孤帆の遠影碧空に尽き

年に3回ほどアジアの国を中心に旅行、それが時間の流れに刻む印となっています。そんな私の思うこといろいろ。

ミャンマー  拡大する宗教衝突 「民主化のジレンマ」に悩むテイン・セイン政権

2013-03-31 21:28:10 | ミャンマー

(メイッティーラ 焼き討ちに合うモスク 【3月22日 アルジャジーラ】http://www.aljazeera.com/news/asia/2013/03/201332271825415121.html

20日に起きた暴動は中・南部の計15カ所に拡大
民主化の動きが始まったミャンマーで、西部ラカイン州のロヒンギャ問題に続いて、中部都市でも多数派の仏教徒と少数派イスラム教徒の衝突によって多数の死傷者が出る事態となっていることは、3月22日ブログ「ミャンマー イスラム教徒との衝突、中部メイッティーラにも飛び火」(http://blog.goo.ne.jp/azianokaze/d/20130322)で取り上げたところです。
その後、衝突は他の都市にも飛び火し、今も緊張した状況が続いています。

****宗教衝突、ミャンマー不穏 仏教徒とイスラム教徒、相互不信****
ミャンマー中部メイッティーラで仏教徒とイスラム教徒の住民が衝突したのをきっかけに、暴動が国内各地に飛び火している。30日付の国営紙によると、20日に起きた暴動は中・南部の計15カ所に拡大。最大都市ヤンゴンでも襲撃のうわさが流れるなど不穏な空気が広がる。

 ■「仕事戻れない」「仕返しが怖い」
ヤンゴンと主要都市マンダレーを結ぶ幹線沿いにあるメイッティーラ。古くから交通の要衝として知られる。暴動発生から1週間たった26日になっても、焼け跡から黒いすすが巻き上がり、焦げ臭さが残っていた。死者は43人。軍の小隊が各所に配置されている。

父が経営する自動車部品店を暴徒に焼かれたイスラム教徒のスィースィートゥンさん(18)は、母や姉妹と焼け残った部品を集めていた。20日に近くのモスク(イスラム教礼拝所)が僧侶も含む大勢の男たちに襲われるのを見て、仏教徒の母方の親戚宅に逃げた。仏教徒が経営する靴店で働いていたが、「もう仕事には戻れない」と言う。

仏教徒にも恐怖が広がる。家が焼け、市内の僧院に暮らすマーミンさん(35)は「仕返しが怖い。同じ所には住めない」。

ミャンマーは人口の9割近くが仏教徒で、イスラム教徒の割合は4%程度とされる。メイッティーラには19世紀の英国侵略以前の王朝時代からインド系のイスラム教徒が定住しており、人口28万人のうち1万3千人と見積もられている。

対立の発端は20日午前、金製品店で経営者のイスラム教徒と近くの村から来た仏教徒の客がけんかになり、客が大けがをしたことだった。怒った村人らが店を破壊。報復の形で僧侶が殺害されたことで仏教徒の怒りが爆発した。
刃物や棒で襲い合い、双方に犠牲者が出たが、焼かれた約1千戸の大半はイスラム教徒の家やモスク。イスラム教徒7800人が避難民キャンプにいる。

暴力が拡大したのは警察の不手際のせいだと批判する声が聞かれた。金製品店が壊された際、警官は群衆に押され、遠巻きに見ていただけだったという。
騒動が収束したのは非常事態宣言が出され、軍部隊が動員された22日夜。喫茶店兼自宅を焼かれたティンウィンさん(52)は「信頼できるのは軍だけ。軍が統治すべきだ」と語った。

野党・国民民主連盟(NLD)の地区選出下院議員ウィンテインさん(71)は「民主化の機運が少し後退したかも知れないが、改革の速度が落ちないよう努力したい」と言った。

 ■民主化の基盤、崩す恐れ
メイッティーラの暴動後、モスクなどの襲撃が同市のある中部マンダレー管区や南のバゴー管区に広がった。中部
ヤンゴンでは24日夜からイスラム教徒が多く住む地区に襲撃があるとのうわさが広まり、ショッピングセンター内の店舗が軒並み閉じる事態になった。市内では夜間警察が検問を強化、住民の自警団が警戒する。

多数派で仏教徒のビルマ族の中には文化風習の異なるインド系のイスラム教徒を嫌う人たちが少なからずいる。ミャンマーでは1930年代以降、反イスラム暴動は断続的に起きてきた。38年の暴動では240人が死亡している。

軍事政権下でも2001年に中部の都市で小規模な対立があった。だが、表現の自由が封殺され、治安当局による監視が社会に行き渡っていたため、宗教間の対立感情が噴き出すことはほとんどなかった。2011年の民政移管で政治的な自由が広がる中、イスラム教徒経営の商店での不買運動などを掲げる保守的な仏教勢力が生まれている。

イスラム教徒側にも強硬論が出始めている。「全ミャンマーイスラム知識人協会」には「ジハード(聖戦)をなぜ宣言しないのか」との電話が相次いでいる。事務局長のチョーソーさん(66)は「政府が法の支配を確立できなければ、武装に走る人が出るかも知れない」と話した。
昨年、西部ラカイン州で起きた仏教徒とイスラム教徒との衝突では、中東などのイスラム圏で反ミャンマーデモが起きた。仏教徒によるモスク襲撃がさらに拡大すれば、外国からの流入を含め過激なイスラム勢力が台頭する恐れもある。

民主化や経済成長の基盤になる治安の安定を脅かしかねない対立にテインセイン大統領も危機感を抱く。28日夜、国営テレビで演説し「市民の生命と財産を守るためには武力の行使も辞さない」との姿勢を示した。さらに「すべての過激宗教主義者らに警告する。人々に憎しみを植えつけようとする試みは容認できない」と強調した。 【3月31日 朝日】
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大統領の危機感「民主化改革を後戻りさせかねない」】
テイン・セイン大統領は、上記記事にあるように民主化の基盤を揺るがす事態に危機感を募らせていますが、旧軍事政権を想起させるような厳しい弾圧は民主化逆光のリスクがあるとして控えています。

****ミャンマー:宗教対立での暴動が拡大 大統領が危機感表明****
・・・・死者は40人を超え、テインセイン大統領は28日、国営テレビで「民主化改革を後戻りさせかねない」と強い危機感を表明し、国民に自制を訴えた。(中略)

大統領は22日、騒乱地域に非常事態を宣言、戒厳令を敷き、メティラでの騒乱は収まった形だ。だが、暴動は25日、ヤンゴン北方の古都バゴーに波及。さらにヤンゴンでもこの日、仏教徒によるモスク襲撃のうわさが広がり、一部地域でイスラム教徒住民が自衛のため道路にバリケードを設けるなどし、治安部隊も出動する騒ぎになった。

テインセイン政権は25日に声明を発表。暴動の収束に向け「最大限の努力」を約束したが、バゴーでは治安部隊が配備されたにもかかわらず、一部の空白域で暴動が続き、部隊が威嚇射撃するなどの事態に発展した。こうしたことから大統領は28日、テレビ演説で「武力行使も辞さない」との決意を示した。

今回の騒乱は、昨年6月に西部ラカイン州で発生した両教徒の暴動が背景にある。仏教徒の女性がイスラム教徒の集団にレイプされた上で殺害された事件を機に、約200人が死亡した。国民の9割を占める仏教徒の潜在的な反イスラム感情に火が付いた形だ。

11年3月の民政移管以降、顕在化した宗教対立を巡り、テインセイン政権は旧軍政期のような「徹底した弾圧」には乗り出していない。国民に軍政下の「悪夢」を想起させ、民主化の逆行につながるリスクもあるからだ。政権がジレンマに陥る中、メティラでの初動の鈍さを批判する声も出ている。【3月29日 毎日】
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民主化のジレンマ
事態の背景には、不寛容な宗教の拡大、政府・社会に根強いビルマ人中心主義があります。
“政府はロヒンギャのようなイスラム教徒を迫害し、イスラム教徒を憎悪するよう公然と説法する僧侶も少なくない。仏教徒のビルマ人が占める政府も僧侶の団体も、そうした差別発言を黙認している。”【4月2日号 Newsweek日本版】
世界的には、不寛容な宗教と言えばイスラムが想起されますが、不寛容な勢力が存在するのはイスラムに限らず温和なイメージもある仏教でも同じようです。

イスラムの側にも、独自のコミュニティーを形成して、周囲の文化となかなか融合せず軋轢を高めるという側面がミャンマーでもあるようです。

こうしたもともと存在していた軋轢が、民主化によって管理統制が緩和されたことで、一気に噴き出す事態に拡大した・・・と言えそうです。

****大統領就任2年 民族・人種・宗教対立 民主化ミャンマー、反動ジレンマ****
ミャンマーのテイン・セイン大統領が就任してから30日で2年。民主化が漸次進むにつれ、軍事政権時代は押さえつけられてきた民族、人種、宗教上の違いに根ざす潜在的な軋轢(あつれき)が、社会現象として噴き出している。ジレンマを抱えるミャンマーの融和への道のりは険しい。

ミャンマーでは4月1日から、これまで許可されてこなかった民間の日刊紙(16紙)が発行されるなど、言論や集会の自由が徐々に改善されつつある。

一方では昨年6月以降、西部ラカイン州で仏教徒とイスラム教徒が衝突し、180人以上が死亡した。その火種がくすぶる中、今度は今月20日、中部メティラで両教徒が衝突した。
発端はイスラム教徒の商店主と仏教徒の販売業者とのいさかい。民家や学校、モスク(イスラム教礼拝所)などが放火された。それがジゴン、オウポー、ミンフラなどへ南下する形で飛び火し、28日にはテゴンでも投石で家屋などが損傷した。最大都市ヤンゴンでも警戒が強まっている。
40人以上が死亡、1万2千人以上が避難し、政府は非常事態宣言と夜間外出禁止令を発令している。

仏教徒が約9割のミャンマーにあって、4%のイスラム教徒は、おおむね少数民族・戦闘地域を除き広く分布し、コミュニティーを形成している。68%を占めるビルマ族の居住地域にもコミュニティーが存在し、メティラもその一つだ。
イスラム教徒の多くがビルマ語を話すが、コミュニティーでは独自の言語を使う。熱心な仏教徒であるビルマ族などの目には、イスラム教もイスラム教徒も、「閉鎖的」に映るのだという。

もともとビルマ族などの根底には、歴史にも根ざすイスラム教徒やインド系への嫌悪感が存在する。軍事政権時代には、イスラム教の拡大を警戒し抑制政策がとられもした。いきおい両教徒は打ち解けず、しかし軍事政権による厳しい管理統制下で表面上は、“良好な関係”が保たれてきた。

それも民主化が進展しタガが緩むにつれて、ふとしたいさかいなどを契機に、潜在的な不満や不信感、対立感情が噴出するようになっている。仏教徒の一部はイスラム教徒との商行為を禁じ、反イスラムのCDや本などを配布する「969運動」を展開してもいる。

大統領は融和を目指しており、また人権の観点から注視する国連と欧米の目もあるだけに、手荒なことはできない。その意味でも衝突は、民主化のジレンマといえるだろう。【3月29日 産経】
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民主化によって様々な主張・価値観が表面化して社会混乱を招き、一部には過激な勢力も台頭するという「民主化のジレンマ」は、もはや死語ともなりつつある「アラブの春」でも見られるところです。

とにかく治安の回復、少数派の保護は急務です。
ジレンマに悩むテイン・セイン政権にとって、ここは正念場です。
市民に犠牲が出ることをいとわず発砲するような旧軍事政権的な弾圧に陥ることは避けながらも、自制の効いた治安維持行動によって社会の落ち着きを取り戻してほしいところです。
また、長期的には、少数派の存在を危うくするような言動を戒め、ビルマ人中心主義を脱し、宗教的・民族的国民融合を目指してもらいたいものです。
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「武器貿易条約(ATT)」採択見送り 今後は国連総会で採決の見通し

