孤帆の遠影碧空に尽き

年に3回ほどアジアの国を中心に旅行、それが時間の流れに刻む印となっています。そんな私の思うこといろいろ。

シリア  拡大する混乱 アサド政権の先行き不透明

2011-03-31 22:36:06 | 国際情勢

(3月25日、シリアの首都ダマスカスの反政府デモ。 この日、「尊厳の金曜日」と銘打った全国的な反政府デモが呼びかけられ、南部のダラアでは数万人がデモに参加、治安部隊の発砲により多くの死傷者が出ました。 “flickr”より http://www.flickr.com/photos/ahmadzog/5558765130/

アサド父子の強権支配に拡大する抗議行動
わが国ではチュニジアやエジプトのような騒乱は起きない・・・シリアのアサド大統領は今年1月、欧米系メディアにそう豪語した。「国民の感情と尊厳」を重視した改革が進み、既に「国民が国の決定に参加」しているからだとか。”【4月6日号 Newsweek】

もちろん、シリアで騒乱が起きないとしたら、アサド大統領の言う“改革の進展”や“国民の政治参加”ではなく、軍や秘密警察を使った強権支配の結果に過ぎませんが、確かに中東・北アフリカ民主化ドミノの初期段階においては、シリアは“無風区”の感もありました。
政権側も余裕からか、他国の騒乱をよそに、民主化運動の起爆剤となるファイスブックをも解禁しました。

****シリア、フェイスブック解禁 デモ不発、統制に自信*****
シリアからの報道によると、シリア当局がこれまで遮断してきたフェイスブックに、今週に入って同国でも接続が可能になった。フェイスブックを通じて呼びかけられたデモが不発に終わり、チュニジアやエジプトとは違って体制維持に自信を持っているのでは、との見方が流れている。

フェイスブックでは4日を「シリア怒りの日」と名付け、チュニジアやエジプトに続く市民デモを起こそうとの呼びかけが出回り、国内外で1万2千人以上が支持を表明。一方、デモに反対するグループも立ち上げられ、1万人以上が支持を示したという。シリアではこれまで、若者らの一部が遮断を回避する特殊なソフトを使い、フェイスブックなどに接続していた。
治安部隊や秘密警察が当日、シリア各地で警戒にあたったもののデモは起こらず、ネットでデモを呼びかけたとして75歳のイスラム主義者の男性が北部アレッポで逮捕されただけで終わった。

シリアではアサド大統領父子が約40年にわたり支配を続ける。若者の失業や貧富の差、言論の自由の欠如など、デモが起きた他のアラブ諸国と同じ条件がそろっているが、軍や秘密警察はアサド親子と同じイスラム教少数派のアラウィ派が主流を占め、体制に対して強く忠誠を誓っており、統制の度合いは強い。【2月10日 朝日】
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しかし、3月15日に首都ダマスカスで政治改革を求める数十人規模の民主化要求デモが起きたのを皮切りに、イスラム教金曜礼拝のあった18日には、デモ隊に治安部隊が発砲して4人が死亡、19、20日の両日もデモが続き、1万人が参加したとされる20日のデモの際にも1人が死亡、100人以上が負傷したと報じられています。
20日のデモでは、与党バース党の本部や裁判所、アサド大統領の親族が保有する電話会社の支店がデモ参加者らに放火されています。

南部ダラアを中心にその後もデモは拡大、当局はこれを厳しく弾圧する展開になっています。
****デモ弾圧で100人超死亡か=独裁体制への抗議、全土に拡大も―シリア******
シリアの南部のダラアで反体制デモが拡大し、AFP通信は人権活動家の話として24日までに100人以上が死亡したと伝えた。アラブ圏に広がる民主化要求デモを警戒するシリア当局は、ネット活動家らの摘発やデモ弾圧を強化している。
ダラアではアサド大統領の独裁体制に抗議するデモが1週間近く続き、23日に市中心部のモスク(イスラム礼拝所)に籠城するデモ隊に治安部隊が発砲。射殺された犠牲者の24日の葬儀に約2万人が参加した。(後略)【3月24日 時事】
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バーレーン同様にシリアも宗派問題があります。
“当局の強硬姿勢は、脆弱な権力基盤にしがみつくアサド家の危機意識の表れだ。この国ではイスラム教スンニ派が多数を占めるが、政治の実権はアラウィ派(シーア派の分派)が握ってきた。このアラウィ派の既得権益を死守することがアサド家の使命であり、アサド政権の存在理由でもある。
アラウィ派はシリアの総人口の8~12%を占めるにすぎない。対してスンニ派は70%以上を占めており、ほかにキリスト教徒も10%以上いる。
シリア社会は複雑に入り組んだモザイク社会だ。宗教や宗派、部族や民族などで色分けされた無数の集団があり、人々は複数の集団に帰属している、ひとたび中央政府が求心力を失えば、この国は分裂しかねない。” 【4月6日号 Newsweek】

非常事態令解除検討や内閣総辞職も
アサド大統領による強権支配に対する抗議デモが激化したことを受けて、“ムチ”だけでなく“アメ”も導入されました。24日には、1963年から続く非常事態令の解除の検討や、拘束されたすべての活動家の釈放、公務員給与引き上げ、政党結成や報道の自由の保証などの改革案が発表されました。騒乱が拡大して非常事態令が解除されるというのは、本末転倒の感もありますが、強権支配国家の実態でもあります。
しかし、抗議行動は拡大の一途で、犠牲者も増加。29日には、騒乱の責任を取らされる形で内閣総辞職も発表されています。

****シリア大統領「改革進める」 具体策には触れず*****
シリアのバッシャール・アサド大統領は30日、人民議会(国会)で演説した。「我々は改革を進める」と述べたが、具体的な内容には触れなかった。アラブ諸国でも屈指の強権国家とされるシリアでも3月中旬以降、中東政変に触発される形で民主化を求めるデモが発生。大統領は国民の要求を受け入れる姿勢を示すことで強権支配に対する不満をなだめる狙いだったが、デモが沈静化するかは不透明だ。
デモが始まって以降、大統領が演説するのは初めて。大統領は演説で、1963年に発令された非常事態令の撤廃を表明するとみられたが、「我々はすでに決定した改革を実行していく」と述べるにとどまった。(中略)
29日にはオタリ内閣が総辞職するなど、アサド政権は国民の不満をなだめようと躍起になっていた。

シリアでは71年にハフェズ・アサド氏が大統領に就任。同氏の死去に伴い、2000年に次男バッシャール氏が後継大統領になった。アサド大統領は就任後、民主化などの改革路線を打ち出したものの、前大統領時代から実権を握る守旧派の抵抗で進展しなかった。【3月30日 朝日】
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これ以上の混乱拡大は避けたい周辺国・関係国
リビア、バーレーン、イエメン同様に、国民の抗議行動によって強権支配体制が大きく揺らいでいるシリアですが、チュニジア・エジプト・リビアとは異なり、周辺国や関係国からは“民主化運動支援”の声は殆んど聞かれません。

かつてはイスラエルと事を構え、レバノンに介入し、イラク武装組織やヒズボラ、ハマスなどのイスラム過激派への武器援助などで、アメリカ・ブッシュ政権からは“ならず者国家”とも呼ばれていたシリアですが、近年はアサド大統領のもとで、アメリカ・イスラエルなどとの関係改善を進めてきました。(09年3月8日ブログ「シリア アメリカ急接近 イスラエルとの和平交渉加速か」(http://blog.goo.ne.jp/azianokaze/d/20090308)参照)

*****政権転覆」に警戒感 シリア 周辺国、地域不安定化を懸念*****
反体制デモに武力弾圧を強めるシリアのアサド政権について、アラブ諸国だけでなく敵対関係にあるイスラエルや米国さえも「体制転覆」シナリオの封印にかかっている。イランやレバノン、パレスチナ問題に深く関与し、各勢力の利害の“結節点”となってきたアサド政権が崩壊すれば、地域が一気に不安定化しかねないとの警戒感があるためだ。

「アサド大統領は改革者だ」。クリントン米国務長官は27日、こう述べて現時点でのシリアへの介入を否定した。そこには、リビアに軍事介入したばかりで、戦線を拡大したくないとの思惑のほか、同盟国イスラエルの事情も見え隠れする。
シリアは1980年代以降、イスラエルとの正面からの対立を避けるため、隣国レバノンでイスラム教シーア派組織ヒズボラを支援。その半面、ヒズボラが自らの統制下を離れることがないよう、勢力伸長に歯止めをかけてきたとされる。
やはりヒズボラを支援するイランとは友好関係を保ちつつも、昨年10月、同国のアフマディネジャド大統領がレバノンを訪問し、ヒズボラへの影響力を誇示した際には不快感を示した。

パレスチナ自治区ガザ地区を実効支配するイスラム原理主義組織ハマスとの関係も同様の構図で、ヒズボラやハマスを脅威ととらえるイスラエルにとってシリアは、自国の安全保障の「安全弁」(28日付イスラエル紙ハアレツ)の役割も果たしてきたといえる。

一方、クウェート、カタールやイラク、バーレーンの首脳が相次いでアサド大統領への支持姿勢を表明。共通するのは、シリアの不安定化で現在の力の均衡が変化することへの懸念だ。29日付ハアレツは「ユダヤ(イスラエル)だけでなく、多くのアラブもアサド政権の生き残りを祈っている」と指摘。政権による改革の遅れがデモを激化しかねないことに周辺国も神経をとがらせている。

シリアでは、シーア派の一派アラウィ派出身のアサド父子の政権が多数派のスンニ派を支配する構図が40年以上続く。現体制が崩壊した場合、次期政権の性格については予測がつかず、各国はチュニジアやエジプトに続く政変でさらに混乱が拡大するのを避けたいのが本音といえそうだ。【3月31日 産経】
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これ以上の混乱の拡大、パワーバランスの揺らぎを起こしたくない周辺国・関係国ですが、国民の行動がその思惑・枠組みにおさまるかどうかは不透明です。
もし、シリア・アサド政権崩壊ともなると中東情勢は新たな段階に入ります。

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中国 続く強硬な外交姿勢 南シナ海問題絡みでフィリピン人の死刑執行か

2011-03-30 21:12:56 | 国際情勢

(中国が領有権を主張する南沙・西沙諸島 “flickr”より By patpbui http://www.flickr.com/photos/23681731@N07/4774095391/

【「こんなに優しい国民とは思わなかった」】
東日本大震災による大きな被害に対し、世界各国から日本への義援金や救援、はげましが寄せられており、あらためて世界との絆を認識させています。特に、中国や韓国といった隣国からの、普段のとげとげしい関係とは異なる激励には心が和むものがあります。

“震災直後から、上海総領事館には義援金の申し出や激励の手紙、花などが続々寄せられた。日本政府として過去中国でこうした支援を受け取った例はなかったが、16日から受け付けを始めたところ、25日までに535件、1億2500万円を超す義援金が集まった。”【3月27日 産経】

こうした中国の反応について、“無論、外交的な配慮も大きい。北京の外交筋によると、中国当局には、尖閣諸島沖での漁船衝突事件後の強硬的な対抗措置が国際社会における中国のイメージまで低下させ、「やりすぎだった」との反省の声があるという。中国はいち早く救助隊を被災地入りさせた。「全力で日本を支援している」と訴えることで、日中双方の国民感情を改善させたい思惑がある。北方領土問題で対日関係がこじれたロシアも同様の狙いから最大級の救助隊を送り込んだ。”【同上】との指摘もあります。

比政府の南シナ海問題での抗議に、比人死刑執行で対応か
ただ、中国が尖閣諸島や南シナ海での強硬な姿勢を「やりすぎだった」と反省しているのかどうかについては、疑問もあります。
結果的に日本や東南アジア諸国の反発・不安を強めて、そうした国々のアメリカ依存を強める形になっていることについては、「うまくなかった」との思いもあるかもしれませんが、基本的に自国の勢力圏を拡大していこうという強い姿勢にはあまり変化はないようにも見えます。

