駅前糸脈

町医者をしながら世の中最前線の動きを感知、駅前から所見を発信。

能力の守備範囲

2011年04月08日 | 小考

 世の中には多才な人が居られる。私は多興味の方だが残念ながら多才とは言えない。仕事にしても患者さんを診るのは得意でも、介護保険意見書を書いたりする事務作業や医院の経営は苦手で、せいぜい並としか言いようがない。

 役所関係の書類書きはいつまで経っても慣れず億劫で、むしろ年々辛くなる。勿論、医者も色々で友人のH先生は細かい事務作業が得意で、逆に相手のミスを指摘するぐらいで、役所や業者に一目も二目も置かれている。診療能力は科が違うこともあり詳しく知らないが、平均以下と言うわけではなさそうなので、診療力と事務力は共存可能のようだ。

 シャーロックホームズの主張するところでは脳力は全体量が決まっているので、余計なもの?を詰め込むと肝心の本業の力が落ちるという?。これは多分、著者のコナン・ドイルの感触だったのではないかと思うが、実際はどんなもんだろう。玄人裸足の楽才文才画才などは、医学会ではどうも余り高い評価を受けないような気がする。ご愛敬くらいが良いところで、ゴルフ碁将棋などが県代表クラスなどというと、感心はされるけれどもという雰囲気はある。

 脳科学的にはどうなのだろう。密かにコアラ先生と読んでいる茂木さんは典型的な多才の人のようだ。八面六臂が個性で禁欲的に脳科学に没頭したらなどは仮定できないのかもしれないが、象牙の塔の人であったら、又違った業績が生まれたのではないかと思ったりもする。

 いずれにしろ日本の業界では玄人裸足の多才は、本業の評価を高めることはないような印象がある。それは横並びとかその道一筋とかを好む日本社会の嗜好によるもので、実際の所はシャーロックホームズは間違いで多才というのは、独立した一つの才能で異分野の才能が相殺しあうものではなく、調和ないし相乗効果を発揮するものなのかも知れない。どんなものだろう。 

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