
(【6月9日 日経 イラン核施設】
【交渉決裂なら、イスラエルのイラン核施設攻撃か 】
イランとアメリカの核開発をめぐる交渉については、6月2日ブログ“イランとアメリカの核合意交渉 要求水準が高いアメリカ のめないイラン 米提案拒否の構えとの報道も”でも取り上げたように、核の軍事利用はもちろん、イラン国内でのウラン濃縮も認めない、核関連インフラ、特に遠心分離機の解体や高濃縮ウランの国外移送、制裁解除は段階的に・・・・といったアメリカ側の要求水準がイラン側期待に比べて高く、交渉は難航しています。
その後“アメリカが先月末にイランへ提示した合意案に上限を設けたウラン濃縮を一定期間、認める内容が含まれている”といった情報がながれましたが、トランプ大統領は改めて否定しています。
****トランプ大統領「ウラン濃縮を一切認めず」 イラン核開発 「限定的な濃縮の容認をイランに伝達」との報道を受けて****
イランの核開発をめぐり、アメリカのトランプ大統領は「ウランの濃縮を一切認めない」と改めて強調しました。
トランプ大統領は2日、SNSでバイデン前政権のイラン政策を「イランがウラン濃縮を続けるのを阻止すべきだった」と批判した上で、「私たちが見込んでいる合意では、ウランの濃縮は一切認められない」と改めて強調しました。
イランの核開発をめぐっては、ニュースサイト「アクシオス」が2日、アメリカが先月末にイランへ提示した合意案に上限を設けたウラン濃縮を一定期間、認める内容が含まれているなどと報じていました。【6月3日 TBS NEWS DIG】
トランプ大統領は2日、SNSでバイデン前政権のイラン政策を「イランがウラン濃縮を続けるのを阻止すべきだった」と批判した上で、「私たちが見込んでいる合意では、ウランの濃縮は一切認められない」と改めて強調しました。
イランの核開発をめぐっては、ニュースサイト「アクシオス」が2日、アメリカが先月末にイランへ提示した合意案に上限を設けたウラン濃縮を一定期間、認める内容が含まれているなどと報じていました。【6月3日 TBS NEWS DIG】
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ハメネイ最高指導者は「(ウラン)濃縮ができなければ意味がない」とアメリカ提示案に反発しています。
****イラン最高指導者「ウラン濃縮できなければ意味ない」 米国案に反発****
イランの核開発に関する米国との交渉を巡り、イラン最高指導者ハメネイ師は4日の演説で、米国の提案はイラン政府の方針に「100%反している」と語り、提案を受け入れない姿勢を示した
。さらに「たとえ原発を100基保有したとしても、(ウラン)濃縮ができなければ意味がない」と述べ、改めてウラン濃縮を放棄する考えがないことを強調した。AP通信などが報じた。
米メディアによると、米国は5月末、イランによるウラン濃縮活動を最終的に停止させ、代わりにアラブ諸国と協力して作る「共同事業体」が管理する施設で濃縮を行うことを提案したとされる。イランは近く、米国の提案に対する回答を示す見通しだが、修正を要求するとみられる。
米国とイランは4月以降、オマーンの仲介で断続的に交渉を続けている。トランプ米大統領は交渉が決裂した場合、武力行使に踏み切る可能性を示唆。イランと敵対するイスラエルがイラン国内の核施設に対する攻撃を準備していると報じられている。【カイロ金子淳】
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交渉が難航するなか、「交渉が決裂した場合、何が起きるのか?」ということにも議論が向かいつつあります。
かねてよりイランの核兵器開発を国家の安全保障上の最大の問題と位置づけるイスラエルは、イランの核施設への攻撃を主張していますが、トランプ大統領は交渉中は攻撃を控えるようにイスラエルに求めていると報じられています。イスラエルもこの方針に従う構えのようです。
逆に言えば、交渉が決裂すれば、イスラエルのイラン核施設攻撃を容認するということでしょう。
****イスラエル“協議が決裂しない限りイランの核施設への攻撃控える”とアメリカに伝達か 米メディア報道****
アメリカとイランの核協議が続けられるなか、イスラエルは、協議が決裂しない限り、イランの核施設への攻撃を控えることをアメリカ政府に伝達したなどと、アメリカメディアが報じました。
