孤帆の遠影碧空に尽き

年に3回ほどアジアの国を中心に旅行、それが時間の流れに刻む印となっています。そんな私の思うこといろいろ。

インド・パキスタン  ムンバイ・テロ事件で関係悪化 苦悩するパキスタン

2008-11-30 16:48:53 | 国際情勢

(炎上するインド民族自決の象徴タージマハルホテル “flickr”より By Stuti ~ Picture courtesy : NDTV INDIA.
http://www.flickr.com/photos/theblackcanvas/3062423828/)

【ラシュカレトイバ、その背後にISIか?】
インド西部ムンバイで起きた同時多発テロ事件は29日午前、インド特殊部隊などによる制圧作戦により、発生から約60時間ぶりに終結しました。死者は195人、負傷者は約300人に達しています。
インド当局による犯人特定と背後関係解明のための捜査が行われていますが、インド側が犯人グループの背後にいるとして非難するパキスタンとの関係悪化が懸念されています。

シン首相は27日、事件を非難する声明を発表、「襲撃犯らが国外を拠点としていることは明らかだ」、「こうした武装集団に自国内の領地を提供する『隣国』政府に対し、適切な措置をとらなければ、相応の代償を払うことになる」と警告しています。
シン首相は、「隣国」を名指しすることは避けましたが、インド政府はこれまでにも、インド国内で事件を起こすイスラム系武装グループの活動を支援しているとして、パキスタンをくり返し非難しています。

更に、インド・ムカジー外相は28日、ニューデリー訪問中のパキスタン・クレシ外相と電話で会談、パキスタンを拠点とするテロ組織による関与が明白だとして抗議し、「こうした遺憾な事態があると、両国関係の前進は不可能になる」と、印パ和平プロセスの停滞を警告しています。
パキスタン・クレシ外相は会談後、「インド政府は(パキスタン関与を断定する前に)もっと考慮すべきだ。非難合戦に陥るのは避けよう」と反論しています。【11月29日 読売】

“29日付の米紙ニューヨーク・タイムズ(電子版)は米情報当局者やテロ対策担当者の話として、カシミール地方に拠点を置くイスラム過激派の「ラシュカレトイバ」か「ジェイシモハメド」の犯行であることを示す証拠が多数、見つかっていると伝えた。ただし、当局者らは、パキスタン政府自体が犯行に関与した証拠はないとしているという。インド情報当局者は同紙に、グループが国外の携帯電話を使い、外国から通話を受けていたと証言した。
また、同日付の米紙ワシントン・ポスト(電子版)は、拘束した犯人の一人がラシュカレトイバのメンバーで、この組織に訓練を受けたと供述したと報じた。” 【11月30日 産経】
また、多くの報道が、犯行グループが入念な準備を行い、高度に訓練されていたとのインド当局の判断を伝えています。

犯行グループではないかと報じられているラシュカレトイバは、1989年にパキスタン三軍統合情報部(ISI)の肝いりで創設、カシミール地方の分離独立を目指し武装闘争を展開した組織です。
アルカーイダとの関係も深いと言われています。

インド・シン首相らインド側が問題にしているのは事件とパキスタンISIの関与であり、今年7月アフガニスタン・カブールで起きたインド大使館前の自爆テロ(インド人外交官ら60人が犠牲)など、これまでも多くの事件にISIが関与してきているとの疑念を持っています。

【テロが続くインド社会】
インドでは昨年11月に、北部ウッタルプラデシュ州の3都市の裁判所前で連続爆破テロがあり十数人が死亡。
今年に入ってもテロが続き、5月に西部ジャイプールで約60人、7月に西部アーメダバードで約50人、9月には首都ニューデリーで21人が死亡しています。
いずれのテロでも声明を出したのが「インディアン・ムジャヒディン(IM)」でした。
7月のアーメダバードのテロ事件で警察が逮捕した容疑者19人は、全員がインド人で、警察は、イスラム教徒の組織「インド学生イスラム運動(SIMI)」の強硬派がIMと名乗って計画、実行したとしており、パキスタン側の関与は裏付けられていません。【9月14日 朝日】

こうした「テロの国産化」はインド当局・社会に大きな衝撃を与えました。
ヒンズー教徒のカースト社会の更に下層に置かれたイスラム社会の不満が、イラク戦争などを「西側社会によるイスラム支配」と非難する見方と結びついて、テロとして噴出してきたものと考えられています。
今回のテロは今のところ、パキスタンによる犯行という従来のパターンで捉えられていますが、国内協力者の存在も考慮されています。
また、この事件が今後の国内過激グループに与える影響も懸念されます。

【ISI長官派遣を撤回】
パキスタン側は当然事件への関与を強く否定していますが、今回の襲撃に関与したとしてインドがパキスタンを非難した後、パキスタンのギラニ首相とザルダリ大統領は個別にシン首相と協議し、インド側に対し捜査協力を申し出ました。
インド・シン首相は28日のパキスタン・ギラニ首相との電話会談で、関与が疑われているISI長官をインドに派遣するよう要請しました。
ギラニ首相はこのISI長官派遣を一旦了承しましたが、その数時間後に「長官の代理を訪印させる」との声明を発表し、合意を事実上取り消しました。

“ISIは「国家内の国家」と呼ばれるほど強大な権限を持ち、政府の統制も及びにくい。歴史的な印パ対立の中で、対印工作を主任務とし、インド側はたびたびイスラム過激派やテロ事件とのかかわりを非難してきた。ISIにとって長官訪印は「敵の本陣」に大将を送り込むようなもので、それが政府に勝手に決められたことに、激しい拒否反応を示した可能性が強い。”【11月29日 毎日】

パキスタン政府筋が今月23日、ISIの政治部門を廃止すると語ったことが報じられていましたが、今回の朝令暮改ぶりを見ると、政府によるISI・国軍のコントロールは難しいようにも思えます。
インド側も不信感を募らせています。

【印パ関係悪化でイスラム過激派対策は?】
パキスタン政府は29日、緊急閣議を招集して事件への対応を協議していますが、インド・パキスタン双方の非難応酬がエスカレートしつつあります。
パキスタン軍高官が「部隊をインド国境に移動させる」と発言したとも報じられています。【11月30日 共同】
一方、 米紙ニューヨーク・タイムズ(電子版)は29日に、「パキスタン政府の対応が遅れれば、インド軍がパキスタン国内にある武装勢力の拠点を攻撃する可能性もある」と報道しています。【11月30日 産経】

インド、パキスタンともに核保有国です。
近年改善されつつあった両国の関係悪化は、世界の平和に対する大きな脅威となります。
両国間の軍事行動にまでは発展しないにしても、パキスタン側が対インド戦略に今まで以上にシフトすることは、アフガニスタンでの戦況のカギを握るパキスタン北西辺境州でのイスラム過激派への政府・軍の対応を相対的に弱めることにもなります。

このあたりはアメリカも懸念するところで、ライス長官は27日、パキスタンのザルダリ大統領と電話会談し、インドとの関係悪化の可能性についてパキスタン側の考えをただしたと報じられています。

パキスタン西部クエッタでは27日、北西部の部族地域に対して行われたアフガニスタン駐留米軍の越境空爆に抗議するイスラム教徒のデモが行われています。
また、パキスタン北西部アフガニスタン国境の部族地域を拠点とするタリバンのHakeemullah司令官は26日、アフガニスタンに駐留するNATO軍や米軍に対する攻撃を強化し、部族地域を経由した補給路を断つと明言しています。

【IMF支援に合意したパキスタン経済】
国内治安の悪化・世界的金融危機のなかでパキスタン経済も悪化を続けています。
パキスタン政府は11月15日に、IMFから76億ドル(約7400億円)の緊急融資を受けることで合意したと発表。ギラニ首相は16日、「IMFの支援はよい統治と経済の改善に役立つだろう」と歓迎しています。

“だが国内では、IMFが財政改善のために補助金の削減や増税などの「苦い薬」を政府に求めることへの懸念が広がっている。政府はIMFからの融資条件を明らかにしていないが、地元メディアによると、農業部門や不動産への増税、所得税の徴税強化などを要求されているという。
 農業団体はさっそく「新たな税金は農業部門を完全に破壊する」と反発。8月に連立政権から離脱したイスラム教徒連盟シャリフ派も「物価高騰に苦しむ貧困層が増税などで重荷を背負うことになる」と政府を牽制した。
 経済危機はすでに、市民の生活に多大な影響を与えている。日用品の価格は昨年に比べて軒並み1.5~2倍となり、電力やガスなど公共料金も値上げが相次いだ。
 市民からも政府やIMFへの不信の声が相次ぐ。イスラマバードの市場で衣料品店を営むアルシャッドさん(45)は「IMFが厳しい条件を課せば、物価がさらに上がるとみんな思っている。政府は救われるかもしれないが、我々は救われない」と話した。”【11月20日 朝日】

【核保有国の危険な対立】
北西部のアフガニスタン国境隣接地域へのアメリカの越境攻撃で住民とアメリカの板ばさみになり、タリバンは攻勢を強め、政府は国軍を有効にコントロールできず、経済はIMF支援を必要とするほど悪化し、更にインドと今回の事件で対立激化・・・なんとも困難な状況です。
もっとも、このようなパキスタンの置かれた困難な状況は以前から周知のところで、個人的には、ザルダリ大統領が敢えてこの国の大統領に手を上げたことが不思議に思われたぐらいです。

