孤帆の遠影碧空に尽き

年に3回ほどアジアの国を中心に旅行、それが時間の流れに刻む印となっています。そんな私の思うこといろいろ。

ラオス  ベトナム戦争当時の悲劇を越えて

2014-12-31 19:44:28 | 東南アジア

(朝市近くのモン族の村の広場 絵にかいたようなのどかな朝の村の光景のなかで、銃を背負った男性が散見されました。観光客が訪れる村ですから、物騒な話ではなく、単にこれから猟にでも出かけるのでしょう・・・多分)

大国に翻弄されるモン族の悲劇
ラオス・シェンクアン観光二日目は、早朝6時に出発してモン族の朝市見学からスタート。

昨日は気温があがり、日中はTシャツ一枚で十分だったのですが、今朝は冷え込みました。
ホテルのあるポーンスワンも1000mを超える高地なのですが、モン族の村へは霧の中、更に高度をあげていきます。車内でパーカーを羽織っていても寒いぐらいです。

水曜日と日曜日に週2回開かれる朝市。
モン族とはいっても、別に民族衣装を着ている訳でもなく、顔だちも日本人からすればラオ族と区別がつきません。

ウィキペディアによると、現在モン族は中国に約300万人(ミャオ族)、ベトナム約79万人、ラオス約46万人、アメリカ約19万人、タイ約15万人・・・となっています。

ラオスに暮らすモン族には過酷な歴史があります。

ベトナム戦争において、北ベトナムから南ベトナムへの兵士・物資の輸送ルートとして有名なホーチミン・ルートですが、その9割はラオスの山野に存在していました。

その重要性から、北ベトナム指導者ホーチミンは「南ベトナムを解放するためには、まずラオスを共産化せねばならない」との声明を出しています。

アメリカにすれば、このラオスを抜けるホーチミン・ルートを叩くことが、北ベトナムの南下を阻止することになりますので、ラオス領内に夥しい爆弾を投下しました。

地上においては、北ベトナム軍と北ベトナムの支援を受ける共産主義勢力パテト・ラオが当事者ですが、アメリカ側はラオスでの戦闘を秘密裏に進めており、実際の戦闘を担ったのは、CIAに支援されたモン族兵士でした。

アメリカのモン族利用はフランス統治時代からですが、戦闘激化にともない、兵士調達の「モン狩り」によってモン族の村から青年・少年が消えた・・・とも言われています。

共産勢力側にも共産化されたモン族部隊があり、同じモン族同士が北ベトナムとアメリカの代理人として熾烈な戦闘を繰り広げることにもなりました。

この“裏のベトナム戦争”によって戦士したモン族は夥しい数にのぼり、アメリカ国防省は「モン族ではなくアメリカの若者が投入されていたら、アーリントンの黒壁(国立戦没者墓地の墓銘碑)は5~6倍の長さになっていたに違いない」とも分析しているそうです。

アメリカにとってのベトナム戦争は南ベトナムからの「名誉ある撤退」によって一応区切りがつきましたが、後に残されたアメリカの代理人となって共産勢力と戦ったモン族兵士の苦難は続きます。

“引き揚げ機に乗れず生き別れになった親子、大量のアヘンを一気に口にして自殺を図る者、そして死体を掘り起こしてその肉で飢えをしのぐ者”【地球の歩き方2014~2015 竹内正右】

サイゴン陥落に続き、ラオスも共産勢力の支配するところとなりますが、パテト・ラオと北ベトナムは「裏切り者」モン族の徹底した掃討作戦を行います。

残ったモン族側も徹底抗戦を続け、上記【地球の歩き方2014~2015 竹内正右】によれば、“ベトナム軍主導の掃討作戦は今も続き、餓死する者も相次いでいる”との記述もありますが、2014年の“今”どうなったのかは知りません。
少なくともベトナム戦終了後30年ほどは続いたようです。

こうした経緯から、タイに逃れるモン族も多いこと、タイとしてはラオスに引き渡して厄介払いしたいこと、モン族を利用したアメリカではその償いとして、モン族難民を多数受け入れている地域もあることなどは、
2008年7月31日ブログ「ラオス難民のモン族  今なお続くベトナム戦争、更にイラクへ」http://blog.goo.ne.jp/azianokaze/d/20080731
2009年9月15日ブログ「タイ政府  モン族「難民」をラオスへ全員送還の方針」http://blog.goo.ne.jp/azianokaze/d/20090915
でも取り上げてきました。

戦争の犠牲者が眠る洞窟
モン族の朝市に続いて立ち寄ったのは、ベトナム戦争当時のもうひとつの悲劇の舞台、「タム・ピウ洞窟」です。

当時、この大きな洞窟には学校・病院が作られ、住民が避難生活を送っていました。

1968年11月24日、この洞窟を米軍のロケット弾攻撃が襲い、1発目で入り口のコンクリート壁が破壊、2発目で洞窟内部は火の海となり、374人が一瞬で亡くなりました。

付近には犠牲者を弔う記念碑や、米軍と果敢に戦ったパテト・ラオを記録する資料館などがあります。

ただ、訪れる人はまばらで、駐車場の空き地ではビールを飲みながらペタングに興じる人々が。

見慣れないペタングの様子を眺めていると、グラスに注がれたラオ・ビールを(無理やり)ごちそうになりました。

酒が弱い私は朝からビールなんてほとんどないことですが、冷えて飲みやすいビールでした。
更に勧められた缶ビールはご辞退して、野天湯に向かいます。

川に沿った野天湯は期待以上に野趣豊かないいところでした。
地元のお姉ちゃん二人と混浴もできましたし。
そのあたりは旅行記サイトで詳しく。

ベトナム戦争当時の傷跡が残るラオスですが、政治的に強い影響力を持つ「兄弟国」ベトナムや市内でバーツも流通するようなタイ経済の影響に加え、近年は中国の進出・影響拡大が著しいのはカンボジア・ミャンマーなどと同様です。

10年後に再訪すれば、まったく異なる顔をみせるのかも。
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ラオス・シェンクアン観光  謎の巨大石壺が点在する奇妙な光景

2014-12-30 20:42:27 | 東南アジア

(訪れる人もまばらなジャール高原の「サイト3」 石の塊は中がくりぬかれて壺状になっています。)

【“優しさと微笑みの国”ラオス
12月30日、年の瀬の慌ただしさなど頭の片隅にもなく、ラオスを観光しています。
北部のシェンクアン二日目、今日から本格的に観光開始です。

観光スポットは郊外に点在していますので、現地旅行社がやっているツアーか、車をチャーターして・・・とも考えていたのですが、昨日空港到着時に客待ちしていた兄ちゃんにあっけなくつかまり、ホテル到着後にプライベートツアーの相談。

結局、3日間の日程をすべて丸投げする形に。
二日程度の予定はガイドブックで考えていたのですが、三日目をどうしようか・・・とも思っていましたので、そのへんを含めて予定を組んでもらいました。

ちょっと料金は高かったのですが、一人旅だとどうしても割高になってしまいます。

米ドルで値段交渉しますが、こんなときは最近の円安が恨めしく思えます。
1ドル=100円だったら、相当に安くなるのに・・・・

銀行まで連れて行ってもらい、両替して三日分の料金を先渡し。
払った後で、もし明日迎えに現れなかったらどうするのか、全額先払いなんてうかつだった・・・とも思いましたが、そこは“優しさと微笑みの国”ラオスです。

タイやベトナム、インドや中国とは違います。
ちゃんと今朝、車が現れました。(ホテルで待ちながら少し心配したのですが)

昨日ブログで“何もない国”なんて悪口も書きましたが、全体におっとり・のんびりしており、すれていないところがラオスのいいところでもあります。

外国人観光客とみると、カモとしか考えない国が多い中では貴重です。
経済的に外の世界とのつながりが薄かったということもあって、今後、グローバル経済に飲み込まれていくなかで、そのあたりも変わっていくのでしょう。

ただ、ラオスの国民性みたいな部分もあるようにも思えます。


(ジャール高原の「サイト1」)

神様の酒壺か
今日の予定はジャール平原と古都ムアクーン、その他。

ジャール平原と言ってもあまり馴染みがないかとは思いますが、1500年ぐらい昔の石の大きな壺が点在する奇妙な光景が広がるところです。

観光的には“何もない国”とも言われるラオスにあって、おそらく一番印象的な場所ではないでしょうか。
今回のラオス旅行の目玉でもあります。

いきなり目玉スポットから入って、そのあとの旅行の盛り上がりはどうするのか・・・という心配はありますが、とにもかくにも出発。

10人ぐらい乗れる大きな車に私とドライバー二人だけ。
リッチな環境ですが、ドライバーは英語を話せません。

昨日の話とちょっと違うではないか、値切ったせいか・・・とも思いましたが、まあ、私も英語は苦手なので、片言英会話教室の煩わしさがないだけましかも。
トイレとか食事といった最低限のことは、別に言葉が通じなくても伝わりますし。

で、ジャール高原ですが、“ジャール”はjar(壺)に由来しているようです。

巨大石壺が点在するエリアは60か所以上あるようですが、公開されて有名なのはサイト1~3の3か所。
昨日ブログでも取り上げたように、不発弾だらけの地域ですから、公開に先立って不発弾除去作業が必要になります。

公開エリアでも、勝手にルートから離れて歩き回るのは危険です。
除去作業が済んでいる土地とそうでない土地の境を示す標識などもあります。

今日はサイト1~3の三ケ所をすべて回ります。
どのエリアでも、大きなものは大人の背丈ほどもある石壺が点在しているのは同じです。

原っぱだったり、見晴らしのよい丘の上だったり、木々の中だったり・・・・ロケーションは異なりますが。

確かに実際に目にすると奇妙な光景です。

何のためにつくられた壺なのか・・・・という話になりますが、素人考えでも棺だろうと思われますし、発見初期の調査でも人骨や副葬品が残っていた壺があるようですから、棺で間違いないでしょう。
遺体を入れるのにちょうどいいサイズとも言えます。

もちろん、空の神が地上におりて酒を飲んだ酒壺だった・・・といった類の伝説はあります。

石壺の数は各サイトで異なりますが、一番多いサイト1では331個とのことです。
(各サイトのなかで、また数十個ずつかたまって点在しています)

大きなものは直径3m、重さ6トンにもなりますので、これだけの石壺を置くのは大変な労力だったように思いますが、ピラミッドに見られるように、人間はときにとんでもない労力を使って驚くべきものつくるものです。

信じられない・・・というのは想像力の欠如でしょう。

素人考えで言えば、ジャール平原の石壺の場合は、転がして運べばなんとかなるようにも思えます。
実際どうやったのかは知りません。

なお、エリア内には爆弾でできたクレーターなども点在しています。

ジャール平原以外でも、古都ムアンクーンの優美な仏塔なども素敵でした。

個人的には、有名な世界遺産ルアンパバーンよりはずっと面白いものがそろっているようにも思いました。
詳しくは、帰国後に旅行記サイトにアップします。

明日は早朝6時出発で、モン族の朝市を見学し、野天湯なども楽しむ予定です。
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ラオス  クラスター爆弾の不発弾が今も大量に残る土地

2014-12-29 20:42:58 | 東南アジア

(ラオス・シェンクアン 店先に不発弾残骸を並べたレストラン)

寒い!】
昨日、日本を出てラオスに来ています。
11年前に世界遺産の街ルアンパバンを観光して以来の2回目のラオスです。
今回の目的地は北部のシェンクアン。

昨日早朝に新幹線で鹿児島から福岡へ移動。ベトナム航空で福岡→ホーチミン(ベトナム)→プノンペン(カンボジア)→ビエンチャン(ラオス) いつもの一人旅です。

首都ビエンチャンは前回もほんの少し観光しましたが、今回は帰路でまた少し歩くことに。
空港から歩いて10分ぐらいのホテルに入り、今朝はそのままラオス航空でシェンクアンに移動。

ビエンチャンにしても、ラオス全体にしても、観光的に見るべきスポットはかなり限られています。
失礼な言い方ではありますが、「何もないところだね・・・」というのが前回旅行の正直な感想です。

他のラオス旅行者も同じことを言っていますので、まったく見当違いではないでしょう。
そんな何もないラオスの雰囲気が好きだ・・・というファンもいます。

そんなラオスになぜまた来たか・・・と言えば、航空券が安かったからというのが最大の理由でもありますが、シェンクアン近郊のジャール平原の“石壺”が点在する光景に惹かれたからでもあります。

そんなこんなで、とにかく今日昼前にシェンクアンに着きました。
小さなプロペラ機から降りて最初に感じたのは「寒い!」
天気はいいのですが、風が冷たく感じます。

ビエンチャンはこの時期の最高平均気温は28度ぐらい、最低平均気温は17度ぐらい。
実際、昨夜は夜でも半袖で十分で、室内では冷房を使いました。

シェンクアンはビエンチャンより気温は低いだろうとは思っていましたが・・・。
皆ジャンパーを着込んでいます。

薄手の長袖の上にマウンテンパーカーを羽織ってちょうどいいぐらいです。
ホテル室内では暖房を使っています。

改めて確認してみると、シェンクアンは標高が1200mぐらいの山岳地帯のようで、寒いはずです。
Tシャツを中心にした服装でやってきましたが、完全に間違えました。

世界でもっとも激しい爆撃を受けた国

(「MAG UXO ビジターインフォメーションセンター」展示写真より)

シェンクアンはベトナム戦争当時の不発弾に今も苦しむ場所でもあります。
当時、アメリカはベトナムだけでなく、ラオスにも大量の爆弾、それもクラスター爆弾を投下しました。

北部は、ベトナムと共闘する共産主義勢力パテト・ラオへの攻撃が目的で、南部はホーチミンルートへの攻撃が目的でした。

北ベトナムやラオス北部を爆撃してラオスの基地に戻る際に、落とし損ねた爆弾をラオス上空にばらまいていったとも言われています。(着陸時に爆弾を抱えていると危険なので)

最近は“ピンポイント爆撃”とか言っていますが、つい数十年前は民間人犠牲など全く考慮してもいなかったというのが本当のところで、近年のピンポイント云々もやや怪しいところです。

