
(4月26日、ガザ市近郊の避難民キャンプで、国連機関から配布された食料を受け取るために集まったパレスチナ人【4月27日 産経】)
【イスラエルと米国 ハマスが関与しない形で搬入を再開させることを検討】
「やっと・・・」と言うべきでしょう。遅きに失してはいますが、これまでの対応を続けるよりは格段にましでしょう。
****ガザ支援物資 イスラエルと米国、近く搬入再開を合意か 米報道****
米ニュースサイト「アクシオス」は2日、イスラエルと米国が、パレスチナ自治区ガザ地区の支援物資の搬入の再開の合意に近づいていると報じた。新たな財団を設立し、イスラム組織ハマスが関与しない形で搬入を再開させることを検討しているという。
ガザ地区ではイスラエルが3月2日から、ハマスに圧力をかけるためだとして、すべての物資の搬入を停止。国連世界食糧計画(WFP)は、ガザ地区の食料備蓄が底をついたと発表するなど人道状況は深刻になっている。
アクシオスによると、物資の搬入は、各国などからの支援を受けた財団を通じて行われる。ガザ地区に食料を配布する施設を建設し、米国の民間企業が物資の配布と周囲の警備を担当する。イスラエル軍は物資の配布などには関与しないが、より広範囲の地域の警戒にあたるという。
イスラエル軍は、ハマスにさらに圧力をかけるため、近く地上作戦を拡大する予定で、4日の治安閣議で計画を承認する見込みだ。イスラエル当局者は、戦闘を拡大させる前に新たな仕組みを構築し、支援物資の搬入を再開させたい意向だという。
ロイター通信によると、イスラエル軍は2日もガザ各地を攻撃し、少なくとも25人が死亡した。2023年10月の戦闘開始以来のガザ側の死者は、5万2000人を超えている。【エルサレム松岡大地】
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【「水を巡る殺し合い」「多くの子どもや女性が静かに殺される」 ガザ住民への集団懲罰】
イスラエル軍の人道支援を含む支援物資の搬入停止によるガザの「飢餓」の惨状は連日報じられているところ。
****ガザ封鎖2カ月、食料ほぼ払底 国連「水を巡る殺し合い」と窮状訴え****
国連の援助当局者は2日、イスラエルによるパレスチナ自治区ガザへの物資の全面封鎖が2カ月の節目を迎え、減少する物資を巡って争いが勃発していると述べた。
イスラエルは3月2日以降、ガザ地区の住民230万人へのあらゆる物資供給を完全に遮断しており、停戦中に備蓄した食糧はほぼ底をついている。これはガザ地区史上最長の封鎖となる。パレスチナ住民と援助関係者によると、30日にはガザ地区全域で少なくとも5件の略奪事件が発生した。
ガザの国連人道問題調整事務所(OCHA)のオルガ・チェレフコ氏はビデオ会見で、物資を巡る暴力が激化しているとし、「水の入手がほぼ不可能になっている。給水車が到着したばかりなのに、水を巡って殺し合いが繰り広げられている」と窮状を訴えた。
他の援助団体でも、この1週間ですでに食料が底をつき、支援活動が閉鎖の危機に瀕しているというところもある。赤十字はガザにおける人道支援は「完全崩壊」の瀬戸際にあると述べた。
イスラエルはこれまで、ガザが飢餓危機に直面しているという説を否定しており、十分な援助物資がまだあると主張している。【5月3日 ロイター】
イスラエルは3月2日以降、ガザ地区の住民230万人へのあらゆる物資供給を完全に遮断しており、停戦中に備蓄した食糧はほぼ底をついている。これはガザ地区史上最長の封鎖となる。パレスチナ住民と援助関係者によると、30日にはガザ地区全域で少なくとも5件の略奪事件が発生した。
ガザの国連人道問題調整事務所(OCHA)のオルガ・チェレフコ氏はビデオ会見で、物資を巡る暴力が激化しているとし、「水の入手がほぼ不可能になっている。給水車が到着したばかりなのに、水を巡って殺し合いが繰り広げられている」と窮状を訴えた。
他の援助団体でも、この1週間ですでに食料が底をつき、支援活動が閉鎖の危機に瀕しているというところもある。赤十字はガザにおける人道支援は「完全崩壊」の瀬戸際にあると述べた。
イスラエルはこれまで、ガザが飢餓危機に直面しているという説を否定しており、十分な援助物資がまだあると主張している。【5月3日 ロイター】
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****「子どもや女性が静かに殺される」ガザへの支援物資搬入停止から2か月 国連がイスラエルに搬入再開求める****