アメリカのニュースサイト「アクシオス」は5日、複数の当局者の話として、イスラエルはアメリカとイランの核協議の決裂が決定的になるまではイランの核施設を狙った攻撃を控えることをアメリカ政府に伝達したなどと報じました。
イスラエルの政府高官3人が先週、アメリカを訪問した際に伝えたということです。
イスラエルは敵対するイランへの核施設攻撃の準備を進めているなどと伝えられる一方、トランプ政権は、協議が続いている間は攻撃を控えるようイスラエル側に求めたなどと報じられていました。
ただ、核協議をめぐっては双方の要求に依然溝があり、決裂した場合はアメリカとイスラエルが軍事行動に出ることを示唆しているなど、予断を許さない状況が続いています。【6月6日 TBS NEWS DIG】
アメリカのニュースサイト「アクシオス」は5日、複数の当局者の話として、イスラエルはアメリカとイランの核協議の決裂が決定的になるまではイランの核施設を狙った攻撃を控えることをアメリカ政府に伝達したなどと報じました。
イスラエルの政府高官3人が先週、アメリカを訪問した際に伝えたということです。
イスラエルは敵対するイランへの核施設攻撃の準備を進めているなどと伝えられる一方、トランプ政権は、協議が続いている間は攻撃を控えるようイスラエル側に求めたなどと報じられていました。
ただ、核協議をめぐっては双方の要求に依然溝があり、決裂した場合はアメリカとイスラエルが軍事行動に出ることを示唆しているなど、予断を許さない状況が続いています。【6月6日 TBS NEWS DIG】
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イランはIAEA事務局長にイスラエルの動きを報告、牽制しています。
*****イラン、イスラエルによる核施設攻撃巡り警告=IAEA事務局長****
国際原子力機関(IAEA)のグロッシ事務局長は、イスラエルによるイランの核施設への攻撃を巡る警告をイラン側から受けたことを明らかにした。
テレビ「i24NEWS」が9日放送したインタビューなどによると、グロッシ氏は「イランが核兵器を開発し、核拡散防止条約(NPT)から脱退する決意を固めるという影響を攻撃はもたらす可能性がある」と語った。
ただ、エルサレム・ポストのウェブサイトによると、同氏はイスラエルがイラン核施設を攻撃することには懐疑的。イランの核プログラムは「広く深い」ため、「それらを破壊するには圧倒的な力が必要だ」と述べたという【6月10日 ロイター】
テレビ「i24NEWS」が9日放送したインタビューなどによると、グロッシ氏は「イランが核兵器を開発し、核拡散防止条約(NPT)から脱退する決意を固めるという影響を攻撃はもたらす可能性がある」と語った。
ただ、エルサレム・ポストのウェブサイトによると、同氏はイスラエルがイラン核施設を攻撃することには懐疑的。イランの核プログラムは「広く深い」ため、「それらを破壊するには圧倒的な力が必要だ」と述べたという【6月10日 ロイター】
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【アメリカ・イスラエルを牽制するイラン】
一方、イランの方もイスラエルの核施設情報を入手したとも報じられています。つまり、イスラエルがイラン核施設へ攻撃するなら、イランもイスラエル核施設への攻撃も辞さないという報復措置を示唆しています。
****イランがイスラエルの核施設の情報を入手か 情報相「近く公開」****
イランのハティブ情報相は8日、敵対するイスラエルの核施設に関する情報が書かれた書類を入手したと明らかにした。イランメディアが報じた。どのような情報を得たのかは不明だが、ハティブ氏は「(イランの)攻撃能力を拡大するものだ」と述べた。
イスラエルは核兵器の保有を肯定も否定もしていないが、ストックホルム国際平和研究所の推定では90発の核弾頭を保有している。
報道によると、ハティブ氏はイスラエル領内で「大規模で複雑な作戦」を実施し、機密情報をイランに持ち出すことに成功したと主張。イスラエルの核施設のほか、イスラエルと米国や欧州諸国などとの関係に関する情報も含まれており、詳細は「間もなく公開する」と述べた。入手した書類などは少なくとも数千に及ぶという。