2013-03-30 21:16:22 | 国際情勢

(「武器貿易条約(ATT)」制定を求めるアムネスティ・インターナショナルによる支持行動 “flickr”より By Arms Control Association http://www.flickr.com/photos/armscontrolassociation/8580190801/

【「Tシャツやおもちゃ、トマトなどの取引を規制する国際基準があるのに、武器貿易にはない」】
通常兵器がテロや市民の虐殺に使われないよう国際取引を規制する「武器貿易条約(ATT)」の制定を目指す国連交渉会議が3月18日から行われていましたが、報じられているように合意目前で採択が見送られることになりました。

ATTは戦車や戦闘機、ミサイルなどの通常兵器に加え、小銃などの小型武器について輸出入を管理する仕組みです。各国の履行体制も築いて無秩序な取引を無くし、テロや虐殺で使われないようにすることがその目的とされています。

“武器の国際取引をめぐっては「法の欠如」が長年指摘されており、特に小型武器による被害は深刻で、犠牲者は毎年70万人以上とされる。アルジェリアやマリなど北アフリカ諸国では、リビアのカダフィ政権崩壊に伴って武器が武装勢力に流れ、地域情勢の不安定化をもたらしている。” 【3月20日 朝日】

「Tシャツやおもちゃ、トマトなどの取引を規制する国際基準があるのに、武器貿易にはない」(潘基文事務総長)という現状に対し、武器取引に関する初の国際ルールを制定しようというものです。
紛争・内戦は世界中で起きていますが、武器・弾薬の供給に一定の歯止めがかかれば、その戦火も下火となり、犠牲者も減少するであろうことは容易に想像できます。

国連では2006年から日本や英国などが主導して交渉が始まり、昨年7月には、規制対象の武器の範囲などで合意できず時間切れとなり、これを受けての再交渉でした。

幅広い合意が得られた最終案
27日には議長の最終案が示されました。
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最終草案によると、武器の対象範囲として大型兵器7種類と小型武器を明記。国連安保理制裁決議の禁輸措置に違反したり、大量虐殺や戦争犯罪に使われると分かっている場合などは、輸出入や積み替え、仲介といった移転行為が禁止される。

また輸出に限定した「リスク評価」として、国際人道法や国際人権法の重大な違反、テロや組織犯罪関連の国際協定の違反行為につながる危険性がある場合は、輸出を許可しないとしている。

米国が対象として明記することに反対していた武器の弾薬の移転には一定の規制が加えられることになったが、輸出の記録や報告義務の対象からは外れた。
一方で、中南米やアフリカ諸国が強く希望していた武器の闇市場への流出防止措置が盛り込まれた。
また、条約を理由に防衛協力を無効とすることができないとするなど、「抜け穴」となりかねない条項もある。(後略)【3月28日 毎日】
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また、条約発効に必要な批准国数は、当初草案の65カ国から50カ国に引き下げられています。

最終案はメキシコやノルウェーを中心とする厳しい規制を求める積極推進派、幅広い条約への参加を重視する英国や日本といった国々、双方の意見を取り入れており、これで合意がなされるのでは・・・との期待感が広がっていました。

【「全会一致方式」のため採択できず
****北朝鮮、シリア、イランが反対、武器貿易条約の採択見送り 国連総会決議を検討****
通常兵器がテロや市民の虐殺に使われないよう国際取引を規制する「武器貿易条約(ATT)」制定を目指す国連本部での各国間交渉が28日、北朝鮮やシリア、イランの反対で決裂し、条約の採択は見送られた。条約採択には「議場の総意」が必要。
採択が見送られたことで、4月上旬に開かれる国連総会で、同条約を国連決議として賛成多数で採択する案が検討されている。

この日、北朝鮮代表は議場演説で、「バランスの取れた条約ではない」と一蹴。シリアのジャファリ国連大使も「見かけだけの条約にすぎない」と述べ、シリアの反体制派に武器が流れ込む“抜け道”があることを批判した。

条約の最終案は27日に示され、規制対象の武器について戦車や戦闘機、戦艦など大型武器7分野と、銃などの小型武器と明記した。大量虐殺などにつながるとの情報がある場合には、これらの移転を禁止するといった内容だ。条約発効に必要な批准国数を当初草案の65カ国から50カ国に引き下げるなど、採択しやすい内容となっていた。

条約の制定は日本や英国などが主導してきたが、昨年7月に行われた各国間交渉は時間切れで決裂した。
今回は、ノルウェーやメキシコなど“積極推進派”が厳しい内容の条約成立を目指す一方、多数の加盟国を募りたい日本などが推進派と慎重派との仲介に立ち、調整を続けていた。【3月29日 産経】
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会議は全会一致方式で行われており、北朝鮮やシリア、イランの反対があれば採択できません。
各国の利害がぶつかる国際問題で“全会一致”などそもそも無理があるように思えますが、こうした方式になったのは交渉に消極的だったアメリカを引き込むための措置だったようです。

****武器貿易条約:交渉失敗 「全会一致方式」があだ****
国連本部で28日まで開催された武器貿易条約(ATT)の最終国連会議は、イラン、北朝鮮、シリアの3カ国が条約案の合意に反対し、昨年7月の会議に続いての失敗に終わった。
もともとは、世界最大の武器輸出国・米国を条約策定に参加させるために導入された決定の「全会一致方式」があだとなった形だ。

ATT交渉開始は、06年採択の国連総会決議で決まった。英国の呼びかけに日本やオーストラリアなどが応じ7カ国が共同提案した。当時のブッシュ米政権はATTに反対だったが、09年発足のオバマ政権は国際協調や国連重視の姿勢を示すため、支持に転じた。

一方で、オバマ政権は交渉会議での全会一致方式での決定を要求した。米国に都合が悪い内容が条約案に盛り込まれた場合、多数決で押し切られないよう、「拒否権」を担保したといえる。09年の総会決議は同方式を採用した。

昨年7月と今回の会議の交渉現場では、条約支持派内の温度差が浮き彫りになった。英国と日本などは、多くの国を参加させて条約に普遍性を持たせるためには妥協も必要との立場。メキシコとノルウェーは、強い規制にこだわる積極推進派の代表だった。

それでも今会議では双方が歩み寄り、妥協派の外交官からは27日、「合意の可能性は高い」との声も上がった。8年越しの交渉が妥結間近となった最終日の会議場では、安堵(あんど)感からか、笑顔で記念撮影をする外交官らの姿もあった。だが、イラン、北朝鮮、シリアが反対を表明。会議場の雰囲気は徒労感に変わった。

今回の条約案はそのまま国連総会に持ち込まれ、多数決で採択される見通しが高い。予定される共同提案国には英国、日本、ノルウェー、メキシコなど妥協派と積極推進派、米国も名前を連ね、交渉会議では難航した一致団結が実現している。【3月29日 毎日】
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今後は国連総会の多数決で
今後については、記事にもあるように国連総会に持ち込まれ、多数決で採択される見通しです。
それなら最初から総会でやればいいのに・・・という気もしますが、全会一致方式のもとで可能な限りのコンセサスを求めるというプロセスによって、若干の国を除いて幅広い合意が得られたことはそれなりに意義があったと言えます。

もちろん国連総会で成立したとしても、内戦・紛争やテロ組織に流れる武器が完全にコントロールされるものではありませんが、少なくとも何の規制もない現状に比べればはるかに前進と言えるのではないでしょうか。
「抜け穴」的な部分については、今後更に交渉を重ねて改善していけばいい話です。

なお、“ニューヨークの国連本部で開かれている武器貿易条約(ATT)の制定交渉で21日、銃規制に反対する米国のNGO6団体の各代表が演説し、ATTは米市民の銃所持や自己防衛の権利を侵害すると懸念を表明した。一方、賛成派からは「ATTは武器の国際取引が対象。米国の国内問題を持ち込まないでほしい」と戸惑いの声があがった。”【3月22日 朝日】といった場面もあったようです。

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イスラム社会の女性  マララさんの自伝出版 シリア難民家族の重苦しい戦いの日々

2013-03-29 23:37:51 | 女性問題

(シリア難民のキャンプ 多少の援助はあるものの、そこでの生活は寒く、不衛生で厳しいものがあります。しかし、キャンプを出て街で暮らすとなると、どのように生計を立てるかという問題に直面します。“flickr”より By muslimhandsuk http://www.flickr.com/photos/muslimhandsuk/8560395122/ ) 

すべての少年少女に学校に通う権利を求める運動の一環になれば
女性が教育を受ける権利を訴え、パキスタンでイスラム武装勢力に頭部を撃たれて重傷を負い、その後イギリスでの治療で奇跡的な回復を見せているマララ・ユスフザイさん(15)が自伝を出版することになったそうです。契約金は300万ドル(約2億8000万円)前後と報じられています。

****マララさん、自伝出版へ 「教育受けられない子たちの物語****
・・・・自伝のタイトルは『I Am Malala(私はマララ)』。
マララさんは「この本が世界中の人の手に渡り、一部の子どもにとって教育を受けることがいかに難しいかを理解してもらえれば」との声明を発表。「自分のことも語りたいけれど、(この本は)教育を受けられない6100万人の子どもの話でもあります。すべての少年少女に学校に通う権利を求める運動の一環になればと思います。これは、子どもたちが持つ基本的な権利です」と自伝に対する思いを語った。

出版元が公開した自伝の抜粋で、マララさんは銃撃された日のことを次のように回想している。「学校が終わり、友達や先生たちと一緒に、スクールバスとして使われていたトラックの荷台のベンチにぎゅうぎゅう詰めに腰掛けていた。荷台の後ろだけ開放されたトラックに窓はなく、ぶ厚いプラスチックの板が両脇に付いていただけで、板は黄ばんで砂埃にまみれ、何も見えなかった。後ろの隙間からほんの少しだけ見えた空に、たこが揚がっているのが見えた。そのたこは私のお気に入りの色、ピンクだった」

マララさんは昨年10月9日、スクールバスに乗っているところをイスラム武装勢力「パキスタンのタリバン運動(TTP)」に銃撃され、英国に渡り治療を受けた。順調に回復し、今月からは英イングランド中部バーミンガムの学校に通っている。【3月29日 AFP】
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父親のジアウディンさんは現在、マララさんが主張する教育の権利を支援する、英国前首相のゴードン・ブラウン国連グローバル教育担当特使の特別顧問を務めており、家族全員でパキスタン人の多いバーミンガムで暮らしています。【3月20日  AFPより】

マララさんの考え・行動には父親の影響も大きいとは思いますが、彼女が伝えるメッセージがパキスタンやアフガニスタン、更には世界の教育機会に恵まれない状況に置かれている女性の社会環境改善の一助となることを期待します。

パキスタンからは、マララさんが経験した悲劇と同様の事件が報じられています。

****パキスタンで女性教師が銃撃され死亡*****
パキスタン北西部で26日、女性教師がオートバイに乗った男らに銃撃されて死亡した。

事件があったのは、パキスタン北西部の都市ペシャワルとアフガニスタンとの国境の間に位置するジャムルド。地元当局によると、教師のシャフナズ・ナジズさん(41)は勤務先の公立女子小学校に向かう途中、学校から200メートル付近でオートバイに乗った男らに撃たれて死亡した。男たちはそのまま逃走した。(後略)【3月28日 AFP】
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難民家族の生計を支える少年
ところで、先日、ヨルダンで暮らすシリア難民家族とその家族を支えて働く少年に関するドクメンタリー「僕らに春は来るのか~シリア難民の子どもたち~」を、番組途中からですがTVで観ました。

番組内容は“泥沼の内戦が続くシリア。隣国・ヨルダンに避難したアンマール君(12歳)は、政府軍に妹を殺され、父は反政府の自由シリア軍に参加した。ヨルダンではシリア難民が急増し、キャンプも飽和状態。困窮するなかで一家を支えるために働く子どもも多い。激化する内戦は、子どもや女性に大きな犠牲を強いている。異国で懸命に生きるシリア難民の子どもたちを7か月間にわたって見つめた。”というものです。

