孤帆の遠影碧空に尽き

年に3回ほどアジアの国を中心に旅行、それが時間の流れに刻む印となっています。そんな私の思うこといろいろ。

異例の台風・ハリケーンラッシュ ハワイ、フィリピン、アメリカ東部

2018-09-12 22:43:19 | 災害

(ひしめきあう台風・ハリケーン【9月11日 森さやか氏 YAHOO!ニュースより】

ひしめく台風・ハリケーン
今年は台風の当たり年のようで、日本でも先日の21号によって関空が水没し、連絡橋も破損するといった大きな被害が出ています。

世界的に見ると、今現在は台風・ハリケーンが“ひしめいている”状態で、しかも、これまでハリケーンの直撃がほとんどなかったなかったハワイが、トロピカルストーム(熱帯性低気圧)の規模ながらも直撃を受けそうなこと、フィリピン及びアメリカ東部に猛烈な強さの台風・ハリケーンが迫っていることなど、異例の状況となっています。

****台風、ハリケーン続々発生 アメリカ本土・ハワイ・フィリピン直撃へ****
いま北半球の海では、多数の雲の渦がひしめいています。台風、ハリケーンといった熱帯性擾乱の年間平均発生数は80個といわれていますが、日本時間11日(火)現在、同時に6個も発生しているのです。

そのうち2つの渦はアメリカ本土とハワイに、1つはフィリピンに上陸するおそれがあります。

【ハリケーン・フローレンス】
上品な名前とは裏腹に、フローレンスはアメリカ史上最悪のハリケーンの一つとして記録に残る可能性があります。

フローレンスは日本時間11日(火)正午時点で、ハリケーンの階級では上から2番目に強い「カテゴリー4」の勢力です。このまま勢力を保ちながら、日本時間14日(金)にはサウスカロライナ州からメリーランド州のいずれかの場所に上陸する見込みです。猛烈な風に加え、最大雨量は1200ミリにも達するとの予想も出ています。

もし予想通り、この地域に「カテゴリー4」の勢力で上陸をすれば1989年ヒューゴ(Hugo)以来のこととなります。

【トロピカルストーム・オリビア】
一方、オリビアは日本時間13日(木)にハワイを直撃する見込みです。上陸時の勢力はトロピカルストームでハリケーンよりもやや弱いものの、嵐に慣れていないハワイでは大きな被害をもたらすおそれがあります。

1950年以降ハリケーンまたはトロピカルストームがハワイに上陸したのは1959年、1992年と2014年の3回しかありません。オリビアはマウイ島やオアフ島に上陸する可能性が高まっていますが、もしこれらの島に上陸をすれば観測史上初のことです。

ハワイ知事は緊急宣言を発令し、警戒を呼び掛けています。

【台風22号(マンクット)】
果実マンゴスチンを意味するマンクット。22号はかわいい名前を持つ一方で、今年世界最強の勢力となる可能性があります。すでに台風の階級では最強の「猛烈」な勢力ですが、日本時間13日(木)には中心気圧905hPaまで発達し、15日(土)にフィリピンのルソン島に上陸する可能性があります。

もしさらに発達して中心気圧800hPa台でフィリピンに上陸すれば、2013年に壊滅的な被害を出した台風30号(ハイエン)以来のこととなります。

統計的に秋の台風やハリケーンは一年で最も被害が大きいため、これからの時期、より一層の注意が必要です。【9月11日 森さやか氏 YAHOO!ニュース】
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一般的には直撃はまれなハワイで、今年二つ目
ハワイに接近している「トロピカルストーム・オリビア」については、アメリカ国立気象局は9月11日(火) 11時時点(ハワイ時間)の情報として“最大風速60マイル/時(約96.5km/時)でハワイ諸島へ接近”としています。

96.5km/時ということは秒速で27mぐらいですから、風速としては弱い台風レベルです。

一般的にハワイは、ハリケーンの直撃が少ないことで知られています。それが、今年は・・・。

****ハワイには今年2つ目****
ハワイは先月ハリケーン・レイン(Lane)の接近により被害が出たばかりです。

レインはハワイ本島に直撃はしなかったものの、8月23日にハワイ島に最接近し、4日間で1,300ミリ以上の大雨を降らせました。これはハリケーンによる雨量としては、全米史上2番目の記録です。(中略)

オリビアはレインよりも弱い勢力でハワイに近づくことが予想されていますが、それでも直撃のおそれがある分、大きな被害が心配されます。

いつもはハリケーンが少ないのに…
一般的にハワイは、ハリケーンの直撃が少ないことで知られています。
観測開始以来ハワイ本島に上陸したトロピカルストームとハリケーンは1959年ドット、1992年イニキ(ともにハリケーン)、そして2014年イセル(トロピカルストーム)の3個しかありません。

ハワイにハリケーンが少ない理由の一つは、ハワイ周辺の海水温が低いことが挙げられます。

しかし今夏は、ハワイ近海を含めた北東太平洋の海水温が例年よりも高くなっており、8月だけで5つのハリケーンが発生しました(年平均8-9個)。

さらにコロラド州立大学のKlotzbach博士によると、先月はハリケーンの発生期間、総エネルギー共に、これまでの記録を更新したということです。【9月10日 森さやか氏 YAHOO!ニュース】
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海水温の状態などは、たまたま今年だけの現象なのでしょうか?それとも、世界的な気候変動のひとつなのでしょうか?

フィリピン 大被害をもたらした2013年30号や2016年22号と同レベルの強さに
フィリピンへ接近している「台風22号(マンクット)」、こちらは猛烈な強さです。
日本気象庁の台風情報では、ルソン島北東部に接近する15日3時の予測として中心気圧900hPa、最大風速60m、瞬間最大風速85mという数字も示されていました。

*****猛烈な台風22号、フィリピン・ルソン島方面へ移動****

猛烈な台風22号(マンクット)が太平洋上を移動し、フィリピン・ルソン島へ向かっている。米領グアムではすでに洪水や停電などの被害が出ている。CNNの気象専門家によれば、今後24時間から48時間にかけて勢力を強める見通し。

専門家からは、ルソン島北部で大雨や洪水を引き起こす可能性があるとの警告が出ている。地元当局は救援物資の準備を進めており、治安部隊も警戒態勢に入っている。

世界災害警報提携システム(GDACS)によれば、フィリピンや中国南部に住む最大4330万人に影響が出る恐れがある。

ルソン島では2016年、台風ハイマーに襲われ、1万4000軒の家屋が破壊されたほか、損傷した家屋は5万軒にのぼった。

同様の被害が出る可能性は小さいものの、フィリピン当局は米などの農作物に2億5000万ドル(約278億円)規模の被害が出る可能性があると警告している。

台風22号が現在の進路を進むと、ルソン海峡を抜け、香港やマカオに到達するとみられている。【9月11日 CNN】
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2016年の台風22号(ハイマー)も同程度の強さだったようですが、フィリピンを襲った“スーパー台風”として印象に残っているのは2013年の台風30号(ハイエン)です。

2013年の台風30号(ハイエン)については、“Weather Underground社によると、昭和54年台風第20号(Tip)の世界最低気圧870hPaを超す、860hPaを観測していたことが発表された”“(サマール島に上陸した11月)8日朝の時点での勢力について合同台風警報センターは最大風速87.5メートル、最大瞬間風速105メートルとしている”【ウィキペディア】とも。

個人的な印象としては、中心気圧が900hPa前後という“異常事態”に対し、情報伝達・理解が十分でなく、“台風慣れ”した住民は単に“強い台風”というぐらいの認識しかなかったことが、死者6,201人という大きな被害につながったのでは・・・・とも。

今回も、“異常な強さ”であることを周知徹底して、被害を少なくする対応をとってもらいたいものです。

万全の対応を指示するトランプ氏 昨年プエルトリコを襲った「マリア」への対応を自賛する異様な感覚
同様に、“異常な強さ”に発達してアメリカ東部に接近している「ハリケーン・フローレンス」

トランプ大統領は「費用はいくらかかろうとも支払うつもりだ」と、徹底した対応をとるように指示しています。

****ハリケーン「フローレンス」対策、出費惜しまず=トランプ米大統領****
トランプ米大統領は11日、大型ハリケーン「フローレンス」への対策に出費を惜しまない考えを示した。フローレンスは14日、サウスカロライナ州境に近いノースカロライナ州に上陸する見通し。


トランプ大統領はホワイトハウスで主任補佐官や連邦政府の防災担当者らと会い、会見で「費用はいくらかかろうとも支払うつもりだ」と述べた。

さらに、被害が予想される地域の住民に対しては、今回のハリケーンが東海岸で数十年ぶりの規模になるとの専門家の予測を示した上で、「恐らく全員が避難すべきだ」と述べ、「沿岸部は非常に、非常に悪い状態になるだろう」と付け加えた。

トランプ大統領は、2017年に米自治領プエルトリコで死者3000人を出したとみられるハリケーン「マリア」への対応を批判された経緯があり、今回は「完全に準備ができている」と主張した。

予報によると、上陸時のハリケーンは時速215キロメートルに達する見込み。すでに100万人が避難を指示されている。(後略)【9月12日 ロイター】
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風速“時速215キロメートル”は、秒速60mに相当します。
トランプ大統領が周囲にはっぱをかけているのは、中間選挙を控えているためで、1800人以上の死者を出した2005年の「カトリーナ」対応に失敗したブッシュ前大統領の轍を踏みたくないためです。

それにしても、2017年に米自治領プエルトリコを襲った「ハリケーン・マリア」に関するトランプ大統領の認識と地元の評価は全く異なります。

アメリカ政府の発表した死者数は64人ですが、実際は1400人以上とも、2975人とも、あるいは4645人(ハーバード大学の研究チーム調査)とも言われています。

数字は、停電や道路の分断・浸水による治療の中断が原因で死亡した者など、どこまでを含めるかによって大きく異なりますが、少なくとも「素晴らしかった」と言えるような事態ではありません。

しかも、(直接の被害は、避難態勢の問題は別にして、ある意味では“自然の猛威”のなせる業でもありますが)インフラ破壊による治療の中断で多く人々が亡くなったというのであれば、そしてそれを放置したということであれば、それはまさに大統領の政治責任です。

****トランプ氏、プエルトリコ対応を自画自賛 被災者約3千人死亡の地元は怒り****
昨年9月にカリブ海を襲ったハリケーン・マリアで2975人が死亡した米自治領プエルトリコへの政府対応を、ドナルド・トランプ米大統領が「素晴らしかった」と称賛したため、住民は強く反発している。

プエルトリコでは被災から11カ月たった先月になって、電力がようやく完全復旧した。

大型ハリケーン・フローレンスが米南部に接近する中、ハリケーン・マリアの教訓を質問されたトランプ氏は11日、プエルトリコが「島なので(マリアは)今のところ一番厳しかった」ものの、「こういうことについては今までで最高の対応だったと思う」と答えた。

大統領はさらに、「FEMA(連邦緊急事態管理庁)と捜査当局とみんなが、プエルトリコの知事と一緒になってやった仕事は、素晴らしかったと思う。プエルトリコ(対応)は見事な、あまり話題にならない大成功だったと思う」と続けた。

被災当初からトランプ政権の対応を厳しく非難してきた中央都市サンフアンのカルメン・ユーリン・クルス市長は、「死者3000人が成功だったと思うなら、どうしようもない。神様、助けてください」とツイートし、今回の大統領発言は「泣きっ面に蜂」だと批判した。

クルス市長は先月末、プエルトリコ自治政府が公式死者数をそれまでの50倍にあたる2975人に修正して発表した際、トランプ政権のお粗末な救援対応は「政権にとって汚点」だと強く非難していた。

自治政府のリカルド・ロッセロ知事は11日夜に声明で、マリアは「現代のプエルトリコにとって史上最悪の自然災害だった。基本インフラが壊滅し、数千人が死亡し、多くが今も苦しんでいる」と述べた。

さらに、「植民地と連邦政府の関係が『成功』していると呼べるなど、あり得ない。合衆国の米国人が享受する不可譲な権利の一部が、プエルトリコ人には認められていないからだ」と反発した。【9月12日 BBC】
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現地では前々から激しい大統領批判がありますが、それでも平気で「素晴らしかった」と言う感覚が、常人とは異なります。

おそらく大統領やその岩盤支持層にとっては、プエルトリコなどは“本当のアメリカ・アメリカ人”とは認識されておらず、どんな被害があろうがほとんど気にならないのでしょう。

しかし、ノースカロライナ州などアメリカ本土東部で被害が出れば、プエリトルコのようにはいきませんので、「費用はいくらかかろうとも支払うつもりだ」といった反応にもなるのでしょう。
コメント

南海トラフ巨大地震  発生確率「今後30年に70~80%」 「備えを進めてほしい」でいいのか?