今回事件の世界への影響は、こうした印パ関係悪化だけでなく、インド社会の不安定さを改めて印象づけ、中国・インド・ロシアといった国内体制に問題の多い新興国に経済的・政治的に頼るところが大きくなった世界秩序の危うさをも感じさせた点がありますが、その件はまた別の機会で。
とにもかくにも、ふたつの核保有国が一触即発の状態になることだけは避けてもらわないと・・・とりあえず今はそれだけです。

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ジンバブエ  政治・経済危機に加えてコレラ感染が拡大

2008-11-29 15:13:59 | 国際情勢

(ジンバブエの難民 当初教会敷地に逃げ込みましたが、その後当局により教会から追い立てられ地方に移送されたとか。 2005年当時の写真のようですが、ジンバブエの危機的状況は今に始まった話ではなく、以前からのものです。“flickr”より By Sokwanele - Zimbabwe
http://www.flickr.com/photos/sokwanele/28243860/)

【周辺国にも拡大】
ムガベ大統領の強権的な政権運営による政治的混乱、強引な黒人化による経済・農業政策失敗による歴史的なハイパーインフレーション(物価上昇率は年率2億3100万%)に苦しむアフリカ南部のジンバブエで、コレラの感染が拡大し、ボツワナ・南アフリカといった周辺国にも広がる様相を呈しています。

****ジンバブエでコレラ流行、1日で53人死亡 1600人が感染*****
国連は25日、ジンバブエでのコレラの流行について、1日で新たに53人が死亡し、1600人の感染が報告されたと発表した。8月からの死者数は366人、感染例は8887件となった。
国連人道問題調整部(OCHA)は、南アフリカ保健省が報告したボツワナでのコレラ感染とみられる事例を指摘し、流行が「地域規模」に拡大していると警告した。
OCHAは「コレラ流行は依然として、抑えられていない」と述べた。また、南アフリカとの国境沿いのBeitbridgeで多くの死者が報告されているという。
南アフリカとジンバブエの保健当局高官らは前週末、南アフリカ国内でもコレラによる死者が報告されたことを受け、対策について協議していた。南アフリカ保健省高官によると、ジンバブエ国境沿いの町Musinaの病院で、コレラ感染者168人が報告され、そのうち3人が死亡した。【11月26日 AFP】
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10月14日ブログ「与野党の連立合意、スタートから危機 独裁の前でもどかしい民主主義」で取り上げたように、
重要閣僚を与党で独占しようとするムガベ大統領と野党・民主変革運動(MDC)のツァンギライ議長の組閣交渉は、依然難航しています。
http://blog.goo.ne.jp/azianokaze/d/20081014

その野党MDC・ツァンギライ議長は28日、コレラ感染に関し、「これまでに500人以上が死亡し、感染者は50万人以上に上っている」とも語っています。
政治・経済で苦しんでいるうえに、更にコレラが・・・と言うか、そうした政治体制なので感染防止の有効な手段もとれないし、そういう経済状態なので衛生環境・栄養状態も悪く感染が拡大するということでしょう。

【深刻化する政治・経済危機】
政治面においては、ムガベ大統領はその強硬姿勢をなかなか変えないようです。

****アナン前国連事務総長らにビザ発給拒否****
アナン前国連事務総長、カーター元米大統領らは22日、滞在先のヨハネスブルクで記者会見し、人道状況を調査するためジンバブエに入ろうとしたところ、同国に査証(ビザ)の発給を拒否され、入国を断念したと発表した。AP通信などが伝えた。
査証を発給しない理由についてジンバブエ政府系紙は18日付の記事で「ジンバブエ政府は、与野党間の協議が続いていることや、農繁期で忙しいため、訪問時期を先延ばしすることを求めた」と説明。一方で、「人道支援と言いながら、訪問目的が野党支援の可能性がある」とする当局者のコメントも掲載した。
これに対しアナン氏は「(発給拒否に)正当な理由がない」と述べ、カーター氏も「ジンバブエ政府の指導者が国民を助けることに関心を持っていないことは明らかだ」と批判した。
大統領選をめぐる混乱が続くジンバブエでは、9月に与野党が連立政権樹立に合意したが、閣僚ポストの配分で対立が続いている。【11月23日 朝日】
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“農繁期で忙しいため”というのは随分ひとを馬鹿にした言い様です。

また、食糧不足が深刻化しており、世界食糧計画(WFP)は10月、ジンバブエが09年4月までに1億4千万ドル(140億円)分の援助を必要としていると発表しています。
WFPによると、ジンバブエ南部を中心に多くの農民が肥料や種すら買えず、家畜と交換でわずかな食糧を手に入れてしのぐ状態で、今後500万人に援助が必要になるとされています。

“ジンバブエでは、白人が所有する土地を強制収用する土地改革が本格化。農業知識のない新農場主らのために生産量が落ち、干ばつやエイズ患者の増加も相まって食糧不足が深刻化した。政府が6月から約3カ月間、NGOに対し「野党寄りだ」と批判して活動を禁じたことが、危機に拍車をかけたとされる。”【10月21日 朝日】

【国際支援】
昨今の金融危機以来の世界不況で、各国とも経済情勢は厳しくなっています。
ジンバブエの上記の情勢も、現在・将来更に苦しくなることが考えられます。

ジンバブエはこれまでコレラ感染に関して、“状況は管理下にある”と主張していましたが、さすがに手に負えなくなったようで、27日になって態度を一変し、ようやく国際支援を要請してきました。【11月29日 AFP】
今更・・・という思いもしますが、コレラに苦しむ人々のことを考えると迅速な国際支援が望まれます。
各国とも金融危機・世界不況に対する国内対策で手一杯という事情もありますが、人道上必要な措置については国民に説明して、遅滞なくこれを遂行するのが政治の責任です。

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イラク  米軍撤退への思いが交錯するイラク社会

2008-11-28 21:14:04 | 国際情勢

(“バグダッド解放”(Artist: Sandow Birk )と題されたイラスト アメリカが期待したのはこうした光景だったのでしょうが、現実は・・・ “flickr”より By  spcoon
http://www.flickr.com/photos/spcoon/430004755/

イラクには現在、15万人の米軍が計400基地に駐留していますが、その法的根拠になる国連決議が今年末に期限切れとなります。
その国連決議にかわり、米軍のイラク駐留継続の法的根拠となるいわゆる地位協定が、米軍のイラクからの完全撤退の期限を「11年末まで」と定めたかたちで、27日ようやくイラク国民議会で承認されました。

***イラク国会、米軍駐留協定案を承認*****
イラク国民議会は27日、米軍のイラクからの完全撤退の期限を「11年末まで」と定めたイラク米軍駐留協定案を、賛成多数で承認した。オバマ米次期大統領も早期撤退を公約に掲げており、治安情勢の改善をにらみつつ撤退が進むことになりそうだ。イラク大統領評議会(正副大統領3人で構成)の最終承認を経て、来年1月1日に発効する。
採決には国民議会(275議席)の198人が出席し、149人が賛成した。

地方選挙と総選挙を来年に控えるシーア派のマリキ首相は、協定により「米軍をイラクから追い出した強い指導者」とのイメージを打ち出しながら、国民融和にもつなげたい狙いがあったとみられ、超党派の圧倒的多数の賛成による承認を目指していた。

これに対し、少数派のスンニ派は、当初採決が予定されていた26日、協定案に賛成する条件として(1)来年7月30日に協定の是非を問う国民投票を実施(2)米軍に拘束されているイラク人収容者の釈放(3)スンニ派部族らでつくる自警組織「覚醒(かくせい)評議会」メンバーのイラク治安部隊への編入――などを要求した。
この調整のため、採決は27日に持ち越され、マリキ氏らシーア派与党連合(UIC)やクルド人勢力がスンニ派に妥協する形でこれらの要求に応じたが、米国の同意が不可欠など、要求事項の実現性には疑問符がついたままで、今後に火種を残している。

一方、シーア派のサドル師派は「米軍の即時全面撤退」を主張して協定案に最後まで反対した。承認を訴えるマリキ氏に対しても「イラク国民を米国に売り渡すようなものだ」と対決姿勢を強めている。来年1月末の地方選挙を前に、一貫した「反米」姿勢を貫き、民衆からの支持を高める狙いもあるとみられる。
最近になってサドル師派は「協定成立で米軍の占領が続くなら、攻撃を再開する」と宣言。地方選挙を前に、治安が再び悪化する懸念も強まっている。 【11月28日 朝日】
***********************

【マリキ政権 粘り腰の交渉】
先ず、完全撤退の期限を「11年末まで」と明示することには当初アメリカは抵抗していましたが、結局、記事にもあるようなマリキ首相の思惑もあって、アメリカ側が譲歩したかたちとなっています。
イラク・マリキ首相は“国連決議の期限切れ”を背景にアメリカ側との交渉に“粘り腰”で臨み、撤退期限の規定以外にも、米軍の軍用車をイラク側が調べる権限、非番の米兵・民間軍事会社社員らによる犯罪を調査する特別委員会の設置、米軍による家宅捜索にはイラク当局の許可が必要など、一定の譲歩をアメリカ側から引き出すことに成功しました。

また、シーア派政党アッダワ党の党首でもあるマリキ首相は、シーア派住民に絶大な影響力を有する、シーア派最高権威のシスタニ師の元に側近を派遣し、「議会が承認するならば協定には反対しない」との意向を取り付け、シーア派住民の反発を招かないように布石を打っています。
そして、この“議会の総意”を明らかにするため、議会内各派への説得工作を進めてきました。

