
(支援拠点付近 【6月28日NHK【国連】)
【国連人権高等弁務官事務所「民間人に対する食料の「兵器化」は戦争犯罪に該当する」】
パレスチ・ガザ地区においてイスラエルと米国が主導する「ガザ人道財団(GHF)」が運営している支援拠点で、物資を求めるパレスチナ人に向けたイスラエル軍による発砲(ときに戦車の砲撃)が相次いで毎日多くの死傷者が出ていることは、6月17日ブログ“ガザ食料配給所で連日多数の死者 何が起きている? イスラエルでのアラブ系とユダヤ系の「命の不平等」”でもとらげました。
この混乱(戦争犯罪? )は今も続いています。 現地で一体何がおきているのか明快な説明がないまま、住民犠牲だけが増え続けています。
****ガザの食料「兵器化」、戦争犯罪に該当 国連が主張****
国連人権高等弁務官事務所は24日、パレスチナ自治区ガザの配給所付近で多数のパレスチナ人が殺害されていることについて、民間人に対する食料の「兵器化」は戦争犯罪に該当すると表明した。
ジュネーブで会見した同事務所の報道官は、イスラエルが支援する「ガザ人道財団」が5月下旬にガザで活動を開始して以降、同財団の配給所に向かっていた410人以上がイスラエル軍の発砲や砲撃で殺害されたと指摘。
「絶望し飢えたガザの人々は、飢え死にするか、食料を手に入れるため殺害される危険を冒すかという非人道的な選択に依然として直面している」とし「(これは)イスラエルの軍事化された人道支援メカニズムだ」と主張。
「民間人に対する食料の兵器化は、生命維持サービスの利用制限・妨害であるとともに、戦争犯罪に該当する。一定の状況下では、国際法上の他の犯罪の構成要件に該当する可能性がある」と述べた。
イスラエルがこの戦争犯罪で有罪となるのかとの質問には「法廷が判断する必要がある」と答えた。 【6月24日 ロイター】
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“パレスチナ保健省によると、5月27日以降、援助拠点や支援物資を運ぶトラックに近づいたパレスチナ人が少なくとも500人以上死亡した。保健当局や救助隊員によれば、拠点に近づく市民がほぼ毎日銃撃を受けているという。” 【6月29日 CNN】
“ある兵士は「近い場所から群衆に銃撃したこともあった。脅威を感じたことはなく、彼らは武器を持っておらず、反撃されることもなかった」と証言。 別の兵士は、警告射撃の後に逃げ惑うガザ住民を撃つよう命じられたとし、「なぜ逃げている人を撃たなければいけないのか」と疑問を呈した。 ”【6月28日 毎日】
****ガザ市民、命がけの食料調達 「食べ物を持ち帰るか、布に包まれて帰るか」****
ニダル・アル・ムグラビ、エブラヒム・ハッジャジ、オリヴィア・ル・ポワデヴィン
ガザに住む大勢のパレスチナ人と同じく、ヒンド・アルナワジャさん(38)は、家族の食料を手に入れるため、毎日何キロにも及ぶ危険な道のりを歩く。 生きて帰れることを願いながらだ。
4人の子どもを持つアルナワジャさんは、妹のマズーザさんとともに、道端のがれきの陰に身を隠した。 近くで銃声が響いたためだ。
ガザ北部ベイトラヒヤに住むアルナワジャさんは「子どもに食べ物を持ち帰って喜ばれるか、手ぶらで帰って泣かれるか、それとも遺体となって布に包まれて帰るかのどれかだ」と語る。 「これが私たちの生活だ。私たちは虐殺されている。 もう限界だ」と訴えた。
ガザの医療関係者によると、過去2日間で、国連などの支援トラックから食料を受け取ろうとしたパレスチナ人数十人が、イスラエル軍の発砲で死亡した。
医療関係者によると19日には、イスラエル軍の銃撃と軍事攻撃によって少なくとも51人が死亡した。 その中には、ガザ地区中央部にある、米国とイスラエル主導で設立された「ガザ人道財団(GHF)」が運営する施設に近づこうとした12人も含まれる。 【6月20日 ロイター】
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【イスラエルの有力紙「脅威がないことが明らかであったにもかかわらず、援助拠点に近づくパレスチナ人の群衆へ発砲するよう指揮官から命じられた」】