投下された大量の爆弾の30%が不発弾としてラオスに残されたため、今もその犠牲になる人・子供が絶えないようです。

***ラオスの不発弾被害と撤去の現状***
■世界一の激しい爆撃を受けた国 9年間8分ごとに1回、200万トン、1人当たり1トン以上

ラオスは世界でもっとも激しい爆撃を受けた国であり、人口一人当たりの落とされた爆弾の量が世界一になります。

ベトナム戦争中、大規模な地上戦が繰り広げられ、同時に激しい空爆を受けました。50万回以上のアメリカ軍による爆撃が、1964年から1973年の間に実行され、ラオス全土に200万トンを超える爆弾がシエンクアン県を中心としたラオス北部とホーチミンルートの通る南東部の県に集中して落とされました。

この9年間には、8分ごとに1度、米軍機1台に積載される爆弾が落とされてきたと言われます。また、1k㎡あたり約20トン、ラオス人1人あたり1トン以上の爆撃がされてきました。

■対仏独立戦争、旧日本軍、内戦での地上戦の不発弾、地雷も残る
アメリカ軍の爆撃に加えて、フランス植民地時代の独立戦争時代や、第2次世界大戦中の旧日本軍の進駐時、パテート・ラオとラオス王国軍の戦争を含む地上戦で使われた不発弾、例えば大型の爆弾、ロケット弾、手榴弾、大砲、迫撃砲、対人地雷、簡易爆発装置なども、ラオスの国土がさらに膨大な量の不発弾で汚染されている原因となっています。

そのような不発弾は地中に残り続け、人々を殺傷し続けるとともに、社会経済的発展と食料の確保を妨げています。

■全土の村の25%が不発弾で汚染…貧困地域と不発弾の存在の相関関係
こうしたすべての爆発物の30%は、爆発せず、地上や地中にいつ爆発してもおかしくない状態で残り続けているのです。

20年に及ぶ交戦状態が終了したあと、1996年から1997年にかけて、不発弾の社会経済的に与える影響の全国調査が実施され、ラオス全土の村の25%で不発弾の存在が報告され、17県中15県において深刻な不発弾汚染が判明しました。

ラオス全土が23万6,800平方キロメートルなのに対し、8万7,200平方キロメートル以上の土地が不発弾の危険にさらされていると推測されています。
1996年、国連は、ラオスの農村に残された不発弾は、約50万トンにも及ぶと推定しています。

ラオス政府の国家社会経済的開発計画は、貧困層地域と不発弾の存在には、明らかな相関関係にあると発表しています。貧困層地域は、ほとんどが不発弾によって影響を受けているのです。

■不発弾被害者の50%以上が子ども 
1975年以降、ラオスの不発弾の犠牲者は、約1万3000人と見積もられています。1999年以降、UXO-ラオが活動した地域でも938人の被害者が記録されています。

これらの数字は、被害者の50%以上が子どもであることを示しています。

その事故のほとんどは、被害者の日々の日常生活のなかで起きています。ラオスでの不発弾事故のよくある原因には、農民が土を掘るために土壌表面にあった不発弾を、鍬や鋤などで打ってしまう場合があります。

その他のケースでは、隠れた不発弾の上で焚き火をして爆発する場合や不発弾を移動させたり、不発弾で遊んだりしているとき、もしくは金属や火薬を売るために不発弾をいじくっているときなどに事故が起きています。

■スクラップメタル問題
ラオスでは、不発弾を含めた金属回収(スクラップ・メタル)が大人、子ども問わず、行われてきました。

ほとんどは男性の仕事と思われますが、中には女性が金属探知機を使い金属を集める報告もされています。金属回収は、家族単位で一緒に行われている場合もあります。(中略)金属回収は、いかにいい収入になっているかということが分かります。(中略)

■不発弾の多くがクラスター爆弾の子爆弾 撤去できたのはわずか0.47%
ラオスでは、森林に覆われた山や田んぼなどがあるため、このような場所に落とされた爆弾は爆発しない確率が高く、実際の状況において、クラスター爆弾の子爆弾の不発率は30%と推定されています。

そこから爆発せずに残った子爆弾の不発弾の数はラオス政府の不発弾撤去機関UXO-ラオは、推定7800万個、クラスター爆弾の問題に取り組むNGOハンディキャップ・インターナショナルの2006年の報告書『フェイタル・フットプリント』では2090-6260万個と見積もっており、正確な数は分かりませんが、とにかく数千万個の単位で存在することは確かのようです。

ラオス政府の不発弾撤去機関UXO-ラオが1996年から2007年12月までに除去した子爆弾の不発弾の数は、371,869個、この数字は、不発弾として残っていると推定される子爆弾全体のわずか0.47%にしかすぎません。

今まで撤去された不発弾の内訳を見るとUXO-ラオでは、48%、MAGでは80%以上がクラスター爆弾の子爆弾だったとの報告があります。いかにクラスター爆弾の子爆弾の不発弾がラオスの土地を汚染しているか分かります。
【テラ・ルネッサンス】http://www.terra-r.jp/contents/index.php?itemid=189&catid=16
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クラスター爆弾は、ラオスの人々が「ボンビー」とテニスボールほどの大きさの子爆弾を数百個含んでいます。
****世界で最も多くのクラスター爆弾を落とされた国、ラオス*****
ベトナム戦争で当初米軍が使用していた主なクラスター弾は、対物・対人用の子弾を搭載したCBU- 2 /AやCBU-14でした。

しかし、これらの爆弾は低空から投下しないと子弾が効果的に散布できず、航空機が対空砲火に晒される危険があったため、より高い高度から投下可能なCBU-24が開発されました。

CBU-24は、対人用の子弾BLU-26を640-670発搭載しています。BLU-26には直径約6mmの鋼鉄球が300個入っており(全ての子弾で約20万個)、爆発により鋼鉄球が高速で周囲に飛散し人間を殺傷するのです。(中略)

米軍は、クラスター弾の使用が批判されることを懸念して、CBU- 2 /AとCBU-14の使用を秘密にせよとの指令を1965年に出しています。

1966年にCBU-24が配備された時も、米軍は、兵器使用の是非を巡る論争を避けるため、政府に対して使用の許可を求めることはせず、直ちに使用を開始しました。【プレマ株式会社HP】http://www.prema.co.jp/raos/cluster03.html
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こうしたラオスに残された不発弾とその除去作業、被害者への取り組みなどは、シェンクアンの県庁所在地ポーンサワン市街にある「MAG UXO ビジターインフォメーションセンター」などでも見ることができます。
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中央アフリカ  停戦後も続く混乱 “宗教対立”の背後にあるもの  すべての子供たちに教育機会を

2014-12-27 21:46:17 | アフリカ

(キリスト教系民兵組織「アンチバラカ」の14歳の少年
“2012年12月に15歳で武装勢力に加わったグレース・ア・デューは言います。「毎朝、泥の中をはいつくばり、厳しい訓練を行います。大人の戦闘員たちは僕たちを冷酷で残忍な人間に仕立て上げたいのです。戦闘になると、僕たち子どもが前線に送られ、大人たちはずっと後方にいることがしばしばでした。戦闘中に多くの戦友が殺されるのを見ました。とても多くのものを、多くの残虐行為を目にしました。」”【12月18日 セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン 】http://www.savechildren.or.jp/scjcms/press.php?d=1814

紛争は「悪いガバナンス、民主主義の軽視、腐敗、人権侵害」のせいで発生
世界のあちこちで戦闘・内戦が起きるため、一時は世界の関心を集めたような問題も時間とともに“過去のもの”として忘れ去られていきます。

中央アフリカで起きた内戦もそんなひとつでしょうか。

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今回の紛争は2013年3月、主にイスラム教徒からなる武装勢力連合「セレカ」が首都バンギを制圧し、フランソワ・ボジゼ大統領(当時)を失脚させたことが始まりだ。

これに対し、キリスト教徒を中心としたボジゼ氏支持派の「反バラカ」と呼ばれる民兵組織が台頭し、イスラム教徒に復讐。以降、双方が虐殺、レイプ、略奪と血みどろの報復合戦を繰り広げた。

セレカはおおむね中央アフリカの北部と東部の出身者と、隣国のスーダンとチャドからやって来た主にイスラム教徒の戦闘員から構成されている。

一方の反バラカは、主にボジゼ氏の出身部族で、中央アフリカの中部と南部出身のムバヤ人から構成されている。

しかしセレカ、反バラカのいずれも、お守りや魔除けを使うなど精霊信仰が強く、専門家たちはお互いの憎悪は宗教ではなくもっと何か深いものに根差していると考えている。【7月29日 AFP】
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中央アフリカの内戦は、7月には一応の停戦合意が成立しました。

****中央アフリカ:武装勢力が停戦合意****
アフリカ中部・中央アフリカ共和国で戦闘を続けていたイスラム教徒とキリスト教徒の武装勢力が23日、停戦に合意した。

同国では武装勢力同士の衝突が宗教対立に発展し混乱が続いてきた。人口の2割以上に当たる約100万人が避難生活を余儀なくされた危機的状況が収束に向かうか注目される。

隣国コンゴ共和国のサスヌゲソ大統領が仲介し、同国の首都ブラザビルで、イスラム教徒主体の武装勢力セレカとキリスト教徒の民兵組織アンチ・バラカが停戦に合意した。【7月24日 毎日】
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中央アフリカの混乱は、イスラム教徒とキリスト教徒の戦いという視点でとらえられることが多いのですが、どこの紛争でも見られるように、対立の背景には劣悪な政治・社会的な格差に対する不満が存在しています。

****中央アフリカの戦闘は宗教紛争か、深層に民族対立 悪政 嫉妬****
中央アフリカで起きた血みどろの紛争は、アフリカ大陸各地で宗教間の対立が起きていることを反映して、イスラム教徒とキリスト教徒の戦いだと捉えられがちだ。

しかし専門家たちは、この紛争の真の原因は、民族や階級間の闘争、そして腐敗した政治のせいだと分析する。

チャドやスーダンから移住してきて成功を収めたイスラム教徒の貿易商たちへの嫉妬、パワーポリティクス、さらには中央アフリカが奴隷貿易の主要な中継地点だった頃から続く緊張が、すべて絡み合って現在の紛争につながっていると専門家たちは指摘する。

中央アフリカ福音教会連盟のニコラ・ゲレコヤム・ガングー代表は、「彼らは若者を操って殺人をさせている。失った権力を取り戻したいからだ」と言う。

「キリスト教徒とイスラム教徒はずっと一緒に暮らしてきた。だが戦争をあおるような政治家たちの発言から、紛争が起きる前から私たち宗教指導者たちは戦争の足音を感じていた。背後で糸を引き、宗教対立のように見せかけているのは政治家たちだ」(中略)

■「宗教的対立」だけではない
セレカの元幹部で現在は大統領顧問になっているアブドゥレイエ・ヒセーヌ氏は、この紛争を宗教間対立という表現だけで片付けるのは「まったくの間違いだ」と語る。

「モスクを破壊しているのは、本当のキリスト教徒ではないし、教会を攻撃しているのも本当のムスリムではない。彼らは平和の敵にカネを渡された個人だ」

ボジゼ政権で大臣を務め、現在は反体制勢力のメンバーになったジョゼフ・ベンドゥンガ氏は、紛争は「悪いガバナンス、民主主義の軽視、腐敗、人権侵害」のせいで発生したと語る。

専門家たちは、人口のほぼ50%をイスラム教徒が占めている隣国チャドも、中央アフリカの紛争の原因を作ったとして非難している。

チャド政府は2003年、フランスや周辺国の支持を得て中央アフリカのクーデターを支援し、ボジゼ氏を大統領の座に就けた。だが10年後には、そのボジゼ氏を失脚させたセレカを支援しているとして、チャドは非難されている。

中央アフリカにはダイヤモンドや金など天然資源があるが、長年の失政によって国の発展は遅れたままだ。そんななか、主にチャドやスーダンからのイスラム教徒の貿易商たちがダイヤモンド採掘の拠点や陸運業を支配し、中央アフリカの他の国民よりも豊かな暮らしをしてきた。

彼らの成功は、首都バンギに最後に残ったイスラム教徒の居住区「PK-5」を見れば明らかだ。この商業地域にイスラム教徒たちは大きな店を所有しているが、小作農たちはここの通りでキャッサバやサツマイモを売るためにやってくる。

現地人とのこのような社会経済的な格差は、西アフリカではレバノン系住民との間で、東アフリカではインド系住民との間で見られる。このような格差が生み出した嫉妬心が、社会の秩序が失われた時に暴力という形で噴出するのだ。【7月29日 AFP】
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停戦合意が成立したことで、メディアにも取り上げられる機会は殆どなくなり、私を含めた人々の記憶からも消えていきつつありますが、必ずしも停戦合意ですぐに平和な生活は戻る訳でもありません。

“セレカとアンチ・バラカは同年7月に停戦合意したものの,停戦違反や各勢力内の内部衝突はその後も頻発。今後,2015年7-8月には大統領選が予定されている”【日本外務省HP】

すべての子どもがよい将来を築けるよう声を上げる時期
世界の関心が薄れれば、国際的な支援も細っていきます。

****戦火の中でも学ぶ喜び 中央アフリカ****
内戦が続く中央アフリカでは、推定約1万人の子どもが武装勢力の戦闘員などとして使われ、約250万人の子どもが戦闘の恐怖にさらされている。国連児童基金(ユニセフ)のモハメド・フォール中央アフリカ代表が朝日新聞の取材に明らかにした。

ユニセフがこの1年間、武装勢力との交渉の末に解放した子どもは19日現在で2143人。うち約4分の1は女子で、使用人とされたり戦闘員の妻にさせられたりしていたという。

国際社会の支援もなかなか届かないが、首都バンギ郊外の村ではようやくテント式の教室が設けられ、児童156人が勉強を始めた。

ピアマ・ベルグ校長は「戦闘で家族を亡くした児童は多く、心のケアが問題だが、今は多くの子どもが学校に通える喜びをかみしめている」と話した。【12月27日 朝日】
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ナイジェリアのイスラム武装勢力「ボコ・ハラム」が学校から女生徒200人以上を拉致して世界中の批判を浴びていますが、同じような行為はナイジェリアだけでなく世界各地で起きています。

ことし、史上最年少でノーベル平和賞を受賞したパキスタン人の17歳の少女、マララ・ユスフザイさんが新年を前に世界のリーダーに宛てたメッセージを発表し、2015年こそはすべての子どもたちが平等に教育を受けられる環境をつくるよう訴えています。

****マララさん 世界のリーダー宛てにメッセージ****
マララ・ユスフザイさんは、おととし、通学途中に女性の教育を否定するイスラム過激派組織に銃撃されましたが、その後も、内戦が続くシリアから逃れてきた難民のキャンプなど、紛争や貧困、テロなどによって教育の機会を奪われた子どもたちのもとを訪れる活動を続けており、ことしのノーベル平和賞を史上最年少で受賞しました。

新年を迎えるにあたりマララさんはみずからが立ち上げた基金のウェブサイトに世界のリーダーに宛てたメッセージを掲載し、「年末年始、世界各地は祝いに包まれるが、すべての子どもがよい将来を築けるよう声を上げる時期でもあるべきだ」と述べています。

そのうえで、「学校に行けなかったり強制労働を強いられたりする子どもたちをなくす年にできるはずだ」と述べ、来年を転換の年と位置づけ、各国の首脳に対して子どもたちの権利を守るための政策を実行に移すよう呼びかけました。【12月27日 NHK】
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宗教対立といえば“どうしようもないもの”にも思えますが、その背景にある「悪いガバナンス、民主主義の軽視、腐敗、人権侵害」の改善は政治の役目です。

“良い統治”が実現すれば、宗教対立の形でを借りた暴力が噴き出すことも、子供たちが紛争の犠牲になることも防ぐことができます。

2015年、マララの願いが少しでも現実のものとなるように祈ります。
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日本・欧米社会を覆う悲観主義 「うつ病」?「老い」?