南シナ海の南沙諸島では、中国はフィリピンとも領有権を巡って問題を抱えています。
****フィリピンとベトナム、中国に抗議 南シナ海の活動巡り****
フィリピンとベトナムは、中国との間で領有権の主張が対立している南シナ海で、自国船が中国艦船に妨害されたなどとして、それぞれ4日までに中国に抗議した。
フィリピン政府によると、南シナ海のスプラトリー(南沙)諸島リード礁で2日、石油資源探査中の比エネルギー省船舶が中国軍艦2隻に妨害され、衝突されそうになった。比外務省によると、中国との間でこのような事件が起きたのは初めて。比政府は4日、現場は自国の排他的経済水域内だとしてマニラの中国大使館に抗議した。だが、中国大使館は「南沙諸島が中国領土であることには議論の余地はない」とコメントした。
またベトナム政府は、同諸島で先月24日に行われた中国海軍の演習について、「ベトナムの主権を侵害した」と中国側に2日に抗議した。【3月5日 朝日】
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一方、中国は30日、麻薬密輸罪で死刑が確定していたフィリピン人3人の死刑を執行しました。同死刑囚3人をめぐっては、フィリピン側は繰り返し減刑を求めていました。

****中国、麻薬密輸罪でフィリピン人3人の死刑を執行*****
中国当局は30日、麻薬密輸罪で死刑が確定していたフィリピン人3人の死刑を執行した。同死刑囚3人をめぐっては、フィリピン側は繰り返し減刑を求めていた。
3人は2008年に中国にヘロイン数キログラムを密輸したとして逮捕されていた。エリザベス・バタイン受刑者(38)は深センで、サリー・オルディナリオ・ビラヌエバ受刑者(32)とラモン・クレド受刑者(42)は福建省の厦門で、それぞれ死刑が執行された。フィリピン当局によると、3人にはこの日朝、死刑が執行されることが伝えられていた。(中略)
中国は、死刑の適用は国家機密に当たるとの理由で詳細を公表していないが、国際人権団体アムネスティ・インターナショナルは28日、2010年に中国で処刑されたのは数千人に上ると見ており、他国での死刑執行をすべて合わせた数を超えると指摘していた。【3月30日 ロイター】
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この死刑執行は一旦は延期されていましたが、ここにきての執行は先述の南沙諸島に関するフィリピン政府の抗議が影響しているのではないかとの見方があります。

****フィリピン人3人の死刑執行=態度一転、背景に南沙問題か―中国*****
中国で麻薬密輸罪に問われ死刑判決を受けたものの、いったん執行が延期されたフィリピン人3人の死刑が30日、執行された。フィリピンのビナイ副大統領が地元テレビに明らかにした。
比人死刑囚をめぐっては、ビナイ副大統領らが2月に訪中して減刑を要請し、中国側は異例とも言える執行延期を決めた。比政府が昨年12月、中国の民主活動家、劉暁波氏のノーベル平和賞授賞式を欠席するなど対中関係に配慮したことが背景にあるといわれた。
しかし、比政府は今月初め、中国と領有権を争う南シナ海の南沙(英語名スプラトリー)諸島での資源探査を妨害されたとして中国に抗議。これに反発した中国が態度を一転させたとの見方も出ている【3月30日 時事】
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中国において麻薬密輸罪でフィリピン人に死刑が執行されたのは今回が初めてケースです。
当然ながら、中国当局は政治的な背景は否定しています。
中国外務省は、麻薬密輸は重大な犯罪であり、正義が果たされたと説明。姜瑜報道官は29日の定例記者会見で「これは独立した刑事事件。2国間関係に影響することは望まない」と述べています。

今回処刑の背景に指摘のような南シナ海問題があるのであれば、強面の中国外交は依然として変わっていない・・・という感があります。

韓国も竹島問題では相変わらず
韓国からも震災被害には暖かい義損金などが多く寄せられていますが、一方で、竹島問題をめぐる対立は相変わらずのようです。
****誤った歴史観」 韓国外相、日本の教科書に抗議****
韓国の金星煥(キム・ソンファン)・外交通商相は30日夕、同省に武藤正敏・駐韓日本大使を呼び、日本の中学校教科書に日韓が領有権をめぐり対立する竹島(韓国名・独島〈トクト〉)の記述が増えたことに抗議。同省は「いまだに誤った歴史観を合理化し、美化する内容を含んでいる」として、教科書の根本的な是正を求める報道官声明を発表した。
韓国政府は同日、関係省庁が参加する「独島領土管理対策団」会議を開き、竹島に設けたヘリポートの補強工事や竹島に関する教育展示会の実施などを確認した。

韓国政府当局者は今回の対応について、「韓国では日本の震災被災者を支援する空気が強かっただけに、韓国人が教科書問題で受けた背信感は強く、そうした感情に配慮した」と語った。
ただ、竹島が国際紛争地化するのを避けるため、より厳しい対応は避ける考え。韓国外交通商省報道官は30日の記者会見で、権哲賢(クォン・チョルヒョン)・駐日韓国大使の一時帰国は検討していないことを明らかにした。震災支援も継続する。
一方、武藤大使は金外交通商相に日本の立場を説明。会談後、記者団に韓国からの震災支援について「韓国への感謝の気持ちは今後も変わらない」と韓国語で語った。【3月30日 朝日】
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震災被害援助と外交問題は別物というところですが、逆に、震災被害援助をきっかけにした関係改善をはかるという“震災外交”というものもあります。
本来なら、日本もこの機にそうした“震災外交”を展開してもいいのですが、あまりに大きすぎる震災被害、めどの立たない原発事故対応を抱えて、それどころではないというところでしょうか。

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コートジボワール  「二人の大統領」の混乱、内戦状態に拡大か

2011-03-29 20:32:01 | 世相

(コートジボワールから隣国リベリアへ逃れてきた難民 国境の村で泊まる場所・食料・水を求めて何時間も座って待ちます “flickr”より By CARE Deutschland Luxemburg http://www.flickr.com/photos/40506673@N03/5494254490/

ワタラ元首相の支持派が軍事攻勢
世界最大のカカオの産地でもあるアフリカ中西部コートジボワールでは、昨年11月28日に実施された大統領選の決選投票を巡って、「二人の大統領」が対立する混乱が続いています。

選挙管理委員会は野党・共和連合(RDR)のワタラ元首相が現職のバグボ大統領を破って当選したと発表。しかし、選挙結果を確定する憲法評議会はバクボ大統領の影響下にあって、投票の一部は無効としてバグボ氏の当選を宣言しました。

ワタラ氏とバクボ大統領の2人とも就任式を行い、バグボ大統領はそのまま大統領府に居座っています。
一方、国際社会が当選を認めるワタラ氏は、アフリカ連合(AU)や国連、米国、フランスの支持を受け、主要都市アビジャンのホテルに暫定政府を構えています。
ホテルは国連平和維持活動(PKO)部隊500人に守られているものの、軍・警察を支配し、国際社会の不当介入と若者を扇動するバクボ大統領側によって、ホテルに封じ込められた状態が続いていました。

バクボ大統領側によるワタラ氏ら反政府支持住民の虐殺も懸念されていましたが、下記AFP記事によると、ワタラ氏支持勢力による軍事攻勢が強まっているとのことです。

****ワタラ氏派が大規模攻撃、コートジボワール*****
大統領選の結果をめぐって混乱が続くコートジボワールで28日、国際社会が当選を承認するアルサン・ワタラ元首相の支持派が、大統領に居座るローラン・バグボ氏支持派が掌握する複数の主要都市を攻撃した。ワタラ氏側の攻撃の規模は、大統領選後最大。
 
同国最大のココア産地の入口にあたり、戦略上の要衝であるドゥエクエでは、1日中、双方が激しい戦闘を繰り広げた。ワタラ氏側は「多少の反乱分子はいるが」ドゥエクエを掌握したと発表。だがバグボ氏側は、戦闘は依然として続いているとしている。
ワタラ氏側はここ数週間で、バグボ氏側が掌握していたリベリア国境に近い西部の5都市を奪取した。東部のガーナ国境の都市、ボンドゥクにも迫っている。
双方の衝突では、これまでに少なくとも460人が死亡し、100万人が避難民となった。商都アビジャンの住宅街でも連日、迫撃砲などが飛び交っている。【3月29日 AFP】
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地域的な対立が背景
内戦の再燃の様相を呈しているようです。
もともとコートジボワールは南北間に民族的・宗教的対立があり、これまでも南北間の内戦を経験しています。
バクボ、ワララ両陣営の対立も、この地域的対立が絡んでいます。

“コートジボワールは、60年の独立後、ウフエボワニ初代大統領が、カカオ農園拡大に向けて移民の受け入れを奨励し、現在は同国人口の3分の1近くをマリやブルキナファソなど周辺国の移民やその子孫が占める。移民の多い北部のイスラム教徒らが土地所有権を剥奪されるなどの差別的扱いが問題になったこともある。
バグボ大統領は南部を地盤とするキリスト教徒なのに対し、ワタラ氏は北部を地盤とするイスラム教徒で、母はブルキナファソ出身。こうした地域や宗教間の対立が、事態を複雑化している。”【10年12月18日 毎日】

選挙後も南北間の衝突がすでに伝えられていいました。
****コートジボワール 続く混乱、内戦再燃危惧****
・・・・ワタラ氏の当選を支持する北部の旧反政府勢力「新勢力」と、南部に支持基盤を持つバグボ氏側の治安部隊は、2002~03年の内戦で分断された南北の境界付近で一時、衝突した。07年に南北の和平協定が成立した後、本格的な軍事衝突は初めてとされ、緊迫した状況が続いている。
アビジャンでもワタラ氏支持のデモ隊とバグボ氏側の治安部隊が衝突。これまでに約200人が死亡、約500人が拘束され、1万4千人以上が避難した。(後略)【12月28日 産経】
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ワタラ氏自身は北部の旧反政府勢力「新勢力」には所属していませんが、現在進んでいると報じられているワタラ氏側の軍事攻勢は、この旧反政府勢力「新勢力」によるものではないかと推察されます。
“双方の衝突では、これまでに少なくとも460人が死亡し、100万人が避難民となった”【前出AFP】と簡略に記されていますが、100万人の避難民というのは大変な事態です。

現地には国連平和維持活動(PKO)部隊は存在していますが、内戦状態の拡大ともなるとなすすべはないでしょう。国際社会は現在リビアなど中東・北アフリカの政変・混乱への対応で手いっぱいの状態です。
アフリカ連合(AU)の仲介による事態鎮静化が望まれますが、バクボ大統領が居座りを決め込んでいる以上どうにも解決策が見当たらないところでもあります。

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ドイツ政界を揺るがす福島第1原発事故  米ニューヨーク近郊の原発は?