これまでイスラエル軍は殺到する群衆に「警告射撃」を行ったことは認めていますが、民間人への意図的な攻撃は禁じているとも。
しかし、実態はそういうものではないとの証言も。 “世界で最も道徳的な軍である”と自任するイスラエル軍は否定していますが。
****食料を待つパレスチナ人へ発砲を命令か、イスラエル軍は報道を否定****
イスラエル国防軍(IDF)は、パレスチナ自治区ガザ地区で人道支援を待つ非武装のパレスチナ人に発砲するよう兵士が命令されたとする新たな報道を否定した。 ここ数週間、食料配布所に近づいた市民が相次いで死亡しており、犠牲者は数百人に上っている。
イスラエルの有力紙ハアレツは27日、ガザに展開するイスラエル兵が、脅威がないことが明らかであったにもかかわらず、援助拠点に近づくパレスチナ人の群衆へ発砲するよう指揮官から命じられたと報じた。
同紙に匿名で証言した兵士は、援助拠点へ向かう経路を「殺戮(さつりく)の場」と表現し、そこでは差し迫った脅威がなくてもイスラエル軍が発砲すると語った。 記事によれば、イスラエル軍は最近、群衆を解散させるため砲弾を使うようになり、そのため死傷者が急増したという。
IDFは報道を否定した。 配給所に近づく市民を含め、民間人を意図的に攻撃するよう部隊に命じていないとし、民間人への意図的な攻撃を禁じていると説明した。
イスラエルのネタニヤフ首相とカッツ国防相も報道を一蹴し、世界で最も道徳的な軍であるIDFをおとしめる悪質なうそと断じた。
パレスチナ保健省によると、5月27日以降、援助拠点や支援物資を運ぶトラックに近づいたパレスチナ人が少なくとも500人以上死亡した。 保健当局や救助隊員によれば、拠点に近づく市民がほぼ毎日銃撃を受けているという。
今月のある事案では、負傷者を含む十人以上の目撃者がCNNに対し、イスラエル兵が群衆に向けて一斉射撃を繰り返したと語った。 武器の専門家は、映像の発砲音や被害者から回収された銃弾の画像がイスラエル軍の機関銃と一致すると指摘した。
IDFは、配給拠点付近の軍の陣地に接近するパレスチナ人に対して、複数の回の「警告射撃」を行ったことは認めている。 死傷者に関する報告を調査しているとも明らかにしているものの、これまで調査結果を公表していない。
ハアレツ紙によれば、軍の法務総監は、戦争法違反の可能性がある事案を調査する軍の機関に対して、援助拠点周辺での戦争犯罪をめぐる疑惑を調査するよう指示した。
死者が出た援助拠点は、イスラエルと米国が主導する「ガザ人道財団(GHF)」が運営している。 同財団はガザ南部と中部の数カ所で食料を配布しており、1カ月前の開始当初から混乱が続いている。 拠点が開くと同時に群衆が殺到し、支援物資は1時間足らずでなくなることも多い。
GHFは、イスラエルと米国がイスラム組織ハマスによる支援物資の略奪を非難したことを受け、国連の支援機構に代わる形で設立された。
ハマスは略奪をめぐる疑惑を否定しているほか、人道団体は国連の食料の大半は市民に届いていると指摘している。 【6月29日 CNN】
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****イスラエル軍法務総監、ガザ配給所の発砲巡り戦犯調査を命令=報道****
イスラエル軍法務総監は、パレスチナ自治区ガザ地区の援助物資配給拠点付近でイスラエル軍がパレスチナ民間人に故意に発砲したとの疑いを巡り、戦争犯罪の可能性に関する調査を命じた。 イスラエル紙ハアレツが27日、報じた。
ハアレツが匿名のイスラエル兵士の話として報じたところによると、兵士らは群衆を制御するために発砲を命じられ、脅威を与えているようには見えない人々に対しても不必要な致命的な武力を使用したという。
イスラエル軍は、この報道についてロイターからのコメント要請にすぐには応じていない。
また同紙は、国際法違反の可能性がある事件調査のために設置された陸軍部隊が、過去1カ月間にわたる物資配布場所付近での兵士の行動を調査する任務を負っていたと、匿名の情報筋の話として伝えた。
ガザ保健当局によると、5月下旬以降、米が支援するガザ人道財団(GHF) が運営する支援センター付近や、国連の食料輸送トラックが通過予定だった地域での死者は合計500人超に上る。 【6月28日 ロイター】