2014-12-26 22:17:07 | 国際情勢

http://pesie.jp/

中国:「社会主義の核心的価値観」を全市民が暗唱
中国・習近平政権指導部が進めてきた「反腐敗」の取り組みは、軍制服組の最高位に上り詰めた徐才厚・前党中央軍事委員会副主席や国有石油大手出身の周氏ら、江沢民元国家主席に近いとされる大物を摘発してきましたが、胡錦濤前国家主席が率いてきた共青団グループの大物幹部・令計画氏にも摘発の手が及び、波紋が広がっています。

今後の党の勢力バランスに影響を与える可能性があるとも指摘されています。

****令氏失脚、選別的な反腐敗闘争 習主席身内には甘く****
23日付の中国各紙は、中国の胡錦濤前国家主席の側近、令計画・人民政治協商会議副主席が重大な規律違反の疑いで党の取り調べを受けたことを大きく報じ、「反腐敗闘争の新たな成果」などと絶賛した。

しかし一方で、「このような恐怖政治がいつまで続くのか」と冷ややかな反応を示す党関係者もいる。

強引な形で“政敵”を次々と失脚させながらも身内に手を付けない習近平指導部の「選別的」な反腐敗キャンペーンに対し、党内の不満は高まりつつあるようだ。(後略)【12月24日 産経】
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山東省臨沂市の街頭には、「英明な領袖習主席執政2周年 夢の実現を天下の皆が祝福します」という意味のスローガンと併せて習近平国家主席の写真が大きく掲げられた大型の看板が掲げられたとかで、毛沢東時代の個人崇拝の復活を思わせるという議論がネット上で起きているそうです。【12月17日 Searchinaより】

腐敗一掃の粛清運動に併せて、社会主義イデオロギーを再確認する運動もあるようです。

****市民に「社会主義価値観」の暗唱を義務付け、中国・武漢市****
中国・湖北省の武漢市が、12項目からなる「社会主義の核心的価値観」の暗唱を全住民800万人に義務付けようとしていると、国営英字紙・環球時報が26日、報じた。

「社会主義の核心的価値観」は中国共産党が社会主義イデオロギー普及の一環として提唱している。市民全員の習得を徹底させるため、武漢市では「暗唱クラス」への出席を義務付け、「中央政府高官」による抜き打ち検査も行われているという。

地元の大学院生は環球時報に、勉強会を開いて核心的価値観を記憶しているか 確認しあったと語った。全員が完璧に覚えるまで、誰も帰れなかったという。また別の学生は、「もし暗唱できなかったら、来年の奨学金がもらえなくなるかもしれない」と語った。

習近平国家主席は昨年の就任以来、共産党への支持固めを狙って「社会主義価値観」の普及を積極的に押し進めている。

「社会主義の核心的価値観」が提唱する12の言葉は「富強」「愛国」「和諧」など。また「民主」や「法治」も含まれているが、西側諸国とは定義が異なる。
皮肉なことに、暗唱を強制された言葉には「自由」も含まれている。

環球時報によれば、武漢市が「社会主義の核心的価値観」暗唱運動を進める背景には、「国家文明都市」の称号を得たいとの市当局者らの思惑がある。【12月26日 AFP】
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社会主義イデオロギー暗唱の強制と「国家文明都市」がどうつながるのか?
まあ、中国では「文明」の定義も日本とは異なるのでしょう。

失脚した薄熙来重慶市党委員会書記は、重慶市において大衆を動員し毛沢東時代の革命歌を歌わせる政治キャンペーン「唱紅」を展開しましたが、似たり寄ったりの感も。

腐敗一掃の粛清運動にしても、社会主義イデオロギーによる締め付けにしても、腐敗が蔓延し、格差が拡大する社会を放置すれば、共産党政権が危うい・・・という危機感が背景にあると思われます。

いずれにしても、「自由」「民主」「法治」を一定に実現していると考えている日本社会から見ると、なかなか厄介で面倒な社会に思えます。

インド:血液サンプルの88%から高濃度のウランや鉛
一方、インドは中国以上に、「21世紀の出来事なのか?」と思わせるような問題が山積しています。

****武装集団が住民69人殺害、2000人超避難 インド****
インドのアッサム州で23日、インドからの分離独立を目指す武装集団が複数の村を襲撃し、18人の子どもを含む69人が死亡した。

州当局関係者によると、同州では25日までに、同様の襲撃が再び起きることを恐れた住民2000人以上が州政府が設営した仮設キャンプに避難した。

また、24日には一連の攻撃に対する適切な対応を求めて住民が警察に出向いたところ、警官がこれらの人たちに向かって発砲。3人が死亡した。

警察は23日の襲撃について、非合法とされている過激派組織「ボドランド国民民主戦線(National Democratic Front of Bodoland、NDFB)」による犯行との見方を示している。NDFBは、数十年にわたって独立闘争を続けている。

インド北東部にあり、茶葉の生産で知られる同州ではこれまでにも、以前からこの地に住むボド(Bodo)民族と、移住してきたイスラム教徒、対抗する別の部族との間で土地の所有権をめぐる紛争が起きていた。

一方、インド内務省は24日、村の住民たちがボド民族への報復攻撃を始めたことから、同州への軍部隊の派遣を命じた。【12月25日 AFP】
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環境汚染についても、よく話題となる中国以上に深刻です。

****失明や車椅子生活が「運命」、汚染されたインドの村****
登校前に大好きな漫画を読もうと頑張るローシャン・シンくん(10)の両目は、血走っていた。医師からは、もうすぐ失明するだろうと言われている。

「いつも最悪の場合を考えてる。怖いよ。お父さんもお母さんも、すごく心配してる」

インド北部パンジャブ州の辺境、パキスタンとの国境沿いにある寂れた村ドナ・ナンカ。落ち着かない様子で制服のシャツを引っ張りながらAFPの取材に答えるローシャン君は、毎日、村の共同井戸からくみ上げた地下水を飲んでいる。

だが、専門家の指摘によれば、この地下水は非常に有害で、多くの村民の健康を損なう原因となっている。

5月に就任したナレンドラ・モディ首相は、インドを象徴する聖なる川ガンジスの環境汚染を「国家の恥」と評し、浄化を誓った。

しかし、ドナ・ナンカ村のある北部でも、鉛やウランなどの有害金属に汚染された川が長年にわたり、住民に深刻な健康被害を及ぼしている。

「ここでは、車椅子での生活が当たり前になっている。これが私たちの運命なんだ」。農業を営むマウン・シンさん(65)は、失明した25歳と18歳の息子たちの傍らに座り、嘆いた。

村の近くを流れる川は、ヒマラヤ山脈にその源を発し、インドとパキスタンの国境沿いをうねるように流れるサトレジ川の支流だ。

専門家らは、インドの工場とパキスタンの皮革加工場がサトレジ川に垂れ流した未処理排水が、流れのゆるやかな村周辺で滞留し、土に染み込んでいるとみている。

この汚染の責任がインドにあるのか、パキスタンにあるのか、それとも双方とも非難されるべきなのかはまだ科学的に解明されていないが、被害は甚大だ。

近隣の村々では住民1200人の間に、失明や手足の変形、若年性の白髪、学習障害、皮膚病がまん延し、至るところで車椅子を見かける。

村の小学校のロブジート・シン校長は、「失明などで退学を余儀なくされる生徒がとても多い」と語り、生徒270人のうち108人が何らかの病気や障害に苦しんでいると話した。(後略)【12月26日 AFP】
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ドイツの研究所に送って血液検査をしたところ、「結果はショッキングなものだった。ある程度の水銀やヒ素への暴露は想定していたが、子どもたちの血液サンプルの88%から高濃度のウランや鉛が見つかった」とか。

【「要するに、我々は年を取りつつあるのだ」】
こうした中国社会、インド社会の現況を見ると、日本社会が実現しているものの価値も確認できますが、日本にしても欧米にしても、経済的にもパッとせず、社会に停滞感が広がっているのも事実です。

****西側諸国はうつ病なのか?はびこる悲観主義の背景にあるもの****
人生の最盛期はもう終わってしまった、あとはずっと下り坂だ――。そんな風に考える人は確かにいる。

しかし、そういう憂鬱な気分が西側世界の大半を同時に覆い尽くすことはめったにない。短い期間覆い尽くしたことは確かにあったが(例えば、1970年代のスタグフレーションの時)、やがて危機とともに消えていった。

今日の悲観主義は、過去のそれよりも2つの面で厄介だ。

今日の悲観主義がとりわけ厄介な理由
第1に、経済学で説明しきれない。米国では景気回復が5年目に突入しているが、子供たちの暮らし向きは自分のそれよりも悪くなると考える人の割合が、景気の低迷に苦しむイタリアのそれと同水準にとどまっている。
しかも、この傾向は2008年に世界金融危機が勃発する前から始まっている。

第2に、西側の悲観主義は情報技術革命と同時期に広がりを見せている。西側の信条である個人の自由がこれほど制約されない時代は過去にほとんどなかったにもかかわらず、憂鬱な気分はさらに強まっているように見えるのだ。

西側の人々は現実が分からなくなりつつあるのだろうか。

その通りだ、と頷きたい気もする。西側の普通の人は以前よりも長生きしているし、戦争の影響を受けることもかなり減っているうえに、人類史上のどの人物よりも多様な選択肢を手にしている。元気に、自由に生きられること自体、大変な恩恵であるはずだ。

ひょっとしたら、我々は昔からこれを当たり前だと思って過ごしてきたために、いま手にしているものの有り難みが分かっていないのかもしれない。

何かとても重大なこと――情報技術に気を取られて物事に集中できない状態が続いていることだろうか――によって神経回路の配線が大きく変わってしまい、すぐ近くにあるものの真価が分からなくなってきているのかもしれない。

あるいは、今日の公の生活の質に納得できないために、自己認識からしか生じ得ない惨めさに苦しんでいるのかもしれない。これらはすべて、うつ病に当てはまる。

タイプの違いはあれども、これらは西側に広がる憂鬱さの説明として示されている。ただ、筆者にはどれもピンとこない。

他者の台頭に不安?
実は、もっと妥当に思える説がある。我々は他者の台頭に不安を抱いている、という説がそれだ。(中略)

しかし、西側諸国の悲観主義の原因をここに求めることには無理がある。経済のグローバル化は、誰にとっても(差し引きで)利益になるはずである。また、グローバル化の進んだ経済は喜ばしいものでもあるはずだ。

今日の世界は、西側の思い描いた通りの姿で発展しつつある。ロシアのウラジーミル・プーチン大統領や中国共産党はともかく、民主的な資本主義に対抗するイデオロギー上のライバルは存在しない。キューバでさえ、遅まきながら、孤立状態から足を踏み出しつつある。

では、西側のどこに問題があるのだろうか。その答えは、本当だろうかと笑ってしまうぐらい単純である。要するに、我々は年を取りつつあるのだ。

年を取りつつある世界
経済学的には、これは「長期的停滞」を意味する。日本はほかのどの国よりも速いペースで高齢化している。そして経済成長も、ほかのどの富裕国よりも長期にわたって、より鈍い状況が続いている。

しかし、これは程度の問題だ。人は年齢を重ねれば重ねるほど貯蓄をしなくなる。貯蓄をしなくなるほど投資もしなくなる。そして、投資をしなくなるほど経済成長も鈍化するのだ。

これに対しては新しい技術が答えを出してくれるはずであるし、寿命も延びている我々はこれまでよりも長期間働くべきなのだろう。しかし、そこに立ちはだかるものがある。政治である。

経済成長が鈍化すればするほど、予算を巡る争いも増える。スペインからカナダに至るまで、高齢者は財政戦争で勝利を収め続けている。(中略)

「ジェロントクラシー(老人支配)」の代償
「グレイ・ロビー」が優勢になればなるほど、将来の世代が割を食う。すると、既存の政治への反発が生じる。実際には、悪いのは移民だという主張が生じることになる。

米国のティーパーティー(茶会党)、フランスの国民戦線(FN)、そして英国独立党(UKIP)を躍進させた大きな原動力の1つは、これらの政党がしばしばスケープゴートを探すことに求められる。

彼らは、直接政権を担う公算こそ小さいものの、年金世代に対する現役世代の人口比の低下という問題に取り組むことができる人々の障害になっている。この問題の解決策の重要な要素は移民の受け入れの増加だが、既存の政治に反発する人々は、移民の阻止を中核的な目標の1つに掲げているからだ。