2011-03-28 21:01:13 | 国際情勢

(ニューヨーク市中心部からわずか50キロに位置するインディアン・ポイント原子力発電所 万一、事故があった場合は、2000万人におよぶニューヨーク大都市圏住民をまるごと避難させる必要がありますが・・・・
“flickr”より By Tony the Misfit http://www.flickr.com/photos/tonythemisfit/2755502911/ )

独:「これは原発をめぐる住民投票であり、人々は望まないという答えを出した」】
福島第1原発事故は、関係者の懸命の作業にもかかわらず、いまだ収束の目処がたたない状況です。
昨日・今日も、漏れ出た水からの放射線量について測定器の針が振り切れ、危険なため再測定も出来ず帰ってきたとか、「ヨウ素134とコバルト56を取り違えた」「いや、コバルト56ではなくセシウム134と取り違えていた」とか、想定外の事態と混乱が続いているのは周知のところです。

そうした状況ですので、日本では先ずは目先の危機を何とかしのぐのに精いっぱいで、これからの原子力対策云々はとても議論する状況にはありません。
一方、海外では日本の事故を重く受け止め、「原子力ルネサンス」とも呼ばれる原子力重視・再評価の動きに急ブレーキがかっています。

一番敏感に反応しているのがドイツで、州議会選挙で反原発を掲げる環境政党「緑の党」が躍進して州首相を出す情勢で、「日本が独政界に激変をもたらした」(第2公共テレビ)とも言われています。

****ドイツ州議会選で首相率いる与党敗北、反原発派が躍進****
27日の独バーデン・ビュルテンベルク州議会選挙で、メルケル首相が率いる与党連合が敗北する公算が強まった。福島原発の事故を受け反原発を掲げる緑の党が大幅に票を伸ばし、初めて州首相を輩出する見込み。

緑の党と社会民主党(SPD)の合計得票率は47.3%に達する見込みで、同州で約60年にわたり政権を担ってきたメルケル首相率いるキリスト教民主同盟(CDU)は敗北を喫することとなる。
1800GMT(日本時間28日午前3時)時点の予測では、CDUと自由民主党(FDP)の与党連合の合計得票率は44.3%となる見込み。
今回の選挙結果はメルケル首相にとっては痛手だが、直接的な責任論には発展しないとみられている。 

敗北した州首相のStefan Mappus氏(CDU)は「過去2週間、日本から伝えられる恐ろしい映像と出来事が主題となった。その他に選挙戦の論点はなく、中央政府の動きもわれわれにとって逆風だった」と述べた。
過去58年にわたり同州で与党の地位を占めていたCDUの得票率は39.3%、FDPは5%。緑の党は24.2%で第2位、連立が予想されるSPDは23.2%。
同州の緑の党のリーダー、Winfired Kretschmann氏は「歴史的な勝利だ。われわれは物事を変えていく」と述べた。

また、同日行われたラインラント・プファルツ州議会選挙でもSPDが勝利し、緑の党と連立を組む見込み。
SPDのガブリエル党首は選挙結果について、原発に対する明確な拒否と指摘。「これは原発をめぐる住民投票であり、人々は望まないという答えを出した」と述べた。
FDPのブリューデレ経済相は、ラインラント・プファルツ州での敗北を厳しい結果と受け止める一方、「日本での一連の出来事、リビア情勢、ユーロをめぐる議論が影響した」と述べた。
メルケル首相のCDUは先月のハンブルク特別市(州に相当)議会選挙で敗北、昨年5月には国内最大州のノルトライン・ウェストファーレン(NRW)州議会選挙でも敗北している。【3月28日 ロイター】
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メルケル首相が選挙前に打ち出した原発稼働の延長計画の3カ月凍結は、凍結が暫定的なものだったため、「『凍結』は選挙戦術」と見透かされた形で、世論の支持を十分には得られませんでした。
“ドイツでは、79年の米スリーマイル島原発事故以来、原発問題は世論を深く割る「永遠のテーマ」となっている。反原発運動の受け皿になってきた緑の党は、09年の前回総選挙で約1割の支持率だったが、直近の世論調査では支持率が20%を超え、2大政党に迫る勢いになっている。”【3月27日 毎日】

メルケル政権は、今回の選挙結果を受け、原発政策の抜本的見直しを迫られるのは必至の情勢です。
また、バーデン・ビュルテンベルク州の政権交代で、州政府の代表から構成される連邦参議院(上院)での野党優位が強まり、メルケル首相は厳しい政権運営を強いられることになります。

原発「冬の時代」へ
福島第1原発事故の影響はドイツだけでなく世界的に広がっています。
EUでは原発の安全性検査を実施し問題点を検査することで合意、中国も新規原発の審査を一時中断、イスラエルやベネズエラなどが計画中止を表明。運転中に二酸化炭素をほとんど排出せず、地球温暖化対策の切り札として近年脚光を浴びた原発ですが、再び「冬の時代」に逆戻りするとの懸念も出始めています。

避難計画は現実に可能な計画ではなく、単なるおとぎ話の書類
79年のスリーマイル島原発事故以後、約30年間、原発の新規着工を凍結してきたアメリカは10年1月、着工容認に転じ、現在は24基の新設計画が進行中ですが、今後の原発政策は不透明になっています。

****安全性 不透明感増す米原発政策****
福島第1原発事故の長期化を受けて、米国の原発政策の先行きに不透明感が増してきた。国内に福島第1原発と同タイプの原子炉を多く抱え、人口が密集する都市部と近い原発も少なくない。緊急時の近接住民の安全確保という課題が浮上し、事業推進の資金調達も厳しさを増している。

◆「福島モデル」
米国内の原子炉104基のうち23基は、沸騰水型の福島第1原発と同じタイプ。エネルギー効率にすぐれるが、加圧水型に比べて安全性で劣るとの指摘も専門家から出ている。(中略)

◆避難は可能か
24日付米紙ウォールストリート・ジャーナルは、「米原発が新たな不安に直面している」として、原発の近接住民の避難の安全確保に疑問を投げかけた。
ニューヨーク中心部に近いインディアン・ポイント原発、カリフォルニア州ロングビーチに近いサンオノフ原発をはじめ、国内の原発の約半数が人口50万人以上の都市部から50マイル(約80キロ)以内に存在する。
福島第1原発事故では、米政府は80キロ圏内に住む米国民に退避勧告したが、そのまま米国内に置きかえれば国民にパニックが起きかねない。米上院環境・公共事業委員会は4月に、避難など原発の非常時対策に関する公聴会を開く予定だ。

◆資金繰りの壁
米電力大手NRGエナジーがテキサス州で計画中の原子炉増設計画が、中止か延期になる恐れがでてきた。計画に参加する東京電力からの出資が事故の影響で宙に浮き、軽水炉2基で70億ドル(約5700億円)に上る事業費調達のめどが立たなくなったためだ。
NRGのクレーン最高経営責任者(CEO)が「支援先を探すのは容易ではない」と語るように、安全性への不安から金融機関や投資家も原発計画への参画に及び腰となっている。
オバマ政権は昨年2月、約30年ぶりの新規原発となるジョージア州の原子炉建設計画に83億ドルを融資保証すると発表したが、米議会の一部や環境団体は「既存原発の点検が終わるまで建設許可を出すべきでない」と主張している。【3月28日 産経】
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アメリカでは特に、ニューヨーク市中心部からわずか50キロに位置するインディアン・ポイント原子力発電所に関心があつまっています。

“一般に米東海岸では大きな地震は起きないと信じられているが、米メディアによるとマグニチュード7クラスの地震が発生する可能性はある上、同原発の近くには2本の断層が走っているという。現在運転中の原子炉は1970年代に設置されたものだが、最新技術を投入した設計とはいえず、同原発の耐震性を疑問視する声もある。”
“米メディアでは、米政府より避難対象を狭い範囲にとどめている日本政府の判断を非難する論調が目立ったが、ひるがえって米国では、2000万人におよぶニューヨーク大都市圏住民をまるごと避難させることは果たして可能なのか。こうした疑問に対し、米紙ニューヨーク・タイムズは「研究者にとって避難計画は現実に可能な計画ではなく、単なるおとぎ話の書類(ファンタジー・ドキュメント)と見なされている」との専門家の談話を紹介した”【3月25日 産経】

ニューヨーク州のクオモ知事は廃止も視野に入れているとの発言をしていますが、代替電力の調達方法など難問は山積しています。
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ポルトガル財政危機に揺れる欧州経済

2011-03-27 20:48:36 | 国際情勢

(3月12日 ポルトガル首都リスボン “Geração à Rasca”のスローガンのもとに、若者中心に20万人が参加したデモ “Geração à Rasca”とは、失業・低賃金で希望がない破れかぶれのデスパレートな世代・・・といった意味合いのようです。 “flickr”より By novais822 http://www.flickr.com/photos/13192468@N07/5520352540/

リビア空爆による「世界の傍観者」からの復権
アメリカがリビア・カダフィ政権に対する空爆に消極的だったのに対し、最も積極的に主張してきたのがフランスとイギリスです。その背景には石油権益などの「カダフィ後」のリビアとの関係に対する思惑の他に、「欧州の裏庭」での混乱への対処によって、国際社会での地位が低下したと見られている欧州外交の復権を期待するところもあります。

****リビア攻撃:英仏、外交への信頼回復かけ*****
多国籍軍によるリビア空爆が無難に滑り出したことは、現時点で、これを政治的に主導したサルコジ仏大統領とキャメロン英首相の「外交的勝利」と受け止められている。しかし、反政府勢力への弾圧阻止を目指して「時間との闘い」(キャメロン首相)の中で開始した軍事介入の成否は未知数で、国際社会の支持を維持できるかが今後の焦点だ。

リビアへの飛行禁止空域設定を主目的にしたこれまでの空爆では、巡航ミサイル・トマホークやステルス爆撃機の投入などで米国が圧倒的な存在感を示している。同盟国に「責任の分担」を求める米国は、カダフィ政権の防空能力をそいだ後、欧州側にバトンを渡したい思惑だ。

しかし、欧州にその軍事能力があるかどうかは未知数だ。英紙フィナンシャル・タイムズのフィリップ・スティーブンス氏はコラムで「英国は十数機の戦闘機と数隻の駆逐艦、1隻の潜水艦を出して、これで精いっぱいと言っている。フランスは空母も出しているが、それでも手いっぱいだ」と指摘する。両国とも財政再建で軍事費削減を進めているほか、アフガニスタン派兵などで戦力に十分な余力がない不安を抱えている。

米国はこれまで国際問題で軍事介入する「政治的意思」と「軍事的能力」を兼ね備えた唯一の国と見られてきた。しかし、アフガンとイラクで戦線が伸びきる中、オバマ政権の新たな軍事介入への政治的意思は大きく後退している。米国にとって、英仏が前面に出る「欧州の裏庭」での軍事介入の成否は、世界の安全保障で各国に応分の負担を求めるオバマ・ドクトリンの実効性を占うことになる。

一方、英仏にとってリビア介入には、失墜しかけていた欧州外交への「信頼」の回復がかかる。財政危機や新興国の台頭などで国際社会での地位が著しく低下した欧州は、「世界の傍観者」とまでやゆされ、チュニジアやエジプトの民衆蜂起では存在感を示せなかった。
キャメロン首相とサルコジ大統領は昨年、軍事協力強化で合意している。背景には、国力が衰退する中で、共同で国際社会での影響力確保を図りたい思惑がある。リビア介入の成否は、この「英仏協商」の可能性を測る試金石ともなりそうだ。【3月27日 毎日】
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欧州発の「世界経済危機」の懸念
欧州の“国際社会での影響力確保”ということですが、リビア空爆の成否とは別に、国力の基盤となる経済面での危機が欧州では続いており、足元から崩れかねない状態です。

****ヨーロッパ経済に「激震」警報発令****
世界の注目が日本に向けられるなか、欧州は新たな金融危機を回避しようと懸命になっている。世界経済は今後、日本を襲った悲劇を上回る「激震」に見舞われるかもしれない。
世界経済に日本が占める割合は6%だが、欧州の場合は20%に上る。日本は阪神淡路大震災後のように予想より速く復興する可能性もあるが、欧州の債務問題が悪化を続ける限り「世界経済危機」が起きる恐れはある。そして現実に、債務問題は悪化している。

EUは先週、4400億ユーロ規模の救済基金の実質的な貸し出し能力を、現在の約2500億ユーロから名目どおりの額へ引き上げるため、詰めの協議を行った。基金の目的は高債務国に融資し、国債のデフォルト(債務不履行)を防ぐこと。さもなければ金融機関は巨額の損失を被り、投資家はEU各国の国債の投げ売りに走り、欧州も世界も景気後退に逆戻りするだろう。
残念ながら、目的達成の確率は5割以下だ。格付け会社ムーディーズは先頃、ポルトガルとスペインの国債の信用格付けを引き下げた。

だが頭が痛いことに、融資する側の国も巨額の債務を抱えている。イタリアの昨年の公的債務のGDP比は、スペイン(72%)を上回る131%。フランスは92%、ドイツは80%だ。
経済が堅調との判断から、今もドイツとフランスは健全な投資先だと見なされているが、投資家の信頼を失うのは簡単だ。債務国が債務国にカネを賃す現在の構図は、投資家が国債売却に走り、金利引き上げを要求すれば崩壊しかねない。