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【ガザ住民「これは援助ではない。死のわなだ」】
そもそも、「現在、4か所・5か所で配給を行っているわけですが、かつて国連がやっていたときは400か所でやっていた。(ガザ地区の)中部・南部にだけ配給の場所を作って、ガザの人たちを北から南へ移動させようとしたのではないかとみられています。 ガザの人達を完全に排除して、そこ(北部)をイスラエルの支配下にもう一度置きたいのではないかというのが一つの解釈です」(放送大学 高橋和夫 名誉教授)との指摘があります。
****住民「これは援助ではない。死のわなだ」ガザ支援物資の配給拠点で犠牲者580人超****
イランと停戦した一方で、イスラエルが攻撃を続けているのがパレスチナ自治区ガザです。 支援物資を受け取りに来た住民らの犠牲も増え続けています。 何がおきているのでしょうか。
イスラエル軍は29日、ガザ北部のガザ市などの住民に対し、南部への退避を求めました。 街の中心部にまで侵攻範囲を拡大させるとしていて、イスラム組織ハマスとの戦闘を激化させるものとみられます。
イスラエルはイランとの交戦中、そして、停戦後も変わらずガザへの攻撃を続けていて、支援物資の配給拠点周辺ではこの1か月あまりで580人以上が死亡したと伝えられています。
国連 グテーレス事務総長
「家族を養おうとしただけの人々が殺されています。食料を求めることが死刑宣告になってはいけません」
イスラエル軍は29日、ガザ北部のガザ市などの住民に対し、南部への退避を求めました。 街の中心部にまで侵攻範囲を拡大させるとしていて、イスラム組織ハマスとの戦闘を激化させるものとみられます。
イスラエルはイランとの交戦中、そして、停戦後も変わらずガザへの攻撃を続けていて、支援物資の配給拠点周辺ではこの1か月あまりで580人以上が死亡したと伝えられています。
国連 グテーレス事務総長
「家族を養おうとしただけの人々が殺されています。食料を求めることが死刑宣告になってはいけません」
ガザ住民「これは援助ではない。死のわなだ」
ガザの人たちにとって不可欠な物資の配給でなにがおきているのか。 イスラエルの有力紙「ハーレツ」は兵士らの証言として、集まった住民らを追い払うために意図的に発砲するよう命じられていたと報じました。
ネタニヤフ首相とカッツ国防相は声明でこれを否定し、「軍の名誉を傷つけるための悪意のあるうそだ」と非難。 「兵士らは無実の人たちを傷つけないよう明確な指示を受けている」としています。 (後略)【6月30日 TBS NEWS DIG】
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アメリカとイスラエルが支援する「ガザ人道財団(GHF)」のジョニー・ムーア代表は、すべての死傷事案が拠点のすぐ近くで起きているのではないと国連等の情報の誤りを批判しています。
****ガザ人道財団トップ、「食料を届けるのが任務」と主張 配給所近くで民間人の殺害相次ぐ中****
(中略)配給拠点を運営する団体の代表は27日、すべての死傷事案が拠点のすぐ近くで起きているのではないとし、ガザ住民に食料を届けるために活動していると主張した。 ガザでアメリカとイスラエルが支援する「ガザ人道財団(GHF)」のジョニー・ムーア代表は、BBCワールド・サービスのラジオ番組「ニューズアワー」の取材に応じた。
その中で代表は、GHFの配給拠点近くで死者が出ていることは否定しないとしつつ、「全ての死亡事案が、GHFの拠点のすぐ近くだったために起きたとする主張は、事実ではない」と主張した。 そして、国連や他の国際機関は「自分たちで検証できていない情報を拡散している」と非難した。
(中略) イスラエル紙「ハアレツ」は27日、群衆を追い払ったり解散させたりするために、非武装の民間人に発砲するよう命じられたと、複数のIDF(イスラエル軍)兵が匿名で話したと報じた。
イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相は、この報道を「悪意ある虚偽」だと強く否定した。 IDFはBBC宛ての声明で、「配給センターに近付く人々を含む民間人に意図的に発砲するよう命じた事実はない」と説明。 支援区域での「作戦上の対応」の改善を目指していると、IDFは付け加えた。 最近では、新たなフェンスや標識を設置し、物資供給区域への新ルートも設置したとした。
GHFのムーア氏は、「死傷事案はすべてIDFによるものだとする主張があるが、我々が知る限り、それも事実ではない」とした。 IDFはこの1カ月間、「容疑者」と呼ぶ相手や、IDF兵に脅威を与えた人物に対して「警告射撃」を行ったと、繰り返し説明している。
■配給拠点に向かう途中で殺害、「偽情報」とGHF代表
配給拠点近くで数百人のパレスチナ人が殺害される中、ムーア氏はGHFの支援活動を擁護した。 (中略)「GHFの拠点に向かっている人々が殺されているというのは偽情報だということを、皆が理解する必要がある。我々の拠点の近くでそうした事案があったという証拠はない」
イスラエルは、BBCを含む海外メディアがガザにジャーナリストを派遣するのを許可していない。 そのため、現地の状況を独自に検証するのは難しい。
ムーア氏は、GHFが活動を始める以前は、国連の支援トラックの大半が、武装勢力に銃を突きつけられハイジャックされていたとも主張した。 国連は、大規模なハイジャックが起きたことを示す証拠はないとしている。
BBCがこのことを伝えると、ムーア氏は「国連は正直ではない」と反論した。
■物資不足について
(中略) GHFはガザで5000万食分を供給することを目指している。 これは、GHFが活動を開始してからの期間でみると、1人あたり1日1食にも満たない計算になる。 最も必要としている人に食料が届いているのかと問われると、ムーア氏は活動が「不十分」だと認めつつ、5000万食は1カ月前の供給量より多いと主張した。
ムーア氏は、GHFは規模を拡大する必要があり、国連のような組織との連携を希望していると語った。 そして、「我々の任務は明確だ。ガザの人々に食料を届けたいだけだ」と付け加えた。
米国務省は26日、GHFに対して3000万ドル(約43億円)を拠出すると発表した。 米政府が同団体に直接的な支援を行うのは初めてとみられる。
GHFのムーア代表は広報を専門とするキリスト教福音派の牧師で、ドナルド・トランプ米大統領を精力的に支持してきた。 前任の初代代表ジェイク・ウッド氏は、GHFの仕組みを批判して辞任した。 (後略)【6月28日 BBC】
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【トランプ大統領はネタニヤフ首相に具体的な対応を促しているもよう ガザ住民の域外移住なども】
こうしたなかで、イスラエル軍は29日、パレスチナ自治区ガザ北部に避難命令を出し、南部ハンユニスのアルマワシ地区に向けて南下するよう住民に要請しています。
****イスラエル、ガザ北部に避難命令 トランプ氏は戦争終結呼びかけ****
イスラエル軍は29日、パレスチナ自治区ガザ北部に避難命令を出した。 イスラエルとイスラム組織ハマスの停戦に向けた新たな仲介の取り組みが行われる中、トランプ米大統領は戦争終結を呼びかけているが、戦闘は激化している。
トランプ氏は29日早朝、「ガザでディールを行い、人質を取り戻せ」と自身のソーシャルメディア「トゥルース・ソーシャル」に投稿した。
一方、イスラエル軍はXに投稿した声明や多くの住民に宛てたテキストメッセージで、イスラエルが人道支援地域に指定した南部ハンユニスのアルマワシ地区に向けて南下するよう北部のパレスチナ人に要請。
「(イスラエル)国防軍はこれらの地域で極めて強力な作戦を展開しており、軍事作戦はエスカレートし、強化され、テロ組織の能力を破壊するために市中心部まで西側まで拡大されるだろう」と述べた。
避難命令はジャバリア地区とガザ市の大部分に発令された。 医療関係者や住民によると、ジャバリアでは早朝にイスラエル軍の砲撃が激化し、複数の家屋が破壊され、少なくとも6人が死亡した。
