受刑者が服役するのは最長50年と定められている。【7月20日 AFP】
**********************

腐敗は軍部だけでなく、国民から篤い信頼を受ける僧侶の中にも。

*****ぜいたく僧侶」を逮捕=米から送還、詐欺など疑い―タイ****
タイ捜査当局は、僧侶らしからぬ派手な暮らしぶりから「ぜいたく」と批判を浴びていた男を、マネーロンダリング(資金洗浄)や詐欺などの容疑で逮捕した。検察当局が20日発表した。容疑を否認しているという。
 
男はウィラポン・スクポン容疑者(37)。2013年、高級ブランド「ルイ・ヴィトン」のバッグを持ち、サングラス姿で自家用ジェット機に乗り込む姿が動画投稿サイトに掲載されたのをきっかけに、少女との淫行などさまざまな疑惑が浮上。僧籍を剥奪されるとともに、逃亡先の米国で身柄を拘束された後、タイに送還され19日夜に帰国した。
 
地元メディアによると、タイの民事裁判所は20日、ウィラポン容疑者の詐欺容疑などに関連し、同容疑者ら8人の約4300万バーツ(約1億4000万円)相当の資産差し押さえを認めた。資産には高級車や土地、建物が含まれ、裁判所は「違法な活動」で取得したと判断したという。【7月20日 時事】 
*********************

タイにおいては、仏教徒の男子はすべて出家するのが社会的に望ましいとされており、出家行為が社会的に奨励される傾向にありますので、世俗と僧侶の間の垣根も低く、ある意味では俗世間のいろんなもの・人物が僧侶の中に流れ込むことにもなります。

そんなこともあって、僧侶の麻薬・犯罪履歴をIDカードで管理する・・・という話にモなっているようです。

****タイ、僧侶にデジタルIDカード発行を計画 犯罪歴確認のため****
タイの仏僧たちに対して、麻薬の使用や犯罪歴を記録・確認できる「スマートIDカード」が、近く発行されることになりそうだ。相次いでスキャンダルを起こしているのイメージ回復が狙いだという。
 
タイに約30万人いるとされる僧侶たちは国民から敬意を受けているが、ここ最近は性や麻薬にまつわるスキャンダル、寺院内での殺人事件などが明るみに出ており、軍事政権は仏教界の体制立て直しを望んでいた。
 
首相府の高官が13日、報道陣に対して明らかにしたところによると、タイの僧侶らは紙の身分証は所持しているが、「情報が古いため、経歴を確認するのが困難になっている」という。
 
新しく発行されるデジタルIDカードによって僧侶の最新の経歴のほか、犯罪歴や麻薬使用などの情報も確認できるようになる。
 
首相府はこの措置の狙いについて、「偽の僧侶が仏教を悪用したり、また素行不良者が法衣で違法行為を隠蔽(いんぺい)するのを防ぐこと」だと説明している。【7月14日 AFP】
****************

屋台・不法移民を一掃し、僧侶も管理し・・・と、お堅いのが好きな軍政のプラユット暫定首相ですが、軍内部の不正一掃に取り組む考えはないのでしょうか?

超法規的権限行使の強権体質 社会に息苦しさも
軍政の管理体質は、社会・体制批判を許さないという形での強権行使という側面もあります。

****不敬罪反対の活動家拘束=超法規的権限を行使―タイ軍政****
タイで不敬罪に反対する活動を行っている男性が2日、軍事政権当局に身柄を拘束され、軍施設に連行された。地元メディアが3日、親族の話として伝えた。
 
地元メディアによると、捕まったのはジャルーンチャイ・セタン氏(60)。首都バンコクの自宅で約10人の兵士に拘束された。兵士らは拘束の際、暫定憲法44条に基づく措置だと説明したという。

同条は、プラユット暫定首相が兼務する国家平和秩序評議会(NCPO)議長に超法規的権限の行使を認めている。【7月13日 時事】 
********************

社会全体に“息苦しさ”が漂う感も。

****表現の自由制限「息苦しい状況」 タイの映画監督****
東南アジア諸国連合(ASEAN)設立50年に合わせ、東京・六本木の森美術館と国立新美術館で、「サンシャワー 東南アジアの現代美術展」が始まった。

出展アーティストで世界的に著名なタイの映画監督、アピチャッポン・ウィーラセタクン氏(46)が来日し、軍事政権下で表現の自由が狭められている現状を語った。
 
今回、体長8メートルの白象のモニュメントを初出展。アピチャッポン氏は「寝ているのか死んでいるのかわからない象は国の破綻(はたん)をも表している。議論を呼ぶきっかけにしたい」と話した。
 
タイの状況について、「権力の乱用がはびこり、政治状況は悪くなっている」と指摘。周囲の芸術家も、軍部から尋問を受け、政治的な活動に従事しないことを求められているという。「息苦しい状況だが、創作の原動力にもなっている」とも語った。「サンシャワー」展は10月23日まで。【7月13日 朝日】
********************

新国王、タクシン元首相の動向は?】
お堅い管理志向のプラユット暫定首相・軍政と奔放な生活を続けてきた新国王のそりが合うのかも、タイの不安定要因です。

****王室資産管理責任者に側近=タイ国王が任命****
タイのワチラロンコン国王は、王室資産の管理・運用を監督する王室財産委員会の委員長に、国王側近のサティポン国王秘書官長(空軍大将)を任命した。17日付の官報で公示された。
 
王室の資産は土地開発事業や企業への投資などで運用されており、その額は400億ドル(約4兆5000億円)以上ともいわれる。

王室財産委員会の委員長にはこれまで財務相が就任する決まりだったが、17日に施行された新法では国王が自由に指名できるようになるなど、王室資産に対する国王の権限が強化された。【7月18日 時事】
******************

空軍大将ということは、ワチラロンコン国王の側近勢力で、プラユット暫定首相などの軍政主流派とは軍内部の権力闘争も噂される勢力のようです。

新国王、新国王に近い軍の新興勢力、更にタクシン元首相がつながると、軍主流派による軍政とののっぴきならない対立も・・・・という話は、以前も取り上げたところです。

その最大の不安定要因でもあるタクシン元首相については、軍政側は欠席裁判で追い込むつもりのようです。

:*****タクシン氏の欠席裁判に道=タイ立法議会が法案可決****
タイ立法議会(暫定議会)は13日、首相や閣僚、国会議員らによる汚職事件について、欠席裁判を可能にする法案を可決した。本人が海外逃亡中のため公判停止となっているタクシン元首相の刑事裁判再開に道を開く内容。タクシン派からは反発する声が上がっている。
 
タイの現行法では、被告が海外に逃亡しても時効は停止しないが、同法案は海外逃亡中の時効停止を盛り込んだ。また、同法施行以前の事件にも遡及(そきゅう)して適用することが可能となる。
 
タクシン氏は汚職事件の公判中だった2008年8月に出国して以来、海外逃亡生活を続けている。地元メディアによると、同法が施行されると、タクシン氏を被告とする少なくとも5件の刑事裁判が再開される見込み。【7月14日 時事】 
******************

“タイ最高裁は20日、アピシット元首相(民主党党首)に対する名誉毀損(きそん)の罪に問われたタクシン元首相派組織「反独裁民主統一戦線(UDD)」のチャトゥポン代表(51)について、一、二審の無罪判決を破棄し、禁錮1年の実刑判決を言い渡した。”【7月20日 時事】という締め付けも続いています。

軍政側が恐れるのは、タクシン元首相の帰国に合わせてワチラロンコン国王が恩赦を行うという展開ですが、ワチラロンコン国王にそこまで軍政に対峙する度胸があるのか・・・・?

