孤帆の遠影碧空に尽き

年に3回ほどアジアの国を中心に旅行、それが時間の流れに刻む印となっています。そんな私の思うこといろいろ。

パレスチナ  進まない復興 瓦礫のなかで“次なる戦闘”の芽も

2015-02-28 21:23:38 | パレスチナ

(イスラエルとの紛争で瓦礫と化したパレスチナ自治区ガザ南部ハンユニスの住宅跡で、体一つで障害物を乗り越えて移動を続けるスポーツの一種「パルクール」の練習を行う若者たち。【2014年11月18日 View point】http://vpoint.jp/photonews/31008.html 閉塞空間ガザで「自由感」を感じることができるのも魅力とか。
一方で、ハマスの軍事キャンプに押し寄せる大勢の若者も)

ガザに搬入された建設資材は必要量の0.25%以下 鋼材の価格は10倍
昨年8月26日にイスラエル軍とパレスチナ自治区ガザを実効支配するイスラム組織ハマスが停戦に合意してから半年が経過しました。

昨年7,8月に起きた50日間の戦闘では、ガザ側で市民ら2100人以上、イスラエル側で兵士ら約70人が死亡。
また、ガザ地区では9万6千戸の住宅が被害を受けましたが、建築資材も不足し復興は進んでいません。

****進まぬ復興、絶望のガザ市民=停戦から半年、次なる戦闘も****
パレスチナ自治区ガザを実効支配するイスラム原理主義組織ハマスとイスラエルが停戦で合意してから半年が経過した。

イスラエルによる境界封鎖で建設資材の搬入は極度に制限され、「現在のペースでは復興に100年以上かかる可能性がある」(国際援助団体オックスファム)。また、ハマスは、ガザ市民の絶望が次なる戦闘へと向かわせる可能性を示唆している。

50日間に及んだイスラエルのガザへの軍事作戦は、ガザ市民ら2100人以上、イスラエル側でも兵士ら約70人の死者を出し、昨年8月26日に終結。

10月には、エジプトでガザ復興に関する国際会議が開かれ、参加各国・機関が計約54億ドル(約6400億円)の支援を表明した。だが、その大半が支払われておらず、国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)は支援の一時中断を余儀なくされた。

ガザの人口約180万人のうち、いまだ避難所などに身を寄せる市民は約10万人に上る。イスラエルは、セメントなどの建設資材がハマスの武器製造に転用されることを強く警戒。オックスファムによれば、過去3カ月でガザに搬入された建設資材は必要量の0.25%以下だった。

心の回復も進んでいない。国連児童基金(ユニセフ)ガザ事務所のパニル・アイアンサイド代表は「子供たちは人生で前向きな指標が見いだせず、希望を失っている」と懸念を表明。

こうした子供たちは、イスラエル側に侵入しようとしたり、欧州行きの移民船に乗り込んだりしようとするほか、地元の武装勢力に加わる危険性もあると指摘している。【2月27日 時事】 
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被害を受けた9万6千戸のうち、2万~2万5千戸が完全に破壊され、住民10万人超の生活再建が大きな課題となっています。

イスラエル側が建設資材の搬入を制限しているのは、ハマスによる武器製造のほか、侵入用のトンネル掘削に使われることを警戒しているためとされています。

わずかな搬入された資材についても、鋼材の価格は3年前の10倍以上に高騰するなど、貧しい被害者には手が届かないのが実情です。

国際支援についても、世界各国から示された54億ドル(約6400億円)のうち、実際に支払われたのは、国連によると総額の1割程度にとどまるとの推計もあります。

復興が進まないため経済的にも苦しく、ガザ地区人口約180万人のうち半数以上が食料支援を受け、失業率は約45%(若者は65%、女性は80%超)とのことです。【2月28日 朝日より】

なお、ISによる日本人殺害でも注目された安倍総理の中東歴訪・支援表明ですが、日本はガザ復興に向けて新たに1億ドルの支援を表明しています。

****首相、ガザ復興へ新たに1億ドル支援表明へ****
安倍首相は20日昼(日本時間20日夜)、パレスチナ自治区のラマッラで、パレスチナ自治政府のアッバス議長と会談した。

首相は、イスラエルとパレスチナによる中東和平交渉について、「独立したパレスチナ国家とイスラエルが平和で安全に共存する二国家解決を支持する」と述べ、和平交渉への早期復帰を促した。

昨夏の軍事衝突で破壊された同自治区ガザの復興を支援するため、今年度補正予算の成立後に約1億ドル(現在の為替レートで約118億円)の支援を新たに行うことも表明した。【1月20日 読売】
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憎しみが育てる“次なる戦闘”】
イスラエル軍による厳しい警戒も続いています。
ヨルダン川西岸地区では、約8割ほどの区域についてイスラエル軍が警察権を行使しており、下記のような事件も日常的に起きています。

****石を拾って」有罪のパレスチナ14歳少女、イスラエルが早期釈放****
イスラエルは13日、イスラエル人への攻撃を企てたとして6週間にわたって収監していたパレスチナ自治区の14歳の少女を釈放した。自治区の子どもを有罪とし、収監したことについて、イスラエルに対する怒りの声が上がっている。

パレスチナ自治区ヨルダン川西岸地区のトルカレムで活動するAFPカメラマンによると、同地で釈放されたマラク・アルハティブさんは両親や親族、自治体の首長らの出迎えを受けた後、約40キロ離れた自宅のあるベイティン村に戻った。

マラクさんは昨年12月31日に学校から帰宅する途中で身柄を拘束され、軍事裁判で禁錮2か月の刑が言い渡されたが、イスラエルで拘束されているパレスチナ人の代理人を務める非政府組織「パレスティニアン・プリズナーズ・クラブによると、年齢を考慮して2週間ほど減刑され、13日に釈放されたという。

起訴状によると、マラクさんは自宅のある村の近くでイスラエル人の入植者たちが運転していた複数の車に向かって投げ付けるため「石をひとつ拾った」ほか、身柄を拘束された場合に備え、保安要員を傷つけるための刃物を所持していたという。

釈放後、マラクさんはAFPの取材に対し、すべての罪を否定した。

イスラエルは西岸地区で毎年、およそ1000人の子どもの身柄を拘束している。人権団体「ディフェンス・フォー・チルドレン・インターナショナル・パレスタインによると、理由は投石である場合が多い。

また、前出のプリズナーズ・クラブによれば、イスラエルで収監されているパレスチナ人の未成年者は推定200人。そのうち女子はわずか4人で、マラクさんは最年少だった。

イスラエル軍の報道官はマラクさんが収監された当時、有罪判決の確定前、マラクさんには司法取引の機会が与えられたと述べていた。だが、マラクさんの父親は、自白した内容にはほとんど意味がないと話している。

父親は苦々しく、「14歳の子どもがイスラエル兵に取り囲まれれば、何の罪でも認めてしまう」、「核兵器の保有だって認めさせることができるだろう」と語った。【2月15日 AFP】
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憎しみの連鎖は“次なる戦闘”の温床となります。

****ハマスの軍事訓練に押し寄せるガザの若者たち****
パレスチナ自治区ガザ地区に住むハテムくんは若干14歳ながら、すでに3度も戦争を体験した。自身もこの次は必ず戦闘に参加すると決めている。

「ぼくのめいは去年の夏、イスラエル人に殺された。今度はぼくが奴らを殺すんだ」イスラム原理主義組織ハマスの軍事部門、イザディン・アルカッサムによる1週間の若者向け軍事訓練キャンプを終えたハテムくんは、AFPにそう語った。

ハテムくんは、ガザ地区を実効支配するハマスが実施している2つの軍事訓練キャンプを先月末に修了した1万7000人の若者たちのうちの1人だ。キャンプについて、ハマスはイスラエルと戦う次世代を育成するものだと説明している。

昨年夏、イスラエルとハマスは50日間におよぶ戦闘を続け、パレスチナ側は約2200人、イスラエル側は73人の死者を出し、ガザ地区の多くの地域ががれきと化した。

イスラエルとパレスチナとの衝突は、2008年末から09年初頭にかけての22日間に及ぶ戦闘、12年の8日間の空爆に続き、5年間で3回目だ。

ガザ市街地が戦場となった昨年の戦闘では多くの子どもたちが犠牲になっており、国連(UN)はガザでの子供の死者数を約500人としている。

停戦からわずか5か月間で、ハマスの軍事訓練キャンプには生き残ったパレスチナの若者たち数千人からの参加申し込みが殺到している。

軍事キャンプに参加した15歳のムハンマドくんは、将来はアルカッサムに参加したいという。その理由をムハンマドくんは「(アルカッサムは)ガザで一番強いから」だと語った。【2月10日 AFP】
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軍事訓練キャンプに若者が押し寄せる背景には、“憎しみの連鎖”のほか、仕事もなくほかにやることもない経済的な現実もあるのではないでしょうか。

復興を加速することができれば、こうした“次なる戦闘”の芽を少しでも抑制することにもなるでしょう。

最近ガザで流行る「パルクール」・・・自由感
深刻な話から離れると、瓦礫が放置されたガザ地区では、障害物を乗り越えて移動するスポーツ「パルクール」が流行っているとか。

「パルクール」とは、特別な道具を使うことなく、人工物または自然の障害によって動きが途切れることなく、効率的に目的地へ移動することが目的のスポーツで、アクション映画のように建物の屋上の間をジャンプしたり、壁をよじ登ったり、更には、宙返りなどアクロバティックなパフォーマンスも取り入れて行われることが多いようです。

****紛争のガザ地区で人気のスポーツ 環境も合ってる****
長年紛争状態にあり国境が閉ざされたガザで、障害物を乗り越えて移動するスポーツ「パルクール」の人気が高まっている。若者たちは、過激な動きを通して、限界への挑戦と自由を求めている。

瓦礫の中をパレスチナ人のティーンエージャーたちが駆け抜けていく。障害物に手を軽くあてただけで、すり抜けるように飛び跳ねていく。

ここは、パレスチナのガザ地区南部のハンユニス。2014年のイスラエルとイスラム組織ハマスの50日戦争で徹底的に破壊された地区である。その戦火の傷痕の中で、若者たちが演じているのは、パルクールと呼ばれる曲芸的なスポーツだ。

華麗だ。瓦礫の中のランニングや、俗にヴォルトと呼ばれる、手をついて障害物を飛び越える運動だけではない。後方宙返り、側方宙返り、小高い建物の残骸から残骸へのジャンプを混ぜ合わせていく。その中で、贅肉のまったくない彼らの身体が風のように流れていくのだ。

極めて危険でもある。彼らがパルクールを行う場所は、しばしば10メートル近い高さのビルの屋上であったり残骸であったりする。その端で倒立運動も行う。ジャンプ後の着地点では、尖ったコンクリートの破片やコイル状の鉄心の切れ端がひしめいている。

ガザでパルクールが人気を呼んだ理由はいろいろある。少し前までは、ガザでティーンエージャーに人気があるスポーツといえば、サッカーぐらいしかなかった。

他に空手や陸上競技などもあったとはいえ、長年の紛争状態が続く中、参加できるスポーツは、非常に限られていたのである。そこに、パルクールが紹介され、多くの若者たちを魅了した。

パルクールは、環境的にもガザに適しているかもしれない。近年、スポーツとして都会の中で発展してきたが、実は、大半の国ではそのパフォーマンス空間はかなり制限されている。ビルの屋上を使ったりビルからビルへジャンプしたりするパフォーマンスは、法的な問題などもあって簡単には行えない。

それがガザでは、紛争が作り出した環境とはいえ、はるかに自由にパフォーマンスを行える。その中で身体の限界への挑戦ができるのである。

だが、もう一つ大きな理由がある。今回、ハンユニスで出会ったティーンたちの言葉を借りれば、「自由感」だ。パルクールの大きなコンセプトは、境界と障害物を乗り越えて自由に突き進むこと。

多くのパレスチナ人、とりわけ大半の若者がガザから自由に出たり戻ったりできない状況の中で、それは、自由を求め続ける彼らの存在自体のメタフォール(隠喩)になっているのである。※AERA  2015年2月2日号より抜粋【2月7日 dot】
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「自由感」・・・・単に瓦礫がそこらじゅうにあるから、ほかにできるスポーツがないから、という訳でもないようです。

復興による環境整備で“次なる戦闘”を防止
復興に向けて、力強く立ち向かう方もおられます。

****何度でもやり直す」=ガザ最大の製菓工場再建****
「何回破壊されようとも、また一からやり直す」。パレスチナ自治区ガザ最大の製菓会社「アルアウダ」の経営者、ムハンマド・アルテルバニ氏(62)は、昨年7~8月の戦闘でイスラエル軍に破壊された工場を再建し、再び軌道に乗せようと奮闘している。資金や材料、電力の不足にも屈せず、従業員約300人の生活を支える。

同社は1977年創立。ガザ中部デイル・アルバラにある建築面積約1万5000平方メートルの3階建て工場は、砲撃で壁や天井が崩壊し、世界各地から輸入した製菓機械も大半が破損した。「約40年間の蓄積が一夜で消えた」と語る。

停戦後の半年間に友人や親戚から借金し、新たに機械10台を導入。建設資材の搬入が制限されているため、セメントは「闇市場」で通常の4倍、鉄材は約25倍の価格で調達した。

工場の一部再開にこぎ着けたのは2カ月前。あまりの惨状に「従業員は工場を再開すると言っても信じなかった。彼らを目覚めさせるのが私の責務」と振り返る。再開に当たって従業員を削減せざるを得なかった。

計画停電のため、電気を使えるのは1日6時間だけ。ガスが供給されず、クッキーを焼く機械を動かすこともできない。それでも自称「仕事中毒」のアルテルバニ氏は「人が一度築いたものは再建できる」と、従業員を鼓舞する日々だ。【2月27日 時事】 
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みなにアルテルバニ氏のような強い心を求めるのも無理があります。

瓦礫のなかで暮らしていれば心もすさみ、苦しい経済状況では憎しみも増幅されます。
普通の人でも復興に立ち上がれるような環境を整えることが、“次なる戦闘”を防ぐためにも重要です。
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中国  日本商品、日本社会への高評価(続編) 気になりだした“どのように見られているか”

2015-02-27 22:29:22 | 中国

(映画「ティファニーで朝食を」 オードリー・ヘップバーンなら許されても・・・  ついでに言えば、お菓子についてきたおまけの指輪にティファニーで名前を彫らせるというのも、随分と非常識な話ではあります)

日本と延安 旅行先の二極分化
中国のネット上で最近日本商品や日本社会を好意的に評価する意見が多々見られるということ、その背景には日本を実際に訪問して自分の目で見た人々が増加していることや、経済成長に伴って、中国社会にも自分自身の判断力を持ち、自分自身の基準で判断する人々が増加していることなどを、4日前の2月23日ブログ“中国 日本商品、日本社会への高評価も 「自分自身の日本観」を持つ人々の増加”http://blog.goo.ne.jp/azianokaze/d/20150223 で取り上げました。

こうした中国ネット上の声はあまりにも面白いので、その続きみたいな話です。

もとより、日本のネットでも同様ですが、ネット上の意見というのがどの程度社会全体の声を反映しているかについては、注意する必要があります。
“そういう声もある”ぐらいに見た方がいい場合もあるかと思います。

ネット上には前回ブログで取り上げたような日本に関するものや、海外での中国人のマナーに関するものが多々あるようですが、社会全体がそうした海外に目を向け、中国の未だ不十分な点を自省しているかと言えば必ずしもそうではなく、中国当局が推奨する延安などの革命聖地を訪れる人も多く、人々の関心が二極分化している状況があるようです。

****中国・春節】若い富裕層=日本・欧米旅行 高齢保守層=革命聖地の旅 保革双方で非難合戦****
旧正月(春節、2月19日)を挟む1週間強の休みを利用して多くの中国人が旅行に出かけたが、行き先の二分化傾向が鮮明になっている。

比較的若い富裕層や知識人は日本や欧米を選ぶ一方、中高年を中心とする保守層には中国当局が推奨する延安などの革命聖地を訪れる人が多い。

双方は互いに「売国奴」「洗脳された人々」などと非難しあう。春節旅行の行き先から政治的傾向も見えてきそうだ。

これまで欧米や香港などを訪れることが多かった富裕層や知識人の間で、今年は日本の人気が急上昇した。
日本政府による中国人観光客に対するビザ発給要件の緩和や円安などが主な原因とされるが、中国政府がメディアを総動員して展開する日本批判キャンペーンを、彼らはあまり気にしていないことも背景にはあるといわれる。

中国メディアの統計によれば、今年の春節の訪日客は約45万人で史上最高を記録した。炊飯器や高級時計などを大量購入し、合計1000億円以上を消費したといわれる。

日本での“爆買い”は中国メディアにも大きく報じられている。「四月ネット」など左派系サイトなどでは「非国民が多すぎる」「彼らが使ったお金はやがて日本の原子爆弾開発に使われるだろう」といった批判が寄せられた。

一方、習近平政権による愛国主義教育の宣伝などで、中国では民族主義と愛党精神も高揚している。中高年が多い保守層には共産革命の聖地訪問が人気だ。

延安と習近平国家主席の故郷、富平がある陝西省では、今年の春節期間中、2000万人が訪れた。毛沢東の像の前で共産党の党旗を広げて記念撮影する人は、昨年に比べて急増したという。

この現象に対し、改革派サイトの天涯社区などでは「彼らはマインドコントロールされている。話をしたくない」などのコメントが寄せられている。

一方、最近20年、毎年増え続けた香港を訪れる中国本土の観光客は今年初めて減少に転じた。昨年の民主派によるデモが影響したほか、香港市民の間で嫌中感情が高まっていることが原因とみられる。【2月26日 産経】
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革命聖地を訪れる人が多いというのは意外な感もありますが、反腐敗粛清運動を続ける習近平政権の風紀・思想引き締め政策の一側面をあらわしたものとも考えられます。