パレスチナ自治区ガザへの攻撃を続けるイスラエルが支援物資の搬入を停止してから2か月となるなか、国連機関のトップは「住民が静かに殺される」などと搬入再開を訴えました。
UNRWA=国連パレスチナ難民救済事業機関のラザリーニ事務局長は2日、イスラエルがガザへの支援物資の搬入を停止してから2か月となるのにあわせて、「ガザで生まれ、暮らしているというだけで、集団的に罰せられている」などとSNSに投稿しました。
ガザではイスラエルが食料や医薬品といった支援物資の搬入を停止して以降、人道状況が著しく悪化していて、ラザリーニ氏は「多くの子どもや女性が静かに殺される」などと搬入の再開を強く訴えました。
こうしたなか、ロイター通信は2日、地中海のマルタ沖で、ガザに支援物資を届けようとしていた民間団体の船が無人機による攻撃を受けたと報じました。船には16人が乗っていましたが、いずれもけがはないということです。
攻撃は2度あったということですが、攻撃を行った主体は分かっておらず、団体は徹底した調査を求めています。【5月3日 TBS NEWS DIG】
UNRWA=国連パレスチナ難民救済事業機関のラザリーニ事務局長は2日、イスラエルがガザへの支援物資の搬入を停止してから2か月となるのにあわせて、「ガザで生まれ、暮らしているというだけで、集団的に罰せられている」などとSNSに投稿しました。
ガザではイスラエルが食料や医薬品といった支援物資の搬入を停止して以降、人道状況が著しく悪化していて、ラザリーニ氏は「多くの子どもや女性が静かに殺される」などと搬入の再開を強く訴えました。
こうしたなか、ロイター通信は2日、地中海のマルタ沖で、ガザに支援物資を届けようとしていた民間団体の船が無人機による攻撃を受けたと報じました。船には16人が乗っていましたが、いずれもけがはないということです。
攻撃は2度あったということですが、攻撃を行った主体は分かっておらず、団体は徹底した調査を求めています。【5月3日 TBS NEWS DIG】
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マルタ沖での民間団体支援船への無人機による攻撃については以下のようにも。
****イスラエル軍ドローン、ガザ行き支援船を攻撃 活動家発表****
パレスチナ自治区ガザ地区へ向かっていた支援船を組織している活動家団体は2日、マルタ沖の国際水域でイスラエル軍のドローンによる攻撃を受けたと発表した。
同団体によれば、マルタ時間の午前0時23分、「フリーダム・フロティーラ連合」の支援船「コンシエンス号」が国際水域で攻撃を受けたという。
「武装したイスラエル軍のドローンが、非武装の民間船の船首部分を2度にわたって攻撃し、火災が発生した。船体には大きな穴が開いた」と声明は述べている。
団体はさらに、「イスラエルの大使らは各国で召喚され、国際法違反について説明責任を負うべきだ」と非難。これには、継続中のガザ封鎖と、国際水域での民間船への爆撃も含まれるとしている。
イスラエル政府からはこの主張に対する公式な発表は出ていない。
フロティーラ連合は、今回の攻撃は船の発電機を標的にした可能性があるとしており、その結果、船は電力を失って沈没の危険にさらされたという。船は遭難信号を発し、キプロスおよびイタリアから救援船が派遣された。犠牲者は報告されていない。
団体によれば、当時船には21か国からの活動家が乗船していた。活動家らは「イスラエルによる違法かつ致命的なガザ封鎖に抗議し、緊急の人道支援物資を届ける任務にあたっていた」と述べている。
イスラエルは3月2日以降、ガザへのすべての支援物資搬入を停止しており、同月中旬にはガザでの軍事作戦を再開。イスラエルとイスラム組織ハマスの紛争における2か月間の停戦は、もはや実質的に崩壊している。 【5月2日 AFP】
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“この船はマルタ島で環境活動家のグレタさんらが乗船しガザに向かう予定だった”【5月2日 日テレNEWS】とも。
こうした事態に多くの国際機関が危機的状況への警告を発しています。
****ガザ地区 支援の民間船に無人機攻撃 赤十字国際委員会は「完全崩壊の危機に直面している」人道支援に警告****
(中略)こうした中、赤十字国際委員会は2日、人道支援が「完全崩壊の危機に直面している」と警告しました。イスラエルはイスラム組織ハマスに人質解放を迫るため、3月2日以降、ガザ地区への医薬品や食料などの供給を阻止しています。
WHO=世界保健機関の幹部は1日、ガザ地区の子供たちの心身が破壊されていると述べ、栄養失調によって免疫力の崩壊が起きていると警告しました。