番組の趣旨どおり、一家を支えて懸命に働く少年の姿はけなげとしか言いようがありません。もちろん、番組にふさわしい家族・少年を選んでのことで、難民の子供たちすべて同じという訳ではないでしょうが。

自由シリア軍のシリア内での戦闘が報じられていますが、あらためて、メンバー各自の背後にいる家族はどうのような状況にあるのか・・・という問題も考えされます。

一時的に家族のもとに戻った父親は、再開の喜びもそこそこに仲間からせかされるようにシリアでの戦闘に戻っていきます。
これまで母親・兄弟を支えてきた少年は、シリアに戻らないように父親に哀願します。「家族を養うのが父親の役目じゃないか!」
父親は激しく少年をしかります。「ここは空爆もない。何が不満なんだ! 仲間がシリアで俺を必要としているのだ!」「僕たちだって父さんが必要だよ!」と少年。

ある少年は家族を養うために朝から夜まで働き続け、それでも行き詰る生活に疲れ、家族に「もういやだ。自分たちでなんとかしろよ。俺はシリアに行って自由シリア軍として戦う!」と苛立ちをぶつけます。

弾丸が飛びかい、爆弾がさく裂する戦場。一方、残された家族を支えて働く少年の日々も、出口が見えず、苦しさが募る消耗戦のような戦いです。

働く機会のない女性
観ていて気になったのが女性の立場でした。
日本でも、多くの国々でも、父親が不在、あるいは何らかの事情で働けないというのであれば、子供より先ず母親が何とか経済的手段を探すところですが、番組の中の母親は子供に経済的苦境を訴えるだけで、働きづくめの少年を苛立たせます。
姉は、友人の不幸を聞いて寝込んでしまい、携帯でコーランを聞くだけです。

大根畑に残った大根にかじりつき、その惨めさに嗚咽した後に立ち上がり、神に挑戦するかのように「神よ お聞き下さい。この試練に私は負けません。 家族に二度とひもじい思いはさせません。 生き抜いてみせます! たとえ盗みをし、人を殺してもでも! 神よ 誓います。二度と飢えに泣きません!」と独白するスカーレット・オハラのような女性は登場しません。

もちろん、彼女らが家族の経済的支えとなれないのは彼女らのせいではなく、女性に働く機会を認めていないイスラム社会の問題です。イスラム社会にあっては女性は男性に保護されるべき存在であり、一家を支えて働く存在ではありません。

それを当然のこととして受入れ生きる女性と暮していれば、結果として、男性側も“女性は男性に保護されるべき存在”という社会的価値観に疑いを持つこともなく育ちます。

このような社会システムは、シリア内戦のように成人男性が戦闘に参加した場合、残された家族はどうなるのか?という問題をもたらします。

“女性は男性に保護されるべき存在”という社会から、女性も男性と同様に生きる権利を主張できる社会に変えていくためには、先ずは教育でしょう。
そうした意味で、マララさんのメッセージが更に広く伝わることを期待します。
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日本の津波対策「浮上式津波防波堤」と、イタリア・ベネチアの高潮対策「モーゼ計画」

2013-03-28 23:14:17 | 欧州情勢

(ベネチアのモーゼ計画では、こうした箱状の板78枚が海中から起動して壁を作り高潮を防ぐ仕組みです。
【ハイライフ研究所ホームページ】http://www.hilife.or.jp/wordpress/?p=4559 より)

鋼管が10分程度で海面上約7・5メートルまで上がる
巨大地震などで発生する津波対策として、通常は海中にある鋼管を空気圧で押し上げ防波堤とする世界初の「浮上式津波防波堤」の実験が和歌山で行われているそうです。

****津波の時に浮上する防波堤、和歌山で実証実験****
南海トラフ巨大地震などの津波に備えるため、和歌山県海南市の和歌山下津港で28日、世界初の浮上式津波防波堤を動かす実証実験があった。

防波堤は、水深13・5メートルの海底に2重構造の鋼管(直径約3メートル、長さ約29・5メートル)75本を直立した状態で幅約230メートルにわたって隙間なく埋め、緊急時、内側の鋼管(直径2・8メートル)を海面上へ浮かび上がらせ、巨大な壁のようにして津波を防ぐ仕組み。国土交通省が建設中で、現在3本が設置され、2019年度末までの完成を目指す。

この日の実験は、鋼管が正常に作動するかどうかを確認するために実施。午前11時、同港にある施設から作業員がコンプレッサーで空気を送り込むと、沖合約200メートルで3本の鋼管が徐々に上昇。約10分かけ、海面から高さ約7・5メートルまで突き出した状態になった。【3月28日 読売】
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水の都ベネチアを悩ます「アクア・アルタ」】
形状は異なりますが、似たような発想の計画がイタリアの「水の都」ベネチアでも進んでいます。
巨大地震の津波のように破壊的ではありませんが、ベネチアは絶えず高潮による浸水「アクア・アルタ」に悩まされています。

****悪天候のイタリア、ベネチアではまた「アクアアルタ****
イタリアでは10月31日、各地で悪天候に見舞われ、本土と島々を結ぶ交通に影響が出たほか、シチリア島では予防措置として一部の小中学校が休校になり、トスカーナ地方では前年の洪水で大きな被害を受けた地域の約50人が避難した。

水の都ベネチアでは「アクアアルタ(acqua alta)」が発生し、観光名所のサンマルコ広場が冠水した。午後には水位が1.1メートルに達し、市長は市内の主要通路に木製の渡り台を設置するよう指示した。水位は深夜には1.4メートルに達した。

ベネチアで起きた史上最悪のアクアアルタは、イタリア各地で洪水が発生した1966年11月4日に発生したもので、このときの水位は1.94メートルに達した。

近年、海面上昇の脅威にさらされているベネチアでは、洪水から街を守るため入り江に可動式の堤防を建設するという画期的なプロジェクトが進んでいる。

旧約聖書のなかでユダヤ人たちを率いて水が引いた紅海を渡ってエジプトを脱出した預言者モーゼ(Moses)にちなんで「モーゼ」プロジェクトと名づけられた堤防建設には3000人の人員と54億ユーロ(約5600億円)の費用が投じられた。完成は2014年の予定だ。【2012年11月1日  AFP】
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この「アクア・アルタ」が起きる理由としては、以下のように説明されています。
なお、観光名所サンマルコ広場が水没した光景はしばしばTVなどで目にしますが、このサンマルコ広場はベネチアでも最も低い、つまり水に浸かり易い場所だそうです。

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・・・・「アックア・アルタ」、イタリア語から直訳すれば“高い水”と言う意味であるが、洪水のようなものである。ご存知の通り、ヴェネツィアは水に囲まれた町である。この水かさが増え、町中が水浸しになってしまうことを「アックア・アルタ」とよんでいるのである。

この現象は昔からヴェネツィアで起こり、主に11月から3月にかけて吹く、アフリカの季節風シロッコが原因とされていた。この南からの暖かい風が、アドリア海の水を押し上げるため、満潮の時間に水位が通常よりも上がってしまうのである。

しかし、1900年代に入ってから、この洪水の回数が一気に増加した。原因の要素がいくつかあるが、まずその一つには、ヴェネツィア本島自体の自然の地盤沈下がある。これは数字にすれば一年に1mmぐらいのもののようである。

次に、1950年代から1960年代にかけて、本土側のマルゲーラ工業地帯が発展し、大量の地下用水の汲上げを行ったため、地盤沈下が起こってしまった。これはすぐに影響が確認されたため、1970年には特別法令が出されて、それ以降、地下水の汲上げは禁止されて行われていない。

そして1990年代になってから、今度は地球温暖化の影響で、世界全体の水位が増加しているため、ヴェネツィアが洪水に見舞われる危険性が高くなってしまった。(中略)

最近は世界的な異常気象で、季節風が季節外にも吹くことがあり、通常では起こらなかった5月や9月に水位が上がることもある。(後略)【ハイライフ研究所ホームページ】http://www.hilife.or.jp/wordpress/?p=4559
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【「最高3メートルの水位上昇までベネチアを守ることができる」】
さて、前出AFP記事にもある「モーゼ計画」ですが、日本の「浮上式津波防波堤」が二重鋼管であるのに対し、こちらは板状の板を空気圧で起こして防潮堤とする仕組みです。

*****沈まないベネチア」、可動式堤防モーゼ・プロジェクト****
洪水の多いイタリア・ベネチアで街を海面上昇から守ろうと、潟の入り口に可動式の堤防を建設する計画が進んでいる。
「モーゼ(Moses)」プロジェクトと呼ばれるこの計画。およそ3000人が携わり、総工費は54億ユーロ(約6500億円)に上る。2014年に完成予定だ。

同プロジェクトに参加する建築家の1人、フラビア・ファッシオリ氏は「ひとたび完成すれば、このシステムは最高3メートルの水位上昇までベネチアを守ることができる」と語った。
海底に設置された基部から、巨大な箱状の板が突き出て堤防となる構造。高潮が来たときは、板の内部に圧縮空気を送り込んで板を立て、潟への水の侵入を防ぎ、高潮が去った後は、板内に水を送り込み、板が海底に戻っていくという仕組みだ。
アドリア海と潟とを結ぶ三つの入り江の計4か所に、合計78枚の稼動式堤防が設置される。

ベネチアのジョバンニ・オルソニ市長は「画期的なプロジェクトだ。イタリアにとってだけでなく世界にとっても最も重要なプロジェクトの1つだ」と語った。
ベネチアは20世紀を通じて23センチ水没した。市民はモーゼプロジェクトに、建造物の保存や洪水防止への期待を寄せている。【2011年5月2日  AFP】
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前出【ハイライフ研究所ホームページ】http://www.hilife.or.jp/wordpress/?p=4559に、「アクア・アルタ」の様子、市民レベルの対応方法などに併せ、このモーゼ計画の概要を説明したYou Tubeが紹介されています。
浸水を防ぐ店先の板などは、日本の洪水多発地域でも使えるのではないでしょうか。

日本の津波対策の方は、程度の差はあれ日本全土どこでも津波に襲われる危険があること、しかし実際にいつ起きるかは予測困難なことなどから、こうしたもをあちこちに建設して有効に稼働させるのは難しいところでしょう。また、数十mにも及ぶと言われる巨大津波にどこまで対応できるのか・・・といった疑問も素人にはあります。

イタリア・ベネチアの場合は、ピンポイントであり、毎年何回も活躍の機会が期待されること、高潮の高さは津波に比べたら遥かに低いことなどから、非常に実用的のように思われます。
完成したらベネチアの新たな観光名所にもなるのかも。
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中東欧の経済・政治の混迷 政治権力とマフィアのつながり

2013-03-27 22:01:58 | 欧州情勢

(3月3日 ブルガリアの首都ソフィア  貧困・汚職に抗議し、政治支配階層の不正を非難する市民の抗議デモ “flickr”より By AJstream http://www.flickr.com/photos/61221198@N05/8528145809/

貧困問題が深刻化するブルガリアでの慈善活動
普段メディアに取り上げられる機会の少ない東欧・ブルガリアの話題。経済的に苦しい状況のなかで、慈善活動の定着という“いい話”です。

****伊ナポリ発祥の「他人のコーヒー先払い」、ブルガリアに定着****
ブルガリアでは、生活費に苦しみコーヒー代が支払えない人も気にする必要がない。貧困問題が深刻化する同国に、金銭に困っている人にコーヒーを振舞う古いイタリアの伝統が定着しつつあるのだ。

交流サイトのフェイスブック(Facebook)に設置された専用ページによると、イタリアの「カフェ・ソスペーゾ」の伝統をモデルにしたこの慈善活動に参加するカフェはブルガリア全土で150店舗以上に上っている。