日本への高評価というのは、そうした革命聖地を訪れる人々の対極にあります。

外の世界に目を向け、中国社会を客観評価しようという流れと、中国の内なる原点に回帰しようという流れの“二極分化”というのは非常に妙味深い現象ですが、今後の政治動向次第では日本に対する評価もまた変わることもありうるということでしょう。

党機関紙も苦言を呈する日本製温水洗浄便座人気
日本のメディアが取り上げている“中国ネット上の意見”というものを扱う際には、そうした意見が中国ネットにおいて一般的なものなのか、あるいはことさらに日本のメディアが一定の傾向のものを拾い集めているだけなのか・・・そこらにも留意する必要があるでしょう。

日本商品高評価の代表とも言えるのが高機能な温水洗浄便座ですが、人民日報の国際版である環球時報が、その人気に苦言を呈しています。

****中国国営紙が日本の温水洗浄便座に言及****
中国では近年、おしり洗浄や便座暖房、乾燥などの機能がついた日本の温水洗浄便座が大人気だが、これに苦言を呈する社説が26日、中国国営紙に掲載された。

中国共産党の機関紙・人民日報の国際版、環球時報は中国語版と英語版双方に「日本製の温水洗浄便座人気は誇張されている」と題した社説を掲載。

中国人が日本製の洗浄便座を買うことは、中国の「日本製品ボイコット」に対する当てつけだとし、「国内需要の低迷に直面している時期に、日本の店舗に殺到する中国人観光客は褒められたものではない」と苦言を呈した。

日中関係は東シナ海の尖閣諸島をめぐってこう着状態が続いている。
政治面で違いがある両国だが、アジアの2大経済大国はビジネス面では緊密な関係を築いている。

春節の連休中、およそ50万人の中国人が日本を訪れ、その経済効果は8億8200万ドル(約1050億円)に上ると予測されている。

環球時報が社説で温水洗浄便座を取り上げた意図は不明だが、日本を訪れた中国人観光客の間で温水洗浄便座は電気炊飯器に次ぐ人気だと報じた国営紙・北京青年報の記事に触発された可能性がある。

日本では珍しくない温水洗浄便座だが、中国では新富裕層の間でステータスシンボルとなっている。

環球時報は日本製の洗浄便座の高度な設計や洗練さを認めた上で、「世界クラスの便座を製造することは中国メーカーが目指すものではない」と切り捨てた。【2月26日 AFP】
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中国共産党の機関紙の立場にあるメディアが苦言を呈したということは、ネット上で見られる日本の水洗浄便座に対する高評価は、あながち日本メディア側が作り上げたものでもないようです。

中国人にとって心地よい“中国由来”】
そうしたことに留意しながら、中国メディアや中国ネットに関するいくつかの記事を紹介すると・・・

****祖先は中国人」と日本人が認めた! 中国メディアが「喜悦」の報道・・・「赤ん坊の蒙古斑。起源は雲南」と日本の有識者見解も****
中国メディアの西陸網、太原新聞網は21日から25日にかけて、「日本人が認めた。祖先は中国人だった」などとする記事を報じた。

日本人学者の鳥越憲三郎氏が1970年代から主張した説を取り上げ、「雲南はかつて、大和の根拠地だった。先祖は雲南の少数民族だった」などと紹介した。

見出しに使った「認めた」などの表現からは記事制作者が「喜悦」する様子が読み取れる。(後略)【2月26日 Searchina】
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日本人が日本列島で独自進化したのでなければ、大陸か南方からか移動してきたのは当然の話ですから、驚く話でもないように思えるのですが。

****かな文字」の由来に驚く中国ネット民・・・「日本人は柔軟」、「日本人は学び上手」=中国版ツイッター****
ユーザーが13日、日本の「かな文字」の由来について紹介するツイートを公開したところ、多くのユーザーが関心を寄せた。

このユーザーはまず「日本の古代には文字がなかった」として、中国の隋や唐の時代に大量の漢字が日本に伝わったことでようやく自らの言語を記録することができるようになったと紹介。そして、日本で誕生したひらがなは草書から、カタカナは楷書の偏やつくりから創造されたものであると説明し、「あ」が「安」から、「ア」が「阿」から生まれたことを例に挙げた。

このツイートに対して、ほかのユーザーからは「おお、勉強になった」、「日本の文字を作った人は行書(原文ママ)が好きだったのか」、「日本の文字はそもそも中国起源なのか」、「韓国語にも中国の影響がある。何といっても古代中国はアジアの覇者だったから」、「草書が元か……どうりで自分には日本語が読めないわけだ」といったコメントが寄せられた。

また、複数のユーザーが日本人の姿勢について論じている。あるユーザーは「日本人はとても素晴らしい学生だ」と評し、別のユーザーは「倭人は柔軟だ」、「日本人は学んだり参考にしたりするのが上手い」とした。ほかにも「(もともと文字がなかったから)日本人は各国の外来文字を使って表現せざるを得なかったのか」、「日本人の書道に対する熱愛ぶりは認めなければいけない」といったコメントもあった。(後略)【2月27日 Searchina】
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要は、“あの日本人が”“あの日本文化が”中国に根源を持つということが、中国人にとって心地よいもののようです。それは、日本人や日本文化への憧れにも似た高評価と表裏一体のものです。
憧れはコンプレックスとも表裏一体であり、容易に憎悪にも変わるものですが。

【「なぜ中国人は世界中で疎まれるのだろうか」と疑問を提示
日本を離れて、海外の中国人観光客のマナー問題に関してもいろいろネット上で論議されているようです。

まずは、以前香港でも社会問題ともなった、子供の用足しの問題。

****紙を敷いているからセーフ? 子供といえど公衆の面前で・・・外国ではみたことがない! 中国ネット民らで分かれる見解=中国版ツイッター****
・・・・ツイートは(中略)上海の繁華街と思しき屋外で、数人の大人がゴミ箱脇の地面に紙のようなものを敷き、そのうえで子どもに用を足させている様子を撮影した写真4枚を掲載した。

写真には周囲で多くの市民が携帯電話のカメラを構えて風景を撮影しようとしている様子も見て取れ、かなり賑やかな場所での行為であることが伺える。

このツイートに対して、微博のユーザーたちは公衆の面前で子どもに用を足させた行為がモラル的にどうなのかという議論を繰り広げた。

「アリだと思う。ゴミ箱がそばにあるし、子どもがガマンできない時だってある」、「紙を敷いていて、終わったら捨てるんでしょ」、「お腹を壊していたんでしょう。これは所構わず大小便するのとは違う」、「本当にモラルのない人は紙など敷かない」、「ちゃんと親が遮っている」といったコメントに多くの賛同が付いており、全体的にはこの行動を支持するユーザーが多数を占めたようだ。

その一方で「外国で子どもが公衆の面前で用を足すのなんて見たことない!」、「自分は2人の子の親だけど、地面に大小便をさせたことはない!」、「ガマン出来なかった、紙を敷いているからいいのか? 君たちは本当に自分の子にこんなに大勢の前でやらせるのか?」といった反対意見を唱えるユーザーもある程度いた。また、「国民のモラルの低さとともに、インフラ建設の問題もある」として、人の多さに対してトイレ設備が不足していると主張する声もあった。

(中略)ただ、より多くのユーザーが抱いた本当の感想は「こんな写真を撮影した人間が一番モラルに欠ける」だったようで、ツイート主には数々の批判が浴びせられていた。(後略)【2月25日 Searchina】
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「中国人観光客が銀座の街で子どもに小便をさせた」というものも話題になっているようです。

昔、「ティファニーで朝食を」という名画がありましたが、「グッチでカップ麺を」といったところでしょうか。

****イタリア旅行の中国人、「グッチ」の店先に陣取ってカップ麺「ずるずる」・・・批判に対して「どこが悪い」の大合唱****
イタリア人は驚き呆れた。通りすがりのその他の国の買い物客も驚き呆れた。イタリア旅行中の中国人観光客が集団で、高級ブランドのグッチ販売店の店先に陣取り、カップ麺(めん)をすすり込んでいた。

2月上旬にイタリアでインターネットに投稿されて、多くの人が知ることになった。同国メディアは「文明の衝突」などの用語を交えて同件を取り上げた。

その後、中国メディアも報じた。中国のインターネットでは、グッチの店先でカップ麺を食べた人を擁護する声が多い。(後略)【2月25日 Searchina】
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ネット上では、中国の「にわか成金」がモラル低下の「諸悪の根源」であるという声が多いようです。

****すべての中国人がモラルが低いわけじゃない! タイで「中国人向けにマナー手帳配布へ」の報道に、中国ネット民が議論・・・「中国人は国外に出るな!」の声も=中国版ツイッター****
中国版ツイッター・微博(ウェイボー)で3800万人のフォロワーを持つ、中国メディア・新浪のニュース配信アカウント「頭条新聞」は21日、中国人観光客によるマナー違反行為が目立つタイで、現地当局が中国人観光客向けの「マナー手帳」を配布する意思を示したとする国外メディアの報道を伝えた。(中略)

中国ネットユーザーの多くは、若者や金持ちでない人の多くはモラルを持っていて、「土豪」と呼ばれる「にわか成金」がモラル低下の「諸悪の根源」であるとの認識を抱いているようだ。

それは「お金さえあればやりたい放題」と意味の“有銭就是任性”という言葉が皮肉めいたニュアンスを帯びて中国のネット上で流行したことにも表わされているようだ。(後略)【2月24日 Searchina】
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日本でも、かつて“農協さん”の海外旅行がいろいろな物議を醸した時期がありました。

****世界中から「残念なイメージ」の中国人・・・「尊重されて然るべきだが・・・間違いない」=中国メディア****
中国メディアの青年創業網は23日、香港でこのほど中国国内での転売を目的に香港で買い占めを行う水客(密貿易業者や運び屋)に対する抗議活動が行われたことを伝え、「なぜ中国人は同胞である香港人からこのような待遇を受けるのだろうか」、「なぜ中国人は世界中で疎まれるのだろうか」と疑問を呈した。

記事は、旅行や留学、就業、貿易など目的は違えど、中国人が海外で軽視され、排斥されているという悪いニュースが近年増えていると指摘し、「5000年の歴史と文明を持つ中国人はなぜ海外でこれほどイメージが悪いのだろうか」と論じた。

続けて、21世紀の今日における中国は“一挙手一投足”が世界に大きな影響を与える国だと指摘し、「本来であれば世界中から尊重されて然るべきだ」と主張。一方で、「残念ながら中国人は世界中で尊重されていない」とし、特に西側諸国でその傾向が顕著であると指摘した。

さらに中国人が海外で軽視されているとの主張に対し、記事は「その理由は中国人が世界に悪いイメージを与えているから」と指摘、公共の場所で大声で話すことや回りの空気を読まず、列に並ばないこと、衛生的でない行為を取ることなどが原因だと論じた。

続けて、中国人はどこにいようと、「自分の考えと論理で行動し、現地のルールを守らない」と指摘。さらに他人に自分の富や力を見せびらかすことを好み、品格に欠けるとしたほか、金銭至上主義であることも海外でマイナスイメージにつながっていると論じた。【2月27日 Searchina】
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個々のケースにおける「アリかナシか」は別にして、中国の人々が、自分たちが外の世界からどのように見られているかということを気にかけるようになった・・・ということは、今後に向けての大きな一歩かと思います。

ついでに言えば、海外におけるマナーは、国内におけるマナー問題の延長にすぎません。
問題にすべきは海外だけではありません。
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イスラエル首相の頭越し訪米・議会演説で、オバマ政権との関係は悪化の懸念 

2015-02-26 22:36:24 | アメリカ

(2011年5月に訪米した際のネタニヤフ首相とオバマ大統領 このときはオバマ大統領が前日の演説でパレスチナ和平交渉の出発点として提唱した「占領開始前の1967年の境界線」について、ネタニヤフ首相は「(イスラエルは)戻ることはできない」と、明確に拒絶しました。 写真は“flickr”より By Prime Minister of Israel https://www.flickr.com/photos/israelipm/5745528308/in/photolist-9KHkoU-97MKNp-9L7QqS-9KEx8r-9KExfX-9KHk5u-9KHk1s-9KEx52-9KHkbh-ac4d5y-cEMEKN-pu2kXy-9KExiF-9KHkAh-9KExkX-bAMkae-dj4Yh1-875Fg8-8JwSMS-oVvQKG-ggHJhC-dNaxAq-dgCcrq-bnSuTC-o4qbDY-deRoWh-qKZue7-8xz2s7-9KAYdC-9L7Qk1-anhcY1-9L53gH-6p4SdX-dhTBR6-ofLUQE-e4WEYU-ggHY1F-8hHQmX-57k8pw-apWysg-8xsDka-e4DTcR-82QutR-nM2sow-qNeP61-dB3JjQ-9eUZQD-8mRRs5-pEvzSD-biWak4)

イラン核協議「前進はしたが、まだ多くの課題がある」】
イラン核問題に関する欧米など主要6カ国とイランの協議については、週間前の2月20日ブログ「イラン核開発問題 22日ジュネーブでアメリカ・イランが直接協議 3月末までに成果は?」http://blog.goo.ne.jp/azianokaze/d/20150220 で取り上げたばかりですが、“「いくつか進展があったが、最終合意にはまだ遠い」”(イラン・ザリフ外相)という状況です。

****<イラン核協議>枠組み合意へ…3月2日再開確認し終了****
イラン核問題を巡り、ジュネーブで行われた欧米など主要6カ国とイランの協議は23日、3月2日の再開を確認して終了した。米国務省が明らかにした。

イランと米国が中心となった今回の協議について両国は一定の進展を示す一方で、主要課題では依然隔たりがあるとしている。

イランのザリフ外相は「有益で建設的だった。6カ国の代表者と熱心に協議し、特に米国とは3日間行った。いくつか進展があったが、最終合意にはまだ遠い」と語った。

一方、米政府高官は「前進はしたが、まだ多くの課題がある。難しい課題を(この協議で)はっきりさせた。解決に向け作業できる」と話した。

イランと6カ国は、3月末までの枠組み合意、6月末までの最終合意を目指す。(後略)【2月24日 毎日】
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ネタニヤフ訪米・議会演説 「外交儀礼に反している」】
イラン、アメリカ双方が国内保守強硬派を抱えて妥協が困難なこと、国際的にはイランを敵視するイスラエルがイラン核開発継続につながる合意に強く反発していることは、前回ブログでも触れました。

同様に前回ブログで取り上げた、イスラエルのネタニヤフ首相によるオバマ大統領を頭越しにした、野党共和党の招待による訪米・議会演説が3月3日に現実のものとなりそうです。

保守強硬派のネタニヤフ首相とアメリカ・共和党が連携する形でオバマ大統領の進めるイランとの協議に圧力をかけるものですが、かねてよりそりが合わないオバマ大統領とネタニヤフ首相の関係が更に険悪なものになりそうです。

当然ながら、大統領・ホワイトハウスはネタニヤフ首相の“外交儀礼に反する行動”を激しく批判しています。

****ライス米補佐官、異例のイスラエル首脳への非難****
ライス米大統領補佐官(国家安全保障担当)は24日放映の米PBSテレビのインタビューで、イスラエルのネタニヤフ首相が3月3日、オバマ政権に無断で米連邦議会での演説を予定していることについて、両国関係を「破壊する」と非難した。

議会演説は、野党・共和党のベイナー下院議長が要請し、ネタニヤフ氏はオバマ政権と事前調整を行わないまま受け入れた。オバマ政権は「外交儀礼に反している」と不快感を示していた。米高官がイスラエル首脳への強い非難を公言するのは異例だ。

ライス氏は「イスラエルと米国の関係は常に党派の垣根を越えていた。政治が入り込むことはなかった」と強調し、今回のネタニヤフ氏の動きは「党派的だ」と批判した。【2月26日 読売】
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「外交儀礼に反している」と言うか、“喧嘩を売っている”とも言えるようなネタニヤフ首相の行動には驚かされます。

ケリー国務長官 イラク侵攻を引き合いに、ネタニヤフ首相批判
ケリー国務長官はネタニヤフ首相の頑ななイラン核開発問題に関する判断を強く批判しています。

****<イラン核交渉>米国務長官、イスラエル首相を批判****
米国のケリー国務長官は25日、下院外交委員会で証言し、イランとの核交渉に否定的なネタニヤフ・イスラエル首相について、「正しくない判断をしている可能性がある」と批判した。

ネタニヤフ氏は野党・共和党の招きで3月3日に米議会で同様の主張を演説する見込みだが、ライス大統領補佐官(国家安全保障問題担当)も両国関係にとって「破壊的」な行為だと異例の強い調子で非難。

緊密だった米イスラエル関係のさらなる悪化が表面化している。

 ◇否定的姿勢「正しくない」
国連安保理の5常任理事国(米英仏中露)にドイツを加えた6カ国とイランによる核交渉について、ネタニヤフ氏は25日、米国などがイランの核兵器保有阻止の目的を「あきらめたようだ」と述べるなど、批判を強めている。

米欧側はイランの核能力を制限する代わりに、対イラン制裁を一部緩和。交渉は3月末までの枠組み合意を目指し、山場にさしかかっている。

ケリー氏は外交委員会で、ネタニヤフ氏がイランとの最終的な包括合意に極めて否定的なことについて尋ねられ、「正しくない判断」と指摘。

ネタニヤフ氏が2003年にブッシュ前米政権のイラク侵攻を支持したが、「イラク脅威論」の根拠だった大量破壊兵器が見つからなかったことにも間接的に触れ、同氏の判断に強い疑問を示した。