“ハキム師が指導するシーア派最大組織、イラク・イスラム最高評議会(SIIC)は、関係の深いイランが協定に反対していたため、ぎりぎりまで態度を保留。ただ反対姿勢を表明した場合には「イランの手先」とみられてしまうジレンマも抱え、「イラクを近隣諸国攻撃の出撃基地としない」と明記されたことを受けて最後に賛成に転じた。”【11月18日 毎日】

シーア派の対米強硬派であるサドル師派は「占領者である米国との協定などもってのほか」との立場ですから交渉の余地はありません。
最後までもつれたのがスンニ派会派「イラクの調和」との交渉。
冒頭記事にあるような“協定の是非を問う国民投票を実施”などの条件を首相に迫りました。
マリキ政権側は「年内実施は無理」として難色を示していましたが、暫定的に協定を発効させた上で、国民投票を来年行う案で妥協したようです。

【国民投票に向けて】
結果的に“198人が出席し、149人が賛成”という“議会の総意”を実現しました。
しかし、今後に残した問題もあります。
“協定の是非を問う国民投票を実施”などの条件についてのアメリカがどう反応するのか?
ただ、国民投票については、イラク政府の実施することですから、イラク政府が強行するならアメリカとしては見守るしかないところでしょう。

マリキ政権は、圧倒的多数の賛成によっての承認という“議会の総意”を得たことで、勝算あっての条件了承のようですが・・・。
もし、国民投票で否決されたら、イラク側の協定破棄の通告から1年以内が米軍の撤退期限となるそうです。

もし、国民投票で承認されたら、アメリカにとっては国連決議以上のこの上ない駐留根拠となります。
なにしろイラク国民の総意ですから。
(それで、戦争開始自体やイラク国民の戦争による被害が正当化される訳でもありませんが)
ただ、オバマ次期大統領は、「11年末まで」より早い、16カ月以内の段階的イラク駐留米軍撤退を公約としています。

米軍の早期撤退については、アメリカ側からも、イラク側からも危ぶむ声も出ています。
対米強硬派であるサドル師派の今後の動向も注目されますが、最近イラクでは車に仕掛けられた爆弾による暗殺事件が増加しているそうです。
“駐留米軍によると、今春には週2回程度の発生だったが、今や週5回に増えた。標的の多くは治安機関や政府機関の職員で、中級幹部や一般職員にも広がっている。職員が乗る通勤バスも狙われる。”【11月28日 毎日】
スンニ派の反抗なのか、シーア派民兵組織か、背後関係が解明されないまま、憶測が乱れ飛び、市民の間で新たな暗殺の恐怖と不安が増す・・・といった状況だとか。

****「撤退」へ高まる不安****
オバマ氏に再考を求める声がイラク政府内から上がり始めている。ジャシム国防相は22日の記者会見で海軍整備の遅れに言及し、暗に11年末までの米軍駐留を求めた。空軍も陸軍もまだ独り立ちできる状態にない。
ブッシュ米政権は03年、対テロ戦争の名の下にサダム・フセイン政権を倒したが、それは新たに権力を握ったシーア派と少数派のスンニ派の宗派間抗争、イラク人同士の殺し合いにつながった。抗争は、米軍によるスンニ派懐柔策などのため一時よりやや下火になっているが、米軍の撤退を機に再燃することが懸念されている。

地元紙アルムアタマルのアイヤド・ダラジ記者は「米軍が去ればシーア派指導者はスンニ派の摘発を強化するのではないか」と危惧する。さらに「イラクには古くから『復讐(ふくしゅう)の文化』がある。対テロ戦を通じ、その種は至る所にまかれてしまった」と嘆いた。【11月28日 毎日 高橋宗男】
***********************

オバマ次期大統領は選挙期間中の7月段階で、イラク駐留米軍の撤退政策に関して「細かな面で調整」する可能性があると記者会見で表明、その後の2度目の記者会見で「自身のスタンスは1年以上変わっていない」と強調して、政策見直しを否定する一幕もありました。
実際に“撤退”となると、いろんな“調整”が入ることは想定されます。

もちろん国民投票までに、アフガニスタンで頻発しているような民間人誤爆事件とか、昨年9月に起きた米民間警備会社ブラックウォーターの事件などのようなことが起きると、国民投票の結果も変わってきます。
そもそも、国民投票に限らず地方選挙や総選挙も同じですが、故郷から離れて暮らす大量の国外・国内難民を抱えた現状で、広く民意を集約する公正な選挙が可能なのでしょうか?

“米軍には出て行ってもらいたい”という思いと、“米軍に出て行かれると不安だ”という思いが交錯する微妙なイラク情勢です。

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「女性に対する暴力撤廃のための国際デー」 コンゴ、アフガニスタン、そして日本

2008-11-27 15:59:11 | 世相

(コンゴ東部 ゴマ郊外の難民キャンプ 昨年10月頃の様子 今はもっと緊迫している状況かと推察されます。 “flickr”より By cyclopsr
http://www.flickr.com/photos/endrevestvik/2373359213/)

【コンゴ 勝った側が付近の村で略奪や殺人、強姦】
世の中ではソマリアの海賊、タイの反政府活動、そしてインドのテロリストと次から次に人々の注目を集める事件が起きています。
そんななか、私を含め殆ど誰も知らなかったと思いますが、先日25日は「女性に対する暴力撤廃のための国際デー(International Day for the Elimination of Violence Against Women)」だったそうです。

****「女性への暴力」は無視され続けている、国連人権高等弁務官*****
国連のナビ・ピレー人権高等弁務官は、「女性に対する暴力撤廃のための国際デー」の25日、コンゴ民主共和国(旧ザイール)東部などの紛争地域で女性への暴力がまん延しているとの懸念を表明した。
ピレー氏は声明で、「女性への暴力はいまだに世界中にはびこり、そのうえ無視され続けている問題だ」とした上で、紛争地域、特にコンゴ東部での惨状は目を覆うばかりだと強調した。
同氏によると、この10年間に同地域においてレイプ、虐待、殺害、奴隷化された女性は数十万人にものぼる一方で、法の裁きを受けた加害者は数えるほどしかいないという。

世界保健機関(WHO)は今年初め、女性が男性のパートナーから暴力を受けることによる身体的・心理的ダメージは長期に及ぶとの報告書を発表している。
報告書によると、暴力や性的暴行を受けたことがある女性が自殺を考える確率は通常の人より3倍高く、1回でも自殺を試みた率では4倍高いという。【11月26日 AFP】
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コンゴ東部で活動するユニセフの教育専門家、青木佐代子さんが、東京都内で行った報告会の話が次のように報じられています。

*****「一晩中、略奪の声」=コンゴの現状報告-ユニセフ専門家*****
交戦の後は勝った側が付近の村で略奪や殺人、強姦を繰り広げるため、住民はわずかな家財道具を背負って逃げ出す。こうした避難民は東部にある北キブ州の人口の3分の1に当たる約110万人に上り、大半は他人の家の庭先に枯れ草の小屋を作って過ごしている。衛生状態が悪く、コレラが流行。特に子供がこうした病気や栄養不良で死亡する率が高く、強制的な徴兵や強姦の被害にも遭うという。

10月29日には青木さんのいる州都ゴマの近くで衝突が起き、ゴマが略奪に遭った。青木さんら国際機関職員や現地スタッフは国連コンゴ監視団が警備する施設に身を隠した。
青木さんは「一晩中、略奪している声が聞こえた。中に入ってくるのではないか、レイプされるのではないかと思った」と振り返る。この時はゴマ全体で数百人が殺害されたとみられ、青木さんと働く現地スタッフの兄も殺されたという。【11月22日 時事】
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“勝った側が付近の村で略奪や殺人、強姦を繰り広げる”・・・ジャングルのルールそのものです。
特に政府軍は規律が乱れており、酒に酔って何をするかわからないと住民から恐れられているとも聞きます。
国連人権理事会はフランスなどの要請で、コンゴ東部の人権状況に関する特別会合を明日28日に開くことを決めました。
少しでも進展があればいいのですが、あまり期待できない情勢です。

【アフガニスタン 登校中の女子学生に硫酸水鉄砲】
女性に過酷な試練を課すのは、コンゴのような紛争のほかに、社会に根強い(ときに宗教的背景を伴った)女性差別の習慣があります。

先日も取り上げたように、アフガニスタン・カンダハルで今月12日、登校中の女子学生がバイクに乗った男たちから水鉄砲で顔に酸をかけられ、15人が負傷する事件がありました。
カルザイ大統領らは事件の背後にタリバンがいることを示唆していました。
旧タリバン政権下では、女性の就学は禁止されており、政権崩壊後も、学校や教育施設への襲撃が繰り返されており、2008年だけでこれまでに115校が放火や爆弾・ブルドーザーなどによる攻撃を受け、教師や生徒など約120人が死亡していると言われています。

この痛ましい事件の犯人が逮捕されたとのことです。

****女学生に硫酸水鉄砲、タリバーン系10人逮捕 アフガン*****
アフガニスタンからの報道によると、同国南部カンダハル州警察は25日、女子生徒らが酸性の液体をかけられた事件に関与した疑いで反政府武装勢力タリバーンと関係する男10人を逮捕したと発表した。
女子教育に反発するタリバーンは学校襲撃を繰り返しており、今回の事件も学校に通う少女たちを脅す目的があったとみられる。
地元通信社などによると、カンダハルで今月12日、11人の女子生徒と教師4人が登校途中、バイクに乗った男たちに水鉄砲のようなもので硫酸とみられる液体をかけられた。数人が顔にやけどをして病院で手当てを受けた。カンダハル州当局によると、逮捕された10人はパキスタンでタリバーン幹部の1人から計2000ドル(約19万円)を受け取り、事件を起こしたらしい。【11月26日 朝日】
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この逮捕によって、アフガニスタンの情勢、アフガニスタン女性の置かれている環境は微塵も変わるものでもありません。
たとえそうであるにしても、犯人が野放しになったままよりは、逮捕された方がまだましでしょう。