。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。
だいぶ時間が潰せました。なんとか先が見えてきました。
コメント

イギリス つい最近までタブーだった「EU残留」が公然と語られ始めた

2017-07-22 21:40:52 | 人権 児童

(ロンドンの国会議事堂前で行われた抗議活動に参加した配達員ら(2017年7月18日撮影)【7月19日 AFP】)

難航必至のブレグジット 政権内部に不協和音も
イギリスのEU離脱(ブレグジット)の交渉は行われてはいますが、難航は必至の情勢です。

****英は「明確な説明を」=離脱交渉でEU責任者****
ブリュッセルで開かれていた英国の欧州連合(EU)離脱に向けた第2回交渉の会合は20日、4日間の日程を終えた。

会合は互いの主張内容の確認にとどまり、EUのバルニエ首席交渉官は記者会見で、英国に対し次回8月の会合での「明確な説明」を要求した。
 
バルニエ氏は「今週の会合は(互いの主張を)提示しただけだ」と指摘。離脱交渉の優先分野の一つであるEU市民の権利保障の問題は、EU司法裁判所が管轄すべきだとの考えを改めて強調し、これを否定する英国との溝の深さをうかがわせた。
 
会見に同席した英国のデービスEU離脱担当相は「建設的な交渉だった」と評価する一方、「協議すべきことが多く残されている」と認めた。【7月20日 時事】 
*******************

イギリスとしては離脱後の通商協定の交渉に早く入りたいところですが、それ以前に上記のEU市民の権利保障の問題とか、「手切れ金」問題など厄介な問題が山積しており、それらをクリアしないと通商協定の交渉も始まらない状況です。

先の総選挙で“大失敗”したメイ首相の求心力は弱まり、ブレグジットの方向をめぐるイギリス側内部の対立もあらわになっています。

****<EU離脱交渉>英、閣内に温度差「手切れ金」などでズレ****
英国の欧州連合(EU)離脱を巡り、実質交渉が始まっているにもかかわらず、英国側の閣内で交渉方針を巡って意見の相違が解消されていない。EU側との溝も埋まっておらず、離脱交渉の長期化を懸念する声も上がっている。
 
「根本的な隔たりがある」。EU側のバルニエ首席交渉官は20日、第2回離脱交渉終了後の記者会見で、交渉の状況についてこう説明した。「手切れ金」と言われる離脱で生じる費用を英国がどこまで負担するかや、英国に住むEU出身者の権利などについて、議論が平行線をたどっているとみられる。
 
一方、英国の閣内でも、交渉方針などを巡り足並みが乱れている。1000億ユーロ(約13兆円)とも報じられている「手切れ金」について、バルニエ氏と一緒に会見を行ったデービス離脱担当相は「国際的な責任を認識している」と話し、妥協点を探る姿勢を示した。

だが、ジョンソン外相は今月11日の下院で「法外だ」と巨額の支払いを拒絶する姿勢を示していた。
 
交渉に臨む姿勢についても、温度差がある。EU以外の国との貿易・通商協定を管轄するフォックス国際貿易相は20日、「EUと離脱交渉が合意に達しなくとも英国は生き残れる」と妥協を望まない意向を示した。

一方、ハモンド財務相は先月18日、英BBCのインタビュー番組で「合意に達しなければ(英国にとって)非常に悪い結果をもたらす」と話し、一定程度、妥協してでも合意する必要性を示していた。
 
また、離脱交渉とは別の英国とEUとの通商協定に関する交渉期間について、フォックス氏は「2年間」との見方を示したのに対し、ハモンド氏は「3、4年」としており、意見の違いが表面化している。
 
地元メディアの記者によると、昨年7月に首相に就任したメイ氏は、6月の総選挙で少数与党になるまでは、閣僚らに対して、離脱交渉に関して勝手な発言をしないようにクギを刺していたという。

しかし、総選挙で大きく議席を減らしてメイ氏の求心力が弱まった結果、次期首相の座を巡る思惑も交錯して、政権内での不協和音が表面化しているという。【7月21日 毎日】
******************

EUとの交渉以外に、イギリス内部の法整備が必要になります。
1972年にEUの前身である欧州共同体(EC)に加盟するため設けたEC法を廃止するとともに、加盟後40年以上の間に導入されたEU関連法を自国法に置き換える措置で、関連法律は膨大な数になるようです。

****英議会、EU法「廃止法案」を9月7日に審議へ=下院議長****
英下院のアンドレア・レッドサム議長は20日、欧州連合(EU)離脱に絡むEU関連法「廃止法案」の初の議会審議が9月7日に実施されると明らかにした。

英政府は今月、同法案を公表。レッドサム氏によると、議会は9月7、11の両日に審議を行ったうえで次の段階に進むことを認めるかどうかについて採決する。【7月21日 ロイター】
**********************

先は長く、残された時間はあまりにも少ない・・・状況ですが、合意ができないまま離脱した場合、その後のイギリスはどうなるのか?という根本的疑問も。

もちろん、EUとの関係がどうなろうが“世界の終わりではない”という強気の見方もあります。

****英EU離脱、貿易協定なしでも世界の終わりではない=英貿易相****
7月英国のフォックス国際貿易相は20日、インタビューに応じ、新たな貿易協定を結ばないまま英国が欧州連合(EU)を離脱したとしても世界の終わりではないとしつつ、現在の開かれた関係を維持できなければ世界的に大きな影響を及ぼすだろうと述べた。

20日の外国為替市場でポンドが下落。英国のEU離脱(ブレグジット)を巡る交渉が協定なしに終了すれば、世界貿易機関(WTO)ルールに基づいて貿易を行うことになるとの懸念が広がった。優遇アクセスがなくなることになり、多くのエコノミストは企業活動が損なわれると警告している。

フォックス氏は「人々はWTOシナリオを世界の終わりのように話しているが、WTOルールに基づいて米国や中国、日本、インド、湾岸諸国と現在貿易を行っていることを忘れており、われわれの通商関係は強固で健全だ」と指摘。「どんな後ろ向きのシナリオ、最悪のシナリオでも描くことは可能だ。われわれはそれよりもはるかに良い結末を目指している」と述べた。

その上で「欧州での貿易や投資に現在はない障壁を設ければ、欧州が開放的な貿易の案内役になることはなく、欧州大陸を越えて世界経済に影響を及ぼすだろう」と述べた。【7月21日 ロイター】
*********************

まあ、それはそうかもしれませんが、何を好き好んで多くの難題に立ち向かい、不透明な未来に突き進む必要があるのか?・・・という素朴な疑問を改めて感じます。

国民の間にはブレグジットに対する疑いも
そうした“疑問”はイギリス内部でも改めて表面化しつつあるようです。

****ブレグジットを撤回したくなってきたイギリス人。果たして可能****
<つい最近までタブーだった「EU残留」が、イギリスで公然と語られ始めた。EU離脱に伴う痛みが明らかになるにつれて国民の間にはブレグジットに対する疑いが広がっている>

イギリスのテリーザ・メイ政権は今週、ブレグジット(イギリスのEU離脱)に向けた本格交渉を開始した。もっとも、交渉によってどんな結果を求めているのか、イギリスで知る者は誰一人としていない。

ブレグジットをめぐってメイ政権が混乱に陥り、閣僚たちの内紛が勃発する中、結局イギリスはEUに残留すべきだし、きっと可能だ、と信じる声が一部で高まっている。

残留に言及することは、つい最近まで政治的社会的タブーだったのが嘘のようだ。昨年6月の国民投票で52%対48%の僅差でEU離脱派が勝利した後、離脱はイギリス全体が従うべき「国民の意思」で、反対や逸脱は一切許されないと国全体が信じ込まされた。

それが今では、一部の政治家たちがブレグジットをやめる、つまりEUに残留する可能性を公然と語り始めている。親EUの少数野党、自由民主党の新党首で人気の高いビンス・ケーブル下院議員や、非常に人気のないトニー・ブレア元首相などがその例だ。

EU離脱「間違い」が初めて上回る
そもそも今更イギリスがEUに残留することは可能なのかを問いかける記事も出始めた。「ブレグジットを阻止する運動が加速している」と、英紙フィナンシャル・タイムズのコラムニスト、ゴードン・ラックマンはと書く。

イギリス世論が残留に傾いたとする決定的な世論調査はまだないが、世論の風向きが変化してきたのは確かだ。英世論調査会社YouGovが6月に実施した世論調査では、イギリスのEU離脱が間違いだと回答した割合が、45%対44%という僅差とはいえ、初めて正しいという回答を上回った。

ほんの1年前、メイは「ブレグジットはブレグジットだ」と宣言し、英首相に就任した。そのスローガンは、何があっても国民投票の結果を実行するという確固たる決意を表していた。

今年1月には「悪いディールを結ぶくらいならノーディール(合意なし)の方がいい」と言ってEU単一市場へのアクセスも断念する「ハードブレグジット」路線を打ち出し、3月にはEUに対し2年後の離脱を正式に通告した。