欧州の苦境の原因は3つある。高福祉国家が財政赤字を膨らませたこと、アイルランドやスペインが先般の金融危機で金融機関支援を余儀なくされたこと、単一通貨ユーロの導入が思わぬ副作用をもたらしたことだ。
ユーロの目的は繁栄と政治的統合の促進にあり、導入国は低金利と共通通貨の恩恵を享受できるはずだった。試みは成功するかに見えたが、低金利は一部の国で持続不可能な好況を生み出し、バブル崩壊とともに景気後退と財政赤字を招いた。

今や欧州には不協和音が漂っている。支援する側の国は将来的な代償に憤り、支援される側は厳しい融資条件に怒りを感じている。
両者の危うい関係は経済回復を脅かす新たな要素だ。日本に世界の注目が集まるのは当然だが、さらに大きな危機の現場は地球の裏側にあることを忘れてはならない。【3月30日号 Newsweek日本版】
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緊縮財政策が否決でポルトガル首相辞任
現在焦眉の問題となっているのはポルトガルです。
財政再建のための緊縮財政策が議会で否決されたことを受けて、ソクラテス首相は辞任を表明しています。

****ポルトガル首相辞任 ユーロ圏「包括対策」暗雲****
財政危機に陥っているポルトガルの議会で23日、緊縮財政策が否決され、ソクラテス首相はカバコシルバ大統領に辞任を表明した。解散・総選挙が行われるが、2カ月近い政治空白が生じる恐れが強く、ポルトガルが欧州連合(EU)と国際通貨基金(IMF)に救済を要請するとの観測が強まっている。

欧州単一通貨ユーロ圏(17カ国)で財政危機国の首相が辞任に追い込まれたのはアイルランドに続いて2カ国目。EUは24、25の両日、ブリュッセルで首脳会議を開き、財政危機の再発を防ぐ「包括対策」の一括承認を目指すが、各国で緊縮策への国民の不満が増幅しているため、協議への悪影響が懸念される。
ソクラテス首相が議会に緊縮策を提案したのはこの1年で4度目で、昨年国内総生産(GDP)比で7%だった財政赤字を今年は4・6%、来年は3%に圧縮する計画だった。

しかし、今回の緊縮策には年金への特別課税も含まれており、最大野党・社会民主党が「社会的弱者を標的にしている」と総選挙の早期実施を求めた。議会(定数230)で緊縮策に賛成したのは与党・社会党(97議席)だけだった。
大統領は25日に全政党の責任者を集めて今後の対応を協議。大統領は議会を解散し、55日後以降に総選挙が行われる公算が大きい。社会民主党からは財政再建に取り組むには国民の幅広い支持が必要として、選挙後に社会党などとの「大連立政権」を樹立することを求める声も上がっている。【3月25日 産経】
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ポルトガルは来月、42億3000万ユーロ(60億2000万ドル)の政府債務を借り替える必要があります。
しかし、市場では信用不安が広がっており、ポルトガルがEUに緊急支援を要請するのは確実との見方から、24日の欧州市場でポルトガルの国債の利回りは上昇(価格は下落)、99年のユーロ加盟以来、最高の水準を記録しています。

また、議会が財政緊縮策を否決したことを受けて、24日、格付け会社フィッチ・レーティングスは、ポルトガルの長期国債格付けを「Aプラス」から2段階下げて「Aマイナス」に変更しています。同社は「(ポルトガルが)これまで想定していたように市場から資金を取れるとは考えられない」としています。

更に、格付け会社ムーディーズ・インベスターズ・サービスは、ポルトガル同様に信用不安が強まっているスペインの30金融機関を格下げしています。財政への不安が高まるなか、金融機関への公的な支援が弱まる可能性があるためとしています。【3月25日 朝日より】
ポルトガルの次は経済規模の大きいスペインが控えています。

EU:ポルトガル支援を協議
こうした事態のなかで、24日から25日にはEU首脳会議が開催され、ポルトガルへの金融支援が協議されています。

****EU、財政難ポルトガルに支援8兆円超か*****
欧州連合(EU)の首脳会議は24日、財政難に陥ったポルトガルへの金融支援に関心が集中した。同国は解散総選挙に突入する公算が大きく、支援要請に踏み切るとしても一定の時間がかかりそうだが、規模は750億ユーロ(約8兆6000億円)に達するとの見方が浮上した。

追加緊縮策を議会で否決され、辞意を表明したポルトガルのソクラテス首相は、支援要請について明言しなかった。一方、同国の10年国債の利回りは同日、一時8・0%近くまで上昇し、過去最高を記録。持続的な財政運営は難しく、カバコシルバ大統領を中心に早急な対応を迫られそうだ。

EUのユーロ圏財務相会合のユンケル常任議長(ルクセンブルク首相)は24日、支援の規模は750億ユーロが「適切」とした。ドイツのメルケル首相も「ポルトガルはこれまで約束した財政再建路線を堅持することが重要」と述べ、支援の可能性を示唆した。

一方、EU首脳会議では、財政悪化国を支援する常設機関として2013年半ばに創設する「欧州安定メカニズム(ESM)」の融資可能枠を5000億ユーロに設定することなどで最終合意。
財政赤字の削減を軸にした経済政策の協調や、域内銀行の健全性を審査する6月のストレステストの結果に基づいて資本増強など適切な措置を講じることでも一致した。(共同)【3月25日 東京】
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厳しい財政再建の道
ポルトガルは総選挙でどういう結果になろうとも、緊縮財政による財政再建は避けられないところです。
しかしながら、緊縮財政による公的サービス水準の低下には国民の抵抗が強いのはどこの国も同じです。
ギリシャやアイルランド、ポルトガルといった問題国だけでなく、イギリスなどの国も同様です。
ロンドンでは26日、キャメロン政権の緊縮財政政策に反対する最大30万人規模の抗議デモが行われ、デモ隊の一部は、警官隊と衝突して店舗を破壊し、高級店を占拠したとも報じられています。

日本も同様の問題に今後直面します。
震災で示された従順な国民性から、ロンドンのような騒ぎにはならないでしょうが・・・。


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イタリア・ベルルスコーニ首相  関係の深いリビア攻撃のジレンマ

2011-03-26 20:47:24 | 国際情勢

(イタリアのAviano空軍基地で、リビア攻撃に参加する戦闘機F-16ファイティング・ファルコンに装備を取り付ける米軍(多分)女性兵士 “flickr”より By USAFRICOM  http://www.flickr.com/photos/africom/5557598019/ )

疑似ハーレム“ブンガブンガ”】
イタリアのベルルスコーニ首相の病気とも言える女性スキャンダルやその金満ぶりは、取り上げるのも今更の感があります。
国内やバチカンの批判はさすがにあるものの、その方面におおらかなお国柄でしょうか、昨年末の内閣不信任案も乗り切り、その政治生命はまだ断たれていません。

****伊首相のハーレム・パーティー「ブンガブンガ」、渦中の女性が様子語る 伊紙*****
数十人の裸の女性がイタリア首相を取り巻いて、首相を「その気」にさせようと競い合っている――イタリア紙レプブリカは、少女買春などで起訴されたシルビオ・ベルルスコーニ伊首相が開催していた「ブンガブンガ」と呼ばれるパーティーについてこう描写した。(中略)

「夕食を終えるとわたしたちは地下のホールへ行き、そこでブンガブンガが開かれた。ブンガブンガの間は女性はみんなずっと裸だった。女性たちはベルルスコーニ氏に気づいてもらおうとして、どんどん大胆に性的なことをするようになって、競争しているようにみえた」(ベルルスコーニ氏の相手とされる渦中のポールダンサー、「ハート泥棒のルビー(Ruby the Heart Stealer)」ことカリマ・エル・マフルーグさん)

検察当局は、当時17歳だったモロッコ出身のマフルーグさんと性交渉をするためにベルルスコーニ氏が金銭を支払ったとしている。17歳の少女の買春はイタリアで違法にあたる。しかし、ベルルスコーニ氏とマフルーグさんは共に買春の事実はなかったと主張している。
また、検察当局は、マフルーグさんが窃盗容疑でミラノの警察に逮捕された際、ベルルスコーニ氏が首相の地位を乱用して警察に釈放を働きかけたとみている。ベルルスコーニ氏は現在、少女買春と職権乱用の罪で起訴されている。(中略)
「その晩、ベルルスコーニ氏は、ブンガブンガについて、友人の(リビア最高指導者ムアマル・)カダフィ大佐のまねをしたハーレムなんだと言った。女性たちは裸になってベルルスコーニ氏に『肉体的満足』を与えなければならないのだと」(後略)【2月19日 AFP】
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ネクタイに1年間で1360万円
****ベルルスコーニ伊首相、1年で約40億円の散財三昧*****
宝石に骨董品、スターの卵への融資―イタリアのシルビオ・ベルルスコーニ首相(74)が2010年の1年間に使った額は3400万ユーロ(約39億円)に上った。これは、少女買春の罪で起訴されたベルルスコーニ首相に対する捜査の一環で明らかになった、首相口座の出入金の詳細だ。伊紙コリエレ・デラ・セラが9日、掲載した。

散財三昧の内訳の一端をみると、1年間でネクタイに12万ユーロ(約1360万円)、宝石に6万5000ユーロ(735万円)を使ったほか、イタリア北部に借りている城の賃貸料が67万5000ユーロ(約7650万円)、租税回避地であるカリブ海の島国アンティグア・バーブーダに所有する別荘のガス・電気代が90万ユーロ(1億200万円)、骨董品店と画廊への支払いが65万ユーロ(約7400万円)など。

さらに、首相の疑惑の相手とされるポールダンサー、「ハート泥棒のルビー(Ruby the Heart Stealer)」ことカリマ・エル・マフルーグ(Karima El Mahroug)さんに対する事情聴取が進んだことで、ショーガールの卵たちに首相がたくさんの贈り物をしていた事実も明らかになった。コリエレ紙によると、首相は若い女性14人に計56万2000ユーロ(約6400万円)を与えていたほか、秘書の1人に結婚祝いとして4万ユーロ(約450万円)を贈っていた。(後略)【3月11日 AFP】
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当時17歳の「ハート泥棒のルビー」ことカリマ・エル・マフルーグさんは昨年5月末に窃盗容疑で逮捕されましたが、こととき首相は警察幹部に電話し「少女はエジプトのムバラク大統領の親戚なので、早く釈放するように」と働き掛けたとされています。首相は昨年10月末、記者会見で「私は心優しいので、困っている人を助けただけだ」と語っているとか。(1月15日 朝日より)

イタリアとリビアの近しい関係
“ブンガブンガ”や“1年で約40億円の散財”はさておいても、“友人のカダフィ大佐のまねをした”とか、“ムバラク大統領の親戚”というように、最近話題の中東独裁者が顔を出すところに、中東・北アフリカ地域とイタリアの強いつながりが窺えます。

こうした“つながり”を考慮すれば、現在進行中の中東・北アフリカでの政変・抗議行動は、この地域と地理的にも歴史的にも、また現在の政治・経済・社会的にも近い関係にあるイタリアやフランスとっては、単に“民主化”といった理念の問題ではないことは容易に推察されます。(アメリカなどにとっても同様でしょうし、昨日取り上げたロシアにしてもまたしかりです。)

****リビア:イタリア船乗組員11人を拘束 政権側の報復か****
AP通信によると、リビアのトリポリ港に停泊していたイタリア・ナポリ籍の民間船「アッソ22号」の乗組員11人が19日、リビア人に拘束された。イタリア外務省が20日に確認し乗組員との連絡を急いでいる。
乗組員はイタリア人8人、インド人2人、ウクライナ人1人。
イタリアは多国籍軍によるリビア攻撃のため、国内7カ所の基地使用を認めている。カダフィ大佐の次男セイフ・アルイスラム氏は今月上旬、イタリア報道陣に「イタリアは我々のお陰で経済が成り立っている。なのに我々を裏切った」などと話していた。【3月21日 毎日】
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「イタリアは我々のお陰で経済が成り立っている」云々に関しては、後出のNewsweek記事で。
リビア攻撃の先陣を切っているフランスに関しても、カダフィ大佐の次男セイフイスラム氏は3月16日のTVインタビューで、サルコジ大統領にリビアが資金を提供していたことを暴露して、その“裏切り”を批判しています。

