孤帆の遠影碧空に尽き

年に3回ほどアジアの国を中心に旅行、それが時間の流れに刻む印となっています。そんな私の思うこといろいろ。

米中貿易戦争 民主主義もしくはトランプ政権の脆弱性から部分合意へ? ウイグル“カード”も

2019-10-11 22:15:45 | 中国

(トランプ氏(左)は習国家主席との個人的な関係を利用して、交渉の行き詰まりを打開してきた【10月2日 WSJ】)

 

【「我慢比べ」では不利な民主主義体制】

長引く米中の「貿易戦争」は単に貿易面での対立だけでなく、「将来的に世界の覇権を握るのはどちらのか?」という、より根本的な側面も併せ待った形で展開していますが(特に対中国強硬派にとっては)、さしあたっての問題は貿易上の問題であり、特にトランプ大統領は短期的に「目に見える成果」が出せる通商面での決着を強く求めていると思われます。

 

特に、8月以降の貿易戦争の展開は、双方の攻撃的な姿勢によって、「どちらが先に、より深刻な致命傷を負うのか?」という「我慢比べ」の状況にあります。

 

そうした「我慢比べ」にあっては、国民の不満がストレートに政治に反映する「民主主義体制」、より具体的には「選挙」に基づく政治体制は、中国のような強権的支配体制に比べると不利な面があります。(中国支配体制が国民不満を無視できるということではありませんが)

 

****米中貿易戦争、なぜ中国は自らが勝てると考えるのか?****

中国はなぜ戦術を変えたのか?

米中貿易戦争はある折り返し地点を経過したのである。その折り返し地点は8月だった。

 

まず、8月までの経過を見てみると、中国は基本的に「引き伸ばし戦術」だった。米側との通商交渉は一進一退しながらも、正面衝突を避けてきた。その目的は来年(2020年)の米大統領選でトランプ氏が落選すれば、次の新大統領との再交渉に持ち込み、対中政策の緩和を引き出すというものだった。

 

いわゆる「他力本願」の戦術でもあった。しかし、この「引き伸ばし戦術」が決定的な破綻を迎えたのは、中国が5月に合意内容を反故にしたときだった。

 

昨年から交渉が始まって合意されたほとんどの内容を一旦白紙撤回した中国を前面に、トランプ氏は怒りを抑えきれず、交渉テーブルを蹴った。そこからトランプ氏は制裁の度合いを一気に高め、中国が望んでいた「再交渉」はついに実現できなかった。

 

つまり「他力本願」ということで依存してきたトランプ氏は中国が望んでいた通りの行動を取らなかった。それは中国の企みが見破られてしまったからだ。バイデン氏が次期米大統領になれば、トランプ氏路線の撤回も可能になるという中国の企みがとっくにばれていた。

 

ここまでくると、もう受身的な他力本願では無理だと中国は判断し、戦術の変更に踏み切る。能動的な出撃に姿勢が一変した。

 

8月23日中国は、合計750億ドル相当の米国製品に追加関税を課すと発表した。大方の報道は、これがトランプ米大統領が発動を計画する対中関税第4弾に対する報復措置としていたが、それは間違った捉え方である。

 

出撃ではあるが、報復ではない。逆に米国の報復を引き出すための出撃であった。案の定、中国の読みが当たった。トランプ氏はすぐに反応し、わずか数時間後に、すでに発動済みの2500億ドル分の追加税率を10月1日に25%から30%に、9月以降に発動する対中制裁関税「第4弾」の追加税率を10%から15%に引き上げると発表した。

 

貿易戦争がこれで一気にエスカレートした。中国はもはや「引き伸ばし戦術」に固執しなくなった。いや、一転して攻撃型戦術に転じたのだった。なぜそうしたかというと、貿易戦争の激化という結果を引き出そうとしたのではないだろうか。非常に逆説的ではあるけれど。

 

貿易戦争が激化すれば、米中の両方が傷付く。それは百も承知だ。それでも戦いをエスカレートさせようとするのはなぜか。答えは1つしかない。戦いの末、中国よりも米国のほうがより深刻な致命傷を負うだろうという読みがあったからだ。あるいはそうした「賭け」に出ざるを得なかったということではないだろうか。

 

米中の「我慢比べ」と「傷比べ」

まず、米国が負い得る「傷」を見てみよう。何よりも米経済がダメージを受け、景気が後退する。特に対中農産品の輸出が大幅に縮小することで、米農民の不満が募る。それが来年(2020年)の大統領選にも影響が及びかねない。

 

トランプ氏は大票田の農民票を失うことで、当選が危うくなることである。むしろこれは中国がもっとも切望していたシナリオではないだろうか。

 

「引き伸ばし戦術」でじわじわ攻めても、そのシナリオが実現せず、トランプ大統領が続投することになった場合、まさに中国にとっての地獄になる。あと4年(任期)などとてももたないからだ。

 

そこで一気にトランプ氏を追い込む必要が生じたのである。中国の力で倒せないトランプ氏を、米国民の票で倒すしかない。ここまでくると、逆説的に米国の民主主義制度が中国に武器として利用されかねない。

 

次に、中国の「傷」はどんなものだろうか。すでに低迷していた中国経済の衰退が加速化し、対米関税の引き上げによって特に大豆やトウモロコシ等の供給が大問題になり、食用油や飼料価格が急騰すれば、肉類や食品価格も押し上げられ、インフレが進む。物価上昇が庶民の生活に深刻な影響を与え、民意の基盤を揺るがしかねない。

 

ただ、中国の場合、1人1票の民主主義制度ではないゆえに、トランプ氏のようにトップが政権の座から引き摺り下ろされることはないのである。

 

庶民の生活苦は一般に政治に反映されにくい、あるいは反映されない。そこは逆説的に中国の強みとなる。つまり民意による政治の毀損、その影響が他の形で致命的に至りさえしなければ、中国は我慢比べの結果で米国に勝つ可能性があるわけだ。

 

これに対して米国は逆だ。たとえ長期的に国益になるといえども、短期的な「民意への耐性」面をみると、民主主義国家の脆弱性が浮き彫りになる。

 

この局面の下では、トランプ大統領にとって取り得る政策の選択肢はあまり残されていない。それはつまり、中国の「傷」をより深いものにし、より短期的に致命的なものにする、それしかない。関税の引き上げはもちろんのこと、何よりも外資の中国撤退、サプライチェーンの中国からの移出が最大かつ最強の武器になる。

 

これからの1年が勝負だ。トランプ氏は米国企業の中国撤退を命じると言ったが、それは単なる冗談ではない。直接命令の代わりに法や政策の動員が可能であろうし、実際に中国国内のコスト高がすでに外資の撤退を動機付けているわけだから、それをプッシュする力を如何に加えるかである。

 

そうした意味で、中国は危険な「賭け」に乗り出しているといっても過言ではない。その賭けに負けた場合、中国にとって通商や経済の問題だけでは済まされない。深刻な政治問題、統治基盤の動揺にもつながりかねない。

 

昨年(2018年)12月18日、習近平主席が改革開放40周年大会で、中国の未来について「想像し難い荒波に遭遇するだろう」と述べた。さすが偉人だけにその予言は当たっている。【8月30日 WEDGE】

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【通商面での部分合意の観測も】

アメリカは、10月1日に予定していた中国からの輸入品のうち、2500億ドル分に上乗せしている関税を25%から30%に引き上げる措置について、発動を10月15日に延期しましたが、その期限が来週です。

 

この期限に合わせて、何らかの部分的な合意によって関税非上げを保留にするのでは・・・との観測もなされています。

トランプ大統領本人も合意の可能性をアピールしています。

 

****米中、通商合意に至る公算大きい=米大統領****

トランプ米大統領は9日、米中が通商合意に至る公算は大きいとの見方を示した。

 

トランプ大統領は記者団に対し「ディール(取引)を行えるなら行う。その公算は大きい」とし、「自分自身の考えでは、中国はわれわれよりも取引をしたがっている」と述べた。

米中は通商問題を巡り10日に閣僚級協議を開始する。【10月10日 ロイター】

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****米国、中国との部分合意の一環で通貨協定を検討=ブルームバーグ****

米政府は、通商問題を巡る中国との部分合意の一環として、通貨協定を打ち出す方向で検討している。ブルームバーグが関係筋の話として報じた。部分合意によって、来週予定していた一部中国製品への関税引き上げを保留にする可能性があるという。

報道によると、米ホワイトハウスは部分合意を第一段階と捉えており、その一環として既に合意している通貨協定を打ち出したい考え。

 

部分合意に続き、技術移転の強要や知的財産権といった問題に関してさらなる協議を行う見通しだという。【10月10日 ロイター】

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この問題と直接関係しているのかどうかは知りませんが、米中対立の象徴ともなっている「ファーウェイ」に関しても動きがあるようです。

 

****米政権、ファーウェイへの一部製品供給を近く許可へ=NYT****

トランプ米政権は、米企業に対し、中国の通信機器大手、華為技術(ファーウェイ)への一部製品の供給を容認するライセンスを近く発行する。米紙ニューヨーク・タイムズ(NYT)が9日、関係筋の話として報じた。

ファーウェイは米国の禁輸措置の対象となっているが、政府は先週、国内数社に輸出を許可することを承認したという。認められるのは安全保障上の懸念がない製品となる。(後略)【10月10日 ロイター】

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【「ミニ合意」を必要とする弾劾で足元がふらつくトランプ政権】

トランプ大統領は「中国はわれわれよりも取引をしたがっている」と言っていますが、ウクライナ疑惑などで弾劾が俎上に上っているトランプ大統領が何らかの「成果」を求めている面が強いように思われます。

 

****トランプ氏弾劾調査、対中「ミニ合意」促す動機に ****

米下院がドナルド・トランプ米大統領に対する弾劾調査に踏み切ったことで、トランプ氏にとって、中国との限定的な貿易協定で合意を目指さざるを得なくなる可能性がある。政権の維持を賭けた戦いになることが予想される中、自身への支持を高めておきたいとの思惑が働くためだ。米中の事情に詳しい関係筋は先行きをこう読んでいる。

 

ただ、米中双方が大幅な譲歩には後ろ向きなことから、こうした「ミニ合意」が実現する見込みも、確実とは言えないようだ。

 

しかも、トランプ氏が政治的にぜい弱な立場にあると中国が判断すれば、中国にとっては合意を結ぶ動機が薄れる可能性がある。

 

「中国は合意を必要としており、トランプ氏を助けることが望ましいという極めて説得力のある論拠を誰かが示さなければならない」。米シンクタンク、戦略国際問題研究所(CSIS)のシニア中国専門家、スコット・ケネディー氏はこう指摘する。「中国は限定的な合意に関心があるかもしれないが、大規模な合意に必要な歩み寄りを行うほど、米国を信頼していない」

 

トランプ政権は誕生以来、経済政策に関して中国に厳しい姿勢を打ち出しており、12月15日には中国からのほぼ全輸入品に対して関税が発動される予定だ。だが2021年になれば、新政権がこうした政策を覆すかもしれない。

 

トランプ氏が政権存続をかけて戦う中、支持者からは、強硬路線を貫いている対中貿易交渉から何らかの成果を確保し、トランプ氏を支持する共和党議員を安心させるべきとの指摘が出ている。(中略)

 

トランプ政権関係者や財界首脳らは足元、ミニ合意の締結や12月15日の関税発動延期、長期化している交渉の再活性化などに向け、双方から譲歩を引き出す方策を協議している。

 

ロバート・ライトハイザー通商代表部(USTR)代表ら米中双方の高官は今月、ワシントンで米中貿易交渉を再開する見通しだ。

 

米中両国が敵対的な姿勢を強め、トランプ政権が関税政策を推進していることを踏まえると、包括的な合意が近く実現する見込みは薄い。中国の専門家らは、トランプ氏が自身の実績を際立たせ、支持層を盛り上げるため、対中強硬姿勢を強める可能性さえあるとみている。

 

米業界団体は総じて、トランプ政権による一方的な関税発動に反対している。(中略)

 

中国政府内では、米政府が中国の経済発展を抑え込もうとしているとの見方が広がっている。先週には、トランプ政権が中国企業による米市場での上場禁止など、米投資家による対中投資の制限を検討しているとの報道が伝わり、こうした見方に拍車をかける形となった。

 

米財務省は9月30日、中国企業の米上場を阻止する計画はないと明らかにした。

 

トランプ氏個人にとっては、弾劾調査やその他の政治的な攻防により、合意実現に向けた交渉や対話に必要とされる時間とエネルギーが奪い取られる恐れがある。ビル・クリントン元大統領が弾劾に直面した当時、商務省に勤務していた貿易専門家、ビル・レインシュ氏はこう指摘する。

 

トランプ氏はこれまで、中国の習近平国家主席との個人的な関係を利用して、主に首脳会議や国際会議の場などを通じて、貿易交渉における行き詰まりを打開してきた。(中略)

 

現時点で、トランプ氏が11月半ばに開催されるアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議に出席するかは不透明だ。APECには中国を含む多くの国の首脳が参加する。

 

バラク・オバマ前大統領は2013年、与野党の攻防激化や政府機関の一時閉鎖などを受けてAPEC首脳会議への出席を取りやめ、環太平洋経済連携協定(TPP)の交渉妥結が遅れた経緯がある。

 

カウエン・アンド・カンパニーのアナリスト、クリス・クルーガー氏は「トランプ氏がAPECに出席しなければ、年内に暫定合意が実現する確率は極めて低くなる」とみている。【10月2日 WSJ】

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来週にも部分合意が成立するとすれば、その背景にあるのは“短期的な「民意への耐性」面をみると、民主主義国家の脆弱性が浮き彫りになる。”・・・と言うよりは「トランプ政権の脆弱性」でしょう。

 

来週の部分合意を足掛かりに、11月のAPECで「より広範な暫定合意」を・・・というシナリオでしょうか。

 

ただ、そもそも弾劾問題で足元がふらつき始めたトランプ政権に中国側が譲歩の必要性を感じるのか?という問題があります。

 

また、香港問題で中国が「手荒な手段」に出れば、合意の可能性は吹き飛んでしまいます。

 

【ウイグル族弾圧問題を取り上げるアメリカ 通商交渉の“カード”か】

上記の通商面での部分合意をめぐる動きの一方で、アメリカはポンペオ米国務長官が前面に出る形で、中国のウイグル族弾圧を最近しきりに取り上げていますが、おそらく中国側をけん制する“カード”でしょう。

 

“米長官、中国の宗教弾圧を非難 「信仰や文化を抹殺する試み」”【9月23日 共同】

“ウイグル問題めぐり米中が国連安保理で応酬 人権侵害かテロ対策か”【9月26日 産経】

 

****米国務長官、ウイグル弾圧関与の中国当局者らのビザ制限*****

ポンペオ米国務長官は8日、中国新疆ウイグル自治区でのイスラム教徒の少数民族ウイグル族などへの弾圧に関与した中国政府当局者や共産党関係者が米国に入国できなくするためビザ(査証)の発給を制限すると発表した。これらの関係者の家族もビザ制限の対象となるとしている。(中略)

 

ポンペオ氏は、「中国政府は自治区で住民らの大量拘束と強制収容、先端技術を使った住民監視を実施し、文化・宗教面での表現の自由を過酷に統制している」と批判した上で、中国政府に自治区での抑圧行為の即時停止と拘束した人々の全面解放を要求した。【10月9日 産経】

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****中国によるイスラム教徒の扱い、大規模な人権侵害=米国務長官****

ポンペオ米国務長官は9日、中国西部におけるウイグル族を含むイスラム教徒に対する中国の扱いは「大規模な人権侵害」とし、今後もこの問題を提起していく考えを示した。

長官はPBSとのインタビューで、「これは大規模な人権侵害であるのみならず、世界にとっても中国にとっても利益になるとは思えない」と主張した。

中国の習近平国家主席に責任があるかとの質問に長官は、習氏は国家の指導者であり、国内で起きたことに対して責任が生じるとの見解を示した。

ポンペオ長官は、「われわれは、これらの人権侵害について話し合いを続けていく。トランプ大統領が別の文脈で香港の状況について述べたように、われわれはこれらの問題が人道的に扱われるよう望んでいる」と述べた。(後略)【10月10日 ロイター】

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“トランプ大統領が別の文脈で香港の状況について述べたように”というのは、トランプ大統領が「貿易交渉が進めば香港問題は黙る」と習近平国家主席に電話したこと・・・・ではないでしょう。

 