イタリア南部のナポリ(Naples)のカフェで生まれたこの伝統は、カフェを訪れた人が他人のコーヒー代金を先払いするというもの。コーヒーを飲みたい人は、「カフェ・ソスペーゾ」があるかどうかを尋ね、先払い分がある場合には無料でコーヒーを飲むことができる。

欧州連合(EU)加盟国で最も貧しい国のブルガリアではこの数か月、貧困に絶望した人が自らに火をつける事件などが起きており、貧困が社会問題化し始めている。数週間に及んだ抗議デモにより、2月20日に右派政権が総辞職する出来事もあった。

「カフェ・ソスペーゾ」運動はテレビで大々的に取り上げられ、この運動に参加を表明したカフェの多くは無料コーヒーに対して発行されたレシートの写真をフェイスブックのページに投稿している。また一部カフェでは、小さなカードや、ビンのふたを使って、先払いされたコーヒーの数を記録している。

さらにはカフェ以外のファストフード店や食料品店もこの運動に参加を表明し、パンや菓子類の先払いを呼びかけている。【3月27日 AFP】
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“いい話”ではありますが、気になるのは“欧州連合(EU)加盟国で最も貧しい国のブルガリアではこの数か月、貧困に絶望した人が自らに火をつける事件などが起きており、貧困が社会問題化し始めている。”という部分です。
ブルガリアでは経済苦境から政治混乱が拡大しています。

****ボリソフ内閣が総辞職へ=電気料金高騰でデモ頻発―ブルガリア****
ブルガリアのボリソフ首相は20日の議会で、電気料金の高騰に対する国民の反発が強まったのを受け、内閣を総辞職すると発表した。これにより、7月に予定される総選挙が早まる可能性もある。

ブルガリア各地では今月上旬から、大規模な抗議デモが頻発。ボリソフ首相はジャンコフ財務相の解任や電気料金の引き下げで国民の不満を和らげようとしたが、デモは19日も続き、警官隊との衝突で負傷者が続出する事態に発展した。【2月20日 時事】
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なお、プレブネリエフ大統領は2月28日、今年7月に予定されていた総選挙を5月12日に前倒しして実施すると発表しています。

経済失策が引き金だが、汚職や不正による政治不信も混乱に拍車
欧州経済全体が経済的に混迷するなかで、経済苦境・政治の不安定化はブルガリアだけでなく中東欧に広がっています。そして中東欧の混迷は欧州全体の混迷へとフィードバックします。

****中・東欧の政治混迷 ブルガリアなど、欧州景気に悪影響の恐れ ****
中・東欧諸国の政権運営が迷走している。ブルガリアで内閣が総辞職したほか、スロベニアでは首相の不信任案が可決された。セルビアでも選挙の足音が近づく。経済失策が引き金だが、汚職や不正による政治不信も混乱に拍車をかけている。成長センターの中・東欧が安定した政策運営を実現できなければ、欧州景気全体に悪影響が及ぶ。

ユーロ圏のスロベニアでは2月27日、議会が保守系のヤンシャ首相に対する不信任案を可決した。不動産バブルが崩壊するなかで首相に汚職疑惑が浮上。連立相手が次々に政権を離脱した。
代わって政策通の野党指導者、ブラトゥシェク氏が中道左派政権の樹立に向けた連立交渉を始めたが、経済政策には危うさがある。銀行の不良債権処理や民営化が急務だが、痛みを伴う政策に二の足を踏む恐れがある。

内閣が総辞職し、5月に議会選を実施する見通しとなったブルガリアでも、必要な改革を実行できるか黄信号がともる。
ほぼ5割の世帯が「貧困層」や「貧困に陥る恐れがある」に区分される。今回は電気料金の値上げ反対のデモが緊縮策への抵抗運動に発展し、倒閣運動に飛び火した。主要政党は、それを意識せざるを得ない。

債務危機に直面し、改革疲れが目立つギリシャやイタリアなど南欧諸国と構図は似ている。これに加え、はびこる汚職が政治不信につながり、政権を不安定にしている。
セルビアでは、昨年就任したばかりのダチッチ首相が麻薬取引を手掛けるマフィア幹部と接点があったと地元紙が報じた。与党は首相辞任を拒否するが、年内に選挙との見方がくすぶる。

だが、政局の混乱が続くと投資が冷え込み、経済運営にはマイナスだ。冷戦崩壊後からの懸案である政官財の癒着を断ち切り、経済改革を断行できるか。そうでなければ欧州内で「2番手グループ」という立場からの脱却は難しい。【3月5日 日経】
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【「この国にマフィアがいるのではなく、マフィアがこの国を所有しているのだ」】
“はびこる汚職が政治不信につながり、政権を不安定にしている”ということで、セルビアのダチッチ首相のマフィア関連スキャンダルが取り上げられていますが、マフィア・犯罪組織と政治の癒着構造はセルビアに限らずこの地域に広く見られることのようです。

一般に旧ユーゴ諸国では政治権力と犯罪組織の結びつきが強く、セルビアではニコリッチ大統領についても犯罪組織とのつながりが指摘されています。

“旧ユーゴの新生独立国で、政治権力とマフィアが結びついたのには、歴史的な背景がある。共産党支配下の治安機関が、犯罪組織やそのボスを「私兵」として使っていた伝統があり、犯罪組織は国家分裂後、そのまま各地のマフィアになった。内戦時には「民兵組織」として、平時には経済マフィアとして、常に政権と結びついていた”

“セルビアのニコリッチは、極右政党「セルビア急進党」の古くからの活動家。同党は、第二次世界大戦時のセルビア人民兵組織「チェトニック」の伝統をくみ、地下社会とのつながりが深い。
ユーゴ内戦では、犯罪組織が「民兵組織」に衣替えして、セルビア人正規軍の別動部隊となって悪名をはせた。前出のセルビア人記者は、「ミロシェビッチ政権崩壊後は、犯罪組織がそのまま権力中枢に入り込んだ。
どのマフィアがどこの政党、指導者と組んでいるかの違いしかない」と言う。セルビアでは過去に首相がマフィアに暗殺されたことがあり、ニコリッチも以前、政敵が雇った犯罪者に命を狙われた。政争はマフィア間の抗争と同じだ。”【2月号 選択】

また、辞職したブルガリア・ボリスフ首相についても
“ボイコ・ボリソフ現首相は、共産党時代には空手の達人として、党要人の警護を務め、共産党崩壊後は警備会社を作って財をなした。その後、首都ソフィアの市長に当選し、さらには首相に上り詰めた特異な経歴の持ち主だ。

ボリソフ首相とブルガリア・マフィアとの緊密な関係は幅広く知られているが、11年11月には、この関係が政界進出の前にさかのぼることが、裁判証言で明らかになった。マフィアの警護担当者だった男によると、警備会社社長だったボリソフを内務省高官に送り込むため、ボスたちが金集めの相談をしたという。ボリソフの出世はまさにマフィアの工作だったというわけだ。あるブルガリアの政治家が「この国にマフィアがいるのではなく、マフィアがこの国を所有しているのだ」と語った通り、首相も政府高官もマフィアの手先でしかないことを示す話だった。

西欧諸国は今になってブルガリアの(EU)加盟を認めたことを悔やみ、同国の国境検問の撤廃を先送りにするなど、ブルガリアを「保護観察下」に置いているが、これは後の祭り。現状でもバルカン・マフィアの跳梁に手を焼いているのだから、旧ユーゴ諸国のEU加盟に道をつければ、苦しむのは西欧諸国だ。「EU拡大は西欧の利益」との判断が、いかに浅慮だったかを思い知ることになるだろう。”【同上】

経済状況は政策次第で改善もできますが、長期的には政治構造の根幹が変わらない限り社会の改善は期待できません。「他人のコーヒー先払い」ではなかなか・・・。
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香港  2017年からの行政長官普通選挙でも「中央政府に対抗しない」ことが立候補資格

2013-03-26 20:25:50 | 東アジア

(****中国の「運び屋」全面規制=粉ミルク不足深刻化で―香港****
香港政府は2月1日、隣接する中国広東省深セン市から香港に来て日用品を大量に買いあさる「運び屋」に対する規制を全面的に強化すると発表した。運び屋による買い占めで特に粉ミルク不足が深刻化しているため、粉ミルクは近く原則として輸出を禁止する。

香港は1997年の中国への返還以後、本土との人的往来や経済交流が拡大し続けており、この種の規制は異例。日用品の不足だけでなく、一部の駅が巨大な荷物を持つ運び屋の往来で異常に混雑するといった問題も生じ、香港で反中感情が高まる一因になっていた。

香港政府保安局の黎棟国局長(閣僚)は記者会見で、既に運び屋のブラックリストを作成しており、疑いがある者は入境を拒否すると宣言。また、深セン税関でも1日から取り締まりを強化すると表明した。【2月1日 時事】) 
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2047年まで一国二制度がとられている香港では、2017年から普通選挙で行政長官を選出することになっています。
現在は、政治的トップである行政長官は職域組織や業界団体の代表による間接選挙で選出されることになっており、その任命は中国本土の国務院が行います。

間接選挙から住民による普通選挙へ・・・ということで、香港側の要求を中国本土政府も一定に認めた形ではありますが、その実態はなかなか・・・


****反政府派の長官認めず=香港政策で中国要人****
7日付の香港各紙によると、中国の国政助言機関である全国政治協商会議(政協)主席就任が内定している兪正声共産党政治局常務委員は6日、2017年に初めて普通選挙で行われる見通しの香港行政長官選について、反政府派の長官就任は認めないとの方針を示した。香港・マカオ選出の政協委員と北京で会見した際に語った。

香港では、習近平総書記率いる中国の新指導部は香港に対する政治的締め付けを強化するのではないかとの見方が出ていたが、兪氏の発言はそれを裏付けた形だ。【3月7日 時事】 
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“反政府派の長官就任は認めない”ということの制度的仕組みは、立候補者の資格要件になります。


****自由な立候補認めず=香港次期長官選で中国高官****
25日付の香港各紙によると、中国全国人民代表大会(全人代、国会に相当)法律委員会の喬暁陽主任委員は24日、2017年に初めて「普通選挙」が導入される見通しの香港行政長官選で、自由な立候補を事実上認めない方針を示した。民主派有力者の立候補を阻止する狙いがあるとみられる。

喬氏は香港と隣接する深セン(広東省)で香港立法会(議会)の親中派議員37人との座談会を開催。長官「普通選挙」の方式について、(1)立候補者は「国を愛し、香港を愛する」および「中央政府に対抗しない」ことが条件になる(2)立候補者を確定する「指名委員会」による指名は個々の委員ではなく、委員会全体で行う(3)一般有権者の署名に基づく立候補は認めない―との立場を明らかにした。

指名委の設置は香港基本法(憲法に相当)で規定されているが、その構成は未定。中国側は指名委を親中派で固めた上で、当選の可能性がある民主派候補を「愛国者ではない」などとして排除することを想定しているようだ。【3月25日 時事】 
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こういう仕組みは「普通選挙」とは呼ばない・・・というのが、日本や欧米の常識ではありますが、まあ、それでも現状に比べれば大きな前進であり、中国本土では認められていない権利と言うべきなのでしょうか。
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キプロス  支援策でEU首脳部との合意は得られたものの・・・

2013-03-25 22:29:19 | 欧州情勢

(金融危機に陥ったキプロスでは24日、大手銀行2行が預金者1日当たりのATMからの引き出し限度額を、これまでの260ユーロから100ユーロ(約1万2000円)に引き下げています。“”より By Pan-African News Wire File Photos  http://www.flickr.com/photos/53911892@N00/8565113499/ )

今後は合意内容次第で必要となる国会の承認も焦点
欧州の小国、キプロスの財政・金融危機をめぐる、支援する側のEU・ユーロ圏首脳部からの条件提示、預金者に負担を強いる条件への議会の反発などの騒動は周知のところです。