経済権益や移民問題も
“友人のカダフィ大佐”を攻撃する事態となったイタリア・ベルルスコーニ首相のジレンマについて、以下のNewsweek記事が解説しています。

****リビア空爆で窮地のベルルスコーニ******
ヨーロッパでリビアと最も近い関係にあるイタリアは、今回の多国籍軍によるリビア空爆において重要な役割を担っている。自国の戦闘機による出撃に加え、多国籍軍に対し国内の空軍基地7カ所の使用も許可している。
ただし今回のリビア危機からは、イタリア国内で多くの問題を抱えるシルビオ・ベルルスコーニ首相の求心力のなさが見えてくる。政権内では、軍事行動をためらう声が上がっているのだ。

連立与党の一角で、反移民政策を掲げる北部同盟のウンベルト・ボッシ党首は、リビア空爆が開始される前にこう語った。「われわれの石油とガスが奪われてしまい、大量の移民がイタリアに流入するだろう」
ベルルスコーニへの反発は高まっている。リビア介入に関する決議を可決させるにも、既に野党の票を必要とし、今後もこうした劣勢に立たされる可能性が高い。

フランコ・フラティニ外相は21日、リビアに対する軍事作戦の指揮権はNATO(北大西洋条約機構)に与えられるべきだとし、イタリアの基地の使用を拒否すると脅しをかけた。NATOの指揮権に反対するフランスは、現在、米英軍と一緒に攻撃を指揮している。
「リビア危機に対してイタリアは難しい立場にある」と、政治評論家のアレサンドロ・カンピは言う。「ベルルスコーニはカダフィと政治的、そして個人的な関係を築いていた」

リビア経済への影響力を失う
リビア空爆に対するイタリア政府の慎重さが「あいまい」に見えたとしたら、その理由はイタリアがリビアと経済的・地政学的に緊密な関係にあるからだと、カンピは言う。
例えば08年、イタリアはリビアとの「友好条約」を締結した。この条約でイタリアは過去の植民地政策の補償として、リビアに対し向こう20年間で50億ドル投資することで合意。このインフラ開発援助はひも付きで、イタリア企業が受注することも決められた。既にリビアの海岸線1700キロに伸びる道路はイタリアのインプレジロが受注している。しかし今回の騒乱でリビアの政権が変われば、こうした契約は失効されるだろうと、イタリアのルイース大学の経済学者ニコラ・ボッリは言う。

問題はそれだけではない。ボッリによれば、「リビアはイタリアの石油の25%、天然ガスの10%を提供している。その大半はイタリア企業と長期契約を結んで市場価格よりも低い価格で売っている。リビアで政変が起きても、この契約は継続されるのか? どこがリビアの資源開発に入るのか?」と指摘する。フランス最大の石油・天然ガス会社トタルがその隙間を埋める可能性もある。

もっと問題視されているのは、リビアが持つイタリア企業の株式だ。イタリアの防衛航空宇宙関連企業フィンメッカニカ、自動車メーカーのフィアット、欧州第3位の銀行ウニクレディト・イタリアーノなどの株だ。「こうした資産は今凍結されているが、最終的には売りに出される必要があるだろう。特にウニクレディトが問題だ。リビアの持つ7・6%の株式は銀行の経営を変えかねないが、イタリアの投資家にそれを買うだけの資金はない」とボッリは言う。

イタリアの政界で、フランスがリビア空爆の指揮権を握ることに懸念が広がったのは、後に収束したリビアをフランスが経済的に支配することを恐れたからだ。ベルルスコーニはこうした警戒感にうまく対処していないと、カンピは言う。「彼は(空爆の)主導権を他国に渡し、カダフィが失脚したらフランスやイギリスが利益を得る。反対にカダフィが残れば、ベルルスコーニは同盟国(リビア)が必要とするときに背を向けたと非難されるだろう」。いずれにせよ、イタリアはリビア経済への影響力を失う可能性がある。

反移民を掲げる北部同盟の脅威
さらにリビア政変によってイタリアの海岸に移民が押し寄せれば、イタリア経済そのものも打撃を食うだろう。リビアから100キロ余りしか離れていないイタリアのランぺドゥーザ島は、既にチュニジアやエジプトからの移民であふれかえっている。イタリア本土へ移送されて入管当局で手続きが行われるのを待つ彼らの数は、地元住民の数を超えている。
これは反移民を掲げる北部同盟にとって、渡りに船。北部同盟党首ボッシの右腕であるロベルト・マローニ内相は、今年初めに北アフリカで蜂起が始まって以来、アフリカから「数百万の」移民が流入する危険性について言及してきた。いま崩壊寸前のリビアを見ても、彼の警告は重みを増す。

移民問題は5月に行われる地方選挙で最大の焦点になるだろう。ベルルスコーニは北部同盟の躍進と政権内における勢力拡大を恐れている。「北部同盟は既に、経済、安全保障、移民など中核となる政策で主導権を握っている。政権の軸となる政策だ」と、カンピは言う。

ある世論調査によれば、イタリア人10人のうち8人は、リビアに対して武力行使よりも外交的な解決策を望んでいる。セックススキャンダルや景気回復の遅れを指摘されて弱体化しているベルルスコーニが、さらに支持率を失うリスクを犯してNATOによるリビア空爆に従っている。今のところは、だが。【3月23日 Newsweek
アレサンドロ・スペシアレ】
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多国籍軍の指揮権を巡り、主導権を握りたいフランスと、NATOに移管すべきとするイタリアは対立していましたが、その背景には「カダフィ後」のリビアにおける権益に関する思惑があるようです。

NATO内部の足並みの乱れも指摘された指揮権問題については、24日、NATOはリビア上空の飛行禁止空域を維持する作戦の指揮権を米軍から引き継ぐことを決めています。
“指揮権のNATO移行は負担を軽減したい米英だけでなく、指揮命令系統の混乱を恐れる大半の多国籍軍参加国が望み、ノルウェーは指揮権移行を作戦参加の条件に据えていた。フランスは米国主導のNATOが前面に出ることに反対してきたが、他参戦国の圧力に押し切られた形だ。”【3月25日 毎日】

もっとも、攻撃の前面に立ったフランスは、 “19日に始まった仏軍による空爆。反体制派の拠点ベンガジでは、政府軍の侵攻を食い止めた仏軍への「感謝」が広がっていた”【3月24日 毎日】、“涙を浮かべる者、抱き合う人々や祈りをささげる姿もある。リビア・コールの後には「フランス」「サルコジ」の連呼もこだました”【3月20日 毎日】と、かなりの点数を稼いだようです。

“イタリア・ナポリにあるNATO司令部が指揮を執り、当面、想定されている作戦期間は3カ月間だが、戦況に応じて延長される場合もある。カダフィ大佐を追い詰められずに作戦が長期化したり、多数の民間人犠牲者を出す事態になれば、イスラム国トルコやアラブ諸国の反発は必至で、NATO率いる国際部隊の「隊列」が乱れる恐れもある” 【前出 3月25日 毎日】ともありますが、「カダフィ後」をにらんだ欧米各国の思惑も“乱れ”の要因になりそうです。

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7年ぶりにエルサレムで爆弾テロ 高まるイスラエル・パレスチナ間の緊張

2011-03-25 22:08:11 | 国際情勢

(エルサレム23日 バス停で爆発した爆弾で死者1名、負傷者約50名 7年ぶりの爆弾テロはイスラエルに衝撃を与えています。 “flickr”より By IsraelMFA http://www.flickr.com/photos/israel-mfa/5555720304/

米の拒否権発動で和平交渉は破綻
世界の目は日本の震災・原発事故とリビア等の中東・北アフリカの政変・民主化運動に向いており、パレスチナ関連のニュースはあまり最近見ませんでしたが、パレスチナ・イスラエルの緊張が高まっているようです。

パレスチナ和平に関しては、2月18日、アラブ諸国が提出したイスラエル入植活動をめぐる非難決議案について、国連安全保障理事会はメンバー15カ国中14カ国が賛成したもののアメリカが拒否権を発動、同決議案は廃案となって、暗礁に乗り上げた形になっています。

おりからの中東での民主化運動の流れを受けて、アメリカ側には、中東で拡大する政変が中東和平を進展させる契機となるとの判断もあって、採決突入による決裂を回避したいとの思惑もありましたが、結局アラブ側の強硬姿勢を変えることはできませんでした。
アメリカのライス国連大使は拒否権発動後、「われわれは入植活動に賛成しているわけではない。安保理の場で取り上げることは双方の対立を激化させるだけで、賛成できない」と釈明しています。【2月20日 産経より】

アッバス議長などパレスチナ自治政府側には、中東で反体制デモが相次ぐ中、米国の圧力で決議案を撤回すれば、パレスチナ指導部批判が噴出するとの危機感も強かったとの指摘もあります。【2月19日 読売より】
双方、揺れ動く中東情勢を睨みながらも、結局妥協に至らず、拒否権行使による否決という状況に陥っています。

ロケット弾攻撃、報復、爆弾テロ
その後、ガザ地区からのロケット弾攻撃、イスラエル側の報復攻撃で事態は悪化しています。

****パレスチナ:イスラエル軍砲撃で少年3人ら死亡 ガザ地区*****
パレスチナ自治区ガザ地区で22日、少年3人を含む市民4人がイスラエル軍の砲撃で死亡した。軍は「誤射」だとしている。ここ数日、武装勢力がガザ地区から発射したロケット弾数十発がイスラエル領内に着弾し、軍が報復攻撃に乗り出していた。

AP通信によると、死亡したのはガザ市の一家で、少年3人と成人男性。他に13人が負傷した。少年たちはガザ市内の自宅の庭でサッカーをしていた。
イスラエル軍は、誤射だったとしたうえで、武装勢力が現場近くからロケット弾で攻撃してきたと主張。ネタニヤフ首相は声明で「(イスラム原理主義勢力)ハマスが人間を盾にしている」と非難した。【3月23日 毎日】
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更に、23日には、イスラエルの首都エルサレムで爆弾テロがあり多数の死傷者を出しています。
****エルサレムで爆発、31人死傷し警察は「テロ攻撃」と非難****
イスラエルの首都エルサレムのバス停付近で23日午後、かばんの中に仕掛けられた爆弾が爆発、60代の女性1人が死亡、少なくとも30人が負傷した。
犯行声明は現在のところ出ていないものの、警察当局はパレスチナ武装勢力による「テロ攻撃」だと非難した。エルサレムで爆弾攻撃が起きたのは2004年以来7年ぶり。

イスラエルのネタニヤフ首相は、「イスラエルは、ここ2年間維持されてきた平穏と安全を守るため、積極的かつ責任を持って、賢明な対応を取る」と強調した。
パレスチナ自治区ガザの境界線周辺では、イスラエル軍とガザを実効支配するイスラム原理主義組織ハマスとの間で戦闘が激化しており、両者の緊張が高まっている。【3月24日 ロイター】
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【「攻撃を控える時期は終わった」】
エルサレム市内での爆破事件は04年以来で、イスラエル国内では好戦論が高まっているとも報じられています。
****イスラエル:高まる対パレスチナ好戦論 爆弾テロで死傷者*****
イスラエルとパレスチナとの間での軍事的緊張が急速に高まり、イスラエル政府内に好戦論が高まるなど、08年末のイスラエル軍によるガザ侵攻の「直前の情勢と似ている」との見方が出始めた。エルサレムでは23日、英国人女性が死亡する爆破事件があり、警察はパレスチナ武装勢力による爆破テロとみて捜査。24日にはイスラエル軍が自治区ガザ地区を空爆し、攻撃の応酬が激化している。(中略)