その後、すべてがくるい出した。メイはやらなくてもよかった解散・総選挙を6月9日に前倒しして実施すると発表。ブレグジット交渉を始めるにあたり政権基盤を盤石にしようと狙ったからだが、賭けは裏目に出た。与党・保守党は過半数割れの惨敗となり、メイはたった10議席のために北アイルランドの保守政党「民主統一党(DUP)」と連立を組まざるを得なくなった。

メイは求心力を強めるどころか、ほぼすべての権威を失った。それでも首相の座に留まるのは、与党・保守党が後任争いで分裂しかねないのと、さらなる総選挙を何としても避けたいからだ。

政権内の対立は激しさを増すばかりだ。フィリップ・ハモンド財務相は、EUの27カ国と親密な関係を維持しようと企て、「ブレグジットを妨害」しようとしていると非難されている。

こうした衝突や混乱には3つの理由がある。

第1に、昨年の国民投票は、EU離脱という選択で将来のイギリスとEUの関係がどう変わるのかを一切示さなかった。

国民投票で残留か離脱かの議論は一旦収まったが、ハードブレグジットかソフトブレグジットか、ノルウェー型かスイス型か、という議論はそこから始まった。

第2に、残留派の一部が離脱派の勝利後すぐにも起きると予測した経済の崩壊は現実にならなかったものの、離脱の影響は少しずつ目に見え始めた。

法律上はおそらく可能
英通貨ポンドは下落し、成長率は鈍り、投資は減速、物価も上昇し始めた。EUからの移民が大挙して本国に戻るにつれ、熟練労働者も不足する。

第3に、メイが総選挙で大敗を喫したことで、国民はもはやハードブレグジットを求めていないことがはっきりした。そこに、他の様々な離脱の選択肢が出てくる余地ができた。

しかし、多様な選択肢とそれに伴う困難を知れば知るほど、ブレグジットそのものへの疑問も強まっている。

保守党ほどではないが、最大野党の労働党も党内の意見が分裂している。ブレグジットに必要な膨大な数の法律を通過させるのは、途方もない悪夢になることが明白になってきた。

ブレグジットの撤回は、少なくともイギリスがEUを離脱する期限とされる2019年3月までなら、恐らく手続き上も法律的にも可能と思われる。

だが、現時点では撤回を訴える政治家はわずか数人。問題は、ブレグジットがもたらす試練が、離脱の期限までに世論を残留へと心変わりさせるのに十分な影響力を持つかどうかだ。【7月21日 Newsweek】
*******************

“YouGovが6月に実施した世論調査では、イギリスのEU離脱が間違いだと回答した割合が、45%対44%という僅差とはいえ、初めて正しいという回答を上回った。”とのことですが、4月末〜5月上旬の調査については以下のようにも。

*****深まる分断と格差 「英国病」再燃も 離脱意識に変化****
・・・・世論調査会社ユーガブが4月末〜5月上旬に実施した調査によると、「EU離脱に賛成。政府は離脱実行に力を入れるべき」が45%、「離脱に投票しなかったが、政府は実行すべき」が23%となった。

「離脱に反対。政府は投票結果を無視するか覆すべき」は22%。68%の国民が「離脱を実行してほしい」と望んでいることになる。
 
一方、キングス・カレッジ・ロンドンのアナン・メノン教授の最近の調査では離脱支持が38%、残留希望も35%と拮抗(きっこう)している。

メノン教授は「2大政党という英国の伝統から、離脱と残留という対立軸が政治的アイデンティティーとして生まれている」と分析する。(後略)【6月22日 産経】
********************

どのように判断すべきかは迷うところですが、賛否が拮抗しているのは間違いないようです。

“国民投票の結果に従って進むべき”というのはわかりますが、“間違ったかも・・・・”という思いがあるようなら、離脱に関する理解が深まったところでもう1回民意を確認することも必要でしょう。

白紙に戻すことはいつでも可能でしょう。ことは自国の将来にとって重大なだけに“引き返す勇気”も状況次第では必要です。

イギリスで“酸攻撃” その背景は?】
ブレグジットの話題を離れて、最近のイギリスの話題で意外な感を持ったのは、下記の“酸攻撃”のニュース。

****デリバリー配達員への酸攻撃相次ぐ、国会前で抗議活動 英ロンドン****
英ロンドンで料理の宅配サービスの配達員らに対する、酸を使った襲撃事件がここ数年相次いでいる。こうした状況を受け、英国の国会議事堂前で18日、配達員200人余りが政府に対策を講じるよう要求する抗議活動を行った。
 
料理の配達サービス「ウーバーイーツ(UberEATS)」の配達員の1人はAFPに対し、「襲撃されたり、バイクを盗まれたりすることが大半だ。働いている時は安全だと感じない。昨日は複数の少年が自分に攻撃を加えようとして危険を感じた」と述べた。
 
13日夜にはわずか90分の間に5人の配達員が酸で攻撃され、その後、15歳と16歳の容疑者2人が逮捕されている。
 
英BBCは3月、警察がまとめたデータとして2010年以降にロンドンで腐食性の液体を使った攻撃が1800件以上報告されていると報じた。腐食性の液体を使った犯罪は2016年に454件に上り、2015年の261件から急増している。
 
一部専門家は、犯罪グループがナイフの代わりに酸を所持するようになったのは、訴追リスクが軽減される可能性があるためだと指摘している。
 
国会では17日、この問題への対応策が議論され、厳罰化と特定の物品を購入できる最低年齢制限の導入について多くの議員が支持を示した。【7月19日 AFP】
********************

卑劣な酸攻撃は、パキスタンやアフガニスタン、あるいはアフリカなどではよく目にする話題です。
しかし、イギリスのような国でも・・・・ということで驚いた次第です。

更に、政府に抗議する人々の写真を見て、先のロンドン高住宅火災のときと同じような、“イギリスのイメージ”とは異なるものを感じました。

数枚の写真を見ての憶測にすぎませんが、酸攻撃を受けいる宅配サービスの配達員らというのは、いわゆる白人よりは移民が多いのではないでしょうか。

酸攻撃をしかけている側の情報はまったくありませんが、もし、移民に対するいやがらせみたいな側面があるとしたら、イギリス社会の分断も深刻です。

そうした“どす黒いもの”がブレグジットの議論の底流にもあるとしたら・・・慎重に考えるべき問題です。
憶測の上に憶測を重ねた話にすぎませんが。

イランに行ってきます
明日からイラン観光に出発するということで、現在鹿児島から羽田に向かう飛行機の中です。
最近はフライト中でも無料WiFiが使えるということで、便利になりました。

深夜0時過ぎのフライトでバンコク経由でテヘランに向かいますが、バンコクで10時間ほどの乗り継ぎ時間があります。

バンコクも久しぶりなので、市内に出て、水上マーケットとか王宮といったベタな観光でもしてみようか・・・とも考えています。(時間が限られていますので、空港のトランジットツアーサービスが使えれば助かるのですが・・・・)

イランのネット状況は分かりませんが、海外レンタルWiFiもイランは対象外ということなどもあって、厳しい条件が予想されます。旅行中どれだけブログ更新できるかわかりません。
コメント (1)

ポーランド  大戦の歴史認識でロシアと対立 西欧的民主主義から逸脱した国内統治はEUとも対立

2017-07-21 20:56:26 | 欧州情勢

(ワルシャワにあった赤軍とポーランド人民軍兵士の記念碑。今は撤去されたそうです。【7月20日 Newsweek】)

共産主義をたたえる記念碑の撤去決定 ロシアは「甚だしい侮辱」と対抗措置検討も
かつては東側衛星国として旧ソ連の実質的支配体制下にあったポーランドは、ナイツ・ドイツだけでなくソ連・スターリン政権によっても国土が引き裂かれ蹂躙されたという思いがあり、現ロシアに対して強い警戒感を持っています。

ポーランド側からすれば、ナチス侵攻後のソ連軍のポーランド東部侵攻、「カティンの森事件」や「ワルシャワ蜂起」などは、そうしたソ連・ロシアによってもたらされた悲劇の事例でしょう。

第二次世界大戦中に旧ソ連のグニェズドヴォ近郊の森で約22,000人のポーランド軍将校、国境警備隊員、警官、一般官吏、聖職者がスターリン指示のもとで銃殺された「カティンの森事件」