現在進行形で事態は動いていますが、日本時間の今日午前段階では、支援策に関して辞任もちらつかせたとも言われるキプロス大統領とEU首脳部が合意したと報じられており、25日を期限としていた危機的状況は一応回避されたようです。
合意内容は詳しくは報じられていませんが、議会の承認をこれから得る必要があり、ひと波乱あることも十分に考えられます。

****EUユーロ圏、キプロス支援で合意 金融破綻回避へ****
財政危機に陥ったキプロスのアナスタシアディス大統領は25日未明、ユーロ圏による100億ユーロ(約1兆2千億円)の支援策について、欧州連合(EU)首脳らと合意し、ユーロ圏17カ国の財務相会合でも承認された。欧米メディアが一斉に報じた。支援策がまとまったことで、キプロスは金融破綻を回避できる見通しとなった。

ロイター通信などによると、合意は同国2位のライキ銀行の整理のほか、10万ユーロ超の大口預金者に大幅な損失を強いる内容。経営難の最大手キプロス銀行の取り扱いの詳細は明らかになっていないが、他の銀行への預金課税は回避されるとの観測が強まっている。

キプロスは支援を受けるために58億ユーロの自主財源を確保することが求められていたが、EUなどとの交渉が難航。このため、財務相会合直前の24日午後から、アナスタシアディス大統領がブリュッセルで、EUのファンロンパイ大統領や国際通貨基金(IMF)のラガルド専務理事らとトップ会談を行っていた。

約11時間に及んだ会談では、ライキ銀行にとどまらず、キプロス銀行の整理などを求めるEU、IMF側に対してアナスタシアディス大統領が辞任をちらつかせて強く抵抗する場面もあったという。
キプロス支援では、欧州中央銀行(ECB)が25日中に合意できなければ、銀行への資金供給を停止すると通告。資金が止まれば、同国の金融破綻は不可避だった。今後は合意内容次第で必要となる国会の承認も焦点となるとみられる。

キプロス支援策は16日にユーロ圏と同国が合意したが、条件となった預金課税に対し国民が強く反発。2万ユーロ超の預金を対象に最大約10%を課税する法案は国会で否決され、新たな対応が必要となっていた。【3月25日 MSN産経】
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預金課税の導入ですでに他国へも影響
キプロス自体は人口約86万人、国内総生産(GDP)は約177億ユーロ(11年)ということですから、EU・ユーロ経済圏全体からみれば大きな存在(ユーロ圏全体の0.2%)ではありません。
ただ、キプロスが破綻すれば、次はギリシャ・イタリア・スペイン・・・と、不安が拡大し、ようやく落ち着きかけていた欧州経済は大きく揺らぐことになるということで、小国キプロスの動向が注目されています。

しかし、他国への影響という点では、銀行預金への課税が条件とされたことで、キプロスが混乱を回避できたとしても、その影響は同様の措置を将来的に懸念する他国へ及んでいるとも言えます。

また、キプロスの場合、「タックスヘイブン」的な施策で資金を国外から集めており、特にロシアからの資金が金融資産のなかで非常に大きなウェイトを占めていることに特徴があります。
EU首脳部が“58億ユーロの自主財源を確保”にこだわるのも、税金逃れで集まったロシア資金をEU・ユーロ諸国の税金で救済する形になることへの抵抗があります。
下記記事は“合意”前のものですが、話の大筋は今もかわりません。

****キプロス支援、瀬戸際 預金課税、税率で火花****
キプロスへの支援はまとまるのか。支援する側の欧州連合(EU)との交渉が大詰めを迎えている。合意できなければ、欧州危機が再燃する可能性もある。
 
「残念ながら、残ったのは(キプロスにとって)厳しい選択だけだ」。23日夜、ブリュッセルで発表されたレーン欧州委員会副委員長の声明に、24時間態勢で中継を続けるキプロスのテレビ局コメンテーターたちに戸惑いが広がった。
この日、財務省では朝から、政府と欧州連合(EU)、欧州中央銀行(ECB)、国際通貨基金(IMF)代表団の協議が進行していた。サリス財務相は昼過ぎ、記者団に「かなり進展があった」と話していた。
だが、協議は深夜になっても終わらない。

焦点は国内最大の「キプロス銀行」だった。政府は同行の10万ユーロ(約1230万円)超の大口預金に課税する案を提示。課税を同行に限れば税率は25%にもなるが、この税率を何とか抑えたいとも主張した模様だ。
地元メディアによると、この協議でIMF側は「キプロス銀行は再編すべきだ」と主張。キプロスはすでに第2位の「ライキ銀行」の分割・整理を決め、同行の全額保証対象外の大口預金は大幅に減額されることになっている。これ以上の再編は、キプロス側には受け入れられない案だった。

キプロスがこうした態度をとる理由は、この国の経済構造にある。低い法人税率が売りの「タックスヘイブン」として、多くの海外企業を誘致。合わせて金融資産も呼び込み、銀行などでの雇用を生み出してきた。
キプロス銀行は、海外からの大口預金の主要な受け皿。「預金が逃げれば、経済成長のエンジンをなくしてしまう」。そんな懸念があった。

政府は、天然ガス開発で見込まれる収入などをあてに「基金」を作り、EU側が条件とする58億ユーロを捻出する手段にするつもりだ。
しかし、100億ユーロを支援するEU側は、確実な財源の確保にこだわった。
EU側で最も財源に余裕があるドイツは、秋に総選挙を控える。自国の財源を支援に回すことには、敏感にならざるを得ない。

08年の金融危機以降、緊縮財政を強いられているEU各国には、ただでさえ課税逃れの手段を提供する「タックスヘイブン」へのいら立ちが強い。キプロスでは、680億ユーロの預金のうち200億ユーロはロシアの企業、個人の預金とされる。マネーロンダリングの手段として利用しているとのうわさも絶えない。
メルケル独首相は22日にあった自国議員との懇談で、「キプロスの海外金融センターとしての未来はもうない」と語ったという。

 ■決裂なら銀行破綻も
世界的な金融緩和の効果もあって、これまでのところ世界の金融市場に大きな混乱は起きていない。しかし、25日までに抜本的な支援策がまとまらなければ、欧州危機が再燃しかねない状況だ。
欧州中央銀行(ECB)は21日、預金課税法案をいったん否決したキプロスにしびれを切らし、キプロスの中央銀行を通じた緊急資金供給を26日から止める可能性があると通告した。

それが現実となれば、信用がないため他国の銀行からお金を貸してもらえないキプロスの民間銀行は、一気に破綻(はたん)に追い込まれるおそれがある。キプロスの与野党幹部は24日、大統領府に集まり、ブリュッセルでのトップ会談の行方を見守った。
「現在の状況は、完全にシステミックリスク(金融システム全体に影響を与える危機)だ」。ユーロ圏財務相会合のデイセルブルーム議長(オランダ財務相)も警戒感をあらわにする。

キプロスの国内総生産(GDP)はユーロ圏全体の0・2%にすぎない。だが、キプロスの救済に失敗し、ユーロ圏から離脱するようなことになれば、ユーロ通貨そのものの信用が失墜しかねない。イタリアやスペインなど、財政に不安を抱える南欧諸国の国債が売られ、金利が再び上昇するリスクもある。

たとえEUがキプロス支援を決めたとしてもユーロ圏各国が支援条件として初めて「銀行預金への強制課税」を盛り込んだ影響は、少なくなさそうだ。
支援対象国になれば「預金に課税されるかもしれない」との不安が投資家や一般市民にすり込まれた。欧州委員会のバローゾ委員長や各国の閣僚らは「キプロス以外の国では預金課税はない」と火消しに走っているが、いったん不安が高まれば自分の預金を守ろうと現金を引き出す動きが出て、危機に拍車をかける事態になりかねない。

キプロスの銀行休業は25日までだが、日本など他国の金融市場は通常通り開く。それまでに支援協議がまとまらなければ、ユーロが売られ、世界の市場が混乱する可能性がある。 【3月25日 朝日】
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ロシア資金流失による金融システム破綻も
EU首脳部との合意ができても、前述のようにキプロス国内の議会の承認がこれからです。
もうひとつのハードルは、金融資産の3分の1近くを占めるロシア資金の動向です。
「銀行預金への強制課税」が行われると、ロシアは(現在がどういう状況にあるのかわかりませんが、今後可能なら)資金を国外に流失させることが想定されます。
そうなれば、EU支援を受けてもキプロス金融は行き詰まります。国外移動を認めず強制課税ということなら、ロシアとの相当の軋轢を生みそうです。

メドベージェフ・ロシア首相は21日早朝、ロシア政府ウェブサイトに掲載されたインタビューの中で「わが国の多くの組織がキプロス(の口座)を通じて動いているのに、不明確な理由によってその預金が封鎖されている。政府機関も含めてだ。従ってキプロス周辺で生じている事態と規制に関し、わが国は『断固とした姿勢』で臨まざるを得ない」と述べ、不快感を明らかにしています。【3月21日 AFP より】

****キプロスに新たな打撃?露マネーの一斉流出懸念****
キプロス金融危機の打開に向けたギリギリの調整が続く中、同国の銀行預金総額の約3分の1を占める「ロシア・マネー」の動向に注目が集まっている。

キプロス政府とユーロ圏は、高額預金に限って「預金課税」を実施する方向で検討しているが、これに直撃されるロシアからの資金は一斉に海外逃避するとみられ、キプロス経済に新たな打撃を与えることになりそうだ。
企業・個人がキプロスの銀行に保有する預金残高は、全残高の3~4割に相当する約200億~250億ユーロ(約2兆4600億~3兆800億円)に上ると試算されている。2008年にユーロを導入したキプロスが、域外の投資家を誘致し、オフショア金融市場を目指した政策にロシアが乗った。

キプロスの法人税はユーロ圏内で最低の10%。法人設立や、居住権・不動産の獲得でも外国人優遇の政策をとっている。自国の法人税が20%のロシア企業は、持ち株会社をキプロスに設立し、事業会社の配当をキプロスに送金する形で「節税」してきた。EU諸国を取引相手とする露企業にとって、キプロスは窓口となった。露当局の監視・課税を逃れたり、資金洗浄を図ったりする事例もあると指摘されている。【3月24日 読売】
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そうしたロシアとの関係もあって、キプロスはロシアからの融資を交渉したようですが、今のところはうまくいっていないようです。

****キプロス支援協議、不調に=ロシアが提案拒否―財務相会談****
ロシアのシルアノフ財務相は22日、記者団に対し、危機に陥っているキプロスのサリス財務相との協議が不調に終わったことを明らかにした。キプロス側がロシアによる支援を求めて新提案を行ったが、ロシア側は拒否した。
シルアノフ財務相によると、サリス財務相の提案は「キプロス沖の天然ガス田権益を譲渡する代わりに、ロシアの投資家が支援する」との内容だったが、ロシア企業の関心が薄かったという。【3月22日 時事】 
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破綻しても“見せしめ”?】
ここから先は私の勝手な邪推ですが、メルケル独首相などEU首脳部はこのキプロスの八方ふさがり的な状況をそんなに憂慮してはいないのでは・・・とも思えます。

今後、議会の承認なども得られてEU支援策が軌道に乗るのであれば、それはそれで結構。
ロシアが資金提供するなら、それもそれで結構。
EU支援策が承認されずキプロス財政・金融が破綻するのであれば、他のユーロ圏への不安の拡大ということはもちろん懸念されますが、ある意味でEU首脳部の意向に従わなかった国の結果として“見せしめ”的な効果も期待できるのではないでしょうか。キプロスの経済規模からすればその影響は限定的であり、キプロスが財政・金融破綻・ユーロ離脱に追い込まれることは、“見せしめ”としては丁度いいかも・・・なんて考えているのでは。

“EU関連筋はギリシャやスペイン、イタリアなど債務危機にある他のユーロ圏諸国に事態が広がらないよう、EUではすでにキプロスをユーロ圏から離脱させる用意もあると述べている。” 【3月23日 AFP】
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中国・習近平外交スタート  対ロシア、アフリカ、インド、北朝鮮など