ハンユニスでも、マワシ近くの難民キャンプへの空爆で5人が死亡した。 また、イスラエル軍によるガザ各地での別の空爆や銃撃で少なくとも12人が死亡し、29日の死者数は全体で少なくとも23人に上った。 【6月30日 ロイター】
トランプ氏は29日早朝、「ガザでディールを行い、人質を取り戻せ」と自身のソーシャルメディア「トゥルース・ソーシャル」に投稿した。
一方、イスラエル軍はXに投稿した声明や多くの住民に宛てたテキストメッセージで、イスラエルが人道支援地域に指定した南部ハンユニスのアルマワシ地区に向けて南下するよう北部のパレスチナ人に要請。
「(イスラエル)国防軍はこれらの地域で極めて強力な作戦を展開しており、軍事作戦はエスカレートし、強化され、テロ組織の能力を破壊するために市中心部まで西側まで拡大されるだろう」と述べた。
避難命令はジャバリア地区とガザ市の大部分に発令された。 医療関係者や住民によると、ジャバリアでは早朝にイスラエル軍の砲撃が激化し、複数の家屋が破壊され、少なくとも6人が死亡した。
ハンユニスでも、マワシ近くの難民キャンプへの空爆で5人が死亡した。 また、イスラエル軍によるガザ各地での別の空爆や銃撃で少なくとも12人が死亡し、29日の死者数は全体で少なくとも23人に上った。 【6月30日 ロイター】
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トランプ大統領はイランとの停戦を受けて、ガザ地区についても27日、「来週中にも(ガザで)停戦すると思う」と表明しています。 ということは今週中にも・・・という話になります。
****ガザ、早期戦闘停止も トランプ氏が圧力―対イラン「勝利」背景に・イスラエル****
イスラエルとイランが停戦したことを受け、パレスチナ自治区ガザでのイスラエルとイスラム組織ハマスの早期戦闘終結に向けた動きも出始めた。 今回の停戦とガザ情勢を連動させたいトランプ米大統領は27日、記者団に対して「来週中にも(ガザで)停戦すると思う」と表明。 ガザでの戦闘終結に向けて圧力を強めた形だ。
ガザ停戦にも期待感 イラン戦闘終息で人質家族ら―イスラエル
◇野望の考え方
ガザ情勢を巡り、トランプ氏はイスラエルのネタニヤフ首相に具体的な対応を促しているもようだ。 両首脳がどのような議論を交わしているのか詳細は明らかでないが、イスラエル紙のイスラエル・ハヨムは、両首脳がガザでの戦闘停止を含む中東戦略に関する「基本原則」で合意したと報じた。
報道によれば、米軍が22日、イスラエルの作戦を支援する形でイラン核施設を空爆した直後の電話会談で合意が交わされた。 基本原則ではエジプトなど中東4カ国が停戦後のガザを管理し、ハマスはイスラエルから連れ去った人質を解放する。 ハマス幹部のガザ追放や、「国際法違反」と批判を浴びるガザ住民の域外移住などにも踏み込んでいるという。
ただ、同紙は基本原則を「野心的構想」と位置付ける。 ハマスや、エジプトなど関係各国がこの原則をそのまま受け入れるかは不透明だ。
◇双方に停戦の余地
2023年10月に始まったイスラエル軍によるガザでのハマス掃討作戦は泥沼化。 ガザの死者は5万6000人以上に上り、国際社会からの批判が収まらない。 ネタニヤフ氏は、戦闘が長期化し人質奪還が進まないことで国内でも非難の矛先を向けられてきた。
だが、宿敵イランへの攻撃は世論調査で70%が支持。 欧米も自衛権の行使だと容認した。 ネタニヤフ氏は、イランに対する「勝利」で国内が高揚しているうちにガザでも事態を収束させれば、政権内の対ガザ強硬派の反対論を封じ込めることができると判断している可能性もある。 何より、イラン攻撃に加わって恩を売ったと見なすトランプ氏の停戦圧力は無視できない。
一方、アルアハラム政治戦略研究所(エジプト)のサイード・オカシャ氏は、今後のハマスの動向について、停戦に向けて厳しい条件を突き付けられれば、態度を硬化させる可能性があると指摘。 ただ、対イスラエルでハマスを支援してきたイランが弱体化した現状を「(ハマスが)合理的に判断すれば、停戦は実現する」と、合意妥結の余地があると分析した。 【6月28日 時事】
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