これもまた、西側世界の「ジェロントクラシー(老人支配)」の代償だと言えよう。

高齢者支配のコストは財政面だけにとどまらない。「第三世界」という用語を生み出したフランスの思想家、アルフレッド・ソヴィーは、西側世界が「古い家に住み、古い思考を繰り返す高齢者の社会」になってしまうことを恐れていた。これには一理あるかもしれない。(後略)【12月22日付 英フィナンシャル・タイムズ紙】
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“いま手にしているものの有り難みが分かっていない”“他者の台頭に不安”(日本の場合は、台頭する中国への不安でしょう)“人口構成の高齢化に伴う社会全体の「老い」あるいは「ジェロントクラシー(老人支配)」”・・・・いずれの要素も思い当たるところはあります。

ローマ・カトリック教会のフランシスコ法王は、「欧州は疲れて老い、世界の主役ではなくなったと感じられている」と、社会の精神的「老い」を指摘しています。

****地球24時)ローマ法王「欧州は老いた****
ローマ・カトリック教会のフランシスコ法王は25日、仏ストラスブールを訪れ、欧州議会で演説した。法王の欧州議会での演説は、ヨハネ・パウロ2世以来26年ぶり。

欧州統合の現状を「老いて輝きを失っている」と厳しく指摘し、「人権と民主主義」「平和と団結」の原点に立ち戻るよう求めた。

法王は「欧州は疲れて老い、世界の主役ではなくなったと感じられている。偉大な構想は魅力を失い、官僚的な組織に取って代わられたようだ」と指摘。

その上で「欧州の民主主義を生かすことが、世界に広がる独裁制や原理主義を押しとどめるために必要だ」と訴えた。【11月26日 朝日】
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「人権と民主主義」「平和と団結」という社会の価値観の原点に立ち戻ることは妥当な療法と思えますが、ローマ法王ならぬ凡夫としては、どのようにまとめていいかわかりませんので、今日はここでおしまい。
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悲しいクリスマス  ナイジェリア、パレスチナ、シリア、そしてシエラレオネ

2014-12-25 20:45:41 | 国際情勢

(24日、バチカンのサンピエトロ大聖堂で恒例ミサを執り行い、「今、世界は優しさを必要としている」と、平和な世界を共に作る大切さを訴えるフランシスコ・ローマ法王  【12月25日 日テレNEWS24】http://www.news24.jp/articles/2014/12/25/10265992.html

ナイジェリア:「ボコ・ハラム」のクリスマス・テロを警戒
今日はクリスマス。
世界には、静かな祈りでこの日を送ることが許されない地域もあります。

そのひとつが西アフリカの地域大国ナイジェリア。ナイジェリアは南部を中心に国民の半数がキリスト教徒の国です。

イスラム過激派「ボコ・ハラム」のテロ行為、少女の大量拉致などは再三取り上げてきていますが、例年、クリスマスのミサが襲撃の対象とされることもあって、現地では警戒を強めています。

****ナイジェリア クリスマスのテロ警戒****
西アフリカのナイジェリアでは、イスラム過激派組織ボコ・ハラムがクリスマスの時期を狙って、大規模なテロを引き起こすのではないかという懸念が高まっており、軍や警察が警戒を強めています。

ナイジェリアの北東部を拠点とするイスラム過激派組織ボコ・ハラムは、イスラム国家の樹立を図るとしてテロや襲撃を繰り返していて、子どもや女性を誘拐することも深刻な問題となっています。

こうしたなか、ナイジェリア軍は、ボコ・ハラムがクリスマスの時期を狙って大規模なテロ攻撃を仕掛ける恐れがあるという声明を出し、現地では警戒が強まっています。このうち北東部の2つの州では、車を使った爆弾テロを防ぐため、当局が車両での移動を厳しく制限しています。

また、首都アブジャでも警察などが車のトランクを調べるなどして爆発物が積まれていないか警戒を強めており、市民に対し、不審な人物を見かけたら直ちに通報するよう呼びかけています。

ナイジェリアでは、ボコ・ハラムの襲撃から逃れようと、多数の住民が家を追われて避難民キャンプで、不自由な生活を余儀なくされていて、クリスマスでも食糧の確保すらままならない人もいます。

アブジャの避難民キャンプにいる女性の1人も、「食べ物がほとんどなく、誰かに支援してもらわなければ飢え死にしてしまう」と訴えていました。【12月25日 NHK】
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過去の襲撃事件については、以下のように報じられています。

****ナイジェリア、クリスマスに爆弾攻撃相次ぐ 礼拝中の教会狙う***
ナイジェリア各地で25日、クリスマス礼拝が行われていたキリスト教会などを狙った複数の爆弾攻撃があり、少なくとも40人が死亡した。

すべての攻撃について、イスラム過激派「ボコ・ハラム(西洋の教育は罪の意)」が犯行声明を出し、アフリカ大陸で最大の人口を持つナイジェリアで、ボコ・ハラムによるテロ行為への恐れと怒りが広がっている。

首都アブジャ郊外の教会では、クリスマス礼拝を終え信者らが外に出始めたところで爆発が起き、少なくとも35人が死亡した。なかには車に乗り込んでから爆発に巻き込まれ、車両ごと焼死した犠牲者もいる。また負傷者も多数出ており、重傷を負いながら神父にすがる信者の姿もみられた。

このほか中部ジョスでも、教会を狙った爆発があり、警察官1人が死亡。北東部のダマトゥルでは、秘密警察ビル前に停車中の軍用車を狙った自爆攻撃があり、犯人のほか警察官3人が死亡した。(後略)【2011年12月26日 AFP】
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****礼拝中の教会を武装集団が襲撃、6人死亡 ナイジェリア****
ナイジェリア北部で24日、クリスマス・イブの礼拝中だった教会を武装集団が襲い、神父を含む6人を殺害した後に教会に火を放つ事件があった。地元警察などが25日、発表した。(中略)

ローマ法王ベネディクト16世は、例年行っているクリスマスの祝福メッセージの中で、「残虐なテロ行為が、キリスト教徒を多く含む人々の命を奪い続けているナイジェリアに、平和が訪れるように」との祈りを捧げた。(後略)【2012年12月26日 AFP】
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今年は静かな祈りの日であって欲しいものですが・・・。

シリア・イラクの「イスラム国」をまねて、ゲリラ的な襲撃だけでなく最近は面的な支配地域も広げている「ボコ・ハラム」の勢いはおさまる気配がありません。

今年4月、ボルノ州チボクの女子高から少女200人以上を拉致して、世界中の非難を浴びた「ボコ・ハラム」ですが、同じような襲撃を今も繰り返しています。

****ナイジェリアでボコ・ハラムが32人殺害、185人拉致****
ナイジェリア北東部で14日、イスラム過激派「ボコ・ハラム」とみられる武装集団が村を襲撃し、32人を殺害後、女性や子どもを含む少なくとも185人を拉致した。当局者や目撃者が18日、明らかにした。軍が市民を守れない状態が続いている地域が、またも集団拉致事件に見舞われた。

襲撃を受けたのは、ボルノ州のグムスリ。地元当局者2人と目撃者1人の話によると、銃で武装した男らの一団が村内の建物に火炎瓶を投げ入れ、村はほぼ壊滅状態になった。

この攻撃について、ボコ・ハラムは犯行声明を出していないが、村内の複数の情報筋が同組織による攻撃だったと伝えている。同域では携帯電話網が完全に破綻していた上、通行不能になった道路も多く、事件の詳細が明らかになるまで4日かかったという。

現地の当局者によれば、これまでは軍の支援を受けた自警団が村を守っていたが、14日はついにボコ・ハラムに圧倒されたという。(後略)【12月19日 AFP】
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他のアフリカ諸国と異なり、ナイジェリアは原油輸出で潤う、アフリカ一番の経済大国です。
その豊富なはずの資金がどこに消えているのかは知りませんが、政府軍兵士らは、携行式ロケット弾や重火器で武装した武装勢力の「砲弾の餌食」にされていると不満を漏らしており、士気の低下が問題となっています。

****ボコ・ハラム襲撃で32人死亡…軍は士気低下****
・・・・ナイジェリアの軍事裁判所は17日、ボコ・ハラム掃討作戦への参加を拒むなど命令に違反したとして、兵士54人に死刑判決を下した。

ナイジェリア軍は、軍需物資の不足や給与の未払いなどで、兵士の士気の低下が著しいとの指摘が出ている。【12月18日 読売】
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一方の、「ボコ・ハラム」の方は意気軒昂です。

****ボコ・ハラム拉致継続宣言「我々は殺し続ける****
ナイジェリア東北部を拠点とするイスラム過激派組織「ボコ・ハラム」が多数の女性や子供を拉致するなど、活動を活発化させている。

「さらなる攻撃」を警告する映像もインターネット上で確認され、緊張が高まっている。

「我々は殺し続ける。人々を拉致し、売りさばく」
ナイジェリアのメディアによると、ボコ・ハラムの幹部が約20分間の映像の中で叫んだ。(後略)【12月19日 読売】
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来年も、世界はこの狂気に悩まされそうです。
ただ、こうした狂気が生まれる背景には、莫大な原油利益がどこに消えているのかわからないような、政治・社会の腐敗・汚職の構造、それへの貧しい人々の不満・反発があるのではないかと思われます。

パレスチナ:「ベツレヘムに行きたい。でも、かなわぬ願いです」】
イエス・キリスト生誕の地とされるパレスチナ暫定自治区のベツレヘムでは、恒例のクリスマスのミサが開かれ、パレスチナとイスラエルとの間で緊張が続くなか、大勢の人々が平和への祈りをささげました。

****キリスト生誕地でクリスマスミサ****
・・・・パレスチナ暫定自治区のベツレヘムにはキリスト生誕の地に建つとされる「聖誕教会」があり、24日深夜から恒例のクリスマスのミサが開かれました。

クリスマスを聖地で祝おうと、ベツレヘムには外国から大勢の巡礼者や観光客が集まり、クリスマスツリーやイルミネーションで飾られた教会前の広場を埋め尽くしました。

パレスチナとイスラエルを巡っては、ことし6月にパレスチナ人の少年が殺害された事件などをきっかけに対立が先鋭化し、イスラエル軍がパレスチナ暫定自治区のガザ地区に侵攻するなど、和平交渉が大きく後退しています。

クリスマスのミサに合わせてベツレヘムを訪れたパレスチナ暫定自治政府のアッバス議長はミサに先立ち、関係者を前に「来年のクリスマスこそは、平和と静けさのなかで迎えたい」と述べて、この地域の平和への思いを新たにしていました。【12月25日 NHK】
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折しも、ガザ地区では、実効支配するハマスとイスラエルとの間で衝突が起きるなど緊張が高まっています。

****ガザで一時交戦 再び緊張高まる****
パレスチナ暫定自治区のガザ地区の境界線付近で、イスラエル軍とイスラム原理主義組織ハマスが一時交戦し、イスラエルはハマスが報復に出る可能性があるとして、イスラエル側の住民の一部に避難を呼びかけるなど再び緊張が高まっています。

イスラエル軍によりますと24日、ガザ地区南部のイスラエルとの境界線付近でガザ地区から銃撃があり、兵士1人が大けがをしたということです。

イスラエル軍は報復としてガザ地区南部のハマスの拠点に対してガザ地区の外側から砲撃したほか、上空から無人機による爆撃も行い、ハマスの軍事部門の司令官を殺害しました。

これを受けて今度はハマスが報復に出る可能性があるとして、イスラエル政府は境界線付近に住むイスラエルの住民の一部に避難を呼びかけました。

一方、ハマスの軍事部門はイスラエル側に責任があるとしたうえで、「停戦の合意違反であり、越えてはいけない一線を越えている」とイスラエル側を非難する声明を出しました。

ガザ地区からは今月19日にイスラエル側に向けてロケット弾が発射され、これに対し、イスラエル軍が翌日、ことし8月の停戦以降初めてとなる空爆を行ったばかりで、双方の間で再び緊張が高まっています。【12月25日 NHK】
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こうした状況で、ガザ地区のキリスト教徒は聖地ベツレヘムを訪れることもかないません。

****<クリスマス>キリスト教徒、かなわぬ聖地訪問…ガザ封鎖****
・・・・今年夏の50日間におよぶ戦闘の一時停戦から26日で丸4カ月を迎えるガザでは、多くのキリスト教徒がキリスト生誕の地とされる西岸地区ベツレヘム訪問の許可をイスラエル側に求めたが、多くは認められなかったという。

「ベツレヘムに行きたい。でも、かなわぬ願いです」。病院勤務のジャフダ・マイケルさん(22)が、ガザ市中心部にあるローマ・カトリック教会で首を振った。「大きな夢」だが、一度も実現していないという。

ガザに住むキリスト教徒は約3500人。圧倒的多数を占めるイスラム教徒に比べ極めて少数だ。クリスマスのこの時期、その大半がイスラエルにベツレヘム行きの許可を求めるが、マイケルさんは「認められるのは親世代の一部で、僕のような若者はまず無理」と話す。

ベツレヘムまでは約70キロの距離だが、イスラム原理主義組織ハマスがガザを制圧した2007年以降、イスラエルはガザを封鎖。域外に出るにはイスラエルの許可が必要になった。若者については「テロ行為をする危険性がある」として、特別な例を除き、まず許可されない。(中略)

今年夏の戦闘では、ガザの人口の4分の1以上に当たる48万人余りが避難のため自宅を離れたが、施設不足で数万人が行き場を失った。教会は施設を開放し、キリスト教徒らが食べ物や水を持ち寄り避難民を支援した。

一方、ベツレヘムでは聖カテリナ教会で恒例のクリスマスミサが行われた。AP通信によると、参加したパレスチナ自治政府のアッバス議長は「過激主義とテロ」の終結を呼びかけた。【12月25日 毎日】
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イラク:「あなた方はイエスのようだ」】
ガザ地区の避難民と同様に、イラクでも「イスラム国」によって家を追われた人々がクリスマスを迎えています。

****<ローマ法王>イラク避難民「イエスのようだ」…電話で激励*****
フランシスコ・ローマ法王はクリスマスイブの24日、イラク北部でイスラム過激派組織「イスラム国」の迫害を逃れたキリスト教徒の避難民に電話をかけ、「あなた方はイエスのようだ」と励ました。