大戦末期、ナチス・ドイツの支配下にあったワルシャワのポーランド国内軍・レジスタンス活動家・市民らが蜂起した際に、すぐ近くまで進軍していたソ連軍は自由主義的な市民蜂起の成功を嫌って進軍を停止して傍観、あてにしていた支援のないまま絶望的戦いを強いられたワルシャワ市民を見殺しにしたとされる「ワルシャワ蜂起」(蜂起失敗後にソ連軍はワルシャワに侵攻し、共産主義傀儡政権を樹立)

一方、旧ソ連は第2次大戦で2660万人(公式発表数字)という世界最多、桁違いの犠牲者を出しており、ナチス・ドイツからの欧州解放はロシア人の流した血によるものだとの強い自負があります。

(なお、大戦犠牲者数はドイツが700~900万人、日本が262~312万人との数字があるようですが、ポーランドも562~582万人と日本に倍する犠牲者を出しており、そのほとんどが民間人です。
更についでに言えば、中国・重慶国民政府が1000~2000万人、日本統治下朝鮮が38~48万人とも【ウィキペディアより】)

そうした歴史的経緯もあって、ポーランド・ロシアの歴史認識には大きな相違があるようです。

****ソ連支配の記憶を消したいポーランド、「報い」を誓うロシア****
<第2次大戦の歴史認識めぐりロシアとポーランドの対立が再燃>

愛国主義的な右派政党「法と正義」が政権を握るポーランドは7月17日、全体主義的な歴史を一掃する新法を成立させ、ロシアとの間に新たな緊張が生じている。

新法の狙いは、共産主義をはじめ、「その他のあらゆる全体主義」体制を美化する動きを封じること。公共の記念碑などから、全体主義体制の犠牲者を生んだ歴史的事件を美化する記述(日付や人名も含む)を消すよう義務付けている。

これに対し、ロシア政府は自国に対する「甚だしい侮辱」だと反発。議会でも制裁を検討すべきだとの声が上がっている。
「ロシアの人々と旧ソ連邦の共和国の人々を侮辱するものだ」──ロシア外務省は18日に声明を発表した。

「ソ連邦の若者たちは、ポーランドを含むヨーロッパの人々の生命と自由を守るために共通の敵と戦った。にもかかわらず、ポーランド政府は意図的に驚くべき挑発に踏み切った」

こうした暴挙には当然の「報い」があると、声明は警告している。

ロシアにとってとくに許しがたいのは、第2次大戦中にナチス・ドイツと戦って戦死し、ポーランドに埋葬されたソ連軍将兵60万人に捧げる記念碑が消えることだ。「捕虜となってナチスの強制収容所に入れられ、今はポーランドの地に眠るソ連軍兵士も何万人もいる」と声明は述べる。彼らの栄誉ある死を記念碑から消すことは許し難い暴挙だというのだ。

東欧の解放者、それとも略奪者?
第2次大戦中、ヨーロッパの東部戦線では激戦が繰り広げられ、夥しい数の犠牲者が出た。この戦いはロシア人の心を揺さぶる歴史として今でも語り継がれている。ナチス・ドイツに対する赤軍の勝利は、ソ連の不名誉な歴史を帳消しにする輝かしい偉業だ。

世論調査によれば、大多数のロシア人は今も、ソ連軍は連合軍の支援なしでもナチス・ドイツを撃退できたと考えている。

ロシアのワレンチナ・マトビエンコ上院議長は19日、ロシア外務省はポーランドへの「対抗措置」を検討中だと語ったが、詳細は明かさなかった。アントン・ベリャコフ上院議員は新法を支持したポーランドの政治家に制裁を科すことを提案している。

一方、ポーランド政府はロシア外務省のマリア・ザハロワ外務省報道官が新法の中身をきちんと理解せずに、「ポーランドの信用を傷つける」ような反応をしたと非難している。

「マリア・ザハロワが言及した法律は赤軍兵士の埋葬場所にある記念碑の変更を意図したものではない」と、ポーランド外務省は19日の声明で述べた。「ポーランド人、ウクライナ人、ロシア人、その他の人々を犠牲にした全体主義のシンボルを美化することを防ぐための法律だ」

第2次大戦の歴史認識をめぐり、ロシアとポーランドは対立を続けている。ロシアはソ連軍がナチスの支配から東ヨーロッパを解放したと主張しているが、ポーランドにすれば、ナチスの侵攻後に東部に侵攻し、ポーランドをナチスと分割占領したソ連軍への怒りは消えない。

戦後ポーランドは再び独立を果たしたものの、ソ連の後ろ盾を得た社会主義政権が成立し、冷戦期を通じてソ連の衛星国となった。これが、ポーランドが今、記憶からかき消そうとしている歴史だ。【7月20日 Newsweek】
*******************

「赤軍兵士の埋葬場所にある記念碑の変更を意図したものではない」とのことですが、具体的にはどのようにするつもりなのかは知りません。

ポーランドはすでに昨年、共産主義や全体主義にちなんだ名称を通りなどに付けることを禁じた法律を制定しており、今回は記念碑の撤去も盛り込んだ改正を承認したということのようです。

ロシアに対する強い警戒感を持つポーランドは昨年、同じような立場にあるバルト3国とともに、NATO軍の配置を受け入れてロシアを牽制しています。

【「ポーランドは民主主義から専制政治に転換してしまった」】
このようにロシアと激しく対峙するポーランドですが、愛国主義的な右派政党「法と正義」による現政権は西欧的な民主主義から逸脱しているとして、国内野党勢力及びEUから強い批判を浴びています。

EUが求める難民・移民受け入れも拒否しています。

****27年ぶり大規模デモ、抑圧政治に怒れるポーランド国民*****
(中略)
“最後のとりで”を崩しにかかった政権
議席の過半数を占める現政権は法案を議会通過させることが可能だ。拒否権を行使できる大統領も現政権の息がかかる。最後のとりでは憲法だ。

ポーランドには憲法裁判所がある。法律の合憲性チェックと人権を保障する機関なのだが、PISは政権の座に就くと大統領をまきこみ、自党の息のかかった裁判官を同機関にねじこもうとした。
 
この一幕で国民の怒りは絶頂に達した。昨年10月には1989年の共産党政権崩壊以来初めて、「民主主義」を求めてデモ行進が行われた。この動きは一気に広がり、既に何度も全国規模で行われている。

しかし、「法による民主主義のための欧州委員会」からの勧告も無視され、ねじこみは強行された。現政権は、どの裁判結果が有効か、無効かを国会が決定できるようにしたのだ。
 
このような恐怖政治を思わせる法案がどんどん可決されている。最近では「反テロ法案」の名の下、国は個人メールなどの閲覧が可能となった。閲覧の合法性をチェックする機関はない。

また、右派の支持者を手中に収めたい現政権は、民族主義色の強い集会や外国人排斥行為に非常に寛容な態度を示している。全欧州で問題となっている中東の難民受け入れ問題からポーランド社会の中でも反多文化共生主義が浸透。それを政治的に利用している状態だ。
 
対メディアでは、国営放送のリベラル寄りとされるキャスターを次々に降板、もしくは解雇している。その結果、政権に都合のいい報道ばかりが流れることとなり、国営報道番組の視聴率は急降下した。
 
前選挙でPIS(「法と正義」)に投票したことを悔恨する人々は多い。昨年から断続的に続いている反政府デモもその表れだ。

しかし国民の中には、現政権を熱狂的に支持する層がある。このような一部の国民だけの支持を受け、現政権は国際社会でどこまで迷走を続けるのだろうか。【2016年8月14日 WEDGE】
******************

こうした政治傾向は一部コアな支持層に熱烈支持されるアメリカ・トランプ政権とも共通するものがあり、先のトランプ大統領のポーランド訪問は現政権からは大歓迎されたようです。

****トランプ氏を大歓迎するポーランド、その思惑とは****

(ワルシャワ市内に貼られたトランプ氏の演説を知らせるポスター)
ポーランドの政権与党「法と正義」のドミニク・タルチニスキ議員は、ドナルド・トランプ米大統領の同国訪問を大歓迎するつもりだ。6日には多くの同僚議員と同様、自身の選挙区の住民を乗せた複数のバスを首都ワルシャワに送り込む。

貸し切りバスは「法と正義」に近い財団が用意する。トランプ氏はワルシャワの広場で演説を行う予定になっているが、タルチニスキ氏は「間違いなく大規模なものになる」と期待に胸を膨らませる。「ポーランド国民は彼が大好きなのだ」
 