ないでしょうが、ウイグル族の問題にしても、「貿易交渉が進めばウイグル問題は黙る」というのがトランプ大統領の政治姿勢ではないのかという疑念がぬぐえません。

コメント

チャイナリスク  香港問題で米中の板挟みに状態となった米プロバスケットボール協会

2019-10-10 23:01:44 | 中国

(レイカーズ対ネッツ戦のポスターをはがす作業員【10月10日 WSJ】)

 

【中国側の怒りとアメリカ国内の批判の板挟みに】

人権・自由・民主主義という基本的な価値観において欧米・日本と大きく異なる中国ですが、中国に進出する民間企業にとっては中国は経済市場としては無視できない存在、場合によっては死活的に重要な存在となります。

 

そこで生じるのが、中国側の政治的な要請・圧力による「チャイナリスク」です。

 

いま、アメリカのプロバスケットボール協会NBAが「香港問題」に関して中国側の激しい怒りを買い、一方では政治問題化した今となっては“引くに引けない”状況にもあって、困難な立場にあります。

 

最初に確認しておくと、中国におけるNBA人気、あるいは、NBAにとっての中国市場というのは格別のものがあるようです。

 

****NBAと中国の提携が危機に、お金はゼロになる可能性―米メディア****

米プロバスケットボール協会(NBA)のヒューストン・ロケッツのゼネラルマネジャー(GM)、ダリル・モーリー氏が香港で続く抗議デモへの支持をツイッターに投稿した問題で、中国メディアの国際在線は9日、米ブルームバーグが「NBAは中国で数十億ドルの価値を持つ提携チャンスを長年かけて作り出したが、ツイート1つでその時間とお金がすべてゼロになる可能性がある」と報じたと伝えた。(中略)

すでに中国バスケットボール協会、中国中央テレビ(CCTV)のスポーツチャンネル、浦発銀行クレジットカードセンター、騰訊体育などが相次いでヒューストン・ロケッツとの提携一時停止や中止を発表。

 

CCTVのスポーツチャンネルが8日、NBAの試合放送を一時停止すると発表したことや、中国ECサイト大手のアリババや京東でヒューストン・ロケッツ関連の商品が検索できなくなっていることも記事は伝えた。

NBAによると、昨年中国では8億人がテレビやデジタルメディア、スマートフォンを通してNBAの試合を観戦しており、「これは米国の人口の約2.5倍に相当する」と記事は指摘。

 

高い視聴率は多くのスポンサーを引き寄せてきたが、「現在、中国におけるNBAの運命は将来の見通しが立たず、危険極まりない状況とすら言える」とし、すべてが水の泡となる可能性に言及している。

記事は、1980年代にNBAは中国市場に進出し、2008年以降、中国での業務は毎年2ケタ成長を続けていたとも説明した。【10月10日 レコードチャイナ】

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“NBAにとって、中国は米国に次ぐ巨大マーケットだ。昨シーズンに1試合でもNBAの試合を見た中国人は5億人。テンセント傘下の調査会社によると、中国のスポーツ市場は2020年に年3兆元(約45兆円)を突破する見込みだ。”【10月9日 朝日】

 

問題の発端となったのは、ヒューストン・ロケッツのゼネラルマネジャー(GM)、ダリル・モーリー氏が香港で続く抗議デモへの支持をツイッターに投稿したこと。

 

****香港問題の余波が米バスケに NBAチーム幹部の「香港応援」ツイートに中国が反発****

収束の気配を見せない香港の抗議活動の余波が、米プロバスケットボールNBAにまで及んだ。

 

米南部テキサス州ヒューストンに本拠を置く「ロケッツ」の幹部が香港のデモを応援する投稿をし、それに中国側が「間違った言論だ」と反発。現地の中国総領事館が不満を表明したほか、中国国営中央テレビは同チームの試合のテレビ中継を取りやめるなど影響が広がっている。

 

中国メディアによると、ロケッツのゼネラルマネジャー(GM)のダリル・モーリー氏が「自由のために戦い、香港を支持しよう」という文字が描かれた画像をツイッターに投稿。中国のインターネット上で反発の声が一気に広がった。

 

それを受けて、ヒューストンの中国総領事館は6日に発表した報道官の談話で「強い不満を表明する」とし、チーム側に適切な措置をとるよう申し入れたことを明らかにした。同日には中央テレビが「不当な言論で、強く反対する」として、同チームの試合中継の一時中止といった措置を即日実施することを決めた。

 

モーリー氏は問題のツイートを削除し、「中国のロケッツファンらの怒りを引き起こすつもりはなかった」と投稿したが中国側の怒りは収まらずにいる。

 

ロケッツは、長身から「万里の長城」と呼ばれて一時代を築いた姚明(ようめい)氏が所属していたため中国でもファンが多いという。現在、姚明氏が会長を務める中国バスケットボール協会も、ロケッツとの協力を一時中止すると表明している。

 

中国側は思うように沈静化しない香港のデモに神経をとがらせ、海外で支援の声が広がることを警戒しているようだ。中央テレビではデモの様子は伝えずに、1日に迎えた中国建国70年を祝う香港市民らの声を連日のように伝えている。【10月7日 産経】

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モーリー氏が問題のツイートを削除し、「中国のロケッツファンらの怒りを引き起こすつもりはなかった」とコメント(中国側は、これを「謝罪」とは認めなかったようです)、その後にNABも事態鎮静化の声明を発表しましたが、中国側の怒りが収まらないだけでなく、NBAの「釈明」に対して今度はアメリカ国内からの批判が。

 

普通の民間企業なら、中国側の気のすむような「謝罪」をして一件落着ともなるのでしょうが、プロバスケットボールはアメリカ文化を象徴するものでもありますので、身軽な動きはできません。

 

****香港デモ応援する投稿、NBAの対応を米議員が「恥ずべき」と非難****

米プロバスケットボール(NBA)、ヒューストン・ロケッツのゼネラル・マネジャー(GM)が香港のデモを応援する内容をツイッターに投稿したのに対しNBAが距離を置いたことを巡り、米議員からNBAの対応を強く非難する声が上がっている。

ロケッツのダリル・モーリーGMは7日、投稿について謝罪した。投稿は速やかに削除されたが、中国のファンや企業パートナーから非難が相次いだ。

NBAは、モーリーGMの見解が「中国の多くの友人やファンの感情を深く害した」ことを認識しており、遺憾だ、とする声明を発表。「われわれは中国の歴史や文化を大いに尊重しており、スポーツやNBAが異文化間の橋渡しとなり、人々を結束させることを望む」とした。

共和党のテッド・クルーズ上院議員(テキサス州)はツイッターで「ヒューストン・ロケッツの生涯のファンとして、モーリーGMが香港のデモ参加者に対する中国共産党の抑圧的な対応に声を上げたことを誇らしく思った」とした上で、「しかし、恥ずべきことにNBAは金のために引き下がっている」と非難した。

民主党のトム・マリノウスキー下院議員(ニュージャージー州)もツイッターで、中国は経済力を盾に、米国にいる米国人の発言を検閲していると指摘。また「NBAは選手や関係者が米政府を批判することを問題視しておらず、それは正しい対応だ。しかし、今回は中国政府への批判について謝罪している。恥ずべきことであり、耐え難い」とした。

共和党のジョシュ・ホーリー上院議員(ミズーリ州)は、イスラム教徒の少数民族ウイグル族の拘束など中国における人権侵害の疑いに言及。「中国政府は百万人を収容所に拘束し、香港のデモ参加者を容赦なく抑圧しようとしている。それなのにNBAは『異なる文化』の橋渡しなどと言っている」と非難した。【10月7日 ロイター】

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【腹をくくった?NBA】

こうしたアメリカ国内の批判を意識してか、NBAとしての固有の考えなのか、NBAのアダム・シルバー・コミッショナーは8日の記者会見で、選手や従業員、チームオーナーの発言をNBAが制限することはないと述べ、表現の自由を尊重する考えを表明し、中国側の謝罪要求を拒んでいます。

 

当然、中国側の怒りはエスカレートしています。

 

****中国政府系メディア、表現の自由巡るNBA幹部発言を非難****

米プロバスケットボールNBAのヒューストン・ロケッツの幹部が香港のデモを応援するツイートを投稿し、中国が反発している問題で、中国の政府系メディアは9日、NBAコミッショナーが選手や幹部などの表現の自由を尊重すると発言したことを批判する記事を掲載した。

この問題の発端となったのはロケッツのゼネラルマネジャー(GM)のダリル・モーリー氏による投稿。同氏は7日、謝罪したが、中国のテレビ局やスポーツ用品メーカー、スポンサー企業がNBAとの関係を見直すと表明するなど波紋が広がっている。

NBAは当初、この投稿が中国国内で怒りを招いたことは「遺憾」だと表明。ただ、エキシビジョンゲームのために来日していたアダム・シルバー・コミッショナーは8日の記者会見で、選手や従業員、チームオーナーの発言をNBAが制限することはないと述べ、表現の自由を尊重する考えを表明した。

中国の政府系英字紙チャイナ・デーリーは9日付の論説で、シルバー氏が「ぬけぬけとモーリー氏の分離主義を支持するツイートを擁護」し、「香港の暴徒をあおった」と批判。

中国共産党系メディアの環球時報は、シルバー氏は政治的圧力に屈したと主張すると同時に、NBAは傲慢にも中国市場を軽視していると非難。「中国での一連のNBAプロモーション活動を前に中国人の気分を害する投稿を行うというのは、知性や尊重、責任感の欠如を表している」とした。

中国国営テレビの中国中央電視台(CCTV)は8日、週内に中国で行われるNBAエキシビジョンゲームの放映を取りやめると発表している。【10月9日 ロイター】

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アダム・シルバー・コミッショナーは8日の記者会見については、“中国とのビジネス関係がNBAにもたらした富を失うという代償を払ってでも、表現の自由という価値を守る決意のようだ”【10月9日 AFP】とも。

 

****NBAトップ、中国とのビジネスで代償払っても「表現の自由支持」****

(中略)NBAはひとまずモリー氏のツイートに関する声明を出したが、これには米国内からあまりに屈服的だとの批判が噴出。シルバー氏は、ロケッツのプレシーズン戦が行われている日本で記者会見を開くことになった。

 

シルバー氏は会見で、「表現の自由を支持すること、とりわけNBAコミュニティーに属するメンバーたちの表現の自由を支持することことは、NBAが持つ長年の価値観だ」と強調。

 

また、「言論の自由の行使は本質的に、何らかの結果を引き起こすことは理解している。われわれは皆、そうした結果を受け入れなければならない」と述べた。(後略)【10月9日 AFP】

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中国側反発については、以下のようにも。

 

****NBAロケッツ、損失額60億円の試算 中国で反発続々****

(中略)中国側の反発は続き、上海市内に掲げられた試合広告が取り外されたり、9日に予定されたファンイベントが中止になったりと影響が出ている。

 

余波は経済界にも広がっている。日産自動車の中国での合弁ブランド「東風日産」は9日、シルバー氏らの発言が不当としてNBAとの公式パートナー関係を中止するとSNSの公式サイトで発表した。

 

中国のネットメディア・澎湃新聞によると、NBAと協力関係にある12企業がパートナーを中止するか一時停止することを決めたという。

 

中国の通信社・中国新聞社は公式SNSで、ロケッツの損失額を年4億元(約60億円)と試算した。中国中央テレビは9日、「30年間培ってきたNBAの中国ビジネスは3日で破壊された。14億の中国人の民族感情を尊重しない発言は撤回し、中国のファンに謝罪すべきだ」とする論評記事をウェブサイトに掲載した。【10月10日 朝日】

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一方、アメリカ国内も次第にエスカレート。

 

****米超党派議員がNBAに公開書簡、中国での活動停止求める****

(中略)米国の超党派議員らが9日、米プロバスケットボール協会のアダム・シルバーコミッショナーに公開書簡を送り、中国側が対抗措置を撤回するまで中国におけるNBAの全活動を停止するよう求めた。

 

公開書簡を送ったのは、共和党のテッド・クルーズ氏(テキサス州)のほか、民主党のアレクサンドリア・オカシオコルテス氏(ニューヨーク州)も含まれるなど、NBAのチームを有する州から選出された政治的にも多様な議員8人だ。

 

議員らは、書簡を通じて「あなたには、中国政府が標的とする多くの人たちよりも明確な考えを公言する力がある。勇気と高潔さを持ってその力を行使すべきだ」とシルバー氏に要求。「米国の企業に対して、利益より基本的な民主主義の権利を優先するよう求めるのは理不尽なことではない」と訴えた。 【10月10日 AFP】

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こうなると、もはやNBAの経営的判断ではどうにもならない状況に至っているとも言えます。

それだけNBAには影響力もあれば、発言力もあるということでもあります。

 

****中国が重視する「謝罪」、NBAは抵抗貫けるか ****

NBAには、米国内で気付かれず、ひそかに謝罪するという選択肢はない

 

中国は通常なら、「郷に入っては郷に従う」外国企業から欲しいものを手に入れる。だが、今回の米プロバスケットボール協会(NBA)との対立では、NBAは中国が望むものを与えることに抵抗している。他ならぬ「謝罪」だ。

 

多くの米企業はこれまで、国内でほとんど話題にされることなく、「中国の人々の気分を害した」として中国に謝罪してきた。しかしながら、今回は事情が異なる。その結果、中国の伝統的な「謝罪儀礼」が台無しにされている。

 

その理由の1つに、NBAが異例のレバレッジ(交渉上の相対的優位性)を有していることがある。普段はアジアの地政学情勢にあまり関心を示さない米国民に対し、NBAは相手を力でねじ伏せる中国のやり方をテレビを通して伝えているのだ。

 

また、NBAが黙って中国の要求に従うことはできないと即座に悟ったこともある。「ヒューストン・ロケッツ」のゼネラルマネジャー(GM)、ダリル・モーリー氏がツイッターで香港デモへの支持を表明すると、中国から非難が殺到。NBAは対応に追われた。

 

だが、NBAの初期対応は、米中両国で反発を浴びる結果に終わった。中国における反省の基準には到底達していないものの、米国内では中国に屈したとして糾弾されたのだ。

 

つまり問題は、米政治家はこれを謝罪と解釈する一方、中国当局者は謝罪とは受け止めなかったことにある。

 

その後、NBAコミッショナーのアダム・シルバー氏は、断固として謝罪を拒否。中国の「筋書き」に真っ向から立ち向かった。

 

この謝罪儀礼は、中国当局の怒りに触れた相手には広く定着している。そのため、中国外務省の耿爽報道官は8日の定例会見で、単に「NBAは今後どのようなコメントを出し、どのような行動を取るべきか承知している」とだけ述べた。(中略)

 

中国当局は、別のテーマなら批判を受け流したかもしれない。だが、香港問題となれば話は別だ。香港警察が過激化するデモの収拾に手間取る中、中国当局者は外国人による香港市民へのいかなる物理的、心理的な支援にも激怒しており、とりわけ非難の矛先を米国へと向けている。

 

こうした危機が重なったことで、中国当局は企業による見解の表明に不寛容な姿勢を強めている。過去なら、水面下で決着を狙った可能性はある。だがNBAが今週身をもって学んだように、現在の香港をめぐる問題ではそうはいかないのだ。【10月10日 WSJ】

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【“米企業は中国で事業を行うことのリスクに気付きつつある”(ポンペオ米国務長官)】

香港問題をめぐっては、NBA以外にも“トラブル”が民間企業に及んでいます。

 

****右目隠しただけ… ティファニーに「香港デモ支持」批判****

米宝飾品大手のティファニーが7日に公式ツイッター上に指輪の広告を載せたところ、中国人から「香港デモへの支持を想起させる」「中国への挑戦だ」などと批判が相次ぎ、広告を削除する事態になった。同社は「なんの政治的意図もなかったが、そう受け止められたのは残念だ」としている。

 

広告では、モデルの中国人女性が右目を隠すポーズをしていることが問題視された。香港で8月にあった政府への抗議デモで、デモ隊の女性が警察と衝突して右目を負傷したことを機に、警察への抗議のシンボルとして右目を眼帯で覆ったり、手で隠したりする若者が香港などで増えたためだ。

 

ティファニー側は、広告に使われた女性の写真は5月に撮影されたと説明している。広告は特定の地域に向けたものではなかったが、ツイッター上に掲載されると間もなく、中国の人たちが反応した。【10月9日 朝日】

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上記ティファニーの件は(5月に撮影されたのであれば)“いいがかり”の感もありますが、下記アップルの場合は現実的問題もあります。