同市内での爆破事件は04年以来で、国民に衝撃が走った。イスラエルのシャローム副首相が同日、「(パレスチナへの)攻撃を控える時期は終わった」と語るなど、一部政治家から好戦的な発言が目立つ。
12日にも、自治区ヨルダン川西岸のユダヤ人入植地イタマルで、入植者一家の親子5人が自宅で刺殺される事件が発生。当局はパレスチナ人の犯行とみており、強硬的な世論があおられ、入植者からの報復とみられる放火なども起きている。

両事件と関連づけなくても、パレスチナ人の間で占領国イスラエルへの怒りが再燃しているのは事実。昨年9月に和平交渉が中断して以降、入植住宅の建設が本格的に再開。また西岸では事件の容疑者と誤認された一般市民が就寝中にイスラエル軍に射殺されるなど人権侵害が日常化している。ガザでも22日、同国軍の誤射で子供3人が死亡した。

自治区住民の間では、現状を変えられない自治政府主流派ファタハだけでなく、その対抗勢力でガザを実効支配するイスラム原理主義組織ハマスへの不満も増大している。
中東に広がった民主化要求に触発され、今月15日以降、両派の和解を求める若者の大規模デモが両地区で起きた。ガザではさらに、武装勢力「イスラム聖戦」がハマスの監視を逃れ、イスラエルへロケット弾を撃ち込む事態が起きている。

現在のところ、自治政府側は沈静化を図る言動を続けているが、イスラエル側の姿勢は不透明だ。
自治政府のアッバス議長は23日、エルサレムでの爆破テロを糾弾し、ハマスのハニヤ最高幹部は「イスラム聖戦」側に自制を求めた模様。一方、イスラエルのネタニヤフ首相は「イスラエルは断固として責任ある賢明な行動をとり、過去2年は続いた平穏と安全を守る」と語り、軍事行動と対話の両にらみの発言をした。
双方の対応次第では暴力的対立がエスカレートする恐れがあり、和平交渉を再開する土壌は完全に崩れている。【3月24日 毎日】
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毎日のようにパキスタンやイラク・アフガニスタンでのテロ報道を目にしている第三者の目から見ると、エルサレム市内での爆破事件が04年からこれまで7年間なかったという事実の方が驚異的です。
ガザ封鎖やヨルダン川西岸地区での“壁”による封じ込めによって、パレスチナ側の抵抗運動が抑え込まれていたという側面がありますが、イスラエル国内ではここ数年のテロ沈静化によって、パレスチナ問題への意識が希薄になってきているとの見方もありました。

今回テロは、そうしたイスラエル国内の幻想を打ち砕きパレスチナ問題の現実を突き付けた形ともなっています。
パレスチナ側にしても、イスラエル側にしても、従来通りの強硬姿勢だけでは憎悪の連鎖を断ち切ることは不可能だという事実を直視して、和平構築に向けた建設的な対応をとってもらいたいものですが、現実はなかなか・・・・。


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ロシア  リビアへの多国籍軍攻撃を批判 微妙なメドベージェフのプーチン批判も

2011-03-24 21:53:55 | 国際情勢

(プーチン首相お気に入りのソチ五輪公式マスコット 首相の“不正操作”にメドベージェフ大統領が怒ったとか・・・ “flickr”より By Sochi 2014 Winter Games http://www.flickr.com/photos/43767123@N02/5480063620/

【「過激主義を助長する」】
17日の国連安全保障理事会は、リビアのカダフィ政権による反体制派への空爆などを防ぐため、リビア上空に飛行禁止空域を設定する決議を賛成多数で採択しましたが、この決議を棄権したロシアのチュルキン大使は「飛行禁止空域の実効性に疑問がある」と棄権理由を述べています。

その後も、多国籍軍によるリビア攻撃開始にあたり、ロシア外務省は19日、一般市民の被害回避と速やかな攻撃停止を求める声明を発表しています。また、ロシアのロゴジン駐北大西洋条約機構(NATO)大使は、リビア攻撃が「紛争の拡大と制御不能の連鎖反応につながり、北アフリカや中東地域全体の過激主義を助長する」と警告しています。【3月20日 毎日より】

21日には、プーチン首相が「キリスト教徒が宗教の聖地を取り戻すためにイスラム教徒を攻撃した中世の十字軍を思い起こさせる」と多国籍軍のリビア攻撃を批判しています。
****ロシア首相 リビア攻撃を批判*****
欧米諸国によるリビアへの攻撃について慎重な姿勢を取ってきたロシアのプーチン首相は21日、軍事行動を容認した国連安全保障理事会の決議には欠陥があると指摘し、「主権国家に対してどのような行動を取っても許されることが明らかになった」と述べて批判しました。
そして、「キリスト教徒が宗教の聖地を取り戻すためにイスラム教徒を攻撃した中世の十字軍を思い起こさせる」と述べて、欧米諸国の攻撃によって、中東地域に新たな宗教間の対立を生むおそれもあるとの懸念を示しました。これに対して、メドベージェフ大統領は、軍事攻撃に慎重な姿勢をプーチン首相と共有しながらも「文明間の対立をもたらす十字軍などの表現を使うことは容認できない」と批判し、これまで二人三脚でロシアを率いてきたプーチン首相との関係に微妙な影を落とす結果となっています。【3月22日 NHK】
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プーチンVSメドベージェフ
このプーチン首相の“十字軍発言”をメドベージェフ大統領が「文明間の対立をもたらす十字軍などの表現を使うことは容認できない」と批判したことは、かねてより注目されている両者の関係、次期大統領選挙へどちらが立候補するのかという問題に絡んで、注目を集めています。

****露大統領「十字軍発言は容認できぬ」、プーチン首相を暗に批判****
ロシアのメドベージェフ大統領は21日、米英仏軍などによるリビア攻撃を中世の十字軍に例えたプーチン首相の発言を、名指しは避けながらも批判した。
プーチン首相は同日、ミサイル製造工場を訪れた際、リビアへの軍事行動を認めた国連安全保障理事会の決議について、「中世の十字軍を思い起こさせる」と述べていた。

同首相の発言を受け、メドベージェフ大統領は記者団に対し、「物事を評価する際には、十分な注意が必要だ。文明間の対立をもたらす十字軍などの表現を使うことは容認できない」と強調した。
プーチン首相に対する痛烈批判と受け取られる大統領の公の発言は、2012年に迫った大統領選を前に、「双頭体制」を築く両氏の間の不和を示すものではないかとの声も上がっている。【3月22日 ロイター】
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いつもながら両者の関係は部外者にはわからないところす。恐らく当人同士も、次期大統領選挙に向けて、相手の腹を探り合っている状況ではないでしょうか。

なお、両者の関係に関する話題として、ソチ冬季五輪公式マスコット選びでのさや当てもあったとか。
****ソチ五輪のマスコット選びでプーチンVSメドベージェフ*****
2014年にソチ冬季五輪を開催するロシアが、公式マスコット選びで「炎上」した。
事の発端は、先月末に国営テレビが実施したマスコット選びの人気投票。
140万人による投票で、最終候補に残った10種類のうち、スノーボード片手のヒョウ、マフラーを巻いたホッキョクグマ、そして無邪気な顔の野ウサギの3匹が選ばれた。

だがこの結果に、ロシア国民がキレた。プーチン首相が投票結果の発表直前にヒョウをべた褒めする発言をしたため、その夜の発表までにヒョウ人気が急騰して1位になった、と結果の不正操作を疑っているのだ。
この結果には、メドベージェフ大統領も怒り心頭の様子。近く導入を予定しているIDカードのデザイン選びは「オリンピックのマスコット選びよりも公正であってほしい」と皮肉たっぷりに述べた。メドベージェフは人気投票で2位だったホッキョクグマを推していたという(ちなみにロシア語でクマの発音は「メドベージ」)。
さらにこのシロクマが、80年のモスクワ夏季五輪のマスコット「こぐまのミーシャ」の盗作ではないかとの疑惑も浮上した。愛らしさがすっかり台無しだ。【3月16日号 Newsweek日本版】
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まあ、こちらは他愛もない話ではありますが。

一方、ロシア下院は23日、リビアでの戦闘行為の即時停止を求める声明を賛成多数で採択しています。
****多国籍軍に即時停戦求める ロシア下院が声明採択*****
多国籍軍によるリビアへの軍事行動について、ロシア下院は23日、軍事作戦の規模や形態に憂慮を示し、戦闘行為の即時停止を求める声明を賛成多数で採択した。このままでは一般住民の新たな犠牲を生むとして、英米仏やイタリア、カナダなどの議会に呼びかけている。

カダフィ政権の市民弾圧も非難するロシアは、飛行禁止空域を確保する国連安保理決議の採択に拒否権を行使せず「棄権」を選択した。だが、声明では「安保理決議が一般住民の保護とは別の目的を達成するための口実に使われている」などと指摘、「リビア領土へのミサイル爆撃は飛行禁止空域とは直接関係がない」と批判している。

また、インタファクス通信によると、ロシアのプーチン首相は同日、訪問先のセルビアでの記者会見で「リビア全土への攻撃は一般住民の犠牲を増やすだけ。どうやって一般住民の保護が果たせるのか」と懸念を示した。
ロシアは、欧米の対リビア軍事介入によって「新たな国際テロを誘発する可能性がある」(ラブロフ外相)などと主張している。【3月24日 朝日】
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【リビア混乱によるロシアの損失
リビアの混乱、カダフィ政権崩壊はリビアへの武器輸出停止、海軍基地建設の関係で、ロシアとって大きな損失になっているとの指摘もあります。

****リビアの政情不安はロシアに損か得か****
内戦目前のリビアをはじめ、不安定な情勢が続く中東・北アフリカ。この地域には産油国が多いことから供給不安が強まり、世界的に原油価格が高騰している。だが不安どころか笑いが止まらない国もある。ロシアだ。
今年初めから、ロシア産の原油価格は24%上昇。ロシアのクドリン財務相によれば、国家財政の補填用に原油収入の一部を積み立てている基金が、このままいけば昨年末の409億ドルが、今年末までに500億ドルに達する見込みだ。

ロシア政府首脳は笑いが止まらないかもしれないが、いい話ばかりではない。アラブ諸国、とりわけリビアの混乱でロシアが失うものは実はかなり大きい。
ロシアのメドベージェフ大統領は先週、リビアヘの武器輸出を禁止する大統領今に署名した。先月末、国連安保理が採択したリビア制裁決議を受けた措置だ。
両国は今回の騒乱前に、20億ドル相当の武器契約を結ぶことで合意していた。軍用機や対空ミサイルなど18億ドル以上の売却契約も進められていたという。今回の武器輸出の禁止でロシアが被る損失は約40値ドルとも言われている。
国連安保理で、ロシアはリビアヘの武器禁輸制裁を支持せざるを得なかった。「大国の責任として拒否権は行使できなかったのだろう」と、米シンクタンクの大西洋協議会アフリカ部門の責任者J・ピーター・ファムは言う。「ロシアは武器輸出全体の5分のIを失うことになる。大きな収入源がなくなる」
このままリビアで騒乱が長引いても、あるいはカダフィ政権が崩壊しても、武器売却に関わるすべての契約が履行されない可能性が高い。ロシアのセルジュコフ国防相は「危機感を募らせている。契約と合意が実行されることを望む」と語っていた。