ネタニヤフ氏の米議会演説は、共和党のベイナー下院議長がホワイトハウスや国務省の頭越しに招待して決まった。共和党内にはイランへの制裁強化など強硬論が根強く、交渉優先のオバマ政権と厳しく対立している。

このため、ライス氏は24日、米PBSテレビで「(議会演説は)党派主義が反映されたもので、不幸なだけでなく、(両国の)関係に破壊的だ」と指弾した。

オバマ政権は、13年11月の暫定合意をイランが順守していると強調し、最終合意に向け交渉を継続している。だが、イラン反体制派は24日、テヘラン近郊の「地下秘密施設」とされる衛星写真などを公表、「核兵器開発目的」でウラン濃縮用遠心分離機の研究開発が行われていると主張している。【2月26日 毎日】
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ブッシュ前米政権のイラク侵攻に関するネタニヤフ首相のミスリードを持ち出すあたりは、大統領側は本気で怒っているようです。

アメリカとイスラエルの強固な結びつき
アメリカは、これまで国際的に批判されがちなイスラエルの後ろ盾となってきました。
パレスチナ自治政府が進めている国際刑事裁判所(ICC)への加盟・イスラエルのガザ空爆や入植活動提訴についても、アメリカはイスラエルを支持して、パレスチナ自治政府に反対してきました。

****<国際刑事裁判所>イスラエル・ハマスの戦闘を予備的捜査****
国際刑事裁判所(ICC、オランダ・ハーグ)は16日、パレスチナ自治区ガザ地区を実効支配するイスラム原理主義組織ハマスとイスラエルによる昨年夏の戦闘などについて、戦争犯罪に関する予備的捜査を開始したと発表した。

ベンスダ主任検察官は「期限を設けず、独立した立場で調べる」と述べた。予備的捜査で犯罪の疑いが出れば、裁判所の許可を得て本格捜査を開始する。

 ◇起訴には困難も
国際的批判のあったイスラエルのガザ地区への空爆や、ハマスの対イスラエル攻撃が国際刑事法廷で初めて裁かれる可能性が出てきた。

パレスチナは今月2日、ICCを規定するローマ条約への加盟を国連本部に申請。これに先立つ1日には、ICCの管轄権を受諾すると表明していた。パレスチナは4月に加盟する見込み。主任検察官は管轄権受諾を受け、予備的捜査の開始を決めた。

昨夏の戦闘は、自治区ヨルダン川西岸地区でユダヤ人少年3人が拉致、殺害されたことが直接的なきっかけ。ICCは少年が行方不明になった翌日の昨年6月13日以降の戦争犯罪、人道に対する罪、集団殺害などについて予備的捜査を行う。対象はイスラエルだけでなく、パレスチナにも及ぶとみられる。

ただ、イスラエルはICCに非加盟のため、イスラエルの責任者を起訴してもICCの権限は及ばない。また、ICCは加盟国の協力で捜査を行っているのが実情で、非加盟国を起訴するのは困難を伴う。

パレスチナのICC加盟を巡っては、これに反対するイスラエルが今月、代理徴収した税金のパレスチナへの送金凍結を決めたのに続き、米国務省もパレスチナ向け援助への影響を示唆するなど、国際的な圧力も強い。

昨夏の戦闘では、パレスチナ人2100人以上が死亡、約10万人が自宅を失った。イスラエル側は約70人が死亡している。【1月17日 毎日】
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「(両国の)関係に破壊的だ」とされる今回のネタニヤフ首相の訪米・議会演説によって、こうしたアメリカのイスラエル支持が変わるのか・・・と言えば、おそらく基本的には大きくは変わらないのでしょう。オバマ大統領とは更に関係が悪化するでしょうが。

ネタニヤフ首相の“喧嘩を売る”ような行動も、両国の強い結びつきがあっての話でしょう。

アメリカとイスラエルの結びつきの強さは、外部から見て分かりづらいものがあります。人口では、アメリカ社会におけるユダヤ人は、そんなに大きな数字ではありません。
そんなところから、“ユダヤ人支配”云々の話・陰謀論なども出てくるわけですが・・・。

アメリカの現実政治においてイスラエル支持の原動力になっているとされるのが、強力なユダヤ・ロビーであるとも言われています。

****ユダヤ・ロビー*****
米国には約530万人のユダヤ系市民がおり、活発な政治活動で知られる。その数は、米国の人口の2%以下に過ぎないが、その組織率と投票率の高さ、大統領選挙の際に重要なニューヨークやイリノイなどの州への人口の集中、マスコミ、大学など言論界での発言力の大きさなどの要因が合わさって、政治的に無視できない力を有している。

伝統的にユダヤ人の大半が民主党支持で、民主党の大統領には特にユダヤ人の影響力が強い。

しかし、近年になって共和党支持のユダヤ人も増えてきた。その諸組織は、ユダヤ・ロビーとして知られている。ユダヤ・ロビーは、その力をイスラエルのために行使してきた。 【知恵蔵2015】
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“ユダヤ人の大半が民主党支持”・・・・少なくともこれまではイスラエル支持という点では、民主党も共和党もなかったということでしょう。

なお、ユダヤ・ロビーのなかでも最大・最強組織が「アメリカ・イスラエル公共問題委員会 AIPAC、エイパック)」ですが、AIPACのイスラエル政府との関係については、“米国外の政府より資金の提供を受け、あるいはそのような政府の利益のために活動する組織には登録が義務付けられている。AIPACはこのFARAの登録を行っておらず、公式にはイスラエル政府から何の資金・指示も受けていないと主張しているが、かねてよりAIPACの立場に対しては疑問が呈されており・・・・”【ウィキペディア】とのことです。

アメリカ一般国民には、今回のネタニヤフ首相訪米には批判的な向きが多いようです。

****米とイスラエル 「対イラン」深まる亀裂****
・・・・招待したのは共和党のベイナー下院議長。欧米など六カ国とイランの核協議を推進するオバマ政権に批判的な「対イラン強硬派」だ。

残る任期が二年を切り、政治的なレガシー(遺産)づくりのため、キューバとの国交回復交渉の開始に続き、イランとの和解に照準を合わせるオバマ氏。イラン核協議では三月末までの枠組み合意、六月末までの包括合意を目指す。

これに対し、ネタニヤフ氏は自国の安全保障を脅かしかねないイランに接近するオバマ氏に強い不満を抱く。イスラエル総選挙が三月十七日に迫る中、議会演説はオバマ氏を揺さぶり、自国の保守層にアピールする狙いがあるとみられる。アーネスト氏は選挙に影響を与えかねないと苦言を呈している。

ネタニヤフ氏は演説で「イランの脅威」を強調する見通しで、オバマ政権の批判を展開する可能性もある。三月二日からはジュネーブでイラン核協議が再開する予定となっており、協議参加国の警戒感も高まっている。

ただ、米世論は両国の関係悪化を望んでおらず、米CNNテレビが今月十七日に行った世論調査では「政府に相談なしにネタニヤフ氏を招くべきではなかった」と、深まる亀裂を懸念する回答が63%に上った。【2月25日 東京】
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イスラエル総選挙ではネタニヤフ首相勝利の予想 更に右寄り政権へ
先述のように、ケリー国務長官はネタニヤフ首相の対イラン判断を批判していますが、イスラエル国内でもネタニヤフ首相の言動に対する疑問も出ています。

****イスラエル首相、モサドの見解と矛盾=イラン核問題で秘密文書―中東TV****
イスラエルのネタニヤフ首相が国連総会でイランの核の脅威を訴えた2012年、イスラエルの対外情報機関モサドが「イランは核兵器製造に必要な活動を現段階で行っていない」と分析した報告書を作成していたことが明らかになった。

中東の衛星テレビ局アルジャジーラが入手し、24日までに公表した。首相とモサドとの間でイランに対する脅威認識が異なっていたことを示している。

ネタニヤフ首相は3月3日、米議会で、イランと6カ国による核協議に関して演説する予定で、訪米を前に24日、「合意を阻止するために何でもするのが首相の責務だ」と説明した。

演説ではイランの核脅威を強調するとみられるが、その根拠も疑問視される可能性がある。【2月25日 時事】 
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ケリー国務長官が、ブッシュ前米政権のイラク侵攻に関するネタニヤフ首相のミスリードを持ち出したのも、こうした話を踏まえてのことでしょう。

ただ、なんだかんだ言いつつも、イスラエル国内ではイランやパレスチナへの強硬な姿勢が国民受けするようで、3月17日に予定されているイスラエル総選挙では、ネタニヤフ首相率いる右派リクードが優勢と報じられています。

****ネタニヤフ首相、続投有力か=イスラエル総選挙まで1カ月****
3月17日投開票のイスラエル総選挙(一院制、定数120)まで1カ月。ネタニヤフ首相率いる右派リクードがリードしており、首相が右派勢力を中心に連立をまとめ、続投する公算が大きくなっている。中東和平交渉に消極的な「さらに右寄りの政権になる」との見方も広がっている。

世論調査によると、主な政党・会派の予測獲得議席数は、リクードが25、中道左派の労働党と中道「ハトヌア」による統一会派「シオニスト・キャンプ」(中道左派)が23、極右「ユダヤの家」が13、左派「アラブ統一会派」が12。

リクードが第1党になれば、連立の構成は(1)ユダヤの家や宗教政党との右派政権(2)シオニスト・キャンプとの大連立政権-のいずれかになると予想されている。安定した政権運営を考えれば「ネタニヤフ首相の望みは前者」というのが大方の見立てだ。

しかし、ヘブライ大のタミル・シェファー教授(政治学)は「右派新政権ができれば、イスラエルは国際的に一層孤立を深める」と懸念する。

首相は3月上旬に米議会でイラン核問題に関する演説を計画しているが、頭越しに話を進められたオバマ米政権とは険悪化。訪米取りやめを求める声もあるが「イラン問題が争点になれば、国民はリクードに投票する」(同教授)とみられ、「ミスター・セキュリティー」と呼ばれ、安全保障政策を評価される首相には追い風で意に介さない。

右派中心の新政権になれば、パレスチナとの和平交渉についても「連立政権内からの圧力がなくなり、再開を期待するのは難しい」(同教授)。今回の総選挙は、首相の権力基盤強化のために行う側面が強い。【2月17日 時事】
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ネタニヤフ首相の今回訪米も多分に国内総選挙を意識したものでしょう。
更に“右寄り”政権となれば、パレスチナやイランの問題での前進は当分期待できません。
コメント

フィリピン・ミンダナオ島  1月の“交戦”で、新自治政府発足に向けた法案審議がストップ

2015-02-25 22:39:19 | 東南アジア

(交戦で死亡した44名の警官の葬儀で、並ぶ棺を背にしたアキノ大統領 http://www.interaksyon.com/article/104087/mel-sta-maria--the-mamasapano-incident-discordant-gestures-everywhere )

14年3月和平合意 任期中の新自治政府発足を目指すアキノ大統領
40年以上にわたって続いているフィリピン南部ミンダナオ島のイスラム系住民の反政府闘争(十数万人が死亡、200万人以上が避難)したについては、これまでも何回か取り上げてきましたが、改めて確認すると、前回取り上げたのが2014年1月27日ブログ「フィリピン・ミンダナオ島  最終的な和平協定に向けて前進」(http://blog.goo.ne.jp/azianokaze/d/20140127)で、1年以上前になるようです。

表題のように、長年の紛争に一応の区切りをつける和平協議が進み、昨年3月にはフィリピン政府とイスラム反政府武装勢力モロ・イスラム解放戦線(MILF)が包括和平合意文書に調印し、新自治政府発足に向け動き出しました。

“今後は合意内容を条文化した「自治基本法」を制定し、編入の是非を問う住民投票で管轄地域を確定させる予定。和平実現に積極的なアキノ大統領が任期を終える16年内の新自治政府発足を目指す。しかし、一部の武装勢力は1月以降、MILF主導の和平に反発し、政府軍と衝突。利権を巡る政治家らの妨害も懸念されている。”【2014年3月27日】

この問題には日本も仲介に取り組んできました。
“日本は06年から停戦監視団に専門家を派遣しているほか、11年8月にはアキノ大統領とMILF議長との極秘会談を成田空港近くのホテルで実現させ、和平の足がかりに貢献している。”【2月25日 朝日】

包括和平合意文書調印の後は、紛争で遅れていたミンダナオ島復興に向けた動きなども報じられていました。

****武器を置いてソバを育てる ミンダナオ島****
フィリピンでは、政府軍とイスラム武装組織との紛争が続いてきた南部・ミンダナオ島で日本人が現地のイスラムの人たちの生活を支援しようと日本のソバを栽培する取り組みが本格化しています。

この取り組みは、ミンダナオに住む日本人、天野洋一さん(71)と住川武禧さん(71)が日本の食品加工会社の支援を得て7年前から始めたもので、現地の人たちと協力してソバの実を栽培しています。(後略)【2014年5月24日 NHK】
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****ミンダナオ島、電力不足 需給逼迫、3カ月で損失54億円****
フィリピン南部のミンダナオ島で電力不足が深刻化し、経済に悪影響を及ぼしている。

ミンダナオ開発庁によると、2月後半から5月中旬までの約3カ月で電力不足が原因とみられる消費減や機械故障などによる損失額は23億ペソ(約54億円)に達したもようだ。同島は電力需給が逼迫(ひっぱく)した地域として知られる。現地紙マニラ・ブレティンなどが報じた。(中略)

地元紙ミンダナオ・エグザミナーによると、こうした(和平合意の)流れを受けて同島への投資も資源関連を中心に増加している。

ムスリム・ミンダナオ自治区の投資委員会の発表では、1~3月の投資流入額は16億2000万ペソとなり、昨年の年間流入額14億6000万ペソをすでに上回った。

今後、紛争で遅れた経済発展を遂げていくには電力の安定供給が欠かせない。同島ではアヤラ・グループやアルカンタラ・グループなど地場財閥系の電力会社が大型の発電所建設に乗り出しているほか、日本からも三菱商事などが発電事業に参加している。【2014年6月4日 SankeiBiz】
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また、昨年6月には「モロ・イスラム解放戦線(MILF)」のムラド議長が来日して、今後の抱負を語っています。

****MILF・ムラド議長「自治政府作る法律、年内に」 比ミンダナオ和平****
・・・・ムラド氏はイスラム教徒が主体の自治政府づくりのための基本法案の年内成立を求めた。

自治政府の姿についてムラド氏は「自前の警察をつくり、天然資源の富は優先的に分配してもらい、財政的にも自立する」と説明。基本法案はすでに政府に提出したとして「7月に国会審議を始めて年内に成立してほしい」と話した。日本政府の支援も訴えた。(後略)【2014年6月23日 朝日】
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警察の特殊部隊とMILFが交戦、警官49人が死亡
和平実現に積極的なアキノ大統領のもとで、ようやくミンダナオ島にも和平が定着するのか・・・とも思われていたのですが、今年1月の事件でにわかに事態は不透明になっています。

****フィリピン警官49人死亡、ミンダナオ島でイスラム勢力と衝突****
フィリピン南部ミンダナオ島で、警察の特殊部隊と反政府イスラム系武装勢力の衝突が発生し、警官49人が死亡した。

同島を拠点とする反政府勢力「モロ・イスラム解放戦線(MILF)」とフィリピン政府が、40年以上にわたった紛争の末、昨年3月に調印に至った和平合意が試されている。

約11時間に及ぶ衝突が発生したのは、ミンダナオ島のMILFが支配するマギンダナオ州のママサパノ。25日午前3時(日本時間同日午前4時)ごろ 、停戦合意で定められているMILFとの調整なしで警官隊がママサパノに進入し、銃撃戦となった。

26日に急きょマギンダナオ入りしたフィリピン国家警察庁のレオナルド・エスピナ長官は声明を発表し、警察の特殊部隊は最近フィリピン南部で起きた爆発事件の背後にいるとされる「重要度の高い標的」を追跡していたと説明した。

一方、MILF側の和平交渉責任者、モハグハ・イクバル氏は、警察が追っていた人物のうち1人は、東南アジアのイスラム地下組織ジェマ・イスラミア(JI)のメンバーで米国が500万ドル(約6億円)の懸賞金をかけている「マルワン」ことズルキフリ・ビン・イール(容疑者だったと語っている。

また追跡されていたもう1人は、フィリピンの反政府イスラム武装勢力「バンサモロ・イスラム自由戦士(BIFF)」のバシット・ウスマン司令官だったとみられている。

イクバル氏は、今回の衝突は和平プロセスの上で「大きな問題となるだろう」と述べたが、同氏、政府高官ともに停戦は保たれていると強調した。【1月26日 AFP】
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事件の経緯、犠牲者については以下のようにも報じられています。

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事件が起きたのは1月25日未明。

警察の特殊部隊はイスラム系国際テロ組織「ジェマー・イスラミア」のマレーシア人幹部を捕まえるため、MILFが支配する平原に入った。

停戦合意中の相手地域に入る際は事前通告が鉄則だが、警察は「重要度が高い任務は例外」と通告を避けた。

暗闇でMILFのゲリラ部隊と遭遇して戦闘を開始。犠牲者は少なくとも警察44人、MILF18人、市民5人の計67人に及んだ。【2月25日 朝日】
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事前通告がなかったことによる偶発的な衝突のようですが、“警察44人、MILF18人、市民5人の計67人”という犠牲者の数は非常に多いものになっています。