こうしたポーランドの取り組みの背景には、トランプ氏が欧州の勢力図を一変させる可能性があるとの認識が欧州大陸に広がっていることがある。
 
バラク・オバマ前米大統領は、ドイツのアンゲラ・メルケル首相と緊密な関係を構築し、メルケル氏のリベラルな世界観や、移民受け入れ方針、欧州連合(EU)の統合推進の立場を支持した。

しかし今、ポーランドをはじめ各国で台頭したナショナリスト政権は、トランプ氏が自分たちにイデオロギー的な親近感を持ち、反EUや反ドイツ的な姿勢を後押しすると期待を寄せるようになっている。
 
「トランプ氏の訪問は新たな成果だ」。「法と秩序」のヤロスワフ・カチンスキ党首は先週末に開かれた党大会でこう語り、トランプ氏の訪問に神経質になっているEU当局者の感情を逆なでするように続けた。「EUはねたんでいるのだ」
 
保守政党「法と秩序」が2015年に政権を奪取したポーランドは、EUや西欧諸国との対立を深めている。
欧州委員会は、憲法裁判所の判事入れ替えなどのポーランド政府の司法改革について、法の支配を損なうものだと非難。フランスのエマニュエル・マクロン大統領は、ポーランドは欧州の民主主義の原則を拒んでいる一方で、EUを「スーパーマーケット」のように利用していると語る。
 
また、ドイツの複数の政治家からは、ポーランドは難民を受け入れず、報道の自由を抑圧していると糾弾する声が聞かれる。
 
一方、ポーランドの一部政治家や評論家はトランプ氏について、難民受け入れに反対し、EUやドイツの影響力拡大を批判する指導者とみている。(中略)
 
世論調査機関ピュー・リサーチ・センターが今春実施した調査によると、「トランプ氏は国際問題に対し正しく対応する」と考えている人の割合は、ポーランドでは約23%で、ドイツの11%を大きく上回った。トランプ氏への信頼度でも、ポーランドは欧州諸国で最高水準にある。【7月6日 WSJ】
******************

EU側はポーランド現政権批判を強めており、EUでの議決権停止も言及されています。

****EU幹部、ポーランドの議決権停止示唆 司法改革問題視****
欧州連合(EU)の行政機能を担う欧州委員会のティマーマンス第一副委員長(基本的権利などの担当)は19日、ポーランドのEUでの議決権を停止する可能性を示唆した。

ポーランドが司法権の独立を損なう施策を相次いで実施しようとしていることを問題視。EUとポーランドの間で緊張が高まっている。
 
ポーランドは15年、EU加盟による貧富の差の拡大への国民の不満などを背景に、愛国主義的な色彩が強い保守政党「法と正義」が政権の座についた。その後、憲法裁判所が違憲判決を出す際の条件を厳しくするなど、司法制度改革を打ち出した。
 
ティマーマンス氏は19日、こうした改革が「法の支配に対する脅威を増幅させている」と批判。加盟国のEUでの権利を制限できることを定めたEUの条約7条について「発動に極めて近づいている」と述べた。【7月20日 朝日】
*****************

国内でも司法制度改悪への大規模な抗議デモも行われています。

****ポーランド 司法制度の新法案で大規模な抗議デモ****
ヨーロッパ中部のポーランドで、政府が最高裁判所の判事の人事権を事実上掌握する新たな法案が議会下院で可決され、首都ワルシャワなどでは「司法の独立を脅かすものだ」として、大規模な抗議デモが行われました。

ポーランド議会下院では20日、大統領と法相が最高裁判所の判事の人事権を事実上掌握する法案が賛成多数で可決され、法案は近く議会上院でも可決されて、大統領が署名して法律が成立する見通しです。

ポーランドでは、おととし選挙で勝利した保守政党の「法と正義」が政権を取ってから、憲法裁判所が違憲判決を出す条件を厳しくしたり、公共放送のトップの人事を政府が決めるようにするなど、司法や言論への統制が強まっており、今回の法案も政府による司法への介入につながると懸念されています。

新たな法案が可決されたことを受け、ポーランド各地では「司法の独立を脅かすものだ」として抗議のデモが行われ、このうち、首都ワルシャワの大統領府の周辺には野党や市民グループの呼びかけで数万人が集まり、大統領に対し法案に署名しないよう求めました。

デモに参加した男性は「ポーランドはきょう、民主主義から専制政治に転換してしまった」と不安げな様子で話していました。

ポーランド政府のこうした姿勢について、EU=ヨーロッパ連合は、「法の支配」の原則に違反するとして制裁も辞さない構えを見せていて、EUの新たな火種となっています。【7月21日 NHK】
*********************

ただ、国内外の批判はコアな支持層にはほとんど影響しない・・・というのもアメリカ・トランプ政権と同じで、現政権の方向が変わることはあまり期待できません。
コメント

女性ファッションをめぐる軋轢 ドイツの「顔を覆うベール」 サウジの「ミニスカート」 ケニアでも

2017-07-20 22:43:12 | 人権 児童

(ケニアの首都ナイロビで、「私の服装は私の選択」などのプラカードを掲げて女性暴行事件に抗議する女性たち(2014年11月17日撮影)【7月20日 AFP】)

ドイツ 右派AfDへの実験的対策として、バイエルン州で顔を覆うベールの着用が禁止
欧州ではイスラム系移民の増加に伴う様々な軋轢もあって、フランス、ベルギー、ブルガリア、オランダでは公の場でイスラム教徒の女性の衣装「ブルカ」「二カブ」着用を含め、顔をベールやマスクで覆うことが法的に禁止されています。(どのような場で禁止されるのかは、国によって差もあるようですが)

ドイツでも右派勢力からのそうした法律を求める声があり、メルケル首相も一定にそうした声に対応する措置をとっています。

****ドイツ、顔覆うベールの着用を一部禁止 勤務中の公務員対象****
ドイツ議会は27日、イスラム教徒の女性らが顔全体を覆うベールについて、着用を一部禁止する法案を可決した。対象となるのは勤務中の公務員のみ。
 
隣国フランスでは2011年から、公共の場所でのベール着用が全面禁止されている。ドイツの右派政党は同様の措置を要求していたが、部分的な禁止にとどまった。
 
トマス・デメジエール内相は、移民の社会的統合には「われわれの価値観を、そして他文化に対する寛容には限界があるということを、明確にした上で伝えていく」必要があると指摘した。【4月28日 AFP】
******************

「固有の民族伝統」を禁圧するようなナチスの誤りを繰り返さない、差別主義・排外主義に走るポピュリズムには屈しない・・・という基本的スタンスのメルケル首相としては、あくまでも“限定的”なものに止めたというところです。

一方で、“限定的”ながらも禁止措置を導入した意味合いとしては、“「女性解放の政策」として、「女の顔を隠させる、いかなる性的不均衡の暴力にも、ドイツは、またEUは、断固抗議し、明確な反対行動を取っていく」という、旧東ドイツ出身の物理学者であるアンゲラ・メルケル首相の、極めて原則的なリベラリズム”があるとの指摘も。【2016年12月9日 JB Press 伊東 乾氏“爺だが乳幼児のトランプを諭すEUの母メルケル”より】

上記措置に加え、南部バイエルン州では、8月から公共施設では顔を覆うベールの着用が禁止となります。

現実問題としては街中でそうした女性をみかけることはほとんどないにもかかわらず、こうした禁止措置を実施する背景としては、“極右政党である「ドイツのための選択肢(AfD)」の動きを牽制するために、 保守的なバイエルン州での妥協案導入に実験的に踏み切ったのではないか”との指摘もあります。

イスラム教徒というより、イスラムフォビアな右派への対策としての選挙対策的な禁止措置に対しては、批判もあるようです。

****ドイツのバイエルン州でもブルカ禁止に その目論見は****
欧州全体が、「ニカブ」や「ブルカ」など、一部のイスラム教徒の女性の頭部や体の大部分または全体を覆うベールの着用を禁じる方向に動いている。総称して「ブルカ禁止」や「ブルカ討論」などと言及されることが多い。

フランスやオーストリアなどですでに特定の公共施設でのこれらのベール着用が禁止されているほか、審議中または地域的に施行されている国もある。今月11日には、欧州人権裁判所がベルギーでこれを禁ずる法律を支持する判断を下した。

南ドイツのバイエルン州でも来る8月1日より、公務員をはじめ、大学、幼稚園、あるいは選挙会場などの多くの公共施設で、顔を覆うベールの着用が禁止となる。ドイツで公式に禁止となるのは同州が第一号だ。

