パジャマからズボンに履き替えるのが大変になってきた。片足立ちが不安定になってきたからだ。腰掛けて履き替えれば良いのだが爺臭くて嫌なのだ。そのため、片足立ちでやっているのだが足首が引っかかってすっといかないことがあり、時々中断する。意外だが?脱ぐときの方が難しい。
歩く速度と同じように片足立ちが出来る時間も年齢に関係している。私は七十過ぎなので20秒ばかり片足立ちが出来れば合格で、それはクリアできるのだが、ズボンの着脱は腰を曲げて足を上げなければならないので不安定でふらついてしまうのだ。転んで怪我をする前に観念して腰掛けてやるようにした方が良いかも知れない。
そうこうして高齢者の訴えを実感できるようになってきた。そうかこういうことだったのかとよく分かる。ふらつき感というのは高齢者に多い訴えで、今まで脳頸椎内耳などからくる目眩と貧血、血圧、不安などからくる目眩感を鑑別し時には脳の画像診断を依頼してきたが、検査では異常が見つからないことも多かった。どうも今まで出来ていたことが出来なくなってふらつくと訴える高齢者も居るようだ。
所謂老化という状態をある程度実感できるようになったので、診療の守備範囲が広くなった感じがする。残念ながら引退も遠からずということでもありそうだ。診療に限らず経験は重要で、若気の至りには二十年ほど前から寛容に対応できていた。思い出せば冷や汗が出るほど失礼なことをしたのに、さほど怒らない先輩が居たが、恐らく若さに免じて下さったのだろう。勿論、なんだとと怒る先輩も居た。
何を持って分かるとするか難しいが、経験が理解を深めるのは確かのようだ。