(7月30日夜、資格取消後に行われた「香港民族党」陳浩天氏の抗議集会 RFA中国語版によれば「参加者が多くなかったため、8月5日に再度集会を開くことを市民に呼び掛けた」とのこと 大きな運動にはなっていないということでしょうか? 【7月30日 RFA】)
【「本土派」代表の立候補資格取り消し 広がる反発】
9月4日に行われる香港立法会(議会、定数70)選挙については、従来からの「親中派」と「民主派」の争いで「民主派」が重要法案を否決できる3分の1以上を確保できるかということに加え、香港こそが「本土」だとして中国からの独立を明示し、必要なら暴力的手段も辞さないとする「本土派」が初めて参戦し、議席を獲得できるかどうかが注目されていました。
****<香港議会選>届け出終了 反中勢力の議席獲得なるか****
9月4日に投開票される香港立法会(議会、定数70)選挙の立候補届け出が29日に締め切られた。香港で若者らを中心に反中意識が強まる中、親中派と民主派の争いに加え、初めて参戦する反中勢力の「本土派」が議席を獲得できるのかも注目される。
選挙は直接選挙枠と職能代表枠の各35議席を選ぶ。任期は4年。計154人が届け出手続きをした。選挙管理委員会が資格を審査し、最終的に立候補者を確定させる。
直接選挙枠は5選挙区(各定員5〜9人)に89人が届け出た。職能枠は29の産業別に団体などによって投票する制限選挙で、65人が届け出た。職能枠は中国寄り経済団体などに割り当てられていることから、今回選も全体では親中派が過半数を確保するとみられる。
民主派は、政府が提出する重要法案を否決できる3分の1以上を選挙後も確保できるかがカギ。
今回選には2014年に民主的な選挙制度を求めた「雨傘運動」を主導した若者が新政党を結成して相次いで参戦した。また反中意識が強く、香港を「本土」とみなす「本土派」も届け出た。
しかし、選管は立候補者に、香港が中国に属することなどを定めた香港基本法を支持する「確認書」への署名を義務づけた。民主派や本土派の大半は署名を拒否したという。
今回の措置は、独立世論を警戒する中国の影響力を背景に本土派らの抑え込みを狙ったものとみられている。選管は、署名がなくても立候補が無効になるわけではないと説明しているが、立候補を阻まれる人が出る可能性もある。【7月30日 毎日】
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「香港民族党」については、“「香港民族党」の呼びかけ人である陳浩天氏は、同党の考え方の中核は「民族自決、香港独立」と説明。香港人の利益と香港の確固たる民族意識を守るために、中華人民共和国における香港の地位を定めた「香港特別行政区基本法」を撤廃し、独立自由な「香港共和国」の成立をめざすという。”【3月31日 Searchina】とのことです。
上記記事の懸念のとおり、「本土派」代表の出馬を選挙管理委員会が認めないという事態になっています。
****独立主張の新党代表、出馬認めず=9月議会選で選管―香港****
9月4日に投票が行われる香港立法会(議会)選挙をめぐり、香港独立を唱える新政党「香港民族党」は30日、選挙管理委員会から党代表の陳浩天氏の出馬を認めないとの通知を受けたことを明らかにした。「政治上の主張を理由に被選挙権を剥奪した」と批判している。
陳氏は18日に立候補を届け出たが、地元メディアによると、出馬に当たって選管から求められた「香港は中国の不可分の一部」などとする香港基本法(憲法に相当)の確認文書への署名を拒否していた。
香港政府は「香港独立は基本法に合致しない」と説明。ただ、署名を拒んでも出馬が認められた候補者もおり、一部だけを狙い撃ちにした今回の措置は、物議を醸す可能性もある。【7月30日 時事】
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“香港独立”という主張を公に掲げる「本土派」の存在は、中国にとっては看過できない存在であり、「本土派」代表を狙い撃ちにした今回措置の背景には中国のそうした意向があるのでは・・・というのは誰しも思うところです。
****香港独立派の立候補資格を取り消し 立法会選、反発の声****
・・・香港各紙によると、選管は今回の選挙から、「香港は中国の一部」などと定めた基本法の3条文を守るとの「確認書」への署名を候補者に要求。陳氏は確認書には署名していなかったが、基本法を守るとした立候補申請書類には署名していた。