【日本 世界98位】
これも先日取り上げた話題ですが、スイスの民間研究機関・世界経済フォーラム発表の男女格差指数で、日本は世界98位という立場にあります。
“教育や保健分野では格差が比較的少なかったが、経済や政治での女性の進出度がいずれも100位を下回った。アジアではフィリピンが6位で最高。中国は57位、韓国は108位だった。”【11月12日 毎日】

こうした差別・格差は、その社会に暮らす者、特に、差別する側にいる者(つまり私を含めた男性ですが)にはあまり自覚がないことが多いのではと思われます。

韓国が108位ですので、儒教社会の文化的影響があるのかもしれませんが、日本の若い女性を見ていると、女性本人達の意識のなかに、“社会の中心に男性がいて、それを女性がけなげに支える”といった状況を肯定的に、“女性らしさの発露”として受け入れるような意識があるのでは・・・と思うこともあります。
男性医師を支える女性看護師、男性部員を支える女子マネージャー、夫を支える良き妻・・・それら自体はもちろん何ら問題のないものではありますが、そうした“支える存在”を望む心理が現実の格差に重なるとき、男性に伍して社会で活動したいと望む女性の進出を阻む“ガラスの天井”がより強固なものになるようにも懸念されます。
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クラスター爆弾  日本政府、廃棄の方針、被害者支援に資金拠出

2008-11-26 14:40:26 | 国際情勢

(“flickr”より By cactusbones
http://www.flickr.com/photos/cactusbones/2531197913/in/set-72157605310420933/)

【「オスロ・プロセス」とCCW】
クラスター爆弾については、多くの不発弾が残存し、民間人が長期にわたって被害に苦しむ現状があり、その使用禁止・制限に向けた国際的な取組みが「オスロ・プロセス」とCCWの二本立てで進められてきました。

「オスロ・プロセス」はノルウェーなど有志国や非政府組織が主導する軍縮交渉です。
今年5月、爆弾2個の最新型などしか例外を認めない、ほぼ全面禁止と言ってもいいような厳しい内容で、日英独仏など107カ国が合意しました。
来月12月3日、ノルウェーの首都オスロでクラスター爆弾禁止条約の署名式が開催されます。
この条約により、署名国はクラスター爆弾の使用、製造、輸出入、保有などのほぼ全面的禁止が求められます。
また、同条約ではクラスター爆弾の被害者への補償や不発弾の処理なども規定されています。

周知のように、米国やロシア、中国、インド、イスラエル、パキスタンなどのクラスター爆弾の主要製造国や保有国は「オスロ・プロセス」ダブリン会議を欠席しています。
米中露などクラスター爆弾保有国はオスロ・プロセスには参加せず、国連に事務局を置く「特定通常兵器使用禁止制限条約(CCW)」締約国会議でクラスター爆弾の規制について議論していますが、今年1月に始まった交渉は、骨抜きを狙うロシアなどの存在もあって進展せず、今月11月の会議で決裂しかけましたが、一応、仕切り直しで来年引き続き合意を目指すことにはなっています。

【欧州の対応変更、困惑する日本】
ほぼ全面禁止を合意した5月の「オスロ・プロセス」ダブリン会議では、英独仏など主要国が従来の主張を捨てて禁止の方向で大きく舵を切るなかで、日本政府の周囲を窺う消極的な姿勢が際立ちました。

****「全面禁止」合意 被害国意向受け、人道配慮を最優先*****
英独仏など主要国はオスロ・プロセスが始まった昨年の段階では全面禁止に強い難色を示していた。しかし、英国はブラウン首相が会議に合わせ、英軍が保有するクラスター爆弾の見直しを発表。さらに28日、全廃を政治主導で決断した。
受け入れを表明した英政府代表は28日、「私たちは、罪なき市民の人命を左右する変革を実現する、その直前まで達した」と、人道的配慮を重視したことを明らかにした。
 フランスも主体的に廃棄を決断。保有するクラスター爆弾の9割強にあたる旧式爆弾の配備停止を決め、仏政府代表は28日の協議で「政府に条約案を速やかに承認するよう勧告する用意がある」と述べた。
 ドイツは日本と足並みをそろえて、禁止までの猶予期間の設定を求め、認められなかった。しかし、条約案には不満を残しながらもやはり人道的な配慮を優先。「この条約案を受け入れる」と表明、米国などを念頭にオスロ・プロセスの参加国を拡大する必要性を強調した。
 これに対して途上国の評価は高く、アフリカ諸国からは賛辞が贈られた。
 欧州主要国の政治主導の合意決断に比べ、日本があいまいな態度に終始したのは会議で際立っていた。【5月29日 毎日】
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日本政府の当時の反応は、“進展する事態に困惑”といったところでした。
*****「全面禁止」条約案合意 日本、賛否明言せず*******
 町村信孝官房長官は5月29日午前の記者会見で、ダブリン会議の合意について「今、審議中だ。詳細は聞いていない」と述べるにとどめた。高村正彦外相も28日、「首相の意思もあるので日本としては積極的に貢献し、良いコンセンサスを得られるようにしたい」と述べたが、具体的賛否は明言を避けていた。
 政府は、オスロ・プロセスが事実上の全面禁止という予想外の厳しい内容で合意したことに困惑している。条約に加盟すれば「最新型」はないため、現有爆弾の全廃を強いられる。安全保障上の懸念から防衛省側は強く抵抗している模様だ。
 日本は加盟の意思表示を12月の署名まで先送りするつもりだったが、英独仏など主要国が受け入れを表明する中、国際的孤立を深め、早急な政治決断を迫られている。【5月29日 毎日】
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周囲の様子を窺うこと、いたずらに突出しないことも、ときに外交上必要なことではありますが、日本外交の自己主張のなさは、いささかうんざりする感もあります。

【欧州議会 署名を求める決議】
ダブリン会議後も禁止に向けた流れは止まらず、EUの欧州議会は今月20日の本会議で、「オスロ・プロセス」のクラスター爆弾禁止条約にEU加盟27カ国を含むすべての国が署名するよう求める決議案を採択しました。
同時に、CCW締約国会議で例外規定の多い規制条約案が論議されている点について、これを支持しないようEU加盟国に求めています。
欧州議会の決議に法的拘束力はありませんが、態度保留国に政治的圧力をかける狙いがあるとされています。

EU加盟国のなかでも、対応を明らかにしていない国もありますが、禁止条約に署名しないことを明らかにしているのがフィンランドです。
“フィンランドはロシアに占領された歴史がある。地元メディアなどによると、バンハネン首相は「国境を守る上で必要。あくまで国土防衛のために使う」と説明した。一方で、代替兵器の配備や費用を検討した上で、将来的に調印する意向も示した。不発弾の除去など人道的な活動には協力するという。 ”【11月1日 朝日】

【日本も廃棄の方向で】
全面禁止への流れのなかで、日本政府もようやく思い腰を上げたようです。
****日本、全廃へ 最新型も保持せず*****
不発弾が市民に被害を与えているクラスター爆弾について、政府は、現有爆弾を全廃したうえで、欧州諸国が維持する「最新型」のクラスター爆弾も今後、導入しない方針を固めた。これで日本はあらゆるクラスター爆弾を保持しないことになる。人道面を重視したためで、代わりに子爆弾をまき散らさない単弾頭の爆弾を整備するため、約73億円を09年度予算に計上する。
日本は、子爆弾を数百個まき散らし、不発率が極めて高い「旧型」や「改良型」のクラスター爆弾を4種類保有している。政府は12月3日、クラスター爆弾禁止条約に署名する予定で、09年度から廃棄方法の調査を始める。批准後は8年以内に廃棄する義務を負う。【11月21日 毎日】
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例外として保有が認められており、欧州各国が導入するとみられる「最新型」についても、不発弾による被害が完全になくなる保証がなく、コストもかさむため、導入を見送る方針です。
日本は、海岸線から上陸する敵の「着上陸侵攻」を、大量の子爆弾をまくことで「面的に制圧」するため、クラスター爆弾を配備してきました。しかし、現在は着上陸侵攻の可能性が考えにくく、「面的制圧」の効果を疑問視する見方もあり、防衛省や一部自民党内の反対を抑えて、必要性が低いと判断したとのことです。
12月3日にオスロで開かれる署名式では、署名国は110カ国を超える見通しで、日本からは中曽根弘文外相が出席し署名します。

【被害者支援】
****クラスター爆弾:被害者支援などに6億円拠出へ 日本政府*****
 政府はオスロで12月3日に行われる軍縮交渉「オスロ・プロセス」のクラスター爆弾禁止条約署名式で、クラスター爆弾による被害者支援などを含む不発弾対策に今後1年間で約600万ドル(約6億円)の拠出を表明する方針を固めた。禁止条約の中には、こうした条約としては異例の「被害者に対する支援」が組み込まれており、日本としては平和構築の分野で積極的な姿勢をアピールする狙いがある。
 署名式には中曽根弘文外相が出席の意向を固めている。署名式で行う演説の中では、不発弾が無差別に市民を殺傷するクラスター爆弾の使用回避などを訴える。また、戦後復興支援のための国際協力を呼び掛ける。
 市民団体「地雷廃絶日本キャンペーン」によると、97年締結の対人地雷禁止条約では、政府は100億円以上の国際協力を実施した。だが、地雷除去の調査研究費や機材などハード面に偏り、被害者支援は全体の11%未満にとどまった。クラスター爆弾の被害者支援の拡大は今後の課題でもある。【大谷麻由美 11月26日 毎日】
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「オスロ・プロセス」にはクラスター爆弾保有国が参加していないとは言っても、国際世論は確実に“禁止”に向けて流れを強めます。
昨今の世界情勢においては、たとえ紛争においても国際世論の動向を無視できません。
署名しないクラスター爆弾保有国も、今後その使用は大きく制約されることになります。
また、CCWの議論にも影響を与えることが予想されます。
米中ロといった超大国以外の国々が世界の流れをつくっていくという意味においても、意義がある取組みです。