イスラエルはイランが秘密裏に核兵器を開発しようとしていると非難しており、イラン国内の核施設を標的にした攻撃を準備しているとされる。イランとしては、イスラエルの機密情報を入手したと公表することで、イスラエルに対する反撃能力を誇示し、抑止につなげる狙いがあるとみられる。
イランはイスラエルと長年、敵対関係にあり、パレスチナ自治区ガザ地区のイスラム組織ハマスなどを支援している。昨年4月と10月にはイランがイスラエルに対してミサイル攻撃を行い、イスラエルが報復としてイランの軍事施設を空爆した。【6月9日 毎日】
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更にイランはアメリカに対しても牽制しています。
****イラン、核協議頓挫で紛争生じれば米軍基地攻撃へ 脅しに反発****
イランのナシルザデ国防軍需相は11日、米国と6回目の核協議が予定される中、交渉が頓挫し、米との間に紛争が生じた場合、イランは地域の米軍基地を攻撃すると述べた。
記者会見で「交渉が実を結ばなければ紛争になると脅す向こう側の高官もいる。もし紛争をわれわれに押し付けるなら、すべての米軍基地はわれわれの手の届くところにあり、われわれは受け入れ国にあるそれらを果敢に標的にするだろう」と語った。
トランプ米大統領は、新たな核合意に達しない場合、イランを爆撃すると繰り返し脅している。【6月11日 ロイター】
記者会見で「交渉が実を結ばなければ紛争になると脅す向こう側の高官もいる。もし紛争をわれわれに押し付けるなら、すべての米軍基地はわれわれの手の届くところにあり、われわれは受け入れ国にあるそれらを果敢に標的にするだろう」と語った。
トランプ米大統領は、新たな核合意に達しない場合、イランを爆撃すると繰り返し脅している。【6月11日 ロイター】
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このように交渉による合意形成というより、決裂後に起きる事態に関する牽制が表沙汰になるなかで、トランプ大統領もやや自信を泣くしつつあるとも。
****トランプ氏、イランとのディール巡り自信低下 ポッドキャストで吐露****
トランプ米大統領は、核を巡るディール(取引)でイランがウラン濃縮停止に同意することへの自信が低下していると語った。9日にポッドキャスト「Pod Force One」に語った内容が11日に公開された。
トランプ氏はこの中で、核プログラム停止をイランに同意させることができると思うかとの質問に「分からない」と回答。「そう思っていたが、だんだん自信がなくなっている」と吐露した【6月11日 ロイター】
トランプ氏はこの中で、核プログラム停止をイランに同意させることができると思うかとの質問に「分からない」と回答。「そう思っていたが、だんだん自信がなくなっている」と吐露した【6月11日 ロイター】
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さんざん引っ掻き回したあげく「自信がなくなった」というのも・・・
【ロシアからの提案も】
ここで盟友ロシアからの助け舟も。
*****ロシア、米イラン核協議仲介の用意 余剰核物質の燃料転換構想*****
ロシアは11日、イランの核問題を巡る同国と米国の対立緩和を支援し、イランが製造した余剰核物質を国外に移送し燃料に転換する用意があると述べた。
米とイランはこれまで5回協議しているが、ウラン濃縮を巡り対立が解けず進展していない。
リャブコフ外務次官は11日、ロシアメディアに対し、ロシアは解決に向けた構想や現実的な方法で協力する用意があると述べ、一例として、イランが製造した余剰核物質を輸出し、核燃料生産に転用することを挙げた。【6月11日 ロイター】
米とイランはこれまで5回協議しているが、ウラン濃縮を巡り対立が解けず進展していない。
リャブコフ外務次官は11日、ロシアメディアに対し、ロシアは解決に向けた構想や現実的な方法で協力する用意があると述べ、一例として、イランが製造した余剰核物質を輸出し、核燃料生産に転用することを挙げた。【6月11日 ロイター】
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