2018-02-10 22:39:42 | 災害

(【気象庁HP】 津波については“関東地方から九州地方にかけての太平洋沿岸の広い地域に10mを超える大津波の来襲が想定されています”とも。まあ、原発を抱える私の住むところは震度5弱ですむようですし、東シナ海側ですから津波もそう大きくないと思いますので、いいと言えばいいのですが・・・)

地球温暖化のリスクから目をそむけるトランプ大統領
将来起こるかもしれない大災害について、「神のお告げ」ぐらいにしか頼れなかった時代は、あれこれ悩む必要がなかった分、物事は簡単でもありました。実際、災害が起きて被害が出ても、“神の思し召し”ということで、人間の責任が問われることもありません。

現在は科学の発達によって、“ある程度”は予測することが可能なものも増えてきました。

ただ、この“ある程度”というのが厄介で、そのリスクをどのように評価して、どのような対策をとるのか・・・立場・見解によって大きな差異があり、決定に悩むことにもなります。

とるべき対応・対策をとらずに被害が拡大すれば、“人災”として政治の責任を問われることにもなりますが、不確実な予測に基づいて、現在の生活基盤を大きく変えるような対応を住民に求めることは、現実問題としては非常な困難を伴います。

地球規模での将来的大災害ということでは、いわゆる地球温暖化の問題があります。

その危険性、早急な対応の必要性を訴える一般的流れ・科学的知見に抗して、アメリカ・トランプ大統領は温暖化の可能性・リスクを重視せず、パリ協定については、石炭や石油などに恵まれるアメリカのビジネスチャンスを奪う「米国にとって不公平な、ひどい取り決めだ」として離脱を表明しているのは周知のところです。

もっとも、すべてが“取引”の対象であるトランプ大統領が、今後どのようにしたいのか・・・よくわからない部分もあります。

****トランプ大統領 「パリ協定に復帰したい」 ただし大幅修正が条件****
ドナルド・トランプ米大統領は、自身が昨年6月に離脱を表明した地球温暖化対策の国際枠組み「パリ協定」について、大幅な修正が加えられれば復帰したいとの意向を示した。28日放送予定の英テレビ局ITVのインタビューで述べたもの。
 
放映前に公開されたインタビューの抜粋によると、トランプ大統領は「パリ協定はわれわれ(米国)にとって大災難となりかねないものだった」「良い取り決めがなされればわれわれが復帰する可能性は常にある」と語ったうえで、現状のパリ協定については、米国にとって「とんでもない」取り決めであり内容も「不公平」だと主張。

「もし(米国に)パリ協定に復帰しろと言うなら、それはまったく異なった取り決めでなければならないだろう」と述べる一方、「(パリ協定に)復帰したいかって?ああ、復帰したいね。ぜひそうしたい」とも語った。
 
トランプ大統領は今月10日にも米国のパリ協定復帰はあり得ると言明しており、昨年に同協定からの離脱姿勢を示していたのは米国の排出削減目標の緩和を狙った「狂言」だったのではとの臆測を呼んでいた。【1月28日 AFP】
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地球規模のリスクを“取引”で弄ばれるのは困ったものだ・・・と思いますが、その件は今日はパスします。

【「日本の火山全体で1万年に1回程度」のリスクを重視する原発稼働に関する司法判断
一方、将来の危険性を“過度”に強調しても、一般生活者の常識とかけ離れてきます。

昨年12月13日、四国電力伊方原発3号機(愛媛県伊方町)をめぐり、住民が求めた運転差し止め仮処分の抗告審で、広島高裁は広島地裁の決定を覆し、運転を禁じる決定をしました。阿蘇山が過去最大規模の噴火をした場合、火砕流の影響を受けないとはいえないと判断したことが主な理由とされています。

阿蘇山噴火(時折起こる小規模噴火ではなく、周辺百数十kmにまで火砕流が及ぶ大規模噴火)のリスクをどのように評価するかはいろいろあるところでしょうが、個人的には、「そんなことを言ったら、原発云々ではなく、そもそも(私を含めて)九州に生活している者はどうしろと言うのか?」という常識的・素朴な疑問を禁じえませんでした。

この点では、珍しく【産経】と意見が一致したようです。

****伊方停止の決定 阿蘇の大噴火が理由とは****
(中略)同高裁は、運転を認めない理由として、伊方原発から130キロの位置にある阿蘇山の巨大噴火を挙げた。
 
9万年前の破局的噴火の規模なら、火砕流が到達する可能性は否定できないとした。
 
あまりに極端だ。そうした噴火が起きれば、原発以前に九州全体が灰燼(かいじん)に帰するではないか。
 
高裁は、逆転決定の理由の中で、想定したレベルの破局的噴火の発生確率が「日本の火山全体で1万年に1回程度」であることを認めている。
 
また、その種のリスクを、無視し得るものとして容認するという社会通念が、国内に定着しているという常識論も述べている。
 
その一方で、原子力規制委員会が策定した火山事象の安全審査の内規に、破局的噴火の火砕流が含まれていることを、運転差し止めの根拠とした。
 
全体に強引さと言い訳めいた論理展開が目立ち、説得力の乏しい決定といえる。
 
しかも、広島地裁で審理中の本訴訟の行方をながめ、異なる判断がなされる可能性もあるとして、運転停止期間を「来年9月30日まで」と限定する自信のなさだ。(後略)【2017年12月14日 産経】
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そこまでリスクを重視するのであれば、運転差し止めより先に、阿蘇カルデラ内に暮らす多くの人々の強制移住を直ちに行うよう政府に勧告すべきところでしょう。

私の住む鹿児島でも、頻繁に噴火を続ける桜島のふもとに大勢が暮らしていますが、これが論外であることはもとより、中規模噴火でも噴石が飛んでくる対岸の鹿児島市(人口約60万人)も、大規模噴火を想定すれば強制移住が必要でしょう。(小規模噴火でも被害が及ぶ桜島のふもとで暮らしているのは、非常に非合理でリスキーだとは私も思います。)

あえて原発をつくることと、普段に生活していることは別もの・・・という話かもしれませんが、「日本の火山全体で1万年に1回程度」の危険性を持ち出すことへの違和感をぬぐえません。

南海トラフ巨大地震 最悪で32万人超が死亡
こんな将来リスクの評価に関する話をしているのは、南海トラフ巨大地震が今後30年以内に発生する確率が、これまで「70%程度」から「70%から80%」に引き上げられた・・・というニュースを目にしたからです。

****南海トラフと根室沖の巨大地震 発生確率80%に引き上げ****
(中略)政府の地震調査委員会は、日本周辺の海底や全国の活断層で想定される地震の発生確率について、毎年、1月1日の時点で計算し公表しています。

このうち、南海トラフで想定されるマグニチュード8から9の巨大地震については、今後30年以内に発生する確率は、これまで「70%程度」でしたが今回の公表で「70%から80%」に引き上げられました。

また、北海道沖の千島海溝沿いの根室沖で想定されるマグニチュード7.8から8.5程度の巨大地震も、今後30年以内の発生確率がこれまでの「70%程度」から「80%程度」に引き上げられました。

マグニチュード8以上の巨大地震の今後30年以内の発生確率は、これまで「70%程度」が最大で、「80%」が示されたのは、今回が初めてです。

地震調査委員会の委員長で東京大学地震研究所の平田直教授は「いずれも非常に高い確率であり、巨大地震が必ず起きることを示している。地震の発生が近づいていることを決して忘れず、備えを進めてほしい」と話していました。

M8の巨大地震で確率80%は初めて
政府の地震調査委員会が公表している今後30年以内の発生確率のうち、最も確率が高いのは、茨城県沖のプレート境界で想定されるマグニチュード6.7から7.2の地震で「90%程度以上」、次いで、三陸沖北部で想定されるマグニチュード7.1から7.6の地震と、北海道の千島海溝沿いの色丹島沖および択捉島沖で想定されるマグニチュード7.5程度の地震で、いずれも「90%程度」などとなっています。

しかし、いずれもマグニチュードが7程度の大地震で、マグニチュード8以上の巨大地震について「80%」の発生確率が示されたのは、今回の南海トラフと根室沖が初めてです。

一方、地震が起きない限り、時間の経過とともに発生確率はさらに上がるため、南海トラフ巨大地震は、今後40年以内で「80%から90%」、今後50年以内で「90%程度もしくはそれ以上」と想定されているほか、根室沖の巨大地震の確率も今後40年以内に「90%程度」、今後50年以内は「90%程度以上」となっています。

このため地震調査委員会は、巨大地震の発生が近づいているとして、住宅の耐震補強や家具の固定などの対策を進めるよう呼びかけています。

南海トラフの巨大地震とは
南海トラフは、静岡県の駿河湾から九州の日向灘にかけての海底で、海側のプレートが陸側のプレートの下に沈み込んでいる領域です。

プレートは年間数センチの速さで沈み込み、その境界には、時間の経過とともに少しずつひずみがたまって、限界に達すると、一気にずれ動いて巨大地震が発生します。

南海トラフでは、およそ100年から200年の間隔で、マグニチュード8クラスの巨大地震が繰り返し発生していて最後に起きたのは、昭和21年に四国など広い範囲に大きな被害をもたらしたマグニチュード8.0の「昭和南海地震」でした。

この地震からおよそ70年が経過していることなどから、政府の地震調査委員会は、これまで今後30年以内の発生確率を「70%程度」としてきましたが、今回、「70%から80%」に見直しました。

国の被害想定によりますと、津波と建物の倒壊、火災などで、最悪の場合、全国でおよそ32万3000人が死亡し、238万棟余りの建物が全壊や焼失するおそれがあるほか、避難者の数は、地震発生から1週間で最大950万人に上るなど影響が長期化するとしています。

また、去年11月からは、気象庁が南海トラフ全域を対象に巨大地震発生の可能性を評価する新たな情報の運用を行っています。【2月9日 NHK】
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南海トラフにおける海溝型地震は、一定の間隔で起こる「周期性」と同時に起こる「連動性」が大きな特徴となっています。

****南海トラフ巨大地震****
南海トラフの地震は、約90 - 150年(中世以前の発生記録では200年以上)の間隔で発生し、東海地震、東南海地震、南海地震の震源域が毎回数時間から数年の期間をおいてあるいは時間を置かずに同時に3つの地震が連動していること(連動型地震)が定説とされてきた。

一方で、慶長地震は南海トラフを震源とすることに異論が出されており、南海トラフの地震は200年程度の間隔で発生すると考えるのが自然な姿であるという見解も存在する。【ウィキペディア】
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最悪で32万人もが死亡するような巨大地震が今後30年以内に発生する確率が「70%から80%」・・・・それって、大変な話じゃないの! 何もしなくていいの? 北朝鮮からのミサイル攻撃などより確度が高く、被害も大きいんじゃないの?・・・というのが率直な印象です。

もちろん、政府も何もしていない訳でもありません。

*****南海トラフ地震対策 予知前提の防災見直し 最終報告書****
中央防災会議の有識者会議は26日、東海地震の予知を前提とした大規模地震対策特別措置法(大震法)に基づく防災対応を見直し、南海トラフ巨大地震の対策強化を求める最終報告書をまとめた。

先月25日に示した報告書案に沿った内容で、国は予知を前提とした防災情報の発信のあり方などを見直す方針。モデル地区(団体)として、国は静岡、高知両県と中部経済界を選び、具体的な防災対策を議論するしていく。
 
最終報告書は大震法の見直しまでは言及しなかったが、現在の科学的知見では「確度の高い地震の予測はできない」とし、予知を前提とした防災対応は改めるべきだと指摘した。
 
その上で、大規模地震発生が懸念される四つのケースを想定。(1)南海トラフ巨大地震の震源域の東側で大規模地震が発生(2)同震源域でマグニチュード(M)7程度の地震が発生(3)東日本大震災前と同様、地震回数が減少するなどの変化を観測(4)東海地震の前兆とされる「プレートのすべり」などを観測--の場合だ。
 
(1)と(2)は、地震が連続して起きる確率が高まっており、住民の事前避難などの検討が必要とした。また、(3)は「大規模地震の発生につながるとは判断できない」として、事前の対策はできないと判断した。
 
一方、(4)はこれまで、大震法に基づき首相が警戒宣言を出し、住民の事前避難や公共交通機関の停止などを行う「東海地震予知」のケースだった。しかし最終報告書では、地震発生の可能性がどの程度高まっているか判断できないと指摘。行政機関は「警戒態勢を取る必要がある」としたが、住民の事前避難などを求めることは難しいとした。
 
最終報告書の提出を受けて菅義偉官房長官は26日、「新たな防災対応の構築を急ぐ」と表明。(1)、(2)、(4)のケースで防災対応を改める。

モデル地区に選ばれた自治体などについては、事前避難の対象となる住民や避難日数、避難場所などを議論する。その結果を踏まえ、自治体が防災対応を個別に定めるためのガイドラインを策定する。

現在は気象庁が「東海地震予知情報」などを発表して警戒を呼びかける態勢だが、南海トラフ全域を対象とした防災情報発信のあり方などを検討する。【2017年9月26日 毎日】
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“現在の科学的知見では「確度の高い地震の予測はできない」”ということで、住民の事前避難などはかなり限られた場合になるようです。

なお、KDDIと海上保安庁による「携帯電話基地局の船上開設に向けた実証実験」とか、資源エネルギー庁と防衛省による自衛隊へのスムーズな石油供給などを図るための合同実働訓練等々、いろいろ動きはあるようです。

人間のリスク管理に関する限界か
ただ、「1万年に1回程度」という話ではなく、「今後30年に70~80%」という大災害予測です。
避難等が可能な事前に確度の高い予兆が必ずあるものなのでしょうか?

もし巨大津波が襲ったらひとたまりもないような海岸沿いの都市・集落は西日本太平洋側に多数存在しているでしょう。それらについて、何か確度が高い予兆が起きたら住民避難を検討する・・・・ということでいいのだろうか?という印象も。

そもそも「南海トラフ地震」という呼称も、(意図的なのか)被害対象が判然としない感も。「東日本大震災を超え、国難ともいえる巨大災害」(中央防災会議の「南海トラフ巨大地震対策検討ワーキンググループ」による2012年中間報告)というのであれば「西日本大震災」といった呼称で国民の関心を高める方がいいように思います。

もちろん、独裁国家でもない民主国家日本にあって、確度の高い予兆がない段階で住民生活を変えるような措置はできない、住民生活・経済へどれほどの大影響があると思うのか・・という現実論はわかりますが、はたしてそれがリスクに照らした場合、“合理的判断”なのか?

ただ、こうした巨大地震・火山噴火のリスクを考えていくと、そもそもプレート境界にある日本列島に住むこと自体が“合理的判断”と言えるのか?という話にもなってきます。この“危険な”列島に暮らす日本国民が甘受すべき“運命”でしょうか?

