
(爆撃され炎上する南スーダンの病院【5月13日 Newsweek】)
【南スーダン 戦闘が再燃】
南スーダンではキール大統領率いる国軍とマチャル副大統領の勢力の間で戦闘が続いていましたが、2018年にキール氏とマチャル氏が権力分担と停戦で合意し、戦闘状態は落ち着きました。
しかし、今年3月にキール政権が反乱扇動容疑でマチャル氏を逮捕し、この停戦状態は破綻しています。
****南スーダンで人道危機拡大...飢餓770万人、病院も爆撃被害****
<「私たちの病院が爆撃を受けた」。国境なき医師団(MSF)が怒りの声明を出すなか、国連南スーダン人権委員会も、爆撃は「意図的」かつ戦争犯罪に相当する可能性があると非難した>
南スーダンで内戦再燃の懸念が高まっている。5月3日、北東部オールドファンガクの病院が爆撃され、少なくとも7人が死亡、20人が負傷した。
病院が攻撃された理由は不明だが、国連南スーダン人権委員会は爆撃が戦争犯罪に相当する恐れのある「意図的」なものだったと非難した。
南スーダンではキール大統領率いる国軍とマチャル副大統領の勢力の間で緊張が高まっている。2011年、長年の独立闘争を経てスーダンから分離独立した南スーダンでは民族対立が続き、13年に内戦が勃発。
18年にキールとマチャルの権力分担と停戦で合意したが、今年3月にキール政権が反乱扇動容疑でマチャルを逮捕し、破綻した。
南スーダンの紛争は、23年から続くスーダンの内戦と融合する恐れもある。世界食糧計画(WFP)は南スーダンが「重大な転換点」にあると警告。
戦闘で10万人以上が避難を余儀なくされ、人口の半分以上に当たる約770万人が飢餓に直面しているという。【5月13日 Newsweek】
*************************
飢餓に直面する住民、子供たちへの支援も戦闘で困難になっています。
****南スーダンの衝突で6万人の栄養不良の子どもたちへの援助が阻止される****
南スーダンのナイル川沿いの戦闘により、ほぼ1カ月間、同国北東部の栄養不良の子ども6万人以上の人道支援が届かなかったと、2つの国連機関が木曜日に発表した。
国連の世界食糧計画(WFP)と子どものための機関(ユニセフ)は、国内で最も栄養不良の割合が高い上ナイル州への栄養供給が5月末までに尽きると予想していると述べました。
「緊急時に最初に苦しむのは子どもたちです。栄養物資が届かなければ、すでに限界点に達している地域で栄養不良が深刻化する可能性が高いです」と、国連WFP南スーダン事務所代表のメアリー・エレン・マクグロアーティ氏は国連WFPとユニセフの共同声明で述べています。
ナイル川は南スーダンの重要な交通動脈であり、貧しい国には舗装された道路がほとんどなく、特に多くの道路が通行不能になる雨季には困難な地形がたくさんあります。
各機関は、どの戦闘が彼らの救援物資輸送船の航路を混乱させたかを明らかにしていないが、政府軍は3月以来、ナイル川近くの地域で「ホワイト・アーミー」として知られるヌエル系民兵と戦っている。【5月8日 ロイター 自動翻訳】
*******************
こうした南スーダンの状況を整理すると以下のようにも。
****南スーダンの現状****
2025年に入り、南スーダンでは再び深刻な政治的・軍事的危機が発生し、2018年の和平合意が崩壊の瀬戸際に立たされています。以下は、今年の主な動きです。
1. リエク・マチャル副大統領の逮捕と和平合意の崩壊
2025年3月26日、サルバ・キール大統領は、第一副大統領であり野党SPLM-IOの指導者であるリエク・マチャル氏を反乱扇動の疑いで自宅軟禁下に置きました。
この措置に対し、SPLM-IOは2018年の和平合意が事実上破綻したと宣言し、国連やアフリカ連合も内戦再燃の危険性を警告しています 。
2. 軍事衝突の激化と人道危機
マチャル氏の逮捕以降、政府軍と野党系勢力、特にヌエル族の民兵組織「ホワイト・アーミー」との間で衝突が激化しています。
3月にはマラカル周辺での戦闘により180人以上が死亡し、12万5,000人以上が避難を余儀なくされました 。また、ナイル川沿いの戦闘により、6万人以上の栄養失調の子どもたちへの人道支援が妨げられています 。