電話を受けたのは、イラク北部クルド人自治区の主要都市アルビル近郊にある避難民キャンプのキリスト教徒。

法王は衛星電話を通じ「イエスは(ベツレヘムから)エジプトに逃げなければならなかった。今のあなた方はイエスのようだ」と述べ、「私はあなた方のそばにいる」と語りかけた。

また、法王が中東に暮らすキリスト教徒にあてた書簡が23日に公表された。法王は書簡の中で「イスラム国」の暴力を非難し、国際社会に対応を要請。現地のキリスト教徒に対して「連帯」を表明し、キリスト教が生まれ育った地である中東にとどまるよう促した。

法王は24日、バチカンのサンピエトロ大聖堂でクリスマスイブのミサをささげ、「世界は慈しみを必要としている」と強調した。【12月25日 毎日】
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“キリスト教が生まれ育った地である中東にとどまるよう”・・・・欧州への難民流入による混乱を防止するためでしょうか。現地で暮らせるなら誰も好き好んで異郷の地には向かわないでしょう。

シエラレオネ:「何とか子どもが食べるものを確保するのが精いっぱい」】
紛争やテロ以外にも、静かなクリスマスを妨げるものがあります。
エボラ出血熱の感染拡大が続くシエラレオネでは、感染予防のため人々が集まって祝うことを全土で禁止しています。

****シエラレオネ エボラ熱でクリスマス祝えず****
エボラ出血熱の感染拡大が続く西アフリカのシエラレオネでは、感染を予防するため人々が集まって祝うことが禁止され、クリスマスシーズンを迎えても、多くの市民がクリスマスを祝うことができないでいます。

WHO=世界保健機関は、24日付けで、エボラ出血熱の最新状況をまとめ、感染者が増え続けている西アフリカのリベリア、シエラレオネ、ギニアの3か国を中心に、感染や、感染の疑いのある人は合わせて1万9497人で、このうち7588人が死亡したとしています。

最も感染が深刻なのは、シエラレオネで、首都フリータウンなどを中心に、依然として感染拡大が続いています。

政府は、感染予防のため人々が集まって祝うことを全土で禁止していて、クリスマスシーズンを迎えても、多くの市民がクリスマスを祝うことができずにいます。

路上で商品を売っていた女性は、「クリスマスを迎えたけれども、うれしいことは何もない。ただ何とか子どもが食べるものを確保するのが精いっぱいだ」と話していました。

さらに店を経営している男性は「エボラ出血熱が発生してから商品が全く売れなくなってしまった」と話していて、長引くエボラ出血熱の感染が市民生活に深刻な影響を及ぼしています。【12月25日 NHK】
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エボラ出血熱の方は、拡大の勢いが弱まってきており、また、治療法やワクチンなどの研究開発も進められていますので、来年のクリスマスは通常に祝えるのではないでしょうか。
食糧援助などで、来年まで生活が持ちこたえることができればの話ですが。

来年の改善が全く見えないテロや紛争など人間の所業に比べれば、エボラウイルスの方がまだ扱いやすい・・・とも言えます。


追記
****シエラレオネ北部、エボラ対策で5日間「閉鎖」 クリスマスの例外も****
シエラレオネ政府は24日、エボラ出血熱の封じ込めを目指し、同国北部に5日間の「閉鎖」命令を出した。店舗や市場は閉鎖され、車両の通行が禁じられ、教会やモスクでの礼拝が禁止される。ただし、キリスト教徒にはクリスマスの25日だけは例外が認められる。(後略)【12月25日 AFP】
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ロシア  経済統合、ウクライナ問題で旧ソ連圏内での求心力低下

2014-12-24 22:34:31 | ロシア

(モスクワ 為替レート電光掲示板の前を歩く女性 【12月7日 AFP】http://www.afpbb.com/articles/-/3034474?ref=jbpress

崖っぷちのロシア経済
ウクライナ情勢に伴う欧米の制裁や国家財政を支える原油の価格下落によって厳しい状況に陥っているロシア経済については、12月17日ブログ「原油価格下落で悪化するロシア経済 ウクライナ東部は沈静化? 破綻寸前のウクライナ財政を抱え込むEU」(http://blog.goo.ne.jp/azianokaze/d/20141217)でも取り上げました。

前回ブログ当時、通貨ルーブルの下落に対し、ロシア中銀は12日に続き、16日にも6.5%幅の大幅利上げに追い込まれました。

金利が高くなれば投資家がルーブルを売らず、ロシア国内の債券や預金で資金を運用してもらえるだろうという狙いでした。

しかし、ロシア中銀の思惑は外れ、政策金利が17%の高水準になったにもかかわらず16日はルーブルが投げ売り状態になり、モスクワ市場では一時、6月時点と比べると、6割近くも低い1ドル=80ルーブルまで下落しました。【12月17日 朝日より】

通貨安が続くと、輸入品価格が上昇し、国民生活に直結するインフレが加速します。
また、銀行・企業の有するドル建て債務の負担も大きくなります。

さすがにその後は行き過ぎ調整するように、1ドル=54ルーブル付近へ戻してはいますが、それでも6月時点(1ドルルーブル前後)と比べると、4割近くも低い水準です。

今後の見通しについては、原因となっている制裁措置については、オバマ米大統領が18日、対ロシア経済制裁の強化を可能にする法案に署名したように、改善の様子はありません。(実際の制裁強化発動は留保されています)

また、原油価格もWTI原油先物でみると1バレル=56ドル付近で推移しており、こちらも上昇の様子は見えません。

制裁措置、原油価格動向が改善しない以上、ロシア経済の苦境も続くことが予想されます。

プーチン大統領は18日、モスクワで内外メディアを集めた大規模な年次記者会見でロシア経済について、「(現在の経済状況を脱するのに)最悪の場合、2年かかる」との見通しを示しています。

しかし、次第にロシア経済悪化の影響は拡大しています。

****ルーブルお断り」続出 欧州各地の両替所取引停止****
ロシアの通貨ルーブルの取引を停止する両替所が、欧州各地で続出している。為替相場が激しく乱高下し、大きな損失が出てしまうリスクがあるためだ。(後略)【12月22日 産経】
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****ロシア国債に格下げの可能性 S&P 弱含みに指定****
米格付け大手スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)は23日、ロシア国債の外貨建て長期信用格付けの見通しを格下げの可能性を示す「ネガティブ(弱含み)」に指定した。現在の格付けは「トリプルBマイナス」で、1段階でも格下げになると「投機的水準(ジャンク債)」とみなされる。

S&Pは指定の理由について、ロシアの金融取引の柔軟性が急速に失われていることや経済悪化の影響が金融システムに及ぶ懸念を挙げた。来年1月中旬までに格付けを見直す可能性があるとしている。【12月24日 産経】
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ロシアの旧ソ連圏内での求心力は低下
影響は欧米だけでなく、これまでロシアと強い関係を維持してきた国々にも及んでいます。

****<ロシア>ルーブル暴落 旧ソ連経済再統合の求心力が激減****
ロシア通貨ルーブルの暴落で、プーチン大統領が推進する旧ソ連諸国の再統合路線に影響が出ている。

ロシアはカザフスタンやベラルーシ、アルメニアと来年1月に経済統合の深化に向け「ユーラシア経済同盟」を発足させるが、直前に起きたルーブル危機を懸念する国々との間で不協和音が表面化し、出はなをくじかれた形だ。

ベラルーシのルカシェンコ大統領は18日、最大の貿易相手国であるロシアとの取引を従来のルーブルからドルかユーロに切り替えるよう求めた。ルーブル暴落が自国経済に波及するのを防ぐためだ。

ユーラシア経済同盟は将来的に欧州連合(EU)のような通貨統合を視野に入れているが、軸となるルーブルの信頼感が揺らげば実現は遠のく。

また、キルギスのアタムバエフ大統領は今年10月、ユーラシア経済同盟に加わる意向を示していたが、現地からの報道によると、ルーブルの暴落を受けてキルギス政府が加盟の先送りを決定したという。(中略)
 
プーチン大統領は23日、モスクワでユーラシア経済同盟に参加する4カ国の首脳会議を開催し、来月の同盟発足を国際社会にアピールしたい考え。しかし、ロシアの旧ソ連圏内での求心力は低下しており、厳しい船出となることが予想される。【12月21日 毎日】
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現在のロシア経済・ルーブルの状況では、「ユーラシア経済同盟」どころではないでしょう。

こうしたなか、ベラルーシのルカシェンコ大統領が21日、カザフスタンのナザルバエフ大統領が22日に相次いでウクライナを訪問。ウクライナ危機の打開に向けた独自外交に乗り出しています。

ウクライナ問題への対応についても、ロシアの求心力低下が窺えます。

****進む“プーチン離れ” ベラルーシ、カザフがウクライナ支援表明****
 ■「ユーラシア経済連合」に揺らぎ
旧ソ連に属したベラルーシとカザフスタンの首脳がウクライナの首都キエフを相次いで訪れ、経済関係の強化や、同国東部でのロシアの関与する紛争の終結に向けた支援を表明した。

ベラルーシとカザフは、ロシアの主導で来年1月に発足する「ユーラシア経済連合」の参加国。3月のクリミア併合以降のロシアの対ウクライナ政策に旧ソ連諸国は懸念を強めており、始動が目前に迫った「連合」がきしんでいる。

カザフのナザルバエフ大統領は22日、ウクライナのポロシェンコ大統領と会談し、冬季の燃料不足にあえぐ同国への石炭供給や、「軍事技術協力の再開」で合意。ロシアとの軍事協力を絶ったウクライナから、カザフへの装甲車両や航空部品の輸出も想定されている可能性がある。

ナザルバエフ氏は、ウクライナ東部の紛争を「国内問題」とするロシアの立場に反し、両国と欧州連合(EU)が和平交渉の当事者だと強調。

ベラルーシで独裁体制を敷くルカシェンコ大統領も21日、紛争をめぐる「心労」を共にするとポロシェンコ氏に述べ、最大限の支援を約束した。

露、ベラルーシ、カザフは来年1月、現行の「関税同盟」を発展させ、単一の市場形成を目指す「連合」を始動させることで合意している。プーチン露政権は旧ソ連諸国の経済統合を最重要課題とし、他国にも参加を呼びかけてきた。

しかし、「ロシア系住民の保護」を口実にしたクリミア併合やウクライナ東部への介入が周辺国の警戒感を高めた。ベラルーシもカザフも、ロシアが米欧の制裁に対抗して発動した農水産品の輸入禁止に同調していない。

欧州産品がベラルーシ経由で流入している-と主張するロシアが対抗措置を取るなど、両国は“通商戦”を展開している。

ロシア経済が通貨ルーブルの暴落で危機的局面に入ったことも、周辺国に経済関係の多角化を迫っている。「周辺国の利益とロシアの野望が一致せず、ロシアはますます孤立していく」(専門家)という流れができつつある。【12月24日 産経】
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もっとも、ロシア・プーチン大統領としても、なかなか自分からはウクライナ問題で譲歩するような行動はとれないので、ベラルーシやカザフスタンが先導してくれれば動きやすい・・・という側面もあるのではないでしょうか。

24日と26日にベラルーシの首都ミンスクで、ウクライナ政府と親ロシア派のウクライナ東部での停戦合意履行のための協議が行われることになっています。

****親ロ派ときょう協議 ウクライナ、停戦順守巡り****
ウクライナ大統領府は22日、ポロシェンコ大統領がドイツ、フランス、ロシアの各首脳と4者電話会談を行い、開催できないままになっている東部での停戦合意履行のための親ロシア派との協議を、24日と26日に隣国ベラルーシの首都ミンスクで開くことで一致したと発表した。

ベラルーシ外務省は23日、24日の協議開催を確認した。開かれれば、9月の停戦合意に定められた緩衝地帯の設置や大型武器撤去の実現に向け、ロシアや欧州安保協力機構(OSCE)の代表を交えて話し合うことになる。

ウクライナは12月初旬から2度にわたって協議の開催予定を発表したが、いずれも実現しなかった。

東部では停戦合意後も局地的に激しい戦闘が続き、国連人権高等弁務官事務所によると、今月12日までの約3カ月で1357人の市民、兵士が死亡した。

一方で、政府軍が9日から「沈黙の日」を宣言して以来、大規模な戦闘は沈静化し、11日以降は死者数が減っている。【12月24日 朝日】
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クリミアは得たものの・・・
一方、ウクライナ政府は北大西洋条約機構(NATO)加盟へ向けた動きを強めており、ロシアは「緊張をエスカレートさせる」(ラブロフ外相)と強く反発しています。

****<ウクライナ>非同盟中立を取りやめ NATO加盟へ第一歩****
ウクライナ最高会議(国会)は23日、同国外交の基軸として規定されていた非同盟中立路線を取りやめる法案を賛成多数で可決した。ロシア通信が伝えた。

ポロシェンコ大統領が「非同盟では国家の安全を保障できない」として撤廃を提案していた。親欧米の現政権が追求する北大西洋条約機構(NATO)加盟への第一歩となり、ロシアは強く反発している。

非同盟路線は2010年から法律で規定されていた。ウクライナ東部で続く親露派武装勢力との紛争やロシアによるクリミア編入を背景に、ポロシェンコ氏は今後、NATO加盟の可否について国民投票を実施する方針だ。

ロシアのケリン全欧安保協力機構(OSCE)常駐代表は「非友好的な措置であり、関係を緊張させるだけだ」と批判した。【12月23日 毎日】
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ただ、欧米側は、ロシアと緊張状態にあるウクライナをNATOにすんなり入れて、ロシアと事を構えるような事態となることは望んでいないでしょう。

ロシアは、「ウクライナがNATOに入らない100%の保証が必要だ」(ペスコフ大統領報道官)としており、今後の欧米・ロシアの交渉が注目されます。

プーチン大統領のウクライナ編入、更にウクライナ東部への介入は、ロシアの国際的孤立を招き、ウクライナ政府を欧米側に追いやり、ロシア周辺国の警戒心を刺激して旧ソ連経済再統合も難しくするなど、その代償は大きなものがあります。

力任せに好き勝手にふるまっているようにも見えるロシア・プーチン大統領ですが、大きくみると、その戦略はあまりうまくいったようには見えません。

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「武器貿易条約(ATT)」が明日発効  通常兵器取引を規制する初めての国際ルール