 

****アップル、香港の警察追跡アプリをストアから削除****

米アップルは、香港市民やデモ参加者が警察の動きを追跡できるアプリ「HKmap.live」を自社のアプリ配信サイト「アップストア」から削除した。アップルが9日明らかにした。中国の国営メディアはアップルが同アプリを数日前に承認したことを非難していた。

 

アップルは香港の住民や法執行機関関係者を危険にさらす可能性があるため、アプリを削除したと説明。また「警察を標的とした待ち伏せや公共の安全を脅かす行為に使われていたことや、法執行関係者がいない地域だと犯罪者が把握した上で住民に被害を及ぼすために利用した」ことをサイバーセキュリティー担当の香港政府当局がつきとめたとも声明文で明らかにした。

 

アップルは「アプリが自社の規約や現地の法律にも違反している」とも述べている。

 

HKmap.liveの開発者はアプリが削除されたことをツイッター上で認めたが、詳細は明らかにしていない。開発者からは今のところコメントは得られていない。【10月10日 WSJ】

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NBAの件に関して質問されたポンペオ米国務長官は“米企業は中国で事業を行うことのリスクに気付きつつあると指摘。「中国が影響力を行使して企業や従業員、NBAのケースでは、チームのメンバーやゼネラルマネジャーが政治的な意見を自由に表明できなくなるにつれ、企業の評判に関するコストはどんどん高くなっていくと思う」と述べた。”【10月10日 ロイター】

 

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加速する日中関係改善の気運 国民レベルの交流に基づいた新たな関係を

2019-09-27 22:28:33 | 中国

(21日、東京都渋谷区の代々木公園で開幕した「チャイナフェスティバル2019」の会場【9月21日 産経】)

 

【中国TV 安倍首相の祝賀ビデオメッセージのほぼ全文を放映】

日韓関係の悪化、トランプ政権のもとでの日米関係の不透明感、より基本的には今後の東アジア世界における中国の影響力拡大が想定される情勢等々の事情を背景に、昨今の日中関係が急速に改善・緊密化していることは周知のところです。

 

そういう中にあっても、安倍首相の中国建国70周年記念を祝賀するメッセージの中国側の扱いは、中国ウォッチャーにとっても刮目すべきものだったようです。

 

****安倍首相の祝賀ビデオメッセージが中国のCCTVで大写し──中国建国70周年記念****

安倍首相等数名の日本政財界関係者等による中国建国70周年記念を祝賀するメッセージが27日、CCTVで大きくクローズアップされ延々と流された。米中関係悪化における中国の意図と日本の位置づけを考察する。

CCTVお昼のニュースでほぼ全文公開
9月27日、お昼の中央テレビ局CCTV4(国際)で長い時間を使って、安倍首相の中国建国70周年記念を祝賀するビデオメッセージが放映され、思わずCCTVの画面に釘付けになってしまった。

本当とは思えないような、「あっ!」と声が出てしまうようなニュースだったが、それが本当であることを示すサイトはいくらでもある。(中略)その一例として「大河報網」や、環球網の報道などがある。(中略)

(安倍首相のメッセージ)全文は以下のとおりである。(括弧で括ったのがCCTVでは報道されなかった部分)

──ダージャーハオ!皆さんこんばんは。安倍晋三です。中華人民共和国が建国70周年を迎えられたことに対し、日本国政府および日本国民を代表し、心から祝意を表します。

(本年は中国が建国70周年を迎え、日本が平成から令和へと新たな時代を迎える節目の年です。日中両国が良い雰囲気の中で、それぞれにとって記念すべき年を迎えられることを大変喜ばしく思います。)

6月のG20大阪サミットでは、日中両国が成功に向けて協力し、G20としての力強い意志を大阪首脳宣言を通じて世界に発信することができました。

 

サミットに先立ち行われた日中首脳会談と夕食会では、来春に習近平国家主席を国賓として日本にお迎えすることについて首脳間で一致し、日中新時代を切り拓いていくとの決意を共有することができました。

日中両国はアジアや世界の平和と繁栄に共に大きな責任を有しています。両国が地域や世界の課題に協力して取り組み、国際社会への貢献を共に進めることは、両国の新たな未来の姿を築くことにつながると確信しています。

(今、私たちはその新しい歩みを始めました。そして、来春の習主席の国賓としての訪日は、両国の新たな未来の姿を打ち出す上で、またとない重要な機会です。日中新時代にふさわしい、有意義な訪日にしていきたいと思います。)

最後に、日中関係のさらなる発展、ご列席の皆さまのますますのご健勝をお祈り申し上げまして、私の祝辞といたします。ありがとうございました。謝謝!

以上だ。(中略)

このような長いメッセージを、お昼のニュースとは言え、ほぼ全文公開するというのは、前代未聞と言ってもいいだろう。

それだけではない。続いて公明党の山口那津男代表、慰安婦問題に関する「河野談話」で知られる河野洋平氏、日中議連(日中友好議員連盟)会長の林芳正議員(自民党)、かつて映画「君よ 憤怒の河を渡れ」で中国で人気を博した女優の中野良子さんなどの大写しの顔とメッセージが放映され、経済界からもメッセージが寄せられた。(中断 後半は後出)【9月27日 遠藤 誉氏 Newsweek】

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これまでにない、中国側の“破格の扱い”だったようです。

 

もちろん、中国側の日本警戒論がなくなった訳でもありませんが。

 

****中国、防衛白書に不快感=安倍首相メッセージは「称賛」****

中国外務省の耿爽副報道局長は27日の記者会見で、中国を警戒する記述も盛り込まれた日本の防衛白書について、「中国の通常の国防建設と軍事活動に対する理由のない非難は受け入れられない」と不快感を示した。

 

一方、中国建国70周年に際し祝意を述べた安倍晋三首相のビデオメッセージを「称賛する」と表明。「今の中日関係改善の前向きな勢いを体現した」と評価した。【9月27日 時事】

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逆に言えば、日本の防衛白書に関する反発はありながら、それでも安倍晋三首相のビデオメッセージを「称賛する」というあたりに、中国側の前向きな対応がうかがえます。

 

【前向き、あるいは、前のめりに進む日中関係改善】

なお、中国政府系シンクタンクの中国社会科学院日本研究所は7月、日本の政治・経済状況を分析した2019年版「日本青書」を発表していますが、その中で、日中関係は回復を加速させていると分析報告しています。

 

****中国で「日本青書」発表、日中関係は回復を加速―中国メディア****

(中略)

■日中関係は回復基調
青書は「2018年に日中関係は回復加速と持続的改善という良い基調を全体的に示した。

 

日中平和友好条約締結40周年を契機に、上層部のリード、協力の深化、危機管理などプラス要因が、関係をさらに良くするプロセスを力強く促進した。

 

国際情勢の変動、経済・貿易面の相互利益、日本の戦略調整が日中関係改善の背景及び動因と考えられている。

 

2018年に日本政府は『一帯一路』イニシアティブの具体的な協力方法について中国側と話し合いを始め、日中の第三国市場協力は着実な推進の勢いを示した。反グローバリズムの風潮を前に、日中両国は保護貿易主義と経済的一国主義への反対、多角的自由貿易の堅持、地域経済協力の推進など関心を共有する重要な議題において共鳴した」と指摘した。

また、2019年の日中関係の行方について「日中関係の一層の発展はプラスの条件及びチャンス期間を前にしている。だが安定的に遠くまで前進するには、まだ並大抵でなく困難な取り組みを数多くする必要がある。日中双方が向き合って進み、積極的に益を図り害を避けさえすれば、両国関係は既存の改善の成果を基礎に持続可能な安定的発展という良い勢いを保ち、各分野の協力が一層の成果を得る後押しとなる見込みがある」とした。【7月27日 レコードチャイナ】

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また、中国政府の外務次官は以下のようにも。

 

****日中は張り合うべきではない、共に光を発して世界にエネルギーを―中国外務次官****

2019年8月12日、中国新聞網は、日中戦略対話出席のため日本を訪れた中国の楽玉成(ラー・ユーチョン)外務次官が「両国は張り合うべきではない」と指摘したことを伝えた。

記事によると、9日までの日程を終えた楽氏は記者に対し、現在の世界がまれに見る難局に置かれていることを指摘。「重要な発展チャンスに向かい合うと同時に、不確実性、不安定性は依然、突出している」とし、世界2位と3位の経済大国である中国と日本は協力をさらに強化し、共に課題に立ち向かう必要があるとの認識を示した。

楽氏は「対抗は双方の利益に合致しない。張り合うのではなく、互いに照らし合い、共に熱や光を発して波立つ世界により多くの安定性とプラスのエネルギーを注入すべき」と表明し、「中日指導者が大阪で会談を成功させ、新時代の要求に一致する中日関係構築について10の共通認識に達したことは今後の両国関係発展の方向を指し示した」とも指摘。

 

日中の経済協力や人々の交流の活発化などに触れた上で、「中国側は日本とともに両国指導者の共通認識を積極的に実行したいと考える。相互信頼を増進、協力を促進、意見の対立をコントロールしリスクを防ぎ止め、両国関係を新たな段階に推し進めたい」とした。【8月14日 レコードチャイナ】

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前向き、あるいは、前のめりの姿勢は日本側も同様ですが、米中対立の構図にも一定に配慮しながら・・・ということにもなります。

 

****インタビュー:安保念頭に中国と半導体で協力案=自民・甘利氏****

自民党内の「ルール形成戦略議員連盟」の甘利明会長(税制調査会会長)は、中国を念頭に、米国との共同研究に携わる日本企業は米技術の同盟国外への漏えい防止のため、社内のファイアーウォールの仕様と運用を強化する必要があるとの考えを示した。(中略)


<安全保障念頭に、ハイテク以外の分野で中国と協力>
甘利氏は「経済政策・外交政策・貿易政策は世界の中で絡み合って進んでいる。米国が国家経済会議(NEC)の強化を図っているように、経済・外交・貿易については密接な情報交換が必要だ」との考えを示した。

米国では、ハイテク分野での中国への情報漏えい回避に神経をとがらせている。甘利氏は、日本としても「米国に懸念を与えないという意味で、中国とはハイテクでない分野での事業協力が中心になる」との基本認識を示した。

中でも、半導体分野については「(次世代通信規格)5Gの分野については同盟国内でサプライチェーンが完結するように米国は要請しており、日本も足並みをそろえなければならない。チップ1つでもスパイチップになり得る。情報が漏えいすることになる」と指摘した。

<環境対応車と半導体で協力>
甘利氏の議連では、来春訪日する予定の習近平・中国国家主席と安倍晋三首相の会談に向け、中国との環境対応自動車での協力を提言する方向だ。すでにトヨタ自動車<7203.T>はハイブリッド技術を公開しており、民間協力を支援する狙いがありそうだ。

これに加え、5G関連といった最先端分野以外の半導体製造についても協力を模索中だ。

 

中国政府が計画している半導体増産には大量のきれいな水が必要だが、中国には人や技術、土地はあっても水が不足しているとの読みが日本側にある。水の豊富な日本が請け負って半導体を生産するという案が浮上している。(後略)【9月25日 ロイター】
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【「日本は何も見えないのか!」との批判も】

こうした日中関係改善への前向き姿勢を強く批判する指摘もあります。

 

冒頭で引用した遠藤 誉氏は、中国共産党政権への厳しい姿勢が持論であり、前出記事に続けて以下のように警鐘を鳴らしています。

 

****米中貿易戦争と日本への甘い誘い*****
米中の仲が悪くなったら、中国は必ず日本に微笑みかけてくるというのは常套手段ではあるものの、この日も日本の政財界からの一連の祝賀メッセージの報道が終わると、いきなりトーンを変えてトランプ大統領への弾劾手続きが始まったことを、強い口調で放映し始めた。その露骨なまでの対比に、これもまた唖然として思わず前のめりに画面に食い入ってしまった。

習近平国家主席が安倍首相のこの「友好的」な姿勢を、どれだけ歓迎していることか、考えただけでも空恐ろしい。

(中略)日本は1989年の天安門事件後の西側諸国による対中経済封鎖を解除させて、今日の中国の繁栄をもたらした。

その結果大国になってしまった中国に、又もや跪いて、今度は中国にアメリカを凌駕させるチャンスをプレゼントしようとしている。

日本経済を成長させるためには致し方ないという考え方もあろうが、その結果、言論弾圧をする一党支配の共産主義国家が全世界を制覇することになるのだ。全人類が、あの監視社会と言論弾圧の下にひれ伏すような世界を招くための手助けを、いま日本はしているのである。

かつて、「その先が読めない日本」は、大本営の報道を信じて戦争へと突き進んでいった。その日本の盲目性は、まるで日本の国民性のように今も厳然として存在する。

香港の若者たちが、あれだけ命を懸けて「言論の自由」と「民主」を守ろうとしているのに、日本は何をしているのか。何も見えないのか。

「未来」を見る目を捨てたのか。
1948年の国共内戦で、共産党軍の食糧封鎖により餓死体の上で野宿した経験さえ、大陸では公開することが許されない。そのような言論弾圧をしている中国が、日本政府の目には見えないのだろうか。

筆者がこの齢になってもなお、執筆活動を続けるのは、この言論弾圧と闘っているからだ。そのためには何があっても、警鐘を鳴らし続ける。これは餓死せずに生き残った者の使命だと、自分に言い聞かせている。【9月27日 遠藤 誉氏 Newsweek】
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遠藤氏の厳しい姿勢は、満州国で生まれ長春包囲戦を体験したことにも裏打ちされたものですが、そこまでの体験がない者としては、「共産党政権の問題に対する指摘はそのとおりだけど・・・まあ、それはそれとして・・・・日本と中国は2000年の歴史がある関係だし・・・・今後の東アジア情勢も考えると・・・」と、曖昧・軟弱になってしまいます。

 

中国が日中関係改善を利用しようとしているのは明らかですが、それはどこの国でも考えることです。

日本も、中国現政権への評価は堅持しつつも、戦略的に日中関係を考えていく姿勢があってもいいのでは・・・とも思います。

 

【日中の国民レベルの交流に基づいた新しい時代への期待】

東京・代々木公園イベント広場で21、22日開催された「チャイナフェスティバル2019」について、中国メディアの環球網は「これほどの熱気とは思わなかった」と報じています。

 

****中国建国70周年記念イベント、日本でも大賑わい=市民多数が楽しむ****

2019年10月1日の中国建国70周年を前に、これを記念する各種イベントが9月下旬に日本でも開催された。「チャイナフェスティバル2019」には20万人以上が来場、多くの参加者は「おもいっきり中国」を楽しんだほか、華僑・華人を中心とした記念祝賀会も大きな盛り上がりを見せた。

日本華僑華人連合会が主催する「中国建国70周年記念祝賀会」が9月22日、東京都内のホテルで開催された。日本在住の華僑・華人や日本の関係者1000人以上が出席。孔鉉佑・駐日中国大使、顔安全・日本華僑華人連合会名誉会長、福田康夫・元首相らが「日中の協力で両国と東アジア地域のさらなる発展を期したい」などと挨拶。鳩山由紀夫・元首相の乾杯の発声による鏡割りの後、演奏や合唱などパフォーマンスが盛り沢山。出席者は実演を楽しんだ。

中国文化の紹介を通じた日中交流イベント、「チャイナフェスティバル2019」が9月21〜22日に東京・代々木公園で開催された。建国70周年を記念し、中華料理の出店や文化展示や日中両国のアーティストによるステージ・パフォーマンスを行った。(中略)

若者や家族連れなど2日間で約20万人が来場「おもいっきり中国」を楽しんだ。今回のフェスティバルでは、中国の人気歌手Alan、Aminや日本のアーティスト、サンプラザ中野くんら日中両国の芸能人多数が出演した。

 

代々木公園会場内の100店のブースやメインステージ、サテライトステージでは多彩な中国を体感できる。「炎の激辛中華G1 グランプリ」「みんな大好きパンダハウス」「日中友好スリッパ卓球大会など」など人気のイベントが人気を博していた。

今年は「日中青少年交流推進年」に当たるため、日中の学生がインターネットのテレビ電話で意見交換。日中青少年交流推進年日中交流ブースで、チャイナフェスティバル会場の代々木公園と在上海日本国領事館とリアルタイムで繋ぎ、日中の学生交流が行われた。日中両国の若者3万人を5年間で相互交流させるプロジェクトを計画している。【9月27日 レコードチャイナ】

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中国側の日本旅行ブームも相変わらずです

 