政治的駆け引き?
根拠としては、社会にとって人々がお互いの顔を見ることができるのは重要で、顔を向かい合わせることは「我々の対人関係の共存の基礎をなし、また我々の社会と自由な民主的秩序の基盤である」ことがあげられているが、これは今年初めの汎ヨーロッパ保守政党である欧州人民党の見解を引き継ぐものだ。

だが、2年前にはドイツの憲法裁判所が、教員の頭部ベールの着用を一律に禁ずるノルトライン=ヴェストファーレン州の法律を無効としているなど、宗教的寛容を目指す風潮があった。なぜ今、バイエルンでこの動きなのか。ニューズウィーク米国版によると、9月に行われるドイツ総選挙と無関係ではないようだ。

バイエルン州を率いる保守、中道右派のキリスト教社会同盟(CSU)と、その姉妹政党であるアンゲラ・メルケルのドイツキリスト教民主同盟(CDU)は、極右政党であるドイツのための選択肢(AfD)の動きを牽制するために、 保守的なバイエルン州での妥協案導入に実験的に踏み切ったのではないかと分析している。

AfDは早くから移民排斥や、衣服だけではなく宗教的建築(たとえば、イスラム教宗教施設の、ミナレットと呼ばれる尖塔など)のような象徴の禁止を主張している。

AfDにはもともと他国の極右政党ほどの勢いはなかったが、今回CDUとCSUが安全、移民、イスラム問題などで右派の主張に歩み寄ることにより、AfDの支持率は昨年15%ほどだったのが現在は10%以下に落ち込んでいる。

「問題ではないことを問題に」
しかし、南ドイツ新聞やツァイト誌などは今回の措置に、「存在しない問題を問題にしている」と懐疑的な見解を示している。すなわち、火のないところに煙を立てているだけということだ。

バイエルン州の州都ミュンヘンに本社を置く南ドイツ新聞は、ベールで顔を隠した女性をたくさん見かけるとすれば「夏のマキシミリアン通りだけだ」と揶揄している。マキシミリアン通りはミュンヘンの高級ショッピング街で、おそらく旅行者ということだろう。

2016年の時点でバイエルン州のイスラム教徒は人口のわずか4%とされ、そのほとんどはトルコ人だ。すでに何世代もドイツで暮らしているトルコ人たちはせいぜい髪をスカーフで覆うくらいで、まったく何もつけない女性も多い。

南ドイツ新聞はまた、 顔を隠すことはコミュニケーションの障害になるというCSUのヨアヒム・ヘルマン州内務大臣の意見を肯定し、また顔を隠すことが、とくに女性たちが強制されている場合は賛成できないとしながらも、「禁止」という政治的行為は不必要だとしている。

また、「バイエルンを最も安全な州のように思わせ、CSUを最も強力な党にするために」州政府はこのような不毛な議論も厭わないと分析。一方ツァイトも、「CSUは人権保護に真剣に取り組みながらもそれと相反する行為をする唯一の党だ」と指摘している。

バイエルン州での今回のブルカ禁止はやはり、実際的な影響を狙ってのものではないようだ。ドイツ全土でも、ブルカ着用者は通説で300人と言われている(ただし、この説にはあまり根拠がないことをツァイトが検証している)。結局、禁止によって目に見える大きな変化があるとは考えづらく、象徴的な意味しかないように思われる。また、憲法で宗教の自由が保障されているので、フランスのように禁止が連邦レベルで起こることもなさそうだ。

フランスでは2011年より特定の公共施設でのブルカ着用が禁止されているが、結果は統合どころか、ムスリムに疎外感を与え孤立させてしまっていると、キングス・カレッジ・ロンドンの政治思想学者アラン・コーフィーは語っている。【7月20日 モーゲンスタン陽子氏 Newsweek】
********************

なお、欧州人権裁判所(ECHR)は7月11日、イスラム教徒の女性の顔全体を覆うベール「ニカブ」を公共の場所で着用するのを禁じるベルギーの法律について、支持する判断を下しています。

サウジアラビア ミニスカート女性を一時拘束
欧州でイスラムファッションが問題になっているのに対し、厳格な戒律が重視されるサウジアラビアでは西洋風のファッション「ミニスカート」が問題になっています。

****<サウジアラビア>ミニスカート女性「わいせつ」と一時拘束****
イスラム教の厳格な習慣・戒律を重視する体制の下、女性の肌の露出が控えられているサウジアラビアで、Tシャツにミニスカート姿で歩く映像を動画サイトに投稿したとして女性が一時身柄を拘束される騒動になり、波紋を呼んでいる。
 
英BBCなどによると、動画には首都リヤドから約150キロ北のナジド地方にある要塞(ようさい)を女性がミニスカートで歩く姿が映っている。ナジド地方は特に保守的な地域として知られる。

16日ごろにインターネット上で話題になり、その後、警察はこの女性を「わいせつだ」との理由で拘束。だが女性は「映像は別の人物が撮影した。投稿されたとは知らなかった」と意図的な投稿を否定し、18日に釈放された。
 
サウジでは女性が外出する際には全身を覆う黒布(アバヤ)で体の線を隠し、頭部にはスカーフを巻く姿が一般的だ。ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)上では「厳しく罰すべきだ」「何を着ようが自由だ」と賛否が分かれている。

イスラム教の聖典コーランは女性の肌について「外に出ている部分は仕方ないが、その他の美しい所は人に見せぬように」と述べている。
 
最近はサウジを訪問する外国人女性の服装も話題になり、トランプ米大統領の5月の訪問時には同行した妻メラニアさんと長女イバンカさんは髪を隠さないままだった。メルケル独首相やメイ英首相も最近の訪問時にはスカーフを着用していない。【7月20日 毎日】
*********************

女性の車運転が認められていないなど、女性への抑圧的な対応では“悪名高い”サウジアラビアですので、今回騒動も驚きはありませんが、「やれやれ・・・」といった感も。

何をもって「わいせつ」とみるかは文化によって異なるのは当然ですが・・・。

そんなサウジアラビアでも、女性問題に関する改革の動きはないことなない・・・ようです。

****<サウジアラビア>公立学校で女子の体育授業解禁へ****
イスラム教の厳格な習慣・戒律を重視する体制の下、女性の肌の露出が控えられているサウジアラビアで、公立学校での女子生徒の体育の授業が認められることが決まった。ロイター通信が伝えた。
 
サウジでは現在、女子生徒の体育は一部の私立学校のみで実施され、「適切な服装」で行うことなどの制約がある。大半の公立学校では導入されておらず、国際人権団体ヒューマン・ライツ・ウォッチ(HRW)は「公教育で女子の体育を禁じている唯一の国だ」と批判していた。
 
だが近年、サウジ国民には肥満が増え、今後は医療費が増大する懸念も出ていることから、政府は国民の健康向上を実現する方策を検討していた。
 
国政助言機関の諮問評議会は2014年、女子体育の導入を認めたが、宗教界から「西洋化しすぎだ」と反発の声が上がり、実施されていなかった。こうした中、サウジ教育省は今月11日、公立学校での導入を認めると発表した。導入時期は未定。
 
サウジでは女性の五輪参加も長く認められていなかったが、12年のロンドン五輪で初めて柔道と陸上800メートルで2選手の参加が認められた。【7月13日 毎日】
*******************

サウジアラビアは宗教支配が云々されるイラン以上に“異質”な宗教・文化の国ですが、アメリカにとっては重要な同盟国です。

女性のファッションだけが問題となり、男性の服装は問題にならないところに、女性に対する不均等な性的圧力がある・・・とも思われます。

ケニア 「挑発的服装」の女性への暴行
イスラムを離れて、住民の8割以上がキリスト教系のアフリカ・ケニアでも、女性の“挑発的服装”に関する話題が。

****挑発的な服装」理由に女性暴行、男3人に実質的な終身刑 ケニア****
服装が挑発的すぎることを理由に女性を脱がせて性的暴行を加えた男3人に対し、ケニアの裁判所は19日、実質的な終身刑を言い渡した。
 
事件は、首都ナイロビ郊外のガソリンスタンドで女性が通りがかりの暴漢に衣服をはぎ取られ、性的暴行されたうえ携帯電話と現金を強奪されたもの。暴行の様子はカメラで撮影され、ソーシャルメディアに投稿されて広く拡散された。
 