なぜ事前通告をしなかったのか、ここまで犠牲者が拡大するまでに途中で停止できなかったのか・・・不思議に思えるところもあります。

現地在住の方のブログなどを拝見すると、当然のように居酒屋談義的に“陰謀論”も語られてはいるようです。

停戦合意を壊してMILFを劣勢に追い込みたいその他の反政府勢力が仕組んだ罠とするもの。
イスラムへの猜疑心を高め、来るべきイスラムとの戦争を正当化するためアメリカが仕組んだ罠とするもの。
合意をひっくり返してイスラム勢力へ対決姿勢へ転換しようとするフィリピン政府が仕組んだとするもの。
次期大統領選挙を控えて、アキノ大統領から後継者指名を受けているロハス内相(警察を管轄)の失点を演出しようした罠とするもの。等々・・・。
【フィリピン南溟通信 http://dadesigna.blog.fc2.com/blog-entry-483.html より】

まあ、いずれも居酒屋談義の域を出ないということは、逆に言えば、真相はやはり偶発的な衝突だった・・・ということでしょうか。

交戦による審議中断で、任期中の新自治政府発足は「もはや不可能」】
ただ、事件の影響は深刻です。

****ミンダナオ和平 不透明に フィリピン、武力衝突で法案審議停止 ****
フィリピン政府と南部ミンダナオ島のイスラム系武装勢力「モロ・イスラム解放戦線(MILF)」が合意した和平の実現が微妙な情勢になってきた。

1月の衝突で警察側の44人が死亡し、関連法案の国会審議が停止しているためだ。2016年に予定されているイスラム自治政府の樹立が頓挫することになれば、アジアでトップクラスの高成長に水を差しかねない。

「暴力の再発が懸念される」。フィリピン大統領府のコロマ報道官は10日、和平プロセスの停滞についてこう述べた。

同国政府とMILFは12年に和平の枠組みで合意し、16年にミンダナオ島内に自治政府を設立する準備を進めている。国会で「バンサモロ基本法案」が審議されていたが、衝突を受け停止した。

きっかけは1月25日に同島マギンダナオ州で起きた衝突だ。警察の特殊部隊がMILFの支配領域に入って戦闘が起き、警察の44人が死亡した。

フィリピンでは大統領再選が禁止。16年に誕生する次期大統領がミンダナオ和平を優先する保証はない。残り1年でMILFの武装解除が必要になる。2月末までに自治政府の根拠となる基本法を成立させなければならないが不透明になった。

仮に戦闘が再開されれば、同島への投資は減り、国内のほかの地域のイメージも悪化しそうだ。

ミンダナオ島の人口はフィリピン全体の2割にあたる約2千万人。開発が遅れたため賃金がマニラ首都圏などに比べておおむね低く、国内外の企業は新たな投資先として期待する。(後略)【2月24日 日経】
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****法案審議止まる****
(事件が起きたミンダナオ島中部ママサパノの)村人が懸念するのは、事件後、国会で和平合意の柱である「イスラム系住民による自治政府」を設置する基本法の審議が中断されてしまったことだ。

フィリピンは人口の約8割がカトリック教徒。イスラム系武装勢力に警官44人を殺された衝撃は大きく、国家警察の長官は解任され、大統領の辞任を求める声も高まっている。

国会ではイスラム系住民の自治権限を縮小する方向で法案を修正することや、廃案を求める声も出始めた。

和平合意は「アキノ大統領の任期(来年6月)までの自治政府設立」という内容だ。そのための基本法は手続き上、今年3月20日が成立の期限と言われていた。だが交戦による審議中断で「もはや不可能」(マルコス上院地方自治委員長)な情勢となった。

国内で高まるMILFへの不信感の背景には、最近、世界各地でISのテロ事件が相次いでいることもある。

ミンダナオ島の武装勢力とISとの関連は明らかではない。ただ、今回警察が追っていたのは02年のインドネシア・バリ島爆弾テロに関わり、「IS支持」を表明していたとされるジェマー・イスラミアの幹部。「武装勢力がかくまっていたのでは」と国民の不信を招いている。【2月25日 朝日】
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もともと、イスラム勢力との和平合意については、イスラム勢力内部でも和平協議の主導権を握るMILFへの反発は以前から強くあります。

1977年にモロ民族解放戦線(MNLF)から分派・独立した組織であるMILF自身が、MNLFが進めた和平協議に反発して武装闘争を続け、勢力を拡大してきた組織でもあります。

また、キリスト教徒勢力のなかにも、新自治政府発足で既得権益を失う勢力は和平に反対しており、こうした勢力の意向を受けるかたちで、アロヨ前大統領が進めていたMILFとの和平協議が年2008年の最高裁の違憲判決で頓挫したこともあります。

こうした反対勢力が多い中で進めてきた和平合意ですので、非常に壊れやすいものでもあります。

なお、MILFはアルカイダ勢力「ジェマ・イスラミア」との関係も従来から指摘されていましたが、現在の関係は知りません。

武装闘争方針を変えた現在は、いろいろと事情も変わっているとは思いますが、一方で、キリスト教徒主体のフィリピン社会に、IS拡大に伴って、イスラム勢力への警戒感が強くなっているであろうことは容易に想像できます。

今回交戦について、現地の方のブログには、“マニラの人を激昂させたのは、(警察部隊が)単に死んだということではなくて、殺された後、屍体が冒涜された、つまり顔が変形するくらい銃弾が撃ちこまれたり、切り刻まれたことである。”(http://tagalog.gengo21.com/?p=178)といった指摘もあります。

いずれにしてもアキノ大統領在任中の新自治政府発足は「もはや不可能」ということであれば、極めて残念です。
ようやくここまで持ってきたのに・・・。
コメント

ミャンマー北東部で中国系少数民族と政府軍の戦闘 中国国内には介入を求める声も

2015-02-24 21:37:36 | ミャンマー

(2月17日、ミャンマー・コーカン地区ラウカイで起きた戦闘で、避難する住民=ロイター・共同【2月22日 東京新聞】)

中国系コーカン族側が中国人雇い兵を使っているとの見方も
ミャンマー北部カチン州で少数民族コーカン族と政府軍の戦闘が拡大していること、この地域には木材など密貿易のために多数の中国人が入っており、戦闘激化で足止め状態になっていること、もともと少数民族の問題は、密貿易の利権の問題と表裏の関係にあることなどは、2月15日ブログ「ミャンマー ロヒンギャ問題でも、少数民族との停戦でも“黄信号”」(http://blog.goo.ne.jp/azianokaze/d/20150215)でも取り上げました。

戦闘は依然として続いており、むしろ拡大の様相を呈しているようです。

****ミャンマー北東部の戦闘拡大=和平交渉・総選挙に影響も****
中国との国境に近いミャンマー北東部シャン州コーカン地区で9日に始まった国軍と中国系少数民族コーカン族武装勢力の戦闘は2週間が経過したが、沈静化の兆しはなく拡大の様相を見せている。

政府が全国停戦協定締結を目指して少数民族武装勢力と進めている和平交渉や、今秋予定される総選挙に影響を及ぼしかねないとの見方も出ている。

コーカン族武装勢力は、2009年まで支配下に置いていたコーカン地区の奪回を目的に攻撃を開始したとされ、兵力は2000~3000人とみられている。

ミャンマー政府は17日、コーカン地区に非常事態を宣言し戒厳令を発令したが、その後も戦闘は終息せず、政府系メディアによると、23日の交戦で国軍要員3人と武装勢力6人が死亡した。政府側発表ではこれまでに双方合わせて100人以上の死者が出ている。

国軍は、ミャンマー政府と対立するカチン独立軍(KIA)など一部の少数民族武装勢力も戦闘に加わってコーカン族武装勢力を支援しているほか、コーカン族側が中国人雇い兵を使っているとの見方を示している。【2月24日 時事】 
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コーカン族は、もともとは中国から移住した漢民族で、言語も中国語系であることから、中国との関係は非常に強いものがあります。

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コーカン族の祖先は、17世紀に雲南省から移住した明朝の遺民であると考えられ、楊姓の土司が支配した。

1885年にイギリスが上ビルマを併合した後も、楊氏は事実上の藩王とみなされ、依然としてコーカン地区の実権を握っていた。

ビルマ独立後は上ビルマと下ビルマが統一され、土司政権は終わりを告げた。その後の内戦を経て、コーカンは「ミャンマーシャン州第一特区(コーカン)」となった。

1997年の推計で、コーカン族は近年雲南省から移住した人々と合わせてミャンマーの中国系住民の30~40%を占める。【ウィキペディア】
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坂本馨氏のブログ(http://blog.livedoor.jp/airin5/archives/66172855.html)によれば、反清復明を掲げる明の残党がミャンマー北部に逃げ込んで拠点を構えてゲリラ戦を展開したのが、コーカン族の由来とのことです。

その後、この地域では中国共産党政権へゲリラ戦で抵抗する国民党残党が入り込み、勢力を保ったこともあります。

ミャンマー・タイ・ラオス、更には中国との国境地帯で、中央政府の勢力が行き届かないことも多いこの地域は、以前からシャン族、ワ族、コーカン族、カチン族、ビルマ共産党、中国共産党、国民党残党、「麻薬王」クンサー率いる麻薬組織等々が入り乱れる一筋縄では行かない地域でもあり、ケシ栽培による麻薬取引がそうした勢力の資金源ともなり、「黄金の三角地帯」とも呼ばれたエリアでもあります。

****中国人傭兵が戦闘に参加」 コーカン族との戦闘でミャンマー国軍が批判****
ミャンマー政府軍幹部は23日までに、北東部シャン州で続く少数民族コーカン族の武装勢力との戦闘で、武装勢力側が元兵士の中国人を雇い兵として戦闘に参加させていると批判した。AP通信などが伝えた。
 
ャンマーの英字紙イレブン(電子版)によると、同高官は21日、首都ネピドーでの会見で、コーカン族との戦闘で拘束した「中国の市民」8人が中国人の戦闘参加を認めた、と説明した。

国境近くでは、中国の軍将校と市民らが軍事的な助言や指導を行っているとも話しているという。

会見では、武装勢力側から押収した銃器などの写真も示し、中国雲南省との結びつきが強い、シャン州のワ族武装勢力との関与を指摘。

北部カチン州などの武装勢力もコーカン族を支援しているとして非難した。コーカン族側は中国人雇い兵の存在を否定している。【2月23日 産経ニュース】
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中国系コーカン族を支援しているされるワ族はモン・クメール(カンボジア)系の少数民族で、中国雲南省南部とミャンマー北部シャン州、ラオス北部に暮らしています。

ワ族武装組織は“背後では中華人民共和国が影響力を行使していると考えられており、装備には中国製の物が多い。制服・制帽なども中国製、もしくは中国製のものを模倣した国産品を使用している。”【ウィキペディア】ということで、中国の影響力が強い組織のようです。

カチン族のカチン独立軍や、問題となっているコーカン族も、同様に中国の支援を受けているとも言われています。

中国のミャンマー少数民族武装組織への支援については“2013年現在、ミャンマー政府が親中路線を転換しつつある事から、中国からUWSA(ワ族武装組織「ワ州連合軍」)に対する軍事援助が再び活発化している。その中には、Mi-17ヘリコプターやTY-90地対空ミサイル(en)等、重装備の供与も含まれているという。”【ウィキペディア】という事情もあるようです。

ただ、いくら少数民族を支援しても、少数民族側がミャンマー全体を掌握することはあり得ず、ミャンマー政府の機嫌を損ねるだけのようにも思うのですが。
少数民族への影響力をてこにして、ミャンマー政府との交渉を有利に進めたいという思惑でしょうか。

ミャンマー少数民族の武装組織と政府軍の戦闘と言うと、映画ランボーのイメージもあります。
また、高野秀行氏の「南西シルクロードは密林に消える」(講談社)では、ミャンマー少数民族武装勢力は、ちょっと“ゆるい”感じも受けます。(高野氏のソマリアの著書も同様な感じがあります)

しかし、少数民族側が軍用ヘリコプターや地対空ミサイルを装備しているとなると、政府軍としてもなかなか大変です。

中国ネットでは“コーカン地区は中国にとっての『クリミア』” 中国政府は慎重姿勢
更に、中国人雇い兵となると、まるでロシアのクリミア・ウクライナ東部への介入をも思わせます。

実際、コーカン族が中国系であり、避難民が雲南省に流れ込んでいることから、中国国内では介入を求める声も強まっているそうですが、今のところ中国政府にはロシアのような介入の意図はないようです。

****ミャンマー戦闘で中国雲南省に難民流入 中国政府、世論に介入迫られる****
ミャンマー政府軍と、同国北部の中国系少数民族コーカン族など複数の武装勢力との内戦が今年初めに勃発し、戦火から逃れるために3万人以上の難民が国境を越え中国に流れ込んでいる。

中国の世論は同じ民族的起源を持つコーカン族に同情し、「人民解放軍を派遣すべきだ」との強硬論が高まっているが、本格的な対立は避けたい中国当局は国民に冷静を呼びかけ、火消しに躍起になっている。

コーカン族はミャンマー北東部の中国雲南省と隣接する地区に約20万人が住み、明末などに移住した中国人の子孫といわれる。今も中国の生活習慣を残し、中国語を話す人が多い。周辺の他の少数民族と同様、ミャンマー政府軍とは別に独自の軍隊を持っている。

今年1月、ミャンマー北部の少数民族、カチン族が、森林の過度な伐採などを理由に政府軍と衝突し、内戦が始まった。隣接するコーカン族の集落も巻き込まれて参戦したが、政府軍の攻勢で主要な町が次々と奪われ、約3万人の難民が雲南省に流れ込んだ。

コーカン族のリーダー、フォン・キャ・シン(彭家声)氏(85)が2月上旬、世界中の中国人と華僑に向けて「コーカン地区は古来の中華の領土。海外に捨てられた同胞を助けてほしい」と中国への復帰を示唆する声明を発表し、中国国内でコーカン族支援の機運が一気に高まった。

インターネット上では、「コーカン地区は中国にとっての『クリミア』で、中国もロシアに見習って併合すべきだ」といった書き込みが多く寄せられている。習近平体制が推進する愛国主義教育に伴い民族主義が高揚していることが主張の背景にあると指摘される。

しかし中国政府は、難民を積極的に受け入れたものの、「軍の派遣」を求める民間の声には距離を置く。外務省の報道官は定例記者会見で「中国はミャンマーの主権を尊重している」と繰り返し強調。

共産党機関紙、人民日報傘下の環球時報も社説で「中国社会の各方面は冷静さを保ち、早まった態度を取るべきではない」と呼びかけた。

中国にとってミャンマーは、パイプラインなどを通じてエネルギーを確保すると同時に、近隣外交を展開する上で不可欠な重要国だ。

コーカン問題に深く介入すればミャンマーとの関係が悪化し、国際社会から批判される危険も高く、慎重姿勢を崩していない。【2月23日 産経】
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中国系コーカン族にしても、それを支援するカチン族やワ族の武装勢力も、中国の支援を受けていると言われています。

反政府少数民族武装組織を支援しながらも、ミャンマー政府との正面切っての衝突は避けたい・・・という話のようです。

もちろん、中国にとってはミャンマー政府との関係が最大の関心事ですから、そういう話にもなる訳ですが、だったら少数民族側へ圧力をかけて停戦を仲介すれば・・・とも思うのですが、そう簡単な話でもないようです。
コメント

中国  日本商品、日本社会への高評価も 「自分自身の日本観」を持つ人々の増加

2015-02-23 21:35:31 | 中国

(銀座を席巻する中国人観光客 【2月20日 Record China】 そのマナー等への批判はありますが、現実の日本を自分の目で見てもらうことは、今後の日中関係にとって良いことだと思います。)

豊かになり続ける中国人に複雑な感情
日本への中国人観光客の急増、その“爆買い”と形容されるすさまじい消費行動について、特に春節を迎えたこの時期、連日のようにTV、新聞で報じられています。

日本での大きな反響は、中国でも報じられているようです。

****日本人は複雑な心境!?・・・中国人の「消費パワー」炸裂! あちらこちらで「爆買い」の実態=中国メディア****
中国メディアの人民網は20日、円安やビザ発給用件の緩和などを受け、春節(旧正月)期間中に日本を訪れる中国人観光客の数が大幅に増える見込みだと伝え、中国人観光客の消費能力の高さが日本人を驚かせていると論じた。

記事は、東京・銀座では中国人団体観光客を乗せた大型バスがひっきりなしに訪れていたと紹介し、人民網の記者が銀座で確認しただけでも20日午後12時から1時間以内に最低5台の大型バスが停車していたと紹介した。

さらに、免税店ラオックスの銀座本店では19日には中国人客の数が平時の2倍近くに増えたとし、ラオックスの関係者の話として、「中国人観光客にもっとも人気が高い商品は電気炊飯器で、その次が空気清浄機だ」と伝えた。また、洗浄便座や魔法瓶、お菓子なども人気が高いと伝えた。

また、多くの中国人観光客は購入前に製品が日本製かどうかを確認していると紹介し、ラオックス店内で買い物をしていた中国人観光客が「電気炊飯器は持ち帰るには大きいうえに重いのだが、日本メーカーの製品は温度調整といった機能や内釜などの作りが優れているため炊きあがった米がおいしい」と語ったことを紹介した。

さらにラオックスの担当者の話として「一部の中国人観光客は買い物だけで2万元(約38万円)前後の予算を用意しているようだ」と伝えたほか、5-6万元(約95-114万円)もの予算を用意している人もいると紹介。さらには予算など関係なく、欲しいものは値段に関係なく購入するような中国人観光客もいると伝えた。

続けて記事は、「日本人は大量に訪れる中国人観光客の消費能力の高さに驚くと同時に、豊かになり続ける中国人に複雑な感情を抱いている」と伝える一方、日本のインターネット上では「消費が回復しない日本において、中国人観光客は日本経済の刺激の1つであり、日本はますます中国から離れられなくなった」との声があがっていると伝えた。【2月23日 Searchina】
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“豊かになり続ける中国人に複雑な感情”“中国人観光客は日本経済の刺激の1つ”という指摘は、概ねあたっているでしょう。