これまで取組みが遅れた日本政府ですが、“被害者支援などを含む不発弾対策に今後1年間で約600万ドル(約6億円)の拠出”というのは評価できる対応かと思います。
今後とも、こうした方面での国際的イニシアティブを発揮してもらいたいものです。

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グルジア・サーカシビリ大統領に逆風  EU、原因調査へ 「バラ革命」同志、野党旗揚げ

2008-11-25 18:38:29 | 国際情勢

(首都トビリシで熱弁をふるうサーカシビリ大統領 撮影は今年8月15日とありますので、ロシア侵攻直後の時期です。 その政治姿勢から国内の求心力がかげりを見せていた大統領ですが、紛争によって国内政治的には、ロシア憎しの国民感情を受けて大統領の支持率が一気に高まりました。 そして今、また風向きが変わりつつあるようにも・・・ “flickr”より By onewmphoto
http://www.flickr.com/photos/24674184@N00/2810866951/)

【2回目の国際会議】
グルジア紛争は北京オリンピック開幕の8月でした。
10月に行われた最初の国際会議は、南オセチアとアブハジアを独立国として参加させたいロシアと、独立を認めないグルジアが両地域の参加資格をめぐって対立し、実質的な協議に入れませんでした。

2回目の国際会議が今月19日、ジュネーブで開かれました。
会議は、EUと国連、全欧安保協力機構(OSCE)が主催し、ロシアとグルジア、米国が参加。
グルジアから独立を宣言した南オセチアとアブハジアの代表団も会場に入っており、両地域を協議に加えるため「個人資格」での参加にするという妥協が成立したようです。
次回会合を12月17、18日にジュネーブで開くことで合意して終了しており、初の実質的議論という意味で
一定の前進があったと報じられていました。

****グルジア:露と紛争後初の直接対話 和平へ前進****
会議は約3時間にわたって行われ、▽両地域の治安維持と安定の確保▽避難民の帰還--の二つの作業部会を開催。次回会合までに、避難民の安全な帰還や信頼醸成措置などに関する具体案を探ることで一致した。
米国代表のフリード国務次官補は会議後、「(両地域の)参加資格のような根源的問題に関する考えの違いは残っているものの、和平プロセスは動き出した」と語った。EUのモレル特別代表も「我々は大きな一歩を踏み出した」と強調した。
また、ロシア代表のカラシン外務次官は「(ロシアとグルジアの)立場の隔たりは大きく残っている」としながらも、「すべての代表者が最初から最後まで参加し、同じ資格で協議したことが重要だ」と述べた。【11月20日 毎日】
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アジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議出席のためにペルーを訪れたブッシュ米大統領とメドベージェフ・ロシア大統領は22日、リマで会談しましたが、「会談は友好的だったが、率直で直接的な意見が交換された」(ペリノ米大統領報道官)とのことで、グルジア問題での双方の対立は解消しなかったようです。
(外交的な表現というのはなかなか面白いものです。)

【EUは軌道修正か】
対ロ強硬姿勢を維持しているアメリカですが、EUは軌道修正してきています。
紛争を受けて凍結していたロシアとの協力関係強化のための交渉再開を先月14日に決めたEUは、議長国フランスが21日、ロシアとグルジアの軍事衝突の原因や経緯などについて真相を解明するための調査を近く開始すると発表しています。
グルジア側の無差別砲撃が紛争の引き金を引いたというBBC放送など、グルジア側の「勇み足」を指摘する報道が出る中、調査結果がEUとロシア、グルジアとの今後の関係に影響を及ぼすのは必定とも報じられています。
8カ月にわたり現地で情報収集などの調査にあたり、来年7月末までに報告書をまとめる予定です。

****グルジア紛争:EUが原因調査へ…対露融和姿勢受け****
衝突発生の経緯を巡っては「南オセチアの分離派が攻撃したため、反撃した」と主張するグルジアに対して、ロシアは「グルジアが先に南オセチアに侵攻した」と反論、言い分が食い違っている。11月7日付米ニューヨーク・タイムズ紙は監視員の証言を基に「分離派に対するグルジア軍の無差別砲撃が市民やロシア軍平和維持部隊を危険にさらした可能性がある」と報じた。

グルジア紛争で和平合意を取りまとめたサルコジ仏大統領は14日のEUロシア首脳会議で、対グルジア人道支援を理由に軍用機・艦船を派遣して緊張を高めた米国の対応を批判。グルジアの反対を押し切り、ロシアとの戦略的パートナー関係確立を目指す協定交渉を12月2日に再開すると決め、メドベージェフ露大統領が提唱する「新たな欧州安全保障の枠組み」を協議する用意を表明、対露融和姿勢を強めている。

北大西洋条約機構(NATO)は12月2、3の両日、ブリュッセルで開く外相会議で、将来のグルジア加盟の見通しと、凍結している大使級対露協議の再開の是非を協議する。南オセチアなどにロシア軍部隊が残留していることから、米国は「従来通りの関係に戻るのは困難」(フリード国務次官補)と早期協議再開に後ろ向きだ。ロシアとの関係を巡り、米国主導のNATOと、EUの間で足並みの乱れが露呈する可能性がある。【11月22日 毎日】
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【「バラ革命」同志も離反】
グルジア国内においても、サーカシビリ大統領に対する“逆風”が吹き始めています。
親欧米民主派がシェワルナゼ前大統領を追放した政変「バラ革命」から23日で5年。
バラ革命の同志だったブルジャナゼ前国会議長が23日に新たな野党を旗揚げしました。

****グルジア:「バラ革命」5年 大統領苦境 対露衝突で内外支援変化*****
党首となったブルジャナゼ氏は、ロシア軍の侵攻で南オセチアとアブハジアを事実上失ったサーカシビリ政権を厳しく批判。「戦争に負け、国土の一部のコントロールを失った政府は退陣するか、国民が選挙で交代させなければならない」と訴えた。ブルジャナゼ氏は次期大統領選の有力候補とされる。

一方、サーカシビリ大統領は22日夜、テレビ演説し、「バラ革命で期待されたことがすべて実現したわけではない。期待は常に可能性を上回るからだ」と国民に理解を求めた。
グルジアではこれまでに「バラ革命」の同志の多くが大統領の強権体質などを理由に政権を離れ、野党に回った。8月の紛争直後は大統領の求心力が高まったが、その後、開戦責任論が浮上し、野党勢力は大統領の辞任と繰り上げ大統領選の実施を求めている。【11月24日 毎日】
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【疑惑の銃弾】
そんな折、100年前だったら世界的戦争にも繋がりかねない物騒な銃弾が飛びました。

****グルジア、ポーランド両首脳の車列に銃撃 オセチア近辺*****
インタファクス通信によると、グルジアのサーカシビリ、ポーランドのカチンスキ両大統領の車列が23日、南オセチア自治州に近い緩衝地帯で銃撃された。AFP通信によると、グルジア大統領報道官は南オセチアに駐留するロシア軍部隊が銃撃したとしている。両大統領は無事という。
イタル・タス通信はワルシャワ発で、カチンスキ大統領の車列に向けて銃撃があったことを伝えた。23日はグルジアの民主化運動「バラ革命」の5周年の日で、記念行事が首都トビリシで催され、同じ反ロシアの立場をとるカチンスキ大統領も出席していた。【11月24日 朝日】
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カチンスキ・ポーランド大統領は「約30メートルの至近距離で銃撃音がしたが、車列に向けた発砲だったのか空中への警告射撃だったのかはわからない」と語っています。
ロシア国防省や南オセチア当局者は発砲を全面否定。ロシアのラブロフ外相は24日、APEC首脳会議のため滞在中のリマで「グルジア側が仕掛けた挑発行為」だと非難しています。
常識的に考えても、EUの動きに見られるように、風向きがフォローにかわりつつあるロシアがここで、“大統領銃撃”などを意図的にやるとも思われません。

“インタファクス通信によると、南オセチアの治安当局者は、約30台の車列の一部がグルジア側から南オセチア側へ境界を許可なく強行突破しようとしたため、「違法行為への警告措置を取った」と説明。発砲は否定している。”【11月25日 毎日】
「違法行為への警告措置を取った」というのがなんでしょうか?
“ひょっとして、国内外の情勢が厳しくなってきたサーカシビリ大統領が、自作自演の危ない芝居を打ったのでは・・・”とも最初思ったのですが、上記インタファクス通信報道が正しければ、発砲を否定している南オセチア側の「違法行為への警告措置」だったのでしょうか?