結局は、巨大災害が実際に起きるまでは抜本的対策はとられず、実際被害が起きてから「現代の科学には限界があり・・・・」と弁解するのが人間のリスク管理に関する限界でしょうか。そこに踏み込むのが政治の役割だと思うのですが。
コメント

東日本大震災から1年  支援国への感謝メッセージ、中国との信頼醸成、「絆」への疑問提示も

2012-03-11 23:10:24 | 災害

(3月11日 パリ在住邦人によって主催された、エッフェル塔に望むトロカデロ広場での黙祷と献花の儀式 “flickr”より By Passion Leica http://www.flickr.com/photos/passionleica/6825998062/

【「みなさんと手を携え共に前へ進んでいきたい」】
3.11の東日本大震災から1年、国内では多くの追悼式も行われましたが、復興はまだまだこれからという段階です。
韓国や台湾では、被災当時に支援の手を差し伸べてくれたこれら国々への日本からのお礼のメッセージが出されています。

****在韓日本大使館:「震災支援、忘れない」韓国紙に広告****
「みなさんの温かな支援の手を永遠に忘れません」--。東日本大震災から1年を迎えるのを前に在韓国日本大使館(武藤正敏大使)は9日付の朝鮮日報、中央日報、東亜日報の朝刊3紙に日本の感謝のメッセージを伝える意見広告を出した。

広告はカラーで、子供たちの写真などを配し「日本を訪ねて活気あふれる姿を確認して」と呼びかけ、「みなさんと手を携え共に前へ進んでいきたい」と結んでいる。

韓国では昨年3月11日の地震発生直後に李明博(イ・ミョンバク)大統領が関係閣僚を集め「日本の被害復旧や救助活動の支援に最善を尽くすように」と指示。12日に各国の先陣を切って救援隊を日本に送り込んだ。【3月9日 毎日】
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****ありがとう、台湾」=被災者がテレビCMでメッセージ****
台湾のみなさん、ありがとう―。東日本大震災の被災者に多額の義援金を寄せてくれた台湾の人々に感謝するため、震災発生から丸1年となる11日から、被災者本人の出演するテレビCMが地元主要局で1週間放映される。企画した日本の対台湾窓口交流機関、交流協会台北事務所(大使館に相当)によると、こうしたCMを放映するのは世界でも台湾だけという。

CMには、震災当日に生まれた乳児と両親、漁師、木工職人といった被災者が出演。復興しつつある自身の生活を紹介するとともに、「台湾のみなさんのおかげで元気になれた。支援をありがとう」などとするメッセージを伝える。CMはテレビのほか、インターネットの動画投稿サイト「ユーチューブ」や屋外モニター、地下鉄でも放映される。【3月10日 時事】
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従軍慰安婦問題を抱える韓国など、周辺国との関係は必ずしも穏やかとばかりも言えませんし、こうした感謝メッセージでそうした関係が急に好転する訳でもありませんが、それはそれとして、感謝のメッセージをきちんと伝えることは重要なことでしょう。

震災対策を明治以来の対中政策の転換点に
韓国や台湾だけでなく、中国も温家宝が被災地を慰問するなど、支援に尽力しました。
中国人研修生20人を避難させ、自身は亡くなった宮城県女川町の水産加工会社専務、佐藤充さんのこともあって、震災後日本への好感度は大きく改善されたようですが、日本側の中国への好感度は厳しい数字となっています。

****中国、支援評価されず不満…トモダチ作戦の陰で****
中国では東日本大震災後、中国人研修生20人を避難させ、自身は亡くなった宮城県女川町の水産加工会社専務、佐藤充さん(当時55歳)が「英雄」として報じられたことなどで、日本に対する好感度が高まった。
読売新聞が中国誌「瞭望東方週刊」と昨年10月に行った日中共同世論調査では、中国側で日本を「信頼できる」と回答した人が55%に達し、2010年の15%から大幅に改善された。

だが、日本人で中国を「信頼できる」と回答した人は11%にとどまり、「信頼できない」は実に79%に達した。中国は震災後、ポンプ車を無償提供し、温家宝首相も被災地を慰問に訪れたが、米国のトモダチ作戦の陰に隠れて十分に評価されていないことに対し、特に知日派の間に強い不満が生まれた。

中国国際問題研究所の姜躍春教授は「日中間には歴史認識や領土問題などの解きほぐし難いわだかまりがある。一つの事件で一気に改善できるものではない」と指摘する。【3月10日 読売】
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ただ、この数字は、震災当時の支援体制やアメリカの「トモダチ作戦」の影響云々というよりは、08年の冷凍ギョーザの事件などによる中国への不信感や、尖閣諸島や南シナ海問題などにおける中国の強硬な姿勢への反発などの結果でしょう。
台頭する中国への脅威も日本側にはあります。

日本は今後、除染作業など復興に向けてなすべき仕事は山積しています。費用的にも膨大なものがあります。
現在だけでなく、明治以来、東アジアにおいて中国と日本はライバル的な立場に立つことが多くあり、戦争を含め多く出来事があり、結果として、南京虐殺問題なども最近また表面化しています。

しかし、隣国がいたずらに競い合うだけでは愚かしいとも言えます。安全保障的にも大きな火種となります。
この際、過去のいきさつやプライドなどは封印して、復興への協力支援を中国に求めるのはどうでしょうか?
共同の作業のなかで信頼関係も醸成され、信頼が生まれれば、膠着した歴史的問題にも対応の道筋が生まれるのではないでしょうか。

【「トモダチ作戦」で同盟関係の深さ確認
一方、アメリカの「トモダチ作戦」は、世論調査で“「成果を上げた」は79.2%で、「成果を上げなかった」の15.5%”【3月10日 時事】と好印象を得ているようです。
オバマ大統領はじめ米政府要人も、震災復興支援によって両国の同盟関係が深められたとの評価をしています。

****悲劇でさらに絆深まった」米要人が相次ぎ声明*****
オバマ大統領はじめ米政府要人は9日、東日本大震災から1年となるのを前に相次ぎ声明を発表し、犠牲者を改めて悼むとともに、日本との同盟関係の深さが震災の試練を通じて確かめられたことの意義を強調していた。

パネッタ国防長官は、震災直後に米軍と自衛隊が共同で行った復興支援の「トモダチ作戦」が「日米同盟の強さを証明した」と指摘した。長官は「米軍と自衛隊の間にある友情の絆に感銘を受けた。(震災の)悲劇によりその絆はさらに深まった」と述べた。

トモダチ作戦で米軍は、兵員2万4000人と航空機190機、艦船24隻を投入した。太平洋岸で行方不明者の捜索を行ったほか、津波被害を受けた仙台空港の復旧支援、気仙沼市大島などでのがれき除去といった活動にあたった。【3月11日 読売】
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アメリカのメディアは10~11日、主要紙が追悼や復興をテーマに1面に大きな写真を掲載、テレビも時間を割いて報じるなど、東日本大震災1年関連のニュースを大きく扱ったそうです。【3月11日 毎日より】
市民レベルでもアメリカ各地で追悼行事が催されています。

****あなたたちを忘れない」=米国各地で追悼行事―大震災1年****
東日本大震災から1年を迎え、米国では10日、日本人が多く住む大都市を中心に各地で追悼行事が催された。ニューヨークでは、日本の復興を支援する約100の団体が協力して追悼式典を開催。被災者への励ましの声が相次いだ。

式典には広木重之ニューヨーク総領事ら約1100人が出席。黙とうの後にスピーチした市内の医師、カマール・ラマニさんは、震災直後に宮城県南三陸町でボランティアとして医療活動に当たった。その後も心療クリニックの立ち上げなどで支援を続けており、「私たちはあなたたちのことを忘れない」と強調した。
また、福島県相馬市のみなと保育園からのビデオ・メッセージで、「(ニューヨークからの支援に)感謝の気持ちでいっぱいです。頑張ります」と元気に語る園児らが映し出されると、会場から歓声が上がった。

一方、ロサンゼルスではマンガ、アニメなどの日本文化を紹介するイベントが開かれ、震災発生時刻に合わせた午後9時46分(日本時間11日午後2時46分)には多数の参加者がろうそくを手に犠牲者の鎮魂と復興に祈りをささげた。【3月11日 時事】
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【「絆と言ってもそんなものだ」】
しかし、日本の現状に対する厳しい指摘もあります。

****絆」の精神喪失=日本在住の元Wポスト紙記者****
米紙ワシントン・ポスト(電子版)は10日、東日本大震災から1年を迎えるに当たり、同紙東京支局の元特派員で、現在は家族と神奈川県鎌倉市で暮らすポール・ブルスタイン氏の「日本は悲劇を経ても停滞から脱せず」と題する寄稿文を掲載した。この中で同氏は「絆」という言葉で象徴される震災直後の団結の精神が失われていると警告した。

寄稿文で同氏は、放射性物質が検出されていなくても自治体ががれきの受け入れを拒否していることに触れ、「絆と言ってもそんなものだ」と失望を表明。消費増税をめぐる政治混乱にも落胆を示した。一方、現在の停滞打破には女性の就業機会の拡大などが必要だとしている。【3月11日 時事】
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「がれきの受け入れ」問題も指摘のとおりですし、先日の沖縄での雪遊びイベント中止の件なども、今後の全国的な復興支援体制を考えるとき、冷静さを欠いているように憂慮されます。

****雪遊びイベント中止に=「放射性物質心配」の声―青森の630キロ無駄に・沖縄****
那覇市と海上自衛隊第5航空群(同市)は21日、23日に予定していた子ども向け雪遊びのイベントを中止すると発表した。雪は同航空群が青森県十和田市から搬送したが、沖縄県に自主避難している父母らから、「放射性物質が含まれているのでは」と懸念する声が相次いだためという。イベントは2004年度から続く恒例行事で、中止は初めてという。

イベント用の雪は約630キロ。八戸航空基地(青森県八戸市)の訓練に参加した隊員らが16日、十和田市内で集めてP3C哨戒機で運んだ。搬送時と到着時の2回、放射線量を計測した結果、過去の平常値と同じ水準だったという。

一方、那覇市には2月中旬ごろから、東日本大震災後に自主避難してきた人たちから、会場となる児童館や市に対し、中止を求める声が10件程度寄せられた。市は20日、児童館で説明会を開催。集まった約20人の父母らに対し、放射線量の測定結果を伝え、危険性はないとして開催への理解を求めた。
しかし、参加者からは「雪に含まれた放射能が溶けて空気中に拡散するのでは」「放射能汚染を避けるため沖縄に避難している。少しでも放射能が測定されているなら中止してほしい」などの声が上がった。【2月21日 時事】 
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なお、那覇市宇栄原(うえばる)の学童保育では、青森から運ばれた約250キロの雪がプレゼントされ、小学生60人が歓声をあげたとのことで、ややほっとする思いでした。【2月29日 朝日より】

チェルノブイリ、そしてフクシマ
話を海外の反応に戻すと、旧ソ連チェルノブイリ原発事故に見舞われたウクライナの首都キエフでも追悼行事が行われています。

****福島に思い重ね、早朝の祈り=チェルノブイリ事故のウクライナ****
東日本大震災から1年の11日、約26年前に旧ソ連チェルノブイリ原発事故に見舞われたウクライナの首都キエフでは、地震発生時刻に市民らが犠牲者を悼んでキャンドルに献灯。故郷を離れざるを得なかった福島などの被災者と自国民の境遇を重ね合わせ、希望の日が訪れるよう祈りをささげた。

市中心部のウクライナ国立歌劇場前の広場には100人以上が集まり、午前7時46分(日本時間午後2時46分)に黙とう。画家のマリヤさん(26)は雪に負けない梅の花を手に「悲劇が二度と起こらないよう願った」。【3月11日 時事】
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チェルノブイリ事故から25年 “25年後のフクシマを、現在のチェルノブイリのような状況にしてはならない”

2011-04-19 20:55:23 | 災害

(チェルノブイリ:半径30kmの入域制限地域の検問所 “flickr”より By Wolfhowl http://www.flickr.com/photos/ashenwolf/5595853993/

【「レベル7」の衝撃
日本の原子力安全・保安院と原子力安全委員会は12日、福島第1原発事故の「国際原子力事象評価尺度(INES)」を放射性物質の放出量を踏まえて「レベル5」から2段階引き上げ最悪の「レベル7」にしたと発表しました。これにより、欧州全土に大量の放射性物質をまき散らし、数十人の死者を出し、その後多数のがん患者を出したチェルノブイリ事故と同じくらい深刻と判定されたことになります。

この判断については賛否両論ありますが、原子力利用を推進しようという立場の国からは、日本の過剰反応との不満も出ています。

“国際原子力機関(IAEA)は、チェルノブイリとの違いを強調するなど警戒感をあらわにした。ロシアやフランスなど原発大国からは日本の「過剰評価だ」と指摘する声も相次いだ。背景には、国際的な原発推進路線の「後退」への危機感の強さが読み取れる。”【4月13日 毎日】

チェルノブイリ事故から25周年
そのウクライナのチェルノブイリ事故(86年4月26日発生)から25年が経過しようとしていますが、19日から首都キエフで原子力関連の国際会議が開催されます。

****チェルノブイリから25周年 キエフで各国首脳級会合へ*****
旧ソ連・ウクライナのチェルノブイリ原発事故から25周年となる26日を前に、各国首脳級の原子力安全サミットなど一連の国際会議が19日から首都キエフで開かれる。福島第一原発事故が進行中で、原発の安全性に改めて注目が集まるタイミングの開催となる。

原子力安全サミットは今回の最大の焦点となり、原子力安全や技術向上の国際協力について議論する。
約50カ国が参加。フランスのフィヨン首相、ロシアのメドベージェフ大統領ら首脳級が顔をそろえる。潘基文(パン・ギムン)国連事務総長や、国際原子力機関(IAEA)の天野之弥(ゆきや)事務局長も出席。日本からは高橋千秋外務副大臣が出席し、福島第一原発の現状や事故の経緯などについて報告する。

これに先立ち、チェルノブイリ原発事故の今後の長期的対策を主要8カ国(G8)がウクライナと話し合う支援国会合も19日にある。25年前に原子炉からの放射能を封じ込めたコンクリート製「石棺」の老朽化対策が急がれており、財政的な手立てを模索する。
20~22日にも国際会議が開かれ、事故の教訓や、環境や社会への影響などについて討議する。(後略)【4月19日 朝日】
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【「観光というより、教育的な観点から事故の教訓を学び取ってほしい」】
チェルノブイリ原発から半径30キロ圏内では、現在でも居住などが禁止されていますが、一方、観光ツアーとして公開されるなどの動きも出ています。

***大竹剛のロンドン万華鏡 今のチェルノブイリを歩いてみた “レベル7”から25年、観光地化した惨劇の地****
観光バスで行くチェルノブイリツアー
ウクライナの首都キエフを訪れる観光客の間で、ここ数年、ちょっとした人気を集めている観光ツアーがある。チェルノブイリ原発の事故現場を訪れる日帰りツアーだ。キエフからバスに揺られること約2時間半。原発施設内の食堂で食べるランチ込みで150~160ドルという手軽さが受けている。(中略)

キエフ市内を出発してから約2時間、4号炉から30キロメートルの地点に到着した。ここから先は現在も立ち入り禁止区域に指定され、一般市民の居住は許されていない。つまり、先に進むには政府の許可が必要だ。といっても複雑な手続きは必要なく、事前に旅行会社に伝えておいたパスポート情報と照らして、本人確認を受けるだけで済む。
昨年12月、政府はこうした観光ツアーを正式に許可した。それまでは、研究者やジャーナリスト、カメラマンなどにしか許可を与えていなかったが、既になし崩し的に観光ツアーが組まれるようになっており、事実上、政府が追認した格好だ。(中略)

そして爆発を起こした4号炉。防護服を着ることもなくバスを降りて、普段着のままカメラ片手に、事故現場から約300メートルの地点まで近づくことができる。ガイガーカウンターの数値を確認すると、300メートル地点で毎時3.5マイクロシーベルトだった。
現在、4号炉は放射線を遮蔽するために、コンクリートなどを使った「石棺」と呼ばれるシェルターで覆われている。この石棺は老朽化しており、ウクライナ政府は100年耐え得る巨大なシェルターを新たに建設する予定で、既に基礎工事を始めている。