****ビザ申請数からみた国慶節の人気海外旅行先、日本が断トツ・・・昨年よりも2割増=中国メディア****

中国メディア・南京晨報は24日、10月1日からの国慶節連休で海外旅行をする予定の中国人観光客の間で最も人気の高い訪問先が日本であるとする記事を掲載した。

記事は、中国の大手旅行予約サイト携程が発表した今年の国慶節出国ビザ申請人気ランキングを紹介。9月中旬現在で、同サイトを通じてビザ申請を行った中国人観光客の中で最も申請が多かった目的国が日本で、以下シンガポール、韓国、タイ、マレーシア、米国、ベトナム、フィリピン、オーストラリア、英国の順となったと伝えた。

そして、同サイトのビザ申請サービス責任者が「日本旅行熱はさらに高まり続けている。今年の国慶節期間の日本のビザ取得申請数は、昨年の国慶節期間よりも20%増えた」と語ったことを紹介したほか、国慶節期間の日本訪問ビザ申請数が同期間のビザ申請総数に占める割合が25%に達したとしている。(中略)

記事は、日本旅行を計画する中国人観光客がさらに増えている背景として、日本を訪れるうえで必要な手続きがさらに簡素化したほか、電子ビザ申請の導入に向けた動きが進んでいることを挙げている。

そのうえで、7月より北京の日本大使館で始まったインターネットによるビザ申請受付が、10月からは上海の日本領事館エリア(上海市、浙江省、江蘇省、安徽省、江西省)も対象になるほか、団体客だけではなく個人旅行客などにも対象が拡大する予定であると伝えた。【9月27日 searchina】

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こうした日中の国民レベルの交流が、新たな日中関係の基礎になれば・・・と期待します。

戦車で抗議行動を踏みつぶすような国に甘い期待をしても無意味との指摘もあろうかとは思いますが、国内事情も国際関係も時代とともに変わる部分もあるでしょう。

 

その変化が両国民にとって更に良い方向に向かうように働きかけていくことが必要とも思います。

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中国 アフリカ豚コレラの感染拡大で豚肉の価格高騰、社会問題にも 日本では豚コレラ被害拡大

2019-09-14 23:22:17 | 中国

(豚肉を買い求める南寧の住民【9月12日 WSJ】 南寧を含む広西チワン族自治区では、アフリカ豚コレラのまん延により今年の生産量が最大9割減となる可能性もあるとか)

 

正直なところ、ニュースを見聞きしても殆ど関心がなく聞き流す感じでしたが、日本でも豚コレラ感染が広がっているようです。

 

農林水産省HPによれば・・・

 

****豚コレラについて****

令和元年9月12日  担当:消費・安全局動物衛生課

岐阜県、愛知県、長野県、滋賀県、大阪府、三重県、福井県で豚コレラの発生が確認されています。

豚コレラは、 豚やいのししの病気であって人に感染することはなく、 仮に豚コレラにかかった豚の肉や内臓を食べても人体に影響はありません。また、感染豚の肉が市場に出回ることはありません。

なお、豚やいのししには強い伝染力と高い致死率が特徴のため、 畜産農家の方 は、引き続き、飼養衛生管理の徹底や早期摘発のための監視の強化に万全を期すようお願いします。

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上記の中部・近畿各県だけでなく、埼玉でも。

 

****埼玉)豚コレラ「封じ込める」 秩父で発生、県対応急ぐ****

昨年9月以来、中部地方近畿地方で確認されていた家畜伝染病豚コレラ」が13日、秩父市の養豚場で飼育された豚からも見つかった。県内では約85戸の養豚農家が約9万頭の豚を飼育している。

 

豚コレラは人に感染せず、感染した豚肉を食べても人体に影響はないとされるが、養豚農家からは感染拡大への懸念の声が上がった。(後略)【9月14日 朝日】

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当然ながら、養豚農家にとっては死活問題であり、深刻な状況となっています。

岐阜では発生から1年が経過しています。

 

****迫る危機、県内から豚が消える日 豚コレラで飼育数半減****

岐阜県で家畜伝染病豚(とん)コレラ」の発生が確認されてから、9日で1年が経った。県内では6万頭以上が殺処分され、飼育される豚の半数以上が失われた。9月に入っても中津川市で新たな発生があり、関係者は「岐阜から豚が消えるのでは」と危機感を募らせる。

 

「夢であってほしい」

8千頭を超える豚を飼育していた岐阜県関市の兼松真吾さん(56)は、感染を知らされた時、とっさに思った。昨年12月24日、クリスマスイブの夜だった。

 

防疫作業員が続々とやってきた。仮設テントを立てる乾いた音が響き、周囲を照らす光がまぶしかった。自動でエサを与える機械を止め、豚が腹をすかせて「ギャーギャー」と鳴く声が、耳から離れない。大切に育てた豚は、あっという間に埋められた。

 

大学の獣医学科を卒業し、父の農場を継いだ。最新の設備を導入して衛生管理に力を入れ、高品質の豚肉を出荷してきた自負がある。「なぜ、うちが……」。9カ月経った今も、悪夢の中にいるような思いだという。

 

年明け、追い打ちをかけるできごとがあった。「自治会役員一同」名の要望書が届き、「人間の生活圏から離れた場所で再開を」とあった。「長年、悪臭などに悩まされてきた」とも書かれていた。

 

「理解してくれる人もいる」と思いながらもショックだった。養豚場は鳴き声やにおいがするとして、山林に近い場所で営まれることが多い。だがそうすると、イノシシなど野生動物から感染する可能性が高くなる。

 

「全国の養豚農家は、厳しい環境、競争の中で鍛えられてきた。自分も努力して対応できる力をつけなければいけない」。養豚場を守っていくと決意しているものの、再開のめどは立っていない。

 

県職員の嘆き「もう限界。ワクチン接種を許可して」

「ついに半数を超える豚が失われた」。8月17日、県内22カ所目の施設で豚コレラが発生し、古田肇知事は肩を落とした。知事が本部長を務める「県家畜伝染病防疫対策本部」の本部員会議は40回に迫る。

 

昨年9月9日、岐阜市の養豚場で発生が確認されて以降、感染施設は県内12市町に広がった。国は感染拡大を防ぐために「飼養衛生管理基準」の徹底を求め、農場は防鳥ネットを張ったり、豚に石灰の上を歩かせたりして対策を講じてきた。だが、改善が確認されたはずの農場でも感染が相次ぐ。

 

国や県は感染拡大の最大要因に野生イノシシを挙げる。一方で農林水産省疫学調査チームは5月、「ハエやネズミがウイルスを運搬した可能性も否定できない」として、粘着シートの設置や殺鼠(さっそ)剤の散布を求めた。「自然の中にある養豚場で、ハエを1匹も入れないことが可能だろうか」。ある養豚農家は無力感にさいなまれる。

 

殺処分などの防疫作業に携わった県職員は、延べ1万6千人を超える。職員の1人は「もう限界です。早く豚へのワクチン接種を許可してほしい。職員はみんなそう思っているはず」とこぼした。

 

国は豚へのワクチン接種について、豚肉の輸出入への影響や、農家の衛生管理の意欲が下がって別の家畜伝染病が広がることなどを懸念し、まだ認めていない。「国は岐阜から豚がいなくなるのを待っているかのようだ」。養豚農家からはそんな不満の声も上がっている。【9月9日 朝日】

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治療法もなく、ワクチン接種もできず、「ハエ・ネズミからも・・・」という話になると、「為す術がない」としか言いようがありません。

 

長野県塩尻市では、管理体制が厳しいと思われる県畜産試験場でも豚コレラが発生しています。

 

****畜産試験場のブタが豚コレラに感染 長野 塩尻****

長野県は、塩尻市の県畜産試験場で研究用に飼育されているブタが、豚コレラに感染していたことが確認されたと発表しました。県内では、ことし2月にも感染が確認されていて、県は飼育しているおよそ350頭のブタの殺処分を行っています。(後略)【9月14日 NHK】

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アフリカ豚コレラによって、日本以上に深刻な状況となっているのが中国。

中国の食生活には豚肉は欠かせませんが、世界の流通量の半分をしめる中国で「処分された豚は1億頭を超えた」とも。その動向は世界にも影響します。

 

また、急激な価格高騰で社会問題にもなってきています。

 

なお、日本で問題となっている豚コレラと、中国で拡大しているアフリカ豚コレラは全く別の病気です。

日本ではアフリカ豚コレラの発生は確認されていません。

 

****中国で猛威振るう「アフリカ豚コレラ」、1億頭処分、豚肉価格が急騰、緊急備蓄の放出も****

中国で家畜の伝染病「アフリカ豚コレラ」が猛威を振るっている。米CNNは「中国で処分された豚は1億頭を超えた」と報じた。これに伴い、品薄から豚肉価格が引き続き上昇。中国当局は緊急備蓄の放出検討や養豚場への補助金拠出などの対策を強化している。

中国の豚肉市場は世界で最も規模が大きく、中国での流通量は世界の半分を占める。豚肉は中国の食事に欠かせない食材で、不足すれば社会的安定を脅かしかねず、世界の豚肉供給網が揺らぐ恐れもある。

CNNはアフリカ豚コレラのため「中国農務部が3日に発表した統計によると、7月現在、中国で過去1年の間に処分された豚は1億頭を超えた」と報道。「これまでに処分された豚が国内の頭数の3分の1に上った」とも伝えた。

中国メディアの新京報によれば、本年前半の豚肉卸売価格は1キロ20元(約300円)前後だったが、ここ3カ月ほどは一貫して上昇傾向にある。7月29日から8月4日の週は1キロ25元(約380円)を超え、8月19日から8月25日の週には1キロ30元を突破し31.77元(約480円)に達した。

その後、8月26日から9月1日の週は1キロ34.59元(約510円)と、1週間で8.9%も上昇した。わずか数カ月間で70%を超える急騰となった計算だ。

事態を重視した中国当局は8月21日に開かれた国務院常務会議で、養豚回復の総合措置▽地方での法律法規外の養豚禁止と養豚規制の迅速な廃止▽大規模養殖の発展と養豚業者の支援▽ウイルス予防能力の向上▽豚肉供給の保障と地方の豚肉貯蓄量の増加―五つの対策を打ち出した。

 

9月4日の国務院常務会議では、物価の全体的な安定維持、豚肉の供給保障と価格安定措置の実施、貧困者の社会支援と保障基準・物価上昇の連動メカニズムの適時始動を求めた。 (中略)

豚肉の消費は13日からの「中秋節」の3連休、10月1日からの「国慶節」の7連休を迎え、最盛期に入る。これに先立ち、中国当局は「必要があれば非常用の冷凍豚肉の備蓄を放出する」と表明。実際に放出するかどうかは市場の動向を見極めた上で決定するという。【9月14日 レコードチャイナ】

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米中貿易戦争といった国際問題、人権・民主化にかかわる香港問題などには関心はない国民も、豚肉が食べられないという事態になると・・・中国当局も神経を使っているようです

 

****中国の豚肉急騰、祝賀行事控え対策に苦慮 ****

指導部は米国との貿易戦争や香港デモなどに加え、さらなる頭痛の種

 

中国当局はここ数週間、豚肉の供給拡大と価格押し下げに向けてあらゆる手段を講じているが、1年におよぶアフリカ豚コレラまん延による影響にまだ十分対処できないでいる。

 

政府当局者はここにきて、養豚場への補助金支給から配給制、鶏肉消費の促進、豚肉の緊急備蓄放出まで、総動員で対策に当たっている。

 

だが、価格上昇に歯止めがかかっておらず、10月1日の中国建国70周年記念を控え、祝賀ムードを台無しにしかねない状況だ。指導部にとっては、米国との貿易戦争や香港デモなどに加え、さらなる頭痛の種となっている。

 

10日公表された公式統計によると、中国人の食生活に欠かせない豚肉価格は8月、前年同月比46.7%急上昇し、8年ぶりの大幅な伸びを記録した。消費者物価指数は豚肉価格の高騰だけで1ポイント余り押し上げられ、7月につけた1年5カ月ぶりの高水準に並んだ。

 

アフリカ豚コレラまん延により、消費者が牛・羊肉などを代わりに買い求めたことで、食肉価格全体でも31%近く上昇した。アフリカ豚コレラは人間には無害だが、豚にとっては致死率が高い伝染病だ。

 

中国商務省は豚肉価格の動向を注視しており、8月には急激な価格変動を防ぐため、備蓄の冷凍豚肉を放出すると表明した。

 

経済的に豊かな南部・広東省は9日、13日からの中秋節と建国70周年記念を控え、3000トン以上の豚肉備蓄を放出すると明らかにした。

 

アフリカ豚コレラによる影響は、とりわけ広西壮族自治区・南寧の市場で深刻だ。南寧は従来、中国国内でも豚肉の供給・消費が盛んな地域で、アフリカ豚コレラまん延により、生産者、消費者の双方が経済的に大きな打撃を受けている。

 

南寧の当局者は9月初旬、豚肉価格に上限を設け、価格を10%引き下げた。また地元の市場でピンク色の配給チケットを配布し、1日の購入量を1キロに制限。市民からは毛沢東時代を彷彿(ほうふつ)とさせるとの声が上がった。

 

だが配給制度はその2日後に廃止となった。全体的な価格引き下げを受けても、地元住民は肉が高すぎて買えないと話している。

 

値引き販売する市場でも客の姿はほとんどみられなかった。販売業者は売上高の落ち込みは、過去数十年に見られなかった大きさだと嘆いている。(中略)

 

価格反転の兆しが見えない中、当局は市民が臨機応変に対処することを学ぶよう期待を寄せている。国営メディアは足元、「豚肉を食べない」メリットを強調し始めた。

 

中国共産党機関紙「人民日報」系の「生命時報」は先週6日、豚肉消費を控えることで、健康にも財布にも良いと主張。代わりに鶏肉や魚を食べるよう促した。

 

だが、読者からはすぐさま懐疑的な反応が寄せられた。ネットではあるユーザーが「次に牛肉価格が値上がりすれば、牛肉を食べるのは良くないと言うだろう」と書いている。

 

国務院(内閣に相当)は10日、地方政府の当局者に対し、豚肉価格の安定化に向けた取り組みを強化するよう指示。「大型祝日期間中の十分な豚肉供給の確保」を命じるとともに、年末までに進ちょく状況に関する報告書の提出を義務づけた。政策担当者が窮地に追い込まれ、必死になっている状況を物語っている。(中略)

 

政府にとって長期的な課題の1つは、畜産農家に対し、再び豚の飼育頭数を増やすよう説得することだろう。アフリカ豚コレラに対する有効な予防ワクチンがない中で、畜産農家は次のまん延の脅威を恐れ、生産の拡大や回復に消極的になっている。 【9月12日 WSJ】

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食べ物の恨みは恐ろしい・・・ということで、中国政府も「あの手この手」ですが、備蓄の冷凍豚肉がどれだけあるのか・・・

 

「豚肉を食べない」メリット・・・日本でそんな対応をとったら、責任回避と袋叩きにあいます。

 

日本にしろ、AIなどの先端技術を誇る中国にしろ、不可欠の食材の安定を脅かす豚コレラ・アフリカ豚コレラに「為す術がない」というのも奇妙な話です。

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南シナ海  中国の進出に対するフィリピン・ベトナムの対応 アメリカは強い懸念を表明するも・・・

2019-09-11 22:50:41 | 中国

(2日、タイ中部サタヒープの海軍基地で行われた米・ASEAN合同軍事演習の開会式【9月2日 時事】)

 

【中国の南シナ海進出にASEANも「複数国が懸念」】

南シナ海をめぐる情勢については、(ほかに多くの問題があることもあって)ひと頃ほどは多くは取り上げられていませんが、進出を強める中国、これをけん制するアメリカ、中国との距離感が異なる国々があつまることもあって中国に対する強い対応が難しいASEAN・・・・という基本構図は変わっていません。

 

そういうなかにあって、7月末のASEAN外相会議では、最近のベトナムやフィリピンの中国との緊張関係の高まりを背景に、幾分強い表現も使用された・・・・とのことですが、素人目には“さほど変わっていない”ようにも。

 

****南シナ海「複数国が懸念」 ASEAN外相会議 *****

中国と東南アジア諸国連合(ASEAN)の一部加盟国が領有権を争う南シナ海を巡って緊張が高まっている。

 

フィリピンは北部海域の警戒を強める方針を表明し、ベトナムと中国の艦船はにらみ合いを続ける。

 