それにしてもきわどい警告です。

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アフリカ  人間の心に潜む闇・・・赤ちゃん売買、呪術用にアルビノ殺害

2008-11-24 10:43:03 | 国際情勢

(ボツワナの首都ハボローネにある議会 カリフォルニアを思わせるかどうかは、この写真からはわかりませんが・・・ “flickr”より By filippo jean
http://www.flickr.com/photos/26162032@N03/2456863048/)

【カリフォルニアに似ている・・・】
正直なところ、アフリカと言うと、どうしても“紛争”“独裁”“貧困”“飢餓”“難民”・・・といったネガティブな言葉を連想してしまいます。
これはエジプト以外には観光ですら行ったことがない私の無知と偏見でしょう。

例えばボツワナ。
アフリカ南部、南アフリカやジンバブエ、ナミビアに囲まれた内陸国ですが、三井物産九州支社長から転身した松山良一ボツワナ大使は次のように語っています。

“「・・・何といっても治安がいい。1966年の独立以来紛争はないし、民主的な選挙で政権が交代し、汚職が非常に少ない。国民所得もアフリカでトップクラス。私自身、アフリカの国といえば『貧困と紛争』のイメージがあったが、ボツワナは大違い。むしろカリフォルニアのサンノゼにとてもよく似ている」と話す。
赴任した国をほめるのは大使としては当然だが、カリフォルニアに似ているという言い方は決して誇張ではない。
通りや施設の表示はすべて英語(公用語)で、日本でもよく見かけるファストフードチェーンも多い。
首都郊外には巨大なショッピングモールがあり、家族連れでにぎわっている。ボツワナを訪れて「貧困と紛争」を思い浮かべることはとても難しい。・・・”【10月27】日 毎日】

日本の国債の格付けが02年、ボツワナより格下になったことで話題になったこともある国ですが、一人あたりの国民所得(購買力平価ベース IMF2007年調査)は16,449ドル(日本の約半分)と世界第48位です。
“紛争はないし、民主的な選挙で政権が交代し、汚職が非常に少ない”だけでも、アフリカのイメージを改める必要があります。

もっとも、この国は収益の大部分をダイヤモンド採掘に頼っており、統計上これだけの数字をあげていながら、失業率は20%超(民間調査では40%近いのでは・・・との数字も)、そして何よりもエイズ感染率(成人)38.8%(世界第一位)・・・というのは内在する大きな問題を示唆しているように思えます。
ただ、その点には今回はふれません。

とにもかくにも、アフリカにもいろんな国・社会があり、カリフォルニアを思わせる国もある訳ですが、やはり溜息をついてしまう話も少なくないのが実際です。
ユニセフは、ナイジェリアで1日に10人以上の子どもが売買されていると推定しています。

****ナイジェリアで横行する「赤ちゃん売買」、その背景にあるものとは****
・・・「赤ちゃん農場」「赤ちゃん工場」とも呼ばれるそうした売買施設のネットワークが存在することが、最近になり警察の摘発によって明らかになった。
地元紙の報道によると、逮捕・起訴された50代の産婦人科医は、望まぬ妊娠をした少女たちを「中絶をしてあげる」と言って誘い込み、医院に監禁。出産後は、その親である少女に約2万ナイラ(約1万7000円)を支払って新生児を取り上げた。
新生児はその後、1人あたり30万から45万ナイラ(約25万-38万円)で業者に売られていたという。(中略) 

売買は、さまざまな形で行われている。望まぬ妊娠をして「村八分」を恐れる少女が、クリニックに言葉巧みに誘い込まれ、新生児を手放すことを強要されるのが一般的だ。(中略)
貧困にあえぐ女性たちが、現金欲しさに自ら妊娠・出産を望むケースもある。(中略)
ナイジェリア警備・民間防衛隊(NAPTIP)によると、ここ数か月で、こうした施設が10数箇所摘発されている。それぞれ、産科医院、児童養護施設、孤児院、ホームレスの妊娠少女のためのシェルターといった体裁をとっていた。

2005年、新生児売買への関与が取りざたされていたラゴスの孤児院が、閉鎖された。ごみ捨て場から炭化した新生児の骨が発見されたことから、この孤児院が呪術用、または臓器移植用に体の一部を売っていた疑いが持たれている。
新生児が将来的に児童就労や性的虐待、児童買春といった目的で買われているという証言もある。

だが、ナイジェリアの南東部では、新生児の売買に別の大きな動機が働いている。この地方に暮らすイボ人の社会では、婚姻外の子ども、そして子どもができない女性は「呪われた者」と見なされる。そのため、子どもがいない母親は、自分の子どもと偽って新生児を育てるためならお金を惜しまない。そのため医師の方も、一晩で大金持ちになれるというわけだ。(後略)【11月12日 AFP】
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売買目的のひとつとされている“呪術用”ということに関しては下記のような話もあります。

*****「呪術師に高値で売れる」、東アフリカ・ブルンジのアルビノに魔の手*****
アルビノ(先天性白皮症)のリチャードさん(19)は、前週、近所の人から「お前はつけ狙われている」と警告された。彼は恐怖に駆られて森の中に逃げ込み、2日間そこで息をひそめていた。そうした「連中」につかまるとどうなるかを、充分に理解しているからだ。 
ここは東アフリカ・ブルンジ東部のルイギ県。同地域では最近、アルビノが殺害されて遺体が切断される事件が続発している。リチャードさんによると、そうした身体の一部は、隣国タンザニアの呪術師に売られるのだという。(中略) 警察は、アルビノの手足、臓器、血液がタンザニアに運ばれ、呪術師に売られていることを確認している。呪術師がそれらを調合してお守りを作るのだ。
タンザニア北部ではアルビノ殺害事件が続出しており、同国の大統領はアルビノを保護するための対策を打ち出している。【10月15日 AFP】
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よほどこの種の事件が多いのか、あるいはAFPがよほどこの種の話題が好きなのか、同様の事件の記事が10月22日にも、更に、11月18日にも繰り返し報じられています。
その記事の中で、タンザニアでは、前年1年間だけで、女性や子どもを中心に少なくとも27人のアルビノが殺害されていると言われていることが書かれていますが、これは“わかっているだけで”という数字でしょう。

いささか話題が暗くなりすぎました。
呪術云々はあまりにも古典的なアフリカのイメージを呼び起こします。
しかし、赤ちゃん売買にしても、呪術用のアルピノ殺害・売買にしても、アフリカの暗部と言うよりは、人間の心の闇と言うべきものでしょう。

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国際新秩序を目指して  リマで中台会談 ロシア、日本は・・・

2008-11-23 16:03:17 | 国際情勢

(総統選挙で馬候補勝利を喜ぶ人々 多分。 “flickr”より By Assassin.Chen
http://www.flickr.com/photos/assassin/2351570253/)

【中台、協調関係をアピール】
アジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議出席のため、ペルーを訪問した胡錦濤中国国家主席は21日午前、台湾代表を務める連戦元副総統(国民党名誉主席)とリマのホテルで会談しました。
91年の台湾のAPEC加盟後、中国・台湾の代表による会談は初めてで、中台の協調関係をアピールするものだったそうです。

両者は05年4月北京で60年ぶりの国共トップ会談を行っており、個人的な信頼関係もあるようですが、中台関係の安定を国際社会に訴えることで、台湾の馬英九政権を後押しする中国側の狙いがあると報じられています。

****中台、協調関係をアピール 胡錦濤主席と連戦氏が会談*****
今回の中台対話を設定した狙いについて、中国共産党関係者は「現在の台湾が国際社会で外交空間の広がりを求めるならば、中国も柔軟に対応するとの新たなメッセージを発する」と指摘する。民進党時代には一切の妥協を拒み、強硬姿勢で臨んだ中国も、国民党の馬政権とは外交分野でも協調を模索する余地があるとの解説だ。
 独立志向の強かった民進党の陳水扁前政権に対して、中国は厳しい姿勢で臨んだ。台湾と外交関係を持つ国が集中する中南米で「外交関係争奪戦」を繰り広げたのも、その一端だった。だが、今年5月に国民党の馬政権が誕生すると対話路線にかじを切り、同月中に胡氏と呉伯雄)国民党主席が会談し、その後は民間窓口交流機関トップの相互訪問も復活させた。今回の会談には、中国政府で台湾問題を担当する国務院台湾事務弁公室の王毅主任(閣僚級)も同席した。
 一方で、「台湾の独立は決して認めない」という原則は崩していない。秦剛外務省副報道局長は20日の定例記者会見で、「両岸関係がどのように変化しようとも、世界に中国は一つしかない。これは歴史的な事実であり、改変できない」と強調した。 【11月22日 朝日】
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【一時休戦】
中台双方が主権問題に触れないよう「古い友人との懇談」という名目で会談を行ったそうで、連氏は「我々は経済を優先させ、政治は後で対応することを希望している。現在はまだ経済の段階だ」と語っています。
会談では、胡氏が金融危機には中台が連携して取り組むことも必要だと説くと、連氏も「両岸(中台)は共同で世界経済の発展に貢献できる」と応じたそうです。

ところで、中南米・地域は台湾と外交関係がある23カ国のうち12カ国は集中しているエリアで、これまで中国と台湾の間で激しい陣取り合戦が行われてきたところです。
台湾にととっては最後に残された“虎の子”と言ってもいいエリアですが、最近の中国の目ざましい台頭という国際情勢から、中国側のワンサイドゲームの様相を呈しています。
まあ、中国・台湾への評価・好き嫌いは別として、無理からぬところでしょう。
中南米で相次いで左派政権が誕生している事情もあります。

昨年6月には、コスタリカを中国が“奪い取って”います。
8月15日に就任した、台湾と外交関係を持つパラグアイのルゴ大統領(中道左派)は、中国との関係強化を視野に入れ、今後、台湾の国連加盟を支持しない方針を明らかにしています。
また、9月には、外交関係のあるハイチなど中南米4カ国が、中国との関係を考慮して台湾の国連加盟に反対の姿勢を示したり、態度表明を控えたりしているとも報じられていました。

