駅前糸脈

町医者をしながら世の中最前線の動きを感知、駅前から所見を発信。

仕事の力

2017年02月03日 | 身辺記

 

 我が社は零細企業であっても常勤4人非常勤5人の仕事を生み出している。診療している時には経営者という感覚がないから、上手く診察が出来るかにしか頭が向いていないが、給料を払う時と税理士に話を聞く時だけ経営者を思い出す。そんなことでよく会社経営が出来るなと思われるかもしれないが、医院というのはそれでよかった。良質な医療を提供することだけに神経を使っていれば、何とかなってきた。尤も、この一二年は患者数は変わらないが、材料費が値上がりし収益は僅かに減少傾向で昇給させるのが少々苦しくなってきている。診療報酬を上げて貰うしかないが、厚労省の財布の紐は固く難しいことになりそうだ。このままでは自分の給料を下げなければならないが、その頃には辞めるからとノー天気にしている。

 経営者感覚には欠けていても、雇用を生み出しているという自覚自負はある。人間にどんなに仕事が大切か、診療をしているとよく分かる。勿論、例外の有閑人種も居られるが、仕事が大変と言う人も、過大な超過勤務は問題だが、実は仕事に支えられている。殆どの人は働き蜂ではないけれども、仕事をするように生まれついている。職業に貴賎はなく多様であるが、患者さんを診ていると等しく仕事は生を支えている。その仕事を些少でも生み出しているというのは秘かな誇りである。

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