ASEANは31日の外相会議の共同声明で複数の外相が「懸念」を示したと明記。中国との会議では紛争防止へ行動規範をまとめる作業を進展させたが、緊張の緩和は見通せないままだ。

 

ASEAN加盟10カ国の外相は31日、タイ・バンコクで会談した。終了後に出した共同声明では中国を念頭に「複数の外相から埋め立てや深刻な事案に対して懸念が示された」との文言を盛り込み、草案段階の「幾つかの懸念に留意する」から表現をやや強めた。ベトナムが主張したとみられる。背景には南シナ海を巡る中国との緊張関係の高まりがある。(中略)

 

一方で、ASEANは中国との南シナ海を巡る紛争回避のための協議も進めた。ASEAN加盟国の外相は31日、中国の王毅外相とも会談。紛争抑止に向けて策定を進める行動規範について議論し、各国の要望を列記する第1段階の作業が終了したことを確認した。10月にベトナムで開く事務レベル協議で一本化する作業に入る。

 

意見対立が避けられないのが、行動規範に法的拘束力を持たせるかどうかだ。ベトナムが法的拘束力を求めているとみられるのに対し、中国は反対する。中国から経済支援を受けるカンボジアやラオスは中国寄りの立場をとるもようで協議はもつれるとの見方がある。

 

中国は行動規範の骨抜きを狙い、ASEANの取り込みを急ぐ。「天然ガスの共同開発に向けた作業を加速したい」。王氏はフィリピンのロクシン外相と会い、こう呼びかけた。同国が求める天然ガス共同開発をちらつかせ、融和政策を維持させたい思惑だ。親中国のカンボジアや中立的立場のインドネシアの外相とも立て続けに会談した。

 

中国は行動規範に、域外国の関与を制限する条項を盛り込むよう提案したもよう。南シナ海への関与を狙う米国を排除する狙いだ。

 

王氏は31日の会議終了後に記者会見を開き、「域外国は中国とASEANの仲を引き裂くべきではない」と強調。「規範策定作業が想定より早く進んでおり、目標とする21年より前に決着する可能性がある」と自信を示した。

 

中国は6月末から7月初旬にかけ、南シナ海で弾道ミサイルを6発発射する実験を実施した。同海域で中国のミサイル実験が確認されたのは初めてとみられ、西太平洋への米軍接近を阻む戦略の着実な進展を印象づけた。経済面でASEANと連携する姿勢を見せる一方、「力の支配」も着実に進めている。

 

米国は中国が埋め立てた南シナ海の人工島の12カイリ(約22キロメートル)以内に艦船を派遣する「航行の自由」作戦を展開してきた。だが、中国による実効支配の進展を止められず、戦略の練り直しを迫られている。

 

5月には日本、インド、フィリピンと初の共同訓練を実施し、多国間の協力枠組みの拡大に動いている。中国は反発しており、南シナ海を巡る情勢が緊迫する可能性も否定できない。【7月31日 日経】

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【仲裁裁定を利用して中国から協力を引き出すフィリピン・ドゥテルテ大統領】

今現在も上記記事が指摘する状況は変わっていません。

 

フィリピンについては、親中国姿勢を隠さないドゥテルテ大統領ですが、中国に厳しい国民世論にも配慮する必要もあって、中国への対応はわかりにくいところもあります。

 

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「我々の領有権を明確にすべきだ。象徴すべきものを建ててもいい」。フィリピンのドゥテルテ大統領は7月28日、南シナ海に浮かぶ同国最北部バタン諸島を訪れ、沿岸警備隊による周辺海域の警備を強化するよう指示した。

 

フィリピンは台湾寄りの同諸島を支配しており、中国と係争は起きていないが、主権の主張を強める構えだ。

 

ドゥテルテ氏は経済支援を得るため、中国と争う島や岩礁の領有権の主張を抑え、融和的な外交を進めている。だが、フィリピンの排他的経済水域(EEZ)で6月、同国の漁船が中国の漁船に衝突されて沈没。国内では中国や政府に対する批判の声が広がった。

 

ドゥテルテ氏は7月8日には「我々には中国を南シナ海から追い出すことはできない。米海軍第七艦隊に中国の前に立ちはだかってもらいたい」と発言。中国をけん制した。【同上】

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「我々の領有権を明確にすべきだ」「米海軍第七艦隊に中国の前に立ちはだかってもらいたい」・・・親中国のドゥテルテ大統領らしからぬ発言ですが、その真意は・・・。

 

訪中したドゥテルテ大統領は、厳しい国内世論も意識して、普段は封印している南シナ海仲裁裁定を持ち出したようですが、つなぎとめに躍起となる中国からそれなりのものを引き出し、“双方はフィリピンが望む海洋資源の共同開発や経済支援の推進で合意し、関係悪化を避けて事態の収拾を図った形だ。”【8月30日 毎日】とも。

 

****ドゥテルテ氏、南シナ海仲裁裁定を提起 中比首脳会談****

中国の習近平国家主席は29日、北京の釣魚台迎賓館でフィリピンのドゥテルテ大統領と会談した。

 

ドゥテルテ氏は南シナ海問題をめぐり、ハーグの仲裁裁判所が2016年の裁定で中国の主権主張を全面否定したことを提起したが、習氏は同裁定を認めない従来の立場を繰り返した。パネロ大統領報道官が30日発表した声明で明らかにした。

 

ドゥテルテ氏が習氏に対し、仲裁裁定を直接提起したことが明らかになったのは、今年4月の首脳会談に続いて2回目。

 

ドゥテルテ氏は16年の大統領就任後、中国との蜜月関係を演出し、中国からの経済支援と引き換えに同裁定を持ち出すことを封印してきた。

 

ただ、南シナ海のスプラトリー(中国名・南沙)諸島でフィリピンが実効支配する地域に中国船が多数出没するようになり、今年6月にはリード堆(礼楽灘)周辺で中国漁船と衝突したフィリピン漁船が沈没する事件が発生。中国が約束した経済支援を実行していないとの不満も高まるなどフィリピンの対中世論は厳しさを増している。中国当局はドゥテルテ氏をつなぎとめるのに躍起だ。

 

中国外務省の発表によると、習氏は会談で「双方は争いを棚上げし、外部の干渉を排除し、協力と実務、発展の計画に集中しなければならない」と指摘。

 

両国は、南シナ海での石油と天然ガスの共同開発に向けて政府間と企業間の組織をそれぞれ創設することで一致した。ドゥテルテ氏が仲裁裁定を提起したことには触れなかった。

 

習氏は30日、北京でのバスケットボールのワールドカップ(W杯)開幕式にドゥテルテ氏と出席。同氏が後日、広東省広州で試合を観戦する際には王岐山国家副主席が付き添う予定で、異例の手厚いもてなしで懐柔を図っている。【8月30日 産経】

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ドゥテルテ大統領は中国と厳しく対峙する考えはなく、大統領にとって仲裁裁定は、中国から協力を引き出す打ち出の小槌みたいなものでしょう。

 

中国側の海洋資源の共同開発提案は、フィリピンが仲裁裁定を“無視する”ことが条件とか。

 

****中国が南シナ海開発で提案、仲裁裁判断無視が条件=フィリピン大統領****

フィリピンのドゥテルテ大統領は、中国の習近平国家主席との最近の会談で、南シナ海での中国の主張を退けた仲裁裁判所の判断をフィリピン側が無視することを条件に、同海でのガス共同開発の権益の過半数をフィリピンに譲渡するとの提案を受けたことを明らかにした。

大統領府によると、ドゥテルテ氏は10日遅くに記者団に、仲裁裁判断とフィリピンの領有権の主張を「脇に置く」ことができれば、中国側はフィリピンの排他的経済水域(EEZ)にあるリードバンクの共同ガス開発事業の権益の60%をフィリピンに譲渡し、残る40%を維持すると習主席が提案したと紹介した。

中国外務省と在フィリピン中国大使館からドゥテルテ氏の発言についてコメントは得られていない。

オランダ・ハーグにある仲裁裁判所は2016年に中国の主権の主張を全面的に退け、フィリピン沖約85キロにあるリードバンクのガス田を開発するフィリピンの権利を明確化する判断を下している。中国はこの判断を認めていない。

ドゥテルテ氏はこれまで、南シナ海での中国による人工島造成などの活動について対立を避けてきた。フィリピンが仲裁裁判断を無視し、中国と協力することに合意すれば、同海の資源を巡り中国と領有権を争ってきたベトナムやマレーシアなどの諸国が不利な立場に置かれることになる。

ドゥテルテ氏は習氏の提案に同意したかどうかは明らかにしていない。ただ、仲裁裁判断のEEZに関する部分については「経済活動を確保するために無視する」と言明した。【9月11日 ロイター】

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“ドゥテルテ氏は習氏の提案に同意したかどうかは明らかにしていない”とのことですが、北京での“蜜月ぶり”からすれば、実質的に中国側の意向に沿う形を了解したのでしょう。

 

【中国の海洋調査船をめぐり対立を強めるベトナム】

一方、対中国強硬姿勢という点ではわかりやすいのがベトナム。

 

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 南沙(英語名スプラトリー)諸島の領有権を中国と争うベトナムでも、EEZ内で中国の海洋調査船が活動。中国海警局の艦船も同行し、ベトナムの艦船と数週間にらみ合った。

 

同国政府は19日、中国に抗議する談話を発表し、「ベトナムの主権を侵害する行為には断固反対する」と表明した。【7月31日 日経】

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中国の海洋調査船「海洋地質8号」が、7月に続き8月にも再び南シナ海のベトナムの排他的経済水域(EEZ)内で活動しているとして、中国側に退去を要求したことを明らかにしています。

 

****中越、南シナ海で対立激化 中国海洋調査船航行にベトナム猛反発 「14年以来最悪の状況」****

南シナ海をめぐり、中国とベトナムの対立が激化している。埋蔵資源を狙う中国の地質調査船がベトナムの排他的経済水域(EEZ)内で繰り返し確認され、ベトナム政府が抗議。中国との摩擦が続く米国も中国批判に乗り出すなど、事態は混迷の度を増している。

 

両国間の緊張が急速に高まったのは、7月以降だ。複数の報道によると、7月3〜14日、中国の海洋調査船「海洋地質8号」が、ベトナムのEEZ内に進入し、スプラトリー(中国名・南沙)諸島西側のバンガード堆(同・万安灘)近くを航行。ベトナム海軍の船舶とにらみ合った。

 

その後、海洋地質8号は海域を離れたが、8月にも現場周辺での航行が確認されている。香港紙サウスチャイナ・モーニング・ポスト(SCMP)は海洋地質8号が海底約3万5千平方キロを調査したと報じた。

 

ベトナムは現地でロシア企業とともにガス田開発に乗り出しており、中国の動きは看過できない。

 

ベトナム外務省は「中国の度重なる違法行為に抗議する」と反発。米国も中国がベトナムの資源開発を妨害しているとし、2度に渡って「いじめ同様の戦術では隣国の信頼も国際社会の尊敬も勝ち取れない」などと批判する声明を発表した。

 

中国は「中国船は中国が管轄する海域で作業している」(耿爽報道官)などと反論している。中国船のベトナム近海での活動は止まらず、今月3日には、中国の国有石油・天然ガス企業「中国海洋石油」の大型クレーン船「藍鯨」がベトナムのEEZ内で航行しているのが確認された。

 

両国は2014年5月、ともに領有権を主張するパラセル(同・西沙)諸島そばで中国が油田掘削を行ったことで対立が先鋭化。両国の船舶同士の衝突が発生し、ベトナム国内では反中デモも展開された。

 

SCMPは今回の事態を「14年以来最悪の対立」と表現。「ベトナム政府はこの問題について国連に提起するなど、国際化させる可能性がある」と報じており、事態の沈静化は見通せない状況だ。【9月10日 産経】

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もちろん、“事態の沈静化は見通せない”とは言いつつも、ベトナムはバランス感覚に優れた現実主義の国ですので、かつて戦火を交えたこともある陸続きの中国との緊張が限度を超えて高まらないようにコントロールはするでしょう。

 

【アメリカは国防総省が緊急声明 ただし、今後は米中貿易戦争の行方次第】

中国の南シナ海における準軍事組織「人民武装海上民兵」を使った“嫌がらせ”には、アメリカも強い反発を見せています。

 

****進行する中国の南シナ海での「嫌がらせ戦術」****

中国は、南シナ海で領有権を争っている国々の石油・ガス探査への嫌がらせを強めている。

 

5月以降、中国の海警局の艦船が、ベトナム、マレーシアのEEZ内での掘削活動に威圧的な妨害を加えている。さらに、7月以降、中国の海洋調査船がベトナムのEEZ内で調査を続けている。

 

調査船は、海警の艦船、準軍事組織「人民武装海上民兵」が乗り組む漁船に護衛されているという。ベトナム側は沿岸警備艇を派遣し、衝突のリスクが高まっている。

 

この問題について米国は、8月22日に国務省が、8月26日には国防総省が強い懸念を表明する声明を相次いで発表している。このうち、国防総省の緊急声明の要旨は次の通り。

 

・・・・・・・・・・・・・・・

国防総省は、中国によるインド太平洋におけるルールに基づく国際社会を破壊する努力が続いていることを強く懸念している。最近、中国はベトナムの石油・ガス探査活動への威圧的干渉を再開した。これは、シャングリラ会議での魏鳳和・中国国防部長の「平和的な発展の道を堅持する」との発言と全く矛盾する。

 

中国の行動は、『受け入れられている国際的ルールと規範に沿ってすべての国が大小を問わず主権を保障され、威圧されず経済的成長を追求し得るとする自由で開かれたインド太平洋地域』という米国のビジョンとは対照的である。

 

中国が「嫌がらせ戦術」を続けることで、近隣諸国の信頼も国際社会の尊敬も勝ち得ることはないだろう。ASEANの領有権主張国を威圧する行動、攻撃的武器の配備、海洋についての違法な主張の執行は、中国の信頼性への深刻な疑いを提起している。

 

米国は、同盟国、パートナー国による、インド太平洋全体における航行の自由と経済的機会を確かなものとする努力を支援し続ける。

・・・・・・・・・・・・・・・

 

中国の「嫌がらせ戦術」に対して、関係諸国は連携を密にしようとしている。

 

例えば、8月23日にはベトナムのハノイで豪越首脳会談が行われたが、その際の共同声明で、南シナ海の資源に関する「妨害的活動」に懸念が示された。豪州とベトナムは、5月にベトナムのカムラン湾に豪海軍の艦船2隻が寄港するなど、関係を緊密化させている。

 

また、8月27日のベトナム・マレーシア首脳会談でも、中国の調査船による活動について話し合われたと見られる。

 

ただ、関係諸国、ひいては国際社会の連携のカギとなるのは、やはり何と言っても米国の動向である。この点、米国が上述の通り相次いで2つの声明を発表したことは、南シナ海における中国の傍若無人な振る舞いを米国が深刻に受け止めているというメッセージを強く発するものであり、歓迎される。

 

上記の国防総省の声明の内容は、米国の立場、国際秩序の原則を明確に示している。定期的に繰り返されている米国主導の「航行の自由作戦」(8月末にも実施)も、本件への直接の対応ではないとしても、米国の南シナ海におけるプレゼンス維持が本気であることを示すものである。

 

今後の注目点は、まず第一には、国際社会の連携をどれだけ拡大できるかである。それには、中国に対し、ルールに基づいた国際秩序の原則を繰り返し言っていくということであろう。

 

その次に、さらに実効的な措置が模索される必要があると思われる。しかし、準軍事組織を用いた中国の「嫌がらせ戦術」に対抗するのは、言うは易く行うは難し、である。

 

潜在的には、米議会に提出されている「南シナ海・東シナ海制裁法案」などが対抗手段となり得るかもしれない。同法は、ASEAN加盟国が領有権を主張する海域において、平和、安全保障、安定を脅かす行為をした個人に対して制裁を科すとしている。実現性は全く不透明ではあるが、興味深い試みであると言えよう。【9月11日 WEDGE】

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アメリカはASEANとの海軍合同訓練も実施しています。

 

****米ASEAN、南シナ海などで初の海軍合同訓練*****

米国と東南アジア諸国連合の海軍による初の合同訓練が2日、タイのサッタヒープ海軍基地で始まる。日程は6日までの5日間で、訓練は中国が領有権を主張する南シナ海でも行われる。

 