ケニアではこうした女性暴行事件が頻発している。この事件をきっかけに、ハッシュタグ「#MyDressMyChoice」(私の服装は私の選択)を共有して抗議活動が展開され、2014年にはナイロビで、体のラインが出やすく丈の短い服を着た数百人が女性に対する暴力の撲滅を訴えてデモ行進した。
 
19日の判決言い渡しに当たり、判事は「われわれは平等だが、女性の尊厳を尊重することも等しく重要だ」と指摘。「世の中では多くの無教養な男たちが、こうした行為をしている」と非難した。
 
被告3人に言い渡された量刑は判決文上では死刑だが、ケニアは現在死刑の執行を禁止しているため、実質的には終身刑となる。【7月20日 AFP】
********************

先述のように、「わいせつ」「挑発的すぎる服装」の基準は文化によって異なりますが、暴行云々は論外です。
単に男性側が性的欲求に突き動かされたにすぎず、無期懲役なり去勢措置が妥当でしょう。

確か、タリバンが支配していたかつてのアフガニスタンでは、女性のハイヒールも“靴音が男性をその気にさせる”と言う理由で禁止されていたように思います。

こうなると、女性側の問題ではなく、わいせつな妄想にとらわれる男性側の問題であり、屈折した性的欲求を蓄積させる宗教・文化の問題です。
コメント (1)

アメリカのアフガニスタン戦略見直しは? 不透明なパキスタン対策、和平プロセス対応

2017-07-19 22:26:07 | アフガン・パキスタン

(教習施設でロボットの製作に取り組むアフガニスタンの女子高校生=カブールで2017年7月6日 【7月16日 毎日】)

狭まる政府支配地域 増加する民間人犠牲者
タリバンの攻勢で政府支配地域は狭まり、更にはISのテロも頻発するという厳しいアフガニスタン情勢については、6月15日ブログ“アフガニスタン 勢力が増大するタリバンに「勝てていない」 ISテロも頻発 米軍増派の方向)”で取り上げたところです。

戦闘が拡大・継続する中で、民間人犠牲者は増大しています。

****アフガン民間人死者1662人・・・・1〜6月2%増****
国連アフガニスタン支援団(UNAMA)は17日、アフガンで2017年1〜6月にテロや戦闘の巻き添えとなって死亡した民間人が前年同期比2%増の1662人だったと発表した。
 
このうち約4割に相当する596人は、自爆テロなど武装勢力の爆弾使用による死者だった。子どもの犠牲は9%増の436人に上った。
 
死傷者は計5243人で前年同期とほぼ同じ。旧支配勢力タリバンが原因の死傷者が43%を占め、イスラム過激派組織「イスラム国」による死傷者は5%だったという。
 
一方、このうち、政府軍側が原因となった死傷者は945人(前年同期比21%減)。特に空爆の巻き添えによる死傷者は約4割増の232人だったという。【7月18日 読売】
*******************

単純に2倍すれば、年間3300人ということで、膨大な数字です。

アフガニスタンの3分の2は政府の支配下にありますが、10%はタリバンが支配、残りの地域は双方で抗争中だとも言われています。【7月19日 WEDGEより】

明確でないアメリカの「手詰まり」打開戦略 増派だけでなくパキスタン対策が重要
アフガニスタン政府を支える米軍も“現状は「手詰まり」であり、「手詰まり」を維持していくのですら「数千人」の兵員が不足している”という判断ですが、アメリカ・トランプ政権としてこの状況にどのように対処するのか・・・明確な戦略は明らかになっていません。

もっとはっきり言えば、ロシア疑惑の火の手がますます大きくなる中で、オバマケア代替法案は頓挫する、北朝鮮問題では中国が思うように動かない、中東では自分が火をつけたようなカタール断交問題が収まらない・・・・など苦しい状況のトランプ大統領は“アフガニスタンどころではない・・・”といったところでしょう。

****手詰まり」のアフガニスタン問題、トランプは関心なし****
米国平和研究所のハドレーとユスフが、6月16日付けニューヨーク・タイムズ紙に、「アフガニスタンの和平のためにはパキスタンの戦略的関心を汲んだ上での同国との対話が欠かせない、という論説を寄稿しています。
論説の要旨は次の通りです。
 
トランプ政権のアフガニスタン政策のレビューは、如何なる戦略もタリバンとハッカニに対するパキスタンの支持を縮小することなくしては成功しないという真実と向き合う機会となる。
 
パキスタンについて、援助に更なる条件を付ける、制裁を課す、あるいはテロ支援国家に指定することを主張する向きがあることは解るが、この種の「ムチ」はパキスタンの行動を変えることにはならない。変えさせるには、米国はパキスタンの戦略的懸念を理解せねばならない。
 
パキスタンの軍の行動はインドとの敵対関係によって規定されている。パキスタンはアフガニスタンとインドによる挟み撃ちを常に怖れている。

また、インドの支持に力を得てアフガニスタンが現在の国境の正統性を問題としパキスタン領に領有権を主張することを心配している。

インドの対アフガニスタン援助の大宗は経済援助であるが、近年タリバンとの戦闘支援のため軍需品を含む安全保障援助を強化してきている。
 
パキスタンにとってタリバンはインドの活動を抑止する存在であるが、パキスタンは、アフガニスタンの混乱の継続、タリバンの勝利を目標にしているわけではない。

それはパキスタン国内のタリバンの強化を招くからである。パキスタンの望みは、過激分子が再び国を支配することを許さないようにしつつタリバンを政治体制の中に取り込むための和解のプロセスである。
 
パキスタンの懸念を軽減する必要があるが、このためにはインドとパキスタンの関係改善が必要であり、米国はアフガニスタンを含む一連の問題についての対話を手助けすべきである。
 
また、米国はアフガニスタンの政治解決に本気で取り組まねばならない。最近、ガニ大統領とシャリフ首相は4ヵ国の調整グループ(米国、アフガニスタン、パキスタン、中国)を再開することで合意した。

米国はタリバンを和解のテーブルに着ける方途として、この努力を支持すべきである。タリバンによる暴力を抑え込まなければ、アフガニスタンの政府は交渉に対する国民の支持を取り付け得ない。

従って、4ヶ国グループを通じて和解のプロセスに発言権を持つ見返りに、パキスタンはタリバンに対する資金と武器の提供を止め、交渉に反対するタリバンの分子を排除し、交渉に参加の用意がある者にはその自由を与えるための検証可能な措置を取らねばならない。

この方向でパキスタンが動くよう、米国は中国と協力すべきである。この新たなより戦略的なアプローチは、米国と協力する上でパキスタンにとってのインセンティブとなろう。(後略)【7月19日 WEDGE】
*******************

タリバンを抑えるためには、これを支援するパキスタンを何とかしなければどうにもならない、パキスタンの関心はアフガニスタンでインドの影響力が大きくなるのを阻止することにある・・・といった類の話は、従来から言われていることで【WEDGE】でも“論説に書かれていることに別段目新しいことはありません”と評しています。

“パキスタンにとってタリバンはインドの活動を抑止する存在であるが、パキスタンは、アフガニスタンの混乱の継続、タリバンの勝利を目標にしているわけではない。”“パキスタンの望みは、過激分子が再び国を支配することを許さないようにしつつタリバンを政治体制の中に取り込むための和解のプロセスである”・・・パキスタンの意図がそのように明確なのかは、やや疑問にも感じますが。

パキスタンが本当に“タリバンを政治体制の中に取り込むための和解のプロセス”を望んでいるなら、和平交渉がもっと軌道に乗っていてもいいようにも思うのですが・・・。

「ムチ」の強化以外に、何をすればパキスタンの“和解のプロセス”への取り組みを本格化・顕在化できるのか・・・よくわかりませんが、論説にもあるようにパキスタンへの影響力を強めている中国の協力は必要でしょう。

多くの中国人はパキスタン(巴基斯坦)人を「鉄のように固い友情で結ばれている」という意味で「巴鉄(バーティエ)」と呼んでいるほど、両国関係は緊密化しています。英BBC調査によれば、中国に対し、パキスタン人の63%が好意的な見解を示したとか。(なお、パキスタン以上に中国への好感度が高かったのは、83%のナイジェリア)【7月16日 Record chinaより】