それだけではない。リビアの最高指導者カダフィは08年、ロシアによる海軍基地建設を受け入れると申し出ていた。中東・北アフリカで欧米に対抗して影響力を維持しようとしてきたロシアにとって、基地に前向きだったリビアを失うのは痛手だ。
動乱の続くアラブ諸国の中でロシアから武器を購入している国は、リビア以外にもある。同じく騒乱が起きたエジプトやイエメン、アルジェリアなどだ。ロシアはこの地域に向けた武器売却で100億ドルの損出を出すとも指摘されている。 今回の中東革命で最も損害を被った国は、実はロシアなのかもしれない。【3月23日号 Newsweek日本版】
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もっとも、お金の話になれば、リビア攻撃を行っている英仏米の出費も大きなものがあります。
アメリカ国内ではオバマ大統領がリビア攻撃について事前に議会の同意を得ていなかったとの批判が噴出していますが、財政赤字削減が最優先課題となる中、多額の戦費負担を強いられるとの懸念も高まっています。
21日までに米英両軍のミサイル駆逐艦や潜水艦から、巡航ミサイル「トマホーク」124発を発射していますが、トマホーク巡航ミサイルの発射費用は1発140万ドル(約1億1300万円)ともいわれています。

また、飛行禁止区域のパトロール費用は1週間当たり3000万─1億ドルかかるとも言われています。
****リビアの飛行禁止区域、長期化なら10億ドル超のコストも****
リビア上空の飛行禁止区域の設定が数カ月に及ぶ場合、米英仏などによる多国籍軍の軍事費は10億ドル(約808億円)を超える可能性があると、米アナリストが明らかにした。
米シンクタンク、戦略予算評価センター(CSBA)のザック・クーパー氏は、リビア政権軍の防空施設を排除するための初期費用は4億─8億ドルになると予想。飛行禁止区域のパトロール費用は1週間当たり3000万─1億ドルかかるとしている。
また、米英軍がこれまでに使用した巡航ミサイル「トマホーク」の費用は約2億ドルに上ると述べた。(後略)【3月23日 ロイター】
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こうしたお金の話が早々に出てくるあたりに、アメリカ国内の慎重姿勢が窺えるとも言えます。
もちろん、もしカダフィ政権崩壊ということになれば、反政府勢力を支援した英仏米には戦費をカバーできる巨額の石油利権などのメリットがあるのではないかとも思われます。
その意味では、ロシアは失うものが多いのかも。


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バーレーン  強まる政府の弾圧姿勢 サウジの政府支援軍事介入に続きクウェートも艦船派遣

2011-03-23 20:00:51 | 国際情勢

(3月16日 バーレーンの首都マナマ 仲間兵士に見守られながら戦車の前で祈るサウジなど湾岸協力会議(GCC)からの介入軍兵士 “flickr”より By DTN News  http://www.flickr.com/photos/dtnnews/5533691520/ )

モニュメント破壊・・・「嫌な記憶だから」】
淡路島ほどのペルシャ湾の小さな島国バーレーンで起きている民主化運動については、隣国サウジアラビアに波及すると、原油供給面での世界経済、中東におけるパワーバランスに多大な影響を与えることから国際的に注目されており、3月19日ブログ「バーレーン 小さな島国の民主化運動がサウジ、イラン・イラクをも巻き込む宗派対立へ拡大する懸念」(http://blog.goo.ne.jp/azianokaze/d/20110319)でも取り上げました。

その時のタイトルにもあるように、バーレーン国民の7割を占めるシーア派住民と少数派スンニ派王室という宗派対立の側面が強く、波及を警戒するスンニ派サウジアラビアや湾岸諸国は軍事介入を開始、これにシーア派イランやイラクが反発を強めるという、周辺国を巻き込んだ宗派対立の様相を深めています。

その後も政府側はシーア派住民を中心としたデモに対する強硬姿勢を強めています。
****バーレーン政府、デモ拠点の広場破壊 弾圧姿勢鮮明に****
バーレーンの首都マナマで続くデモの拠点だった真珠広場が18日午後、政府によって取り壊された。ハリド外相は記者会見で理由を問われ、「嫌な記憶だから」と答えた。
真珠広場には、石油発見まで同国の特産品だった真珠をモチーフにした、高さ90メートルのモニュメントが立っていた。2月からのデモの拠点になり、デモ隊が泊まる数百のテントで埋まっていたが、軍や機動隊が16日に広場を封鎖していた。モニュメントや緑地帯は、重機で次々破壊された。

国営放送は「GCC広場」と呼び始めた。GCCはバーレーンなどペルシャ湾岸6カ国でつくる「湾岸協力会議」の略称。サウジアラビアなど加盟国は自国へのデモの波及を恐れており、バーレーン王政に協力して派兵している。
広場のモニュメントはそもそも、同国で1982年にあったGCC首脳会議を記念して設置されており、政府は「本来の名称はGCC広場」と主張している。だが「新名称」は、「湾岸の君主たちによる民衆デモの徹底鎮圧」を思わせる結果を招いている。

シーア派住民が多いシトラ地区では18日、治安部隊の発砲で死んだ青年の葬儀があり、約3千人が集まった。参加者らは「我々の意思までは消せない」と叫んだ。
国内各地には戦車や装甲車が配置され、目出し帽をかぶった軍の兵士が検問するなど、厳戒態勢が敷かれている。【3月19日 朝日】
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クウェート海軍の軍艦数隻が入港
首都マナマではサウジアラビアなどが政府支援のため派遣した外国兵1500人が各所に展開し、厳戒体制を敷いており、一方、政府の強硬姿勢に野党は対話拒否を続け、緊張が高まっています。

21日には、サウジアラビアとUAEの軍や警察1500人に続き、クウェートも軍艦を派遣しています。
****クウェート:バーレーンに軍派遣*****
ペルシャ湾岸の小国バーレーンに21日、クウェート海軍の軍艦数隻が入港した。バーレーン国営通信が伝えた。イスラム教シーア派住民による反政府デモが続いた同国の治安維持が目的とみられ、外国軍が入るのはサウジアラビア、アラブ首長国連邦(UAE)に続き3カ国目。

バーレーン情勢を巡っては、サウジなど6カ国で作る湾岸協力会議(GCC)が軍派遣を決定。これまでサウジとUAEの軍や警察1500人が入国し、首都マナマの主要拠点や郊外のシーア派住民居住区で、目出し帽をかぶり機関銃を手にした兵士らが厳戒態勢を敷いている。
サウジ軍入国直後の16日には治安部隊が反政府デモ隊を強制排除し多数の死傷者が発生。同日以降、大規模なデモは収束した。【3月22日 毎日】
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アメリカ:サウジの介入とリビアへの欧米介入を取引か?】
上記記事には“同日以降、大規模なデモは収束した”とありますが、22日には、治安部隊から狙撃されて死亡した女性の葬儀があり、葬儀後に数千人の参列者が王室解体などを求める抗議デモに発展しており、予断を許さない状況が続いています。

****バーレーン:狙撃死女性の葬儀後、デモ 王室解体の声も*****
ペルシャ湾岸、バーレーンの首都マナマで22日、治安部隊から狙撃されて死亡した女性の葬儀があり、葬儀後に数千人の参列者が王室解体などを求める抗議デモに発展した。
3月中旬以降、同国内ではサウジアラビア軍も加わった治安部隊による、イスラム教シーア派住民への弾圧が続く。市民の間ではスンニ派主導の政府・王室への反発だけでなく、サウジ軍介入を「黙認」する米国への不信が強まっている。
 
「ハリファ王室に死を」「サウジ軍は撤退しろ」。マナマ市中心部のモスク(イスラム礼拝所)であった主婦バヒア・アラディさん(51)の葬儀の後、参列者の怒りの声が周辺に響きわたった。
地元紙によると、デモに関連した死者は21人目。親族らによると、アラディさんは15日夜、マナマ市内で買い物のため車を運転中、頭と肩を警戒中の治安部隊に銃で撃ち抜かれた。21日に搬送先の病院で死亡したが、家族には直前まで何も知らされず、遺体の引き取りの際には「死因は交通事故」と書かれた文書に署名をさせられたという。

葬儀に参列した友人女性のバグナムさん(46)は「デモと関係ない彼女がなぜ撃たれたのか」と語り、サウジ兵の関与を疑った。ゲーツ米国防長官が12日、バーレーンでハマド国王と会談してまもなく、サウジ軍介入と市民弾圧が始まったため、「弾圧にゴーサインを出したのは米国だ」と語気を強めた。

バーレーンに米海軍第5艦隊司令部を持つ米国は、バーレーン政府に市民との対話の必要性を説く一方で、混乱の背景にシーア派が多数を占めるイランの介入を指摘する。アラディさんの親類で雑貨商の男性(37)は「米国はいつもイランを敵国に仕立て、政府やサウジの行動を擁護する。しかし、一般のシーア派住民とイランは全く関係ない。なぜ我々住民を見捨てるのか」と怒りを込めた。

リビア空爆を前に、クリントン米国務長官は19日、パリでの会合で、周辺の湾岸諸国の支持を取りつけた。これに先立ちサウジ軍介入があり、バーレーン国内では「(空爆への了解がほしい)米国と(バーレーン介入の容認を求める)サウジなど湾岸諸国の間で取引があったのでは」との疑念が強まっている。【3月23日 毎日】
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「弾圧にゴーサインを出した」とは言いませんが、リビアにおける反政府派支援の空爆にたいするアラブ諸国の了解と引き換えに、アメリカがサウジアラビアなどのバーレーン介入を認める取引をした・・・というのは、バーレーン反政府派住民ならずとも容易に想像するところです。

バーレーンでの政変は、アメリカにとって中東戦略の要である(バーレーン同様にシーア派住民を抱えるスンニ派王制の)サウジアラビアの混乱につながるものであり、また、宿敵シーア派イランの影響拡大をも意味しますので、望まない事態でしょう。

もっとも、もしそういうことであれば、リビアでの住民虐殺を防止するため(と言うか、カダフィ政権を叩くため)にバーレーン民主化運動を犠牲にしたということにもなります。
真相はわかりませんが、ダブルスタンダードは別に珍しいことでもありませんので、そんなこともあるのかも・・・とつい思ってしまいます。

内戦状態の戦闘が続くリビア、サレハ大統領が年明け退陣表明に追い込まれたイエメン、デモへの治安部隊の発砲で死傷者が増加しているシリア・アサド政権・・・中東・北アフリカの民主化ドミノは収まる気配がありません。
ベンアリ、ムバラクの次は誰でしょうか?

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リビア軍事介入  アラブ諸国と欧米間に温度差、多国籍軍参加国やNATO内部でも意見の相違

2011-03-22 19:51:07 | 国際情勢

(3月20日 多国籍軍の空爆で爆発炎上する政府軍戦車 ベンガジとアジュダビヤの間で “flickr”より By Pan-African News Wire File Photos  http://www.flickr.com/photos/53911892@N00/5547037917/ )

飛行禁止空域設定に「人間の盾」で対抗
国連安保理決議に基づく多国籍軍によるリビア爆撃について、武力行使への参加を国連事務総長室に届け出た加盟国は、英仏米、カナダ、イタリア、デンマーク、カタールの7カ国となっています。
英仏による空爆、米の巡航ミサイル「トマホーク」による攻撃によって、反政府派拠点都市ベンガジを防衛し、ベンガジ上空に飛行禁止区域を設定するに至っています。

****ベンガジ上空に飛行禁止空域、多国籍軍設定****
米アフリカ軍のカーター・ハム司令官は21日記者会見し、米英仏軍を主体とする多国籍軍による対リビア軍事作戦で同日、反体制派の拠点である東部ベンガジ上空に飛行禁止空域が設定されたと発表、近日中には首都トリポリ上空まで拡大させるとの見通しを明らかにした。(中略)

ベンガジ上空では英仏とスペイン、イタリア、デンマークに加え、21日からカナダとベルギーの航空機が警戒飛行を実施。仏伊両国は空母各1隻をリビア沖に展開させた。多国籍軍は今後、リビア最高指導者カダフィ氏派の移動式対空火器に対する攻撃を続けつつ、中部のブレガ、ミスラタからトリポリへ飛行禁止空域を順次拡大させる方針。【3月22日 読売】
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一方、カダフィ政権側は、多国籍軍の空爆や反体制派の攻撃を避けるため、民間人を「人間の盾」にする戦術をとっているようで、地上軍を伴わない多国籍軍の作戦を困難にしています。