3. コレラの大流行と医療崩壊
戦闘の影響で医療インフラが崩壊し、過去20年で最悪のコレラ流行が発生しています。5月上旬の時点で、感染者は4万7,000人を超え、少なくとも870人が死亡しています。洪水による水源の汚染や、医療施設への攻撃、国際支援の減少が事態を悪化させています 。
4. 国際社会の対応と地域への影響
ドイツは3月下旬、治安悪化を理由にジュバの大使館を一時閉鎖しました 。また、隣国スーダンの内戦が南スーダンにも波及し、地域全体の不安定化が懸念されています 。
これらの事態により、南スーダンは再び全面的な内戦に突入する危機に直面しています。国連や地域機関は対話の再開と暴力の即時停止を呼びかけていますが、和平プロセスの再構築には国際社会の強力な関与が不可欠です。【ChatGPT】
**************************
【スーダン 政府軍の首都奪還後もダルフールを支配し、ドローン攻撃を強めるRSF】
一方、北隣のスーダンでも、政府軍と準軍事組織「即応支援部隊(RSF)」の間で内戦が続いています。この内戦により、これまでに約28,000人が死亡し、1,300万人以上が国内外で避難を余儀なくされています。
特にダルフール地域では、RSFによる民族浄化や大量虐殺が報告されており、国際刑事裁判所(ICC)も戦争犯罪や人道に対する罪の可能性について調査を進めています。
今年3月には首都を政府軍が奪還し、内戦状態の「転機」とも見られていました。
****スーダン、正規軍が大統領官邸奪還=衝突2年「重大な転機」か****
アフリカ北東部スーダンの正規軍は21日、対立する準軍事組織「即応支援部隊(RSF)」が占拠していた首都ハルツームの大統領官邸を奪還したと発表した。約2年に及ぶ両組織間の戦闘で「極めて重大な転機」(英BBC放送)になるとみられている。
BBCなどによると、正規軍はハルツーム中心部にある大統領官邸と政府庁舎を管理下に置いた。軍報道官は国営テレビで「わが軍は敵の兵士と装備を完全に破壊し、大量の武器を押収した」と主張。「完全な勝利」まで戦闘を続けると宣言した。【3月21日 時事】
**********************
しかし、その後も準軍事組織「即応支援部隊(RSF)」はダルフール地方での支配を強めています。
****準軍事組織が独自政府樹立宣言 スーダン****
スーダンで、国軍と内戦を続けている準軍事組織RSFが15日、独自の政府を樹立したと宣言しました。
スーダンでは、2023年4月から国軍と準軍事組織RSFの戦闘が続いていて、15日、内戦の勃発から2年を迎えました。こうした中、AP通信によりますと、RSFは、内戦勃発から2年の節目に合わせて、国軍に対抗するための独自政府の樹立を宣言しました。
RSFの司令官は、「『平和と団結の政府』の設立だ」とした上で、自身を含む15人による評議会を立ち上げ、スーダンの各地域を統治すると主張しました。
スーダンの内戦をめぐっては、国軍が首都ハルツームの奪還を宣言した一方、RSFが西部のダルフール地方で勢力を拡大していて、RSF側の宣言を受けて、スーダンの分裂と、内戦の長期化への懸念が高まっています。【4月17日 日テレNEWS】
**********************
また、RSFは北東部ポートスーダンでドローンなどによる攻撃を行っています。
****スーダン内戦激化、準軍事組織が政府拠点をドローン攻撃****
目撃者によると、内戦が続くアフリカのスーダンで6日、準軍事組織の即応支援部隊(RSF)が北東部ポートスーダンでドローン(無人機)などによる攻撃を行い、爆発や火災が発生した。
英海事セキュリティー会社アンブリーによると、攻撃ではポートスーダンのコンテナターミナルなどが狙われた。攻撃は4日の開始以来最も激しく、2年来の内戦の激化が浮き彫りになった。
在ポートスーダンの目撃者によると、6日は港と空港の近くにあるスーダンの主要な戦略的燃料備蓄施設から巨大な黒煙が立ち上り、変電所や大統領公邸近くのホテルも攻撃を受けた。