2013-03-24 21:54:02 | 中国

(国民的歌手でもある彭麗媛氏(習近平夫人)へ花を贈るプーチン大統領 【澳門日報 3月24日】)

ロシア:利害関係は複雑に絡み“同床異夢”の状態
中国の習近平国家主席は22日、最高指導者として初の外遊でロシアを公式訪問し、プーチン大統領との会談やモスクワ国際関係大で講演などで、中ロの戦略的パートナー関係、「中ロ新時代」をアピールしました。

“中国国家主席の最初の公式訪問は今後の外交方針の優先度を示すとも言われ、2003年に胡錦濤氏が国家主席に就任した際も初外遊先はロシアだった。アジア太平洋地域などで世界の戦略環境が変化する中、習氏は改めて伝統的な「中ロ友好」関係を最重視した形だ。”【3月22日 時事】

****中国:米主導の世界秩序に対抗示す 習主席の訪露終了****
中国の習近平(しゅう・きんぺい)国家主席は24日午前(日本時間24日午後)、一連の訪露日程を終え、次の訪問国タンザニアに向け出発した。

首脳会談では、尖閣諸島の問題で対立する日本やアジア回帰を進める米国を念頭に、領土や主権など「核心的利益」で互いの立場を支持するとした共同声明を発表。中露が中心の上海協力機構や主要新興5カ国(BRICS)の役割強化も表明し、訪露を通じて米国主導の世界秩序に対抗していく外交的意思を打ち出した。

習氏は23日、モスクワ郊外でメドベージェフ首相とも会談。「(訪露の)成果は予想をはるかに上回る」と述べ、ロシア訪問は成功したと強調した。

習氏はその後、ロシア軍の作戦指揮センターを外国元首として初めて見学。見学はプーチン大統領の提案だと厚遇ぶりを明らかにした上で「両国の戦略的・政治的な信頼関係と軍事関係の強化を意味する」と述べた。米中に次ぐ軍事費3位のロシアとの連携強化を印象づけた形だ。

今回の目的の一つは、中国の新最高指導者として外交的メッセージを国際社会に示すことだった。モスクワ国際関係大での講演では「冷戦時代の対立は存在せず、一部の国が世界を支配することはできない。新しい国際関係を推進すべきだ」と述べ、米国に対抗して上海協力機構やBRICSなどの枠組みを推進する考えを示した。

一方、首脳会談だけでなく大学講演でも「第二次大戦の結果と戦後秩序を守るべきだ」と述べ、尖閣諸島を国有化した日本を歴史認識に絡めて暗に批判するなど、日本をけん制することに腐心した。

だが、共同声明に歴史認識への言及はなく、首脳会談後に会見したプーチン氏も領土問題に言及しなかった。ロシアメディアも大枠で合意した石油・ガスの中国供給の話が中心で、領土など「核心的利益」に触れた記事はほとんどなかった。

背景には、シベリアや極東開発に日本を組み入れるため北方領土問題は進展させたいロシアと、中国の思惑の違いがある。ロシアの外交評論家、タブロフスキー氏は「ロシアは政府レベルで日本の重要性を理解している。シベリアや極東に中国だけが進出するなら、我々は阻止する」と話した。【3月24日 毎日】
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中国側は尖閣諸島を巡る日本との対立や米国の「アジア回帰」政策を踏まえ、領土問題や安全保障問題でもロシアとの協調関係をアピールしようとする狙いがありましたが、ロシア側はこれまでと同じように領土や主権など「核心的利益」で互いの立場を支持するとした共同声明を発表する一方で、「同床異夢」とも表現されるように、中国の戦略に巻き込まれることへの警戒感や温度差も見られました。

****中露首脳会談 ロシア 「摩擦のタネ」深入りに警戒感****
プーチン大統領が「両国関係は歴史上、最も良好」と評せば、習近平国家主席が「最重要戦略パートナー」とうたう中露関係だが、両国の利害関係は複雑に絡み“同床異夢”の状態が目立ってきている。

プーチン政権は中央アジアに伸長する中国を警戒する一方、周辺国と軋轢(あつれき)を抱える中国の現状を冷静に分析。資源取引や米国への対抗など、部分的な協力深化にとどめ、国益維持のため中国を活用しようとしている。

習主席の初訪問先がロシアになったことに、中国側ではその意義が強調されているが、ロシアの専門家の間では、中国への深入りリスクが強調されている。
昨年5月、大統領に就いたプーチン氏は初訪問先に中国を選ばず。「対米関係の先鋭化でロシアとの友好強化を急いでいる」(露有力誌ブラスチ)と習政権は心中を見透かされている。

中央アジアではインフラ整備などの大型援助で中国の影響力が高まり“脱ロシア”が進行。一方、露国営企業ガスプロムは、南シナ海で中国と領有権を争うベトナムと鉱区開発計画を進め、中国を刺激している。
プーチン氏が自ら認める中国との「摩擦のタネ」は極東アジアでバランスを欠く軍事面にも及んでおり昨年、露海軍は初めて、米海軍主導の環太平洋合同軍事演習「リムパック2012」に正式参加。増強する一方の中国軍を牽制(けんせい)した。

外交筋によれば、ロシアの対中警戒感は昨年から顕著になった。昨年10月にパトルシェフ露安全保障会議書記が来日し、日本と安保面での協力強化を約束したことに「中国高官は不快感を示した」という。ロシアは石油・天然ガス収入の低下を避けるため、供給を欧州からアジアに移そうとしている。資源開発が進む露極東地域での対中バランサーとして日本の役割は再認識され始めている。

国際平和財団カーネギー・モスクワセンターのトレーニン所長は「自国権益のための中国との関係の重要性をプーチン政権はよく理解している」とし、欧米との利害関係を調整する際の“カード”として「中国との関係を利用しようとするだろう」と述べている。【3月23日 産経】
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中国の国内総生産がロシアの約4倍、軍事費が約2倍と、国力差が一段と目立ってきているなかで、ストレートに中国との関係に深入りすることへの警戒感がロシア側にはあり、日本の存在も再認識されてきています。
安倍首相は大型連休中にロシアを公式訪問する予定になっていますので、北方領土問題の成果にあまりあせらず、ロシア側の日本への関心を更に引き出すような対応が期待されます。

【「中国とアフリカは一つの家族です」】
3日間のロシア公式訪問を終えた習近平国家主席はアフリカのタンザニアに向かいます。
中国の援助によって建設された最大都市ダルエスサラームの国際コンベンションセンターで演説し、中国のアフリカ重視の姿勢を訴えることが予定されています。
また、30日まで南アフリカ、コンゴ共和国も歴訪し、南アフリカのダーバンで26,27の両日に開かれる新興5カ国(BRICS)首脳会議に出席します。

****南アを染める中国色 巨大モール乱立・投資マネー流入 26日から新興5カ国首脳会議****
■習主席も初外遊で訪問
「中国とアフリカは一つの家族です」
初外遊に出発する直前、習主席はBRICSの記者らを招き、1960年代に中国の支援で建設が始まったタンザン鉄道の話を始めた。ザンビアとタンザニアの港とを結んだ約1850キロの鉄路。習氏はアフリカへの援助関係が中国がまだ貧しかった半世紀前から続くことを強調した。

中国の対アフリカ外交の力の入れようは際立つ。当初の狙いは、国際社会での自らの影響力の強化。やがて資源開発などの経済的な要素が強まっていった、とみられている。
歴代外相は91年から23年連続で、その年最初の訪問地にアフリカを選んできた。胡錦濤(フーチンタオ)氏も国家主席在任中の10年間に4度訪問。習氏も14日の就任直後にもかかわらず、ロシアの後、1週間をかけてタンザニア、南ア、コンゴ共和国を回る。

北京大学アフリカ研究センター主任の李安山教授が指摘するのは「アフリカへの恩」。71年、中国の国連加盟を問う決議で「賛成76票のうち26票がアフリカ票」だったという。中国は、日本の国連安保理常任理事国入りに賛成しないようにも求めてきた。

ただ、人道問題を抱えて先進諸国が進出に二の足を踏む国々に対する積極的な支援が、国際社会の批判を招いている側面もある。
11年には当時の胡主席が、推定30万人の犠牲者が出たとされるダルフール紛争で戦争犯罪に問われたスーダンのバシル大統領を北京に迎え、資源開発などでの協力強化を表明した。

道路や通信などのインフラ整備をめぐり、中国企業が中国政府を後ろ盾に受注し、多数の中国人労働者を送り込むやり方は、「新植民地主義」として、地元で反感も買っている。
習氏の訪問にも多数の企業家が同行するとされる。チャイ雋(チャイチュン)外務次官は「貿易や金融、文化など多くのプロジェクトに署名する」と話す。【3月24日 朝日】
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インドへ“秋波”】
中国はインドへの外交攻勢も強めています。
新興国代表としてライバル関係にもある両国ですが、国境紛争に加え、中国の「真珠の首飾り戦略」とも言われるインド洋進出もあって、これまでインド側は中国への強い警戒感も持ってきました。そのインドとの関係強化の動きが見られます。

****中印演習、年内に再開 日米牽制 習氏も歩み寄り演出****
中国がインドとの関係強化を図るため外交攻勢を仕掛けている。
22日にはニューデリーで、中国人民解放軍の威建国副総参謀長がアントニー国防相と会談し、2008年の実施以来中断している両国の合同軍事演習を、年内に中国で再開することを確認し、両国関係の歩み寄りをアピール。習近平国家主席自らもインドに“秋波”を送るなど、日米との緊張関係が続く中、南西の大国インドとの緊張緩和を図っている。

習氏は19日、南アフリカのダーバンで26、27日に中印が参加して行われる新興5カ国(BRICS)首脳会議を前に、インドのPTI通信などのインタビューに応じた。この中で習氏は、中印関係を「もっとも重要な2国間関係の一つ」と強調した。
PTIによれば、習氏の主席就任後、外国メディアのインタビューに応じるのは初めて。

中印は、印北東部のアルナチャルプラデシュ州や北部カシミール地方で領土問題を抱え、1962年には国境紛争が起きている。習氏は「国境問題は歴史がもたらした複雑な問題で、解決は容易ではない。しかし、友好的な協議を続けているかぎり、適正で合理的、そしてお互いに受け入れられる解決にゆくゆくは到達できる」と述べ、最近の日中関係での中国の立場とは対照的な姿勢を示した。

習氏以外でも、中国側の要人から、インドへ“秋波”を送る発言が目立っている。
昨年12月、外交トップの国務委員だった戴秉国(たいへいこく)氏は、国境問題の協議で訪中したインド側代表団に、「雑音が両国の友好的な協力と共通の発展の方向を変えようとするのを防ぐ必要がある」と述べ、中国の台頭を念頭に安全保障問題などでインドとの連携を進める日本や米国を牽制(けんせい)した。

こうした中国の友好姿勢をインド側は好感している。産経新聞などと21日に会見したクルシード印外相は、「習新主席の最近の発言は、中印関係を強化しようとするものだ」と歓迎する意向を示した。【3月24日 産経】
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“インドのサルマン・クルシード外相が26日からの日本訪問を前に21日、日本人記者団と会見した。中国をけん制するため、日本や米国、インド、オーストラリアが戦略的協力を深めるべきだとの声が日本などで出ていることに関連し、クルシード外相は「インドは中国を念頭にした多国間関係は築かない」と語り、「中国包囲網」構築に否定的な考えを示した。”【3月21日 毎日】とも報じられています。

【「これまでの核実験後の対応とは明らかに違う」】
一方、「血盟関係」と言われ、実際にも中国が経済的・政治的後ろ盾となっている北朝鮮との関係ですが、北朝鮮の核実験・長距離弾道ミサイル発射などで中国としてはメンツを潰され「不快感」を強めているとも言われています。
7日の国連安保理による制裁強化決定は、中国次第としてその実効性が疑問視されていますが、中国側の対応にはこれまでにないものが見られるようです。