2014-12-23 21:52:54 | 国際情勢

(2012年6月のATT交渉会議の際に、ニューヨーク・ブルックリン橋付近のイーストリバー沿いに置かれた“墓標” アメリカの条約参加が難しいのは残念ですが、それでも第1歩です。 “flickr”より By Control Arms https://www.flickr.com/photos/controlarms/7644439086/in/photolist-cDvKpU-4wGgwu-4tAfGB-4wC8pZ-4wC8pM-3kxZgw-pPgTiW-4wC8oD-5osk1q-9pjYFD-cpm8my-4PmFiR-5rT3cr-5rT3cM-4tEiWW-4PqW1f-8keyPi-4PqW1G-dg7x9k-4vfLUJ-cvLsMm-cvLsEY-cvLszu-cvLtf7-5nETC3-cDvMMq-4PmFkK-ejtSNS-4PEirS-3kxYDy-3kxXBu-5nETC5-5nEUxy-cH7S99-4tAfBH-8YakFd-ejtSpb-4PzM66-5osk1j-7978tf-8YakK9-8Y7i6v-4PEiqq-aWfeQ6-aWfeE6-aWfeJV-aWfeUe-91HqoW-4PA4yX-5osk1y)

効果的に規制できるは今後の運用次第 透明性が高まり信頼醸成につながる効果も
いつも言っていることですが、国際社会の批判にも拘わらず世界の各地でいっこうに絶えることのない戦争・内戦・紛争・武力衝突・テロ等で使用される夥しい武器は一体誰が供給しているのか? 戦闘を止めるように言ったところで聞く耳を持たない当事者ですが、武器供給を規制することができれば、戦闘を長く続けることもできなくなります。

そうした観点で、期待が持てるのが「武器貿易条約(ATT)」です。

核兵器や化学兵器と違い「野放し状態」だった通常兵器の国際的な取引に、世界共通の法的拘束力を持つ規制となる「武器貿易条約(ATT)」については、これまでも取り上げてきました。

2013年3月30日ブログ“「武器貿易条約(ATT)」採択見送り 今後は国連総会で採決の見通し”(http://blog.goo.ne.jp/azianokaze/d/20130330
2014年1月14日ブログ“カラシニコフ氏の苦悩 「武器貿易条約」(ATT)のその後”(http://blog.goo.ne.jp/azianokaze/d/20140114

国連での議論をリードしてきた国のひとつでもある日本政府は今年5月9日、武器貿易条約の批准書を国連に提出し、32番目の締約国となりました。

9月25日には批准国が発効に必要な50カ国に達したことで、条約は規定に従い、90日後の12月24日に発効します。

****武器貿易条約、24日に発効****
世界で850億ドル(約10兆2000億円)相当の規模を持つ武器取引に関する国際ルールを定めた武器貿易条約(Arms Trade Treaty、ATT)が24日に発効する。

武器の規制を求める非政府組織(NGO)による国際キャンペーン「コントロール・アームズ」のアンナ・マクドナルド代表は「あまりにも長い間、武器や弾薬はそれが誰の生活を破壊するのか、ほとんど問われないまま取引されてきた。今週発効される武器貿易条約によってそうした状態に終止符が打たれるだろう。人権侵害者や独裁者の手に武器を委ねることがようやく国際法違反となる」と述べている。

1996年の包括的核実験禁止条約(CTBT)以来の大規模な武器協定となるATTは、戦車や戦闘機からミサイル、小火器まであらゆる武器の国際取引を対象としており、これまでに計130か国が署名、60か国が批准している。

世界最大の武器生産国であり輸出国でもある米国は、署名はしているものの批准していない。

一方、国際人権団体アムネスティ・インターナショナルによれば、世界の武器輸出国上位10か国のうちの5か国、フランス、ドイツ、英国、イタリア、スペインは同条約を批准済みで、人権侵害の当事者に対する武器供給の削減を目指す厳密な基準に準拠することを誓っている。

またイスラエルは発効直前の今月に入って署名したが、中国とロシアは署名していない。【12月23日 AFP】
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「武器貿易条約(ATT)」の概要については、以下のように報じられています。

****通常兵器に初規制****
・・・・ATTは、通常兵器の非合法市場への流出を防ぎ、戦争犯罪やテロ行為など非人道的な行為を予防するのが目的。

対象範囲として、戦車や戦闘機、装甲戦闘車両や攻撃ヘリコプターなど大型兵器7種類と、自動小銃などの小型武器の計8項目を明示。武器取引の可否を判断する際の基準を設けた。

最も厳格に規制されるのは、国連安全保障理事会決議に基づく禁輸措置違反や、大量虐殺や「人道に対する罪」、民間人の直接攻撃に使われると分かっている場合だ。輸出入だけでなく、通過、積み替え、仲介といった「あらゆる移転」が禁止となる。

また、国際人道法や国際人権法の重大な違反、テロや国際組織犯罪に関連する協定違反につながる危険性がある場合は、輸出を許可しないことを義務化。武器の非合法市場への流出防止措置をとることも義務とされた。

焦点の一つで、規制推進派国や国際NGOなどが強い措置を求めていた弾薬の移転は、一定の規制を受けるものの流出防止の対象外となるなど、条約の運用の際に議論となりそうな項目も多い。

条約への正式参加には各国議会などによる批准が必要。しかし、条約導入に政府は前向きながら、国内に強硬な武器規制反対派を抱える世界最大の武器輸出国・米国で、批准が実現するかどうかには不安定要素がある。

米国が不参加となれば、ロシアや中国など他の主要武器生産国も消極的になる可能性も出てくる。

また、密輸による紛争地への武器供給などを効果的に規制できるかも、今後の運用次第だが、各国の裁量に任されている部分も少なくない。(後略)【2013年04月03日 毎日】
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条約改定手続きに必要な数は当初草案の「批准国会合の議場の総意」から「4分の3以上の賛成」へと緩和されており、将来の規制厳格化を見据えた内容となっています。【2013年04月03日 産経より】

“国連外交筋は「武器貿易条約は各国が(通常兵器の取引で)初めて法的義務を負う普遍的なルール。条約施行に伴って各国に説明責任が生じ、互いに何をしているのか透明性が高まった結果、信頼醸成につながる効果もある」としている。”【同上】とも。

アメリカについては、批准に上院出席議員の3分の2の賛成が必要ということで、ただでさえオバマ大統領と議会多数派の共和党が対決姿勢を強めている状況ではハードルが高そうです。

記事にもあるように、アメリカが参加しないなら、ロシア・中国も・・・という話にはなりますが、仮にそうであったとしても、武器取引に関する国際的基準が形成される意義は決して小さくはないと思われます。

地雷やクラスター爆弾に関す国際規制でも、主要国が参加しなくても国際基準が作られることで、不参加大国もそれまでのような勝手なことはできなくなり、事実上規制がそうした国にも及できたということもあります。

ロシア企業の武器取引拡大
最近の武器取引については、アメリカ企業の取引額が減少している一方で、ロシアや新興国企業が取引を増やしている様子が報告されています。

****露の兵器販売が増大 新興国企業の成長で 国際研究所調査****
スウェーデンのストックホルム国際平和研究所(SIPRI)は15日、欧米など世界の主要な兵器関連企業による2013年の武器取引の総額が3年連続で減少する一方、ロシアなど新興国の企業による取引額は増大し続けているとの調査結果を明らかにした。

SIPRIが選んだ世界トップ100社の武器取引総額は13年、前年比2%減の4020億ドル(約47兆7千億円)だった。

米国など北米企業の取引額が漸減する一方、ロシア企業の売り上げが対前年比で20%も増えたことが最大の要因という。

ロシアの戦術ミサイル会社(対前年比118%増)などのほか、通信や電子機器のメーカーも売り上げを大きく伸ばした。

ロシア以外には、ブラジルやインド、韓国などの新興企業が成長していることも浮き彫りになった。

SIPRI兵器・軍事支出プログラムのフロウラント部長は、「欧米以外の企業による兵器取引は05年から増え始め、13年に初めて全体の15・5%を占めるまでになった」と述べた。

中国企業については「信頼できる情報がない」として、調査対象から外したという。今後、中国企業に情報開示を求める声が強まることも予想される。【12月16日 産経】
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売り上げが減少したとはいえ、世界の武器メーカーの売上高の上位10社のうち6社は、依然としてロッキードやボーイングなどアメリカ企業が占めています。

ロシア企業の伸びは内需に支えられており、「ロシア政府が2000年以降、軍による武器調達に必要な資金を継続的に支出しているためだ」(SIPRIのシーモン・ウェゼマン上席研究員)とされています。

“ロシアの軍事支出は2004年以降、倍以上にまで膨らんでいる。ロシアは2013年、米国と中国に次いで世界で3番目に防衛支出が多い国となった”【12月15日 AFP】】とも。

日本 積極輸出へ方針転換
日本企業では、三菱重工業(27位)、三菱電機(68位)、川崎重工業(75位)、NEC(93位)の4社がランク入りしています。

日本の武器輸出に関しては、周知のように安倍政権によって今年大きな方針転換がなされました。

****武器輸出:新たな「防衛装備移転三原則」決定****
 ◇一定条件満たせば輸出可能に、理念も「国連憲章の順守」に

政府は1日午前の閣議で、武器輸出を事実上禁じてきた「武器輸出三原則」に代わる新たな「防衛装備移転三原則」を決定した。

「全面禁輸」を掲げつつ、必要に応じて例外として輸出を認めてきた従来の方針を転換し、今後は一定の条件を満たせば輸出が可能になる。

三原則の基本理念もこれまでの「国際紛争の助長回避」から「国連憲章の順守」に変更した。(後略)【4月1日 毎日】
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なんとなく、これまで武器輸出を事実上禁じてきた「武器輸出三原則」が多少緩和され、国際共同開発などへの現実的対応が図られた・・・というようにも受け取っていたのですが、輸出できるものは積極的に輸出して成長戦略の柱にしよう・・・という、発想が大きく変わったとも言っていいようです。

****パリの兵器・防衛装備品展示会に初の日本ブース****
パリ郊外で16日開幕した世界最大規模の陸上兵器・防衛装備品の展示会「ユーロサトリ」に、初めて日本ブースが設けられた。

日本政府が4月に閣議決定した「防衛装備移転3原則」で、条件を満たせば武器輸出が認められたのを受けた動きだ。日本の防衛産業は予算減などで地盤沈下が続いており、海外展開で活路を開く狙いがある。

日本から参加したのは、三菱重工業や川崎重工業、NEC、日立製作所など大手、中小あわせて13社。パラシュートや架橋設備のほか、磁力を使って地中の様子を画面に表示できる地雷探知機、砲弾や地雷攻撃に耐えられる輸送用装甲車のモデルなど新技術が紹介された。仏紙ル・モンドが「日本の武器市場競争への回帰」と報じるなど、欧州での関心は高い。

これまで、日本の防衛産業は取引先が自衛隊に限られていた。しかし、新3原則では平和貢献や国際協力、日本の安全保障につながることなどを条件に輸出や国際共同開発が認められた。【6月17日 読売】
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TV番組で観た官民一体となった兵器輸出への積極姿勢は、個人的には「世の中変わったね・・・」と、意外な感がありました。

リビアからの武器流出・拡散 北朝鮮の武器輸出
話をATTに戻すと、ATTにより“まっとうな”武器取引の透明性は高まることは期待できますが、武器供給については現実には様々なケースが存在します。

現在、多くの紛争地域で戦闘を誘発しているのは、リビア・カダフィ政権崩壊による武器流失であると言われいます。

****<リビア流出武器>アフリカ・中東に拡散…政情不安に危機感****
アフリカ各国の首脳が、北アフリカ・リビアから旧カダフィ政権の保有していた武器が大量に拡散し、各地の政情不安につながっているとして危機感を強めている。

武器は最近動きが目立つイスラム過激派や武装集団が使用。国連の専門家チームはアフリカ、中東の14カ国・地域への拡散の疑いを指摘する。

ロイター通信などによると、西アフリカ・セネガルの首都ダカールで16日、安全保障を協議する首脳会議が開かれた。リビア南部では国際テロ組織アルカイダ系過激派などが活動。政情が不安定になればさらなる武器の拡散につながる。

マリのケイタ大統領は「リビア南部の問題を解決しない限り、地域の平和はない」と指摘。チャドのデビ大統領は「危機解決はアフリカの手中にはなく、西側、とりわけ北大西洋条約機構(NATO)にある」と述べ、軍事介入によってカダフィ政権崩壊を助けた西側諸国の責任を問いかけた。

「アラブの春」が波及したリビアではカダフィ政権崩壊(2011年8月)後、武器がサハラ砂漠を越えて南のアフリカ各国に大量に流れた。

西アフリカのマリでは、リビアの武器を入手して強大化したアルカイダ系組織と遊牧民武装勢力が12年にマリ北部を制圧し、フランス軍などの介入(13年1月)で放逐されるまで、広域を支配する事態となった。

国連の専門家が今年2月にまとめた報告書では、北・西アフリカ各国の他、アフリカ中部のチャドや中央アフリカ共和国▽アフリカ東部のソマリア▽中東のシリアやパレスチナ自治区ガザ地区--などへの武器流入の疑いを指摘している。

中央アフリカは13年3月に反政府組織が政権を打倒して以降、イスラム教徒とキリスト教徒の宗教対立に発展して人道危機が深刻化している。

西アフリカ・ナイジェリアで支配地域を拡大しているイスラム過激派ボコ・ハラムは、北・西アフリカのアルカイダ分派を通じてリビアの武器を入手していると指摘されている。リビアからの武器はアフリカ各地の混乱を助長する一因となっている可能性がある。

リビアには、仏軍などによりマリから掃討されたイスラム過激派が潜伏するほか、イラク・シリアで勢力を拡大する過激派「イスラム国」も拠点作りを進める。複数の民兵組織同士の戦闘も激化して治安は悪化しており、新たな内戦突入への懸念が高まっている。【12月22日 毎日】
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また、国際規制に一切関与しようとしない北朝鮮の武器輸出も不安定要素となっています。