地元紙はイスラエル当局の話として、今週中に物資の搬入再開を検討していると伝えています。ハマスが配給に関与できない方法を検討するとしていますが、実現は難しいとの声も上がっています。【5月3日 日テレNEWS】
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上記記事最後のイスラエルの“ハマスが配給に関与できない方法を検討”ということが、冒頭記事内容になると思われます。
かつてホロコーストを経験したイスラエルによる、食料・水・医薬品も遮断するというガザ住民を230万人をガス室送りにするかのようなこれまでの対応に対し、国際的にも厳しい批判が高まっています。
****ガザ物資遮断2カ月、募る飢餓の懸念 イスラエルの対応に高まる非難 ICJ公聴会****
イスラエルがパレスチナ自治区ガザへの支援物資の搬入を全面停止していることなどを巡り、オランダ・ハーグの国際司法裁判所(ICJ)で公聴会が開かれている。ガザでは食料も燃料もなくなりつつあり、多くの国が飢餓の深刻化への懸念を表明している。
イスラエルは3月2日、イスラム原理主義組織ハマスがガザで拘束する人質解放の継続を拒否したとして、支援物資のガザ搬入を完全に停止した。
公聴会は4月28日から5月2日までの日程で、約40カ国が意見を陳述。パレスチナの代表は、イスラエルが人道支援を「兵器」として使っていると非難した。国連の法律顧問はパレスチナはイスラエルの占領下にあると指摘し、イスラエルについて「住民の利益になる国連の活動を認める義務がある」と述べた。
これに対し米国は、治安を脅かしかねない組織の支援活動を受け入れる義務はないと主張し、同盟国イスラエルを擁護した。
国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)の一部職員が約1年半前、ハマスのイスラエル奇襲に関与した疑いが浮上したことを念頭に置いた発言とみられる。
中東の衛星テレビ局アルジャジーラによると、米国とハンガリー以外の国々はほぼイスラエル批判を展開。イスラエルはICJについて「自衛権という最も基本的な権利を否定する狙いだ」(サール外相)と反発し、公聴会への出席を拒否した。
ガザへの物資搬入が遮断されて約2カ月となり、現地からの映像では食料の配給所で住民が食べ物を得ようと押し合う事態が日常化している。世界食糧計画(WFP)はガザの備蓄食料が底を突いたとし、国連は「全面的な飢餓」の懸念があると指摘する。
ガザ当局によると、飢えや栄養失調で子供ら50人以上が死亡し、少なくとも6万人に栄養失調の兆候がみられる。
カタールやエジプトが仲介するイスラエルとハマスの停戦が実現するかどうかは不明で、双方の駆け引きが続くなかでガザ住民の生存が厳しさを増している形だ。
ICJは国連の主要な司法機関で、公聴会は昨年12月、国連総会がイスラエルの対応に関して法的見解を求める決議を採択したのを受けて開かれた。【5月1日 産経】
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****イスラエルのガザ完全封鎖、「全く受け入れられない」とアイルランド外相。飢餓に襲われるパレスチナの子どもたち****
ガザ市内の慈善団体の炊き出し所で、温かい食事を求めて集まるパレスチナ人の子どもたち(2025年4月30日)
イスラエルによるパレスチナ自治区ガザへの支援物資の全面封鎖が2カ月以上続き、子どもたちが飢餓の脅威にさらされている。
国連児童基金(UNICEF)のキャサリン・ラッセル事務局長は、5月2日に声明を発表。ガザでは人々の生存に必要なあらゆる物資が不足し、子どもたちの間で栄養失調が深刻化している現状を報告した。
ラッセル氏は「ガザの子どもたちは容赦ない爆撃にさらされる一方で、2カ月にわたって必要不可欠な物資、サービス、そして命を救う医療を奪われてきました。支援の封鎖が続く中、子どもたちは飢餓、病気、そして死のリスクにますますさらされています。これを正当化できる理由は何一つありません」と訴えた。
支援物資は底をつきかけており、ワクチンも急激に不足している。UNICEFによると、ガザで報告される病気の4件中1件は急性水様性下痢症で、その大半は5歳未満の子どもであり、「命に関わる恐れがある」としている。
栄養失調も深刻化し、2025年の初めからすでに9000人以上の子どもが急性栄養失調の治療を受けている。このほか治療の必要な何百人もの子どもたちが、治安の悪化や避難のために治療を受けられずにいるという。