廃墟の学校に散乱する子供用ガスマスク
4号炉を後にして3キロメートルほど離れたところにある町を訪れた。「ゴーストタウン」とも呼ばれ、事故発生から48時間以内に約5万人の住人が避難して廃墟となったプリピャチである。石棺に覆われ記念碑も立つ4号炉より、むしろ、当時の生活が思い起こされるこの町の方が、残酷な事故の記憶を残していた。
中央広場の周りには、旧ソ連時代に典型的だった画一的な団地が立ち並んでいた。窓ガラスは割れ、壁は朽ち果てている。小学校に足を踏み入れると、破れた教科書や壊れたピアノが残されたままだ。放射能から生徒を守るために持ち込まれたものであろう、教室の片隅に散乱している大量の子供用ガスマスクが、事故の悪夢を今に伝えている。(中略)

ウクライナ非常事態省のボブロー副局長は、「観光というより、教育的な観点から事故の教訓を学び取ってほしい」と話す。
実は、事故を起こした4号炉で建設が始まっている新たなシェルターには、16億ユーロ(約1950億円)の資金が必要となる。だが、いまだに6億ユーロ(約730億円)が不足している。
ウクライナ政府は4月19日からキエフで開催する事故後25周年を記念する国際会議で、欧州諸国を中心に国際社会から足りない資金を募る計画だ。事故現場への観光を許可する背景には、チェルノブイリの悲劇が忘れ去られないように、国際社会にアピールし続けたいという思惑もあるのだろう。

25年後のフクシマは……
だが、大惨事となった原発事故の現場に観光ツアーが行くことについては、否定的な意見も多い。
従妹を白血病で亡くしたある女性は、「ウクライナ人の心情として、観光でチェルノブイリに行くことはあり得ない」と話す。彼女は、従妹の死は放射能と関係があるのではないかと考えている。(中略)
チェルノブイリ原発事故では、25年を経た今でも、市民の不安は解消されていない。それでも政府は、事故現場を観光地化してまで、負の遺産の処理に取り組まなければならない。それは、チェルノブイリ原発事故、言い換えれば「レベル7」という事態の深刻さを物語るものだ。
25年後のフクシマを、現在のチェルノブイリのような状況にしてはならない。【4月19日 日経ビジネス】
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事故の後遺症はまだウクライナ経済の重荷となっている
老朽化が進む“石棺”を覆う新しいアーチ状の格納施設建設については、上記リポートにもあるように資金が不足しており、その調達が今回キエフで開催される国際会議の主要目的のひとつとなっています。

****チェルノブイリは、いま  チェルノブイリ、25年後の現実****
・・・焼け落ちた原子炉を封じ込めるため、一時しのぎの策として造られた“石棺”は腐食が進む。
「石棺はこれほど長期間使われるはずではなかった」。同原発の現場監督、アレクサンドル・スクリポフ氏は呼吸マスク越しに、くぐもった声で語る。その背後に立つ1986年4月の爆発事故後に急ごしらえで造られた石棺は、壁の崩壊を防ぐために支柱で支えられている状態だ。(中略)

欧州連合(EU)及び米国の当局は、チェルノブイリ原子炉の恒久的な格納施設を建設する費用の調達に今も苦労している。各国とも世界金融危機で膨大な債務を抱えただけに、税金による支出には及び腰だ。昨年、国際通貨基金(IMF)から156億ドルの緊急支援を受けたウクライナは、単独ではとても費用を賄い切れないとしている。(中略)

欧州復興開発銀行(EBRD)と欧州委員会は4月20日から22日にかけてウクライナの首都キエフで、新しい格納施設の建設費用として各国政府から6億ユーロ(約8億3400万ドル)以上の寄付を募る予定だ。高さ110mのアーチ型の格納施設の建設費用は総額15億5000万ユーロになる見込みだが、EBRDがこれまでに調達した資金は10億ユーロにとどまる。
チェルノブイリ原発のイホール・フラモトキン所長は、原子炉の閉鎖には20億~25億ドルという新規建設と同じくらいの費用がかかると話す。2000年12月にやっと稼働を終了した同原発では、今も3473人が働く。(中略)

スリーマイル島原発の事故では、冷却システムの不具合によって部分的に炉心溶融が起きた。だが死傷者は出なかった。チェルノブイリでは事故後86年7月までに、原発作業員や消防隊員など少なくとも31人が死亡した。
チェルノブイリには4つの原子炉があり、1号炉が稼働したのは77年だ。EBRDによると、事故は83年12月に試運転を終えたばかりの4号炉の過熱が原因で起きた。
爆発によって建屋の屋根が崩れ落ち、燃料棒の一部を含む放射性を帯びた破片類が屋外に放出され、近隣の森林を破壊した。EBRDによると、事故後の86年10月には同原発の別の原子炉での発電が再開され、2000年末まで続いた。事故の後遺症はまだウクライナ経済の重荷となっている。

ウクライナ緊急事態省のホームページによると、現在もまだ215万人が放射能で汚染された土地に住んでおり、30km圏内の立ち入り禁止区域は今も有効だ。検問所では放射能検出器を使い、過剰な放射線を浴びた可能性がある訪問者がいないか確認している。
同省によると、事故当時に旧ソ連の一部だったウクライナは、今年も原発の安全性を維持するために7億2890万フリブナ(約9200万ドル)を支出する。それに加えて、同国政府は2009年に被害者への手当てとして20億フリブナを支払った。事故で障害を負ったとして登録されている人の数は、2010年初めの時点で11万827人に上る。(中略)
「放射線量の高い地点は非常に多く、現在の石棺を解体し、すべての放射性廃棄物を除去する作業がまだ必要だ。それを完了して初めて、チェルノブイリの問題が解決し、人々と環境への危険性はなくなったと言えるのだ」とスクリポフ氏は語る。 【3月31日 日経ビジネスONLINE】
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【「25年を経て制限区域の汚染は本質的に減った」】
資金だけでなく、放射線汚染自体が未だ残存していることが最大の問題ですが、ウクライナ当局は立ち入りが制限された区域の縮小を検討していることが報じられています。

****チェルノブイリ原発:入域制限区域の縮小を検討****
ウクライナのバロガ非常事態相らは18日、同国北部のチェルノブイリ原発で記者会見し、25年前の事故以来、放射性物質に汚染され、立ち入りが制限された区域の一部は既に安全だとして、同区域を縮小し、経済活動の再開などを検討していることを明らかにした。

事故時のソ連政府は、原発から半径30キロの地域から居住者を立ち退かせ、入域を制限。ウクライナ政府もこの措置を継続しており、制限区域が縮小されれば事故後初となる。
バロガ氏は「25年を経て制限区域の汚染は本質的に減った。土地の大部分はおそらく生活や経済活動に使用できる」と強調。「数百ヘクタールが雇用創出や投資のための経済活動の場に戻せるかもしれない」と述べた。制限区域では事故前、主に農業や畜産業が行われていた。
同区域を管理する政府機関の当局者は、首都キエフ寄りの制限区域の南側は比較的安全になっており、「制限を設けずに居住することも可能だろう」と説明。現在、制限解除に向けて事務作業が行われていると述べた。【4月19日 毎日】
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“25年後のフクシマを、現在のチェルノブイリのような状況にしてはならない”・・・本当にそのように思います。

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福島第1原発事故  海外に広がる影響 一部に過剰反応も 論議を呼ぶ“低濃度の汚染水の海への放出”

2011-04-07 21:57:39 | 災害

(東日本大震災の被災地支援のため三陸沖で活動していた米原子力空母「ロナルド・レーガン」の、特殊薬剤による放射能汚染洗浄作業の様子のようです。“flickr”より By U.S. Pacific Fleet http://www.flickr.com/photos/compacflt/5553730162/in/photostream/ )

【「休校にしてくれ。わが子が心配でたまらない、夜も眠れない」】
福島第1原発事故の市民生活・経済・政治への影響は国内だけでなく、広く海外に及んでいます。
放射能の危険については素人にはわかりづらいことから、特に海外の場合、正確な日本の情報が伝わりにくいこともあって、やや過剰とも思える反応も見受けられます。
そうした反応の一因には、人々の不安感を煽るメディアの姿勢もあります。

****海外の大衆紙、恐怖心あおる誇張報道*****
海外の大衆紙などでは、福島第一原発から漏れ出した放射能の危険を実態以上に誇張し、恐怖心をあおるような報道ぶりも目立つ。
3月15日付の英大衆紙サンは1面トップ記事で「数千人が放射能漏れを恐れ、東京から脱出を開始」と仰々しく伝えた。
別の英大衆紙デイリー・メールの3月16日付1面の見出しは「核パニックにとらわれた国」。「日本の核危機は制御不能」などと書き立て、白いマスクをつけて涙を浮かべる女性の写真を添えた。日本で花粉症対策のマスクは珍しくないが、あたかもマスクで放射能汚染をしのいでいるかのような印象だ。
低濃度の汚染水が海に放出されたことを伝えた今月6日付独大衆紙「ビルト」は、見出しで「日本人は太平洋全部を汚染するのか?」と憤りを示した。読者はこの見出しを見ただけで、とめどない汚染の拡大を連想してしまう。【4月7日 読売】
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“低濃度の汚染水の海への放出”を問題視することが過剰反応かどうかは、異論もあるところでしょうが、広く話題にあがっているのは韓国の反応です。

****韓国首都圏で休校相次ぐ、雨に含まれる放射線を懸念****
韓国首都圏の京畿道で7日、雨に放射性物質が含まれている恐れがあるとして、幼稚園・小学校130校以上が臨時休校したり、雨が降ってきた時点で授業を途中で切り上げたりした。道教育庁の勧告によるという。
ある当局者は「生徒の安全のための予防的措置」だと説明した。
道教育庁は6日、「被ばくの危険に関する情報が錯綜しており、生徒や保護者の間に不安が広がっている」ことを理由に、休校や授業の短縮を各校に勧告していた。とくに市街地から離れた学校では、登校距離が長いことから休校措置を奨励。休校しない場合でも、屋外活動は中止するよう呼び掛けていた。

ソウル市教育当局は休校措置を取らず冷静な対応を呼び掛けたが、市のウェブサイトには「休校にしてくれ。わが子が心配でたまらない、夜も眠れない」などと、保護者からの苦情が殺到している。
京畿道の南に位置する忠清北道当局は、サッカーや野球などスポーツイベントの開催を延期した。

韓国では4日、日本の東京電力福島第1原子力発電所から漏れた放射性物質が、風に乗って朝鮮半島に到達する可能性があると気象当局が発表したことから、懸念が広がっている。青瓦台(大統領府)は6日、雨に含まれる放射性物質はごくわずかで健康被害の心配はないと指摘し、教育当局に「両親を不安にさせたりしないように」と呼び掛けていた。【4月7日 AFP】
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韓国で大騒ぎするなら、日本に住んでいる私たちはどうなるのだ・・・とも言いたくもなりますが、身近なだけに日常性に埋もれて我々の感覚がマヒしているということも多少あるのかもしれません。
今や外国人にとって日本は不安な地となったようで、日本を訪れる外国人観光客の数が3分の1程度に落ち込んでいることが6日、入国管理局の調べで明らかになってもいます。
外国観光地で事件・災害が起きると日本からの観光客が激減することもよくある話ですから、あまりとやかく言えるものでもありません。地元の人間からすれば「全土がそんなに危険な訳でもないのに・・・」というところでしょう。

その他、インドは日本からの食品輸入を今後3カ月間全面的に停止するとか、台湾で魚が売れないといったことも報じられています。
****日本の食品 インド、3カ月輸入停止****
インド保健省は5日、福島第1原発事故によって日本国内の農産物に放射能被害が出ていることを受け、日本からの食品輸入を今後3カ月間、全面的に停止すると発表した。ロイター通信によると、日本からの食品輸入を全面的に停止するのはインドが初めてという。
停止措置の適用期間について、保健省は「放射性物質のレベルが許容範囲まで低下したという信頼できる情報が得られるまで」としている。対象となるのは加工食品や野菜、果物など。(後略)【4月7日 産経】
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****台湾、魚が売れない 放射性物質は未検出****
福島第一原発の事故が台湾での魚介類の売れ行きに影響を与えている。今のところ放射性物質は検出されていないが、当局は懸命に「安心」を強調している。
台湾で日本に最も近い北端に位置する基隆市の碧砂漁港に一般客向けの魚市場がある。近海でとれたアジ、サバなどが並んでいるが、ここ2週間は客が3割減った。特に大ぶりな魚は日本寄りの遠洋産と疑われ、全く売れない。(後略)【4月7日 朝日】
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ドイツでは政局にも影響を与えています。
****ドイツ:緑の党の支持率28%に 議会第1党に迫る勢い****
ドイツで初の州首相選出を確実にした緑の党が、6日に公表された世論調査で、メルケル首相が率いる連邦議会第1党のキリスト教民主・社会同盟(30%)に迫る史上最高の支持率28%を記録した。
世論調査機関「フォルザ」によると、調査は2505人を対象に3月28日から4月1日に実施。緑の党は前週調査より7ポイント上積みし、議会第2勢力の社会民主党(23%)も抜き去った。
地球温暖化問題への関心の高まりから緑の党の躍進は予想されていたが、日本の原発事故がこの流れを一気に後押しした格好だ。緑の党は議会に所属する5党で唯一、支持率が上昇傾向にあり、次期2013年の総選挙で台風の目になる可能性が強い。【4月7日 毎日】
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【「低濃度」の放射能汚染水を海洋大量放出
“放射能雨”(以前日本でも、海外の核実験の際に、雨に濡れると頭が禿げてしまう・・・といった類の噂がありました)や農産物・魚に対する過剰な反応はともかく、冒頭記事にもある“低濃度の汚染水の海への放出”となると、私自身も本当に大丈夫なのだろうか・・・という感はあります。

東京電力は、1万1千トン以上の「低濃度」の放射能汚染水を海洋に流すという決定を下し、即日実行に移しました。「低濃度」とは言っても、通常の環境基準の100倍以上、普通であれば「高濃度」な汚染水です。
国内漁業関係者からも強い批判が出ていますが、世界の専門家の間でも論議を呼んでいます。

****汚染水放出に各国懸念…原子力再検討会議****
ウィーンで開会中の原子力安全条約再検討会議は3日目の6日、日本の同条約履行状況を検討する分科会が開かれた。
各国からは、本来の議題から離れ、福島第一原発で低濃度の放射性物質を含む汚染水を放出した問題で懸念が表明されるなど、同原発の事故に絡む質問が相次いだ。日本の関係機関による情報伝達の遅れへの各国の不満を背景に、日本に注がれる厳しい視線を浮き彫りにした形だ。