****金正恩政権の武器がイスラム国に渡っている「2015恐怖のシナリオ****
北朝鮮製の戦車や武器がイスラム教スンニ派過激組織「イスラム国」(IS)に渡っていることが新たな脅威として注目されている。

シリアは北朝鮮と長年の軍事協力関係にあるためで、シリアを本拠地とするISが奪取したもようだ。ISメンバーが使う携帯式地対空ミサイルシステム(MANPADS)も北朝鮮製でヘリや旅客機テロも可能という。

一方、金正恩政権は年初にも潜水艦から発射される弾道ミサイル(SLBM)実験を計画中との有力情報があり、米韓両国が監視中だ。精度を上げている北朝鮮武器のテロ・ネットワークへの流出が懸念されている。(後略)【12月23日 産経】
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現実にはなかなか規制が及ばない問題は多々ありますが、それでも、繰り返しになりますが、ATTによって武器取引の国際基準が初めてつくられた意義は小さくないと思います。
今後へ向けての第1歩です。
コメント

フランス  イスラム教徒による事件が連続 国民不満の受け皿となる右翼政党・ルペン氏

2014-12-22 22:02:56 | 欧州情勢

(11月末の党大会でのマリーヌ・ルペン氏(中央女性) アジア系少女も配して民族主義的偏見のないこともアピールでしょうか。
大会にはオランダ極右政党・自由党(PVV)のウィルダース党首も招かれています。“flickr”より By https://www.flickr.com/photos/jarousseau/15735364960/in/photolist-pYtRMS-qdKxEu-qfYsuC-qfRK5z-pYt4V9-pTHHGY-puGPKR-oRH4Ty-pNyBKt-pw7JjG-pwarfC-p5uQKL-pypaBn-oRbBwe-qfYsc3-pjgVT2-pWfyHR-q49wgm-q6eT14-pE4HSF-oHrzfE-q95Fr9-oHrAwN-pE4H5P-pVejv9-pw54xZ-pw8izi-pNCUYL-pNCYms-pw8mVM-pP93j7-pNhVQc-oRH6fb-pw7EdA-pNyDnX-pPhyi1-oSpLK2-pwLX2i-pRaCdF-pwLiwE-pRaDvk-pwLmJw-pwP6ab-petu3b-pM7SfQ-pPhF9W-pNYzq6-pPhyT9-pPhDr7-pPdimt)

【「イスラム教徒に対する偏見が広がらないか心配だ」】
15日から16日にかけて、オーストラリアの最大都市シドニー中心部のカフェに武装した男が客や従業員を人質に立てこもった事件では。犯人がイランからの政治亡命者で、イスラム過激派の思想に共鳴していたことから、移民国家オーストラリアにあって、イスラム教徒への排斥機運も懸念されています。

****<豪立てこもり>対イスラム 移民大国に「反感」と「融和****
・・・・モニス容疑者は過激なイスラム思想を持つイランからの移民で、オーストラリアでイスラム教徒への差別や偏見が深まるとの懸念が出ている。

宗教や民族に関わりなく移民を寛容に受け入れてきた国是が揺るぎかねないだけに、融和を呼びかける動きも活発だ。

「イスラム教徒もこの国の一部。分断して考えないでほしい」。シドニーのイスラム教指導者の一人でパキスタン出身のナゼル・ハサン・タンビ氏(74)は16日朝、心配でいても立ってもいられずに事件現場となったシドニーの現場近くを訪れた。

タンビ氏は昨年、市内のモスクでモニス容疑者と会って話をしたことがあるという。「(容疑者は)イスラム教徒のコミュニティーとも距離を置き、1人で行動していた。イスラムの教えを正しく理解していれば、こんな事件は起こさない。イスラム教徒に対する偏見が広がらないか心配だ」と話した。

オーストラリアは毎年12万人の移民を受け入れる移民大国で、現在は人口の約2%にあたる約50万人のイスラム教徒を抱える。

しかし、イスラム教徒は一般的に経済面で恵まれず、多数派のキリスト教徒からの疎外感を感じやすいとされる。

イスラム国はそういった移民の不満を背景に2、3世に過激な思想を広め、現在では60人以上が中東で従軍。
非イスラム教徒からは「移民として受け入れたのに、テロという形で恩をあだで返そうとしている」との反感を生み、インターネット上で「イスラム教は殺人カルトだ」「イスラム教を禁止せよ」などと憎しみをあおる内容のサイトも出現した。

一方、事件後、厳しい目にさらされるイスラム教徒を守ろうとする動きも始まった。列車内でイスラム教徒の女性が人目を気にしてスカーフを脱いだところ、そばにいた別の女性が「(嫌がらせされないように)私が一緒に歩いてあげる」と声を掛けた。ネット上で話が広まると、ツイッターなどでこの行為に賛同する声が35万件以上寄せられている。

現場近くでは16日、多くの市民が献花に訪れ、昼休み時間帯には行列ができるほどだった。元看護師のキャット・デルニーさんは、涙を流す参列者のためにティッシュペーパーを持って配った。「キリスト教徒といっても200年ほど前に来たばかり。隣人同士理解しようとすれば、必ず皆で団結できる」。自分に言い聞かせるように話していた。【12月16日 毎日】
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いろいろ問題の多かった危険な人物がなぜ野放し状態になっていたのかについては厳しい批判が政府に向けられていますが、“現地では事件を受け、政治家らが多民族融和の重要性を繰り返し、メディアもこれを何度も取り上げている。今のところイスラム教徒に対する目立った差別的言動は見られない”【12月17日 産経】

フランスでも「アッラー・アクバル」・・・
時期を同じくして、フランスでも20日と21日、同様な事件が連続しています。

****警官襲撃の男射殺=「イスラム国」に感化か―仏****
フランス中部ジュエレトゥールで20日、刃物を持った男が交番を襲い、警官3人が重軽傷を負う事件があった。

男はアフリカ出身のフランス人で、犯行後に射殺された。アラビア語で「神は偉大だ」と叫んでいたことから、当局はイラクやシリアで台頭する過激組織「イスラム国」の思想に感化された可能性もあるとみて調べている。仏メディアが報じた。【12月21日 時事】 
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****神は偉大」、次々歩行者はねる=11人けが、男を逮捕―仏****
フランス東部ディジョンで21日、車に乗った40歳前後の男がアラビア語で「神は偉大なり」と叫びながら5カ所で歩行者に突っ込み、計11人が負傷する事件があった。男は駆け付けた警官に逮捕された。

AFP通信によると、男は精神的に不安定で、精神科への通院歴もあった。犯行当時、「パレスチナの子どものために活動している」という趣旨の発言もしていたとされ、当局はイスラム過激組織との関連を調べる。

けが人のうち2人は重傷で、残る9人は軽傷。いずれも命に別条はない。【12月22日 時事】 
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こうした事件が起きることで国民のイスラム教徒への視線が厳しくなり、イスラム系同胞の生活をますます困難にするだけなのに、なぜそんな簡単な道理がわからないのか・・・と言ってみても仕方がないところがあります。こうした事件を起こす者は心のバランスを失っており、ほとんど精神的には病んでいると言ってもいい状態でしょう。

宗教的な問題や主義主張の問題というよりは、日ごろの不平不満で病んだ精神のもとで、卑小な怒りを爆発させたというだけの話です。

イスラム教徒の人口がヨーロッパで最も多い国
ただ、精神的に病んだ者の凶行というだけですまないのは、被害者とその家族の怒り・悲しみの問題のほかに、こうした凶行が、外国人排斥の風潮が高まる社会をますます排他的な方向に追いやる危険もあるからです。

フランスは、少数派としてのイスラム教徒の人口がヨーロッパで最も多い国であると同時に、イスラム恐怖症やイスラム排斥も強い国でもあります。

非公式の統計ではフランス国内もイスラム教徒はおよそ600万人とされ、全人口のおよそ1割を占めています。

移民がもたらす経済的・政治的な軋轢、治安上の問題は今さら繰り返すまでもないことですが、一方で、フランスの議会には人口の1割を占めるイスラム教徒の代表が一人も存在していません。

2011年には、ムスリム女性の顔や全身を覆うブルカを公共の場で着用することを全面的に禁じられるなど、イスラム教徒側からすれば、自分たちの宗教・生活が侵害されているという思いもあります。

CCIF(フランスのイスラム恐怖症に反対する委員会)は、2012年にイスラム排斥行為が469件発生したことを明らかにしており、「フランスでは、1日に少なくとも一人がイスラム排斥行為の犠牲者となっている」と表明しています。【2013年7月23日 Iran Japanese Radioより】

こうした社会への不平不満が土壌となって、フランス国籍を有する900人余りが、「イスラム国」の兵士としてシリア・イラクに向かっているとも言われています。

着実に支持を拡大するマリーヌ・ルペン党首率いる右翼政党・国民戦線(FN)】
欧州各国の右傾化、移民排斥の機運については、これまでもたびたび取り上げてきましたが、最近の報道としては、オランダ極右政党・自由党(PVV)のウィルダース党首に関するものが報じられています。

****人種差別あおった」右翼党首訴追 オランダ検察、選挙運動中の発言で****
移民排斥を訴えるオランダの右翼政党の党首が選挙運動中の移民への差別的な発言で市民から告訴されていた問題で、オランダの検察当局は18日、人種差別をあおったとして、右翼・自由党(PVV)のウィルダース党首を訴追すると発表した。

地元紙フォルクスクラントなどによると、ウィルダース氏は3月、地方選の選挙活動の演説で、「モロッコ人は多いのと少ないのどちらがいい?」とあおった。「少ない方」と聴衆が応じると、「それに取り組もう」と答えたという。反イスラム的な発言だとして、抗議する市民らがウィルダース氏を告訴していた。

検察当局は訴追の理由について声明で、「政治家に表現の自由はあるが、人種差別禁止によって制限を受ける」と説明した。これに対して、ウィルダース氏は「誰もが思っていることを言っただけ。検察は(『聖戦』を実行する)ジハーディストの訴追に時間を使った方がいい」と声明で反発している。

ウィルダース氏の差別発言まで、PVVはオランダ国内の政党に関する世論調査で第1党の人気を得ていたが、発言後は第3党に転落。5月の欧州議会選では前回と同じ4議席を獲得するにとどまった。

最近では、過激派「イスラム国」の台頭や政府の社会保障改革への反発などで再び第1党に戻ったが、訴追によって支持を失う可能性もある。

ウィルダース氏は反イスラム的な言動で過去にも訴追され、2011年に無罪となっている。【12月21日 朝日】
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フランスには、オランダのウィルダース党首より慎重に事を運び、より大きな勢力を築きつつある政治家・政党が存在します。マリーヌ・ルペン党首(46)率いる右翼政党・国民戦線(FN)です。

****極右政党」市民の抵抗感薄らぎ…フランス「極右市長」が狙う理想と現実****
フランスで勢いを増す極右政党「国民戦線」(FN)が国政での影響力拡大に向け、地方で実績作りに取り組んでいる。

今春の統一地方選では11人が市長に当選。中でも、カンヌやニースなどの保養地に近い地中海沿いの街、フレジュスの市政はしばしば地元メディアに取り上げられ、注目を集めている。現地で“FN市長”の手腕を探った。

■失敗を教訓に
フレジュス市中心部の市庁舎。バルコニーにはフランス国旗だけが翻る。以前あった欧州連合(EU)の旗は、EUに批判的なFNのダビッド・ラシュリーヌ市長(27)が4月に就任した後、撤去された。

「旗などどうでもいい。街の問題と関係ない」。近くで家電販売店を営む女性(63)が話す。メディアの取材には「今のところ、いい感じよ」と答えるという。

人口約5万2千人の市は周辺に比べて観光客を引きつけられず、活気を失っていた。新たな市長は音楽祭などのイベントを企画し活性化に尽力。商店街も若者らが集まってにぎわった。「店を始めて20年、見たこともない光景だった」。FNへの抵抗感もあったという女性はいま、若き市長に再生への期待を寄せる。

「おおむね市民は満足していると思う」。市長交代に伴って就任したFN党員のリシャール・セール第1助役も、半年余の市政に手応えを感じているようだ。

FNは過去にも市政を担った経験があるが、移民排斥などの党の主張に沿い、フランス人優遇政策を進めるなどして問題化した。セール氏は「失敗を繰り返さないため、現実的にやっている」と強調する。

■批判は許さず
市の喫緊の課題は財政再建と活性化だ。借金は年間予算の1・4倍に相当する約1億4千万ユーロ(約210億円)に膨らんでいたが、資産売却や各種補助金の削減ですでに850万ユーロを捻出。ディスコ誘致などの活性化計画で投資呼び込みも目指す。

堅実にみえる市政運営だが、“ほころび”を示すような問題も浮上している。

「市長は当選前、手を出さないと言っていたのに…」。ビルヌーブ地区にある社会センターで、センター長のサンドリーヌ・モンタガール氏が表情を曇らせた。市の助成金が今年末で打ち切られるため、閉鎖の危機にひんしている。

社会センターは低所得者や移民系住民が多く、地域事情が複雑な市内の3地区に設置されている。市長は就任後、これらを運営する市民団体への補助金半減を表明。モンタガール氏が全国紙の取材に運営への支障などを訴えると、市長はビルヌーブのセンターに限って補助を完全に停止すると決めた。

他の市民団体や地域住民らも反発し、11月中旬には約400人が抗議デモを実施したが、セール氏は「市から資金をもらう立場なら、批判は控えめにすべきだ」と語る。

一方、センターの支持者らは「自由な発言を奪うつもりだ。これは始まりにすぎない」と危機感を強める。

パリ政治学院現代政治研究所のパスカル・ペリノー所長はフレジュス市の例を踏まえ、地方から国政への勢力拡大戦略を描くFNについて、「政敵は排除するとの『戦闘的論理』で行政を担っている。(当選したら)市長は市民全体の代表として行動すべきだという民主主義の原則を理解していない」と懸念を示した。【12月20日 産経】
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社会党のオランド大統領は、景気・失業率の改善がなされていないことから、その支持率は各世論調査で21%~22%と最低を記録し、底知らずの低下を続けています。

最大野党・民衆運動連合(UMP)も党内のゴタゴタが続いており、疑惑やスキャンダルで“過去の人”とも思われていたニコラ・サルコジ前大統領(59)が党首に返り咲いたものの、もはや以前のような勢いはありません。