北朝鮮問題でも動かない中国がアフガニスタン・パキスタンの問題で協調するか・・・という話はありますが、アフガニスタンにおけるイスラム過激派の存在は、新疆のウイグル族問題を抱える中国にとっても重大な関心事であり、また、「一帯一路」のパキスタンルートを成功させるためにもこの地域の安定が必要です。

トランプ政権内部でも分かれる意見
パキスタンの動向も不透明ですが、アメリカの対応も定まっていないように見えます。

とりあえずは「手詰まり」状態を維持するためにも増派が必要ということで、トランプ大統領は増派の規模の判断をマティス国防長官に委ねたと報じられていますが、政権内部の混乱も露呈しています。

****アフガンめぐる機密メモ、米政権内の亀裂示す****
増派できる米軍規模をホワイトハウスが制限、国防長官に与えた裁量権と矛盾

ドナルド・トランプ米大統領は6月、ジム・マティス国防長官に対し、国防長官自らの裁量でアフガニスタン駐留米軍を数千人増強できる権限を与えた。しかしその数日後にホワイトハウスが、駐留米軍の規模に事実上の制限を設けると説明した機密メモを出していたことが分かった。
 
関係者によると、このメモはH・R・マクマスター大統領補佐官(国家安全保障担当)が少数の政権当局者に送ったもので、トランプ氏はマティス氏に対し、ホワイトハウスと改めて協議することなく、アフガン駐留軍を3900人未満に限定して増派することを認めたとしている。
 
増派に関して政府内で矛盾したメッセージが出されているのは、16年続くアフガン内戦に深入りすることへの懸念がある中で、新たなアフガン戦略の策定をめぐってトランプ政権内に対立が生じていることを示している。

この内戦のために米国は2兆4000億ドルをつぎ込み、2400人以上のアメリカ人が死亡している。
 
マティス氏は、7月半ばまでにホワイトハウスに新アフガン戦略案を提示したいと述べている。同案では、米軍主導のアフガン駐留国際部隊が反政府勢力タリバンの勢いを止めるのに必要とする兵力が示されるとみられている。

アフガンでは、政府軍がタリバンを抑え込むことができないほか、過激派組織「イスラム国(IS)」も台頭しており、トランプ政権にとっては新戦略策定の緊急性が高まっている。
 
しかし政府当局者や元政府当局者によると、アフガンで米国の目標を何に置くか、タリバンとの和平交渉に再び力を入れるか、パキスタンにどの程度の圧力を掛けるかなどについて、政権内で意見が分かれている。

政府当局者によれば、トランプ氏がアフガン駐留軍の規模に関する権限をマティス氏に委譲したのは、ホワイトハウスがアフガン戦争の戦略について細かな点にまで口出しすべきではないとのトランプ氏の考えに基づくものだった。
 
その後のメモでホワイトハウスが駐留軍の規模に上限を置いたことについて、そうした規制は課されないとの印象を持っていた一部の政権当局者は驚きをもって受け止めた。

ホワイトハウスの国家安全保障会議(NSC)はこの点について論評を拒否した。国防総省のダナ・ホワイト報道官は、機密メモの詳細についてはコメントできないとする一方、駐留軍の規模は全体の戦略ほど重要なものではないとの見解を示した。(中略)
 
国防総省当局者は、タリバンとの戦いが膠着状態に陥っていることを公然と認めている。タリバンは支配地域の統治を強化している一方、ロシアがタリバンへの関与を強めていることが事態を複雑にしている。
 
米国のアフガンにおけるもう1つの課題はアフガンを過激派組織の聖域にしないことだが、その取り組みは不十分である。国防総省によれば、アフガンとパキスタンは現在20以上の過激派グループの拠点になっている。
 
アフガン駐留米軍のジョン・ニコルソン司令官は何カ月も前からトランプ政権に対し、形勢を逆転するため増派を要求している。しかし、アフガン戦略の見直しが続けられているため、増派に関する決定はずれ込んでいる。
 
決定が遅れている一因として、国務省の戦略策定にあたる上級の専門職員が不足していることもある。レックス・ティラーソン国務長官は最近、アフガンとパキスタンの特使のポストを廃止した。同省南・中央アジア局は、指導的役割を担うトップクラスの職員が何人も退職しており、加えてトランプ氏はアフガンとパキスタンの新大使を指名していない。

戦略見直しに当たり、米政府はパキスタンに対してこれまでよりも厳しい姿勢を取る可能性を探っている。米国とアフガンの両国は、パキスタンが過激派指導者を庇護しているとみており、罰したいと考えている。

ただパキスタンにどの程度の圧力を掛けるべきかについては合意が出来ていない。米政府当局者によれば、トランプ氏はパキスタンに圧力を掛けすぎ、事態をさらに悪化させることになるのを警戒している。
 
米政府当局者の間では、タリバンとの和平交渉にどの程度精力を注ぐかについても意見が分かれている。マティス氏は、タリバンが戦いで勢いを増していることから、交渉にほとんど価値を見出せないと示唆している。

同氏は、アフガン政府軍がタリバンの攻勢を跳ね返すのを支援するため米軍を増派し、アフガン政府の交渉力を強めたいと主張する。だが、それには何年もかかるだろうし、これまでも何度も増派を行って失地を回復したものの、そうした勝利も再び押し戻されてしまっている。【7月7日 WSJ】
*******************

アメリカ国防総省がアフガニスタンに米軍約4千人を増派する方針を固めた、今週中にも公表される・・・との報道もありましたが、まだ目にしていません。当然ながら、パキスタンへの対処、和平交渉への方針を含めた“戦略見直し”もまだです。2,3日中には公表されるのでしょうか。

対ISでは、IS指導者を殺害したとの報道もありますが、新たな指導者はすぐに生まれますので、どこまでこうした攻撃が奏功しているのかはよくわかりません。

****アフガンのIS指導者殺害=1年で3人目「大きな打撃」-米軍****
米国防総省のホワイト報道官は14日、アフガニスタン東部クナール州で、同国における過激派組織「イスラム国」(IS)のトップであるアブ・サイード指導者を殺害したと発表した。昨年7月以降、駐留米軍がアフガンのISトップを殺害したのは3人目。(後略)【7月15日 時事】
*******************

ロボコン参加少女をめぐる混乱 将来ともロボコン少女の活躍は確保されるのか?】
アフガニスタン情勢とは別の話になりますが、アフガニスタン関連ではロボコン参加少女へのビザ発給問題も話題になっています。ここでもトランプ大統領は従来方針を覆す形になっています。

****アフガン少女らロボコン参加 3度目申請でビザ発給****
女子高生チーム6人「言葉にできないほど幸せ」

国際ロボットコンテストに参加するため、米国入国ビザの発給を却下されていたアフガニスタンの女子高生チーム6人が3度目の申請でようやく発給を受け、開催地のワシントンに15日に到着、「言葉にできないほど幸せ」と喜んだ。発給拒否への批判が高まり、トランプ政権が判断を覆した格好だ。米主要メディアが報じた。
 
6人は色を認識してボールを仕分けるロボットを開発。7月上旬に居住するアフガン西部ヘラートから首都カブールの米国大使館を訪れ、各国から約160チームが参加するコンテストに参加するためビザを申請したが、2度も断られた。
 
少女らは地元テレビに「私たちはテロ集団じゃない」と訴え、国際的な支持が集まった。米国の下院議員約50人は11日、ティラーソン国務長官に「勤勉で創造的な若い女性の入国を防ぐことは国務省の使命に反する」と受け入れを求めた。
 
ビザは12日に発給された。トランプ氏が、女性の権利擁護を訴える長女イバンカ大統領補佐官の助言を受け指示したという。
 
トランプ氏は大統領令でイスラム圏6カ国からの入国を制限。アフガンは対象外だが、入国審査の厳格化で当初ビザ発給が拒否された模様だ。【7月16日 毎日】
********************

アフガニスタンにロボコン参加するような女子高校生がいるというのは意外でしたが、非常に喜ばしいことです。

こうした女性の活躍が今後も加速されるような方向で、和平に向けたプロセスが進行するといいのですが。
かつてのタリバンにはそうした面での理解は全くありませんでした。現在はどうでしょうか?

和平は実現したが、タリバンの影響もあって女性は再び家の中に閉じ込められる・・・・というのでは、何のためのここ数年の戦闘だったのかという話にもなります。

こうした女性へのビザ発給すら拒むアメリカの現状は、タリバン並みとも言えます。
コメント