駅前糸脈

町医者をしながら世の中最前線の動きを感知、駅前から所見を発信。

森繁さん ありがとうさようなら

2009年11月11日 | 人物、男
 昭和の名優、森繁久弥が眠るように亡くなった。享年96歳。
 森繁さんはたぶんちょっと長生きしすぎたかなと呟いているような気がする。空前絶後の人だ。思うに、その魅力は余すところなく語り口に現れていた。深い味わいのある人だった。
 文化勲章が授与された時、芸人ごときにとコメントした中身のない人が居たが、森繁はどぶ川のあぶくのごとくやり過ごしただろう。勲章などはともかく、その魅力はその人にあったと思う。
 その歌も不思議な節回しで胸に迫った。月の砂漠や城ヶ島の雨。作詞家作曲家は絶品のはずのシチューに醤油なんか掛けやがってと怒りの握り拳を作るのだが、その醤油を掛けられてしまったシチューがまた絶品で、振り上げた拳は微苦笑と共に収められたようだ。
 昭和の戦後を生きた中高老年にかけがえのなく時代の縁として忘れがたい人だ。どの作品がベストと聞かれれば、聞き返す振りをしてにっこりしただろう。私は久弥その人と思う。
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