ただ中国も記事にもあるように、中台融和を掲げる国民党政権の誕生を受けて、“外交陣取り合戦”を一時休戦にしているとも言われています。
パナマやパラグアイは台湾から中国へ転向したがっているそうですが、中国側は「相手国が望んだとしても、国交樹立は急がない」という対応だとか。

これ以上台湾を追い込むよりは、中台融和路線の国民党なら台湾の外交的可能性も残ることを台湾の人々へアピールする戦略です。
こうした中国がコントロールする情勢の行き着く先は・・・ということも容易に想像されます。
もっとも、両国にとって極めて重要かつデリケートな問題で、容易に民族感情に火がつきやすい問題ですから、すんなりとは行かない事態も十分に予想されます。

【ロシアも中南米へ】
一方、ロシアのメドベージェフ大統領もAPEC出席にあわせて、ペルー、ブラジル、ベネズエラ、キューバの4カ国を訪問しています。
“同大統領の中南米歴訪は、ブッシュ政権の終了に際して米国に挑戦状を送りつけるものと受け取られている。”【11月22日 時事】とも報じられています。
ベネズエラでは、ロシア北洋艦隊の原子力ミサイル巡洋艦を旗艦とする艦隊とベネズエラ海軍との合同軍事演習をメドベージェフ大統領とチャベス大統領が視察する予定です。

米政府の全情報機関の分析予測を統括する国家情報評議会(NIC)が先日発表した世界予測「2025年の世界の潮流」で、今後の20年間を「新秩序への移行期間」としていますが、台頭する中国・インド、勢力保持を目指すアメリカ・ロシア・・・それぞれがそれぞれの思惑で動いています。

【女性と移民】
この報告は日本については、国際的に「中の上の地位を維持する」と予測していますが、日本の外交政策については、米中の出方に影響されるとして、〈1〉中国の経済成長が続けば良好な対中関係を維持〈2〉中国が域内各国に敵対的になれば東アジアの民主国家や米国とともに影響力を行使〈3〉安保面で米国の対日貢献が弱まれば中国に接近〈4〉米中の政治・安保協力が顕著になれば、その傾向に追随--とする四つのシナリオを提示しています。
外交は相手がある話で、どうしてもアメリカ・中国次第という感がありますが、中国との距離のとり方がポイントになります。

なお、この世界予測の中心執筆者であるマシュー・バローズ同会議顧問は21日記者会見し、日本の将来について、高齢化で今後の経済成長の継続は「より困難になる」と予測し、女性が長く働ける職場環境をつくり、移民を受け入れなければ「衰退する恐れがある」と警告しています。【11月22日 共同】
政治的保守化、他者への不寛容さが増大するように見える最近の日本社会にとっては、中国との関係にしても、女性・移民の問題にしても難しそうに見えます。
ということは、衰退する一方ということでしょうか・・・残念なことです。
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エボラ出血熱とやがて襲い掛かる新型インフルエンザ

2008-11-22 15:19:46 | 世相

(インドネシア・ジャカルタ 鳥インフルエンザで亡くなった5歳の少年の遺体を抱えあげる病院関係者 インドネシアでは世界でも最多の鳥インフルエンザによるヒトの感染・死亡が報告されています。 “flickr”より By Quiplash!
http://www.flickr.com/photos/quiplash/45421823/)

【煽られる恐怖】
新種のウイルス汚染によるパンデミックを扱った映画・小説の類はたくさんありますが、そうしたフィクションに重なるイメージをもつ現実のウイルスがエボラ出血熱。
“死亡率は50~89%と非常に高く、死亡者の殆どに消化管出血が見られる。エボラ出血熱ウイルスに対するワクチン、ならびに、エボラ出血熱感染症に対して有効かつ直接的な治療法は見つかっていない。”【ウィキペディア】という、致死率の高さ、症状の激しさ、治療法のないことが恐怖心を高めます。

もっとも、このようなエボラ出血熱への“殺人ウイルス”的な恐怖心は、多分に映画・小説によって煽られたものだとの話もあります。

****殺人ウイルス「エボラ」、映画や小説があおった恐怖の歴史****
「エボラ出血熱」の恐怖が知られるようになってから30年以上が経つが、これまでの死者数は600人と意外にも少ない。
エボラ出血熱に関する国際会議出席のためガボンの首都リーブルビルに滞在中の米軍の研究者、Thomas Geisbert氏によると、1日あたりの死者数はエボラ出血熱によるものよりもコレラやマラリアによるものの方がはるかに多いという。

エボラ出血熱は、1976年に初めてウイルスが発見されたコンゴ(当時ザイール)の小さな川の名前をとって命名された。その症状は激しく、致死率も高いが、「他人に感染する前に感染者が死に至るため、蔓延しにくい」と複数の専門家が指摘する。にもかかわらず、エボラ出血熱はとてつもなく恐ろしい病気との認識が、ハリウッド映画やサスペンス小説などを通じて人々の心に植えつけられている。
「致死率90%」という数字が人々をひきつけるのだとGeisbert氏は言う。90%の致死率を起こす有機体は地球上でも数少ないからだ。(中略)

だが、エボラ出血熱の存在が広く知られるようになったのは、ベストセラーになったリチャード・プレストン)著「ホット・ゾーン」だという。米国の首都ワシントンD.C.近郊の町でエボラウイルスが発見されるという内容だ。
別の研究者は、この小説を下敷きにした大ヒット映画『アウトブレイク』がさらに恐怖をあおったとみている。
映画が公開された1995年、コンゴ(当時ザイール)のキクウィトではちょうどエボラ出血熱が流行していた。
人々は映画を観たあとテレビでこのニュースに触れることになり、映画のシーンは真実だと思うようになったのだ。
(中略)
だが、西側諸国のこうした「エボラウイルス狂騒曲」とはうらはらに、当のアフリカでは情報不足による混乱が生じている。たとえば、身体の各部位から出血するなどのおぞましい症状から、エボラ出血熱が「魔女のしわざ」だと信じる人が多く、感染者の遺体が埋葬されないケースもあるという。【4月3日 AFP】
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確かに、米疾病対策センター(CDC)は、マラリアによる死者が世界で年間70─270万人に達すると推定していますので(このアバウトさが、マラリアの置かれている現状を表しているように思えます。)、こうした感染症と比較するとエボラ出血熱の犠牲者は微々たるものです。

(もっとも、上記記事の「30年以上が経つが、これまでの死者数は600人」というのはどうでしょうか?
国立感染症研究所 感染症情報センターのHPに掲載されている02年までの主な被害発生状況の死亡者数を合計しただけで1000名ぐらいにはなりそうです。http://idsc.nih.go.jp/idwr/kansen/k02_g2/k02_32/k02_32.html )

【変異を続けるウイルス】
だからと言って、エボラ出血熱のような新たな感染症への恐怖が和らぐものでもありません。
ウイルスのほうは、人間の都合などお構いなく、どんどん変異を続けています。

****ウガンダで流行のエボラ出血熱、新種ウイルスを確認 米研究****
ウガンダで前年11月に37人の死者を出したエボラ出血熱のウイルスの型について、これまで知られていなかった新種であることを、米国とウガンダの医療チームが確認した。21日、研究結果が米医学誌『PLoS Pathogens』(電子版)に発表された。
新種のウイルスは4種の既知の病原菌と結合した形態で、死亡率は36%。医療チームは感染が確認されたウガンダの地名にちなんで暫定的に「ブンディブギョ・ウイルス」と命名した。(中略)

ブンディブギョ・ウイルスの発生の確認には新たな診断ツールが必要で、ワクチンや治療法の解明は困難とみられる。
エボラ出血熱は、伝染性および致死率が極めて高いことから、マールブルグ出血熱とともに恐れらる伝染病の1つ。決定的な治療法は見つかっておらず、現在のところ、感染者を隔離し、治療に当たる医療関係者がゴム手袋や医療用ゴーグルで二次感染を防ぐといった手だてしかない。【11月21日 AFP】
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【意識されない危機】
新たなウイルス・・・と言えば、なんといっても本命は新型インフルエンザでしょう。
よく言われるように、ウイルス側の戦略としては、エボラ出血熱のような高い致死率の疾患は拡大してしまう前に感染者の大半が死亡してしまうのに対し、インフルエンザのような緩い感染症はどんどん感染をひろげて行くという意味で、インンフルエンザウイルスのほうが賢いといえます。

これまでも何回か取り上げたように、いつヒトからヒトへ感染する新型インフルエンザがアウトブレイクしてもおかしくない状況です。
確率的には、大震災などよりずっと確実なのでは。
そして被害の程度も比較にならないものがあります。

ただ、どうしても将来の時期がはっきりしない危機に対しては、もうひとつ危機感が高まらないのも事実です。
こちらは少し煽るぐらいがいいのかも。
そこで、敢えてその状況を妄想してみると・・・

日本国内での発症は、恐らく海外との人間の往来が多い大都市部になるのではないでしょうか。
私の今暮らしている奄美大島は、本土との行き来は空港・港湾に限定されますので、その意味では、感染拡大を食い止めることが比較的可能なようにも思えます。
本土からの人間の流入は厳しく制限されることになるでしょう。
ただし、物資は食糧を含め本土からの移送に頼っていますので、物資移送は絶やせません。