選管は「その後も独立の主張を続けており、基本法と相いれない」と判断した。香港政府も「独立派は議員の職責を果たせない。政治的な審査や言論の自由の制限には当たらない」と選管を支持した。
陳氏は選管の決定を不服としており、選挙のボイコットを呼びかける一方、裁判所に資格確認を求めるか検討するとしている。
確認書をめぐっては、中国政府の出先機関・中央駐香港連絡弁公室の張暁明主任が「独立派を公然と香港の立法機関に入れることは一国二制度や基本法に合致するのか」と発言したため、中国側の意向が背景にあるとの見方もある。
民主派は「中国政府は香港の選挙に干渉すべきでない」と反発し、そろって確認書への署名拒否を表明している。今後も資格取り消しが続けば、さらに反発が広がる可能性もある。
立候補の届け出は7月29日に締め切られており、選管は8月2日までに候補者の資格について最終的に判断する見通しだ。【7月31日 朝日】
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「本土派」の「香港民族党」には、出馬を拒否された代表意外に立候補者がいるのか、それらの者の扱いがどうなっているのか・・・・基本的な情報ですが、各紙記事ではその点がよくわかりません。
もし、他にも候補者がいて出馬が認められているなら、ボイコットなどするより、今回措置に対する批判を追い風に選挙を戦った方がよい結果がでそうですが・・・。
一方、もし「本土派」の出馬が封じ込まれると、反中国票の奪い合いになっていた「民主派」にとっては、中国批判票を独占できるという側面もあります。
今後も資格取消が続くのかどうかはわかりませんが、「民主派」もそろって確認書への署名拒否を表明しているということで、選管(そして中国)の対応次第で選挙の様相は大きく変わります。もう少し情報がないと、なんとも言い難い状況です。
【「対話で目標を達成できず、他に手段がなければ一定の暴力もやむを得ない」】
「本土派」の存在が注目を集めたのは、今年3月に行われた立法会補選での予想外の“善戦”でした。
香港政庁・中国との対話路線を維持した「雨傘運動」の挫折が、「対話路線で民主化は達成できない」という意識を広げたとされています。
****過激な反中「本土派」勢い 香港議会補選、得票15%超****
香港で「本土派」と呼ばれる反中国の過激なグループが勢いを伸ばしている。香港を中国の一部ととらえず、香港こそが「本土」だとして、香港人の利益や文化を守ろうと訴える人たちだ。
時に暴力的な手段も辞さない姿勢に批判も根強いが、「香港人」意識を高める若者を中心に支持を広げている。
(2月)28日にあった立法会(議会)の補選。民主派が約16万票を獲得して約15万票の親中派を破ったが、香港メディアの関心は、本土派のグループ「本土民主前線」の大学生候補、梁天キ氏(24)に集中した。
約6万6千票で3位。支持層が重なる民主派の票を崩せば、結果に影響を及ぼしかねない票数だ。梁氏は29日、「満足はできないが、悪くない結果だ。香港の政治は今後、親中派、民主派、本土派の3派で争いたい」と語った。
補選は当初、従来通り民主派と親中派が争うとみられたが、春節に旺角で起きた騒乱事件で逮捕された本土派の梁氏への支持がネット上で急速に広がった。
本土派の主張は、中国政府を批判し、民主を求める点では従来の民主派と重なる。だが、目的達成のためなら一定の実力行使も許されるとの主張が異なる点だ。
梁氏は選挙期間中も「弾圧に対抗するにはあらゆる手段が必要」「極悪な政府と戦うには、(非暴力という)限界をもうけてはいけない」などと語り、旺角事件での投石や放火行為を否定しなかった。
これに対し、中国・香港両政府や政党、主要メディアは暴力行為を否定し、本土派を「暴徒」などと批判してきた。それだけに15%を超す得票には驚きが広がる。
梁氏は「『暴徒』が6万6千人の支持を得た。我々は主流派でないが、絶対に支持する人はいる」と自信を見せた。
高まる香港人意識、暴力辞さず
中国・香港政府や民主派政党から批判されながらも支持を広げる本土派。背景には、「雨傘運動」と呼ばれた民主化デモの挫折や中国との関係改善が見通せない現状がある。
行政長官選挙の民主化を求め、2カ月半続いた2014年の路上占拠デモは非暴力の対話路線を採った。だが、改革案を示した中国側が一歩も譲らず、要求は実現できなかった。
デモ参加者の間では中国への反発に加え、「対話路線で民主化は達成できない」と従来の民主派への不満が広まった。梁氏らの組織も、雨傘運動後に結成された組織の一つだ。