23日朝の「スッキリ!」(日本テレビ系)でコラムニストの勝谷誠彦氏が中国人観光客とそれをあてにする日本を強く批判したり、20日の「あさチャン!」(TBS系)では井上貴博アナが爆買いを「嫌になるくらい」と形容するなど、スッキリしない者も多いようです。

中国側も微妙なところもあります。

****日本のデパート、押し寄せる中国人観光客をおもてなし=中国ネットの「怒りの矛先」は意外な方向へ****
・・・・中国のネットユーザーは、こうした状況をどのように見ているのか。新浪財経の書き込みには、「なぜ中国に敵対する政府がある国へ消費に行くのか」「日本に行くのは売国奴!」などのコメントが見られるが、最も評価が高いコメントは「『日本に行くのは売国奴だ』とコメントしているやつは本当におかしい。某党の子どもたちはみんな欧米にいる。日本がどうした?彼らは笑顔で迎えてくれる。台湾や香港よりずっといい」というもの。・・・・【2月22日 Record China】
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最近増えた中国側の日本への高評価
中国人観光客の“爆買い”のニュースと同時に、最近とみに増えた感があるのが、中国側が日本人、日本製品を非常に評価し、その水準に改めて驚いている・・・という趣旨のニュースです。

その代表例が温水洗浄便座や炊飯器、ドライヤーです。

****洗浄便座作れる日本を見習え」 中国の共産党機関紙、日本ほめる異例のコラム****
9日付の中国共産党機関紙、人民日報は、日本の温水洗浄便座の人気が中国で高まっている現象を取り上げて「消費者は国内(製品)では満足を得られていない」と指摘し、中国も日本に見習い技術革新を重視すべきだと呼び掛ける異例のコラムを掲載した。

日本を訪れる中国人の間では最近、便座を買って帰る人が増えているとされる。人民日報は、日本の便座は洗浄機能を備え、便座がすぐに暖まるなど高機能だと紹介。

炊飯器やドライヤーなども含め、物まねでなく独自の技術を持った日本製品が中国の中流層に受けていると指摘した。

その上で「中国の製造業は(日本の)便座に痛いところを突かれた」として、中国も研究開発や自前の知的財産権を持つことに力を入れるべきだと主張した。

日中関係が悪化して以降、共産党機関紙が日本製品を持ち上げる記事を載せるのは珍しい。【2月9日 産経ニュース】
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ここ数日だけでもこの種の記事が多数目につきます。

****新幹線の「おいしい弁当」を見習え! 「中国の車内販売は高価でマズくて種類が少ない」・・・競争のない業界だからだ!=中国メディア****
中国国内の鉄道においても車内販売が存在するが、車内で売られている弁当は非常に人気がないという。中国メディアの新京報は16日、「日本の新幹線で販売されているようなおいしい弁当を販売すべきだ」と論じた。(中略)

さらに記事は、中国の鉄道利用者は「中国の車内弁当に文句を言うと同時に、日本の新幹線車内で販売されているおいしい弁当を引き合いに出す」とし、新幹線の車内で販売されている弁当は種類が豊富なうえに新鮮で美味しく、食欲をそそる味だ」と高く評価。

さらに、日本各地の有名駅弁は百貨店などでも販売されるほどの「美食」であることを伝えたうえで、「中国の鉄道運営会社も日本に学ぶべきではないか」と論じた。【2月23日 Searchina】
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日本への高評価は、商品にとどまらず、日本社会全体、日本人そのものにも及んでいます。

****日本の実力・・・「GDPだけでは計れない」=中国メディア****
中国メディアの捜狐は17日、中国の急速な経済成長が今なお続いていることは中国人にとって誇らしいことだとしつつも、「日本と中国の差には関心を持つべきだ」と指摘し、日本は今なお多くの分野で中国をはるかに上回っていると論じる記事を掲載した。

記事は、まず日本の一次エネルギーの消費量は中国に比べて極めて少ないことを指摘したうえで、粗鋼1トンあたりの使用石炭量は中国は約1.5トンだが日本はわずか0.6トンにすぎないと指摘。

また、日本は石油1000グラムに相当するエネルギーで10.5ドル(約1246円)分の付加価値を生み出すことができるとし、これは中国の7-10倍に相当する金額であると指摘した。さらに、日本の鉄鋼生産量は中国に劣るものの、高級鋼の生産量は世界一だと報じた。

さらに、日本の研究開発費の額は米国に次いで世界2位であり、日本の科学技術の競争力も世界2位だと主張。こうした高い科学技術の背景には教育の重視という要素があるとし、日本の初等教育における純就学率は約100%であり、中等教育の純就学率は約99.5%で世界一だと指摘。誰もが平均的に一定の教養を持つ国民は日本経済および社会の発展における貴重な資源だと論じた。

また記事は、日本の「国家イメージ」も世界最高水準にあるとし、2007年に米誌「TIME」が行った調査結果として、日本の国家イメージが世界でもっとも良好だったことを紹介。そのほか、日本の対外純資産総額は世界一であり、日本には経済面においても国内総生産(GDP)だけでは計れない実力が存在することを紹介した。【2月23日 Searchina】
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****車やマンションが買えるだろう金額でも!? 現金を落としても7割超の落とし主に戻ってくる東京・・・中国メディアが仰天****
中国メディアの中国新聞社は、「財布を拾った」などとして東京都内で警察に届けられた現金が2014年には33億4000万元(約636億7000万円)に達したと報じた。74%もの現金が落とし主に戻ると特記し、「住民が誠実であることを示している」との見方を示した。(中略)

記事は、「日本人は日本社会の安全さを誇りとしている」、「日本を訪れた外国人も、(日本社会の安全さについて)よく言及する。酒場やタクシーで財布やパスポートをなくしても、いつも戻ってくるとの声がある」などと紹介した。

記事は、日本社会が安全であることについて、「住民が誠実であることを示している」と論じた。【2月19日 Searchina】
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****日本人の優しさに「感動」・・・道を尋ねれば「荷物まで持って案内」してくれ、記念撮影では「写真撮りましょうか」と声をかけてくれた=中国版ツイッター****
・・・・娘と一緒に京都にやってきた北京在住のユーザーは18日、道を尋ねたときのエピソードを紹介。
ホテルにたどり着けずに道を尋ねたところ「3人の日本人がとても親切にホテルまで送ってくれた。しかも荷物まで持ってくれた」と明かした。

そして「感動して『きっとまた来こよう』としか言えない」とその思いをつづった。このユーザーは、日本にやって来て最も感じたことを「きれいで、人が特に礼儀正しい」ともしている。(後略)【2月23日 Searchina】
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【「日本」への信頼感を積み上げることで生まれる日本の生きる道
いささか面はゆいような、「それほどまでは・・・」と言いたくなるような褒めっぷりです。

もちろん、【Searchina】というサイトが、編集方針でその手のニュースをことさらに集めているのかもしれませんし、日本を非難する記事も現地では相変わらず多々あるのでしょう。

たとえそうであるにしても、こうした日本への高評価が話題になることもあるということは、ひところの日中関係が冷えきっていた時期にはあまりなかったことでしょう。

背景としては、福田元首相の訪中あたりを境に、昨年後半から日中関係の潮目が変わりつつあるような政治的事情もあるでしょうし、冒頭でも取り上げたような日本を訪れる中国人観光客が急増したことで現実の日本に対する認識の変化が生まれていることもあるでしょう。

また、中国社会のある程度の成熟にともなって、相手をありのままに受け入れる余裕ができつつあるという社会的事情もあるように思われます。

****深層中国 ~巨大市場の底流を読む 第66回 「現実」を見始めた「現実的な人々」 ~日本を見る眼が変わり始めた中国の人々 (田中 信彦氏****
・・・・中国人の訪日旅行や買い物ブームが空前の盛り上がりを見せていることはお聞き呼びのことと思う。

その直接的なきっかけは円安で日本の商品やサービスが一気に割安になったことだが、これはいわば外部的な環境の話である。

今回、中国の人々の日本に対する関心が急激に高まっている背景には、こうした外部要因に加え、中国人、中国社会の「心の持ち方」の変化という内部的な要因がある。
実はこちらのほうが本質的な話と言えるかもしれない。今回はこの話をしたい。

新しい消費者の出現
1月下旬、ある著名な中国の経済ジャーナリストが発表した文章が、あっと言う間に全国に拡散、国営テレビや中国共産党機関紙までがその現象を取り上げるという一種の社会現象にまでなった。

「日本に行って温水便座を買う」と題するその文章は、中国では最も著名な経済ジャーナリストの一人、呉暁波氏が書いたものだ。日本のメディアでも一部、伝えられたのでご覧になった方もあるかもしれない。(中略)

その他、作者が例として挙げたのは、髪がサラサラになるナノケアドライヤー、力を入れなくても切れるセラミック製の包丁、朝入れたお湯が昼になっても熱くて飲めない保温ボトル、ドイツ製より軽くて汚れが良く落ちる電動歯ブラシ……。そして極めつけが文章のタイトルにもなっている温水便座である。(中略)

中国国内の便器を研究し、ほぼすべての便器に取り付けられるようになっているという。「中国の団体客が来ると、あっと言う間に売り切れます」という日本の店員の話を伝えている。

「日本企業が追求してきたのはシンプルなことである。米が輝いてベタつかないこと、髪がさわやかに乾くこと、女性が手に持っても簡単に切れること、雪の中でも温かい飲み物が飲めること、あなたのお尻がきれいに、さわやかになること……。本業に徹し、他人に頼らず、技術革新に賭け、量を追わずに質を追求してきた。これこそが中国の製造業が目指すべき道である。」

「中国では中産階級の消費者が増え、技術や性能にお金を払う人々が増えている。彼(女)らは簡単に騙されないし、派手な広告に踊らされたりもしない。このような理性的な消費者が出現してきたことは、中国の製造業が大きな転換点に来ていることを示している。中国の中産階級が海を越えて温水便座を買いに行かなくても済む日は来るのであろうか……。」

あえておこがましい言い方をさせてもらえば、「ようやくわかってくれたか、君たち」と言いたくなるような文章である。この極めてまっとうな、当たり前といえば当たり前の文章が全国的な評判を呼び、中央テレビ局や共産党機関紙までがその話題を取り上げるテーマとなったというあたりに、いまの中国の気分が現れている。

一口でいえば、筆者の呉氏も指摘しているように、成熟した、冷静な人々が増えてきた。自分自身の判断力を持ち、自分自身の基準で「いいものはいい。ダメなものはダメ」という見極めができる。そして「良い」と思ったものは、実際に買う。それだけの経済力を持っている。そういう人が、少なくとも都市部には層となって現れてきた。

そんな基盤あっての「日本旅行ブーム」なのである。

「違い」がわかってきた消費者
こうした冷静な目を持てるようになってきた背景は、当然ながら生活水準の向上にある。

当たり前のことだが、人は経験したことがないことを理解するのは難しい。量を食べることが最大の主眼である時代には、お米の質やご飯の炊き方などにこだわる人はいなかった。

生活に余裕が出て、いろんな産地の米を食べ、さまざまな炊き方のご飯を食べ比べられるようになると、どこの米をどんな炊き方をしたらおいしいか、自然と比べるようになる。商品の質の違いが認識できるようになる。(中略)

中国社会の変化にジャストミート
・・・・現状の日本商品に対する高い評価は、ブームに踊らされたものでもなく、ブランドに依存した憧れによるものでもない。

新しいホワイトカラー層のライフスタイルが大きく変化し、その生活実感に基づいた、最も地に足がついた商品が日本の商品だったということである。

長いこと「値段が高い」「使い方がわからない」などと酷評されながらも地道に品質向上の努力を続けてきた日本企業の取り組みが、ようやくこうした層の志向の変化にジャストミートした。これは本当に価値のあることだと思う。(中略)

「自分自身の視点」で日本を見る
こうした中国の人々の「日本を見る眼」に共通するのは、日本を自分自身の生活との関わりで見るという視点である。

政府は政治の都合でものを言う。自分たちに都合のいい話、都合の悪い話、いずれにしても何らかの理由を探し出してきては「日本はこうだ」と決めつけようとする。

もちろん中国の人々もそれに大きく影響されるが、その一方で、多くの人々が日本製品を使った経験や日本への旅行体験、さらには信頼できる友人や知人の経験談などを通じて「自分自身の日本観」を持ち始めている。

それは先に述べたように、日本製の電気釜で炊いたご飯のおいしさだったり、セラミック包丁の切れ味の鋭さだったり、ひとつひとつは些細なことである。

しかし、全国で数百万、数千万単位の人がこうした自分自身の経験を通じて「日本」への信頼感を積み上げてきた効果は計り知れない。そして今、年間数百万人の中国人、それも世論形成に最も大きな影響力を持つ都市部の中間層の中国人が日本を訪れ、そのほとんどが好意的な、それも驚きに近い感想を持って中国に戻るという現象が起きている。(中略)

こういう流れが5年、10年、20年と続けば、私は――決して大げさでなく――中国社会の日本観は劇的に変わる可能性があると考えている。それは日中の政府間関係にも決定的な影響を与えるだろう。これは日本と日本人にとってこれ以上ない貴重な援軍であり、最大級の安全保障である。(中略)

最近、中国にいると「結局、なんだかんだ言って使えるのは結局、日本のものだよね」という声があちこちから聞こえてくる。

中国と30年以上関わってきた日本人としてこんなに嬉しいことはない。涙が出そうだ。そして、ここに日本の生きる道があると改めて思うのである。【2月20日 田中 信彦氏 WISDOM】
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中国への懸念、日中間の問題を挙げればきりがないところでもありますが、今日はやめましょう。
「自分自身の日本観」を持つ人々が増えていけば、政治的な問題についても、まともな話し合いが可能な環境もつくれます。

人口13億の中国と今さら量的なもので競っても詮無いことです。
戦後、日本がアジアを牽引したように、今後ますます中国の影響力は大きくなるでしょう。
日本が目指す方向は、「でも、やっぱり日本っていいよね」と評価してもらえるような国ではないでしょうか。

今夏に発表が予定されている「安倍談話」なるもので、こうした流れが吹き飛んでしまうことがないように願うのですが・・・・。
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アフガニスタン  情勢の変化を受けて、アメリカも完全撤退期限延長の可能性を再検討

2015-02-22 22:17:03 | アフガン・パキスタン

(2月21日 アフガニスタンのバグラム空軍基地の駐留米軍司令部を訪れたカーター国防長官(左列中央) “flickr”より By JTF-3 / USFOR-A https://www.flickr.com/photos/129037738@N05/16415696770/in/photolist-ri22Gz-qYPk6k-qmkQut-r1zHX1-ri7EK6-qmmsrZ-r1AZBA-r1AJJE-ri26yx-ri8F6p-qYNpux)
本題とは無関係ですが、フランクな感じで、性別・人種も多様・・・いかにもアメリカ的です)

民間人死傷者数 最悪記録を大きく更新
アフガニスタンでの戦争の「責任ある終結」を宣言するアメリカ・オバマ大統領は、駐留米軍の規模を2014年末で1万800人、15年末には半数の5500人、16年末には通常の大使館警護レベルまで縮小し、事実上完全撤退する計画です。

しかし、タリバンとの戦闘は治まっておらず、「イスラム国」(IS)やウクライナ東部のニュースに隠れる形であまり報道はされていませんが、依然として、と言うよりは、これまで以上に多くの犠牲者を出しています。

国際部隊撤退に伴って、タリバン側が攻勢を強めている結果と指摘されています。

****昨年の民間人死傷者1万人超=前年比22%増で過去最悪―アフガン****
国連アフガニスタン支援団(UNAMA)は18日、アフガン戦争における2014年の民間人死傷者数が過去最悪の水準とされた前年より22%増え、1万548人に上ったと発表した。

国際部隊が戦闘任務を終えて段階的に撤退したのに伴い、反政府勢力タリバンが攻勢を強めたのが原因とみられる。

UNAMAによると、14年には民間人3699人が死亡、6849人が負傷した。統計を始めた09年以降の死傷者は計4万7745人に達した。

これまでは簡易爆発物による死傷者が多かったが、14年には政府軍とタリバンの戦闘に巻き込まれたことによる犠牲者が増加。

特に子供の死傷者数が前年から4割増え、2474人となった。市街地の戦闘で迫撃砲やロケット弾が無差別に使用されたことが原因という。

UNAMAは「戦闘に携わる全ての当事者は民間人保護を最優先にすべきだ」と批判した。【2月18日 時事】 
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「責任ある終結」にせよ、「名誉ある撤退」にせよ自国の都合であり、現地の事情は考慮されないのはいつものことです。

ISの台頭
更に、最近では、リビア同様にISの影響も拡大しているようです。

****<アフガニスタン>「タリバン一部がIS台頭の動きも****
 ◇駐留米軍司令官が米上院軍事委員会の公聴会で警戒感
アフガニスタン駐留米軍のキャンベル司令官は12日の米上院軍事委員会の公聴会で、アフガンの旧支配勢力タリバンの一部がイスラム過激派組織「イスラム国」(IS)として存在感を示す動きが出てきたとし、「危険な言語表現や思想を伴っており、潜在的な脅威として非常に深刻にとらえている」と警戒感を示した。(中略)

同委員会のマケイン委員長(共和党)は、大統領が撤退計画を示した後、アフガンでもISの存在が確認され、パキスタン北部からアフガンへの大量の難民流入など状況が変わっていると指摘。