南シナ海の領有権をめぐってはブルネイ、マレーシア、ベトナム、フィリピンといった東南アジアの国々と中国との緊張が続いており、米国も東南アジア地域への関与を強めている。(後略)【9月2日 AFP】

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ただ、中国とアメリカの関係は、貿易戦争の行方次第というところも。

 

これまでは強気の関税措置を繰り返してきたトランプ大統領ですが、アメリカ国内の経済悪化が明確になってくれば、最大の関心事である再選戦略に支障がでますので、一転して中国と関係改善に・・・という事態も十分にありえます。

 

そのときは南シナ海問題も(ベトナムなどの意向にかかわらず)中国の権利を一定に認める形で、セットで処理されることも。

 

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中国  2020年までに社会信用システムを全国的に導入 「監視社会」の悪夢か、「幸福な監視国家」か

2019-09-06 21:59:32 | 中国

2020年に制度が本格始動すれば、すべての中国人の行動が習近平の監視対象になる【201852日 Newsweek】)

 

【政権による「完全支配システム」 「制度が成熟すると共に、逆らう者への処罰はひどくなるだろう」】

中国が監視カメラ、顔認識技術、信用を点数化した社会信用システムなどによって、近未来的な「監視社会」に移行しつつあるという話はこれまでも再三とりあげてきました。

 

*****14億人を格付けする中国の「社会信用システム」本格始動へ準備****

<長々とゲームをするのは怠け者、献血をするのは模範的市民、等々、格付けの高い者を優遇し、低い者を罰するこのシステムにかかれば、反政府活動どころかぐれることもできない>

 

中国で調査報道記者として活動する劉虎(リウ・フー)が、自分の名前がブラックリストに載っていたことを知ったのは、2017年に広州行の航空券を買おうとした時のことだった。

 

航空会社数社に搭乗予約を拒まれて、中国政府が航空機への搭乗を禁止する「信頼できない」人間のリストを保有しており、自分がそれに掲載されていたことに気づいた。

 

劉は、2016年に公務員の腐敗を訴えるソーシャルメディアに関する一連の記事を発信し、中国政府と衝突した。政府から罰金の支払いと謝罪を強要された劉はそれに従った。これで一件落着、と彼は思った。

 

だがそうはいかなかった。彼は「不誠実な人物」に格付けされ、航空機に乗れないだけではなく、他にも多くの制限を受けている。

 

「生活がとても不便だ」と、彼は言う。「不動産の購入も許されない。娘を良い学校に入れることも、高速列車で旅することもできない」

 

国家権力による監視とランク付け

劉はいつのまにか、中国の「社会信用システム」に組み込まれていた。中国政府は2014年に初めてこのシステムを提案、市民の行動を監視し、ランク付けし、スコアが高いものに恩恵を、低いものに罰を与えると発表した。

 

この制度の下で、エリートはより恵まれた社会的特権を獲得し、ランクの底辺層は実質的に二流市民となる。この制度は2020年までに、中国の人口14億人すべてに適用されることになっている。

 

そして今、中国は劉のように「悪事」を犯した数百万人に対し、鉄道と航空機の利用を最長1年間禁止しようとしている。

 

51日から施行されるこの規則は、「信用できる人はどこへでも行くことができ、信用できない人は一歩を踏み出すことすらできないようにする」という習近平国家主席のビジョンを踏まえたものだ。

 

これは近未来社会を風刺的に描いたイギリスのドラマシリーズ「ブラックミラー」のシーズン31話『ランク社会』のプロットにそっくりだ。ドラマはSNSを通じた他人の評価が実生活に影響を与えるという架空の社会が舞台だが、中国において暗黙の脅威となるのは、群衆ではなく、国家権力だ。

 

中国政府はこのシステムの目的は、より信頼のおける、調和のとれた社会を推進することだと主張する。だが、この制度は市場や政治行動をコントロールするための新しいツールにすぎないという批判の声もある。

 

人権擁護団体ヒューマン・ライツ・ウォッチの上級研究員マヤ・ワンは、「社会信用システムは、善行を奨励し、悪行を処罰するために習政権が実施する、完全支配のシステムだ。それも進化する」と本誌に語った。「制度が成熟すると共に、逆らう者への処罰はひどくなるだろう」

 

社会信用システム構想発表時の文書によれば、政府は2020年までに最終的なシステムの導入をめざしている。

国家的なシステムはまだ設計段階にあり、実現の途上にあるが、地方自治体は、市民に対する様々な方法を試すために、独自のパイロット版を立ち上げている。

 

中国最大の都市上海では、親の世話を怠る、駐車違反をする、結婚の登録の際に経歴を偽る、列車の切符を転売するといった行為は、個人の「信用スコア」の低下につながりかねない。

 

民間企業も類似システムを開発

中国南東部の蘇州は、市民を0から200までのポイントで評価するシステムを採用。参加者は全員100の持ち点から始める。

 

警察によれば、2016年に最も模範的だった市民は、献血を1リットル、500時間以上のボランティアを行って、最高の134ポイントを獲得したという。

 

ポイント数に応じて、公共交通機関の割引や病院で優先的に診察してもらえるなどの特典が与えられる。

 

蘇州当局は、次の段階として、運賃のごまかしやレストランの予約の無断キャンセル、ゲームの不正行為といった軽犯罪に対してもこのシステムを拡大し、市民を処罰する可能性があると警告した。

 

中国の電子商取引企業も顧客の人物像を把握するために、顔認証などの高度な技術を使って、似たような試験プログラムを実施している。政府は、社会信用システムの開発にむけて民間企業8社にライセンス供与している。

 

中国最大手IT企業・アリババ系列の芝麻信用(セサミ・クレジット)は、ユーザーの契約上の義務を達成する能力や信用履歴、個人の性格、行動や嗜好、対人関係という5つの指標に基づいて、350から950の信用スコアを割り当てている。

 

個人の買い物の習慣や友人関係、自分の時間を過ごす方法などもスコアに影響を与える。「たとえば、10時間ビデオゲームをプレイする人は、怠け者とみなされる」と、セサミ・クレジットのテクノロジーディレクターであるリ・インユンは言う。「おむつを頻繁に購入する人は親とみなされる。親は概して責任感がある可能性が高い」

 

同社はそうした数値を計算するための複雑なアルゴリズムを明らかにすることを拒否しているが、既にこのシステムに登録された参加者は数百万にのぼる。セサミ・クレジットはウェブサイトで、公的機関とのデータ共有はしていないと主張している。

 

中国政府がこの試験的構想から全国統一のシステムを作り出し、計画どおりに実施するなら、中国共産党はすべての国民の行動を監視し、方向付けることができるようになる。

 

言い換えれば、習は完全な「社会・政治的統制」の力を握るだろうと、中国研究機関メルカトル・チャイナ・スタディーズのサマンサ・ホフマンは本誌に語った。

「このシステムの第一の目的は、党の力を維持することだ」【201852日 Newsweek

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【政府が人民を監視によって無理やり従わせるというより、「親心」を示すことによって緩やかに管理しよう、というやり方との指摘も】

一方で、日本を含めたどんな国でもデジタル化によってデータが取得され活用されるようになれば、中国の社会信用システムとの間にはそんなに距離はない。中国だけを上記のような「監視社会」として批判するのはあたらないとの指摘もあります。

 

****日本人が知らない監視社会のプラス面――『幸福な監視国家・中国』著者に聞く****

<中国の監視社会化に関するネガティブな報道が相次いでいるが、「ミスリード」であり「誤解」だと、梶谷懐と高口康太は言う。「幸福な監視国家」は「中国だけの話ではなく、私たちの未来」とは、一体どういう意味か>

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万人超を収容していると伝えられる新疆ウイグル自治区の再教育キャンプ、街中に張り巡らされた監視カメラ網、政府批判の書き込みが消され風刺漫画家が逮捕されるネット検閲、さらにはデジタル技術を生かした「社会信用システム」の構築など、中国の監視社会化に関するニュースが次々と報じられている。

ジョージ・オーウェルのディストピア小説『一九八四年』さながらの状況に思えるが、かの国はいったい何を目指しているのか。このたび新刊『幸福な監視国家・中国』(NHK出版新書)を共著で出版した梶谷懐(神戸大学大学院経済学研究科教授、専門は中国経済)、高口康太(ジャーナリスト)に聞いた。

――中国の監視社会化に関する報道が相次いでいる。中国共産党は自らの権力基盤を不安に感じ、独裁体制を強化しているのか。

高口 日本のみならず各国の報道では、少数民族弾圧から監視カメラ網まで、その手のニュースはすべて監視社会化、独裁体制強化の手段としてひとくくりに報じられていますが、これはミスリードでしょう。

再教育キャンプなどの少数民族弾圧や人権派弁護士逮捕、ウェブ検閲など、"昔ながらの"体制維持の取り組みが強化されている一方で、統治の問題よりも経済や市民の生活向上に焦点を当てた、新しい監視が中国では普及しつつあります。

その代表例が社会信用システムです。「信用スコアが下がった中国人は飛行機に乗ることすら許可されなくなる。内心まで縛る、恐るべき監視システム」といった誤解が広がっていますが、実態はそうではありません。

信用という言葉には「相手を間違いないとして受け入れること」のほか、「評判」「貸し付け限度額」など多義的な意味がありますが、中国の社会信用システムもまた言葉通りに多様な内容を持ちます。

制度建設のガイドラインにあたる「社会信用システム建設計画綱要(20142020年)」(中国国務院が2014年に発表した公文書)や、2000年代初頭から始まった社会信用システム関連の法律制度を分析すると、その主な対象が金融、ビジネス、道徳の3分野であることが分かります。

金融面では、金融サービスを享受できる人・企業の数をどれだけ増やすか、特に農民などクレジットヒストリー(融資の返済履歴などの金融関連の個人情報)を持たない人々に対する融資をいかに評価するかが課題とされています。

――ビジネス面ではどのような取り組みがあるのか。

高口 ビジネス面では、不正を働いた人や企業の"やり逃げ"をいかに抑止するかが課題となりました。中国は広いので、焼き畑農業的にある地域、ある業種でやらかした人間が、別の場所でそしらぬ顔をして不正を繰り返すということが横行しています。

不正を取り締まる法律はありますが、証拠を集めて、訴えて、裁判して......というのはともかくコストがかかる。不正を働いた人・企業の情報を集めてブラックリストで公開するのが、ビジネス面での最大の柱です。

日本でも、不正を働いた弁護士や行政書士が懲戒処分を受けるとその名前は公開されますし、消費者庁による問題ある企業の実名公開もあります。これらはすべて中国では社会信用システムに含まれるものなのです。

日本や米国など先進国の法律制度を研究して政府が導入したのですが、今の時代に合わせてデジタル化が進められている点が異なります。すべての国民・企業に付与された「統一信用コード」によって、複数のブラックリスト・データベースを貫き検索できる。ブラックリスト・データベースと連携して、飛行機のチケットを発券しないといった処罰を与えられるようになっているわけです。

今やデジタル化、デジタルトランスフォーメーション(進化し続けるデジタル技術が人々の生活を豊かにしていくという概念)は世界の趨勢です。そしてデジタル化が進めば、大量のデータが記録され活用可能なものとなります。データを有効活用すれば、それだけ効率は上がる。その試みを世界に先駆けて進めているのが中国でしょう。

――では、道徳ではどのような取り組みが行われているのか。国家による道徳心への干渉となると、監視国家そのものにも思えるが。

高口 道徳面の社会信用システムは啓蒙、宣伝の強化が一般的です。ゴミのポイ捨てはやめましょう、高齢者は大事にしましょうといったポスターを張り出したり、新聞やテレビで啓蒙番組を流したり......

注目すべき動きは、地方政府による信用スコアの導入です。信用スコアというと、アリババグループの芝麻信用(セサミクレジット)が有名ですが、こちらはあくまで民間企業が提供する返済能力や契約履行意志を点数化したツールです。芝麻信用とは別に、政府が住民の「信用」を点数化する取り組みが一部の都市で試行されています。

「献血をしたらプラス何点」「人助けをしたらプラス何点」「交通違反でマイナス何点」といった形で、各住民にスコアを付ける。そして、高い点数の人にはちょっとした特典を与え、点数が低いとちょっとした制限をかけることで、良きふるまいを促そうというものです。

「パターナリスティックな功利主義」で説明できる
――なるほど。それでも日本人の感覚からすると、過干渉と言えるかもしれない。そもそも、なぜ政府が国民の道徳心を高めようとするのか。

梶谷 「パターナリスティックな功利主義」という言葉で説明できるでしょう。

パターナリズムとは「温情主義」「父権主義」と訳されますが、上位者が下位者の意思に関わらず、よかれと思って介入することを是とする態度です。功利主義とはある行為の善し悪しは、それが結果的に社会全体の幸福量を増やすことができるかどうかによって決まる、という考え方です。

両者が結合すると、ゴミの分別を守ることであれ、交通ルールを守ることであれ、政府が人民に対して「こうすればあなたも他のみんなもハッピーでしょ?」という選択肢を提示して、それに従う者には何らかの金銭的見返りを与える、人民のほうもそれに自発的に従う、という状況が生まれます。

政府が人民を監視によって無理やり従わせるというより、「親心」を示すことによって緩やかに管理しよう、というやり方だと言えるでしょう。

――国民の同意が必要な民主主義国とは異質な、中国だからこその試みに思える。

高口 果たしてそうでしょうか。日本には「監視社会は恐ろしい、プライバシーの流出は危険です」という論考はあふれています。一方で「デジタル化は社会の必然だ、便利になる、経済成長につながる」という議論も多い。

ただ、デジタル化によってデータが取得され活用されるようになれば、中国の社会信用システムとの間にはそんなに距離はありません。

その意味で「幸福な監視国家」とは中国だけの話ではありません。恐ろしい異国の話ではなく、私たちの未来の話だと考えています。

梶谷 「監視社会は嫌だ」という立場と「デジタル化で徹底的に利便性の追求を」という立場は対立しているように見えて、実は"慣れ"の問題として捉えられる部分もあると考えています。

監視につながる新しいテクノロジーが登場すると、なんとなく気持ち悪いからと反発する世論が一時的に盛り上がるが、結局利便性が高いため広がっていき、最初は反発していた人たちもそれに"慣れ"ていく。

Suica
などの交通系ICカードや防犯カメラなどがそうだったように、これまで日本社会でも繰り返されてきた歴史です。

そう考えれば、今は異形に見える中国の監視社会が、気が付けば日本でも当たり前になることは十分にあるのではないでしょうか。

梶谷 先日、大学のデジタル出欠確認システムに関するニュースがありました。出欠や成績から退学候補者を洗い出し、事前に面談などのケアを行うというものです。

ツイッターやフェイスブックの書き込み情報を結合させれば、退学候補者の予測精度はより向上するかもしれません。あるいは中国ではすでに一部で導入されているように、授業中の表情解析によってどれだけ集中できているかという情報を加味することも考えられます。

今すぐ日本で導入することには抵抗が強いでしょうが、もしこの取り組みで退学者を激減させられるとしたら、私たちはそれでも拒むのかが問われているのです。

また、これも先日話題となった(就職情報サイト)リクナビの内定辞退率予測については、学生側にメリットが見いだせず、またリクナビは学生に情報を提供させつつ不利益を与える利益相反の立場にあった、データ活用の方法を具体的に伝えていなかったなどの瑕疵(かし)があり、厳しい批判を受けました。

ただ、将来的にはこうした問題をクリアするような内定辞退率予測システムも登場するかもしれません。例えば、学生がデータを提供することによって、言葉以上の重みで「貴社こそが私の本命企業だ」と伝えられるのであれば、一定のメリットを持つでしょう。

もし「デジタル化=監視社会化」の流れが続くとしても、これまでのようにただなし崩し的に"慣れ"ることで導入を認めていくことがいいのか、というのが、もう一つの問題です。導入にあたって市民社会によるチェックを有効に働かせる方法はないものか、この点についても著書では検討しています。プライバシーか利便性かの二者択一ではないデジタル化=監視社会化の議論が今、求められているのです。【819日 Newsweek

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【大半の人が知らないうちにブラックリストに入れられてしまう その基準も不明瞭】

「パターナリスティックな功利主義」、“政府が人民を監視によって無理やり従わせるというより、「親心」を示すことによって緩やかに管理しよう、というやり方”・・・・どうでしょうか? 個人的にはやはり不安感がぬぐえません。

 