燃料施設の破壊、空港や港湾の損壊により、支援物資の輸送や電力・ガスの供給に支障が生じ、国連が「世界最悪」と呼ぶスーダンの人道危機がさらに深刻化する恐れがある。
スーダンは2023年4月に政府軍とRSFの間で戦闘が勃発して内戦状態となった。ポートスーダンは、内戦の初期にRSFが首都ハルツームの大部分を制圧した後、スーダン政府の拠点となり、これまで比較的平穏さが保たれていた。【5月7日 ロイター】
英海事セキュリティー会社アンブリーによると、攻撃ではポートスーダンのコンテナターミナルなどが狙われた。攻撃は4日の開始以来最も激しく、2年来の内戦の激化が浮き彫りになった。
在ポートスーダンの目撃者によると、6日は港と空港の近くにあるスーダンの主要な戦略的燃料備蓄施設から巨大な黒煙が立ち上り、変電所や大統領公邸近くのホテルも攻撃を受けた。
燃料施設の破壊、空港や港湾の損壊により、支援物資の輸送や電力・ガスの供給に支障が生じ、国連が「世界最悪」と呼ぶスーダンの人道危機がさらに深刻化する恐れがある。
スーダンは2023年4月に政府軍とRSFの間で戦闘が勃発して内戦状態となった。ポートスーダンは、内戦の初期にRSFが首都ハルツームの大部分を制圧した後、スーダン政府の拠点となり、これまで比較的平穏さが保たれていた。【5月7日 ロイター】
**********************
【“連鎖的・融合的な危機”に進行しつつあるスーダンと南スーダンの紛争】
継続するスーダンの内戦と再燃した南スーダンの戦闘は、単に“隣国の問題”ではなく、“連鎖的・融合的な危機”に進行しつつあります
****“連鎖的・融合的な危機”に進行しつつあるスーダンと南スーダンの紛争****
スーダンと南スーダンの紛争は地理的・民族的・軍事的な連関性を持っており、戦闘が融合・相互に影響し合う可能性が高まっています。実際に、2025年に入ってからその傾向が顕著になっています。以下に、主な関連性とリスクを解説します。
1. 国境地帯での戦闘拡大と越境の危険性
スーダン西部ダルフールと南スーダン北部の国境地帯(アビエイ、ユニティ州、上ナイル州など)は、両国の武装勢力が移動・活動しやすい地域。
これらの地域では部族・民族が国境を越えて生活しており、紛争が一方に留まらず、越境してもう一方に飛び火するリスクが常にあります。
2. 民族的つながりと軍事的同盟
スーダンと南スーダンには、同一または近縁の民族グループ(たとえばディンカ族、ヌエル族、フール族など)がまたがっており、部族間の連帯・復讐の連鎖が両国に影響を及ぼします。
特に、南スーダンの「ホワイト・アーミー(ヌエル族民兵)」は、スーダンのRSFや反政府勢力と協力関係にある可能性が報告されています。
3. 武器・戦闘員の移動と武装勢力の再編
両国の混乱は、武器や戦闘員の流通を活発化させる要因になります。
スーダン内戦で使われた武器が南スーダンに流出する。逆に、南スーダンで訓練された戦闘員がスーダン側で雇われる。
これは、地域全体の武装化と非国家武装勢力の台頭を加速させ、停戦や治安安定の障害になります。
4. 地域秩序の崩壊と国際社会の懸念
アフリカ連合や国連は、「スーダンと南スーダンの紛争が融合した“広域内戦”に発展する可能性」を警告しています。
特に2025年3月以降、南スーダンでの内戦再燃と、スーダンでのハルツーム奪還後の反撃(ドローン使用)により、相互干渉・共鳴的な不安定化が見られると分析されています。
例:マラカル周辺の戦闘(南スーダン)とスーダンからの影響
南スーダンのマラカルでは、2025年3月から武力衝突が再燃。
この地域はスーダンと南スーダンの戦略的中間地点であり、難民・武装勢力の流入により、局地的な紛争が国境を越える連鎖を引き起こす兆候が出ています。
結論
スーダンと南スーダンの戦争は、今や“隣国の問題”ではなく、“連鎖的・融合的な危機”に進行しつつあります。
軍事的:武装勢力の越境と連携
社会的:民族紛争の波及
人道的:避難民と感染症の広域拡散
このため、国際社会は両国を分けて対応するのではなく、地域的な安全保障枠組みでの包括的な解決策が必要とされています。【ChatGPT】
*********************