半農半X?土のある農的生活を求めて

「生きることは生活すること」をモットーに都会から田舎へ移り住み、農村の魅力を満喫しながら、日々、人生を楽しく耕しています

TPPって何?まあ、その前に農業の問題を整理してみよう②

2011年01月20日 | 自分の時間
②企業が参入すれば大丈夫

 さて、2回目。農家の約7割が10年後には農家を止めているっていうことだけど、でも大手企業がどんどん参入しているから、いずれ大手主導の生産物が出回ってくるんじゃない?と私は思っていました。

ところが、そう簡単では無い様です。。。

 農業への企業参入は、1989年のセコムが植物工場を開始し、キューピー、オムロン、カゴメ、サイゼリア、ワタミファーム、セブンファーム、モンテローザファーム(白木屋とか運営)、イオンアグリ創造、などがこの20年で参入してきました。

 ところが、、、「どこも正直ほとんど儲かっていない。ワタミファームもしかり」と元ワタミファームの社長さんが言っていました
 この方、平成フードサービスという外食チェーンでいち早く有機野菜を扱っていたことを買われて、ワタミファームの社長となった方です。今は独立して活動されています。

 この元ワタミファームの社長のお話を聞いて「へ~、ワタミファームって販路=居酒屋や介護老人ホームとかあるのに赤字なんだ。。。」と思いました。
 個別にワタミファームの方に聞いたら、「販路は7~8割はグループ内」と言っていました。なのに赤字なんですね

 そういえば、ちょっと前にユニクロも農業分野に進出しては撤退しました。
 日本の大規模農業の聖地、北海道はいくつもの企業が参入し、撤退しています。
 
 イオンさんなどは、もともと地域の農家と産直で提携してやったりしています。それはそれで良さそう。でも自前の農場は儲からない。。。

じゃあ、何で儲からないの?

 農業は天候が相手なのでそんなに決められた計画通りはいかないから。ということはもちろんあります。
 企業が運営母体なので他の産業のように「PL」や「事業計画」をきちんと立てて始めるようですが、計画通りなかなかいかないのは事実です。
 また農産物は「相場制」で、一般の産業のように「小売価格あっての原価」というのが成り立ちにくい商品でもあります。

 そして、それだけでなく、農業参入の「初期条件」からして厳しいようなのです。

 例えば、土壌の良い農地は当然ほとんど既存の農家が持っており、悪い農地があてがわれるそうです。農家さんの中にも「あいつらにはあそこの悪い土地をやっちゃえ」みたいな感覚が残っているそうですし。。。(気持ちはわかります。。。)
 また日本の平地は小さいため、北海道以外はど~んといった平地は少なく、小さく分断された土地が多く効率が悪い。そんな中で一定規模の土地を探すとなると、なかなか良い土地は見つからないようです。
 結局、ワタミファームも国や地方行政と組んで補助を受けながら色々なところで農場を開拓したそうなのですが、まともな土が出来るまで5年~10年もかかった農場もあったそうです。その間、年1億の赤字を出しながら・・・
 逆に、最初から非常に良く立ち上がっているところは、「同志」の農家さんが命をかけてその土地の土壌つくりをし、管理をしていたところだそうです。
 
 なので、元ワタミファーム社長いわく、「もし企業が農業をやるなら、良い農地を確保して、投資を極力控えるために農業機械、トラックは中古、居抜き物件を探すこと。そして ハイリスクローリターンで、5~10年スパンで考えるべき」とのことでした。

 企業が参入するといっても、その参入する土地に経営効率が上がる一定以上の農地があって、その農地は地元の農家さんでも「良い土壌だ」と言ってくれるような土地でなければならない。その上で、初期投資を抑えるために農業機械や仕分け倉庫などが中古で付いている。。。
 な~んて物件、そうは日本には無いですよね。。。

 だから、元々生産者が集まった方々が農事組合法人を立ち上げるなど、元々農家さんが経営をしている、というパターンでないと、なかなか異分野の企業が新規参入で始めるのは、難しいようです。
 
 となると、以前、大前研一さんが「日本も他の外国がやっているようにコストが安く土地も安く、大地も肥沃なウクライナの黒土地帯に農業を展開するべきだ」といった話が一番効率が良く現実的?という風に聞こえてきます。 
 実際、ウクライナに日本の農業を広めている方々もいます。

 となると、国産野菜を求めるのは現実的に果たして厳しいのしょうか?
 既にスーパーの並ぶ鶏肉などはブラジル産だし、牛肉などもアメリカやオーストラリア産など、海外ものばかり。バナナやオレンジは基本は外国産。ネギやキャベツなどの野菜も中国産などの海外物が多い時代です。
 カロリーベースで自給率が40%といいますが、このままいけば、普通に考えれば日本産はますます減っていきます。

 TPP参加は、政府が「自給率を向上させよう」と以前定めた政策に反してしまう可能性が高い政策。

 でも、6月には「参加を決定する」方針らしいので、より海外の農産物はたくさん入ってくることになるのは間違いありません。
 
 じゃあ、日本より競争も激しいはずだけど日本より自給率が高いところも多い海外諸国は、どうしているんでしょうか?(続く)
 
コメント
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