分科会は報道陣に非公開で開かれ、詳細なやりとりは不明。会議終了後に日本メディアに対して記者会見した経済産業省原子力安全・保安院の中村幸一郎審議官によると、分科会では同審議官が、日本の原子力安全規制状況や、福島第一原発事故を受けた日本の他の原発での緊急時対策の強化などを説明した。放射性物質を含む汚染水の放出問題については、日本側が取り上げなかったものの、出席国から「懸念を持っている」との声が上がったという。【4月7日 読売】
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近隣国の懸念
中国や韓国も公式に政府レベルで懸念を表明しています。
****日本の放射能汚染水放出、韓国政府が公式懸念通達*****
韓国政府は6日、東京電力が福島第1原子力発電所から放射性物質を含む水を海に放出したことに対する懸念を日本に公式に伝えた。
外交通商部東北アジア局の張元三(チャン・ウォンサム)局長は同日夕、外交通商部庁舎に兼原信克駐韓公使を呼び、日本の放射能汚染水海洋放出行為に対する韓国内の不安と懸念を伝えた。同部関係者が明らかにした。
同日午前には在日韓国大使館の参事官が外務省経済局の政策課長を訪問し懸念を伝えているが、これより1段階進んだ外交的対応措置を取ったことになる。

この席で張局長は、汚染水の海洋放出は日本だけの問題ではなく、近隣国にも影響し国民に心理的不安を与える事案だとし、事前に通達すべきだったのではないかと指摘した。そのうえで、今後こうした問題があった場合は事前に通達し、十分な情報を適時に提供してほしいと要請した。
また、必要に応じ日本を支援し協力するという次元から、モニタリング分野で韓日が協力する道がないか検討することを提案した。

これに対し兼原公使は、地理的に日本と最も近い韓国国民の懸念は十分に承知、理解していると述べた。汚染水の放出は避けられないものだと説明しながら、韓国を安心させられるよう、情報提供などさまざまな措置を取り、緊密に協力していくと述べた。韓国政府のモニタリング協力提案には、危険な地域への訪問は受け入れられないが、一般的次元の協力ならば本部に建議すると答えた。【4月7日 聯合ニュース】
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中国外務省の洪磊(こうらい)副報道局長は7日の定例会見で、福島第1原発から放射性物質を含む汚染水が海に放出されている問題について、迅速かつ正確な情報の提供を日本側に求めています。
“中国政府は、震災支援を通じて日中双方の国民感情の改善を目指していることもあり、原発事故の影響について抑制的な対応が目立っている”【4月7日 毎日】とも。

恐らく中国や韓国で同様のことが行われれば、日本政府も同様の措置をとることは間違いないことです。
批判に国内世論は沸騰するでしょう。
今回の場合、事前の情報提供に問題があった面は否めません。

【「海洋汚染テロ国家」の批判も
この件にかんしては、“日本を「海洋汚染テロ国家」にした”との厳しい指摘もあります。

****日本が「海洋汚染テロ国家」になる日――放射能汚染水の海洋投棄に向けられる世界の厳しい視線【週刊 上杉隆*****
自由報道協会はきょう(4月6日)、元佐賀大学学長の上原春男氏の共同インタビューを主催した。上原氏は福島第一原子力発電所3号炉(もしくは5 号炉)の設計にかかわり、外部循環式冷却装置の開発者でもある。
震災直後から複数回にわたり、菅直人首相はじめ政府、統合本部、東京電力などから助言を求められている。事故後メディアの前に姿を現すのは今回が初めてであった。

その上原氏は、放射能汚染水を海洋に流し続けるという決定を下したばかりの政府に対して、繰り返し嘆いた。
「なんで、あんなことをしたのか。海洋に放射能汚染水を流すなんて信じられませんよ。誰がそんなバカなことを決めたのか。これで日本は世界中を敵に回した。恥ずかしい。せっかく信頼のある国だったのに、本当になんてことをしてくれたんだ」
いまや政府と東京電力による愚かな決定の数々は、日本を「海洋汚染テロ国家」に仕立て上げようとしている。(後略)【4月7日 DAIMOND online】
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東日本大震災  海外からの支援に、日本の感謝の気持ちを

2011-04-05 19:37:55 | 災害

(4日夜、日の丸をイメージした白と赤のイルミネーションに染められたエンパイアステートビル “flickr”より By NYC♥NYC http://www.flickr.com/photos/nyclovesnyc/5590681117/

エンパイアステートビルも日の丸に
東日本大震災に対する海外からの支援については、国家レベルの援助・支援の提供、多くの人々からの義援金など、連日報じられています。
震災は大きな不幸ではありますが、国内・国外における人のつながりを再認識させるところもあります。

4日夜には、ニューヨークのエンパイアステートビル、ソウルのNソウルタワーなど、世界7か国の九つのビルやタワーが東日本大震災に見舞われた日本国民との結束を示すため、日の丸色にライトアップされたそうです。

****世界が応援、日の丸染めてライトアップ****
ソウル中心部・南山の頂上に立つ「Nソウルタワー」(236・7メートル)が4日夜、日の丸をイメージした赤のイルミネーションに染められた。
東日本大震災の被災者を応援しようと、米ニューヨークの象徴、エンパイアステートビルの管理会社が発案した。

ソウルのほか、中国・マカオのマカオタワー、マレーシア・クアラルンプールのメナラKL、ニュージーランド・オークランドのスカイタワー、カナダ・トロントのCNタワーなど世界7か国の九つのビルやタワーが賛同した。現地時間の4日夜から5日未明にかけて、ライトアップされる。【4月5日 読売】
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日本との関係も深いタイからは、電力不足に陥っている東京電力に、ガスタービン発電機2基を付属設備を含めて施設丸ごと無料で貸し出すことが報じられています。

****東電に発電施設丸ごと貸し出し タイから船で運搬****
タイ政府は29日、東日本大震災による福島第一原発などの事故で電力不足に陥っている東京電力に、ガスタービン発電機2基を付属設備を含めて施設丸ごと無料で貸し出すと発表した。1基で約450トン。2基で計24万4千キロワットを供給する能力があり、船で運んで8月中の稼働を目指す。

東京電力は今夏ピーク時の電力不足を総需要の2割弱の850万~900万キロワットと見積もっており、余剰設備がないかを国内外に打診。タイ政府がほぼ休眠状態だった非常時用のガスタービン発電機2基を貸し出すと申し出た。
1995年稼働開始の三菱重工製。貸出期間は3~5年で、吸気フィルターや排気ダクトなど付属設備も運ぶ。全体の設置面積は1基約1700平方メートル。設置場所は検討中という。施設の分解と輸送、再組み立てなどを経て稼働は8月ごろになる。

輸送作業を担当する三菱重工によると、発電機だけを運んで日本で付属設備をそろえるより短期間で稼働できる。これだけの規模の海外移送は「世界的にも聞いたことがない」(担当者)という。
ワナラット・チャーンヌクン・エネルギー大臣は記者会見で「日本とタイは120年に及ぶ協力関係にあり、電力についても40年間にわたり提携してきた」と述べた。【3月29日 朝日】
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バンコクの日本大使館が感謝広告
こうした支援には救われる感じがありますが、その感謝の気持ちははっきりとした形で出すのがいいでしょう。
タイ・バンコク大使館は3月31日付の地元紙に感謝を表す広告を出しています。

****タイ国民に「ありがとう」=震災支援に日本大使館が感謝広告****
タイ国民から日本の大震災被災者に多くの義援金や支援が寄せられたことを受け、バンコクの日本大使館は31日付の地元紙に感謝を表す広告を出した。半ページを占める扱いだが、新聞社側の意向により無料で掲載された。
広告は日本とタイの国旗をあしらい、タイ語、英語、日本語で「ご支援・ご声援ありがとうございます」と記している。この日は英字紙ネーションなど2紙だけだが、1日以降少なくともあと2紙が掲載の予定。どの新聞社も「広告料は不要」と伝えてきたという。

大使館前にも同様のメッセージを書いた横断幕を掲げている。大使館員有志が約5万バーツ(14万円)を出し合って作成した。業者は「料金は要らない」と言っているというが、大使館側は「これは払わせてもらうつもり」と話している。【3月31日 時事】
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他の国にでも行っているのかは知りませんが、まだ行っていないなら、日本の感謝の気持ちを伝えるべく、是非取り組んでもらいたい試みです。

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福島第1原発事故対応に活かされぬ「ロボット先進国」日本の技術

2011-04-01 20:35:42 | 災害

(日本政府から米国務省への要請で、福島に送り込まれたと報じられている軍用ロボット「ドラゴン・ランナー」 米海兵隊向けに開発された戦車のような無限軌道走行型の小型ロボットで、屋内の偵察や車両底部の不審物探査などの任務に適しているとされています。今回は、原発内部に入り込み、詳細な破損状況の確認などに使われることが想定されています。 “flickr”より By Defence Images http://www.flickr.com/photos/defenceimages/4604399402/

【「官邸側の反応が鈍い」】
東日本大震災の救援・復興、福島第1原発の事故対応については、相変わらず厳しい状況が続いています。
官邸を含め、関係者が連日必死の努力をされていることは疑いませんが、部外者の目からすれば、原発事故対応については、国際協力やロボット技術の活用でもう少しうまくいかないものか・・・という思いも感じます。

****米「菅政権の反応が鈍い」…支援提供打診も*****
「もっと我々を信用してほしい」
福島第一原発事故への対応を巡り、米政府関係者は民主党幹部の一人に最近、こうもらした。米国は当初から強い危機感を持ち、原子炉冷却のための様々な機材や人員の提供を打診したが、米側は「官邸側の反応が鈍い」と感じ、「菅政権には米国への不信感がある」との臆測も呼んだ。

29日付の米紙ニューヨーク・タイムズによると、米原発業界は極秘に発電機やポンプ、ホースなどの冷却機材一式を備蓄しており、いざというとき米空軍が全米どこでも運搬する態勢になっている。テロ攻撃などで機能不全に陥った原発の安全確保が目的で、2001年の米同時テロ以後に態勢が整えられたという。
クリントン国務長官が地震直後、「在日米空軍の装備を使い、冷却材を日本の原発に運ばせた」と発言したのは、これに関連しているとみられる。しかし、日本側は「水なら海にいくらでもあるが……」(日本政府関係者)と危機意識が薄く、結局、この緊急計画は発動はされなかった。【4月1日 読売】
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放射線量が高く現場の作業員がなかなか近寄れず温度も線量もわからないとか、汚染されたがれきが作業の妨げになっているとか、作業中に被爆したというニュースを聞くと、「一体、ロボット先進国の技術はどうなったのか?こんなケースにこそ活用されるべきものではないか」という感があります。

【「原子力災害に備えたロボット政策を怠ったつけ」】
もちろん、日本政府もロボット技術活用を行っていない訳ではありません。
****米ハイテク3社、原発事故支援へ リスク回避へ日本要望******
東京電力福島第一原発の事故を受け、遠隔操作ロボットの開発が盛んな米国から、複数のハイテク企業が支援に名乗りを上げている。イラク戦争に使われた軍用ロボも投入される。原発事故という特殊現場での効乗は未知数だが、期待は高まっている。

「日本政府が世界にロボット、無人機を求めています」。世界の注目が「フクシマ」に集まっていた3月22日、米バージニア州にある国際無人機協会(AUVSI)のホームページに会員企業向けの案内が載った。
ロボット開発に取り組む研究者や企業でつくる世界最大の業界団体で、現在55力国から2千社以上が加盟している。協会によると、原発事故後、日本政府が米国務省にロボットや無人機の支援を要請。現時点で少なくとも3社が支援に動き出しているという。(中略)

遠隔操作ロボの開発は軍事利用が念頭に置かれているが、原発事故の直後には、日本の防衛省関係者の間で 「今回は戦地に並ぶ危険任務。遠隔操作可能な無人機、ロボットを投入できれば、人的リスクを軽減できる」との期待が高まっていた。
国際無人機協会によると日本側が求めているのは、 ①運搬用ロボット、②原発の深部に入り込んで破損状況など詳細データを収集できる小型ロボット、③放射能汚染区域にも物資や機器を運べる遠隔操作型の無人ヘリコプターやトラックの3点だった。
世界における軍事ロボの広がりに詳しい米ブルッキングス研究所のピーター・シンガー上級研究員によると、多くの米企業がアイデアや技術の提供を申し出ている。原発という珍しいケースのため、試作品の投入も検討されているという。【4月1日 朝日】
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ただ、こうした先端技術を使いこなせていない現状もあるようです。
****原発災害ロボ、使えぬ日本 欧米提供もノウハウなく****
専門家「政策怠った」
放射性物質(放射能)漏れ事故を起こした東京電力福島第1原子力発電所は、建屋内の汚染水や高い放射線量が復旧作業を阻んでいる。欧米各国の支援もあり、現地には原子力災害に対応できるロボットが投入されているが、十分に活用できていない。事故を想定したロボット運用のノウハウが日本にないためで、専門家からは、政府や東電が「原子力災害に備えたロボット政策を怠ったつけ」との批判が上がっている。

東日本大震災の発生に伴う事故から間もなく、米国から、米アイロボット社が米軍向けなどに開発している運搬用ロボットなどが日本に送り込まれた。日本の原子力安全技術センターも、放射能を測定できるロボット「防災モニタリングロボ」2台を現地に送り込んだ。
米社のロボットは、100キロ以上の物体を運ぶ能力があり、高い放射線量が検出されている場所で、消防ホースを運ぶ役割などが期待される。ただ、ロボット操縦用に派遣された社員6人は待機している状況だ。
防災モニタリングロボは、約1キロの遠隔地から自走して災害現場にたどり着き、作業できるが、東電は「現場に任せているので詳細は分からない」(広報)と歯切れが悪い。
アイロボット社は「われわれも詳しい情報がない。スタッフは要請があればいつでもスタンバイしているが…」と戸惑い気味だ。

災害用ロボットの権威である東北大の田所諭教授は「原子力災害用に開発されたロボットは人に代わって危険な現場で作業をこなす能力がある」と指摘する。
活用を妨げているのが、ロボットの運用の問題だ。原子力安全技術センターは「操作方法を東電に教え、使い方も東電の判断に委ねている」とするが、東電の受け入れ態勢もさることながら、東電任せで、慣れない事故現場での作業効率が十分かは疑問だ。

