竜王戦の挑戦権を剥奪され年内休場を将棋連盟から強いられた三浦九段は第三者機関の調査により白と判定された。元に戻してくれという三浦九段の言葉は悲痛だ。
将棋ファンの一人として最悪ではないが、なんとも割り切れない気持ちだ。疑心が暗鬼を生んだ事件だったが、責は会長以下将棋連盟幹部に六割、疑った棋士に二割そして三浦九段に一割というのが私の判定である。残りの一割はファンにあるだろう。
頭をかすめたのは大山さんだったらどうしただろう、米長さんだったらどうしただろうと次いで囲碁界ならどうしただろうということだ。これは大崎氏辺りに推定して欲しい。
疑心暗鬼が生じた時点で日本将棋連盟の下した拙速の判定には将棋界の欠点が出ている。将棋界に限らず特殊な才能が必要な分野ではその分野での才能に優れた人が長に選ばれやすい。組織の運営と社会の常識は必ずしもその分野の才能と一致して居らず、拙いことがしばしば起こる。まあ多くの場合、女房役というのが居て、失策を防ぐ訳だが今回は島、青野に名案が浮かばなかったようである。
中には時には特殊な才能と常識に満ちた判断力を兼ね備えた人物も居るが、そうではないことが多い。学業成績が一番とか勝率が一番とかいう人でない人物を優れた長と受け入れることの出来る組織がおそらく国も、危機を乗り切り成長してゆけるのではないかと診ている。
果たして三浦九段の言葉通りに元に戻すことが出来るだろうか、難しいと思う。時にはこうした濡れ衣をきっかけに以前以上の良好な関係が生まれることもあるが、多くは残滓が後を引き元通りの白にはなりにくいものだ。
私の判定の妥当性には色々ご意見があろう。厳しいようだが三浦九段にも一割と申し上げた。なんと酷いをしてくれたという気持ちだけでは、元通りには戻りにくい。一割の責は自分にもあるとお思いになることが限りない白い近づく道と申し上げたい。