最近では、共産党を批判する本を出版していた書店関係者5人が失踪し、中国当局の関与が疑われている。言論の自由や高度な自治を保障した「一国二制度」が脅かされているという危機感が強まり、「香港人」意識が高まっている。
梁氏の選挙を支援した求職中の男性(26)は「返還後の19年間、民主派はデモをするだけで、結局何も勝ち取れなかった。対話で目標を達成できず、他に手段がなければ一定の暴力もやむを得ない」と話した。【3月1日 朝日】
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香港の現状では中国・習政権相手に「対話」では何も達成できない・・・というのはわかりますが、暴力的手段がどいう結果をもたらすかは「覚悟」が必要です。
【「雨傘運動」挫折で、若者らの心をとらえた「本土派」】
この補選後の3月28日に、陳浩天氏ら若者らが中心になって「独立」を目指す「香港民族党」が結成されましたが、その際、中国共産党機関紙の人民日報の系列紙である環球時報は「血迷った」、「政治的白痴と批判されている」と非難したうえで、“香港の社会の主流が十分に強く成熟することを望む。それが、『香港独立』といった政治的無頼の形成に対処する有効な方法だ。彼らを冷たく見るのはもちろん、法律で彼らを規制せねばならない。正常で闊達な精神で、絶対的。主動的でなければならない。そしてこの小さなグループに香港の正道を攪乱させてはならない”【3月31日 Searchina】と主張しています。
しかし、中国、親中派の批判は、「本土派」支持拡大を促す結果ともなっています。
****「香港独立」掲げ新政党 若者に広がる中国離れ ****
■既存の民主派政党、「独立論」とは距離
既存の民主派政党も「香港はあくまで中国の一部だ」として独立論とは距離を置く。
雨傘運動を主導した一人、黄之鋒(ジョシュア・ウォン)氏(19)が4月に設立した新政党、香港衆志(デモシスト)も「一国二制度が期限を迎える2047年以降の香港の将来を決めるため、10年後に住民投票を実施すべきだ」とするだけで、独立は選択肢の一つとの位置づけだ。
それでも香港民族党など「香港こそが自分たちにとっての本土だ」として中国からの自立を訴える「本土派」への支持は若者層を中心に急速な広がりを見せている。
香港中文大学が3月に実施した世論調査では、自らを「本土派」と位置付ける回答者が全年代では8.4%だったのに対し、18~29歳の若年層では29.8%と、「穏健民主派」(38.7%)に次ぐ2番手に躍り出た。
外資系企業に勤める女性(27)は「雨傘運動の前には中国からの独立なんて考えもしなかった。だが全く譲歩しない中央政府をみて、これまでのやり方ではどうしようもないとよくわかった」と香港民族党への支持を公言する。
香港政府の梁振英行政長官は26日の記者会見で「独立や自決の主張は中央の信任を失わせる。少数の人々の行動で700万人の全市民がツケを払うことになる」と域外からの投資や旅行客の落ち込みにつながりかねないと語った。
だが親中国派による度重なる警告は一部の若者の「離中感情」をさらに高め、独立論を勢いづける皮肉な結果を招きつつある。【4月29日 日経】
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【より穏健な「香港衆志(デモシスト)」にも司法の壁】
「香港衆志(デモシスト)」も、「雨傘運動」を受けて「香港民族党」と同時期に若者らが結成した新党です。
****香港「雨傘運動」の若者ら新政党 立法会選挙を目指す****
2014年秋に香港行政長官選挙の民主化を訴えたデモ「雨傘運動」に参加した香港の若者らが10日、9月の立法会(議会)選挙に立候補するため、新政党「デモシスト(香港衆志)」を立ち上げた。
中心になったのは、雨傘運動を引っ張った学生団体「学民思潮」や「学連」の元メンバーら。代表の主席に就いた羅冠聡さん(22)らが会見し、「香港の未来のため、過激でも保守でもない選択肢を有権者に示していきたい」と語った。具体的な政策は、市民との対話を通じて決めていく方針。
政党名は、民主を意味する「デモクラシー」とラテン語で「立ち上がる」などの意味がある「シスト」を組み合わせたという。
また、香港こそが本土と考え、中国に批判的な本土派の若者グループ「青年新政」ら6団体も同日、立法会選挙で3〜4人の当選を目指し、協力していくと発表した。将来的には香港独立も選択肢の一つとし、21年に香港人による市民投票を実施するなどの政策を掲げている。【4月10日 朝日】