3月28日付米紙ワシントン・ポストは、世界的にみれば原子力災害に対応したロボットを配備する国は少数だと紹介した。米国でも、1979年のスリーマイル島原発事故後に産学連携で開発が進んだが、経営難で行き詰まったという。
それでも、田所教授は「電力会社や当局が、ドイツやフランスのように原子力災害に備えたロボット開発を推進してこなかったことは問題だ」と指摘する。
ドイツのメルケル首相は、原子炉の修復などに使える高性能ロボットの提供を日本政府に申し出た。米国も軍用の爆発物処理ロボットを29日に発送したほか、放射線の測定ロボットの投入も準備している。
日本政府も遅まきながら、第1原発でのロボット活用を検討し始めたが、人的被害を最小限に抑えるには、もっと迅速な対応が求められた。【4月1日 産経】
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メンテナンスされてなく使えないロボット
日本の原発用ロボットについては、こんな記事も。
****日本製も現場投入*****
日本のロボットも現地に1台が派遣されている。放射線計測器やカメラなどを積んだ「防災モニタリングロボット」だ。原子力安全技術センターが1億円弱をかけ、2000年に開発した。
これまで防災訓練で使われていたが、「実戦」は初めて。地震発生から徽日後に東電側に引き渡された。ただ「使用状況に関する情報は入っていない」(同センター)という。

「ロボット先進国」の日本では、原子力施設の事故に対応する専用のロボットも開発してきた。
同センターのほかに、旧日本原子力研究所(現・日本原子力研究開発機構)も、99年に茨城県東海村のJCOで起きた臨界事故の後、放射性物資で汚染された場所の状況を把握することなどができるロボット5台を開発した。
だが、福島には派遣されていない。今はもう動かないからだ。予算がつかなくなり、メンテナンスができなくなったためという。【4月1日 朝日】
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メンテナンスされてなく動かない・・・というのはどういう状況でしょうか?
何十年も以前の機械ならまだしも、ほんの10年ほど前の機械ですから、こうした事態を受けて突貫作業でメンテナンスすればすぐに使えるようになる・・・といったものではないのでしょうか?こうした事態のために高い費用をかけて開発した技術ではないのでしょうか?
素人にはわからないところですが、被爆の危険をおかしながら作業を続けている関係者のことを思うと、危機意識が欠如しているようにも思えてしまいます。

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福島第一原発事故 世界の原子力政策に衝撃 “原子力時代終焉”の報道も

2011-03-17 21:31:22 | 災害

(3月13日 核廃棄物貯蔵施設があるドイツ北部ゴアレーベン(Gorleben)での原発反対の抗議デモ “Fukushima ist überall”(“Fukushima is everywhere”)のプラカード “flickr”より By cephir
http://www.flickr.com/photos/cephir/5531943110/ )

消えないチェルノブイリの悪夢
東電福島第一原発の事故については、今日も最悪シナリオを回避すべく、ヘリからの放水、地上からの放水、送電ラインの確保など、必死の対策が取られていますが、予断を許さない危機的状況が続いています。

“想定外”の事故、“日本ではありえない”とされていた事故、その後の制御不能の状態の衝撃は、温暖化対策や原油価格高騰のなかで“原子力ルネサンス”とも呼ばれる原発重視の姿勢を強めていた世界各国の原子力対応へ深刻な再考を求めています。

****原子力時代終焉・統制不能…各国報道も原発集中****
東京電力福島第一原子力発電所の事故が連日、深刻化するにつれて、各国メディアの報道も、原発の危険性に集中し始めている。

米紙ニューヨーク・タイムズ電子版は14日、「電力会社幹部はどうすればいいか分からず、完全にパニックだ」とする業界関係者の見方を紹介、最悪の場合は燃料が格納容器の底を突き抜ける「メルトダウン」が起きる恐れを指摘した。
米メディアの関心は、放射性物質の拡散や米国内の原発の耐震性などにも移っている。14日のホワイトハウスでの記者会見では、「同規模の地震に米国の原発は耐えられるのか」「最悪のシナリオでも、アラスカや西海岸に(日本からの)放射性物質は届かないか」といった質問が相次ぎ、米原子力規制委員会(NRC)のグレゴリー・ヤツコ委員長が「距離から見て米国に害が及ぶことは、まずない」などと否定に追われた。
米国内には104の原発があり、電力の2割をまかなっている。カリフォルニア州では地震、中西部では竜巻の脅威があるため、米専門家の間では「日本の事故が、米国内の原発の建築、運用の規制強化につながる可能性がある」との見方が広まっている。
(中略)
ドイツの高級誌シュピーゲル(14日付英語電子版)は、「原子力時代の終焉」という見出しで詳報しながら、旧ソ連のチェルノブイリ原発事故と比較し、「日本政府が安全を確約しているにもかかわらず、再びチェルノブイリが起きる不安が広がっている」と伝えた。【3月15日 読売】
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アメリカ:引き続き原発推進
アメリカでは1979年のスリーマイル島原発事故以来、原発の安全性に対する懸念が強く存在していますが、オバマ大統領は、国内のエネルギー需要に対応する狙いで、化石燃料への依存を減らし、原子力発電を推進する方針を打ち出し、昨年には、約30年ぶりに建設する新たな原発に83億ドル(約6800億円)の融資保証を発表しています
原子力関連産業の団体、米国原子力エネルギー協会(NEI)によると、現在、向こう15─20年間に建設予定の原子炉20基の営業免許申請を当局が審査中です。

今回の事態を受け、「日本の地震・津波被害の状況を把握するまで、静かに素早くブレーキをかける必要があると思う」(上院国土安全保障・政府活動委員会のリーバーマン委員長)など、米政府内ではこうしたエネルギー政策を見直す動きも出ているとも伝えられています。
しかし、当面は国内の原子力発電を引き続き推進していく意向があらためて示しされています。
今後、オバマ大統領が提案している360億ドル(2兆9520億円)の原発建設融資策を巡り、議会で議論を呼ぶことが予想されます。

****米国が原発推進をあらためて強調、福島原発事故は「教訓に****
日本の福島第1原子力発電所で相次いで事故が発生するなか、米政府は14日、国内の原子力発電を引き続き推進していく意向をあらためて示した。
米エネルギー省のポネマン副長官はホワイトハウスで記者団に対し、政府が目指すクリーンエネルギーの発展に向け、原子力発電は非常に重要な位置を占めていると指摘。米国内の原発の安全性を確信していると強調した。
日本での原発事故については、今後の技術改善に教訓として生かすと述べた。
米国では現在、104基の原発が稼動しており、国内電力需要の20%をまかなっている。(後略)【3月15日 ロイター】
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ドイツ:稼働期間延長方針を棚上げ
今回事故にもっとも敏感に反応したのがドイツです。メルケル首相は原発稼働期間を延長する決定を棚上げすることを発表しています。
****ドイツが原発稼働延長を棚上げ、福島第1原発の問題受け****
ドイツ政府は、東日本大震災で被災した東京電力福島第1原子力発電所が危険な状況に陥っていることを受け、原子力発電所の稼働期間を延長する方針を棚上げした。
独連立政権は昨年、シュレーダー前政権が掲げた脱原発政策を修正し、原発の稼働停止期限を延長することで合意した。
ところが、地震で被災した福島第1原発の深刻な事態を受け、急きょその方針の見直しを迫られた。
メルケル首相は記者会見で「わが国の原発の稼働期間を延長する決定を棚上げにする。期間は3カ月を予定している」と述べたうえで、原発の安全性検査について、「一切聖域を設けず」行う方針を示した。【3月15日 ロイター】
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これまでは「ドイツの原発は安全だ」と強調していたメルケル首相ですが、15日には、1980年以前に稼働した7基すべての稼働を少なくとも6月まで一時停止する方針も表明しています。「世論調査では最大70%ものドイツ人が原発に反対している」(ニューヨークタイムズ)と言われるように原発への批判が強い世論を考慮して、“今月実施される地方選挙で大敗を避けようとする思惑があるとみている”【3月16日 ロイター】とも。
また、政策変更を迫られたメルケル首相は、日本政府の情報提供のありように苛立ちを募らせているようです。

イギリスでは、ヒューン・エネルギー相が日本の原発事故を受け、イギリスの原発に関する安全点検の報告書をまとめるよう関係者に指示しています。
“英下院にも、ドイツのような全面的政策見直しを視野に入れた対応を求める声があるが、エネルギー相は「(欧州)大陸側の一部の政治家は原発問題についての判断を急いでいるようにみえ、残念だ」と述べた。”【3月16日 時事】とも。

なお、EU全体としての対応としては、EU域内14か国で稼働している原子炉143基の安全性の総点検を実施することで原則合意しています。

ロシア:原発輸出策を続ける方針
チェルノブイリ原発事故を経験したロシアは、原発輸出策を続ける方針を鮮明にしています。
****原発建設にロシアとベラルーシ合意 「計画とめない****
ロシアは15日、ベラルーシと共同で同国に原発を建設することで合意した。ロシアは原子力を成長産業と位置づけ、外交ツールとしても重視しており、福島第一原発の事故で広がる「原発敬遠」の動きを牽制(けんせい)する狙いがあると見られている。

ロシアのプーチン首相が同日、ベラルーシのルカシェンコ大統領らと会談して合意にこぎ着けた。インタファクス通信によると、プーチン首相は「ベラルーシは日本のような地震ゾーンにはないが、我々の原発は最新世代で安全性がより高い」と主張。14日には「日本の出来事の教訓は学ぶが、自らの計画を止める予定はない」と述べていた。
ロシア国営原子力企業「ロスアトム」の専門家も、福島のケースはチェルノブイリ原発事故とは根本的に違い、福島タイプの炉はロシアにはないと強調。こうした発言には「原発批判の高まりやパニックを払拭(ふっしょく)する試みだ」(独立新聞)との指摘が出ている。

チェルノブイリ事故で放射能被害を受けたベラルーシでの原発建設には、欧州連合(EU)加盟国の隣国リトアニアが反対している。
ロシアは中国やベトナムで原発を建設中で、計30基の原発輸出計画があるという。国内でも現在16%の原発電力シェアを2030年までに25%へ拡大する予定で、今後28基をつくる計画とされる。【3月16日 朝日】
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中国:安全確保を最優先し見直し
中国は安全確保を最優先し、中長期計画を見直す方針を決めています。
****中国:新規の原発建設計画の審査・承認を暫定的に凍結****
中国政府は16日、温家宝首相が主宰する国務院(政府)常務会議を開き、福島第1原発の事故を受けて、新規の原発建設計画の審査・承認を暫定的に凍結することを決めた。
常務会議は、稼働中の原発の全面的な安全検査を行うほか、原子力安全計画の策定を急ぐとしており、凍結は計画が確定するまでの措置。

原発増設などに関する中長期計画も見直される。中国政府はこれまで電力需要の急拡大に合わせて原発の増設を急速に進めてきたが、今回の事故で再検討を迫られた格好だ。
常務会議は、建設中の原発も再度チェックし、安全基準に合わなければ建設を停止することを決めた。【3月16日 毎日】
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台湾・韓国、東南アジア各国でも高まる議論
台湾・韓国でも安全性に関する議論が高まっています。
****台湾が原発公開、安全性を強調 韓国も原発の安全報告****
すでに原発のある台湾や韓国でも安全性への疑問の声が高まっている。
3カ所の原発を運営する台湾電力は15日、北部の海沿いにある第一原発をメディアに公開した。運転開始が1970年代末でやや古く、半径20キロ圏に台北市北部が入る。
陳台裕所長らは「福島にはないものが我々にはある」と安全性を強調した。敷地は海面から12メートルで、津波に耐えられる。予備電源にはガスタービン発電機2基とディーゼル発電機があるという。だが地元記者の一人は「いくら備えてもそれを上回る災害がありうることを考えないのか」と疑問を呈した。
台湾の電力供給のうち原子力は現在2割ほど。原発反対の機運が高まり、現在建設している第四原発の扱いが焦点となっている。馬英九(マー・インチウ)政権は、原発推進の政策は変更しない考えだ。しかし馬総統自身、「第四原発の防災対策を強化したい」と表明した。

韓国大統領府は16日、幹部会議を開いた。出席者によると、韓国国内で稼働中の21基の原発について設計段階から安全に配慮して建設されたことなどが報告された。
ただ、野党の孫鶴圭・民主党代表は16日、「原発を基本とするエネルギー政策を根本的に検討すべきだ」と発言。与党からも原発の徹底した再点検を求める声が出始めている。(村上太輝夫、箱田哲也) 【3月17日 朝日】
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原発導入を予定している東南アジア各国にも強い衝撃を与えています。
****原発導入予定の東南アジア各国に不安 見直し促す声も*****
福島原発で相次ぐ事故のニュースは、経済成長に伴う電力需要の急増などから原発導入を予定する東南アジア各国に驚きと不安を持って受け止められている。

「建設予定地で地震発生は予想されていない」「地震対策は万全だ」。昨年10月、国内で初めて建設する4基の原発のうち、2基を日本企業に発注することを決めたベトナム。メディアが連日事故を詳しく報じるなか、14日付の政府系ラオドン(労働)紙は、科学者の言葉を引用して、原発の安全性を強調した。
政府が世論の動きに敏感になっている表れだ。設置場所や災害時の冷却方法などでより慎重な計画を求める論評も出てきている。グエン・フォン・ガー外務省報道官は14日、朝日新聞の取材に「日本と協力し、最高の計画を作る」と語り、予定に変更のないことを確認した。

地震大国インドネシアでも、国内初の原発建設に向けた計画が進行中だ。有力紙コンパスは、16日付で複数の原発関係者らのコメントを掲載。原子力専門家のイワン・クルニアワン氏は「日本は原発施設で長年の歴史がある。日本人は勤勉で規律を守る国民にもかかわらず、事故が起きた」と、見直しを促した。
同国原子力庁の職員も16日、朝日新聞の電話取材に対し、匿名を条件に「日本の経験は多くの教訓を与えた。再考すべきだ、急ぐ必要はないではないか、という雰囲気になっている」と話した。(中略)

2021年をめどに初めて原発を導入する方針を打ち出しているマレーシア。野党が政権を握るペナン州のトップ、リム・グアンエン首席大臣が福島原発の事故直後から、同州内での原発建設に反対する考えを訴えるなど、複数の政治家や専門家から、政府に見直しを迫る声が上がっている。
リム氏は「先進国の日本ですら、原発をうまく制御できないでいるのに、マレーシアの与党政権が(原発事故に対し)どのような対応をするのか想像もできない」と述べた。

28年までに原発5基の建設計画があるタイ。アピシット首相は13日、「日本の原発での爆発はタイの計画に影響を与える」と発言。15日には建設候補地の東北部カラシン県で建設反対の住民約1千人が集会を開くなど、建設に否定的な発言や動きが相次ぐ。

