暮れになるといろいろな物を頂く、若い頃は純粋で一時固く辞退していたこともあったが、全て断り切れるものではないし、断ると気分を害される患者さんや家族もおられるので、そのうち受け取るようになった。勿論、戴く物は、常識範囲の物で殆どが福沢諭吉一人以内だ。
常識を越えた物はお返しするようにしている。常識以下のものは殆どないが、豆菓子をどうぞと戴いて、お茶請けかなと受け取ったのだが、翌日寄った新装開店のラーメン屋の景品だったのが分かった時はさすがに、いい気はしなかった。
それと初診時には決して受け取らないようにしている。診療した後に何らかの気持ちの表れとしてお受け取りするというのが作法だと思う。
戴いたからどう戴かなかったからどうということは一切ない。どのような立場の人にも同じように接することはこの仕事の鉄則で、それは出来ていると思う。唯、相性というものはあり、患者さん側が感じるように我々も内心ではやりにくい人やりやすい人がある。これは人間である以上避けられないことだと思う。勿論、そういう患者さんにも診療では出来るだけのことをさせて戴いている。そうしているうちに、やりにくい患者さんもいくらかは打ち解けてくることが多い。その他に、相性以前の常識外れで、どこか他の医院へ行ってくれないかなと秘かに思う患者さんが数名居られる。こういう患者さん達は後味の悪さと気疲れを置いていかれる。
戴いた物は職員みんなで分けるようにしている。診療は私一人の力で出来ているわけではなし、老夫婦よりも若い従業員の家庭の方が有効に消費活用出来ると思うからだ。