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「香港民族党」より穏健な立場で、既存政治に満足しない若者らの受け皿になるとも思われますが、過激な「本土派」と支持を争う形にもなっています。
なお、立法会選挙に出馬している「デモシスト(香港衆志)」の代表である羅冠聡さんについても、出馬が危ぶまれています。
****香港民主化デモ、学生リーダーに有罪判決 「雨傘運動」****
2014年に香港の大通りを占拠した民主化デモ「雨傘運動」をめぐり、香港の東区裁判所(地裁に相当)は21日、香港政府前で違法な集会に参加したなどとして、大学生団体「学連」の事務局長だった周永康さん(25)と羅冠聡さん(23)、中高生団体「学民思潮」のリーダーだった黄之鋒さん(19)に有罪と認める判決を出した。量刑は来月15日に言い渡される。
羅さんは9月の立法会(議会)選挙に立候補しているが、香港メディアによると、一定以上の刑が確定すれば被選挙権を失う。
判決によると、周さんと黄さんは14年9月下旬、香港政府前で開かれた集会の際、他の参加者らとともに政府の敷地内に突入し、公共の秩序を乱した。羅さんも演説でそれを扇動したとされる。この突入が雨傘運動のきっかけになった。【7月21日 朝日】
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【台湾・香港を遠ざける習近平政権の強硬姿勢】
「一国二制度」を形骸化させる中国側の香港への圧力は相変わらずです。
****香港誌幹部2人に違法経営罪などで懲役判決、中国・深センの裁判所、「一国二制度」に反すると反発再び****
香港紙、蘋果日報(電子版)は27日、中国広東省深セン市の裁判所が26日、中国の指導者らのゴシップ記事を扱う月刊誌を香港で発行し、不当な利益を上げたとして香港人2人に対し、違法経営罪などでそれぞれ5年3月と2年3月の懲役判決を言い渡したと報じた。
2010年に香港で「新維月刊」など複数のゴシップ雑誌を始めた発行人と編集者の2人で、14年5月末に香港から深セン市に入境したところ公安当局に身柄を拘束され、起訴された。
このうち発行人は香港の身分証明のほか米国パスポートも保持していたが、拘束後に米国の領事面会の措置も認められなかった。
香港では、共産党政権を批判する「禁書」を扱った銅鑼湾書店の関係者5人が失踪した事件をめぐり、中国当局が司法管轄権を無視して香港の域内にまで踏み込んできた疑いがあるとして反発が強まっている。
今回の懲役判決についても、香港の民主派団体や記者協会などは、銅鑼湾書店の事件と同じく、香港の高度な自治と言論や出版の自由を認めている「一国二制度」に反するとして、中国当局側を強く非難した。【7月27日 産経】
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習近平国家主席は7月1日、北京の人民大会堂で開かれた中国共産党創設95周年の祝賀大会での演説で、香港への強硬姿勢を改めて示していますが、香港の人々の意識が大きく変わりつつあるのは台湾と同じです。
****「中国人であることを誇りに思う」香港人、返還以来最低31%****
2016年7月1日、米国営放送ボイス・オブ・アメリカ(中国語電子版)によると、中国返還19周年に合わせて香港で実施された世論調査で、「中国の国民であることを誇りに思う」と回答した人の割合は前年同期比7ポイント低下の31%で、返還以来最低となった。「誇りに思わない」は、返還以来最高の65%。前年同期に比べて9ポイント上昇した。
調査は6月20日から4日間、香港人1000人強に対して電話で実施した。「誇りに思わない」と答えた人の割合は、18歳から29歳で特に高く86%に達した。「誇りに思う」は10%にとどまった。50代以上でも「誇りに思う」は半分以下の44%だった。
中国政府の香港政策を「評価する」は27%、「評価しない」は38%。「評価しない」は99年以来最高になった。香港メディアは「中国政府による香港への圧力が日増しに強まり、銅鑼湾の書店員失踪事件で『一国二制度』への疑問が拡大した。若い世代ほど中国政府への反発が強い」と伝えている。【7月2日 Record China】
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習近平政権の強硬姿勢は台湾でも、香港でも、人々を中国から遠ざける結果となっています。