****リビア:市民を「人間の盾」に 政府軍が強要****
リビアの最高指導者カダフィ大佐率いる政府軍が、多国籍軍の空爆や反体制派の攻撃を避けるため、民間人を「人間の盾」にするなど巧妙な戦術をとり始めた模様だ。空爆のためリビア上空に向かった英機は20日、攻撃目標の周辺に市民を確認したため引き返しており、カダフィ政権のなりふり構わぬ生き残り作戦が多国籍軍の攻撃もかく乱しつつある。

「人間の盾」作戦が行われているとの見方は、ロイター通信が21日、北西部ミスラタの反体制派報道官や地元住民の話として伝えた。同日には市中心部で政府軍が非武装の住民を攻撃。少なくとも9人が死亡し、50人以上が負傷したという。
反体制派報道官が電話でロイターに伝えたところによると、政府軍は近隣の街の住民にカダフィ氏のポスターや国旗を持つよう強要し、ミスラタまで運んで反体制派の攻撃に対する「人間の盾」にしたという。報道官は「政府軍は我々が女性や子ども、老人を撃てないことを知っている」と非難した。(中略)

政府軍は強力な地上部隊を有しながら、多国籍軍の空爆にさらされ、従来型の軍事作戦をとれない状態に追い込まれている。このため、空爆を避けるために民間人の多い都市部へ入り込み、「人間の盾」を使うなどして反体制派を排除する戦術に転じた模様だ。(後略)【3月22日 毎日】
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国際社会の『市民を保護する責任』】
こうした多国籍軍の軍事介入について、国連の潘基文事務総長は20日、「国際社会が『市民を保護する責任』を実践している」と位置づけ、不当な内政干渉にはあたらないとしています。

****国連総長、リビア空爆を擁護 「内政干渉にあたらず*****
国連の潘基文(パン・ギムン)事務総長は20日、朝日新聞の単独インタビューに応じ、リビアのカダフィ政権は「軍隊を使って自国民を多数殺害し、統治の正統性を失っている」と指摘した。米英仏などによるリビアへの軍事介入は「国際社会が『市民を保護する責任』を実践している」と位置づけ、不当な内政干渉にはあたらないとした。
中東歴訪に向かう途中のパリで語った。ただし潘氏は、軍事行動の目的はカダフィ政権の打倒ではなく、あくまで「一般市民の保護」にとどまるとした。

「保護する責任」は、ルワンダの虐殺などを教訓に、危険にさらされた人間を国家だけでなく国際社会も守る責任がある、という考え方。2005年の国連総会の特別首脳会議が採択した「成果文書」に理念として盛られ、必要な場合は安保理を通じ共同行動をとる、とうたっていた。
潘氏は自らが07年の就任以来、「この理念への安保理理事国の認知を高め、実践可能なよう発展させてきた」と主張。「リビアのように主権国家でも、自国民を虐殺する場合はこの理念が優先される。リビアは初めての実践例で非常に意義がある」と説いた。

しかし、安保理決議がめざす目的は「カダフィ政権に市民を殺害するのをやめさせること」だとして「リビアがどんな政治システムを望むかは、リビア国民が決めることだ」とだけ述べた。軍事行動については、安保理決議が定める範囲で、「参加国が決めること」と一線を画した。

リビア政府との間では、首相が18日に電話で「国際社会による軍事力行使を止めるため、仲裁してほしい。安保理決議に従い、即時停戦する」と要請してきた、とした。
潘氏は「あなた方はまだベンガジで市民への攻撃を続けているではないか」と指摘したが、「そんな事実はない」と否定されたという。リビア政府はなお国連による仲介を求めているが、潘氏は、即時停戦の意思が実際にあるかどうか、慎重に見極めなければならないとの考えを示した。【3月21日 朝日】
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アラブ連盟のムーサ事務局長、空爆を批判
国際社会による「保護する責任」の実行としてのリビア軍事介入ですが、アラブ諸国から反発を防ぐため、事前にアラブ連盟の支持を取り付けたうえで決行されました。
しかし、アラブ連盟のムーサ事務局長は20日、米英仏軍などが19日に開始したリビア政府軍への攻撃について、「現在起きていることは、飛行禁止区域の設定という目的とかけ離れている」と非難しており、足並みの乱れが露呈しています。
リビア反体制派のスポークスマンは「事務局長の発言は驚きだ」とし、空爆に反対するムーサ事務局長の姿勢を批判しています。【3月21日 ロイターより】

エジプトの大統領選挙出馬を目指しているムーサ事務局長の発言には、エジプト国内事情が反映されているとも指摘されていますが、基本的にはアラブと欧米の微妙な関係が背景にあります。
****アラブ、空爆に温度差 民主化刺激懸念/「反米欧」を考慮****
米英仏などの多国籍軍によるリビアへの軍事介入が開始したことで、飛行禁止区域設定を支持する立場を示したアラブ連盟(本部・カイロ)の加盟国間で、空爆の是非をめぐり温度差が生じている。そこには、チュニジア政変を発端とした中東各国に広がる民主化運動の流れを大きく刺激したくないという政府側の思惑が見え隠れし、それぞれの国内事情と打算が交錯している。

多国籍軍の攻撃に対してアラブ連盟事務局長でエジプト出身のアムル・ムーサ氏は「われわれが求めているのは飛行禁止区域だ。空爆ではない」と不快感を示した。しかし、ムーサ氏はアラブ諸国のとりまとめ役として、空爆直前の19日にパリで開かれた緊急首脳会議に出席。飛行禁止区域設定には防空施設破壊などの攻撃が不可欠であることは、承知していたはずだ。

こうした態度の背景には、ムーサ氏が次期大統領選出馬を目指すエジプト国内の事情がある。
リビアには、騒乱発生後も数十万人の出稼ぎエジプト人が残留しているとみられ、最高指導者カダフィ大佐側の攻撃から自国民を保護するには飛行禁止区域設定が必要というのがエジプトの立場だ。ただし、多国籍軍の空爆でエジプト人を含む民間人に死者が出れば、軍事介入に“ゴーサイン”を与えたと批判を受ける恐れもある。

アラブの盟主を自認するエジプトは、カダフィ氏が政権を維持した場合も想定してリビアとの関係悪化を最低限に食い止めようとしているほか、アラブ社会に根強い反米欧感情を考慮しているとみることもできる。シリアやアルジェリアなど、飛行禁止区域設定自体を反対した他のアラブ諸国への配慮もうかがえる。

一方、当初から多国籍軍への参加を表明したカタールに続き、21日にはアラブ首長国連邦(UAE)の参加も明らかになった。政治的には保守的なこれらの湾岸諸国では国民の間に民主化を求める声が強まっている。両国政府には、反体制派に同情的だとのスタンスを国内的に示したいとの思惑もありそうだ。【3月22日 産経】
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なお、カイロを訪問中の潘基文国連事務総長が21日、国連安保理決議に基づくリビアへの軍事介入に抗議するデモ隊に取り囲まれ避難する一幕があったことも報じられています。
デモ隊はリビアのカダフィ大佐の支持者らで、介入に参加した米国を非難するスローガンを叫ぶなどしたとも。【3月22日 毎日より】

一枚岩ではない参加国
また、多国籍軍内部、欧米社会の反応も必ずしも一枚岩とはなっていません。
カダフィ政権の打倒の本音が窺える当初からリビア介入に積極的だった英仏に対し、イラク・アフガニスタンを抱えるアメリカは突出することを避けています。

****多国籍軍、カダフィ氏施設破壊 米、英仏に指揮権移譲へ****
リビアでの飛行禁止空域設定を目的とした軍事行動を始めた米英仏中心の多国籍軍は、21日までに巡航ミサイルや爆撃機による攻撃でカダフィ大佐の防空設備や関連施設に大きな打撃を与えた。米軍は「飛行禁止空域が整いつつある」とし、リビア上空で偵察飛行を開始。作戦指揮権を数日中に英仏両国軍などに譲る方針を示した。
(中略)
今回の軍事介入の目的は「一般市民の保護」だが、戦況の泥沼化を懸念する米国をよそに、英仏政府高官からは「カダフィ政権の打倒」の本音が漏れる。20日には、トリポリにあるカダフィ大佐の関連施設にも巡航ミサイルを撃ち込み、破壊した。多国籍軍側は英BBCに「カダフィ大佐の指揮・命令系統を破壊した」と説明している。
(中略)
一方、米国は、カダフィ政権の打倒という本音が透ける英仏を横目に、軍事行動を飛行禁止空域の実施に限定する方針を強調している。ゲーツ国防長官は20日、「我々は国連安保理決議の範囲内で行動することが大切だ。達成できるかどうか分からない目標を設定することは、賢明ではない」と述べた。
アフガニスタンとイラクという「二つの戦争」に15万人にのぼる米兵を投入するゲーツ長官は、リビアでの軍事介入が泥沼化することに強い警戒感を示してきた。地上軍は投入せず、数日中に指揮権を英仏や北大西洋条約機構(NATO)に譲り、舞台裏に回る意向を明らかにした。(後略)【3月22日 朝日】
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オバマ米大統領は、「数週間内ではなく、数日内に指揮権を移譲する」との見通しを示していますが、権限移譲先に関しては「北大西洋条約機構(NATO)が調整機能を担う」と述べるにとどめています。
今後どのような形でどこが指揮権を担うのか、関係国でも意見の相違があるようです。

****NATO主導を主張=リビア攻撃で仏と食い違い―伊****
伊ANSA通信によると、ベルルスコーニ首相は21日、米英仏軍を軸とした多国籍軍による対リビア軍事作戦について「北大西洋条約機構(NATO)に指揮権を移すべきだ」と主張した。多国籍軍の枠組みを主導するフランスとの立場の違いが鮮明になった形で、NATO内部で対立の火種となる恐れもある。
首相は、作戦に参加する伊軍機がリビア上空に設けられた飛行禁止空域のパトロールに徹し、攻撃は行わないと強調。「飛行禁止、一般市民の保護、商業取引禁止を盛り込んだ国連安保理決議の範囲内で、作戦目標を明確にしなければならない」と訴えた。【3月22日 時事】
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NATO内部にも意見の相違
一方、NATO内部では、仏英米が主導する軍事介入にドイツやトルコが反対するなど足並みがそろっていません。
****NATO足並み乱れ リビア介入、独・トルコ反対*****
北大西洋条約機構(NATO)は20、21の両日、ブリュッセルの本部で大使級会合を開催、多国籍軍による攻撃が始まったリビアへの対応を協議した。同国の最高指導者カダフィ大佐側への武器禁輸を実行することでは合意したが、仏英米が主導する軍事介入にドイツやトルコが反対するなど足並みがそろっておらず、軍事作戦にはNATOとして参加しない見通しが強まっている。
多国籍軍にはNATO加盟国から10カ国が参加。空爆に参加した仏英米とデンマーク、カナダ、イタリアのほか、上空に設定された飛行禁止区域の監視にベルギー、ギリシャ、ノルウェー、スペインが加わる。

大使級会合では、英米、カナダが飛行禁止区域にかかわる軍事行動をNATO任務とするよう求めた。しかし、トルコのエルドアン首相が軍事行動の停止を要求。リビアへの武力行使を認めた国連安全保障理事会決議を棄権したドイツも軍事介入に改めて反対、ポーランドも慎重論を述べた。
NATOは現在、空と海からリビアへの警戒活動を続けているが、意思決定は全会一致が原則のため、飛行禁止区域に絡む軍事作戦には関与しない見通しだ。
一方、多国籍軍は、今のところ統合司令官が決まっておらず、指揮系統もはっきりしていない。ゲーツ米国防長官は20日、英仏か、NATOが多国籍軍を指揮する考えを示したが、加盟国間で分裂するNATOが軍を指揮するのは困難だ。【3月22日 産経】
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なお、世論調査結果によると、リビア軍事介入に賛成する意見はアメリカでは54%、イギリスでは35%という数字が報じられています。
ロシア・プーチン首相の“十字軍”発言をメドベージェフ大統領が批判したというニュースも興味深いものがありますが、長くなったのでまた別の機会に。

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