「(米軍撤退で力の)空白が生まれれば、イラクと同様に不安定さが増し、テロリストの安全地帯となって米国への直接的な脅威になる」と語り、撤退計画の見直しを求めた。

これに対し、キャンベル氏は、さまざまな選択肢を組織内で提示してきたとし、具体的には撤退の進め方をより柔軟にできないか指導部と協議していることを明らかにした。【2月13日 毎日】
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タリバン内にも和平協議模索の動き ただ組織内統一は疑問
アルカイダもそうですが、ISもフランチャイズみたいなもので、現地勢力がステータスを高めるために、あるいは他勢力との差別化のために、アルカイダなりISとの連携を主張することが多々あります。

ただ、ISの名前を掲げる以上、従来以上に非妥協的で、過激な戦闘を重視する方針とも思われ、今後が懸念されます。

“CIAでパキスタン・イスラマバードの支局長などを務め2006年にCIAを退職したロバート・グレニア氏は今年出版した回顧録「88 Days to Kandahar(カンダハルまでの88日)」の中で、アフガニスタンが、現在シリアとイラクで戦闘を続けているイスラム教スンニ派の過激派組織「イスラム国(IS)」の隠れ家になる可能性さえあると指摘した。”【2月11日 AFP】

タリバン内部は穏健派から強硬派までいろいろな勢力があるようで、その方向性は不明確でもありますが、和平協議に前向きな勢力もあるようです。

****タリバン、米国と和平交渉開始か? 本紙インタビューに元幹部「交渉に良い状況にある*****
アフガニスタンのイスラム原理主義勢力タリバンの元幹部は19日、産経新聞に、タリバンと米国の和平交渉の第1回協議が近く、カタールで始まると明らかにした。

米政府はこの情報を確認していないが、ロイター通信も交渉が19日に始まると伝えている。実現すれば、アフガンの安定に向けた大きな一歩となる。

元幹部は産経新聞の電話取材に、国際治安支援部隊(ISAF)が昨年末で撤収したため、「アフガンの和平交渉を行うとても良い状況にある」と述べた。タリバンの広報担当者も交渉開始を確認した。

協議は、2013年にもカタールで始まりかけたが、アフガン政府の反対で頓挫している。
ただ両者は水面下で接触しており、昨年、タリバンに人質にされていた米兵と、キューバのグアンタナモ米海軍基地に収監中のタリバン幹部5人の交換が実現した。【2月19日 産経】
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“19日に始まる”という協議の話は、いまのところ聞こえてきません。
こうした和平協議を志向する勢力がタリバン内でどういう位置にあるのかは、わかりません。

最高指導者オマル師も生存すら明らかでないので、その考えもわかりません。(最近は、生存にしろ、死亡しろ、その消息が話題になることも少なくなっています)

アルカイダを指導するザワヒリ容疑者はタリバンの最高指導者オマル師への忠誠を表明していますが、アフガニスタンにおけるISの台頭は、そのオマル師の存在が明らかでないことも背景になっていると思われます。

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山本忠通氏(国連アフガニスタン支援団事務総長副特別代表)
少なくとも近い将来、アフガニスタン政府が軍事力だけで紛争を平定することは難しく、タリバーンも本気で現政府を転覆できるとは思っていない、というのが大方の見方だ。

国を安定させ、発展を遂げようとするなら、話し合いで、タリバーンとの和平を実現させることが必要となろう。

タリバーンは、極端な暴力を無制限に使う「イスラム国」とは異なる。組織内に過激な勢力が存在するとはいえ、国を統治した経験を持ち、国民のことを考える意思があると思われる。【2月21日 朝日】
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ただ、タリバン内部の統一がとれていない状況では、仮に穏健派が和平協議に応じても、ISなど強硬派は戦闘を続けることが予想されます。

アメリカの空白を埋める中国 自国のウイグル族問題に直結
アメリカの撤退という空白を埋めるように、中国が和平協議をリードする形で存在感を増しているとの報道もあります。

****中国、タリバーンに接触 アフガン和平「役割果たせる*****
アフガニスタン政府と反政府武装勢力タリバーンの和平にからみ、中国が存在感を増している。

タリバーンと中国政府が接触を開始。駐留米軍の撤退が進み、米国の存在感が下がる一方で、中国は自国のイスラム過激派がタリバーンに支援を受けることを警戒。和平を実現し、過激派の芽を摘むことを視野に入れている模様だ。

 ■米軍撤退で治安悪化
タリバーンは1月27日付の声明で「イスラム首長国(タリバーンの自称)はとりわけ近隣諸国とつながりを持ってきた。中国もその一つで、関係構築と強化のため、今後も訪問を続ける」と述べた。

声明は訪問の時期や内容に言及していないが、タリバーン関係者は朝日新聞に、政権時代の元閣僚で、外交を担当する「政治評議会」メンバーのディン・ムハマド幹部らが昨秋ごろ、北京を訪問したと語った。前後して、パキスタン国内や中東カタールなどでも会談を重ねたという。

1990年代半ばからアフガンを支配下に置いたタリバーンは、2001年の米同時多発テロ後にオサマ・ビンラディン容疑者をかくまったとして米軍に攻撃され、政権を倒された。米国の潜在的ライバルである中国は、いわば「敵の敵は味方」のような存在だ。

アフガンでは米軍が昨年末で戦闘任務を終了。完全撤退は16年末だが、代わって前面に立ったアフガン治安部隊とタリバーンの攻防が全土で激化し、首都カブールでも頻繁に爆破事件が起きている。

昨年9月に就任したガニ大統領にとって最大の課題が治安回復。武力でタリバーンを完全に制圧するのは難しい。和平を模索する中で、こちらも中国を頼りにする。
翌10月、最初の公式訪問先に中国を選び、和平交渉への支援を求めた。

和平交渉で鍵を握るのはタリバーンに影響力を持つパキスタンだ。その友好国である中国を後ろ盾にすることで、交渉への糸口を探る意図とみられる。今年に入って、パキスタン当局は仲介に動き始めた。

和平交渉を巡っては、米政府の後押しで13年、タリバーンがカタールに交渉の窓口となる事務所を設置したが、カルザイ大統領(当時)の反対で頓挫した。

中国の王毅(ワンイー)外相は今月、パキスタンを訪問し、記者会見で「アフガン政府とタリバーンを含むあらゆる政治勢力との和平を支持する」とした。タリバーンとの接触については明らかにしなかったが、和平交渉で「中国は建設的な役割を果たすことができる」と強調した。

 ■背景にウイグル問題
中国は昨秋にアフガン問題を巡る国際会議を北京で開催。多額の無償援助や開発支援を約束し、経済支援をテコに関与を強める。

背景には、アフガンと隣接する新疆ウイグル自治区での民族対立がある。ウイグル独立派組織「東トルキスタン・イスラム運動(ETIM)」がパキスタンの武装勢力から武器提供や訓練を受け、一部がアフガン側のタリバーン支配地域に入ったとの見方がある。

蘭州大中央アジア研究所の朱永彪副教授は「中国は、タリバーンが今後長くアフガン国内で重要な権力を持つとみている」とし、「アフガンの安定は経済、テロ対策の両面で中国にとって利益となる」と指摘する。【2月21日 朝日】
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アフガニスタンに接する中国の新疆ウイグル自治区は非常に不穏な状況にあるようで、このところは連日のように事件が報じられています。

****<中国>新疆ウイグル「武装警察にウイグル族が爆発物」報道****
米政府系の自由アジア放送(RFA)は20日までに、中国新疆ウイグル自治区ホータン地区のカラカシュ県で16日、ウイグル族の青年1人が武装警察官に連行されそうになって抵抗し、その場で射殺されたと伝えた。

ホータン地区では13日にも、爆発物を身につけたウイグル族の青年が警察官に抱きついて起爆させる事件がグマ県で発生。青年と警察官7~8人が死亡した。20人近くが死傷したとの情報もある。

また、RFAはインターネット上の情報として、同自治区カシュガル地区のカルギリク県で最近、爆発物を持ったウイグル族の青年4人が警察車両を襲い、4人を含む11人が死亡したと伝えた。当局は4人の親族20人余りを拘束したという。

中国の公式メディアは今のところ、これらの事件を伝えていないが、政府の締め付けに抗議するウイグル族と当局の間で緊張が高まっているとみられる。【2月20日 毎日】
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RFAは21日、アクス地区バイ県で17日、ウイグル族住民と警察当局との衝突が発生し、計十数人が死亡したとも伝えています。

中国としては、アメリカの向こうを張ってということもありますが、アフガニスタンの安定化は新疆ウイグル自治区の安定化にも直結する問題でもあり、相当の関心を有していると思われます。

何より、タリバンをコントロールしているとも言われるパキスタンと良好な関係にあることが、タリバンとの協議を仲介するうえで強みになります。

アメリカ 期限延長の可能性も含めて再検討
一方、こうしたアフガニスタンでの戦闘激化の懸念、ISの影響拡大、強まる中国の存在感、国内共和党の批判・・・といった状況を受けて、アメリカは従来の撤退スケジュールの見直しも示唆しています。

****米国防長官、アフガン撤退計画再検討へ=大統領はタリバン和平を楽観****
アフガニスタンを訪問中のカーター米国防長官は21日、首都カブールでガニ大統領と会談し、2016年末を期限とする米軍撤退計画について、期限延長の可能性も含めて再検討することを伝えた。ガニ大統領が3月に訪米し、オバマ大統領との会談で詳細を協議するという。

カーター長官は会談後の記者会見で「これまでにアフガンで成し遂げた進歩を台無しにしない」と強調し、「オバマ大統領はアフガン支援を強化するため、撤退時期の見直しも含めたさまざまな選択肢を検討している」と述べた。

一方、ガニ大統領は「アフガンは平和と安定に向かって正しい道を歩んでいる」と発言。反政府勢力タリバンとの和平交渉実現に楽観的な見方を示した。【2月21日 時事】 
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アメリカが戦争から身をひくことを、なかなか世界情勢が許してくれない・・・という話は、2月17日ブログ「アメリカ 「世界の警察官」として頼られる現実」http://blog.goo.ne.jp/azianokaze/d/20150217 でも取り上げたところです。

戦争を終わらせた大統領という名を残したいオバマ大統領としては悩ましいところです。
コメント

インドネシア  外国人犯罪者死刑や外国密漁船破壊で厳しい姿勢を見せるジョコ大統領

2015-02-21 23:09:52 | 東南アジア

(党内基盤が弱いジョコ大統領(写真中央)にとって、国民支持が頼りです。“flickr”より By Dani Daniar https://www.flickr.com/photos/46086235@N06/16372831178/in/photolist-qWP3hJ-reiaky-qhAgpK-refGkz-qWQu31-rephJT-refFVr-qWQviY-r78neW-r78nfC-r5rnPi-qcz4LY-qN9kAX-r9zSsV-qSa1Uc-r9uD5u-qcz4XE-r9qZNR-r9qZUx-qS26Ko-r9uDj7-qSa1WM-qcMpZZ-r9uD7y-qS88rX-qcMqTc-qcMqpr-qSa1iT-qRZGTG-qS88q4-r7hCVG-r9zSJr-r9zSCe-qcz5DE-qS88Nt-r9qZJH-qcz5zw-qcMq8V-r9qZQ4-r7hDtW-r9qZSZ-qRZGeq-r9zTaX-r9uDeN-qSa1sa-qRZGRs-qcz4Nw-qS26dG-qcz4QW-qcz4W7)

【「何があっても執行をやめない」】
インドネシアで麻薬密輸の罪で死刑判決を受けた外国人の扱いに関するニュースが同日で2本入っています。

ひとつはオーストラリア人、もうひとつはブラジル人ですが、いずれのケースでもインドネシア・ジョコ政権は執行中止を求める相手国の要求、死刑執行への抗議をはねつける形で、強い姿勢を見せています。

****麻薬密輸犯の死刑恩赦訴え=インドネシアは「必ず執行」―豪****
2005年にインドネシアのバリ島からオーストラリアへヘロイン8キロを密輸しようとした罪で死刑判決を受けた豪州人2人をめぐり、両国間のあつれきが高まっている。

死刑制度がない豪州では、政府首脳や市民らが恩赦を必死に嘆願しているが、インドネシア側は「何があっても執行をやめない」(プラスティヨ検事総長)と反発している。

アボット豪首相は18日、「(04年の)大津波災害時には救済のため多大な貢献をした。今回はそれに報いてほしい」と要望した。しかし、インドネシアはこれを経済支援を材料にした「脅し」(ルトノ外相)と受け止め、一段と態度を硬化させる結果となった。【2月21日 時事】 
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****インドネシア大使の信任拒否=死刑回避へ圧力―ブラジル大統領****
ブラジルのルセフ大統領は20日、新任のインドネシア大使の信任を拒否した。ブラジルはインドネシアに対し、麻薬密輸罪で死刑を宣告されたブラジル人(42)の刑の回避を求めており、外交圧力を切り札にした。

ただ、大統領の強気の外交姿勢は司法制度への介入と受け取られかねず、インドネシア側の反発を招きそうだ。【2月21日 時事】
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後者のブラジル人のケースについては、“刑の回避を求めており”となっていますが、下記【NHK】記事では“18日死刑を執行した”となっています。もうひとりいるのでしょうか・・・よくわかりません。

18日にはブラジル人のほか、オランダ、ベトナム、ナイジェリア、それにマラウイ国籍の者も同時に死刑執行されており、ブラジル同様にオランダもインドネシアに抗議しています。

****麻薬で死刑 オランダなどが反発****
インドネシアの司法当局が大量の麻薬を密輸した罪などでブラジル人やオランダ人に18日死刑を執行したのに対し、中止を求めていたブラジルとオランダの両政府は大使を召還して反発しています。

インドネシアの司法当局などによりますと、大量の麻薬をインドネシアに密輸したり麻薬を製造したりした罪で2000年から2011年に死刑が確定した外国人5人とインドネシア人1人の合わせて6人に18日未明、死刑を執行したということです。

外国人5人の国籍はブラジル、オランダ、ベトナム、それにアフリカのナイジェリアとマラウイで、このうちブラジルとオランダの政府はインドネシア政府に死刑の中止を求めていましたが、インドネシア側は拒否していました。

インドネシアでは麻薬の密輸や製造の最高刑は死刑で、前のユドヨノ政権下でも執行されています。

去年10月に就任したジョコ大統領には、年々検挙する量が増えている違法薬物がまん延するのを防ぐためにも、引き続き厳罰で臨む姿勢を示すねらいがあるものとみられます。

一方、ブラジルとオランダの政府は、「2国間の関係に深刻な影響を与える」とか、「死刑は残酷で非人道的な刑罰であり、受け入れられない」とする声明を発表し、インドネシアに駐在する大使を本国に召還して反発しています。【1月18日 NHK】
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オランダ、オーストラリアは死刑制度を廃止しており、ブラジルも戦時の逃走・反逆以外での死刑は廃止されています。

死刑に関する立場はいろいろありますが、個人的には、犯罪を犯した国の法律に従うしかないのでは・・・と思います。
その法律が自国価値観に照らして著しく受け入れがたいものである場合(たとえば、姦通行為で石打の刑にされるなど)は別ですが、麻薬密輸や殺人などの通常犯罪行為であれば、その国の法律によるべきでしょう。

日中間の死刑問題
外国人犯罪に関する死刑については、死刑制度を維持している日本と世界で最も死刑執行が多いとされる中国の間でも話題となることがあります。

****名古屋地裁で中国人に死刑判決・・・中国で「日本の市議にはなぜ、判決言い渡さない」、「死刑は当然」の声****
愛知県蟹江町で2009年に親子3人が殺傷された事件で名古屋地裁は20日、中国籍の元三重大留学生、林振華被告に対して強盗殺人、強盗殺人未遂などの罪で死刑を言い渡した。

判決言い渡しは中国でも報道された。中国のインターネットでは「薬物を運んだ日本の市議には、なぜ今も判決が言い渡さない」、「(林被告への)死刑言い渡しは当然」などのコメントが寄せられた。(中略)

同記事の配信は20日午後4時(日本時間同日午後5時)。日本時間21日午前9半現在、寄せられたコメントで、「いいね」が最も多いのは「中国で違法薬物を運んだ日本の市議には、どうして今に至るまで判決が出ないのだ?」だ。

「中国で違法薬物を運んだ日本の市議」とは、広東省の広州白雲国際空港で2013年、覚醒剤(かくせいざい)3.3キログラムを所持していたとして当局に身柄を拘束された、愛知県稲沢市議、桜木琢磨被告を指すと思われる(解説参照)。

林被告への死刑言い渡しを伝える記事に対して、「いいね」が次に多かったコメントは「死刑言い渡しは当然」のコメントだ。中国では、日本を初めとする外国で自国民が起こした凶悪犯罪について、厳しい非難の声が上がることが珍しくない。

林被告については「死刑判決は絶対に当然だ。日本に行って右翼を殺したり靖国神社に放火したなら、過激思想の私はあなたを男として尊敬する。しかし、庶民を殺して財物を略奪するのでは、かつて中国を侵略した日本軍の畜生と、何の違いもないではないか。死んでも国家の面子(メンツ)をつぶす奴だ」などのコメントもある。

◆解説◆
桜木被告は、覚醒剤が入っていたスーツケースは「ナイジェリア人の妻から渡された」、「中身は知らなかった」などとして犯意を否定し、裁判で争っている。

中国では裁判の進行が速く、3カ月程度以内に判決が言い渡されることが多いが、桜木被告に対する裁判は長引き、さらに広州市の中級人民法院(裁判所)は1月26日、同月下旬に(行う予定であった)判決言い渡しを延期すると弁護側に通達した。【2月21日 Searchina】
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日本で犯罪に及んだ林振華被告は日本の司法制度で裁かれるべきですし、中国で逮捕された桜木琢磨被告についても同様でしょう。