****知らぬ間にブラックリストに…社会信用制度に懸念の声 中国****

無責任な犬の飼い主は処罰され、反体制派はブラックリストに登録される──中国の社会信用制度は、「どのような行動が望ましく、望ましくないか」を当局が定義するもので、前例のない規模の市民生活管理を可能にするとの警戒の声が上がっている。

 

中国国務院が2020年までに全国的な導入を目指している社会信用制度の狙いは、報奨と懲罰の抑止力を通じて国民の品行を標準化し、社会全体で個人の行動を効率的に査定することにある。

 

反体制派の作家、野渡氏は、「これは社会を全体主義的に管理する新手の方法で、全員の生活の何もかもがこれまでに例がないほど監視されることになる」と警告する。

 

だが、これまでのところ制度に統一性はなく、行動の善悪という「信用度」の尺度は市町村ごとに異なり、報奨や処罰の対象も一定ではないと、専門家らは指摘する。

 

北京の場合、信用度が高い市民は政府の仕事を確保できる可能性が高まり、子どもを公立の幼稚園に入れる際にも有利となる。一方、河北省秦皇島の報奨は、「模範的な市民証明書」の発行と年1回の無料健康診断だ。

 

米エール大学の中国法専門家ジェレミー・ダウム氏は次のように述べている。「社会信用制度は、全くもって信用スコアとはいえない。実際は曖昧な概念で、さまざまな規制を網羅している。記録することで人はより正直に行動し、不正行為が減るというのが唯一の共通した特徴だ」

 

中国社会信用情報センターによると、当局は2018年、社会信用度が低い数百万人に対して飛行機や鉄道の利用を禁止した。

 

規制対象となった一人に中国人女優ミシェル・イェさんがいる。イェさんは3月、当時付き合っていた男性に対する名誉毀損(きそん)で有罪とされ、裁判所命令に従わなかったとして飛行機の利用を制限された。

 

■企業に適用の可能性
だが、社会信用制度に抵触した場合の処罰について明確な規則はなく、個人の格付けを調べる簡単な方法も存在しない。

 

国家行政学院で公共管理を教える竹立家教授は、「現在、中国で進められている社会信用実験の大きな問題は、大半の人が知らないうちにブラックリストに入れられてしまうことだ」と指摘する。「何をすればブラックリスト入りになるのかについてもかなりの混乱が生じている」(中略)

 

当局は、社会信用制度は市民の法的権利を侵害するものではなく、学校や病院などの公的サービスの利用にも影響はないと躍起になって説明している。

 

だが、人権活動家らは、社会信用制度が中国の大規模な監視制度と併用されると、反体制派の口を封じる武器になる恐れがあると警告する。また、収集されている個人情報や企業情報の詳細や保管期間も明らかにされていないため、プライバシーに対する懸念も広がっている。

 

英情報調査会社IHSマークイットによると、中国で路上や建物、公共の場所に設置されている監視カメラは、2016年で約17600万台に上る。一方、米国では5000万台だった。さらに2022年までに、その数は276000万台に達するとみられている。

 

中国政府は年内に企業に対する社会信用制度を全国的に導入する計画を進めている。これにより、国内外の企業は敷地内への監視カメラの設置と、政府へのデータ提供を求められる可能性がある。 【96日 AFP】

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中国 桂林・張家界観光 変わる中国 「双魚」と「おひとりさま」レストラン

2019-07-29 15:22:34 | 中国

(中国・広州の天環広場 上空からの画像 【728日 レコードチャイナ】)


【双魚】

現在、中国・広州の空港で帰国便のフライトを待っています。

 

広州は人口1270万人の大都会ですが、その広州に関して、面白い記事を昨夜目にしました。

 

****まるで泳ぐ2匹のコイ!上空から見た天環広場―広東省広州市****

天環広場は広東省広州市の中軸線上に位置し、天河体育センターの隣にある。上空から見ると天環広場全体の地上建築物はまるで2匹のコイが泳いでいるような形をしている。中国新聞網が伝えた。

建物の屋上部分は銀色の網状鉄骨構造で覆われており、魚の鱗を彷彿とさせる。魚の形の建物の外壁は透明なガラスのカーテンウォールとなっており、巨大な「開放型ショッピングパーク」となっている。【728日 レコードチャイナ】

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上空からの写真を見ると、まさしく二匹のコイです。

建物自体は20163月のオープンとのことのようです。

 

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空間構成の先端をゆく個性的なデザインで、モール全体を俯瞰すると、巨大な二尾の魚が天河を飛び跳ねているように見える。

 

建物の外殻である網状構造物が魚の形にデザインされているためで、二尾は頭と尾で互いにつながっているような構造になっている。

 

中国では「双魚」が富と繁栄を象徴する縁起物とされており、それを広州の新しい中軸線上に配置することで、「如魚得水」(水を得た魚)、広州がますます繁栄するようにとの願いが込められている。

 

限られた空間を有効活用する面でも、双魚のフォルムは実用的で、店舗面積をより多く確保できるようになっている。【201654日 PPW
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デザイン的な趣味の良し悪しは別にして、中国で奇抜さを競うような建築物が多々あることは周知のところですが、この「双魚」は随分とましな部類ではないでしょうか。

 

いずれにしても、こうした大きな目新しいもの、人目を引くものを作ってしまうあたりに、中国の”勢い“を感じた次第です。

 

【「おひとりさま」レストラン】

中国も経済的成長に伴って、若者を中心に、ものごとに対する考え方も日本とも共通する部分も目立つような社会に変化しつつあるようです。

 

****中国でも「おひとりさま」レストランが増加、寂しさより自由を重視****

パーティションで区切られた小さなこだわりのスペースに、お碗と箸、小さめのお玉が並べられている。これが今増えている「おひとりさま」レストランでよく見られるレイアウトとテーブルセッティングだ。

 

草の編み細工のクッション、バラの花、レストラン専属歌手のパフォーマンス、かわいらしい陶磁器の人形など、シンプルで温かみのある内装の店内でさまざまなグルメも食べられるこうしたレストランでは、1人でもまったく決まりの悪い思いをしなくてすむ。中国新聞網が伝えた。

先日、武漢のある「おひとりさま」レストランを取材したところ、この日本風の鍋料理店では、レストランを「島区」、「隠区」、「尋区」、「無界」の四つのエリアに分けている。

 

そのうち、「おひとりさま」エリアは主に「尋区」にある。計12席で、どの座席の前にもすだれが取り付けられており、店員は出来上がった料理を運んでくると直接すだれを上げて料理を出す。

入店から着席、注文と、ほんの少し待つだけで、お気に入りの料理が目の前に届く。すだれを下ろせば完全に自分だけのプライベートな食事空間だ。食べている格好を気にすることもなく、周りの客が投げてよこす奇異なものを見るような視線もお構いなしに、静かに「一人ごはん」を楽しめる。

郝菁さん(40)は、カナダで17年間飲食業に従事していた。20185月、郝さんは2人の共同経営者とともに、武漢に「おひとりさま」をコンセプトにしたレストランを開いた。

開店の動機について郝さんは、「食事をする時には何人か連れ立って行くものだったが、社会の発展に伴い、独身層が徐々に増えてきた。

 

ただ、大勢でにぎやかにしているのと比べると、外で1人で食事をするのはどうしても孤独だと見られてしまう。それで孤独な人に静かな場所を提供しようと思った」と語る。

郝さんは、「『おひとりさま』の食事を体験しに来る客は若者がメイン。ほとんどの人にとって『おひとりさま』はまだ物珍しく、受け入れられるまで一定の時間が必要だ」と説明する。

 

郝さんによると、レストランは経営面で試練に直面したこともあり、対応策として調整も行ったという。しかし郝さんは、「時間がたつにつれて、『おひとりさま』の受容度は次第に上がっていくだろう。一番重要なのは品質とサービスをしっかりやることだ」と語った。

韓笑さん(23)は東北出身で、武漢で学校に通い、就職して6年がたつ。「おひとりさま」レストランの常連で、1カ月に少なくとも6-7回来店するという。

 

韓さんは、「鍋料理や麻辣燙(ピリ辛風味の煮込み料理)が好き。でも彼氏とは遠距離恋愛だし、周りには友達も少ないので、鍋を食べたくても一緒に食べてくれる人がなかなかいない。1人で鍋料理の店に行って近くににぎやかなグループ客がいたら、決まりが悪いし、落ち込んでしまう」と言う。

 

「おひとりさま」用のミニサイズの鍋料理はちょうど韓さんのニーズにぴったりだった。どの具材も食べたい彼女にとっては、少な目の量なので無駄にする心配もない。

王楽さん(34)は、企業の広報プランニングを担当するワーキングマザー。勤務中は顧客対応と仕事で忙しく、ハードワークと頻繁な出張のために、時間通りに食事ができないこともしばしばだ。

 

仕事が終わって帰宅すれば全身全霊を子供に注がなければならず、王さんは自分の生活がすべて仕事と育児に「しばりつけられている」ようだと感じている。

 

王さんは、「毎日の食事時間は貴重な休息の時間。静かにスマホを見たり、ぼんやりしたりできる。『おひとりさま』レストランでは料理を食べるのは二の次、短い時間だけれど、煩わしい生活から離れて、頭を空っぽにしてぼんやりできることのほうが大切」と話していた。【728日 レコードチャイナ】

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生活の単位が、共同体→大家族→核家族→個人と次第に小さくなっていくのは、生産性の向上、利便性の向上に伴う日本・中国を含むすべての社会に共通する必然の方向性だと思いますが、ワイワイ騒がしい中国人と「おひとりさま」というのは似つかわしくなく、変われば変わるものだ・・・との感も。

 

個人的には、毎回一人で旅行していますので「おひとりさま」スタイルの拡大は大歓迎ですが、それと同時に、中国の料理の量も「おひとりさま」的に考慮してもらうと助かります。

 

大勢で一緒に食べることを前提にしているせいか、中国で料理を頼むと、おおきな皿に山盛りされた形で出てきます。

 

とても一人では食べきれない量で、残す分が無駄にもなりますし、いくつかの料理を頼むことも難しくなります。

 

今回のようにガイド氏、ドライバーが同行している場合は、都合のいい中国料理のスタイルですが、夜一人で食事するときなどは困ります。

 

なお、余った料理をもったいないのでパックに入れて持ち帰るといったことは、メンツ重視の中国ではあまりないのかと思っていましたが、張家界のレストランで食事して男性が、そうした持ち帰りを店員に頼んでいましたので、中国でもやっているようです。

 

【ハンドマイク解説のグループガイド】

ワイワイ楽しみながら食事するのはいいとして、観光地でワイワイ騒々しいのは困りものです。

 

中国の街は昔に比べるととてもきれいになりました。トイレ事情も格段に改善されています。

外国人として、もうひとつ改善を期待するとしたら、観光地で団体客を率いるガイドが拡声器を使用しており実に騒々しいことです。

 

もっとも、騒々しいと感じるのは日本人だけではないようで、中国人ガイド氏の話では拡声器使用を規制する方向にはあるとか。(詳しい話は忘れましたが)

 

あと数年もすれば、「おひとりさま」レストランで適量の中国料理を楽しみ、静かな観光スポットを見学できる・・・・ようになるのでしょう。

 

といったことを書いているうちに関西空港に着きました。

ただ、関空で5時間待ち・・・まだ先は長いです。

 

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中国 桂林・張家界観光 ロープーウェイ乗り場で従順に待つ人々を見て思うこと

2019-07-27 21:43:55 | 中国

(張家界のロープーウェイ乗り場で順番を待つ人々 写真に写っているのは、長蛇の列のほんの一部です。)

 

【中国ショーにおける伝統文化】

現在、中国南部を旅行中です。

一昨日の寝台列車で桂林から移動し、昨日・今日は映画「アバター」の舞台とされる張家界を観光しています。

 

昨日、例によって夜に少数民族文化をモチーフにしたショーが開催されているということで、「まあ、せっかくここまで来たのだから、ホテルの部屋でパソコンをいじっているよりよかろう」と思って、鑑賞してきました。

 

結果は、“銭失い”でした。

東南アジア各地に伝統芸能を外国観光客に見せるエンタテイメントはあります。カンボジアのアプサラダンスや、インドネシア・バリ島のガムラン演奏やバロンダンス等々。

 

それらはもちろん、観光客用にアレンジさえていますが、程度の差はあれ、一応、伝統文化のスタイルは維持されています。

 

しかし、中国で「少数民族のショー」と言うと、要するに少数民族風の衣装を着用した出演者が繰り広げる、創作ダンス、雑技、コント、ファッションショーの類です。

 

そこには、微塵も少数民族固有の文化は存在しません。

 

改めてそのことを確認したショーでした。

漢族から見た少数民族世界・・・という問題は、陽朔の超大型ショー見学の際にも書きましたので、今回はパス。

 

それ以外に、今回目に付いたのは、外国人用にスクリーンに解説が表示もされるのですが、それが英語・ハングル・ベトナム語で、日本語はないという点。

 

数年前に見たショーでも同様でした。

これは単に、日本人観光客の数が少ないということの現れなのか、それとも、日本語を表示することに躊躇するものが中国側にあるのか・・・・そのあたりはわかりません。

 

【良い席目指して我先にと殺到する人々】

ショーは最初屋内で1時間ほど行われ、その後に劇場前の屋外にステージを移動して行われる形。

屋内は指定席ですが、屋外は自由席。

 

そうなると、屋内ショー終了時点で、屋外ステージのいい席を確保したいという観客が殺到するだろう・・・・ということは容易に想定できます。

 

実際、そのような展開になりましたが、別にこれを嗤うつもりもありません。

私も、本音ではいい席が欲しいとは思っていますが、ただ、我先にと殺到するのは見苦しいという意識で抑制しているだけです。

 

よく中国人はメンツを重視すると言われますが、いい席を求めて殺到するような見苦しいまねはしたくないというのは、一種の日本人のメンツでしょう。

 

何に対してメンツを考えるかの違いです。

 

【ロープーウェイ乗り場の順番待ちで異様に従順な人々】

いずれにしても、我先にいい席に殺到するように、中国の人は自分の利益を確保することに躊躇がありませんが、その一方で、日本人からすると異様に従順というか、長いものに巻かれるようなところも。

 

今日、観光中にロープーウェイの順番待ちで長蛇の列ができていました。

 

中国の観光地は、今や大勢の中国人民が押し寄せていますので、バス乗り場等でこうした長蛇の列ができることは、ごく普通のことです。

 

そうした状況に対応して、文字通りのピストン輸送が行われますので、長蛇の列とは言いつつも、10分、15分待てば乗り込むことも可能です。

(もっとも、一昨日は気温37℃ そんな状況で大勢の人ごみのなかで順番を待つのはとても大変。そのせいもあって昨夜から風邪気味で体調を崩しています)

 

でもって、今日のロープーウェイ順番待ちの列ですが、これがまったく動きません。

20分ほども止まったまま。

 

先頭で様子を見ているガイド氏に電話して確認したところ、「点検作業が実施されている」とのこと。

 

どういう理由で点検作業が行われたのか知りませんし、安全のために必要なことであればやむを得ないことです。

 

でも、暑い中を並んでいる者の本音としては「こんなときに点検なんかするなよ!やるなら営業時間外にやれよ!」というのが本音。

 

この間、どういう理由でストップしているのかの説明もありません。

 

でも不思議なぐらい中国人民は文句も言わず、並び続けています。

日本なら「どうなっているの? あとどのくらいかかるの? 早くしてよ!」といった苛立ちの声が上がるところです。

 

あとで、そのあたりをガイド氏に聞くと、「中国ではこういうことはよくあることなので、誰も文句を言いません」とのこと。

 

大げさに言えば、中国4千年の歴史のなかで培われた、権力に逆らわずに暮らすことが生き延びるために不可欠であるという、長いものに巻かれやすい意識でしょうか。

 

歴代王朝を引き継ぐ中国共産党支配に対しても、政府や当局・金持ちのやることに文句を言っても自分が損するだけだ・・・という意識でしょうか。

 

人民レベルで他人の足を引っぱってでも自分の利益を目指すという風潮と、「お上」のやることに従順な風潮が対照的ということで興味深い光景でした。(結局、ロープーウェイに乗るまでに50分かかりました)

 

もっとも、中国では土地強制収用などを巡って、超頻繁に住民抗議が起きており、ときに暴力沙汰になることも珍しくありません。

 

おとなしく文句も言わず順番を待つ人民と、頻発する過激な抗議行動・・・・これがどう関係するのかは知りません。

従順に従っているように見えても不満が鬱積しており、抗議行動を主導するような核になる存在があれば、その不満が一気に噴出するということでしょうか。

 