また、温室効果ガス削減を理由に、一部で原発建設論議も出ているオーストラリアでは、与党労働党のギラード首相が14日、「豪州には太陽光や風力など代替エネルギーがほかにもあり、原発は必要ない」と語り、原発を推進しない姿勢を示した。【3月17日 朝日】
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このほか、メキシコ政府が14日、6月末までに決定するはずだった原子力発電所の建設計画について福島第1原発の事故状況が判明するまで保留する方針を明らかにしたこと、トルコのユルドゥズ・エネルギー相が、2カ所の原子力発電所の建設計画について予定通り進める方針を示したことなどが報じられています。

イラン・ブシェール原発 「我々のは現在の高い基準で造られた」】
最後にイランのブシェール原発に関する話題。
****イラン原発、トラブル続発****
稼働を控えたイラン南部のブシェール原発(出力100万キロワット)が、相次いでトラブルに見舞われている。政府は4月の発電開始を目指すが、遅れは必至。ペルシャ湾を挟んで向き合う湾岸諸国からは、安全性を疑問視する声が上がっている。

「日本のもの(福島第一原発)は40年前の古い安全基準で造られ、我々のは現在の高い基準で造られた。問題が起きるとは思わない」。アフマディネジャド大統領は15日、スペインのテレビ局との会見でブシェール原発の安全性を強調した。
しかし、大統領の言葉とは裏腹に問題が立て続けに発覚している。建設を担ったロシアは2月末、炉心に装填した163本の燃料棒を取り外して点検すると発表した。冷却ポンプが破損し、炉心などに微細な金属片が散らばったためとしている。
昨年秋に発覚したコンピューターウイルス「スタクスネット」も影響した。詳細は不明だが、ロシアのロゴジン駐北大西洋条約機構(NATO)大使は1月、「チェルノブイリ原発事故に匹敵する惨事が起きるところだった」と述べた。

イランは地震大国だ。仮に放射能漏れが起きれば、風向きの関係で湾岸諸国に真っ先に被害が及ぶとされる。クウェートの専門家は米ブルームバーグ通信に「イランは『信用してほしい』というが、信じる方が難しい」と警戒感をあらわにする。
ブシェール原発は1974年、ドイツ企業により建股が始まった。79年のイスラム革命で中断した後、ロシアの協力で95年に再開され、昨年夏に完成。燃料棒もロシアが管理するため、米国も稼働を容認した経緯がある。【3月17日 朝日】
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原発建設をこれまでどおり推進する立場の政府の説明は「我々のものは日本のものとは違い安全だ」というものですが、どうでしょうか・・・・。日本でも“安全だ”と言われていました。

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東日本大震災  海外で広がる日本支援と冷静な日本人への称賛 原発事故対応のまずさの指摘も

2011-03-16 20:52:24 | 災害

(“flickr”より By euronews http://www.flickr.com/photos/euronews/5525925277/ )

続く最悪シナリオの可能性
東日本大震災で被災した東京電力福島第1原発の事故は、関係者の懸命の努力にもかかわらず終息には至っておらず、メルトダウンによる大量の放射性物資の放出という最悪のシナリオの可能性もなお捨てきれない危機的状況が続いています。

****原子炉冷却に全力=白煙、火災相次ぐ―周辺は高い放射線量・福島第1*****
東日本大震災で被災した東京電力福島第1原発(福島県大熊町、双葉町)では16日、3号機付近で水蒸気とみられる白煙が大量に立ち上り、4号機では原子炉建屋4階で再び火災が発生した。周辺では高い放射線量を観測。東電は冷却のため同日午後も原子炉への海水注入を続けるとともに、使用済み燃料プールにも海水を入れる準備を進めた。

地震発生時に運転中だった1~3号機では原子炉の冷却機能が失われ、一部炉心溶融が起きた可能性が高く、1、3号機は水素爆発で原子炉建屋上部が崩壊。2号機も建屋内の原子炉格納容器の一部が壊れた可能性が高く、高レベルの放射性物質が外部に放出された。

定期点検中だった4~6号機も含め、原子炉の近くにある使用済み燃料プールも冷却できず、水温が上昇。蒸発して水位が下がり、燃料棒の被覆管が損傷して、同様に高レベルの放射性物質が放出される事態が懸念されている。【3月16日 時事】
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福島第一原発の正門付近では14日に続き、15日にも核分裂が起きた時に出てくる中性子線が検出されたことも発表されていますが、検出の原因は不明とされています。

立場を越えて広がる支援
被災地での救助活動には世界各国から救助隊派遣などの支援が行われていますが、救助支援活動にあたる人々も被ばくを受けています。
****求められる限り日本支援=米兵被ばく続く―海軍****
東日本大震災で救援支援活動に当たっている米兵が新たに数人、低レベルだが被ばくしたことが15日、分かった。米軍が明らかにした。福島県の原発事故による放射線の脅威が増しているが、米海軍第7艦隊のファルボ広報官は「米国と同盟国日本との間には揺るぎない絆がある。日本政府から求められる限り、支援活動をやり通す」と述べた。(後略)【3月16日 時事】
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また、原発事故対策についても、アメリカやロシアから専門家が派遣されています。
****米国から原子力専門家7人、新たに到着****
米国のルース駐日大使は16日、都内の米大使館で記者会見し、米原子力規制委員会の専門家7人が同日、新たに日本入りしたことを明らかにした。
7人は、すでに12日から日本入りしている同委員会の専門家2人に合流し、福島第一原発の危機収拾に向け、日本政府や東京電力と連携して技術的支援にあたる。
米国からは15日に、高空と陸上の放射性物質測定機器が届いているほか、被曝による健康被害の専門家も日本国内で情勢分析にあたっているという。(後略)【3月16日 読売】
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海外では被害を受けた日本支援の声が、日頃の立場・意見の相違を越えて広がっています。
****日本助けよう」、韓国で募金の輪 2日間で4万人*****
東日本大震災で甚大な被害を受けた日本の災害復旧と被災者の救護活動に向けた個人の募金寄付が相次いでいる。
韓国社会福祉法人の社会福祉共同募金会が16日に明らかにしたところによると、日本に向けた募金活動は14日から本格的に始まり、2日間で4万8761件の計2億3977万ウォン(約1700万円)が集まった。(中略)
韓国共同募金会関係者は、「昨年1月に起きたハイチ大地震の時より寄付額が多く、関心が非常に高い。隣国であることが影響したようだ」と話した。
これに先だち、韓国共同募金は13日に第1次緊急救護支援金として50万ドル(約4000万円)を日本に支援している。【3月16日 聯合ニュース】
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韓国ではいわゆる反日団体も支援を表明しています。
****韓流スター、次々哀悼=反日団体も「痛み」―東日本大震災****
被害が広がる東日本大震災を受け、日本となじみ深い韓流スターからも次々と哀悼と支援の声が上がっている。「ヨン様」ことペ・ヨンジュンさんは14日、ホームページ(HP)で「被災された方々の安否が心配でテレビの前を離れられません。心を痛めています」とのコメントを発表した。(中略)
一方、支援の輪は「独島(日本名・竹島)守護」を掲げる反日的な市民団体にも。「ファルビン団」の洪貞植団長は「反日運動を一生懸命やってきたが、それはそれだ。今回の地震は、世界全体で痛みを分かち合わなければいけない。その意味で『市民連帯の集い』を結成し、日本の手助けをしようと考えている」と語った。【3月14日 時事】 
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****前を向いて歩こう」=タイ英字紙が激励広告―東日本大震災*****
タイの英字紙「ネーション」は16日付朝刊で、東日本大震災の被災者を激励する全面広告を掲載した。紙面の中心に大きな日の丸を描き、両脇には「前を向いて歩こう日本」と日本語で掲げた。
紙面上部には日本国民へのお悔やみの言葉を英語で記した。下段には、被災者への義援金を受け付けている銀行や企業の連絡先、毛布の持ち込み先を載せた。さらに、携帯電話からメッセージを送信すると1回10バーツ(約27円)が寄付される携帯各社のサービスについても紹介した。【3月16日 時事】
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14日付の韓国紙・ソウル新聞も1面に、韓国語と共に日本語で「震災に対し、深い哀悼の意を表します」との支援メッセージを掲載しています。

中国でも援助の声が広がっています。
*****対日援助、8割超が賛成=大震災で中国世論調査*****
香港のニュースサイト・鳳凰網がこのほど、インターネット上で実施した世論調査結果によると、大震災が発生した日本に対して人道援助をすることに賛成するとの意見が8割以上に達した。同サイトは中国当局系で、本土の利用者が多く、調査回答者の大半は本土のネットユーザーとみられる。
調査は東日本で大震災が起きた11日午後から12日夜にかけて実施し、約100万人が回答。「日本に人道援助を実施すべきだ」とする意見が86.7%を占めた。日本とは対立関係にあるとして援助に反対した人は10.6%にとどまった。

一方、台湾では与党・国民党の黄昭順立法委員(国会議員に相当)の事務所責任者が交流サイト「フェイスブック」で、尖閣諸島の領有権をめぐる対立を理由に対日援助はすべきではないと主張し、ネット上で非難を浴びた。黄氏は謝罪した上で、この責任者を解任した。【3月14日 時事】
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****日本に手を差し伸べよう」=中国紙に学者100人意見広告****
「日本に温かい手を差し伸べよう」。中国共産党機関紙・人民日報系の国際問題紙・環球時報は16日、北京大学国際関係学院の王緝思院長ら中国人学者100人が東日本大震災で日本への支援を呼び掛ける意見広告を出した。
尖閣諸島沖での漁船衝突事件や歴史認識問題で日本に対する厳しい論調が目立つ同紙に、こうした意見広告が出るのは珍しい。

学者たちは「中日両民族には2000年余の交流があり、植民地主義戦争の傷は深く、今もなお残された歴史問題が時に国家間の政治摩擦をもたらしているが、宿命や困難を克服し、互いに励まし合うことが必要だ」と指摘。「日本人は粘り強い。中国人の愛の心と援助の手は、日本人が災難に立ち向かう自信と力になるだろう」と訴え、募金やボランティアによる支援活動への参加を呼び掛けた。【3月16日 時事】 
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なお、アメリカではハイチ大地震のときと比べると募金は低調だそうで、「日本はハイチやインドネシアと異なり先進国だ。米国民が広範な国際支援が必要と一般的に考える国ではない」との声もあるようです。

香港の富豪からの8100万円の義援金も報じられていますが、戦乱が続くアフガニスタンからも400万円の支援表明がなされています。現地の事情を考えると大きな金額です。

****アフガニスタンが「400万円」支援表明***
アフガニスタンのカンダハル州のグラム・ハイダル・ハミディ市長は12日、東日本大震災の被災者に義援金5万ドル(約400万円)を送ることを表明した。
AFP通信によると、カンダハル州は反政府勢力タリバンとの内戦が最も激しい地域の一つ。それにも関わらず、これまでに日本がアフガン復興を熱心に支援してきたことへの恩返しとして、「市民を代表して地震と津波の被災者を支援したい」と述べているという。
アフガニスタンの生活水準では、国民の3分の2が、1日あたり2ドルという生活水準だとも言われており、いかに大きな金額かが理解できる。【3月13日 ゆかしメディア】
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【「なぜ日本では略奪が起きないのか」】
3月13日ブログ「東日本大震災 日本人の冷静さに対する海外からの称賛」(http://blog.goo.ne.jp/azianokaze/d/20110313)でも取り上げたように、危機に際しての日本人の冷静さに対する称賛も海外で話題になっています。 

****大災害より強い日本人」=「危機でも協力」と称賛―韓国紙****
14日付の韓国紙・中央日報は「大災害より強い日本人」との見出しの社説で、「凍り付くような恐怖の前で日本人は冷静な国民性を遺憾なく発揮している。われわれは日本から学ぶことが多い」と論じた。韓国各紙は14日付朝刊でも東日本大震災を大々的に伝えたが、日本人の冷静ぶりを称賛する記事や、日本への協力を呼び掛ける記事が目立った。

中央日報は東京特派員の記事で、「南三陸地方では街が壊滅的な被害を受けているのに、叫び声や不満の声は聞こえない」「人々は『復旧を願うだけ』とあすを語り、誰のせいにもしない」と指摘。「危機でも協力する共同体意識は日本社会の底力だ」と書いた。
同特派員は、こうした背景に「他人に迷惑を掛けてはいけない」という日本人の考えと、降りかかってきたことを宿命と受け入れる国民性があると分析した。

一方、毎日経済新聞は「韓日関係、転換点へ」との見出しで、「今回の地震を契機に、韓日関係を協力と和解に発展させなければならないとの声が高まっている」と伝えた。また、ソウル新聞は1面に、韓国語と共に日本語で「震災に対し、深い哀悼の意を表します」とのメッセージを載せた。【3月14日 時事】
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****被災日本人のマナー、米紙が称賛****
米ロサンゼルス・タイムズ紙は13日、東日本巨大地震を取材中の特派員電を掲載、「非の打ち所のないマナーは、まったく損なわれていない」という見出しで、巨大な災害に見舞われたにもかかわらず、思いやりを忘れない日本人たちを称賛した。
記事は、足をけがして救急搬送をされた年配の女性が、痛みがあるにもかかわらず、迷惑をわびた上で、ほかの被災者を案じる様子などを紹介した。【3月15日 読売】
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****なぜ略奪ないの?」=被災地の秩序、驚きと称賛―米*****
東日本大震災の被害や福島第1原発事故が連日、トップニュースで伝えられている米国で、被災者の忍耐強さと秩序立った様子に驚きと称賛の声が上がっている。「なぜ日本では略奪が起きないのか」―。米メディアは相次いで、議論のテーマに取り上げている。