桜木琢磨被告については、「中身は知らなかった」かどうかが争点となりますが、国籍の問題を別にしても、いずれの判断が下ってもおかしくない微妙な問題です。中国での公正な裁判に委ねるしかないでしょう。

判決言い渡しが延期されたことについては、“桜木市議は昨年8月の公判で「懲役15年以上か無期懲役、または死刑、および財産没収」を求刑された。「中に覚醒剤が入っているとは知らなかった」として一貫して無罪を主張しており、地裁も慎重に審理しているとみられる。”【1月26日 毎日】とのことです。

反日感情によって不当な裁判が行われている・・・というような類ではないようですから、あとは中国司法に委ねるべきでしょう。(日中政府間で何かやり取りがされているのかどうかは知りません)

密漁船撃沈を含む強硬策 中国漁船は?】
外国人死刑問題で強い姿勢を崩さないインドネシア・ジョコ政権の話に戻ると、ジョコ大統領はこの問題だけでなく、外交面では強気の姿勢をとっているようにも見えます。

****海洋強国」目指すジョコ政権=密漁船を撃沈、強硬姿勢―中国を警戒・インドネシア****
昨年10月に発足したインドネシアのジョコ・ウィドド政権が、「海洋強国」実現に向けた取り組みを加速している。

外国の密漁船への取り締まり強化を打ち出したのに加え、海軍の増強も計画。背景には、南シナ海進出を着々と強める中国への強い警戒感がある。

ジョコ大統領はインドネシアを海洋国家として発展させることを優先目標に掲げている。外国船の密漁では「年間300兆ルピア(約2兆8800億円)が失われている」と危機感を示し、11月には密漁船撃沈を含む強硬策をとる姿勢を示した。

大統領の意向を受け、インドネシア海軍は12月5日にアナンバス諸島周辺海域で違法操業していたベトナムの小型船3隻を爆破、沈没させたのを皮切りに、下旬にはパプアニューギニア船2隻、タイ船2隻を撃沈。いずれも乗員を下船させた後で、「警告」が狙いだったが、大統領は摘発をさらに強化するよう国軍に求めている。

また、海軍の増強も進める方針だ。ジョコ政権は任期中の5年間に軍の近代化を急ぐ計画だが、リャミザルド国防相は「海洋戦略強化のため特に海軍を強化する」と強調。韓国の技術協力を得て自前の潜水艦建造を目指すほか、無人偵察機の導入も検討している。

海軍増強の背景には、近年南シナ海への進出を急速に図る中国の存在がある。天然資源が豊富なインドネシアのナツナ諸島は中国が領有権を主張する「九段線」近くにあり、ユドヨノ前政権時代から国軍が警戒を強化。ムルドコ国軍司令官は4月、中国が同諸島の一部を九段線の中に含めていると批判し、軍事展開を強化する意向を示した。

こうした警戒感はジョコ政権になっても変わっていない。大統領と関係が近く、今年1月に大統領首席スタッフに就任したルフット・パンジャイタン氏は昨年12月、同諸島周辺で米石油大手シェブロンが共同ガス探査を進めていることを挙げ、「米国の存在は中国がここで活動できないことを示すシグナルになる」と中国をけん制した。【1月4日 時事】 
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上記記事では中国への警戒感が指摘されていますが、一方で、中国との関係は“蜜月ムード”とも言われるような関係強化が進んでいるとも報じられています。

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中国はインドネシアにとって最大の貿易相手国であり、インドネシアを訪れる外国人観光客は中国人が最も多い。

中国からの投資は拡大しており、昨年秋に習近平(シー・チンピン)国家主席が就任後初めて同国を訪問した際は、両国の関係を包括的戦略パートナーシップに格上げすることで合意した。

両国の蜜月ムードは高まる一方だ。インドネシアは中国主導のアジアインフラ投資銀行への参加を正式表明し、ジャカルタに本部を置くことを提案。中国からの観光客倍増も目指している。

ジョコ政権は重要な海洋開発構想でも中国と密接に協力していく構えだ。【1月6日 Newsweek】
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【1月4日 時事】にもあるベトナム船の爆破後に別の海域で拿捕した中国漁船22隻について、中国側の反発を覚悟で沈没させるのかどうかが注目されていました。

****中国密漁船を破壊せよ インドネシアの選択****
インドネシアの領海内で違法操業している中国の船を発見した場合、沈没させることも考えている──。今月上旬、インドネシアのジョコ・ウィドド大統領の外交政策アドバイザーが訪米中に明らかにした。

「最近ベトナムの漁船を沈めた。次は中国の漁船かもしれない」と、ジャカルタの戦略国際研究センターのリザル・スクマ所長は、ワシントンのインドネシア大使館で聴衆を前に語った。

インドネシアでは今月初め、同国の領海内で違法に操業していたベトナム漁船3隻を軍が拿捕。乗組員を拘束した後、無人の船を爆破して沈没させた。違法操業のせいでインドネシアは毎年240億ドル以上の損失を被っており、その抑止に乗り出したわけだ。

ベトナム船の爆破後に別の海域で拿捕した中国漁船22隻についても、中国側の反発を覚悟で沈没させるのかどうかが注目を集めている。
 
中国船の拿捕を受けて、スシ・プジアストゥティ海洋水産相は、外務省からインドネシアの中国大使館に抗議し対応を協議するようルトノ・マルスディ外相に要請したと語った。しかしその一方で、大統領が許可すれば拿捕した船を破壊することも検討しているという。

中国外務省の報道官は、インドネシア当局と協力して詳しい状況を確認中で、インドネシア側に「中国人乗組員の安全および法的権利の確保と適切な対応」を求めていると語った。(中略)

「手加減するな」との声も
ただ違法操業に対しては、各国からの要請にもかかわらず、インドネシア当局は今のところ厳罰で臨む方針を変えていない。

違法操業する外国船に対して監視・捜査当局が沈没を含む厳罰で臨むことは09年の漁業法で定めている、と一貫して主張している。

ジョコ自身は諸外国の抗議に対し、「純粋な刑事事件」であって「周辺国との関係には影響しない」と説明するよう外相に要請済みだと弁解した。

インドネシア国内でも、有効な抑止策にするためには、どの国の船であろうと沈没させるべきだという声が上がっている。インドネシア防衛大学のサリム・サイド教授は、政府は「違法操業する船に対して手加減すべきではない。インドネシアの領海に侵入する余地を二度と与えてはならない」と発言した。

相手は中国船だけではない。先月上旬に西カリマンタン州付近の海域で拿捕したタイの漁船5隻についても、リザルは沈没させる可能性を示唆した。スシも近日中に再び外国の漁船を沈没させると発言したが、詳細についてはコメントを避けた。

インドネシアが拿捕した外国船は先週の時点で150隻を超えているとみられている。ジョコによれば、領海内で違法操業する船は、ベトナム、フィリピン、マレーシア、中国の漁船を中心に毎日およそ5400隻。蜜月の終わりを覚悟してでも強硬策を模索するという、難しいかじ取りを強いられている。[2014.12.23号掲載]【1月6日 Newsweek】
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その後。この中国漁船を爆破したのか、そうしたのか・・・知りません。
特に情報が見当たらないところを見ると、少なくとも爆破はしていないのでしょうか?

ベトナム、タイ、パプアニューギニアの船は爆破して、中国の船は・・・というのは、どうでしょうか?
死刑執行にしても、密漁船爆破にしても、やるなら全部すべきところでしょう。現実問題として相手が中国となるとそうもいかない・・・ということでしょうか。

国民の人気が頼りのジョコ大統領
ジョコ大統領は、就任から1カ月もたたない昨年11月18日、公約通り燃料補助金の削減を実施し、浮いた財源をインフラ整備や教育、医療に振り向ける改革を断行しました。

そうした経済・財政改革は高い評価を受けていますが、警察庁長官人事でつまずいています。

かねて疑惑が指摘されていた者を汚職撲滅委員会の判断を待たずに起用を決定。その人物がジョコ大統領の後ろ盾である闘争民主党党首のメガワティ元大統領の警護官を務めた側近であるため、ネット上には「(ジョコ氏は)操り人形」と、指導力に疑問を示す声もあがり、支持者の反発を招きました。

“ジョコ氏は人事の一時凍結を決めたが、任命は取り消さない方針で、看板の「クリーン」に傷が付いた。”【1月20日 毎日】

この問題は、国家警察組織と汚職撲滅委員会の対立にも発展しました。
詳細はわかりませんが、結局、大統領は与党の圧力に抗して、国民に不人気な人事を撤回したようです。
“ブディ氏の警察長官指名を撤回=ジョコ大統領、混乱収拾狙う”【2月20日 時事速報インドネシア】

外国人死刑執行や外国密漁船爆破という強い姿勢の背景には、厳しい姿勢で国民の人気を維持することで、“与党・闘争民主党党首であるメガワティ元大統領との二重権力構造”という政権基盤の弱さを克服して、さらなる構造改革に踏みたいというジョコ大統領の狙いもあるのかも。
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イラン核開発問題  22日ジュネーブでアメリカ・イランが直接協議 3月末までに成果は?

2015-02-20 22:34:32 | イラン

(イラン核開発協議ではあまり顔が見えない中国ですが、イランを訪問した中国の王毅外務大臣は15日ザリーフ外相と会談、「イランと6カ国の核協議は、良好なプロセスを辿っている」と語っています。【2月15日 Iran Japanese Radio】)

期限が迫るなかで、イラン側からは交渉手順についての異論も
イランの核開発をめぐる交渉については、1月16日ブログ「イラン 94年のテロ事件がアルゼンチンで政治問題化 18日から核問題交渉再開 決断する段階」http://blog.goo.ne.jp/azianokaze/d/20150116 でも取り上げました。

18日にジュネーブで行われたイランと欧米など6か国の高官協議は、「雰囲気は非常に良かったが、多くの進展があったとは思わない」(フランス政府高官)ということで、双方の主張の隔たりを埋めることはできず、改めて2月初旬に再開することで一致し、終了しました。

昨年11月のウィーンでの協議で包括合意できず交渉期限を延長し、3月末までの「枠組み合意」、6月末までの最終合意を目指していますが、残された時間も少なくなっています。

事態の進展を図るべく、アメリカはケリー国務長官が22日にジュネーブでイランのザリフ外相と会談する予定になっています。

****<核問題>22日ジュネーブで米国イラン外相会談****
米国務省は19日、ケリー国務長官が22日にジュネーブでイランのザリフ外相と会談すると発表した。

イラン核問題の包括的解決を目指す国際協議の一環で、3月末に迫る枠組み合意の期限をにらみながら協議全体の前進を図る構えだ。

これに先行して米国からは19日にイラン核交渉の米代表であるシャーマン国務次官(政治担当)がジュネーブ入りし、イラン側と協議する。欧州連合(EU)高官も同席する。(後略)【2月20日 毎日】
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しかし、イラン側からは“3月末までの「枠組み合意」、6月末までの最終合意”という「2段階合意」への異論が示されており、協議は難航が予想されます。

****米・イランが直接協議へ 核問題巡り20日から ****
・・・・6カ国とイランは昨年11月、今年3月下旬までに枠組み合意を結び、詳細を詰めた上で6月末までの最終合意を目指すことで一致した。

だが、イランの最高指導者ハメネイ師は今月8日、欧米側が枠組み合意後に要求を拡大する可能性があるとして、2段階での合意を目指す方向について突然反対を表明し、一括合意を主張した。

イラン外務省のアフハム報道官も18日の会見で「2段階での合意はあり得ない」と明言した。

今後の協議では、交渉手順についても対立が深まる恐れがある。【2月19日 日経】
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確かに、詳細を詰めきらないままに枠組み合意しても、後で紛糾する可能性が多々ありますが、いきなり一括合意となると、何も形が示されないまま時間だけが過ぎることにもなりかねません。

妥協を拒む国内外の強硬派
交渉による解決を目指しているオバマ大統領は、当然ながら更なる期限延長については「現時点では役に立たない」と述べ、イラン側の決断を求めています。

****<イラン核>交渉延長、米大統領は消極的姿勢****
オバマ米大統領は9日、イラン核問題の包括的解決を目指す国際協議について、3月末の枠組み合意、6月末までの細部の詰めという期限の延長は「現時点では役に立たない」と述べ、消極的な姿勢を強調した。

また、「彼らが決断すべき時が来ている」とも述べ、包括合意の成立はイラン側の判断によるところが大きいとの認識を示した。メルケル独首相との会談後にホワイトハウスで行われた共同会見で述べた。

オバマ大統領は、これまで国連安全保障理事会常任理事国(米英仏露中)とドイツの6カ国がイランと行ってきた協議は、暫定合意でイランのウラン濃縮活動を事実上凍結するなど成果が出ていると改めて強調。

両陣営の溝は「十分に狭まった」と説明し、イランに示された提案は、平和的な原子力開発を認めつつ核兵器開発は阻止できるものだと述べた。

一方で、「イラン国内には(核問題での妥協を拒む)強硬派がおり、国内政治もある」と述べ、「包括合意が最終的に成立するかはまだ分からない」と語った。【2月10日 毎日】
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「国内には(核問題での妥協を拒む)強硬派がおり、国内政治もある」のは、アメリカも同様です。
イランへの不信感が強い野党・共和党は、イランのペースで時間稼ぎがなされているとし、制裁強化でイランへ圧力をかけるべきだとしています。

しかし、現時点での制裁強化は協議の枠組みを破壊してしまう危険が大きすぎます。

****<米国>民主党が対イラン追加制裁法案を2カ月凍結****
米民主党のメネンデス上院議員は27日、自らが野党共和党の上院議員とまとめた対イラン追加制裁を可能にする法案に関し、3月24日までにイラン核協議で枠組み合意が達成されない場合に限り可決を目指す意向を、他の民主党議員らとオバマ米大統領に書簡で通知したと明らかにした。米上院銀行委員会の公聴会で述べた。

イラン核問題の包括的決着を目指す国際協議は3月末までに大枠で合意し、6月末までに技術的細部を詰めた包括合意の達成を目指している。

メネンデス議員らの対応により、少なくとも約2カ月は追加制裁法案が可決されない可能性が高まった。

オバマ大統領は、法案についてイラン側の反発を招き交渉を決裂させかねないとして、議会を通過しても拒否権を発動する意向を示している。【1月28日 毎日】
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こうした議会事情を考えると、3月末までに何らかの成果を示せないと、オバマ大統領も苦しい状況に追い込まれそうです。

“(核問題での妥協を拒む)強硬派”は国外にも存在します。
イランの核開発を、安全保障上の脅威として絶対に容認しないイスラエルです。

アメリカ・オバマ政権は、このイスラエルに対し異例の批判を行っています。

****イスラエルに異例の批判=イラン核協議めぐり―米****
アーネスト米大統領報道官は18日の記者会見で、イラン核問題の外交解決に取り組む主要6カ国とイランの協議に関連し、強硬姿勢のイスラエル政府が「米国の交渉方針を一部で正確に伝えていないのは疑いない」と述べ、異例の批判を展開した。

報道官はイスラエルを念頭に、イラン核協議の内容をめぐって「都合の良い情報だけが切り取られ、米国の立場を歪曲(わいきょく)するため利用されている」と懸念を表明。
一方で、米政府がさまざまなレベルでイスラエルに情報提供していることも併せて主張した。【2月19日 時事】 
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イスラエルを支援する立場にあるアメリカですが、イラン問題やパレスチナ問題をめぐって、保守派で強硬な姿勢を崩さないイスラエル・ネタニヤフ首相と、アメリカ・オバマ大統領のそりが合わないのは以前からの話です。

****オバマ氏、イスラエル首相と会わない 共和党議員の訪米要請に不快感****
オバマ米大統領は、3月に訪米を予定するイスラエルのネタニヤフ首相と会わない意向であることが、22日明らかになった。

野党共和党のベイナー下院議長がホワイトハウスに「頭越し」で訪米を要請し、大統領報道官がこれに不快感を表していた。

ネタニヤフ首相は、ベイナー下院議長の招きで、米上下両院合同会議で、イランの核問題などについて演説する見通しになった。米メディアによると、ネタニヤフ氏側は、ホワイトハウスに事前に相談をせず、訪米を決めたという。

イラン核問題を巡っては、オバマ政権が対話に前向きなのに対し、共和党はイランへの追加制裁法案の可決を通じた強硬路線を主張しており、双方は鋭く対立している。

ネタニヤフ首相は、イランとの交渉に反対する立場だ。同首相が事前に相談もなく、米議会で共和党の「応援演説」をすると決めたことに、オバマ政権はカチンときた模様だ。

ネタニヤフ氏の訪米について21日、アーネスト大統領報道官は「国の指導者が外国を訪問するときは、その国の指導者に連絡を取るのが外交儀礼だ」と不快感をあらわにした。

22日になって、ホワイトハウス・国家安全保障会議の報道官は「米大統領が、選挙を控えた国の指導者や候補者に会わないのは、長く続けてきた慣例だ」と説明。

ネタニヤフ氏が3月17日に総選挙を控えていることを理由に、オバマ氏が面会しない方針を明言した。ケリー国務長官もネタニヤフ氏と会わないという。【1月24日 朝日】
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ハメネイ師からの返書、「国籍不明の戦闘機」・・・イラン側の真意は?】
アメリカ・オバマ大統領は、イランとの協議に先立ち、最高指導者ハメネイ師に書簡を送っています。

****イラン最高指導者が米大統領に返信=対イスラム国には答えず―新聞報道****
米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(電子版)は13日、オバマ大統領が昨年10月にイランの最高指導者ハメネイ師に送った書簡に対し、同師からこの数週間内に返信があったと伝えた。イラン外交官が明らかにしたという。