*****共産党の会議会場で爆発、幹部ら20人けが 中国・四川*****

中国内陸部・四川省綿陽市石馬鎮で26日、住宅地にあるビル1階で爆発が起きた。中国メディアによると、現場のビルでは当時、地元の共産党幹部が会議を開いており、20人が重軽傷を負った。警察は容疑者の男を拘束したという。

 

共産党四川省委員会の機関紙、四川日報などによると、爆発は26日午前11時50分(日本時間同日午後0時50分)ごろに発生した。

 

この地区では再開発事業に関連した住民の強制立ち退きが進められており、爆発があったビルには事業の拠点事務所が入居。党幹部らは立ち退き絡みの会議を開いていたとみられる。

 

これまでも、立ち退きに反対する住民らによる暴力事件が起きていたという。【727日 朝日】

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そういうことであれば、習近平国家主席もおちおち枕を高くして寝ることはできないかも。

そのあたりが、共産党が体制維持のための取り組みに躍起になる所以かも。

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中国 桂林・張家界観光 当然ながら、感じの良い人も、悪い人も

2019-07-26 23:37:50 | 中国

(「八角寨」の低い位置にある展望所からの眺め 頂上からはまた景観も変わります)

 

【日中文化 似ているようで違いも】

日本と中国 共通の文化も多く、漢字もそのひとつですが、当然両国間では差異も。

そんな微妙な関係が「誤解」を生んだとか。

 

****「京アニ」火災、中国から寄せられた声 「加油」めぐりすれ違いも*****

「京都アニメーション」の第1スタジオ(京都市伏見区)で起きた火災は、中国でも注目され、ネット上では「眼涙止不住(涙が止まりません)」、「不要再有人去世了(これ以上の犠牲者を出てほしくない)」など多くのコメントが集まっています。一方、中国語で励ましを意味する「加油」を巡っては、ちょっとしたすれ違いも……。(中略)

 

「お祈りには国境はない。平安を祈ります」

事件は、CCTV(中国中央テレビ局)が報道したほか、中国版ツイッター微博(weibo)をはじめとしたSNSや、動画サイトでまたたくまに広がりました。

微博では「#日本京都動画発生爆炸」のハッシュタグがついた記事は7000万近いページビューを集めており、コメントなどをしたユーザーは12千人を超えています。犠牲者が33人に上ったニュースに対しても、1万以上のコメントが集まりました。

京アニのファンだけではない、多くのユーザーがコメントをしており、「這是恐怖襲撃(放火事件はまさにテロ事件)」といった声も多く寄せられています。(中略)


そして、こんな言葉も。
「祈禱不分国界!願平安(お祈りには国境はない。平安を祈ります)」

 

「加油」をめぐるちょっとしたすれ違い

京アニへの中国からの励ましについては、ちょっとしたすれ違いも起きました。

中国語で、「頑張れ」を表す際には、「加油」(ジャーユー)といいます。語源について諸説ありますが、清王朝の時代、科挙試験に参加する受験生を励ますため、受験生らに照明用の灯に油を加えた学者がいたことから、「加油」が使われるようになったとも言われています。

一方、今回は火災事件なので、「加油」を「油を加えよう」と受け止めてしまう日本人もいたようです。

漢字が共通しているからこそ起きたトラブルに気づいた人の中には、ツイッターなどで「加油」の中国語の意味を日本語で説明するアカウントも生まれています。

「『加油』という単語に対して、いくらどう思っても『頑張って』の意味しかない。どんな事件があっても中国人は善意を持って『加油』で被害者に応援します」(後略)【720日 withnews

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中国語コメントに目をとおす日本人なら、「加油」の意味は当然に知っているはずで、「本当かね・・・」という感もありますが、まあ、大きく「加油」と書いてあったものが、中国語を全く知らない日本人の目に触れたということでしょうか。

 

【ロープーウェイに、人生を考える】

現在、中国を観光中で、昨夜の寝台列車で桂林から張家界に移動しました。

 

昨日は桂林方面での最後の観光ということで、世界遺産「八角寨」(818m)に登ってきました。往復で約3時間、気温はおそらく三十数度、普段体を全く動かさない虚弱体質高齢者にはきつかったですが、なんとか山頂までたどり着きました。

 

八角寨がどういう場所かは本旨ではないので省略します。

写真のような、奇妙な形(桂林でよく食べられるタニシみたいに見えます)の山々が見られるところです。

 

前述のように結構苦労して登ったのですが、この山は桂林がある広西チワン族自治区と湖南省の境にあって、私が登った反対側、湖南省側からはロープーウェイで頂上付近まで上がれます。

 

楽したい私も「じゃ、湖南省側に回ってロープーウェイで」という話をガイド氏に相談したのですが、回り込むには相当に時間がかかることと、省をまたいだ営業はなんだか不都合があるみたい(詳しい事情はわかりません)で却下。

 

山道を登る間は人も少ないのですが、頂上にはロープーウェイでやってきた大勢の観光客が。

 

湖南省側に伸びるロープーウェイを複雑な思いで眺めていました。

 

考えてみれば、今回「八角寨」だけでなく、人生の多くの場面で、苦労して実現したのに、別の楽な方法で達成したが大勢・・・・という場面はよくあることです。

 

これを「骨折り損」「要領が悪い」と考えるか、それとも苦労することに何らかの意味をもたせるか・・・・見解も多々あるでしょう。

 

中国の山奥で、そんな人生について(ちょっとだけ)考えた次第です。

 

【非常に面倒・厄介だった乗り換え なかには感じの悪い駅員も】

「八角寨」を下りてから、いったん桂林にもどり、桂林から三江まで高速鉄道、三江から在来線の寝台列車で張家界に移動しました。(この移動は、基本、一人です)

 

と言えば簡単そうですが、この乗り換えが結構面倒。

 

高速鉄道の三江の駅と在来線の三江の駅はかなり離れています。

その移動もさることながら、在来線三江で、どういう形で待てばいいのかも不安だったので、移動を補助する現地の方を手配してもらい、その方の車で移動。

 

行けども行けども在来線三江駅にはつきません。

もし、一人でタクシー移動していたら、「どこに連れていかれているのだろうか?」とパニックになったことでしょう。

 

3040分ほどかかったでしょうか、ようやく到着。

 でも駅舎には鍵がかかっており入れません。

どうやら、この駅に停車する列車は数本しかないので、列車が来る時間だけ駅員がやってきて業務をするようです。

 

それまで駅舎の外にある待合場所で待つことになります。

 

以上のような事情を理解するのに、中国語しか話さない現地の方との間で、いろんなやり取りがありましたが、なんとか了解。とても感じのいい方でした。

 

このあたりも、一人でやってきていたら途方にくれたところです。

 

待ち時間が3時間以上ありましたので、外の椅子で蚊と戦いながら、眠気とも戦いながら待ちます。

 

2時間後ぐらいに駅員が数名やってきて業務開始。

 

中国は乗車前に荷物のセキュリティー検査や、身分証確認がありますが、この三江駅の係員がまた横柄な感じ。

中国語で何だか言っていますが、どうやらパスポートのことのようです。

 

中国人の多くがまったく英語を解さないことは今も昔も変わりませんが、身分確認の担当官なんだから「パスポート」という単語ぐらい覚えておけよ・・・とも。

 

もっとも、あえて「パスポート」という英語を使用しなかったのかも。「ここは中国なんだから、外国人が中国語を理解するのが筋だ」ということでしょうか。そんな底意地の悪い横柄さを感じさせる駅員でした。

 

もちろん、全員がそういう訳ではなく(むしろごく少数でしょうが)、たまたまの個人的資質の問題です。

三江でも、親切に乗車位置を教えてくれた駅員もいました。

 

普段は眠れない寝台列車ですが、「八角寨」で疲れていたので、よく眠れました。

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中国 桂林・張家界観光 現金払いは? 「北京ビキニ」は恥ずかしい トイレ事情など

2019-07-25 00:19:25 | 中国

(陽朔の電動カート乗り場 現金払い窓口も)

【中国で現金払いは?】

21日(日曜日)から中国を観光旅行中です。

今回は、桂林・張家界方面。

 

昨日(23日)はチワン族が多いエリアの「龍脊棚田」を、今日はトン族の美しい木造建築(風雨橋、鼓楼など)が見られる三江の「程陽八寨景区」を観光しました。

その詳細は旅行記サイトにアップするとして、旅行中に感じたことをいくつか。

 

周知のように、中国ではスマホでの決済が一般化して、現金を持ち歩かない習慣もできつつあるとのこと。

 

現金しか使えない外国人は迷惑がられるのだろうか・・・・との不安もありましたが、別に現金で支払っても支障はないようです。

 

駅のお店で見ていると、現金払いの人も若干名はいるようです。(ざっとの感じでは10人に一人・・・・といったところでしょうか)

 

冒頭写真は、漓江下りの到着地・陽朔での電動カート乗り場の様子ですが、手前のスマホ決裁窓口の隣には現金払い窓口もあって、そちらも混雑していました。(実際に現金で支払っているのか知りませんが)

 

便利だと、中国人が大得意のスマホ決裁ですが、確かに、使う方はポイントなどもたまるし、集まったデータは貴重な資源ともなりますので、やがては日本でも普及するのでしょう。

 

もっとも、私などは財布を持たず、ズボンのポケットに現金を入れている人間ですので、スマホ決裁より現金での支払いの方がずっと簡便のようにも思うのですが。

 

中国でも、スマホ決裁に慣れていない人は結構いるようで、中年・高齢女性がレジでスマホのアプリを立ち上げようとしてモタモタしている場面も時折見かけました。(現金でも、非常に時間を要するおばちゃんや高齢者が大勢いますので、その点では同じですかね)

 

【「北京ビキニ」は恥ずかしいという意識も】

最近、上海のゴミ分別開始と同じころに話題になった「北京ビキニ」禁止の動き。

 

****風物詩「北京ビキニ」で物議 女性のオシャレに飛び火****

中国・北京市内の公園には、作業員の男性のように、おなかを出して休んでいる人が大勢いた。

中国では、ほぼ当たり前とされてきた、暑さ対策のための上半身の露出。

誰が呼んだか、「北京ビキニ」。

 

これが今、問題となっている。

(中略)恥ずかしいとは思っていないようで、夏の最高気温が40度近くに達することもある中国では、昔から存在する納涼スタイル。

 

水着のビキニと似ていることから、「北京ビキニ」とも呼ばれる夏の風物詩なのだが...

 

街では、「すごく非文明的だと思います。年齢問わず、街の景観に悪い影響がありますよ」、「もっと意識を持つべきです。マナーに気をつけないと。このままじゃダメでしょう」などの声が聞かれた。

 

「腹出しスタイル」は、文明的ではないとして、条例によって規制する動きが拡大。

北京に近い天津市は、公共の場で上半身裸になることなどを禁止する条例を施行。

もし、警察の改善命令に従わなければ、日本円で最高3,200円の罰金が科される。

 

さらに7月に入ると、山東省の済南市が、過度な露出の改善に取り組むよう、関係機関に通知。

条例には、公共の場で北京ビキニや上半身裸などをやめない違反者の実名を公表することも盛り込まれている。

 

公園で本を読む北京ビキニの男性に話を聞いた。

男性「規制に反対はしないよ。直せと言われたら直すけど、時々、暑くてしょうがないんだもん」

暑さしのぎの「知恵」として定着する北京ビキニの規制をめぐっては、インターネット上で、「行き過ぎた規制」、「エアコンを使うより環境に優しい」などと反対意見も噴出している。

 

その結果...

ウェイボより「ちょっと矛盾してる。女性は見せていいけど、男性はダメだなんて」

論争は、女性のへそ出しファッションに飛び火。

 

確かに似ていなくはないが、当然、「女性のへそ出しは、服のデザインが関係してるかもしれないけど、おじさんのへそ出しは、少し非文化的よ」、「“美しい”と“見苦しい”は違います。男性のおなかは見苦しいけど、女性の細い腰はいいと思いますよ」などの声も。

共のマナー向上が叫ばれる中国。熱い論争は、まだまだ広がりを見せそう。【715日 FNN PRIME

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ガイド氏に尋ねても「どこの話ですか?中国?」と全く知らない様子でした。少なくとも桂林方面には及んでいないようです。

 

もっとも、「北京ビキニ」自体、目にすることが少なりました。

今回旅行で目にしたのは一人だけ。

 

ガイド氏(30代?女性)が暑がるご主人に「暑いなら、おなかを出したら?」と「北京ビキニ」を勧めたところ、ご主人は「そんなの恥ずかしいじゃないか」とのことだったそうです。

 

中国の人々の意識も急速に変わりつつあります。

昔は頻繁に見かけた路上での「痰吐き」も、最近ではまったく見かけなくなりました。

 

【食器の「消毒済みパック」を信用しない中国人】

中国の飲食店で出される皿やコップ、箸が非衛生的だとの話は昔からありますが、近年では、どこの店も消毒済みのビニールパックされたお椀・コップ・スプーン(一人分ずつセットでパックされています)を使用するようになっています。

 

衛生的だし、業者が回収するので、お店は洗う必要もない・・・という訳です。

 

それでも中国人は「消毒済みパック」を信用していないようで、パックから取り出したお椀・コップを熱いお茶で熱湯消毒してから使用します。

 

熱湯消毒に使ったお茶を捨てる洗面器が店に用意されています。

 

【ホテルのシーツにマイクロチップ トイレには電光表示】

一時期、ホテルの「手抜き清掃」が話題になりましたが、こんな対応も。

 

****ホテルのシーツなどにマイクロチップ、洗濯時期の表示サービス人気 中国****

中国・湖北省武漢の複数のホテルとシーツやタオルなどのクリーニング契約を結んでいる企業がこのたび、リネン類がいつ洗濯されたかを確認できるマイクロチップサービスを導入した。

 

誰しもホテルのベッドでダニやノミの被害には遭いたくないとあって、インターネット上で好評を集めている。

 

このサービスは、シーツ、枕カバー、タオルに非常に薄いマイクロチップを埋め込み、宿泊客がQRコードをスキャンすれば、最後の洗濯の正確な時期を確認できるというもの。ホテル側も、カバーやタオル11枚を追跡調査することが可能になる。

 

この背景には、最近発覚した高級ホテルの不衛生問題がある。上海の「リッツ・カールトン」や「ウォルドーフ・アストリア」、北京の「ザ・ペニンシュラ」といった五つ星ホテルで秘密裏に撮影された動画で、非衛生的な清掃の様子が捉えられていた。

 

映像には、清掃員がシャワーやトイレを清掃するのに使用したタオルやスポンジで室内に置かれたコップなどを拭いている様子が映っていた。オンライン上でたちまち数千万回視聴され、これらの高級ホテルは昨年11月、謝罪に追い込まれていた。

 

ソーシャルメディア上には武漢で始まったこのサービスを歓迎する声が集まり、多くのユーザーが全国展開に期待を示している。

 

この技術を開発した北京の企業「藍天」によると、埋め込まれたチップは180度の高温に耐えられ、200回まで洗えるという。 【715日 AFP

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もちろん、問題の根底には、非衛生的な清掃をする従業員の意識の問題がありますが、それはそれとして、これは使えるアイデアかも。

 

こうした取り組みが広がることで、ホテルのシーツ・毛布が清潔になるのなら旅行者としては大歓迎です。

 

昔は中国のトイレというと、仕切りがない「ニーハオトイレ」だとか、異様に汚いとか、非常に評判が悪く、このために中国旅行を二度とリピートしないという方もいました。

 

そのトイレも最近は大きく変化し、ほとんどは水洗式(もちろん個室)になっています。

昔ながらの「ニーハオトイレ」は、昨年、貴州省の田舎町の公園で遭遇したのが最後。(ガイド氏も「まだありましたか!」と驚いていましたが)

 

ちゃんと、ジェンダーを問わない多目的トイレが設置されているところも多くなりました。

ただ、温水便座の普及はこれからのようです。

 

個室が使用中かどうかは、鍵をかけた際に、ノブのところが赤色が表示される・・・という形式が日本では一般的ですが、躍進目覚ましい中国では、下記のような電光表示トイレも。(日本でも大都市ではあるのかもしれませんが、田舎者の私は国内では見たことがありませんでした)

 

明日は「八角寨」という奇妙な形の山が見渡せる場所に行きますが、山登りする必要があります。

暑い中の山登りですから、汗だくになります。まあ、普段不健康な生活をしているので、たまにはいいかも。

 

 

 

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