CNNテレビは、2005年に米国で起きたハリケーン・カトリーナ災害や10年のハイチ大地震を例に「災害に付き物の略奪と無法状態が日本で見られないのはなぜか」として意見を募集。視聴者からは「敬意と品格に基づく文化だから」「愛国的な誇り」との分析や、「自立のチャンスを最大限に活用する人々で、進んで助けたくなる」とのエールも寄せられた。【3月16日 時事】
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****東日本大震災 台湾、対日強硬派も応援 「略奪なく、すべてに秩序****
台湾の著名評論家、南方朔(本名・王杏慶)氏は15日付の台湾紙「中国時報」のコラムで、未曽有の大震災に見舞われた日本の国民や各界の対応を絶賛、「武士道精神の日本が災難に打ち負かされることはない」と最大限のエールを送った。
中国時報は親中派紙で、南方朔氏も「保釣(尖閣諸島防衛)」の強固な主張者だが、こうしたメディア、評論家も今回はおしなべて日本を応援している。
台湾では一般的に戦前から台湾に居住する台湾人が親日的な一方、戦後中国大陸から渡来した外省人が日本に厳しい傾向がある。
南方朔氏は後者の代表的評論家だが、「超大地震と津波に見舞われた日本で(米ニューヨーク大停電やカトリーナ災害時のような)商店略奪も起きず、すべてに秩序が保たれている」ことを称賛。
「日本独特の栄誉を重んじ、恥を知り、礼を重んずる特性」の原点を新渡戸稲造が指摘した武士道精神に求めている。
「ぐらつく菅直人政権も責任逃れせず」、官僚体制も的確に機能し、メディアも、冷静客観的に報道責任を果たしていると評価。「日本はいま、全世界のかわりに最も尊い試練に立ち向かっている」と述べている。【3月16日 産経】
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対応の遅れ、情報開示の不徹底への批判も
一方、日本政府の危機対応についてはWTOは評価していますが、それとは異なる批判もあります。
****東日本大震災 原発事故 WHOが日本の対応を評価*****
世界保健機関(WHO、本部ジュネーブ)は15日、東日本大震災による福島第1原発事故での日本政府の措置は適切だと評価した。WHOの報道官はロイター通信に、「原発から30キロ以上離れると被曝(ひばく)の危険性は格段に下がる。危険はかなり早く小さくなる」と語った。ヨウ化カリウムを準備したり、屋内にとどまるよう指示したりしているのも適切だと述べた。【3月16日 産経】
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****チェルノブイリ経験露専門家、日本入国足止め*****
福島第一原子力発電所の事故後の経過を注視するロシアで、東京電力と日本政府の対応のまずさを指摘する「人災説」が強まっている。
16日付の有力紙「イズベスチヤ」は、国営原子力企業「ロスアトム」専門家の見方として、「事故直後、(東京電力は)放射性ガスを大気中に放出してでも、即座に原子炉を水で浸さねばならなかった。最悪の事態を避けられると期待し、対応が遅れた」と伝えた。
露独占事業研究所の研究員は、「2004年のスマトラ島沖地震など強大な地震が起きたのに、事業者は、原子炉だけでなく冷却装置など関連施設の強化を怠った」と地元紙に述べた。
露各紙は、チェルノブイリ事故の処理に当たったロシアの専門家が、入国許可が遅れたために15日にハバロフスクで足止めを食ったとして、日本政府の対応の遅れに疑問を呈した。【3月16日 読売】
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****独メディア「日本政府は事実を隠蔽、過小評価****
ドイツでは、福島第一原発の爆発や火災などに関する日本政府の対応について、不信感を強調する報道が目立っている。
被災地で救援活動を行っていた民間団体「フメディカ」の救援チーム5人は14日、急きょ帰国した。同機関の広報担当者シュテフェン・リヒター氏は地元メディアに対し、「日本政府は事実を隠蔽し、過小評価している。チェルノブイリ(原発事故)を思い出させる」と早期帰国の理由を語った。

メルケル首相も記者会見で「日本からの情報は矛盾している」と繰り返した。ザイベルト政府報道官は、「大変な事態に直面していることは理解している。日本政府を批判しているわけではない」と定例記者会見で釈明したが、ドイツ政府が日本政府の対応にいらだちを強めていることは間違いない。【3月16日 読売】
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なお、オーストリア外務省は15日、福島第1原発の事故の先行きが不透明なことから、大使館の業務を都内の大使館から大阪にある総領事館に移すと発表しています。





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危機的状況が続く福島第一原発  トラブル続発 制御できず

2011-03-15 22:33:28 | 災害

(原発事故とは関係ありませんが、泥道を避難する宮城県名取市の住民 “flickr”より By Beacon Radio
http://www.flickr.com/photos/beaconradio/5519144197/ )

依然制御できず
東日本大震災による東京電力福島第一原子力発電所における危機的状況については、1号機から4号機が次々に爆発・火災・放射線漏れなどを起こす状況が続いており、運休中の5号機・6号機も温度上昇が伝えられています。

基本的知識を欠いているうえに、詳細な情報が把握できない状態ですので、一体何が起きているのかわからない部分がありますが、今日現在の状態をまとめると以下の記事のようなところです。

****福島第一1~4号機、依然制御できず*****
東京電力福島第一原子力発電所は、計6基の原子炉のうち4基で、放射能漏れや原子炉格納容器の破損が疑われる爆発や建屋火災など、深刻な事故が相次いで発生し、1~3号機で原子炉が十分に制御できない状態に陥っている。

水素爆発により原子炉建屋が大破した1、3号機について、東京電力は、核燃料の「冷却が最優先」として、炉心への海水の注入を続行。だが、圧力容器内が高圧になっていることもあり、「水が入っているかどうかは確認できない」(東電)という。15日午後の段階では、1号機の水位は依然不足しており、燃料棒の約半分が水につからず露出した状態が続いている。
3号機は同日朝に、建屋上部から原因不明の蒸気の発生が確認され、東電が調査を急いでいる。

14日夕から深夜にかけて、炉内の水位が低下し、燃料棒が2度にわたりすべて露出した2号機は15日朝、原子炉格納容器の下部にある圧力抑制室付近で爆発が起きた。海水を注入しているが、水位は徐々に低下し、やはり燃料棒の一部が水につかっていない異常な状態になっている。

一方、東日本巨大地震の発生時には、定期検査中で運転を停止していた4号機も、15日朝になって建屋で火災が発生した。建屋内には使用済み核燃料の一時貯蔵プールがあり、火災事故に伴って、放射性物質の飛散が懸念されるが、現場に近づけないため、十分に状況を把握できていない。

福島第二原発で、4基の原子炉のうち4号機だけが、冷却水が100度を下回る状態で安全に停止できていなかったが、15日朝に安全停止が確認された。【3月15日 読売】
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4号機 建屋破損で高濃度放射性物質の大量放出の危険も
定期点検中で、使用済み核燃料がプールに保管されていた4号機は、午前6時14分に爆発音がした後、東京電力社員が北西側の壁に8メートル四方の穴があいているのを確認したと報じられています。

****4号機、放射性物質を隔てるのは建屋のみ****
福島第一原発4号機の使用済み燃料プールの火災はこれまでの爆発事故より深刻だ。プールは原子炉圧力容器や格納容器の外にあり、外部と隔てるのは鉄筋コンクリート製の建屋しかない。1、3号機と同様に水素爆発が起きて建屋が吹き飛び、高濃度の放射性物質が大気中に大量に放出される恐れがある。

使用済み燃料は原子炉で燃やした核燃料を貯蔵しておくプールで、原子炉の隣にある。しかし、使用済みでも燃料は熱を帯びており、1時間あたり数トンの水が蒸発している。このため、常に水を補充して冷まさなければならない。今回、電源切れで水の補充が止まり水が蒸発したとみられる。このため使用済み燃料がむき出しになり、燃料を覆う合金から水素が発生し、酸素と反応して爆発したとみられる。
対策は、速やかにプールに水を注入して使用済み燃料を十分に水で冷やすことだ。4号機は地震前から原子炉が停止中だったため水を入れるのは1、3号機より容易だ。
しかし、すでに建屋内で火災が起きて一部損壊。高濃度の放射性物質が外に出ているとみられている。作業員の被曝(ひばく)の問題から作業は難航するとみられるが、建屋が水素爆発で吹き飛ぶことは防がなければならない。
専門家は、建屋の大爆発で大気中に高濃度の放射性物質が大量に飛散するのを防ぐ対策が最も重要だという。 【3月15日 朝日】
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2号機 格納容器も一部破損か?】
放射性物質封じ込めの最後の砦でもある格納容器損傷の可能性も指摘されている2号機の問題については、専門家の間でもいろんな見方があるようです。

****爆発音の2号機、何が起きた?…専門家の見方*****
東京電力福島第一原子力発電所2号機で、15日朝に確認された大きな爆発音。
原子力の最後の安全を確保する仕組みに重大な損傷が起きたのか。放射性物質が外部に大量に漏れ出す可能性もある。専門家の様々な見方をまとめた。

原発で最も大事なのは、放射性物質の封じ込めだ。
今回の爆発では、原子炉の格納容器に何らかの損傷が起きたのでは、という指摘が専門家から出ている。
京都大原子炉実験所の今中哲二助教(原子力工学)は「圧力抑制室の圧力が大気圧と同じまで下がったというのは破損がそれだけ大きく、放射性物質が外部へかなり漏れ出たとみえる。格納容器とつながっているため、まさに『格納容器の部分破壊』とでも言える深刻な事態だ」と語る。
元原子力安全委員の住田健二・大阪大名誉教授も「格納容器が健全であることを前提にしてきたこれまでの考え方とは異なる状況になった」と話す。(中略)

渥美教授(近畿大原子力研究)によると、圧力抑制室は格納容器と配管でつながってはいるが、別の空間との見方もできる。そのため、今回は抑制室だけで水素爆発がとどまったと考えられるという。
一方で、藤家洋一・元原子力委員会委員長は「圧力抑制室の圧力が低下したことは、放射能を含んだ水が漏れだしていることを意味する。原子力の安全を確保する三本柱のうち最後の『閉じこめる』に問題が生じ、深刻だ。水素は空気よりも軽いため、格納容器の下部にある圧力抑制室にたまって爆発することは考えにくい」とみている。【3月15日 読売】
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枝野官房長官は、第3号機付近で最大400ミリシーベルトと一般人の年間被ばく量1000マイクロシーベルトの400倍と人体に影響ある放射性濃度を検出したことを明らかにしていますが、TV報道によると、第一原発の中央制御室の放射線レベルが高すぎて東電社員が常駐出来ず交替で作業にあたっているとのことで、そのことが現在の危機的状況を物語っています。
なお、東京都は15日、新宿区内で同日午前に実施した放射線量調査で、通常の最大21倍の放射線を検出し、最大値は0.809マイクロシーベルトだったと発表しています。これについて、都は「ごく微量で、人体に影響を及ぼすレベルではない」としています。

【「撤退などありえない」】
次から次に重大なトラブルが発生する状況に官邸も苛立ちを募らせているようです。
****覚悟決めてくれ」首相、東電に 危機管理、後手後手****
東京電力福島第一原子力発電所で相次ぐ事故を受け、菅内閣は15日早朝、政府と東電が一体で危機対応にあたる「福島原子力発電所事故対策統合本部」(本部長=菅直人首相)を設置した。二転三転する東電の対応に危機感を抱いたためだが、地震発生から5日目、高濃度放射性物質が放出される恐れがある事態になるまで対応は後手に回り、政権の危機管理能力の欠如が露呈した。
菅首相は15日午前5時40分、首相官邸から東京・内幸町の東電本店2階の統合本部を訪れ、「テレビで爆発が放映されているのに、官邸には1時間くらい連絡がなかった。一体どうなっているんだ」「あなたたちしかいないでしょう。撤退などありえない。覚悟を決めて下さい。撤退した時は、東電は100%つぶれます」と強調した。(中略)
依然として官邸の事態把握と情報提供は混乱が続いている。

そんな政府の対応に、与党・民主党内からも批判の声が強まっている。参院若手は「官邸は何か隠しているのではないか」。会見のたびに「安全だ」と繰り返す枝野氏らの発表を問題視する意見が党所属議員から党地震対策本部に相次いで寄せられているため、民主党は15日午前8時15分、官邸に文書でこう申し入れた。「最悪の事態を想定して、住民がどういう避難などをすべきか情報開示してほしい」【3月15日 朝日】
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「撤退などありえない。覚悟を決めて下さい」と言うのも、玉砕覚悟の死守を命じる旧日本軍の指示みたいで、東電社員には気の毒でもありますが、「あなたたちしかいないでしょう。」というのも事実です。
なお、多少言い過ぎたと思ったのか、菅首相は会見では東電社員の献身的努力を高く評価していました。

【「安全だと言われれば、危険だと思っていても信じてやるしかなかった」】
一方で、作業に協力している自衛隊からは不安・不満も出ています。
****安全のはずが命がけ…怒る自衛隊・防衛省****
放射能汚染の懸念が一層高まる事態に、自衛隊側からは怒りや懸念の声が噴出した。関係機関の連携不足もあらわになった。
3号機の爆発で自衛官4人の負傷者を出した防衛省。「安全だと言われ、それを信じて作業をしたら事故が起きた。これからどうするかは、もはや自衛隊と東電側だけで判断できるレベルを超えている」。同省幹部は重苦しい表情で話す。

自衛隊はこれまで、中央特殊武器防護隊など約200人が、原発周辺で炉の冷却や住民の除染などの活動を続けてきた。東電や保安院側が「安全だ」として作業を要請したためだ。
炉への給水活動は、これまで訓練もしたことがない。爆発の恐れがある中で、作業は「まさに命がけ」(同省幹部)。「我々は放射能の防護はできるが、原子炉の構造に特段の知識があるわけではない。安全だと言われれば、危険だと思っていても信じてやるしかなかった」。別の幹部は唇をかんだ。【3月15日 読売】
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危機的状況が連鎖・続発する事態に、海外からは「米国のスリーマイル島の事故(79年)より深刻だ」との見方も伝えられていいます。
****東日本大震災:スリーマイル以上と仏原子力機関 原発事故****
フランス原子力安全機関(ASN)のラコスト総裁は14日、日本の福島第1原発の事故について「米国のスリーマイル島の事故(79年)より深刻だ」との見方を示した。AFP通信が伝えた。
総裁は日本が事故の深刻度を、国際原子力機関(IAEA)が決めた8段階の尺度で「4」としていることについて、「(さらに深刻な)5以上で、6程度との感触がある」と指摘。この判断は「日本側からの情報に基づくものだ」とした。スリーマイル島事故はレベル「5」に指定されている。
一方、総裁は日本の事故について、旧ソ連のチェルノブイリ事故(86年)のレベル「7」よりは深刻でないとの見方をしている。【3月15日 毎日】
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望まれるタフなシステム
今は現在の危機的状況の沈静化に全力をあげるときですが、今後について考えると、想定外の巨大津波で冷却系がすべてストップしてしまった今回事態を反省して、災害時にも機能しうるシンプルでタフなシステムの構築が望まれます。
中国の新型原発は、原子炉の上部に数千トンの水をためるようになっており、非常時には動力を使わず、重力で水が落下して冷却する仕組みであるため、中国原発専門家は今回のような問題は起きないとしています。
そうしたシステムの安全性についてはまたいろいろ意見もあるところでしょうが、何か今までとは異なる発想の安全確保の仕組みを付加する必要がありそうです。

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