しかし、一旦島内で発生すると悲惨な状態も想像されます。
島は本土から“隔離”されるようなことになるのでは。
まあ、食糧ぐらいは送ってくれるでしょうが。

島に食糧を積んだ船が到着すると、逃げ場のない島から本土へ脱出したい人々が港に押し寄せる。
防護服に身を固め銃を構えて食糧の荷降ろしを警備する自衛隊が、威嚇射撃でこの群集を押し返す。
やがて荷物を降ろした船は港を出て行き、残された人々はゾンビの群れのように食糧を奪い合う・・・。
B級パニック映画の観すぎでしょうか。

TVで新型インフルエンザ対策としては“外出しないこと”が一番と言っていました。
その点では、放射能汚染よりは対処可能です。

感染が終息するのに必要な時間はどのくらいでしょうか。
数ヶ月、家の中で暮らせるように、インスタントラーメンや米などを買い置きしていたほうがいいかも。
あと、やむなく外出しないといけないときのマスクも数十枚必要でしょう。
しかし、電気、水道、ガスのライフラインが止まったら・・・。


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アメリカ、産油国へ財政支援要請 世界の機関車“中国”は・・・

2008-11-21 13:37:14 | 国際情勢

(Palmer, Alfred T.,, photographer 1942年、カリフォルニアの航空機工場でモーター製造に取り組む女性 “ものづくり”を忘れたアメリカ経済に明日はあるのか・・・との声も聞きます。 日本も同じような途を歩んでいるようにも見えます。
“flickr”より By The Library of Congress
http://www.flickr.com/photos/library_of_congress/2179069381/)

【相次ぐ“記録”】
アメリカ経済の状況を伝える記事は、どれもこれも記録ラッシュの様相です。
ここ数日のものをピックアップするだけでも・・・

米新車販売台数・・・1983年以来25年ぶりの低水準
“10月の米新車販売台数は、前年同月比31・9%減の83万8156台と大幅な落ち込みとなった。米証券大手リーマン・ブラザーズ破綻を契機とした金融危機の影響で消費が低迷し、自動車ローンも縮小したためで、米メディアによると、1983年以来25年ぶりの低水準となった。”

住宅着工件数・・・1959年1月の統計開始以来、最低の水準
“10月の住宅着工件数によると、季節調整後の年換算で前月比4.5%減の79万1000戸と落ち込み、1959年1月の統計開始以来、最低の水準となった。金融危機の深刻化で住宅市況の落ち込みに拍車がかかっていることが浮き彫りになった。”

卸売物価指数・・・過去最大の落ち込み
“10月の卸売物価指数(季節調整済み)は、ガソリンなどエネルギー製品が大幅に値下がりしたため、前月比2・8%下落した。過去最大の落ち込み。”

消費者物価指数・・・下落率は、47年2月の統計開始以来最大
“10月の米消費者物価指数(1982~84年の平均=100)は216.573となり、季節調整後で前月比1.0%下落した。下落率は、47年2月の統計開始以来最大。ガソリンなどエネルギー価格の急落が物価全体を押し下げた形だが、変動の大きいエネルギーと食料品を除いた指数でも0.1%下落し、82年12月以来約26年ぶりの大幅下落となった。”

新規失業保険申請件数・・・16年ぶりの高水準
“週間の新規失業保険申請件数は16年ぶりの高水準となり、世界的な景気後退で各国企業が人員削減を発表するなか高まる警戒感に追い打ちとなった”

ダウ工業株30種平均・・・5年半ぶりの低水準
“20日の米国株式市場は、経済指標の悪化と米自動車大手3社救済案が頓挫したことでパニック売りが進み、大幅続落した。投資家が損失回避のため債券市場に流れたため、利回りは過去最低水準にまで低下。指標となる米10年債利回りも数十年ぶりの水準まで低下した。
ダウ工業株30種平均は5年半ぶりの低水準となる前日比444.99ドル(5.56%)安の7552.29ドルで取引を終えた。ダウは前日も427ドル下げている。”

このアメリカ経済の絶不調の影響は、いずれ日本にも及んでくるかと思うと気が沈みます。
ビッグ3救済策については、税金による救済を求める各社トップが自家用ジェット機で乗りつける・・・といった、納税者感情を逆撫でするようなこともあって難航しているようです。

【奉加帳】
そうしたなかで、金融安定化法による7000億ドルの資金調達のためでしょうか、アメリカ政府から産油国への金融支援要請が報じられています。
“支援要請”というのはなんでしょうか?
一種の奉加帳でしょうか。
ゆすり・たかりではないでしょが・・・。

****米政府、産油国に金融支援要請か クウェート紙*****
米国が世界規模での金融危機の救済対策として湾岸産油国4か国に、総額3000億ドル(約28兆6000億円)の財政支援を要請したことが明らかになった。クウェート日刊紙「アッシヤーサ」が20日、「信頼度の高い筋からの情報」として報じた。
支援の内訳は、サウジアラビア1200億ドル(約11兆4000億円)、アラブ首長国連邦(UAE)700億ドル(約6兆7000億円)、カタール600億ドル(約5兆7000億円)、クウェート400億ドル(約3兆8000億円)となっている。

4か国の原油産出量の合計は日量計1400万バレルに上り、4か国で石油輸出国機構(OPEC)加盟国全体の半分、世界需要の17%を占める計算だ。
今夏の原油価格高騰の恩恵で、過去6か月で4か国は1兆5000億ドル(約143兆円)近い黒字を計上したとみられている。

アッシヤーサ紙によると、米政府は経営危機に陥っている自動車業界や金融機関などの救済に支援金を充てる考えとみられる。
さらに米国は、イラクのクウェートに対する負債160億ドル(約1兆5000億円)を放棄するよう、クウェートに要請したという。【11月20日 AFP】
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アメリカが一声かければたちどころに30兆円弱の金額が集まるとは、アメリカの威信もまだまだ捨てたものではないようです。
この奉加帳は日本にも回ってくるのでは。

1兆5000億円の債権放棄を要請・・・というのも、なかなかのものです。
恐らく最初から返してもらえるとは思っていないのでしょうが。

【将来への積極投資か、油上の楼閣か】
需要減少予測と投機マネー撤退による原油価格の最近の急落はすさまじいものがあります。
20日のニューヨーク・マーカンタイル取引所の原油先物相場は、5営業日続落、指標となる米国産標準油種(WTI)12月渡しは前日比4.00ドル安の1バレル=49.62ドルで取引を終え、50ドルの抵抗線をあっさり割り込みました。
史上最高値の1バレル=147.27ドルをつけた7月からわずか4カ月で、ほぼ3分の1に急落したかたちです。
(年末の旅行で、相変わらず馬鹿高い燃料サーチャージを取られるのが腹立たしいところですが・・・)

こうした原油価格の動き、そして世界的な金融危機・景気後退の動きのなかで、産油国も影響が出てくるのでは、世界一の超高層ビル競争なんかしている場合ではないのでは・・・とも思ったのですが。
アラブ首長国連邦(UAE)のドバイで20日夜、超大型複合リゾート施設「アトランティス・ザ・パーム」の正式オープンセレモニーが行われました。

****ドバイの超豪華ホテル開業祝い、夜空彩る大規模花火****
世界を吹き荒れる不況の嵐をよそに、ヤシの形をした人工島「パームジュメイラ(Palm Jumeirah)」では同リゾート施設のオープニングを祝い、数百億ドルを投じた超豪華パーティーが開催された。主催者側の発表によると、パーティーには2000人を超す世界各地のセレブが招待され、打ち上げ花火は、北京五輪式典の7倍の規模だという。【11月21日 AFP】
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まだまだ、元気なようです。
それとも、国家の命運・将来を担う事業ですから、ことさらに空元気を出してでも・・・といったところでしょうか。

【一蓮托生】
産油国と並び、もうひとつアメリカの必要資金を支えるのが、いまや世界最大の外貨準備、米国債を保有する中国。
世界的な景気の低迷にもかかわらず、中国の10月の貿易黒字が前年同期比29.9%増の352億ドル(約3兆4000億円)となり過去最高を記録したそうです。
ただ、膨れ上がる外貨準備高は、確かにそうした貿易黒字の結果でもあるでしょうが、一方で、人民元を低く“管理”するためのドル買いの結果とも見られています。

日本以上に外需依存の中国は、輸出産業を抑制しないように人民元は安く設定したいというところですが、そのことは市中への過剰流動性供給となり消費者物価高騰を招いています。
昔スミソニアン体制があっけなく投機マネーに潰されましたが、為替管理なんて長続きするものなのでしょうか?

9%とか二桁で走らないと労働人口供給を吸収できず社会不安が高まる、しかし、消費者物価高騰も社会不安を高める、金融政策は為替レート維持に縛られて国内調整に使えない・・・と、中国もつらいところでは。

日本・西ドイツが機関車として期待されたのはもう30年ほど前でしょうか。
いまや“中国機関車論”の様相で、中国自身も総額4兆元(約57兆円)の景気刺激策を挙げて、「中国経済の発展は世界経済の発展を促す」とその存在を誇示していますが、世界景気後退の影響は確実に中国経済にも及び、尹蔚民(人事相は、「現在、雇用状況は危機的で(金融危機の)影響は広がり続けている」、「あらゆる行政レベルで雇用の安定を最優先するよう呼び掛けている」と危機感を示しています。【11月20日 AFP】

日本を抜いて最大の米国債保有国となった中国が保有米国債を手放すとアメリカ経済は崩壊し・・・といった話よりは、いまやアメリカも中国も、そして日本も、一蓮托生の運命にあるということのように見えます。
日本経済のためにも、世界経済のためにも、機関車中国には頑張ってもらう必要があります。

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