ラッセル氏は「全ての紛争当事国は、人道支援の迅速かつ妨害のない通過を認めなければいけません。また、現地住民のために国連機関が活動を行うことを許可・支援しなければなりません」と指摘している。
国連児童基金(UNICEF)のキャサリン・ラッセル事務局長は、5月2日に声明を発表。ガザでは人々の生存に必要なあらゆる物資が不足し、子どもたちの間で栄養失調が深刻化している現状を報告した。
ラッセル氏は「ガザの子どもたちは容赦ない爆撃にさらされる一方で、2カ月にわたって必要不可欠な物資、サービス、そして命を救う医療を奪われてきました。支援の封鎖が続く中、子どもたちは飢餓、病気、そして死のリスクにますますさらされています。これを正当化できる理由は何一つありません」と訴えた。
支援物資は底をつきかけており、ワクチンも急激に不足している。UNICEFによると、ガザで報告される病気の4件中1件は急性水様性下痢症で、その大半は5歳未満の子どもであり、「命に関わる恐れがある」としている。
栄養失調も深刻化し、2025年の初めからすでに9000人以上の子どもが急性栄養失調の治療を受けている。このほか治療の必要な何百人もの子どもたちが、治安の悪化や避難のために治療を受けられずにいるという。
ラッセル氏は「全ての紛争当事国は、人道支援の迅速かつ妨害のない通過を認めなければいけません。また、現地住民のために国連機関が活動を行うことを許可・支援しなければなりません」と指摘している。
イスラエルは3月2日以降、ガザ住民へのあらゆる物資供給を完全に遮断している。
アイルランドのサイモン・ハリス外相は5月2日の声明で、イスラエルが2カ月以上もガザへの物資援助を封鎖していることについて、「現在の苦しみが続いていることは全く受け入れられない」と批判。
「このような状況下で命を救う支援を妨げることは、イスラエルが国際的に負っている義務に違反するものだ」とし、イスラエルに対して封鎖の即時解除を求めた。【5月3日 HUFFPOST】
アイルランドのサイモン・ハリス外相は5月2日の声明で、イスラエルが2カ月以上もガザへの物資援助を封鎖していることについて、「現在の苦しみが続いていることは全く受け入れられない」と批判。
「このような状況下で命を救う支援を妨げることは、イスラエルが国際的に負っている義務に違反するものだ」とし、イスラエルに対して封鎖の即時解除を求めた。【5月3日 HUFFPOST】
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【アメリカ イスラエル擁護は変えていないものの、国際批判に配慮か】
前出【5月1日 産経】にもあるように、アメリカはイスラエル擁護の姿勢を変えていませんが、さすがに上記のような国際批判の高まりは意識せざるをえなくなっているようです。
****ガザ支援搬入認めるようイスラエル首相に要請=トランプ氏*****
トランプ米大統領は25日、今週行ったイスラエルのネタニヤフ首相との電話会談で、パレスチナ地区ガザへの食料や医薬品の搬入を認めるよう求めたと明らかにした。
ネタニヤフ氏の反応について記者団から問われると、「良い反応だった」と答えた。
イスラエルは、イスラム組織ハマスが残る全ての人質を解放するまで人道支援物資の搬入を認めておらず、ガザには3月2日以降、支援物資は届けられていない。
世界食糧計画(WFP)はこの日、ガザの食料備蓄が底を尽いたと発表した。【4月26日 ロイター】
ネタニヤフ氏の反応について記者団から問われると、「良い反応だった」と答えた。
イスラエルは、イスラム組織ハマスが残る全ての人質を解放するまで人道支援物資の搬入を認めておらず、ガザには3月2日以降、支援物資は届けられていない。
世界食糧計画(WFP)はこの日、ガザの食料備蓄が底を尽いたと発表した。【4月26日 ロイター】
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その結果として、冒頭記事のような対応が。
ただ事は急を要します。“ガザ地区に食料を配布する施設を建設し、米国の民間企業が物資の配布と周囲の警備を担当する。イスラエル軍は物資の配布などには関与しないが、より広範囲の地域の警戒にあたるという。ガザ地区に食料を配布する施設を建設し、米国の民間企業が物資の配布と周囲の警備を担当する。イスラエル軍は物資の配布などには関与しないが、より広範囲の地域の警戒にあたるという。”とのことですが、実際に人々の手に水・食料が届くようになるまでにはあとどのくらいの日数がかかるのでしょうか?
その間にもガザ住民の飢餓が進行し、人々の生命と健康が蝕まれていきます。