****中国、対北姿勢に変化…税関厳格化・資産凍結****
中朝貿易関係者らによると、中国当局が北朝鮮に対し、税関手続きの厳格化や北朝鮮が関係する銀行資産凍結などの措置に出ている。
関係者の間では「これまでの核実験後の対応とは明らかに違う」との受け止めが広がっている。

中朝貿易の海の拠点港・大連の通関業者は19日、「大連の港で最近、北朝鮮に向かう貨物が差し止められたケースが少なくとも数件ある」と明かした。
複数の中朝貿易関係者によると、遼寧省丹東の税関でも、形骸化していた輸出品の内容検査や証明書の確認が厳格に行われるようになった。

中国から北朝鮮に向かう物の流れだけではない。北朝鮮に拠点を置く貿易商は18日、吉林省琿春の税関を通って中国に入国した際、靴下まで脱がされ身体検査された。過去の対北朝鮮制裁の際にも税関の検査は厳格化されたが、「これほどの厳しさは初めて」と貿易商は話した。

北朝鮮による3度目の核実験を受け、今月7日に採択された国連安全保障理事会の対北朝鮮制裁決議は、これまで加盟国に「要請」していた、核ミサイル開発計画との関連が疑われる貨物の検査や金融取引阻止を「義務」に変えた。西側外交筋によると、制裁内容を巡る米中間の交渉が続いていた2月中旬、中国当局が全国の税関や金融機関に手続きの厳格な履行を文書で指示したことが確認されたという。

中国は、今回の核実験が昨年12月の長距離弾道ミサイル発射実験に続き、再三の自制要求を無視して強行されたことから、「また、メンツをつぶされた」(共産党関係者)と受け止めている。呂超・遼寧社会科学院研究員は「中国国民も、放射能漏れを心配し、核実験に怒っている」と指摘し、これらの反発が今回の「変化」につながったとみる。【3月24日 読売】
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金融面での北朝鮮系銀行への締め付け、その他さまざまな分野での北朝鮮の違法活動への取り締まり強化も行われているようです。

****中国 北朝鮮系銀行の「違法営業」を禁止****
中国の金融当局が先ごろ、代表部の形で北京や遼寧省・丹東、吉林省・琿春などに事務所を置いている全ての北朝鮮系銀行の違法営業を禁じた。北朝鮮事情に詳しい消息筋が19日に伝えた。
対象の銀行は端川商業銀行や朝鮮クァンソン銀行、朝鮮大聖銀行、黄金の三角州銀行など。

端川商業銀行は国連安全保障理事会の金融制裁対象になっている銀行で、朝鮮クァンソン銀行と朝鮮大聖銀行は2010年に米国の独自制裁の対象に指定された。黄金の三角州銀行は北朝鮮北東部・羅先に対する中国側の投資を引き出すために設立された銀行だという。
代表部の事務所では与信や送金、両替などの業務が禁じられているにもかかわらず、これら銀行は密かに貿易代金の送金などを行ってきた。

違法営業の禁止は口座を凍結するものではないが、北朝鮮系銀行の代表部は実質的に海外支店の役割を果たし、資金のやりとりの窓口機能を担ってきたため、北朝鮮へのダメージは少なくないとみられる。

中国政府は昨年12月の北朝鮮による長距離ロケットの発射を受けて採択された安保理決議を厳しく履行するよう、金融機関をはじめ税関、公安(警察)、国境守備隊などに通達した。
これを受け、北朝鮮系銀行の違法営業が禁じられただけでなく、関係機関が通関検査を強化したり、北朝鮮人の不法就労実態の調査に乗り出したりと、さまざまな分野で北朝鮮の違法活動に対する取り締まりが厳しくなっている。 【3月19日 聯合ニュース】
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最後に、アメリカとの関係。
“米軍が主催する2014年の環太平洋合同演習(リムパック)に、中国軍が初めて参加する意向を示したことがわかった。米国防総省関係者が明らかにした。米国のパネッタ前国防長官が昨年9月に訪中した際に、中国を招待していた。”【3月23日 朝日】
昨年は中国は招待されず、不快感を示していました。
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オバマ大統領 イスラエル訪問で和平交渉仕切り直しの姿勢見せるも、具体策提示なし

2013-03-23 22:25:06 | パレスチナ

(ベツレヘムの降誕教会前でオバマ大統領イスラエル訪問に抗議する人々 もちろん、パレスチナ住民の多くがこうした人々と同じ立場にある訳でもないでしょう。むしろ多くはオバマ大統領の指導力に期待しているのではないでしょうか。 “flickr”より By The Israel Project http://www.flickr.com/photos/theisraelproject/8576844243/in/photostream/

イスラエルとの関係修復をアピール
アメリカ・オバマ大統領は、20日には政権2期目で最初の外遊先としてイスラエルを、21日にはパレスチナを訪問して、約2年半中断している中東和平交渉の仲介者としてイスラエル・パレスチナとの信頼関係の再構築を図り、和平交渉の仕切り直しを目指す“姿勢”を見せています。実効性については懐疑的な見方が多いようですが。

アメリカが最大の後ろ盾となっているイスラエルとの関係は、核兵器開発が疑われるイラン核施設攻撃をイスラエルが主張していることや、パレスチナ占領地区への入植活動を続け和平交渉に消極的な方針を続けていることから、ぎくしゃくした状態が続いていました。オバマ・ネタニヤフ両氏の間には相当の不信感があるとも言われています。

このため今回イスラエル訪問では、ネタニヤフ首相らの出迎えを受けたオバマ大統領は「両国の同盟関係は永遠に不変だ」と述べ、また、ネタニヤフ首相との会談後の共同記者会見では、「ビビ(ネタニヤフ氏)の最も重要な仕事は、イスラエル国民の安全を守ることだ」と、イスラエルの自衛権を最大限に尊重する考えを示すとともに、ネタニヤフ氏に何度も愛称で呼びかけ個人的な親密ぶりも印象づけようとするなど、個々の問題での温度差はありながらも両国の関係修復をアピールすることに大きな配慮が示されました。

中東和平交渉については、“オバマ大統領は10年9月、和平交渉再開を仲介したが約1カ月で頓挫。11年5月、パレスチナ独立後のイスラエルとの国境は、67年の第3次中東戦争以前の境界線に基づくべきだとの考えを示したが、境界線を越えて多数の入植者を送り込んでいるイスラエルは激しく反発。オバマ・ネタニヤフ両政権の関係は冷却化している”【3月20日 毎日】という状況にあります。

【「平和は不可欠で、真の安全への唯一の道だ」】
今回の両首脳会談でも、“ネタニヤフ首相は「前提条件なしで交渉に応じる」と従来の主張を繰り返し、パレスチナ側が求める入植活動の停止には言及しなかった。オバマ大統領は「何が可能で、何が制約条件かを聞き、米国に何ができるかを考える」と述べるにとどまった。”【同上】と、具体的な進展はありませんでしたが、オバマ大統領はイスラエル市民に向けたスピーチで「平和は不可欠で、真の安全への唯一の道だ」と語っています。

****米大統領:「和平路線へ転換を」イスラエルで演説****
オバマ米大統領は21日夕方(日本時間同日深夜)、エルサレムの国際会議場でイスラエル市民約2000人を相手に約45分間演説した。大統領はイスラエルには「平和は不可欠で、真の安全への唯一の道だ」と述べ、自国の安全保障のためにパレスチナの独立承認に向けた和平交渉を再開するよう促した。

大統領はイスラエル国会での演説を見送り、市民向け演説にこだわった。イスラエル国民の間に和平を望む機運を広げ、対外強硬姿勢のネタニヤフ政権を動かすきっかけにする狙いがあったようだ。

大統領は「イスラエルがユダヤ人の民主国家として存続する唯一の道は、独立した伸び行くパレスチナを承認することだ」と明言。「国際社会の不満を考えれば、イスラエルは孤立に向かう流れを逆転させなければならない」と述べ、パレスチナとの平和共存を拒否すれば、いずれイスラエルが危機に直面すると警鐘を鳴らした。

大統領は中東の民主化要求運動「アラブの春」を念頭に「より多くの政府が国民の意思を反映するようになれば、イスラエルが一握りの権威主義的指導者と手を結ぶ時代は終わる」と述べ、アラブ諸国民主化に対応した和平路線への転換をイスラエルに求めた。

また、イスラエル人のパレスチナ領への入植活動について「パレスチナ人が自らの土地を耕すことを妨害する権利はない」と批判。「あなたたちが望む変化を自らつくり出さなければならない」とネタニヤフ政権を和平に向けて動かすよう聴衆に促した。パレスチナ側には、国連での資格を「オブザーバー国家」に格上げするなどの一方的活動を自制することなどを求めた。

イランの核開発問題を巡っては、大統領は「強力で原則に基づく外交が、イランに核兵器保有を断念させる最善の方策だ」と述べ、20日のオバマ大統領との首脳会談後の記者会見で対イラン軍事攻撃の可能性をちらつかせたネタニヤフ首相をけん制した。

◇「希望が持てる」学生はおおむね歓迎
パレスチナとの和平に向け行動するよう、イスラエルの若者たちに呼びかけたオバマ米大統領の演説を、会場で聴いた学生たちは「希望が持てる」などとおおむね歓迎した。市民に直接働きかける大統領の狙いは一定の成果を得たと言えそうだ。【3月22日 毎日】
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イスラエルでは一定に好感、パレスチナでは失望・反発も
“演説では、ヘブライ語で「あなたたちは孤独ではない」と述べ、不安定化する中東での孤立を恐れるイスラエルへの米国の支援を強調し、イスラエル市民の心をつかんだ。大統領は、和平交渉再開の障害になっている入植活動を「非生産的だ」と非難し、「独立した存続可能なパレスチナ」を受け入れるよう求めたが、聴衆は拍手で応えた。”【3月22日 時事】とのことですが、パレスチナ側では「新しい提案はなかった」と失望も広がっているとも。
「オバマ氏はパレスチナ人を幻滅させた」(和平交渉担当者のナビール・シャス氏)と批判する向きもあります。

このところ平穏な状況が続いていたガザ地区からロケット弾2発が撃ち込まれ、オバマ大統領のイスラエル寄りの姿勢への反発とも見られています。

****イスラエル南部にロケット弾 オバマ大統領の訪問に反発か****
中東歴訪中のオバマ米大統領は21日、ヨルダン川西岸ラマラでパレスチナ自治政府のアッバス議長と会談した。オバマ氏は、前日のイスラエルのネタニヤフ首相との会談と同様、頓挫している中東和平交渉の再開に向けた新提案は行わず、パレスチナ側の立場を確認する程度にとどまる見通し。ネタニヤフ氏との会談では、両国の強固な同盟関係を確認した。

一方、イスラエル南部では21日、イスラム原理主義組織ハマスが実効支配するパレスチナ自治区ガザ地区からのロケット弾2発が着弾した。負傷者はいなかった。
軍当局者は同国メディアに、オバマ氏訪問のタイミングを狙ったものだと指摘。ガザからのロケット弾攻撃は、昨年11月のイスラエルによるガザ大規模攻勢以降はほとんど起きていなかったが、オバマ氏が同国との関係強化を進めようとしていることに反発してのものである可能性がある。(後略)【3月22日 産経】
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交渉再開への努力を当事者に「丸投げ」】
和平交渉の仕切り直しを目指す“姿勢”を見せるオバマ大統領ですが、“具体策の提示はなく、交渉再開への努力を当事者に「丸投げ」した感が否めない”とも見られています。

****中東和平、見えぬ熱意 根幹の領土と治安「棚上げ」 オバマ米大統領のエルサレム演説****
オバマ米大統領が、政権2期目で最初の外遊先となったイスラエルで、停滞する中東和平交渉の仲介に再挑戦する意欲を示した。ただし、具体策の提示はなく、交渉再開への努力を当事者に「丸投げ」した感が否めない。