オバマ氏は書簡で、イラン核協議の包括合意を前提に過激組織「イスラム国」への対応で共同戦線を張ることなどを提起。

イラン外交官によると、ハメネイ師はオバマ氏に敬意を表したものの、対イスラム国については態度を明確にしなかった。

イラン核問題の外交解決を目指す主要6カ国とイランの協議は、3月末までの政治合意を目指している。ハメネイ師は合意に向けて経済制裁の全面解除を求めており、交渉は難航している。【2月14日 時事】 
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オバマ大統領からハメネイ師への書簡は、2009年に大統領に就任しイランとの対話を進めると表明して以来。公表されているもので5通目ぐらいになるのではないでしょうか。

イラン側の「ゼロ回答」とも報じられていますが、書簡が送られれ、それへの返信があったこと自体は好ましことでしょう。

アメリカとイランの関係は、表に出てくる話だけではよくわからないところが多々あります。

ハメネイ師は、“対イスラム国については態度を明確にしなかった”とのことですが、イランは対「イスラム国」空爆を実施した模様で、アメリカとの関係改善を模索していると見る向きもあります。

****国籍不明の「謎の戦闘機」も****
・・・さらに世界を驚かせたのが、イスラム国に攻撃を仕掛ける「国籍不明の戦闘機」の存在だ。

昨年12月に中東の衛星テレビ局、アルジャジーラが攻撃の様子を放送したという。CNNやウォールストリート・ジャーナルなどによると、戦闘機は外形からアメリカ製のF-4ファントム戦闘機と推定されたが、周辺で運用しているのは、アメリカと国交を断ち、犬猿の仲のイランだけだった。

イラン政府筋はこの空爆の事実を認め、「アメリカと連絡を取り合っているわけではない」などと説明。米国防総省のカービー報道官も「軍事行動についてイランと調整はしない」と述べたが「(イランの攻撃は)全体としてポジティブな効果がある」と肯定的にとらえていることを明らかにした。

イランは昨年9月にはアメリカの空爆に反対を表明しており、関係各国にとっては驚きの展開だ。(中略)

イランは同じシーア派の政権であるイラクを支持しており、そのイラク政権を脅かすイスラム国は「地域の安定を脅かす存在」として敵視してきた。また、イスラム国という「共通の敵」の出現でアメリカとの関係改善を模索していると見る向きもある。

イスラム国の殲滅に向けて展開される空爆だが、そこには各国それぞれの思惑が渦巻いている。【2月18日 産経】
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一方、核協議を一層難航させることにもなる悪材料も報じられています。

****イラン、核開発疑惑解明への協力怠る・・・IAEA****
国際原子力機関(IAEA)は19日、イランが核兵器開発疑惑の解明に必要な協力を怠っていると指摘する報告をまとめ、同機関の加盟国に配布した。

報告によると、イランはIAEAとの間で、核兵器製造に直結する高性能爆薬の起爆実験に着手したとする疑惑などについて、昨年8月までに情報提供すると約束していたが、期限から半年過ぎても履行していない。

イランと欧米など6か国は、3月末までに核問題の最終的な解決に向けた枠組みでの合意を目標としている。6か国は、核兵器開発疑惑の解明について、核問題を最終的に決着させるために欠かせない柱の一つと考えている。【2月20日 読売】
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イランとの核協議が決裂することは、イスラエルのイラン核施設空爆の懸念といった国際緊張を著しく高めることになります。その影響は中東情勢を介して日本にも及びます。

また、アメリカの制裁強化で改革に前向きと言われているイラン・ロウハニ政権は求心力を失い、国内で保守派の影響力が強まることにもなります。

そうしたことを考えると何とか協議での成果を期待したいところですが、世の中にはことさらに対立を好む人々も多く、なかなか・・・・。
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中国  反腐敗運動という名の権力闘争の行方 次の「虎」は? “赤い貴族”への追及は?

2015-02-19 22:35:29 | 中国

(習近平主席の倹約令を無視するかのように高価なファッションをまとっていると中国メディアに取り上げられた李鵬元首相の娘で「電力業界の女王」李小琳氏 【2013年4月8日 DW news.com】
上下が3万元(当時レートで約45万円)を超えとるとのことですが、電力業界の「姉御」ならそのくらいは・・・という感もあります。もっとも、最近はさすがにブランド物を控えているそうです。)

権力維持装置「国安」に挑む習近平政権
中国・習近平主席の反腐敗・綱紀粛正運動については、2月9日ブログ「中国  綱紀粛正で権力基盤を強める習近平政権、思想引き締めも 経済改革には強固な抵抗も」(http://blog.goo.ne.jp/azianokaze/d/20150209)でも取り上げました。

既に檻に入れた「虎」の一匹、軍部の大物、徐才厚(前党中央軍事委副主席)については、昨年秋の党中央委員会総会、通称「四中全会」で党籍剥奪、起訴処分了承に持ち込んでいますが、始まった裁判は、本人の前立腺がんの症状が重いとの医師の診断が出て無期延期となっています。

もう一匹の「虎」、周永康・前党中央政治局常務委員については、まだ影響力を失ったとは言い切れないのか、四中全会で処分を決定できず、その一カ月後になって党中央政治局の決議で党籍剥奪が決まっています。

周永康は江沢民派の大物であるだけでなく、「政法系」と呼ばれる権力集団のボスでもあります。
その権力集団の中核をなす国家安全部(通称「国安」)との権力闘争も始まっていると報じられています。

“政法系とは、党中央政法委員会書記を頂点とする検察、司法、公安、国安、武装警察などの権力集団だ。そのなかでも盗聴、尾行、おとり捜査などの手段で要人の個人情報を集める国安部は、闇権力の中心を占める存在だ。”

“中国の国家安全部は通称「国安」と呼ばれる。共産党独裁を舞台裏で支える情報機関、秘密警察だ。その国安の現職副部長が二人、相次いで共産党中央紀律検査委員会に連行されたという情報が流れている。習近平政権が、権力の維持装置である国安と対決状態に入ったのだから異常事態だ。なにが始まるのか。”【選択 2月号】

前回ブログでは、“習氏は党総書記に就いた直後から思い切った「反腐敗」を展開して抵抗勢力を抑え込み、2年余りで政権の足場を固めた。各分野の改革を推し進めるため、人事を通してさらに指導力を強めていく構えだ。”【2月4日 朝日】という見方を紹介しましたが、なかなか既得権益集団の抵抗も根強く、反腐敗運動という名の権力闘争がしばらく続くとの指摘もあります。

****習近平vs情報機関」暗闘の深層****
「反腐敗」は危険水域に突入

・・・・一月下旬、習近平は党中央政治局会議を開き、その席上、全国人民代表大会常務委員会(議会)、国務院(政府)、最高法院、最高検察院、党中央軍事委員会などに年度事業報告をさせた。

党中央の指導権を見せつけたのだ。そういう場面を見せなければならないほど、習近平政権に対する抵抗が根強いからだろう。中国は今年も反腐敗運動で荒れる。【選択 2月号】
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江沢民元主席の息子に追及の手が及ぶ可能性も
メディアでは最近、総書記退任から2年近くも軍事委員会主任にとどまり、胡錦濤時代も強い影響力を保持した江沢民元首席の息子である江綿恒氏の名前が挙がっています。

****中国の腐敗追及、「江沢民ファミリー」も視野か・・・関係する会社にメス、研究所トップの座は「退任」させられる****
中国共産党中央紀律委員会監察部が、大手通信会社の中国聯合通信(中国聯通、チャイナ・ユニコム)高級幹部に多くの不正があると発表したことで、同社と関係が深い江沢民元国家主席の息子である江綿恒氏に追及の手が及ぶ可能性があるとの見方が出てきた。

中国共産党中央紀律委員会監察部は5日、2014年末に実施した中国聯通に対する調査結果を発表した。同社では、高級幹部が地位を利用して、金銭や異性を提供した下請け業者などに便宜を図る行為があったとした。親族や出身地の企業に便宜を図ったケースもあったという。

中国聯通は2008年に中国網通と合併した。中国網通の設立は1999年で、江沢民元国家主席の息子である江綿恒氏が深くかかわり、設立後も影響力を行使しつづけた。合併後は江綿恒氏が中国聯通の“事実上の支配者”だったとの見方がある。中国聯通は世界第3位の携帯電話キャリアとされる。(中略)

中国共産党は2014年12月末、中国聯通幹部だった張智江と宗新華氏の調査を開始したことを明らかにした。その後、両者ともに「重大な規則違反と犯罪の疑い」があるとして、司法機関が立件の方向で作業を始めたと発表していた。

中国共産党が「大物の腐敗摘発」でしばしば見られる「周辺人物の身柄を確保し、徹底的に取り調べて証拠を固め、いわば“堀を埋めた”状態にしてから、“本丸”を攻める」という手法との観測もある。(後略)【2月13日 Searchina】
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【「スイスリークス」で名前が挙がった李鵬元首相の娘
“中国では、親などの権力を利用して高い地位を得た政治家の子が「太子党」と呼ばれる。習近平現主席も「太子党」のひとりだが、「太子党」は政治家よりも、むしろ財界に多い。江綿恒氏はその1人だ。他の代表例としては李鵬元首相の娘で、中国電力国際発展有限公司の会長を務める李小琳氏などがいる。”【2月13日 Searchina】

問題となっている江綿恒氏と並んで、財界「太子党」を代表する李鵬元首相の娘、李小琳氏についても海外から名前が挙がっています。

事の発端は「スイスリークス」と呼ばれている騒動です。

****HSBC秘密口座で世界に激震****
英金融大手HSBCが、顧客情報に関する秘匿性の高さで知られるスイスの銀行制度を利用し、超富裕層や武器商人などに秘密口座を提供して利益を得ていた・・・そんな驚きの事実が先日、明らかになった。

ワシントンを拠点とする国際調査報道ジャーナリスト連盟(ICIJ)が公表した機密文書、いわゆる「スイスリークス」によれば、不正が疑われる口座の残高は1200億ドル近くで、その大半は脱税によるものだった。

HSBCのプライベートバンキング部門は、個人の顧客を企業として登録するなど、国際税法の抜け穴をくぐり抜けるサービスを提供して超富裕層の顧客を獲得してきた。

脱税を幇助するため、未申告の「フラックロ座」を開設していた疑いも持たれている。顧客側も偽名の使用を銀行に指示するなど、資産隠しに積極的に関与していた。

88~07年の顧客名簿に載っている顔触れは、ティナ・ターナーやデビッド・ボウイといったアーティストから、企業の役員や国際的な指名手配犯、王族、政治家など10万人以上で、国籍は200力国以上に及ぶ。

武器の密売人、紛争鉱物や紛争ダイヤモンドのディーラーもいる。
公的資金を使い込んだ罪で有罪判決を受けたラシド元エジプト通産相は、3100万ドル相当の口座を管理していた。 

情報をリークしたのは、HSBCの元従業員でコンピユーターシステムの専門家のエルペ・ファルチアニ。

08年にファルチアニから通報を受けたフランス当局はデータを各国に提供し、米国税庁など10力国以上の税務当局が捜査に乗り出している。

HSBCは12年にも、メキシコの麻薬カルテルなどの約20億げに上るマネーロンダリング(資金洗浄)に関与し、米司法省と和解している。

今回の件で同社は、「コンプライアンス(法令遵守)と資産査定の基準が著しく低かった」と認めたただし、個々の顧客についてはノーコメントを貫いている。【2月24日号 Newsweek日本版】
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情報リークは08年とかなり以前の出来事ですが、国際調査報道ジャーナリスト連盟(ICIJ)がファイルをフランスの新聞ルモンド経由で入手し、2015年、45社を超える世界中のメディアに提供したことで騒ぎが大きくなっています。

“日本国籍のパスポートを持つ顧客は296人、596の口座が見つかった。全口座の合計額は4億2000万ドル(約500億円)で全世界で68位。HSBCのスイス部門に口座を持っていた著名人63人のリストの中には、日本人の建築家の名前もあった。”【2月10日 The Huffington Post】とのことで、顧客リストには日本人も含まれています。

HSBCは各国の税務当局からの課税を逃れる手助けをしていた疑いがあると見られていますが、リストに名前が載っているからといって必ずしも不正行為に関与したとは限りません。

この「スイスリークス」のリストに名前が挙がっているのが、李鵬元首相の娘、李小琳氏です。

****スイスリークスの余波 中国元首相の娘にも****
国際調査報道ジャーナリスト連盟(ICIJ)が公開した機密文書「スイスリークス」によると、中国の李鵬元首相の娘・李小琳が英金融大手HSBCのスイスの秘密口座に248万ドル近くを預金していることが明らかになった。

中国ではこれまでにも、政財界の要人が本国での税務監査を逃れて国外の銀行口座に蓄財していると非難が集ま
っていた。

李は電力大手・中国電力国際発展の会長を務めているが、政財界の幹部がエネルギー企業や金融機関などでの高い地位を利用し、公益よりも個人の利益を優先して巨額の見返りを得ているとの批判もある。

スイスリークスによれば、李とその夫がHSBCの顧客になったのは01年。「5つの口座に06~07年で総額248万ドルの預金があった。口座名義はパナマで登記して12年に解体した会社のものだった」という。

李はこれについてコメントしていない。

折しも中国では習近平国家主席が、官僚の間にはびこる汚職を撲滅する運動を推し進めている。「電力界の女王」と呼ばれる李は自らの成功は一族の威光ではなく、自力でつかんだものだと豪語してきた。

ブランド物に目がない時期もあったが、習が政権を握り、汚職摘発に力を入れ始めてからは控えめなライフスタイルに切り替えたという。

それが偽りでないかどうかは、今後の調査で明らかになるかもしれない。【2月24日号 Newsweek日本版】
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記事にもあるように、李小琳氏はこれまで、その派手なファッションが話題になっていた女性でもあります。

****李鵬元首相の娘 習近平倹約令の最中55万円コート着用で物議****
中国の李鵬・元首相の娘で、中国電力大手、中国電力国際有限公司会長の李小琳氏が10月下旬の第11回中国婦人・女性全国代表大会に出席した際、イタリアの有名ブランド、ロベルト・カヴァリ製の高価なコートを着ていたことが物議を醸し出している。

李氏のコートの写真が報じられたことから、同社の製品カタログから4120ユーロ(約55万6200円)であることが突き止められた。折りから習近平指導部の「倹約令」が盛んに喧伝されていることから、ネット上で批判の声が高まっている。「中国実時報(電子版)」が報じた。

李氏はこれまでも政府機関主催の公的な会議に出席する際のファッションが極めて派手で豪華なものが多く、カメラマンの格好の撮影対象となっていた。毎年3月に開催される中国人民政治協商会議(政協)にミニスカート姿で出席し、顰蹙を買ったこともある。

このため、李氏は最近、習近平国家主席が提唱する節約令に呼応するように、自身が会長を務める中国電力国際が主催した午餐会では、余った料理をタッパーに入れて、持ち帰るなどするようになった。(後略)【2013年11月10日 NEWSポストセブ】
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2014年には海南省での不動産取引でも疑惑の目が向けられたことがあるようです。
(中国電力業界を牛耳る「赤い貴族」に汚職取締りが及ぶ? 「太子党ビジネス」カラクリ暴露  弓野正宏氏 2014年6月19日 THINKING LIVE シンキングライブ http://blog.goo.ne.jp/thinklive )

2013年10月には、スイスの大手保険会社「チューリッヒ保険」の中国参入に絡む贈収賄事件に関与していた疑いがある、と英紙テレグラフが伝えたこともあります。まあ、その類には事欠かないのでしょう。


情報を取り上げるか否かは権力側の都合次第
中国の電力業界で「姉御」と称される「電力業界の女王」であり、100億ドル近くの価値を有する中国電力国際有限公司を率いる李小琳氏にしては、248万ドルの秘密口座というのは“少額”な感もあります。

先述のように、リストに名前が載っているからといって必ずしも不正行為に関与したとは限りませんし、「虎叩き」の対象となるかどうかは、権力闘争との兼ね合いになります。

権力側に不都合な情報は無視されます。

****中国商務相、息子の雇用継続を条件に「JPモルガン」に便宜提供申し出か・・・中国メディアの報道は見当たらず****
中国の高虎城商務相(中央政府商務部部長)が副大臣を務めていた2008年、米金融大手JPモルガン・チェースに在籍していた息子の雇用継続を条件に、同社に便宜を図ることを申し出たとの疑惑について、中国メディアの報道が見当たらない状態が続いている。(後略)【2月13日 Searchina】
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以前、温家宝前首相に関し、指導部入りした後に一族が巨額の財産を蓄えているとニューヨーク・タイムズ報じて話題となったことがあります。
習近平氏の一族も、多額の資産を蓄積しているとも報じられていました。

しかし、中国側(胡錦濤政権)は「中国の評判を落とし、隠された意図がある」と反発しています。

また、“海外メディアに習近平の親族の資産情報などが流れるのは、周永康支持派の仕掛けた情報戦だといわれている”【選択 2月号】というように、情報リーク自体が権力闘争の一環として行われているとの見方もあります。

更に言えば、「スイスリークス」のような海外メディア由来の情報を取り上げることは、別な機会に自分たちの名前が挙がったときのことも考えると、あまりないようにも思えます。

高齢で健康状態があまり芳しくないような李鵬前首相ですが、電力関係に影響力を持つ李鵬前首相をこの際叩きたい、あるいは李小琳氏が目障りだ・・・という話があれば、また別ですが。

そもそもの話で言えば、周永康氏が石油閥を率いているとか、李鵬前首相が電力業に影響力を持っているとか・・・そういう利権構造が大前提になっていること自体が中国の大問題です。(日本にも利権構造は存在しますので、あまり上から目線の発言はできませんが)
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