そういう政治状況で国民の不満の受け皿になっているのがマリーヌ・ルペン党首率いる右翼政党・国民戦線(FN)という訳です。

“サルコジ氏、オランド氏が大統領選に立ったと仮定しての世論調査(10月末)では、FNのマリーヌ・ルペン党首(46)が29%でトップとなり、26%のサルコジ氏と決選投票になるとの結果が出た。オランド氏は14%。ルペン氏は28日付のフィガロ紙のインタビューで「政権をとる準備を進める」と語った。”【12月1日 朝日】

社会党は超不人気なオランド氏をほかの誰かに代えるのではないでしょうか。
いずれにしても、2017年の次期大統領選挙において、ルペン氏が決選投票に残る可能性も高くなってきています。(2012年大統領選挙では、17.9%の得票率で3位)

左翼・保守の双方からの批判も根強い右翼政党のルペン氏が決選投票で過半数を制するのはさすがに難しいとは思われますが、イスラム教徒による事件などでムスリム批判の風潮が強まれば、相当な支持を集めることも予想されます。

なお、党員の極端な極右的言動や差別的言動は認めていないルペン氏ですが、彼女のイスラムへの姿勢は、“フランスでのムスリム移民の野外礼拝をナチス・ドイツによるフランス占領に例える発言をするなど、物議を醸した。ただし、ムスリム移民の排斥を唱えるのでは無く、「フランス社会にふさわしいイスラーム」を求めていくとしている”【ウィキペディア】というものです。
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エボラ出血熱  感染拡大の勢いが鈍化 交わることのない社会が負う責務

2014-12-21 21:08:02 | 疾病・保健衛生

(シエラレオネ 搬送されるのを待つエボラ出血熱に感染したと疑われる夫とその妻 “flickr”より By Q8India https://www.flickr.com/photos/66206215@N07/15879297929/in/photolist-qrdVsG-qaLGvc-qaoHXp-qaJMq8-qaK5B2-qccy3M-qcrnxF-qs8z3y-qaC4qY-q9PWgv-puvCnn-pvqUGv-qaD49L-qqwmv5-pvb8BE-qrZv5D-qaBDqL-qaKsyg-qsasQn-qrZvhH-qaBDEd-qaBDBh-pvb8Hm-qaKszZ-pvpA7X-pvb8zA-qaKsB2-q9tJmg-puCftE-qsczS4-qrybCx-putqjj-qqSDD3-qqf3oW-pt57GC-ptiAjK-q9C8x1-qpsGq2-qpsGk2-qnbzaf-pucy3s-qqQh5V-qqxfNS-q9trcC-qakQWT-qsuYp1-qbbcpt-qoYt51-qakR1v-q8vPQz)

【“落ち度”に目をつぶっても、許すことができないのが愛犬の命を奪った当局の判断
西アフリカのエボラ出血熱は、ようやく感染拡大の勢いに陰りが見えてきましたが、未だ感染拡大は続いており、公式集計でも、すでに7000人を超える死者を出しています。

なお、死者や感染者の数は、発表後に大きく訂正されることもあり、実態を正確に反映していない可能性も指摘されています。

****エボラ熱の死者、7000人超す=西アフリカ3カ国-WHO****
世界保健機関(WHO)の19日付の統計によると、エボラ出血熱による死者(疑い例含む)が西アフリカのシエラレオネ、リベリア、ギニアの3カ国で7373人となった。感染者は1万9031人に上っている。

17日付の統計では死者が6900人で、その後、473人増加した。このうち大半がシエラレオネで確認された。国連は全体としては感染の勢いが鈍化してきたとみているが、シエラレオネを中心に強い警戒を維持している。【12月20日 時事】
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一方、アメリカやスペインでの2次感染騒動もおさまり、日本や欧米社会のエボラ出血熱への関心はうすれてきた感もあります。

そうしたなかで、エボラ関連で最近話題になったのは、スペインで2次感染したのちに無事治癒した看護師の飼っていた犬の処置をめぐる話題です。

****愛犬「エクスカリバー」奪われ悲しむ女性 エボラ恐れ殺処分…怒りの提訴へ****
スペイン・マドリードの勤務先の病院でエボラ出血熱に感染し、その後完治した女性看護師が、一緒に暮らしていた飼い犬を殺処分した保健当局の対応は不当だったとして15万ユーロ(約2197万円)の損害賠償を求め、州政府を提訴する意向であることが19日、米CNNなどの報道で分かった。

犬はウイルス感染しているかどうかの判定を行わずに処分されており、看護師側は「隔離して経過を監視できたはずだ」としている。

この問題ではインターネット上で殺処分に反対する署名が最終的に約40万人に達していた。

提訴を検討しているのは、女性看護師のテレサ・ロメロ・ラモスさん。西アフリカでエボラ熱を発症し、帰国後に死亡したスペイン人宣教師2人をマドリードの病院で看護していて二次感染した。10月6日に感染が確認され、21日に治癒。11月6日に市内の病院を退院した。

しかし、彼女が愛犬エクスカリバーの訃報を知らされたのは、エボラ熱を克服して血液検査で陰性反応が出た10月19日のことだった。

夫のハビエル・リモンさんから電話で愛犬の死を告げられたといい、「夫はあまりに悲しい知らせだったので時を待とうと考えていたようだ。(愛犬の死は)完全に予想外で、何も言葉が出なかった」と振り返る。

この間、リモンさんらが何もしなかったわけではない。10月7日に殺処分方針が決まると、「もし承認しなければ、自宅に踏み込んで犬を殺すための裁判所命令を取り付けると保健当局の責任者に通告された」とこれを非難。

このことがネット上で大きく取り上げられ、オンライン署名募集サイトに立ち上げられたエクスカリバーの助命嘆願には、8日までに37万4000人の署名が集まった。

嘆願書は「エクスカリバーは(子供のいない)ロメロ夫妻にとってはただの犬ではなく、家族の一員だ」と訴え、殺処分ではなく隔離を行うよう要求。動物保護団体もエボラウイルスが犬から人に感染する証拠はないと主張し、救済運動を展開した。

しかし、保健当局側は殺処分を譲らず、エボラ熱の症状がなくても、ウイルスを媒介する恐れや、体液とともに外部にウイルスを排出する可能性があるとして安楽死させるよう求める裁判所命令を取り、反対派が抵抗する中、8日に自宅アパートからエクスカリバーを連行。その40分後、「エクスカリバーは苦しむことなく眠るように死んだ」とする声明を発表した。

ロメロさんは「私はエクスカリバーの死以外の全てのことは忘れるつもり。でも、あの子はなぜ、感染していたかも分からないまま殺されなければならなかったの? 私には、犬の命を犠牲にするよりも隔離して監視する方が賢かったと思えてならない」と悔しがる。

実際、米テキサス州の病院でエボラ熱患者の治療中に二次感染した女性看護師、ニーナ・ファムさんの場合、愛犬のベントレーは隔離され、検査で陰性反応が出たことを確認した後にファムさんに引き渡されている。

ロメロさんは、勤務先の病院では決められた対応マニュアルに従ってエボラ熱患者の看護に当たっていたと説明。それでも感染したのは保健当局のマニュアルに不備があったせいだと憤る。

これらの“落ち度”に目をつぶっても、許すことができないのが愛犬エクスカリバーの命を奪った当局の判断だ。

「犬が殺されると分かっていれば、(エボラ熱患者の看護に)自主的に応じたりはしなかった」。ロメロさんはCNNの取材に、こう言い切った。【12月20日 SabkeiBiz】
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母親の遺体と共に自宅に閉じ込められ、飢えと渇きに泣き叫びながら死を迎えた少女
この女性看護師はエボラ患者治療に自主的に参加し、不幸にして(あるいは保健当局の“落ち度”のために)感染し、命を落としかけた方であり、その行動は賞賛されこそすれ、問題視されるものはありません。

また、私も猫を飼っていますので、ペットを思う気持ちも多少はわかります。

ただ、この記事を読んで、なぜかすっきりしないもの、違和感を感じたのも事実です。
エボラの感染拡大という社会全体が負うリスクに対して、1匹の犬の命をどのように考えるかという問題の他にも、また別の感情もありました。

そのとき思い出していたのは、シエラレオネで母親の遺体と共に自宅に閉じ込められ、飢えと渇きに泣き叫びながら死を迎えた少女の話を伝えた記事でした。

****見捨てられた一家の死、恐怖が生む差別 エボラの悲劇 リベリア****
見捨てられたリベリアの村で唯一響き渡っていたのは、母親の遺体と共に自宅に閉じ込められ、飢えと渇きに耐えながら死を待つ少女の叫び声だった。

やがてこの少女、ファトゥ・シェリフさん(12)もまた、同国を含む西アフリカ諸国で1000人以上の犠牲者を出しているエボラウイルスに命を奪われ、その声を止めた。

AFP記者は10日、ファトゥさん一家が暮らしていたバラジャ村を訪れた。すでに大半の住民がエボラ出血熱を恐れて森に逃げた後で、ファトゥさんは母親の遺体と共に1週間にわたり自宅に閉じ込められていた。

村のあちこちに住民たちの持ち物が散らばり、慌てて逃げたのか、ドアが開いたままになっている家もあった。

村にとどまったごく少数の住民のうちの一人、地元指導者の70代の男性が、ファトゥさんの身に起きた恐ろしい出来事を記者に語った。

リベリアの首都モンロビアから約150キロ離れたバラジャ村は、同国でエボラ出血熱の拡大を防ぐために設定された隔離地域のうちの一つの中心部に位置している。

地元指導者によると、ファトゥさん一家で最初にエボラ感染が確認されたのは先月20日、父親(51)が病に倒れた時だった。

村の500人ほどの住民たちは診断結果を知ってパニックになった。通報を受けた保健当局が派遣したチームが到着した時には、父親は死後5日が経過していた。

助けを乞い続けた少女
ファトゥさんと母親(43)は既にエボラを発症していたが、兄のバーニーさん(15)だけは陰性の検査結果が出ていた。

地元指導者によると、父親の遺体を収容した保健当局は、村人たちにファトゥさんとその母親には近づかないよう警告。「2人は朝から晩まで隣人に食べ物を求める叫び声を上げていたが、皆が怖がっていた」という。

母親は今月10日に死亡したが、ファトゥさんの叫び声は聞こえ続けた。一家の自宅のドアや窓はふさがれ、中の様子をうかがい知ることはできなかった。

12日に再びAFPの取材に応じた地元指導者は、ファトゥさんが前夜に水も食料もないまま孤独な死を迎えたと語った。

AFP記者は10日、見捨てられた家屋の一軒にいた兄のバーニーさんを発見。やつれて、汚れたTシャツとすり切れたサンダルを身に着けたバーニーさんは、涙ながらにこう語った。

「誰も僕に近づこうとしない。僕がエボラに感染していないことを知っているのに。お腹がすいたら外で草を探す。それが神のおっしゃることだから、受け入れている」

地元指導者によると、一家を見捨てて村を去った住民らは、エボラ拡大を懸念する近隣の町の住民から嫌がられているという。

リベリアの保健当局は、この村で起きた出来事についてコメントを拒否した。【8月13日 AFP】
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同じエボラ出血熱に起因する話であっても、犬の処分に37万人以上の助命嘆願があつまり、2000万円以上の損害賠償請求がなされる社会と、母親の遺体と共に自宅に閉じ込められ、飢えと渇きに泣き叫びながら死を迎えた少女の生きた社会・・・・全く異なる社会です。

“今”という同じ時間に、交わることのない全く異なる社会が併存している現実をうまく飲み下すことができない違和感を感じたのでした。

エボラのことだけでなく、例えば、イスラム過激派に見られるようなイスラム世界の欧米への憎悪、命の保証がないことを承知で海を渡る難民船の事故、温暖化対策をめぐる果てることのない議論・・・・いろんなところで、この交わることのない全く異なる社会が生み出す問題・軋轢が存在しているようにも思えます。

西アフリカの3か国で100万人が食糧不足に直面
エボラの感染拡大が鈍化したとしても、十分な治療を受けることなく死んでいく多数の患者がまだ存在しています。

たとえ、感染していなくても、感染地域に隔離状態で暮らす人々の生活をどのように支えるのかという問題もあります。

感染の混乱で経済活動、特に農業生産は深刻なダメージを受けています。

****エボラ熱長期化で食糧不足深刻に****
エボラ出血熱の患者が依然として増え続けているシエラレオネなど西アフリカの3か国では、感染の長期化に伴って食糧不足が深刻化していて、国連は、このままでは来年3月に100万人が食糧不足に直面するおそれがあると警告しています。(中略)

WFP=国連世界食糧計画とFAO=国連食糧農業機関は17日、共同で声明を発表し、感染の長期化に伴って、現地では、農家の人たちが隔離されているため農地を放棄せざるをえず、移動制限によって市場に品物が供給されなくなって、人々の食糧の確保にも深刻な影響が出ていると指摘しました。

そのうえで、現在の状況が続けば、来年3月には西アフリカの3か国で100万人が食糧不足に直面するおそれがあると警告し、農業生産の立て直しなどのために一層の支援が必要だと訴えました。

国連事務総長が視察へ
国連のパン・ギムン(潘基文)事務総長は、18日からエボラ出血熱の患者が増え続けている西アフリカの各国を訪れ、初めて現地の状況を視察するとともに、国際社会に改めて支援を呼びかけることにしています。(中略)

パン事務総長は、18日から3日間にわたって、西アフリカのリベリアやシエラレオネ、それにギニアやマリの4か国の首都を訪れ、各国の首脳や医療従事者らと会談するほか、国連のエボラ緊急対応ミッションの本部が置かれているガーナの首都アクラも訪れ、国連関係者を激励することにしています。

エボラ出血熱の感染が広がって以来、パン事務総長が現地を視察するのは初めてで、パン事務総長は、「感染の勢いはやや弱まっているものの、最後の1人の患者が治療を受けられるまで、気を緩めることはできない。私はそれを訴えるために現地を訪問する」と述べ、現地から国際社会に改めて支援を呼びかける姿勢を強調しました。【12月18日 NHK】
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交わることのない社会ではありますが、それでも富める社会ができること、犬の助命嘆願より先にやらなければならないことはたくさんあります。
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