「和平は可能だ。できるんだ」。21日、エルサレムの会議場で演説したオバマ氏は強い口調で訴えた。さらに、イスラエルによるヨルダン川西岸占領の実態に苦言を呈し、パレスチナとの「2国家共存」による和平を実現して周辺との紛争をなくすことが、イスラエルに真の安全をもたらすと「助言」した。

だが、和平交渉の根幹である領土、治安の問題については「当面棚上げにしよう」と発言。具体的な仲介策には触れず「信頼を築くため、何ができるかを考えてほしい」と呼びかけるにとどまった。

オバマ氏は1期目の2009年6月、エジプトのカイロ大学で講演。イスラム世界との協調を訴え、パレスチナ国家樹立を明確にした。イスラエルには占領地への入植活動凍結などを迫り、一度は直接交渉を始動させた。しかし、交渉は間もなく暗礁に乗り上げた。

2期目のオバマ氏は、和平の機運づくりを優先させる。だが、当事者の意見の食い違いはすでに明白な上、イスラエルに圧力をかけられるのは米国しかない。オバマ氏が仲介努力を放棄したとの印象も拭えない。

オバマ政権は表向き、「この問題は、時間がたつほど解決は難しくなる」(米政府高官)として、パレスチナ和平の解決を急ぐ構えをみせる。中東問題に詳しいケリー国務長官を仲介の担当者と位置づけ、継続的に当事者との協議に当たらせる方針だ。だが、直接交渉再開や和平合意を目指す時期は示されていない。

オバマ氏は21日の演説で、「政治指導者は人々からの圧力がなければ、危険を冒そうとしない」とし、和平に動かない政治家を民意で動かすようイスラエルの人々に呼びかけた。18日に新政権を発足させたばかりのネタニヤフ首相が念頭にあるとみられる。

米国で中東和平への関与を促す「人々の圧力」は乏しい。ワシントン・ポスト紙が18日に発表した世論調査では、パレスチナ和平は当事者に任せ、米国は仲介をすべきでないという意見が、69%にのぼった。【3月23日 朝日】
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政権・世論ともに内向き姿勢が指摘されるアメリカですが、パレスチナ問題もそのひとつのようです。

和平交渉進展は期待できない第3次ネタニヤフ政権
なお、イスラエルでは連立交渉が難航していた第3次ネタニヤフ政権がオバマ大統領訪問直前に発足しましたが、入植活動推進派が要職を占めるなど、「丸投げ」されても和平交渉再開は難しい情勢です。

****イスラエル連立政権発足 右派勢力が要職占める 和平交渉再開は困難****
イスラエルのネタニヤフ首相が率いる新たな連立内閣が18日、国会の承認を受け発足した。ネタニヤフ氏としては、20日からのオバマ米大統領のイスラエル訪問を前に政権発足にこぎ着けた格好だ。
パレスチナとの和平推進を掲げる中道勢力が参加したものの、ヨルダン川西岸でのユダヤ人入植地建設推進派の右派勢力が要職を占めており、和平交渉再開は困難とみられる。

国会承認前の演説でネタニヤフ氏は、核兵器開発が疑われるイラン問題に全力を挙げる考えを強調、中東和平問題については、「真の平和と引き換えに譲歩の用意がある」と述べた。

新内閣には、和平推進派の中道新党「ハトヌア(運動)」のリブニ党首が法相に就任。第二党の中道「イェシュアティド(未来がある)」も財務相などのポストを獲得した。

ただ、国防相や内相などの主要ポストはネタニヤフ氏が党首を務めるリクードと「わが家イスラエル」の右派連合会派が押さえたほか、強硬な入植推進派の極右「ユダヤの家」も入植政策の要となる住宅相などとして入閣しており、和平交渉再開の障害となっている入植地建設はむしろ加速する可能性が高い。外相はネタニヤフ氏が兼務する。

イラン問題でネタニヤフ氏はこれまで、核開発阻止のためには単独攻撃も辞さない姿勢を示してきたが、ヤアロン新国防相は攻撃に慎重とされるだけに、今後、イスラエルの立場が変化するかが注目される。【3月20日 産経】
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ミャンマー  イスラム教徒との衝突、中部メイッティーラにも飛び火

2013-03-22 23:37:42 | ミャンマー

(仏教徒とイスラム教徒の衝突が発生したミャンマー中部メイッティーラ(Meiktila)で炎を上げる建物【3月22日 AFP】)

【緊張が続く西部ラカイン州のロヒンギャ問題
ミャンマー西部ラカイン州での仏教徒とイスラム教徒の衝突が起き180人ほどの死者も出たこと、そして、このイスラム教徒というのがミャンマー国内では市民権が与えられていない“存在を否定された民族”ロヒンギャ族であることは、これまでも何回か取り上げてきました。
(2012年8月19日ブログ「ミャンマー イスラム教徒ロヒンギャ族問題で強まる海外からの圧力」http://blog.goo.ne.jp/azianokaze/d/20120819 など)

このラカイン州ロヒンギャ問題が現在どうなっているのかについては最近記事を目にしていませんが、下記のようなロヒンギャ難民に関する指摘があるところを見ると、今も緊張状態が続いているといった状況ではないでしょうか。

****タイ海軍、ビルマ(ミャンマー)のロヒンギャ難民を射殺か ****
国際人権団体ヒューマン・ライツ・ウォッチが、タイ海軍がビルマ(ミャンマー)のロヒンギャ難民を射殺したとして糾弾している。一方、タイ当局はこの訴えを否定している。

ヒューマン・ライツ・ウォッチは、12日、タイ海軍が2月22日にロヒンギャ難民20人に発砲し、2人を射殺したと述べた。
ロヒンギャ人たちは、ビルマのラカイン州から逃れる途中であったという。タイ海軍による射殺は、パン・ナ州クラブリ地区で起きたという。ヒューマン・ライツ・ウォッチは、タイ政府に対し、発砲した人物を処罰するよう求めている。

一方、タイ当局は、ロヒンギャ人に発砲する理由がないとして、この訴えを否定している。
「当地のタイ海軍もこの訴えを否定しています。」
タイ外務省のマナシ・スリソダポル報道官はこう語った。
防衛省タナティプ・サワングサン報道官も訴えを否定している。彼は、タイ海軍は人道的な観点から、ロヒンギャ人に食料と水を供給し、マレーシアへの亡命を支援していると語った。(後略)【難民支援NGO"Dream for Children"公式ブログ http://ameblo.jp/dream-for-children/entry-11490434199.html
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【「自分が生きてきた中でこんな衝突は経験がない」】
この西部ラカイン州での仏教徒とイスラム教徒の衝突が、ミャンマーのイスラム教徒(全人口の4%)と仏教徒の緊張を高め、他の都市へも飛び火しているとのことです。

****ミャンマー中部で仏教徒とイスラム教徒が衝突、非常事態を宣言****
ミャンマー中部メイッティーラで20日、イスラム教徒が経営する金製品の店で始まった口論から仏教徒とイスラム教徒の衝突が起き、市街地を焼く暴動に発展している。各所で黒煙が上がり、路上に焼け焦げた遺体が転がるなか、暴動は22日になっても収束せず、今年に入って最悪の宗教間衝突となっている。ミャンマー政府は22日、メイッティーラに非常事態宣言を出した。

AFP記者は21日夜、放火されたモスクや住宅から炎と刺激臭がする煙が空に上がるのを目撃した。焼け焦げたオートバイの脇に黒焦げになった遺体が横たわっていた。夜が明けて外出が禁止されている時間帯が過ぎると、怒りをあらわにした男たちの集団が再び路上に繰り出してきた。
AFP記者ら報道関係者が暴徒に取り囲まれ、治安部隊に救出される場面もあった。警察官によると、地元警察当局には21日、暴徒の射殺許可が下りたという。

ミャンマーの国営メディアは22日、この暴動でこれまでに僧侶1人と男性3人、女性1人の計5人が死亡し、40人近くが負傷したと伝えた。一方、野党国民民主連盟(NLD)のウィン・テイン議員(メイッティーラ選出)はAFPの取材に、乱闘で25人ほどが死亡したと述べた。同議員によれば、暴徒たちはナイフやこん棒を手に路上をうろついており、地元のイスラム教徒たちはサッカースタジアムに、仏教徒たちは寺院にそれぞれ避難しているという。

地元の警察官はAFPの取材に、3日間で少なくとも20人が死亡したことを確認したが、死者数はもっと多い可能性が高いと述べた。
国際社会からは暴力の即時停止を求める声が相次いで上がっている。

■昨年から続く宗教間衝突、政府の頭痛の種に
ミャンマーのイスラム教徒は主にインド、中国、バングラデシュから来た人たちの子孫。ミャンマーはこの30年ほど国勢調査を実施していないが、およそ6000万人の人口のうち多数は仏教徒で、イスラム教徒は4%程度と推定されている。

ミャンマーには1948年までの英植民地時代にインドから契約労働者として多くのイスラム教徒が入ってきた。しかし、ミャンマー国内のイスラム教徒は完全には社会に溶け込んでおらず、宗教間対立は軍政からの迅速な民政移行を目指すミャンマー政府にとって頭の痛い問題となっている。

 ミャンマーでは昨年、西部のラカイン(Rakhine)州で仏教徒とイスラム教徒が衝突し、昨年のうちに少なくとも180人が死亡し、11万人以上が家を追われた。

ウィン・テイン議員はメイッティーラの人口約8万人のうちイスラム教徒は約3万人だと述べつつ、「自分が生きてきた中でこんな衝突は経験がない」と指摘した。国際人権団体アムネスティ・インターナショナルは、ラカイン州での宗教間の緊張の高まりが波及してきたとの見方を示している。【3月22日 AFP】
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なお、ミャンマー中部メイッティーラは、かつてインパール作戦に失敗した日本軍が反攻に転じた英印軍に応戦し、日本軍及び現地住民に多大の犠牲者がでたところでもあります。

カチン独立軍との和平交渉 具体的進展なし
少数民族問題は民主化を進めるテイン・セイン政権の最も大きな問題のひとつですが、先月、戦闘状態が続いていたカチン族反政府組織との和平協議が行われたことが報じられています。
この和平交渉については、“昨年12月に政府軍がカチン独立軍(KIA)の拠点があるライザの近郊に猛攻撃を開始して以来、交渉は初めて。KIA筋によると、カチン州から難民が大量に流入する事態を警戒する中国政府の仲裁で実現した。”【2月4日 読売】と報じられています。

****ミャンマー、政府と反政府勢力が和平協議****
ミャンマー政府と同国北部カチン州の反政府組織カチン独立機構(KIO)は4日、中国雲南省の国境沿いの都市、瑞麗で和平交渉を行い、共同声明を発表した。

共同声明によると、両者は対話のチャンネルの構築や軍事的緊張の緩和、停戦を目指した監視制度の構築について話し合った。また、オブザーバー参加の下で月内に再度、協議を行うことで合意した。
KIOの交渉団代表、Sung Lyut Gam氏は5日、AFPの取材に、今回の和平協議が紛争解決に向けて限られた進展しかなかったと語り、見通しは不透明であるものの、今後の協議継続に期待していると述べた。

4日の会合には、オブザーバーとして中国政府高官と少数民族のシャン人、カレン人の代表も出席した。【2月5日 AFP】
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前月に引き続き、3月11日にも停戦に向けた話し合いが行われていますが具体的な進展はなく、カチン州東部からシャン州北部にかけての地域は依然として緊張状態が続いています。【3月16日 「ビルマのカチン州・シャン州での出来事」  菅光晴 http://blog.livedoor.jp/kachin_shan/archives/7784886.html より】

少数民族問題は外資導入を進めたいテイン・セイン政権にとっても難しい課題ですが、野党勢力を率いるスー・チー氏にとっても、仏教徒ビルマ族の枠組みを超えた指導力を発揮できるか試金石ともなっています。
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